危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#600 [東脂ヤ転
柳下サンへのコメントは★感想版にて...・・・(^-^)*☆*
まだ誰も来て居ない昼間の店内。居るのは俺と静だけだ。

静は小さく笑うと、一番近くにあった椅子を引き寄せ腰掛けた。

「認めるのが怖い?」

静の声が真っ直ぐ脳へと響く。こんな時でさえ静の甘い声が俺を揺るがせる。

「好きだって認めて、拒まれるのが怖いのか?」

静はあくまで冷静に話し掛けてくる。
余りにも的確に攻めてくるその言葉に、俺は何も言い返せない。

⏰:08/05/26 23:37 📱:W52P 🆔:.dqekDEA


#601 [東脂ヤ転
「・・・・・・じゃねぇよ」

「お前は圭吾が好きなんだよ」

「好きじゃねぇ!!」

店内に俺の声が響いた。俺は今どんな表情(カオ)をしているんだろう。
きっと泣きそうな表情で静の前に立っているに違いない。

「何を根拠にそんな事言えんだよ・・・あんな奴が好きなワケねぇだろ!!
俺は静のことが好きなんだ・・・!」

そう思い込ませてくれよ。俺はもう傷付きたくないんだ。

⏰:08/05/27 08:28 📱:W52P 🆔:CJURlFNc


#602 [東脂ヤ転
「明・・・・・・」

静は俺を近くへ引き寄せた。

「思い残すことが無いってぐらい圭吾にぶつかってみたか?」

俺は少し顔を上げて静を見つめる。
静の瞳は思った以上に哀色を帯びていた。

「何もする前から"傷付く"だなんて決めつけたら明自身がかわいそうだよ」

静はそう言うと優しく微笑んで俺の頭を軽く叩いた。

⏰:08/05/27 08:57 📱:W52P 🆔:CJURlFNc


#603 [東脂ヤ転
「それに俺なんかより、圭吾の方がずっと優しいぞ?」

ちょっと皮肉にもとれる台詞をサラッと静は言う。

「・・・・・・知ってるよ」

静の言葉に俺はそう呟いて苦笑した。
嫌って程知ってるよ、圭吾が優しいことぐらい。優しさの欠片も知らない俺は、だから圭吾に惹かれたんだ。

優しさの限度を知らないお節介焼きな圭吾に。

⏰:08/05/27 16:35 📱:W52P 🆔:CJURlFNc


#604 [東脂ヤ転
「・・・・・・!!」

急に目を覚まし、俺は勢い良く体を起こした。
時計に目をやると昼の11時。通りで部屋が明るいワケだ。

「夢オチかよ・・・」

もう一度うつ伏せに寝転んで自分自身にツッコミを入れる。それにしても、余りにも"あの日"を忠実に再現した夢だった。
目を瞑って周りの音に耳を澄ませると人の居る気配がしない。どうやら圭吾は出掛けたようだ。

俺は小さく溜め息をつき、ベッドからゆっくりと身体を起きあがらせた。

⏰:08/05/28 08:27 📱:W52P 🆔:82RtP9ps


#605 [東脂ヤ転
静とあの話をしたのはどれくらい前の時だろう。
その頃突然、俺は圭吾のことが好きなんだと気付いてしまった。

それと同時に、俺はその気持ちから目を逸らしたくて堪らなくなった。

その当時から男遊びが激しかった圭吾を好きで居続ける勇気も根気も、俺には持ち合わせていなかったんだ。

それに俺は知っていた。
圭吾が男癖が悪いのは、アイツが手に入れたくて堪らない"静"という穴を埋め合わせする為だという事を。

⏰:08/05/28 11:10 📱:W52P 🆔:82RtP9ps


#606 [東脂ヤ転
「喉渇いた・・・」

俺は呟くと部屋から出てキッチンへと向かう。
リビングには日光がさんさんと入っていて暑い程だ。

その時テーブルの上にあった紙が目に入る。

『明〜♪朝ご飯作っといたから食べなぁ☆俺はちょっと出掛けてきまぁす♪ 圭吾(^-^)』

そう書いたメモ用紙の側にはラップのかかった皿があった。
中には卵焼きやら焼き魚やらが並べられている。
「・・・・・・・・・ハァ」

俺は深く溜め息をつく。圭吾のこういうところが好きなんだけど、同時にこういうところが嫌いなんだ。

こういう、能天気なところが。

⏰:08/05/29 14:54 📱:W52P 🆔:e/5pojH6


#607 [東脂ヤ転
「大体なぁ・・・!!昨日の今日でこんなテンション高く朝食を作れる神経が分かんねぇ!!!!」

誰も居ない部屋中に俺の声が響き渡る。
日頃から不満は声に出して言う事にしている俺は、お構いなしに独り言を続ける。

「しかも料理って言ったら毎回毎回和食ばっか作りやがって・・・俺は朝は洋食派だって言っただろうがぁぁ!!!!」

そう言いながらもご飯をよそっている自分に呆れながら、俺は食卓に座って皿のラップをはがした。

悔しくも卵の良い香りが食欲をそそる。

⏰:08/05/29 18:42 📱:W52P 🆔:e/5pojH6


#608 [東脂ヤ転
「・・・・・・旨い」

一口食べた瞬間から、そんな言葉が自然と口をつく。
圭吾の腕が確かなのは前から知っていた。何せあの静が、店の料理の大半を圭吾に任せたいとまで言っていたのだ。

まぁ肝心の圭吾は接客が好きだから、という理由で静の頼みをことごとく断っていたが。

[普通、静の頼みを断るか!?]

俺はまたそんなことを考えながら、次々とおかずを口に運んでいく。

⏰:08/05/30 09:06 📱:W52P 🆔:yd0e2mNE


#609 [東脂ヤ転
「・・・・・・ハァ」

ひとしきり朝食を平らげた後、何故か俺は溜め息をついた。
小さくついたつもりの溜め息も、独りしか居ないこの部屋にはやけに大きく聞こえる。

[何か・・・何かダメだ・・・・・・俺]

言いようの無い苛立ちや焦りが、こういう時に限って襲ってくる。

俺はもっと圭吾と向き合いたいのにアイツはいつも、そんな俺の想いを受け流してしまう。
いとも簡単に。

それが俺には凄くもどかしくて、悲しくなる。

ちょうど今日みたいに。

⏰:08/06/01 16:31 📱:W52P 🆔:TNnSlajw


#610 [東脂ヤ転
[らしくない・・・らしくないぞ・・・俺・・・!!]

俺は必死に自分に言い聞かせながら皿を片付ける。
端から見れば痛々しく映るかもしれない。
こんな俺は。

ふと顔を上げると、カーテンからは溢れる程の日光が射し込んでいる。

「・・・そうだ、出掛けよ」

俺は急にそう思い立つと、急いで着替えに部屋に戻った。

こんな所に一人で居るからダメなんだよ。そうだ外に出よう。
そしたら何か変わるかもしれない・・・。


なーんて、まるでどっかの乙女みたいな考えに俺が苦笑したのは言うまでもない。

⏰:08/06/02 08:39 📱:W52P 🆔:.GyN4aPs


#611 [東脂ヤ転
「・・・・・・ハァ」

家からそう離れていないカフェで、俺はいつもより少し多めに砂糖が入ったコーヒーを飲んでいた。
只今午前11時。店に入ったのが9時だからかれこれ2時間程度、俺はずっとこうしている。

「あ"ーー頭イタぁーー」

前に垂れてきた長い前髪をかきあげながら、俺はうなだれる。

[明の奴・・・調子狂うこと言いやがって・・・一体何やねん!!]

俺はまた溜め息をつくと冷めたコーヒーを一気に飲み干した。

⏰:08/06/02 08:50 📱:W52P 🆔:.GyN4aPs


#612 [我輩は匿名である]
>>1-100

⏰:08/06/02 18:07 📱:W51H 🆔:TbG/Yd8A


#613 [東脂ヤ転
アンカーありがとうございます(ρv-)o。+'*・。,*
***********「イッチー!!もう一杯!!」
俺は近くのカウンター越しにサンドイッチを作っている子に声を掛けた。

「圭ちゃん飲み過ぎちゃいます?」

深めに被った帽子から覗く大きな瞳が、俺のことを心配そうに見つめ返す。

「飲み過ぎって、俺が飲んでるのコーヒーやぁん」

「カフェインも取り過ぎは良くないですって」

都心で関西弁全開な言葉を交わしていることが何か凄く可笑しくて、俺は思わず笑ってしまった。

⏰:08/06/04 14:41 📱:W52P 🆔:lHjWF9hA


#614 [東脂ヤ転
「俺が関西弁やからて、イッチーまで合わせることないんやで〜
イッチーはもう標準語喋れるんやろ?」

俺が笑いながらそう言うと、イッチーも笑って俺を見た。

「こっちの方が楽ですもん。それに圭ちゃんと標準語で話すとか、考えられへん!!」

イッチーはそう言って笑うとまた手元に目線を落とした。

俺は相変わらず変な敬語交りで喋るイッチーが可愛くて、しばらくその姿を見つめていた。

⏰:08/06/05 08:38 📱:W52P 🆔:tmWuc2p6


#615 [東脂ヤ転
早乙女 壱(サオトメ イチ)。
静の店の元従業員で、今はこのカフェのオーナーをやっている。

同じ関西出身でよく面倒を見てやっていた事もあり、その付き合いは今も続いている。

サラサラの短髪にいつも決まって野球帽。
長身で爽やかな風貌の、俺より2歳年下の可愛い後輩。

明とは大違いで言うこと無しのイケメンなのに、一度も抱きたいと思ったことは無い。

その理由はきっと、イッチーが静に少し似ているからだと思う。

⏰:08/06/06 09:59 📱:W52P 🆔:HGVBkB5M


#616 [我輩は匿名である]
面白い

⏰:08/06/09 12:01 📱:F703i 🆔:BkKUwbvU


#617 [東脂ヤ転
「イッチーってさぁ、ほんまに静に似とるよねぇ」

俺は固くなった身体をほぐすように、大きく伸びをした。
その様子を見つめながらイッチーは微笑して手を止める。

「俺はちっとも静さんみたいな大人ちゃいますよ」

俺は笑ってイッチーの方を向く。

「静が大人ぁ〜!?アイツは今も昔も子供やで!」

そう言って空いたカップをカウンターまで持って行く。

[大体あんなワガママで、独占欲の強い大人見た事ないわ!!]

俺はイッチーが注いでくれるコーヒーを横目に、そんな事を思った。

⏰:08/06/10 16:02 📱:W52P 🆔:WOiJr.Uc


#618 [東脂ヤ転
「圭ちゃんみたいな人を未だに雇ってるだけで十分"大人"やと思いますわ」

「・・・みたいな人!!??それどういう意味やねん!?」

俺はイッチーからの意外な言葉に反応して、コーヒーをこぼしそうになる。
イッチーは楽しそうに笑うと俺の近くのイスに腰掛けた。

「圭ちゃん未だ男遊び激しいんでしょ?」

突然イッチーの声色が変わったのに驚いて顔を上げると、さっきとは違う真面目な眼をしていた。

⏰:08/06/10 22:41 📱:W52P 🆔:WOiJr.Uc


#619 [東脂ヤ転
俺はそんな眼を前にして思わず目を逸らした。

「また明さん怒らしたから、ウチの店に来たんでしょ?」

イッチーは相変わらず俺を見つめながら、尚的確な問いをぶつけてくる。その度に静によく似た黒髪が揺れるのを、俺は気にしていた。

「明さんはもどかしいやろなぁ・・・」

しかしイッチーが不意にそんな事を言い出したので、俺は思わず顔を上げた。

⏰:08/06/11 00:51 📱:W52P 🆔:vTGc.C5A


#620 [東脂ヤ転
「明が何やって?」

俺はよほど怪訝そうな表情をしたのだろう。
イッチーはちょっと呆れたように笑うと、俺のコーヒーカップに手をかけた。

「例えばコーヒー大好きな圭ちゃんが、ほんまに好きなコーヒーには高くて手が出せへんとするやん?」

「・・・は?」

突然の例え話に俺はポカンとしてしまう。

「せやからただ安くて手に入れ易い、そこら辺の缶コーヒーばっか飲んで、その欲を満たしていたとする」

しかしそんな俺をよそに、イッチーは意外にも真面目な顔で例え話を続ける。

⏰:08/06/11 08:51 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#621 [東脂ヤ転
「圭ちゃんは毎日毎日缶コーヒーを美味しそうに飲むけど、それはただの"穴埋め"だって事を気付いている人がいるとして・・・」

そこで突然言葉が切れた。俺は不審に思いイッチーの顔を覗き込むと、さっきよりも表情が曇っていた。

「イッチー?」

「・・・アカン・・・」

「・・・・・・何が?」

イッチーは不安げな眼で俺を見つめながらゆっくり口を開く。

「この話の・・・・・・オチが見つけられへん・・・」

⏰:08/06/11 11:08 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#622 [東脂ヤ転
「プッ・・・アハハハハ!!何やそれ!?
自分で始めた例え話やろ!!オチまで考えてから話しぃや!!アハハハハ!!」

さっきまで真剣な眼差しだっただけに、やけにツボに入って笑いが止まらなくなってしまった。

「話しだしたら言いたい事まとまらんようになってしまったんですもん!あんま責めんといて下さいよぉ!!」

店内には俺とイッチーの笑い声が響く。

⏰:08/06/11 11:29 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#623 [東脂ヤ転
「ハァ・・・せやから、僕が言いたかったのは・・・」

ひとしきり2人で笑った後一呼吸置いて、イッチーがまた口を開いた。

「圭ちゃんが男遊び激しいんは、静さんの"穴埋め"をするためやって、明さんは分かってますよ」

イッチーは何気なくさらっと、しかし結構重要なことを言ってのけた。
俺は思わず口に含んだコーヒーを吹き出しそうになる。

「おま・・・ッ!!いつからそんなこと知って・・・!!」

「圭ちゃんが静さんを好きやって話ですか?
見てたら分かりますわぁ〜そんなん♪」

イッチーの笑顔がいつもに増して輝いて見える。
[・・・読めへん奴や・・・]

⏰:08/06/12 08:49 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#624 [東脂ヤ転
「でもまぁ・・・俺が静を好きやったんは昔の話やで」

俺はイッチーが持ってきてくれたクッキーを頬張りながらそう言った。

「でも今でも、いつかは"手に入れたい"って思ってはりますよね?」

コーヒーの代わりに水を口にしたイッチーは、また何気なく鋭い事を訊いてくる。しかし、

「いや・・・もうそれは無いわ」

俺はその問いに対してハッキリとそう返した。
その声は自分でも驚く程酷く、冷たく聞こえた。

⏰:08/06/12 22:07 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#625 [東脂ヤ転
俺が静を好きになったのは高校の時。
もともと美形で有名だった静は、男子からも女子からも人気があって、孤独には無縁な奴のように見えた。

その事を今の静に言ったら「お前の目は節穴だ」って呆れられたけど。

とにかく一目惚れだった。あの黒髪も細みの身体も、一度聴いたら忘れられない、よく透るあの声も。
全てが羨ましくて愛おしくて、手に入れたくて仕方なかった。

でもそんな僅かな願いさえ、いつだって叶わない。
静の隣にはいつも誰かが居て、俺の入る隙間なんか少しも残っていないんだ。

寂しがり屋な俺には静が必要なのに。

⏰:08/06/13 09:04 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#626 [東脂ヤ転
「それは・・・もう諦めたってことですか?」

俺の応えを促すように、イッチーはゆっくりと尋ねる。
その表情は何とも複雑そうで、嘘のつけないイッチーらしい反応だ。

「諦めたっていうより・・・観念したって感じやなぁ。今の静の恋人にはかなう気せぇへんし、多分静の最後の子になると思うしな。」

俺はイッチーに言いながら、自分自身に確認しているようだった。

「"最後の子"?」

イッチーは不思議そうに俺の言葉を復唱する。

「・・・"最後の恋人"って、意味な」

俺はそう言うと思わず苦笑いした。
自分で言った台詞で傷付いてる自分が、妙に情けなくて。

⏰:08/06/13 09:23 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#627 [東脂ヤ転
[ほんま・・・こればっかはしゃあないやろ・・・]

俺の頭には鳴ちゃんの顔が浮かぶ。

初めて鳴ちゃんに会った時、その口から"静兄"って呼ぶのを聞いてショックだったのと同時に何故か安心した。

「あぁ、紫穂の"穴埋め"になる子が、静にも出来たんやな」
そんな風に思っていた。

でも実際に2人の様子を見てたらすぐ気付いた。鳴ちゃんは紫穂の代わりじゃなかった。

静は鳴ちゃんだから、好きになったんだ。

それに気付いた時俺は思った。
静から卒業する日が来ちゃったなぁ、って。

⏰:08/06/13 16:09 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#628 [東脂ヤ転
「・・・俺もなぁちょっとは抵抗してみたんよ?認めたくなくてなぁ」

コーヒーカップを眺めながら俺は小さく話す。
店内には眩し過ぎる程の日差しが入り込んで来ている。

「静とその子の間に入って、少〜し仲を引っ掻き回してみたワケ」

「え"ー!?圭ちゃん悪趣味やなぁ〜」

あまりにも正直なその言葉に俺はまた吹き出してしまう。
"悪趣味"か・・・。
確かにそうかもな。

静に対する嫌がらせのつもりで鳴ちゃんに近付いたのに、最後はほんまに鳴ちゃんの可愛さに惹かれて抱こうとしてたんやから・・・。

⏰:08/06/15 07:49 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#629 [東脂ヤ転
「で?圭ちゃん、静さんの彼氏・・・ってか恋人に手ぇ出したんですか?」

イッチーはいつになく目を光らせて俺に凄い勢いで尋ねる。

「手ぇ出したっつーか・・・ちょこ〜っとキスして・・・」

「キス!!??」

「あ!あと媚薬もほんまちょこ〜っとだけ・・・」

「媚薬!!??」

まるで漫才のようなやりとりが可笑しくて俺はイッチーを見ると、イッチーの方は結構真剣に不満気な顔をしていた。

2人の間に何となく気まずい空気が流れる。

⏰:08/06/16 08:48 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#630 [東脂ヤ転
「っていうか明さんが怒ってる理由、それやないですか」

イッチーはため息の交じりの声で呆れたように言う。

「"それ"ってどれのこと?」

明が今現在俺に怒ってるってよく分かったなぁ〜なんて思いながら、俺はイッチーにそう訊いた。
「だからぁ、その静さんの恋人に圭ちゃんが手ぇ出したってことですよ!」

もともと明のことも慕っていたから感情移入してしまったのか、イッチーは身を乗り出すようにして喋り出す。

⏰:08/06/18 08:49 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#631 [東脂ヤ転
「・・・静が怒るんやったら分かるけど、何で明が怒る必要が有るん?」

熱くなるイッチーをよそに俺はますます混乱していく。

そうだ、前からそれは疑問だった。
俺が何をしようが誰と寝ようが、正直明には関係の無いことだし、迷惑をかけているつもりも無い。
それなのに明は必要以上に俺に絡んでは、いつも傷付いたような表情(カオ)をしている。

[そんなに腹立つなら関わらんかったらえぇのに・・・俺みたいな奴に]

明が俺を哀しい眼で見る度、俺はそんなことを思っていた。

⏰:08/06/18 11:06 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#632 [東脂ヤ転
「自分のことになるとほんま鈍感ですねぇ・・・圭ちゃんは」

イッチーは空いた皿を引きながら呟く。

「俺が鈍感〜??」

その言葉に俺がイマイチピンと来ていないのに気付いたのか、イッチーは俺の前に座り直して苦笑する。

「だって圭ちゃん気付いてはらへんでしょ?
明さんが圭ちゃんを好きやってコト」

「・・・・・・・・・は?」

一瞬、イッチーが何て言ったのか理解出来なかった。っていうか何語を喋ったのかも理解出来なかった。

それ位俺の頭の中は大混乱していた。

あの明が・・・

俺の事を・・・・・・


「・・・・・・好き!?」

⏰:08/06/19 19:13 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#633 [東脂ヤ転
「いーや・・・いやいやいやいやいや!!!!絶っっ対無いやろ!!有り得へん!!」


「有り得へんって何が?
明さんが圭ちゃんを好きやってことがですか?」

イッチーがサラッと言ってのけたその言葉に俺は何度も大きく頷いた。

混乱中の大混乱に陥っている俺を横目に、イッチーはまた席を立って厨房に戻る。

そんなイッチーを逃がさんばかりと俺はカウンター席に勢い良く座り直す。

⏰:08/06/21 21:47 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#634 [さき]
更新されてる

頑張ってくださぃね?

⏰:08/06/21 21:50 📱:SH902iS 🆔:0sktQpJ.


#635 [東脂ヤ転
さきサンへ(^^)★
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3324/
★*☆*★*☆*★*☆「じゃあ逆に、何で有り得へんって思うんですか?」
使い終わった皿やらコップやらを洗い始めながらイッチーは俺に尋ねる。
「何で・・・って理由はなんぼでもあるやん!
例えばやなぁ明は俺のこと毛嫌いしとるし、俺の前で笑ったことなんかないし・・・」

いくら思い返してみても明が俺のことを好きだなんて、思い当たる節もない。そりゃそうだ。
俺はずっと、明に嫌われてると思ってたから。

⏰:08/06/23 08:53 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#636 [東脂ヤ転
「・・・っていうか!お前は明からいつそんな話を聞いたんや!?」

未だ動揺しながらそう言うと、涼しい顔でイッチーは笑う。

「明さんは何にも言ってませんよ?
まぁ・・・見てたら誰でも気付くと思いますけど」

出たよ、イッチーの"見てたら分かりますよ"発言。

[見てて気付けたら苦労せぇへんわ!!!!]

腹立つほど爽やかな笑顔のイッチーを見ながら、俺は思わずそう叫びたくなった。

それと同時に俺の頭の中はぐるぐると色んな思想が駆け巡る。

次に明と会う時、俺はどんな顔すれば良いんだ・・・!?

⏰:08/06/25 09:16 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#637 [東脂ヤ転
「それより圭ちゃん、これから静さんの家行くって言ってませんでした?」

「あ、ほんまや忘れとった」

昨日はあんな形でクビを言い渡されてしまったから、俺はこれから静の家に謝りに行こうと思っていたのだ。

時計を見ると11時半過ぎ。出発するには丁度良い時間だ。

「ハァーー・・・ほなそろそろ行くわぁ〜・・・コーヒーご馳走さぁん」

俺はそう言うと重い腰を上げてイスを引く。

「ちょ・・・ッ!!めちゃくちゃテンション低いじゃないっすか!
僕のせいちゃいますよね!?」

イッチーは心配しているような口ぶりの割に、思いっきり笑いながら俺の肩を叩く。

⏰:08/06/25 11:24 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#638 [我輩は匿名である]
>>1-50
>>51-100
>>100-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350

⏰:08/06/26 23:53 📱:P703i 🆔:o3hhYymM


#639 [東脂ヤ転
[のん気やなぁ〜誰のせいでテンションだだ下がりやと思ってんねん!]

そんな事を思いながら、俺はまたひとつ溜め息をついてテーブルに目をやると、携帯に着信があったことに気付く。

不信に思い携帯を開くと、着信の欄に何度か同じ名前が表示されていた。
"ナオ"

昨日店でヤろうとしていた子の名前だ。

⏰:08/06/27 10:30 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#640 [東脂ヤ転
「もしかして明さんからメールですか?」

イッチーが嬉しそうに携帯を覗き込むので、それを避けるように俺は素早く携帯を閉じた。

「いや、おかんからやったわ!」

「・・・・・・圭ちゃんのお母さんって今どこにおるんやったっけ?」

「・・・フランス」

墓穴掘ったぁぁぁぁ!!!!
俺のおかんは仕事でフランスと日本を行き来する生活を送っている。

おかんとも仲が良いイッチーも、もちろんそのことは知っていた。

とっさについた嘘は・・・大失敗である。

⏰:08/07/02 08:46 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#641 [東脂ヤ転
「そんな嘘つくってことは・・・圭ちゃんまだ色んな男と付き合ってるんですね?」

「・・・・・・はい」

こういう時のイッチーは本気で怖い。
下手したら多分俺のおかんより怖いんちゃうかって思う。

「もー・・・ほんまに知りませんよ!?」

シュンとしている俺を見かねたのか、イッチーはそれ以上強くは言わず、ドアを開けながらそう言った。

開いたドアからは少しキツめの風が流れ込む。

⏰:08/07/03 17:35 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#642 [東脂ヤ転
「イッチー堪忍(カンニン)な。俺って寂しがり屋やから、誰かが側に居てくれなアカンのよ。」

ドアを押さえながら目をしかめているイッチーに俺は笑いかけて、力なくそう言う。

生ぬるい風邪が、俺の長い髪をからかうように掠めていく。

⏰:08/07/10 08:35 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#643 [東脂ヤ転
「圭ちゃん」

手を振ってその場を立ち去ろうとしたその時、イッチーが小さな声で俺を呼び止めた。

「その"誰か"を・・・圭ちゃん、間違えてはりますよ。」

「・・・・・・え?」

瞬間、今日一番の風邪が吹き、イッチーの帽子を攫っていく。

静とは違う真っ直ぐな黒髪が風に揺れ、静とは違う瞳が俺を刺す。

「またのお越しを、お待ちしてます」

何か言わなきゃいけなかったのに加えて先に、イッチーに笑顔でそう言われてしまった。

俺が何も言えなかったのはきっと、俺が見て見ぬフリをし続けてきた事を・・・完全に見抜かれていたからだ。

⏰:08/07/10 08:59 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#644 [我輩は匿名である]
頑張って

⏰:08/07/10 11:51 📱:F703i 🆔:CIWBCzZ.


#645 [東脂ヤ転
>>644
ありがとうございます!
***********






「何か暑い・・・」

もう梅雨だと言っても、この暑さは例年に無い暑さじゃねーか、と思ったのがつい、いつもの癖で大きな独り言を言ってしまった。

通り過ぎて行く人々は皆、休日らしく楽しそうに笑っている。

そこに一人不似合いな俺。

[っていうかこんな時に笑えるワケねぇよ。]

どんな景色や物を見ていても、圭吾のことばかり思い出してしまう。
"明"って、俺を呼ぶ圭吾のことを。

しかもその度に自分の甘さに嫌気がさして、自己嫌悪に陥って・・・最近その繰り返しばっかだ。

⏰:08/07/10 12:19 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#646 [東脂ヤ転
とりあえず外へ飛び出した俺は昔の知り合い、早乙女 壱(サオトメイチ)の店に向かっていた。

静の店に居た頃から壱は、頭の回転の早い、俺をイラつかせない奴だった。
それ以来、壱が静の店を辞めた後も、圭吾のことで気持ちが不安定な時とかはよく壱の店に行っている。

しかも大概、切羽詰まった時にしか行かないようにしているんだけど・・・


[俺やっぱダメかも・・・]

眩し過ぎる太陽にまでイラついている俺は、一体いつになったらこんな気持ちから解放されるんだろう。

⏰:08/07/10 18:10 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#647 [はな]
>>1-300
>>301-600

⏰:08/07/13 00:13 📱:SH905i 🆔:AZV/eNqc


#648 [東脂ヤ転
>>647
アンカーありがとうございます!
***********「あれ・・・明さんじゃないですか?」

「・・・は?」

突然誰かに声を掛けられ、思わず変な声を上げてしまった。

「やっぱり、明さんだ」

その声に振り返って見た時、改めて変な声を出しそうになる。

「や・・・大和?」

「久しぶりっすね明さん」

⏰:08/07/13 23:17 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#649 [東脂ヤ転
少し長めの茶髪に、長い手足と赤いフレームの眼鏡。
間違いなく高校時代の後輩、三輪大和(ミワヤマト)だ。

高校卒業以来の約2年振りの再会にしては余りに突然で、俺は驚きを隠せずにいた。

「お前・・・全然変わってないな」

あの頃と少しも変わっていない大和に、俺は少し頬がゆるむ。

「先輩こそ相変わらず可愛いっすね」

にっこり笑ってそう言う大和を前にして思い出す。

そう言えば・・・コイツはこうやって調子を狂わす奴だった。

⏰:08/07/14 09:08 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#650 [東脂ヤ転
「それよりこんな所で何やってんの?」

大和のタラシ発言はスルーしといて、俺は無難な質問を投げかける。
ただ話しかけるだけでも、俺は大和を見上げるカタチになってしまう。

「いや、ちょっと買い物があってそのついでにぶらついてたんすよ。
明さんは?」

「俺は知り合いのカフェに(圭吾のことを相談しに)行こうとしてたとこ」

たわいない会話なのに節々で圭吾を想う俺がいる。原因はきっと、大和がちょっと圭吾に似ているから。

⏰:08/07/14 11:07 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#651 [東脂ヤ転
「カフェ!?良い響きー!一緒に行っても良いっすか!?」

「え!?」

カフェという単語のどこにテンションが上がったのか、大和は嬉しそうに目を輝かせる。

「まぁ・・・別に良いけど」

[壱も変に深読みする奴じゃないし・・・大丈夫だよな]

壱の店に"誰か"を連れて行くのは正直気が引けたけど、大和に断る理由も無かったので俺は渋々頷いた。

「じゃあ早く行きましょ!俺喉乾いちゃってて」


ほぼ強引に俺の手を引く大和を見ながら、昔のことを俺は思い出していた。

⏰:08/07/14 11:53 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#652 [東脂ヤ転
大和はもともと同じ部活の後輩だった。
他人に優しくしたりするのが苦手だった俺は、特定の奴としか関わろうとしなかった。
そんな中、

『明さん!一緒に練習行きましょうよ』

懲りもせず、毎回毎回俺に声を掛けて来た唯一の後輩、それが三輪大和だ。
"お調子者の憎めない後輩"

大和に抱いていた感情はただそれだけだった。
それは昔も今も変わらない。

でも、

大和は違っていた。

⏰:08/07/14 12:15 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#653 [東脂ヤ転
「いらっしゃいま・・・あれ珍しい」

ウチからそう遠くない郊外にある洒落たカフェ。その店の若きオーナー、早乙女壱は俺を見た瞬間とびきりの笑顔を見せる。

「久しぶり、壱」

「今日は珍しいお客さんが多いなぁ」

さっきまで読んでいたと思われる料理本を片付けながら、壱は嬉しそうに言う。

⏰:08/07/14 16:07 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#654 [我輩は匿名である]
>>1-100
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>>600-700
>>700-800
>>800-900
>>900-1000

⏰:08/07/14 16:28 📱:SH904i 🆔:VeOTkTrI


#655 [東脂ヤ転
「"多い"って、さっき誰か居たのか?」

俺は意味深な壱の言い方が引っかかって少し強めに尋ねた。

「いや別にちょっと懐かし・・・」

そこまで言うと壱は突然顔を上げる。
その目線はしっかりと大和を捉えていた。

「・・・友達、ですか?」

壱は俺と大和を交互に見ながら尋ねる。
いつもとは違う壱の目つきに、俺は何故か変に戸惑う。

⏰:08/07/14 21:36 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#656 [東脂ヤ転
「あ、挨拶遅れました!
俺は明さんの高校の後輩で、三輪大和って言います。」

この微妙な空気を感じ取ったのか、大和はいつもの爽やかな笑顔で壱に軽く頭を下げた。

「あぁいや、俺も明さんの後輩で今はこの店のオーナーやってます、早乙女です。
まぁ俺はバイトの後輩ですけど。」

壱の方もいつもと変わらない爽やかな笑顔で大和に挨拶する。

[何だ・・・俺の勘違いか]

そう思って軽く胸を撫で下ろした瞬間、壱としっかり目が合ってしまった。

その目は、まるで「あとで話がある」と言わんばかりの鋭い目つきだ。

⏰:08/07/14 21:50 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#657 [東脂ヤ転
ーピルルルル・・・ッ

「あ、ちょっとすみません・・・」

壱にカウンター席を案内されたのとほぼ同時に、大和との携帯が鳴り席を立つ。

「大和もコーヒーで良い?」

ドアに向かって歩き出した大和にそう訊くと、大和は笑顔で頷いた。

「良い後輩ですね〜」

大和が外に出たのを見届けてから、茶化すように壱は言った。

「・・・アイスコーヒー2つな」

俺は何となく気まずくて壱の言葉を聞き流す。
壱なら大和のことも気にしないだろうと思っていたんだけど・・・ どうやらそうもいかないらしい。

⏰:08/07/15 11:11 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#658 [東脂ヤ転
「っていうか前に明さんが言ってた、"唯一俺に告白してきた変わり者"って・・・」

その言葉を聞いた瞬間、飲んでいた水を吹き出しそうになる。
俺の反応を見て壱は更に俺に近付く。

「やっぱり〜!あの子なんですね!?」

・・・何でこんなにコイツは鋭いんだろう・・・。
ムカつく程に!!

「あ"ー!!だから困ってんだよ!!」

俺は思わず声を張り上げてしまった。
さすがの壱も驚いて目を丸くしている。

⏰:08/07/15 11:37 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#659 [東脂ヤ転
「・・・高校の時大和に告られて、俺は断ったんだよ。"他に好き奴が居るから"って」

外から大和の声が微かに聞こえる。
あんなに良い奴なのに今も昔も、俺は好きになれずにいた。

「そしたらその時大和がさ言ったんだよ」

『じゃあ・・・次に俺と会う時に紹介して下さいよ、明さんが好きなその人を。』


凄く真っ直ぐな瞳だった。何で俺はコイツを好きになれないんだろう、って自分にイラついた。

でも本当はもう遅かった。

その時既に俺は、圭吾と出逢ってしまっていたんだ。

⏰:08/07/15 11:52 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#660 [東脂ヤ転
「じゃあ紹介すれば良いじゃないですか。圭ちゃんを。」

しゃあしゃあと言ってのける壱に、俺は思わず蹴りを入れたくなった。

「出来るワケねぇだろ!!
そんなことしたら圭吾に俺の気持ちがバレ・・・」

「バレたって良いじゃないですか」

その時突然、壱の声色が変わった。
普段は俺にたてついて来ない壱なだけに、壱の様子がいつもと違うことに気付く。

⏰:08/07/15 11:59 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#661 [東脂ヤ転
「いつまで明さんはそうやって悩み続けるんですか?」

壱の黒い瞳から目が離せない。

「早くしないと圭吾さん捕られちゃいますよ?」

壱は静かにそう言った。俺はその言葉の意味が読み取れず、怪訝な表情をする。

「でもアイツは静が好きなんだよ!
そんな奴に、打ち明けたところで何も変わんねぇよ」

吐き捨てるようにそう言うと、自分の台詞に傷ついている自分が居た。

[俺って・・・マジで勝手だな]

また嫌な感情が湧き上がってくる。

⏰:08/07/15 12:10 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#662 [東脂ヤ転
「圭ちゃんはもう静さんのこと好きちゃいますよ?」

俺が俯いたその時、壱は俺の前にアイスコーヒーを置きながら言った。

「・・・・・・はぁ!?何で!?」

俺は余りに突然のことに驚いて勢い良く顔を上げる。
そんな俺の様子を見て、壱は少し可笑しそうに笑った。

⏰:08/07/15 21:50 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#663 [東脂ヤ転
「確か・・・静さんの今の恋人に全くかなう気がしないから、って言ってはりました」

大和の分のアイスコーヒーを作りながら、壱は微かに笑って言う。

「恋・・・人って・・・」

あの義弟のことか。
確かに、自分のことを"静兄"って呼ばせるくらいだ。
"紫穂"と同じか、それ以上に大事にしてるっていう証拠だよな。

[でもそれって・・・]

『フラれたぁ・・・』

突然、昨日の圭吾を思い出す。

⏰:08/07/16 08:53 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#664 [我輩は匿名である]
がんばって

>>1-100
>>101-200
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>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:08/07/16 09:02 📱:F903i 🆔:n4s5HYss


#665 [東脂ヤ転
リビングで大の字になって弱音を吐いていた圭吾。いつもに増して空元気だった圭吾。

アイツ・・・もしかして、

「圭ちゃん傷付いてるんちゃいます?」

その時また、俺の心を見透かすように壱が口を開いた。
そんな壱を俺は驚いたような表情(カオ)で見つめる。

「自分で静さんに対して"諦める"やなんて言葉を言った圭ちゃん、初めて見ましたもん」

壱の入れてくれたコーヒーの良い香りが店中に広がる。
それと同時に、俺の胸には違う感情が芽生える。
何で・・・気付いてやれなかったんだ・・・!

⏰:08/07/16 12:06 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#666 [東脂ヤ転
「俺・・・ちょっと出てくる・・・ッ」

考え出したら止まらなくなって俺は勢い良く席を立った。

「明さん」

2人分のコーヒー代を置いて店を出ようとした時、壱が俺を呼び止めた。

「圭ちゃんは"俺は寂しがり屋やから、誰かが側に居てくれなアカンのや"って言ってました」

カウンター越しに壱の声が俺のところまで響く。
「でも圭ちゃんは今、その"誰か"を見失ってて、間違った温もりを求めてるんです」

俺は黙って壱の言葉を噛み締める。

「明さん・・・圭ちゃんの側に居てあげて下さい」

壱は苦笑して俺に軽く頭を下げた。
本当、お節介焼きなところが圭吾にそっくりだ。

⏰:08/07/16 12:16 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#667 [東脂ヤ転
「・・・また来るな」

俺はそれだけ言うと壱に軽く手を振ってドアを開けた。
中とは違って生暖かい風が俺の頬を掠める。

[言葉にしなきゃわかんねぇよあの馬鹿・・・!!]

思い返せば返す程、圭吾がどれだけ落ち込んでいるのかが痛い程良くわかる。

高校生の時から静だけを見てきて、紫穂が離れていった時も言えば静を支えていたのは圭吾だった。

それなのにいつも静の中には圭吾じゃない"誰か"が居て。

[叶わない想いなんて、持ってるだけ不便だよな]

俺が圭吾を想っても叶わないように、圭吾は静への想いを叶わないのに捨てられないで居る。

何で俺達って、こんなに不器用なんだろう。

⏰:08/07/16 12:29 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#668 [東脂ヤ転
「先輩・・・ッ!?」

「!?」

突然袖を強く引かれ、俺は驚いて振り返る。
そこには息を切らして俺を見つめる大和が居た。
「どこ・・・ハァッ・・・行くんですか!?」

その瞳はあの日と同じ、逸らしたくなる程真っ直ぐな瞳だ。

「どこ・・・って・・・」

俺はそこまで言うと言葉に詰まる。
逃げ出したくなる程の日差しが射している。

「・・・明さんが好きな人の所ですか?」

先に沈黙を破ったのは、大和だった。
俺は何も応えられず大和を見つめる。

⏰:08/07/17 08:32 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#669 [東脂ヤ転
「俺は・・・今でも明さんが好きです」

大和は乱れた息を整えながらきっぱりそう言う。人生二度目に受ける告白はやっぱり慣れなくて、思わず顔が火照る。

でも、

「大和・・・俺は・・・」

「知ってます。明さんは俺を好きじゃないって。」

俺が言おうとした言葉を、遮るように大和は続ける。
無理矢理つくった大和の笑顔は、見ているこっちが悲しくなりそうなものだった。

⏰:08/07/17 17:57 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#670 [東脂ヤ転
「それでも良いんです。
それでも、俺が明さんを好きなことは変わらないんで。」

多くの通行人が通る、大通りの真ん中で受ける告白は、思わず心揺れるものだ。

[何で・・・こんな・・・]

何でこんな俺をそんなに好きだと言ってくれるんだろう。
こんなに優しい大和の側に居れば、もう辛くないだろうか。

圭吾を好きでたまらないこんな気持ちを忘れられるだろうか。

また生暖かい風が俺の頬を掠めた、その時。

「明・・・?」

聞き覚えのある声が後ろから俺を引き止める。


「・・・・・・圭吾・・・」

⏰:08/07/17 18:25 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#671 [東脂ヤ転
「こんなとこで何してんねん・・・ってアレ・・・お連れさん?」

何も知らない圭吾はいつもの脳天気な顔で近付いて来る。
あまりにタイミング良く本人が登場したせいで、俺は動揺を隠せない。

しかも大和はそんな俺をしっかりと見つめていた。

「聞いとる?明・・・」

「俺は明さんの後輩なんです、高校の。」

圭吾が俺の顔を覗き込もうとしたその時、大和が笑顔で間に入った。

⏰:08/07/17 18:54 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#672 [東脂ヤ転
「後輩!?なんやぁ〜俺はてっきり明の彼氏さんか何かかと思ったわぁ!!」

「!?」

ー・・どういう意味だ?

俺の中の何かが曇る。

「いやな、いっつも俺のことばっか構ってくれるんは有り難いけどな、明もそろそろ良い人見つけぇや〜?」

圭吾の様子が少しいつもと違うのに、今の俺にはそれを気にかける余裕がない。

そんな様子を大和はただ黙って見つめている。

⏰:08/07/18 09:33 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#673 [東脂ヤ転
「何が・・・言いたいんだよ?」

込み上がってくる感情を必死で抑えながら、俺は圭吾を睨む。

「だからぁ、明も俺なんかのことはほっといてえぇから、その後輩君みたいな可愛い彼氏さんをつくりぃな!
俺もそうするし」

いつになく饒舌な圭吾は次から次によく喋る。
それも、俺を傷付けるような言葉ばかりを選んでいるように。

「・・・・・・黙・・・れ」

早く彼氏をつくれだと?大和みたいな?
俺が・・・

俺が大和の告白をどんな気持ちで・・・・・・



どんな気持ちで受け止めていたかも知らないで。

⏰:08/07/18 09:55 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#674 [東脂ヤ転
どんなに想っても届かない想いがあるんだって、こんなカタチで知りたくなかった。

言いようのないこの感情は、俺の口から誤った言葉を紡ぐ。

「そうだよ・・・俺達付き合うんだ」

俺は大和の袖を掴んで圭吾に向き直る。

「・・・・・・・・・え?」

さすがの圭吾もこの言葉には驚きを隠せないようだ。

[そんなに俺から離れたいなら・・・お望み通りにしてやるよ、圭吾]

悲しさを通り越して、何故か酷く冷たい気持ちに俺は浸っていく。

⏰:08/07/18 10:59 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#675 [サクラ]
失礼します

>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:08/07/18 14:02 📱:F704i 🆔:EtTR0d1Q


#676 [東脂ヤ転
「・・・大和」

「ん?」

俺は大和の方を見ずに呼びかけた。

「さっきの告白、了承した。俺達付き合おう。」

いつもの倍以上、自分の声が冷たく響く。
俺の言葉を聞いた圭吾はさっきの倍以上、驚いた顔をする。

「・・・行きましょう、先輩」

その時突然、大和が俺の手を引いて歩きだした。
「・・・ッ!!明・・・ッ」

圭吾が俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
それでも俺は足を止めない。
大和の歩幅に添うように歩き続ける。

[これで・・・終わり・・・か]

そう思ったら突然頬が濡れた。
雨なんか降っていない晴天なのに、何故かどんどん頬は湿っていく。


雨じゃなく、涙のせいで。

⏰:08/07/19 21:45 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#677 [我輩は匿名である]
明のばかあぁぁ

⏰:08/07/19 23:12 📱:D705i 🆔:ud7pQXas


#678 []
同感

⏰:08/07/19 23:54 📱:F704i 🆔:NaboNxzc


#679 [東脂ヤ転
我が輩サン・サクラサンへ(^^)
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3324/
***********





何かがおかしい。



俺が望んで、明を手放したハズなのに。


何でこんなにも胸が痛むんだ?


小さくなっていく明達を見つめながら、俺は此処から動けずにいる。


『大事なヤツなら、尚更手放すなよ』


その時ふ、とさっき静に言われた事を思い出す。

⏰:08/07/20 12:19 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#680 [東脂ヤ転
「・・・え?」

丁度たい焼きも食べ終わって、そろそろ静の家から帰ろうとしていた時、静が言った言葉だった。
「いつまでもフラフラしてると、後で後悔するって言ってるんだ」

珍しく俺に真面目に話しかけて来る静が何を言いたいのか、今の俺にはよく分かった。

「・・・明のことやろ?」

俺はため息混じりの声で静に訊く。

「珍しい・・・偉く今日は勘が鋭いな」

静は少し感心した様子で俺を見る。

⏰:08/07/20 12:50 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#681 [我輩は匿名である]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:08/07/20 16:06 📱:W54T 🆔:aiEF7rf2


#682 [東脂ヤ転
「嫌でも気付くわ!
イッチーにも同じようなこと言われたし・・・」

「イッチー?・・・って壱のことか?」

静は不思議そうに俺に訊き返し、俺はそれに大きく頷いた。

「珍しい奴と会ったんだな。その名前を聞くの久々だよ。」

静はそう言うと懐かしそうに微笑した。

そんな静に俺は一瞬見とれてしまう。
こういう時、不意に見せる静の笑顔は反則級に綺麗なんだ。

「で?壱に何て言われたんだよ?」

「え!?あぁ、そうやったな・・・」

静の声で俺は一気に現実に引き戻される。

⏰:08/07/20 21:50 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#683 [東脂ヤ転
「何か・・・今の俺は間違ってる・・・みたいな・・・っていうか明が・・・俺を好きや・・・みたいな?ハハッ!!そんなんガセやんなぁ!?」


俺はイッチーに言われたことを、飛び飛びではあるけれど何とか静に話した。
その間静は顔をしかめている。

「・・・え?お前は今頃、明の気持ちに気付いたのか?」

「・・・・・・やっぱほんまの話なんやぁぁぁぁ・・・」

静の反応を見て、俺の淡い期待が完全に消え去った。

⏰:08/07/20 23:35 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#684 [東脂ヤ転
「明に好かれるのがそんなに嫌なのか?」

俺のすぐ側に立つ静は不思議そうに尋ねる。
俺は軽く息をつくと、飲みかけのお茶を口に含む。

「いや・・・嫌とかじゃなくて、初耳だったから・・・驚いたというか・・・何と言うか・・・」

思うように言いたいことが整理出来ず、口を開くと途切れ途切れにしか言葉にならない。

そんな俺を見て静は苦笑する。

「明はお前が思っているよりもずっと前から、お前のことが好きだったんだよ」

静の言葉は一つ一つ胸に響く。その言葉の意味はよく分かるけれど、俺はまだ納得出来ずにいる。

[明・・・何で俺なんや?]

⏰:08/07/21 22:09 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#685 [東脂ヤ転
昔から静のことが好きだと口では言いながら、その欲を手頃な他人で晴らしていた。
自分でも時々こんな汚い"俺"が嫌になる。

それなのに俺の一番近くに居て、その汚れた部分も見飽きているハズの明が何で俺を好きになれるんだ?

「俺なんかを好きでいるやなんて・・・」

[お前は絶対、間違ってるわ]

俺は明を想い強くそう思った。

⏰:08/07/22 00:04 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#686 [東脂ヤ転
「・・・俺そろそろ帰るわ!」
残りのお茶を飲み干して俺は勢い良く席を立つ。これ以上明のことを咎められたら身が持たない。
「圭吾・・・」

玄関で靴ひもを結び直していると、静が壁に持たれながら俺に呼びかけた。

「ん?何〜?」

俺は静の方を見ずに返事を返す。

⏰:08/07/22 09:41 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#687 [東脂ヤ転
「昨日お前がさ俺に言った言葉・・・」

『そんなに大事なんやったら、もっとちゃんと捕まえとけや。泣かすなや』

一途に静を想う鳴ちゃんが余りに可愛くて、その想いに応え切れていない静が凄い無責任に見えた時、思わず口にした言葉だった。

長い間静を好きだった俺には、鳴ちゃんの気持ちが痛い程良く分かったから。

「あの言葉で、結構目が覚めた」

静は昨日のことを思い出しているのか、少し苦しそうに呟く。

⏰:08/07/23 08:48 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#688 [東脂ヤ転
「そりゃ良かったなぁ」

俺は初めて静に向かってそう言えた。
静が誰かを愛し、誰かに愛されてさえいれば今の俺には十分なように思えた。

「だからさ、圭吾」

そう言うと静は俺より先にドアを開ける。
生暖かい風と日差しが俺を討つ。

「お前は、お前の大事な奴を泣かすなよ」

静は俺の目を真っ直ぐ捉えて言う。

怒鳴るわけでも、攻めるわけでもない言葉だったけれど同時に、胸に響いて止まない言葉でもあった。

⏰:08/07/23 21:44 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#689 [東脂ヤ転
[それでも・・・・・・]




俺はまだ分からずにいる。


俺にとって"大事な奴"が明なのかどうか。


だから敢えて突き放してしまった。
今みたいに。



それなのに、明達の姿がどんどん小さくなっていくにつれ、俺の胸は締め付けられる。



ずっと見て見ぬ振りをしてきた想いを心は叫ぶ。



俺にとって・・・明はなんだ?

⏰:08/07/24 08:30 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#690 [東脂ヤ転
最初はしっかり者のルームシェアだとしか思ってなかった。
どんなに俺が無茶苦茶なことをしても、何だかんだ言って最後まで付き合ってくれる奴。

そんな明に俺はいつも甘えていた。
どんな時もコイツだけは側に居てくれるハズだって、変な思い込みがあった。

なのに、


明は今俺の側から離れて行こうとしている。

俺はまた、一人になるのか?

俺はまた、

大事な奴を手放そうとしているのか?

そう思ったのとほぼ同時に俺の足は動き始める。徐々に速度を上げ、必死に追いつこうと走り出す。


今どこに居るのか見当もつかない、明のもとへ。

⏰:08/07/25 08:21 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#691 [東脂ヤ転
「ー・・・先輩?」

大和に呼びかけられ、俺は初めて我に返る。
顔を上げると、隣に座る大和がいつもと変わらぬ笑顔で俺を見ていた。

「大丈夫だよ・・・大丈夫」

俺はそう言うとぎこちなく笑ってみせた。
目では大和を見ているのに、頭では圭吾のことをまだ想っている。

[懲りねぇ奴だな、俺も]

あんな言い方をされて、突き放されたのに相変わらず俺は圭吾のことが好きなんだと、嫌でも気付かされる。

⏰:08/07/25 08:29 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#692 [東脂ヤ転
圭吾の側から大和に手を引かれるまま離れ、俺達は今近くの公園に来ていた。

暫く気持ちの整理がつかずにいた俺の側に、黙っていてくれた大和はどれだけ俺に甘いんだ、と少し胸が軋んだ。

「先輩・・・俺は本当に明さんが好きですよ」

大和は静かにそれでもハッキリと俺を見て言う。
「こんな状況でこんなこと言うの、自分でも卑怯だと思います・・・でも!」

大和はそこまで言うと話すのを途中で止めた。
というより俺が大和の頬に触れ、話すのを止めさせた。

大和の気持ちはずっと前から十分知っていた。

俺はそれからいつも逃げていたんだ。

⏰:08/07/25 08:47 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#693 [東脂ヤ転
「俺も・・・お前が好きだよ」

「・・・・・・え!?」

突然の俺の返事に大和は驚いたのか変な声を上げる。
2人の間に生暖かい風が再び吹き始める。

「冗談とかは・・・ナシですよ?」

大和の頬に触れていた俺の手を、大和はそっと握った。
俺はこんな純粋な後輩に嘘を付こうとしている。
「冗談なんかじゃねぇよ。これでも真面目に言って・・・ッ」

そこまで言うと大和は俺を強く抱き締めた。

⏰:08/07/25 20:36 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#694 [東脂ヤ転
「嬉しい・・・ッ明さん・・・」

大和の肩は少し震えていて、その胸の鼓動は俺にまで伝わっていた。

[これで・・・良いんだよな]

大和のこの温かさは本物だ。俺はコイツを選んで良かったんだよ。

何度も何度もそんなことを自分に言いかけながら、俺は目を閉じた。


大和が俺の唇に触れる。

⏰:08/07/25 22:04 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#695 [るか]
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>701-800

⏰:08/07/25 23:47 📱:SH705i 🆔:tcXiwiqY


#696 [るか]
>>601-700

⏰:08/07/26 09:07 📱:SH705i 🆔:k4IRwc4I


#697 [東脂ヤ転
「ー・・・ッ・・・明!!」

その時、誰かが俺の名を呼び、凄い力で俺を引き上げた。
突然腕を引かれたせいで、俺は一瞬その場によろめく。

「好きでも無いヤツと・・・ッハァ・・・ッキスなんかすんな!!このどアホ!!」

聞き覚えのある声に怒鳴られて、俺は思わず泣きそうになる。

「圭・・・吾・・・?」

俺の腕を掴んで乱れる息を整えているのは、確かに圭吾だった。

⏰:08/07/26 12:24 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#698 [東脂ヤ転
「ハァッ・・・ほな・・・帰るで」

「・・・は!?」

まだ状況が掴めていない俺を差し置いて、圭吾は俺の手を引き歩き出す。
「ちょ・・・ッ・・・圭吾!!」

俺の言葉に反応する様子も無い圭吾はどんどん速度を上げていく。

横目で大和に目をやると酷く寂し気に、でも何故か呆れたように笑っているのが分かった。

そのうち公園からも離れて行き、黙々と歩き続ける圭吾に俺は引っ張られるカタチで歩いている。
その間俺は気が気じゃなかった。

[何で・・・追いかけて来たんだよ圭吾・・・]

⏰:08/07/26 12:36 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#699 [我輩は匿名である]
圭吾かっこよす

⏰:08/07/26 13:48 📱:D705i 🆔:jiq/OXbw


#700 [東脂ヤ転
>>583

「邪魔するで」

散々歩いてたどり着いた所はマンションではなく壱の店だった。

中に居た何人かの客は驚いて俺達を見る。
それに対して壱は何故か嬉しそうに笑っている。

「はいはい、奥の部屋をお使い下さい」

ワザとらしく改まった言い方をすると、壱は奥の部屋へと俺達を促した。

「イッチー・・・ありがとな」

圭吾が小さくそう壱に呟くと、壱は今までで一番の笑顔を俺達に向けた。
「明、こっち・・・

圭吾に軽く背を押された俺は、重い足を動かし部屋に入る。

⏰:08/07/27 12:29 📱:W52P 🆔:☆☆☆


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