危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#651 [東脂ヤ転
「カフェ!?良い響きー!一緒に行っても良いっすか!?」

「え!?」

カフェという単語のどこにテンションが上がったのか、大和は嬉しそうに目を輝かせる。

「まぁ・・・別に良いけど」

[壱も変に深読みする奴じゃないし・・・大丈夫だよな]

壱の店に"誰か"を連れて行くのは正直気が引けたけど、大和に断る理由も無かったので俺は渋々頷いた。

「じゃあ早く行きましょ!俺喉乾いちゃってて」


ほぼ強引に俺の手を引く大和を見ながら、昔のことを俺は思い出していた。

⏰:08/07/14 11:53 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#652 [東脂ヤ転
大和はもともと同じ部活の後輩だった。
他人に優しくしたりするのが苦手だった俺は、特定の奴としか関わろうとしなかった。
そんな中、

『明さん!一緒に練習行きましょうよ』

懲りもせず、毎回毎回俺に声を掛けて来た唯一の後輩、それが三輪大和だ。
"お調子者の憎めない後輩"

大和に抱いていた感情はただそれだけだった。
それは昔も今も変わらない。

でも、

大和は違っていた。

⏰:08/07/14 12:15 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#653 [東脂ヤ転
「いらっしゃいま・・・あれ珍しい」

ウチからそう遠くない郊外にある洒落たカフェ。その店の若きオーナー、早乙女壱は俺を見た瞬間とびきりの笑顔を見せる。

「久しぶり、壱」

「今日は珍しいお客さんが多いなぁ」

さっきまで読んでいたと思われる料理本を片付けながら、壱は嬉しそうに言う。

⏰:08/07/14 16:07 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#654 [我輩は匿名である]
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⏰:08/07/14 16:28 📱:SH904i 🆔:VeOTkTrI


#655 [東脂ヤ転
「"多い"って、さっき誰か居たのか?」

俺は意味深な壱の言い方が引っかかって少し強めに尋ねた。

「いや別にちょっと懐かし・・・」

そこまで言うと壱は突然顔を上げる。
その目線はしっかりと大和を捉えていた。

「・・・友達、ですか?」

壱は俺と大和を交互に見ながら尋ねる。
いつもとは違う壱の目つきに、俺は何故か変に戸惑う。

⏰:08/07/14 21:36 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#656 [東脂ヤ転
「あ、挨拶遅れました!
俺は明さんの高校の後輩で、三輪大和って言います。」

この微妙な空気を感じ取ったのか、大和はいつもの爽やかな笑顔で壱に軽く頭を下げた。

「あぁいや、俺も明さんの後輩で今はこの店のオーナーやってます、早乙女です。
まぁ俺はバイトの後輩ですけど。」

壱の方もいつもと変わらない爽やかな笑顔で大和に挨拶する。

[何だ・・・俺の勘違いか]

そう思って軽く胸を撫で下ろした瞬間、壱としっかり目が合ってしまった。

その目は、まるで「あとで話がある」と言わんばかりの鋭い目つきだ。

⏰:08/07/14 21:50 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#657 [東脂ヤ転
ーピルルルル・・・ッ

「あ、ちょっとすみません・・・」

壱にカウンター席を案内されたのとほぼ同時に、大和との携帯が鳴り席を立つ。

「大和もコーヒーで良い?」

ドアに向かって歩き出した大和にそう訊くと、大和は笑顔で頷いた。

「良い後輩ですね〜」

大和が外に出たのを見届けてから、茶化すように壱は言った。

「・・・アイスコーヒー2つな」

俺は何となく気まずくて壱の言葉を聞き流す。
壱なら大和のことも気にしないだろうと思っていたんだけど・・・ どうやらそうもいかないらしい。

⏰:08/07/15 11:11 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#658 [東脂ヤ転
「っていうか前に明さんが言ってた、"唯一俺に告白してきた変わり者"って・・・」

その言葉を聞いた瞬間、飲んでいた水を吹き出しそうになる。
俺の反応を見て壱は更に俺に近付く。

「やっぱり〜!あの子なんですね!?」

・・・何でこんなにコイツは鋭いんだろう・・・。
ムカつく程に!!

「あ"ー!!だから困ってんだよ!!」

俺は思わず声を張り上げてしまった。
さすがの壱も驚いて目を丸くしている。

⏰:08/07/15 11:37 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#659 [東脂ヤ転
「・・・高校の時大和に告られて、俺は断ったんだよ。"他に好き奴が居るから"って」

外から大和の声が微かに聞こえる。
あんなに良い奴なのに今も昔も、俺は好きになれずにいた。

「そしたらその時大和がさ言ったんだよ」

『じゃあ・・・次に俺と会う時に紹介して下さいよ、明さんが好きなその人を。』


凄く真っ直ぐな瞳だった。何で俺はコイツを好きになれないんだろう、って自分にイラついた。

でも本当はもう遅かった。

その時既に俺は、圭吾と出逢ってしまっていたんだ。

⏰:08/07/15 11:52 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#660 [東脂ヤ転
「じゃあ紹介すれば良いじゃないですか。圭ちゃんを。」

しゃあしゃあと言ってのける壱に、俺は思わず蹴りを入れたくなった。

「出来るワケねぇだろ!!
そんなことしたら圭吾に俺の気持ちがバレ・・・」

「バレたって良いじゃないですか」

その時突然、壱の声色が変わった。
普段は俺にたてついて来ない壱なだけに、壱の様子がいつもと違うことに気付く。

⏰:08/07/15 11:59 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#661 [東脂ヤ転
「いつまで明さんはそうやって悩み続けるんですか?」

壱の黒い瞳から目が離せない。

「早くしないと圭吾さん捕られちゃいますよ?」

壱は静かにそう言った。俺はその言葉の意味が読み取れず、怪訝な表情をする。

「でもアイツは静が好きなんだよ!
そんな奴に、打ち明けたところで何も変わんねぇよ」

吐き捨てるようにそう言うと、自分の台詞に傷ついている自分が居た。

[俺って・・・マジで勝手だな]

また嫌な感情が湧き上がってくる。

⏰:08/07/15 12:10 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#662 [東脂ヤ転
「圭ちゃんはもう静さんのこと好きちゃいますよ?」

俺が俯いたその時、壱は俺の前にアイスコーヒーを置きながら言った。

「・・・・・・はぁ!?何で!?」

俺は余りに突然のことに驚いて勢い良く顔を上げる。
そんな俺の様子を見て、壱は少し可笑しそうに笑った。

⏰:08/07/15 21:50 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#663 [東脂ヤ転
「確か・・・静さんの今の恋人に全くかなう気がしないから、って言ってはりました」

大和の分のアイスコーヒーを作りながら、壱は微かに笑って言う。

「恋・・・人って・・・」

あの義弟のことか。
確かに、自分のことを"静兄"って呼ばせるくらいだ。
"紫穂"と同じか、それ以上に大事にしてるっていう証拠だよな。

[でもそれって・・・]

『フラれたぁ・・・』

突然、昨日の圭吾を思い出す。

⏰:08/07/16 08:53 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#664 [我輩は匿名である]
がんばって

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>>801-900
>>901-1000

⏰:08/07/16 09:02 📱:F903i 🆔:n4s5HYss


#665 [東脂ヤ転
リビングで大の字になって弱音を吐いていた圭吾。いつもに増して空元気だった圭吾。

アイツ・・・もしかして、

「圭ちゃん傷付いてるんちゃいます?」

その時また、俺の心を見透かすように壱が口を開いた。
そんな壱を俺は驚いたような表情(カオ)で見つめる。

「自分で静さんに対して"諦める"やなんて言葉を言った圭ちゃん、初めて見ましたもん」

壱の入れてくれたコーヒーの良い香りが店中に広がる。
それと同時に、俺の胸には違う感情が芽生える。
何で・・・気付いてやれなかったんだ・・・!

⏰:08/07/16 12:06 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#666 [東脂ヤ転
「俺・・・ちょっと出てくる・・・ッ」

考え出したら止まらなくなって俺は勢い良く席を立った。

「明さん」

2人分のコーヒー代を置いて店を出ようとした時、壱が俺を呼び止めた。

「圭ちゃんは"俺は寂しがり屋やから、誰かが側に居てくれなアカンのや"って言ってました」

カウンター越しに壱の声が俺のところまで響く。
「でも圭ちゃんは今、その"誰か"を見失ってて、間違った温もりを求めてるんです」

俺は黙って壱の言葉を噛み締める。

「明さん・・・圭ちゃんの側に居てあげて下さい」

壱は苦笑して俺に軽く頭を下げた。
本当、お節介焼きなところが圭吾にそっくりだ。

⏰:08/07/16 12:16 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#667 [東脂ヤ転
「・・・また来るな」

俺はそれだけ言うと壱に軽く手を振ってドアを開けた。
中とは違って生暖かい風が俺の頬を掠める。

[言葉にしなきゃわかんねぇよあの馬鹿・・・!!]

思い返せば返す程、圭吾がどれだけ落ち込んでいるのかが痛い程良くわかる。

高校生の時から静だけを見てきて、紫穂が離れていった時も言えば静を支えていたのは圭吾だった。

それなのにいつも静の中には圭吾じゃない"誰か"が居て。

[叶わない想いなんて、持ってるだけ不便だよな]

俺が圭吾を想っても叶わないように、圭吾は静への想いを叶わないのに捨てられないで居る。

何で俺達って、こんなに不器用なんだろう。

⏰:08/07/16 12:29 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#668 [東脂ヤ転
「先輩・・・ッ!?」

「!?」

突然袖を強く引かれ、俺は驚いて振り返る。
そこには息を切らして俺を見つめる大和が居た。
「どこ・・・ハァッ・・・行くんですか!?」

その瞳はあの日と同じ、逸らしたくなる程真っ直ぐな瞳だ。

「どこ・・・って・・・」

俺はそこまで言うと言葉に詰まる。
逃げ出したくなる程の日差しが射している。

「・・・明さんが好きな人の所ですか?」

先に沈黙を破ったのは、大和だった。
俺は何も応えられず大和を見つめる。

⏰:08/07/17 08:32 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#669 [東脂ヤ転
「俺は・・・今でも明さんが好きです」

大和は乱れた息を整えながらきっぱりそう言う。人生二度目に受ける告白はやっぱり慣れなくて、思わず顔が火照る。

でも、

「大和・・・俺は・・・」

「知ってます。明さんは俺を好きじゃないって。」

俺が言おうとした言葉を、遮るように大和は続ける。
無理矢理つくった大和の笑顔は、見ているこっちが悲しくなりそうなものだった。

⏰:08/07/17 17:57 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#670 [東脂ヤ転
「それでも良いんです。
それでも、俺が明さんを好きなことは変わらないんで。」

多くの通行人が通る、大通りの真ん中で受ける告白は、思わず心揺れるものだ。

[何で・・・こんな・・・]

何でこんな俺をそんなに好きだと言ってくれるんだろう。
こんなに優しい大和の側に居れば、もう辛くないだろうか。

圭吾を好きでたまらないこんな気持ちを忘れられるだろうか。

また生暖かい風が俺の頬を掠めた、その時。

「明・・・?」

聞き覚えのある声が後ろから俺を引き止める。


「・・・・・・圭吾・・・」

⏰:08/07/17 18:25 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#671 [東脂ヤ転
「こんなとこで何してんねん・・・ってアレ・・・お連れさん?」

何も知らない圭吾はいつもの脳天気な顔で近付いて来る。
あまりにタイミング良く本人が登場したせいで、俺は動揺を隠せない。

しかも大和はそんな俺をしっかりと見つめていた。

「聞いとる?明・・・」

「俺は明さんの後輩なんです、高校の。」

圭吾が俺の顔を覗き込もうとしたその時、大和が笑顔で間に入った。

⏰:08/07/17 18:54 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#672 [東脂ヤ転
「後輩!?なんやぁ〜俺はてっきり明の彼氏さんか何かかと思ったわぁ!!」

「!?」

ー・・どういう意味だ?

俺の中の何かが曇る。

「いやな、いっつも俺のことばっか構ってくれるんは有り難いけどな、明もそろそろ良い人見つけぇや〜?」

圭吾の様子が少しいつもと違うのに、今の俺にはそれを気にかける余裕がない。

そんな様子を大和はただ黙って見つめている。

⏰:08/07/18 09:33 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#673 [東脂ヤ転
「何が・・・言いたいんだよ?」

込み上がってくる感情を必死で抑えながら、俺は圭吾を睨む。

「だからぁ、明も俺なんかのことはほっといてえぇから、その後輩君みたいな可愛い彼氏さんをつくりぃな!
俺もそうするし」

いつになく饒舌な圭吾は次から次によく喋る。
それも、俺を傷付けるような言葉ばかりを選んでいるように。

「・・・・・・黙・・・れ」

早く彼氏をつくれだと?大和みたいな?
俺が・・・

俺が大和の告白をどんな気持ちで・・・・・・



どんな気持ちで受け止めていたかも知らないで。

⏰:08/07/18 09:55 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#674 [東脂ヤ転
どんなに想っても届かない想いがあるんだって、こんなカタチで知りたくなかった。

言いようのないこの感情は、俺の口から誤った言葉を紡ぐ。

「そうだよ・・・俺達付き合うんだ」

俺は大和の袖を掴んで圭吾に向き直る。

「・・・・・・・・・え?」

さすがの圭吾もこの言葉には驚きを隠せないようだ。

[そんなに俺から離れたいなら・・・お望み通りにしてやるよ、圭吾]

悲しさを通り越して、何故か酷く冷たい気持ちに俺は浸っていく。

⏰:08/07/18 10:59 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#675 [サクラ]
失礼します

>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:08/07/18 14:02 📱:F704i 🆔:EtTR0d1Q


#676 [東脂ヤ転
「・・・大和」

「ん?」

俺は大和の方を見ずに呼びかけた。

「さっきの告白、了承した。俺達付き合おう。」

いつもの倍以上、自分の声が冷たく響く。
俺の言葉を聞いた圭吾はさっきの倍以上、驚いた顔をする。

「・・・行きましょう、先輩」

その時突然、大和が俺の手を引いて歩きだした。
「・・・ッ!!明・・・ッ」

圭吾が俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
それでも俺は足を止めない。
大和の歩幅に添うように歩き続ける。

[これで・・・終わり・・・か]

そう思ったら突然頬が濡れた。
雨なんか降っていない晴天なのに、何故かどんどん頬は湿っていく。


雨じゃなく、涙のせいで。

⏰:08/07/19 21:45 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#677 [我輩は匿名である]
明のばかあぁぁ

⏰:08/07/19 23:12 📱:D705i 🆔:ud7pQXas


#678 []
同感

⏰:08/07/19 23:54 📱:F704i 🆔:NaboNxzc


#679 [東脂ヤ転
我が輩サン・サクラサンへ(^^)
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3324/
***********





何かがおかしい。



俺が望んで、明を手放したハズなのに。


何でこんなにも胸が痛むんだ?


小さくなっていく明達を見つめながら、俺は此処から動けずにいる。


『大事なヤツなら、尚更手放すなよ』


その時ふ、とさっき静に言われた事を思い出す。

⏰:08/07/20 12:19 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#680 [東脂ヤ転
「・・・え?」

丁度たい焼きも食べ終わって、そろそろ静の家から帰ろうとしていた時、静が言った言葉だった。
「いつまでもフラフラしてると、後で後悔するって言ってるんだ」

珍しく俺に真面目に話しかけて来る静が何を言いたいのか、今の俺にはよく分かった。

「・・・明のことやろ?」

俺はため息混じりの声で静に訊く。

「珍しい・・・偉く今日は勘が鋭いな」

静は少し感心した様子で俺を見る。

⏰:08/07/20 12:50 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#681 [我輩は匿名である]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:08/07/20 16:06 📱:W54T 🆔:aiEF7rf2


#682 [東脂ヤ転
「嫌でも気付くわ!
イッチーにも同じようなこと言われたし・・・」

「イッチー?・・・って壱のことか?」

静は不思議そうに俺に訊き返し、俺はそれに大きく頷いた。

「珍しい奴と会ったんだな。その名前を聞くの久々だよ。」

静はそう言うと懐かしそうに微笑した。

そんな静に俺は一瞬見とれてしまう。
こういう時、不意に見せる静の笑顔は反則級に綺麗なんだ。

「で?壱に何て言われたんだよ?」

「え!?あぁ、そうやったな・・・」

静の声で俺は一気に現実に引き戻される。

⏰:08/07/20 21:50 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#683 [東脂ヤ転
「何か・・・今の俺は間違ってる・・・みたいな・・・っていうか明が・・・俺を好きや・・・みたいな?ハハッ!!そんなんガセやんなぁ!?」


俺はイッチーに言われたことを、飛び飛びではあるけれど何とか静に話した。
その間静は顔をしかめている。

「・・・え?お前は今頃、明の気持ちに気付いたのか?」

「・・・・・・やっぱほんまの話なんやぁぁぁぁ・・・」

静の反応を見て、俺の淡い期待が完全に消え去った。

⏰:08/07/20 23:35 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#684 [東脂ヤ転
「明に好かれるのがそんなに嫌なのか?」

俺のすぐ側に立つ静は不思議そうに尋ねる。
俺は軽く息をつくと、飲みかけのお茶を口に含む。

「いや・・・嫌とかじゃなくて、初耳だったから・・・驚いたというか・・・何と言うか・・・」

思うように言いたいことが整理出来ず、口を開くと途切れ途切れにしか言葉にならない。

そんな俺を見て静は苦笑する。

「明はお前が思っているよりもずっと前から、お前のことが好きだったんだよ」

静の言葉は一つ一つ胸に響く。その言葉の意味はよく分かるけれど、俺はまだ納得出来ずにいる。

[明・・・何で俺なんや?]

⏰:08/07/21 22:09 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#685 [東脂ヤ転
昔から静のことが好きだと口では言いながら、その欲を手頃な他人で晴らしていた。
自分でも時々こんな汚い"俺"が嫌になる。

それなのに俺の一番近くに居て、その汚れた部分も見飽きているハズの明が何で俺を好きになれるんだ?

「俺なんかを好きでいるやなんて・・・」

[お前は絶対、間違ってるわ]

俺は明を想い強くそう思った。

⏰:08/07/22 00:04 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#686 [東脂ヤ転
「・・・俺そろそろ帰るわ!」
残りのお茶を飲み干して俺は勢い良く席を立つ。これ以上明のことを咎められたら身が持たない。
「圭吾・・・」

玄関で靴ひもを結び直していると、静が壁に持たれながら俺に呼びかけた。

「ん?何〜?」

俺は静の方を見ずに返事を返す。

⏰:08/07/22 09:41 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#687 [東脂ヤ転
「昨日お前がさ俺に言った言葉・・・」

『そんなに大事なんやったら、もっとちゃんと捕まえとけや。泣かすなや』

一途に静を想う鳴ちゃんが余りに可愛くて、その想いに応え切れていない静が凄い無責任に見えた時、思わず口にした言葉だった。

長い間静を好きだった俺には、鳴ちゃんの気持ちが痛い程良く分かったから。

「あの言葉で、結構目が覚めた」

静は昨日のことを思い出しているのか、少し苦しそうに呟く。

⏰:08/07/23 08:48 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#688 [東脂ヤ転
「そりゃ良かったなぁ」

俺は初めて静に向かってそう言えた。
静が誰かを愛し、誰かに愛されてさえいれば今の俺には十分なように思えた。

「だからさ、圭吾」

そう言うと静は俺より先にドアを開ける。
生暖かい風と日差しが俺を討つ。

「お前は、お前の大事な奴を泣かすなよ」

静は俺の目を真っ直ぐ捉えて言う。

怒鳴るわけでも、攻めるわけでもない言葉だったけれど同時に、胸に響いて止まない言葉でもあった。

⏰:08/07/23 21:44 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#689 [東脂ヤ転
[それでも・・・・・・]




俺はまだ分からずにいる。


俺にとって"大事な奴"が明なのかどうか。


だから敢えて突き放してしまった。
今みたいに。



それなのに、明達の姿がどんどん小さくなっていくにつれ、俺の胸は締め付けられる。



ずっと見て見ぬ振りをしてきた想いを心は叫ぶ。



俺にとって・・・明はなんだ?

⏰:08/07/24 08:30 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#690 [東脂ヤ転
最初はしっかり者のルームシェアだとしか思ってなかった。
どんなに俺が無茶苦茶なことをしても、何だかんだ言って最後まで付き合ってくれる奴。

そんな明に俺はいつも甘えていた。
どんな時もコイツだけは側に居てくれるハズだって、変な思い込みがあった。

なのに、


明は今俺の側から離れて行こうとしている。

俺はまた、一人になるのか?

俺はまた、

大事な奴を手放そうとしているのか?

そう思ったのとほぼ同時に俺の足は動き始める。徐々に速度を上げ、必死に追いつこうと走り出す。


今どこに居るのか見当もつかない、明のもとへ。

⏰:08/07/25 08:21 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#691 [東脂ヤ転
「ー・・・先輩?」

大和に呼びかけられ、俺は初めて我に返る。
顔を上げると、隣に座る大和がいつもと変わらぬ笑顔で俺を見ていた。

「大丈夫だよ・・・大丈夫」

俺はそう言うとぎこちなく笑ってみせた。
目では大和を見ているのに、頭では圭吾のことをまだ想っている。

[懲りねぇ奴だな、俺も]

あんな言い方をされて、突き放されたのに相変わらず俺は圭吾のことが好きなんだと、嫌でも気付かされる。

⏰:08/07/25 08:29 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#692 [東脂ヤ転
圭吾の側から大和に手を引かれるまま離れ、俺達は今近くの公園に来ていた。

暫く気持ちの整理がつかずにいた俺の側に、黙っていてくれた大和はどれだけ俺に甘いんだ、と少し胸が軋んだ。

「先輩・・・俺は本当に明さんが好きですよ」

大和は静かにそれでもハッキリと俺を見て言う。
「こんな状況でこんなこと言うの、自分でも卑怯だと思います・・・でも!」

大和はそこまで言うと話すのを途中で止めた。
というより俺が大和の頬に触れ、話すのを止めさせた。

大和の気持ちはずっと前から十分知っていた。

俺はそれからいつも逃げていたんだ。

⏰:08/07/25 08:47 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#693 [東脂ヤ転
「俺も・・・お前が好きだよ」

「・・・・・・え!?」

突然の俺の返事に大和は驚いたのか変な声を上げる。
2人の間に生暖かい風が再び吹き始める。

「冗談とかは・・・ナシですよ?」

大和の頬に触れていた俺の手を、大和はそっと握った。
俺はこんな純粋な後輩に嘘を付こうとしている。
「冗談なんかじゃねぇよ。これでも真面目に言って・・・ッ」

そこまで言うと大和は俺を強く抱き締めた。

⏰:08/07/25 20:36 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#694 [東脂ヤ転
「嬉しい・・・ッ明さん・・・」

大和の肩は少し震えていて、その胸の鼓動は俺にまで伝わっていた。

[これで・・・良いんだよな]

大和のこの温かさは本物だ。俺はコイツを選んで良かったんだよ。

何度も何度もそんなことを自分に言いかけながら、俺は目を閉じた。


大和が俺の唇に触れる。

⏰:08/07/25 22:04 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#695 [るか]
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>701-800

⏰:08/07/25 23:47 📱:SH705i 🆔:tcXiwiqY


#696 [るか]
>>601-700

⏰:08/07/26 09:07 📱:SH705i 🆔:k4IRwc4I


#697 [東脂ヤ転
「ー・・・ッ・・・明!!」

その時、誰かが俺の名を呼び、凄い力で俺を引き上げた。
突然腕を引かれたせいで、俺は一瞬その場によろめく。

「好きでも無いヤツと・・・ッハァ・・・ッキスなんかすんな!!このどアホ!!」

聞き覚えのある声に怒鳴られて、俺は思わず泣きそうになる。

「圭・・・吾・・・?」

俺の腕を掴んで乱れる息を整えているのは、確かに圭吾だった。

⏰:08/07/26 12:24 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#698 [東脂ヤ転
「ハァッ・・・ほな・・・帰るで」

「・・・は!?」

まだ状況が掴めていない俺を差し置いて、圭吾は俺の手を引き歩き出す。
「ちょ・・・ッ・・・圭吾!!」

俺の言葉に反応する様子も無い圭吾はどんどん速度を上げていく。

横目で大和に目をやると酷く寂し気に、でも何故か呆れたように笑っているのが分かった。

そのうち公園からも離れて行き、黙々と歩き続ける圭吾に俺は引っ張られるカタチで歩いている。
その間俺は気が気じゃなかった。

[何で・・・追いかけて来たんだよ圭吾・・・]

⏰:08/07/26 12:36 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#699 [我輩は匿名である]
圭吾かっこよす

⏰:08/07/26 13:48 📱:D705i 🆔:jiq/OXbw


#700 [東脂ヤ転
>>583

「邪魔するで」

散々歩いてたどり着いた所はマンションではなく壱の店だった。

中に居た何人かの客は驚いて俺達を見る。
それに対して壱は何故か嬉しそうに笑っている。

「はいはい、奥の部屋をお使い下さい」

ワザとらしく改まった言い方をすると、壱は奥の部屋へと俺達を促した。

「イッチー・・・ありがとな」

圭吾が小さくそう壱に呟くと、壱は今までで一番の笑顔を俺達に向けた。
「明、こっち・・・

圭吾に軽く背を押された俺は、重い足を動かし部屋に入る。

⏰:08/07/27 12:29 📱:W52P 🆔:☆☆☆


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