馬鹿だらけ(BL)
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#101 [生茶]
「…どこ気持ち良い?」
「え…ってかやっぱ69にしない?何か恥ずかしい…」
「へー…吉田でも恥ずかしいことあるんだ…」
結局全裸になることにした。俺が下、吉田が上になってやることになった。
「手使ってもいいよね?」
「うん」
吉田に許可をもらって、舐めるより先に手で擦ることにした。

⏰:08/04/08 23:57 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#102 [生茶]
吉田の口に、俺のモノが入り込む。吉田はそのまま頭を上下に動かした。歯にはあまり当たらず、心地よい快感が生まれる。
俺はとにかく、先っぽを舐めながら、手で擦った。
「あっ…よし、だ…」
俺のモノが吉田の口の奥まで突き進む。ゾクゾクと鳥肌がたった。俺も負けじと手で快感を与えていく。
「ん…んぅ…」
俺のをくわえたまま、吉田が声を漏らした。腰がわずかに動いた。

⏰:08/04/09 00:07 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#103 [生茶]
私語入ります

ちょっと放置してごめんなさい
今日からまた少しずつ更新していきたいと思います!!

⏰:08/04/11 21:56 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#104 [生茶]
少しやりにくいけど、とにかくたくさん擦ってみる。その度に吉田は俺のモノを舐めている舌を止めて声を漏らした。
「仲村…出る、かも」
「え、あ…」
ここで出されたらさすがに部屋が汚れてしまう。てことは…
「ん、あぁ…っ!!」
勢い良く放たれた液体を、考える暇も無く俺は口で受けとめた。

⏰:08/04/11 22:04 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#105 [生茶]
口の中に温かいドロッとした液体が流れ込む。
「はぁ…あ、仲村…」
「ん…」
起き上がって、俺は口を両手で押さえた。どうしても飲み込めない。やばい、吐き気がしてきた。
俺が涙目で無理だ、とサインを送ると、吉田は慌てた。
「え…っと、吐く?」
「んんん」
「飲む?」
「んんん」
「分かんねぇよ、ちょ、ちょっと待ってろよ」
俺は吉田の助けを借りて、口の中の液体を全て吐き捨てた。

⏰:08/04/11 22:12 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#106 [生茶]
「大丈夫?」
「あ"ー…不味い。吐きそうになった」
俺はげっそりした顔で吉田を見た。吉田は少し笑って謝った。
「じゃぁ…今日は玩具を用意してみました!」
吉田は机の上からペンを取り出した。ホワイトボード用の太い大きなペンだ。
「じゃーん、ペン」
「へ?」
「あと今日はちゃんとローションもあるよ」
「え、ペンは?」
「慣らすために?」

⏰:08/04/11 22:17 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#107 [生茶]
「えっ、ペン入れんの!?」
「ちょうど良い太さじゃない?昨日見つけた。俺天才じゃね?」
「いや…」
とりあえず俺はまた、四つんばいになった。穴にローションが塗られるくすぐったさに我慢できなくて、途中で塗るのを止めてしまった。
「じゃ、ペン」
「…」

⏰:08/04/11 22:21 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#108 [圭]
可愛いあげっ

⏰:08/04/12 00:55 📱:913SH 🆔:t.maBma.


#109 [生茶]
圭さん

可愛いですかっ
ありがとうございます
上げて下さってありがとうございます!

⏰:08/04/14 00:09 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#110 [生茶]
ペンは、ローションに滑りながら穴へと入り込んできた。親指2本分ぐらいの太さのペンだったが、俺の穴は簡単にくわえこんだ。
「結構普通?」
「うん」
「じゃーこんなんは?」
吉田は、穴に刺さったペンを、水音がするぐらい激しく出し入れさせた。
「…ん、良いかも…」
一度吉田のモノをくわえこんだ穴だし、これぐらいの太さのモノは良い快感になる。

⏰:08/04/14 00:19 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#111 [生茶]
2、3分その状態が続いたけど、吉田は疲れたと言って、止めてしまった。
「慣らす…とかいらなかったんじゃない?」
「うー…ん」
俺が聞くと、吉田は唸った。
「でもお前、いきなり入れたら痛いだろ?」
「ローションあるし…」
「平気?」
念を押すように吉田は何度も聞いた。どうやら俺のことを心配しているらしい。

⏰:08/04/14 00:23 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#112 [生茶]
俺が強めな声で大丈夫、と言うとようやく吉田はゴムを着けて、やる気になった。
「じゃ、入れるよ」
「うん」
もう緊張はしていない。吉田を求めるだけだった。
ローションのおかげでスムーズに入り込み、奥まで入り込んだところで止まった。
「あんまり声出すなよ、母ちゃんいるから」
「分かってるって」
吉田はゆっくりと腰を振り始めた。

⏰:08/04/14 00:29 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#113 [生茶]
結合部でローションがぐちょぐちょと音を立てている。吉田が加速させると共に、その音も激しく、一層卑猥な音に聞こえて、恥ずかしくなった。
「ん…っ」
吉田が少し向きをずらすと、気持ちの良い場所を突いた。息が突然荒くなった。そこばかり攻めるもんだから、俺は頭がおかしくなりそうだった。
そういえば俺のモノの下には、大きなビニール袋が広げてある。…そこに出せというわけか。

⏰:08/04/14 00:38 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#114 [ま]
>>1-100

⏰:08/04/14 00:38 📱:D705i 🆔:/X87qweQ


#115 [生茶]
○私語入ります○

長らく放置してしまって申しわけありません!!
また、少しずつ再開していきたいと思いますので、宜しくお願い致します><

⏰:08/04/27 12:56 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#116 [生茶]
吉田の家は一軒家で、吉田母は1階のリビングに、俺たちは2階の部屋にいる。怪しげな物音はたてられないし、声だって出せばバレる可能性がある。
こんなにスリルな体験は、小学校の修学旅行の夜に、女子の部屋へ呼ばれて、友達と一緒に潜り込んだ時以来だ。あの時は結局見つかって先生にこっ酷く叱られたけど。
「吉田…ぁ、そこ…」
「気持ち良い?」
「う…」

⏰:08/04/27 13:01 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#117 [生茶]
頭に血が昇っていくのが分かる。だんだんと柔らかな快感に包まれていく。それと同時に、穴が吉田のモノを締め付ける。
吉田がほとんど喋らなくなって、行為が激しくなってきた。俺の呼吸も荒く、苦しくなってくる。
「んっ…!」
吉田が、俺の中で脈を打った。同時に、俺は奇妙なものを感じた。

⏰:08/04/27 13:06 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#118 [生茶]
俺はまだ絶頂に達していないけれど、吉田はズルリと自分のモノを引き抜いた。
「あれ…」
「え?」
「ゴム破けてる」
「えっ?」
俺は吉田の方を向いて、まじまじと破けたゴムを見つめた。さっきの変な感覚は、吉田が放った液体が、中に流れ込んだことによるものだった。
「うわー…」
「中出しだ!」
「ふざけんなよー…」
俺は苦笑いで吉田は悪気の無いような笑いだった。

⏰:08/04/27 13:10 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#119 [生茶]
「腹壊すかもな」
「受験前じゃなくて良かったよもう」
「まさか破けるとは思わなかった」
「俺も」
吉田は自分のモノをティッシュで拭いて、破けたゴムをさっきまで俺の下にあったビニール袋の中に入れた。
「あっ、お前まだイってないな」
「あ、うん」
「イかせてやろうか?」
「どうやって?」
「んー…手動で」
「手動…」
とりあえず、溜まったものを全て吐き出すことにした。

⏰:08/04/27 13:15 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#120 [生茶]
吉田が俺の後ろへ座る。俺も座ったままだ。
そういえば、初めて俺の家でやった時も(あの時はセックスはしてないけど)、こんな体勢だったと思う。
「お前ビニール持ってろ。中に出せよ」
「分かってるってば」
吉田が俺のモノを握る。そしてそのまま擦り始めた。
破れたゴムが入ったままのビニール袋の中から、あの独特な匂いがする。少し…不快…かもしれない。

⏰:08/04/27 13:20 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#121 [生茶]
さっきの吉田との行為で、俺のモノからは少しだけ液体が漏れ出していた。そのせいでやたらと水音がする。
「お前女子に生まれてたら淫乱だったかもな」
俺は、そんなことはない、と笑って言ったけど、頭の中でそれを想像してみると、ドSな吉田にあれやこれやされて、頭がおかしくなるぐらい喘いで快感を求める自分がいた。
吉田なら…いいかもしれないと思った自分が、もう既に淫乱になりそうな気がして寒気がした。

⏰:08/04/27 13:26 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#122 [生茶]
「あ…吉田、イきそう…」
腰が浮いてきて、頭がぼーっとする。俺はすぐにビニールを近くに寄せた。
「いっ…ぁ…っ!」
一気に、押し寄せていた快感が外へ放たれた。それはビニールの中にきちんと収まった。
「耳真っ赤」
「うっせ…」
確かに顔が燃えるように熱い。
「そういや今母ちゃんいるから水道使うの気まずいな」
「あぁ…」
俺は、俺の放った液体が付いた吉田の手を見た。
「まぁ…ドンマイだよね!」
「俺にこれで生活しろって言うのか」
「人生色々だよそういうこともあるだろ」

⏰:08/04/27 13:35 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#123 [生茶]
とりあえず、喚く吉田を置いて、俺は家に帰る事にした。
帰り際に、俺は吉田から紙袋を受け取った。家に帰ってから開けろと言われていたけど、何が入っているんだろうとワクワクしながら、帰り道に開けて入っていた物を手に取ってみると、それはコンドームだった。しかも、十数個ある。
受験の合格祝いがコンドームとは…
俺は手に持っていたコンドームを慌てて紙袋にしまって、なるべく変なことを考えないように、家まで走って帰った。

⏰:08/04/27 13:44 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#124 [生茶]
あれから1ヶ月もしないうちに、卒業式を迎えた。
朝学校に登校すると、いつもよりかっこよくきめた先生や、着物姿の美しい先生が慌しくしていた。あちらこちらでカメラのフラッシュが光り、目が眩しい。
教室に入ってもフラッシュの光が絶えない。
「仲村ー写真撮ろーぜ!」
河合がカメラを持って俺に手招きする。女子たちも数人集まっている。
他のクラスからも集まって、教室内は、かなり賑やかだった。もう二度と集まることが無いメンバーで、写真をたくさん撮った。

⏰:08/04/27 13:54 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#125 [生茶]
「相田ー!」
廊下に、探していた人影を見つけて、俺は大声で呼んだ。
「写真!」
相田は、その瞬間笑顔になって走ってきた。
俺は、吉田と相田と、3人で写真を撮った。まるで女子みたいにはしゃいでいた。

⏰:08/04/27 14:02 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#126 [生茶]
式が始まって、合唱の時から退場にかけて、すすり泣く声があちこちから聞こえてきた。
退場の後は、校門の前辺りに集まって、個人の時間を過ごした。
これで、会うのが最後になる人もいるし、これからもどこかでばったり会うかもしれない人もいる。俺はあまりそういうことは気にしないけれど、吉田と相田と、これからもずっと会えるかどうかだけが気になっていた。
「仲村」
吉田が俺を引きとめて、俺に折りたたまれた1枚の紙を差し出した。開いてみると、どこかの見慣れない住所が書いてあった。

⏰:08/04/27 14:12 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#127 [生茶]
「俺、引っ越す」
「え…」
「ごめん、今まで言えなかった」
俺は驚いて、悲しくなって、何を言えばいいか分からなかった。
「それ、俺の住所だから、たまにはメールじゃなくて手紙でも送ってくれよ」
そう言って吉田は笑った。
「ちょっと待てよ、高校は?」
「実はそっちの県の高校を受験してた。ややこしくなるから言わなかっただけ」
「何だよ、会えないじゃん」
「会えるってまた」
俺は吉田に抱きつきたかったけど、人前ではさすがに出来なかったから、手を差し出した。吉田も手を差し出して、握手をした。

⏰:08/04/27 14:19 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#128 [生茶]
その後は、笑って別れた。家に帰ってから泣いた。改めて、卒業を実感した。

また会うことになったのは、それから2年が過ぎた頃だった。
家に一本の電話が入った。その時俺は家にいなかったから、母さんが出た。夜、俺が家に帰ってくるなり、母さんが玄関に走ってきた。
「相田君、亡くなったんですって」
高校2年の夏休みのことだった。

⏰:08/04/27 14:30 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#129 [生茶]
相田の葬式は、すぐに行われた。
中学時代の友達や、相田の通っていた学校の人も来ていた。
受付を済ませてうろうろしていると、後ろから声を掛けられた。
「仲村?」
「…吉田!」
再会したのは、すごく嬉しいことだったけど、相田のことを考えて、控えめにするようにした。
「相田…」
「…」
吉田が口を開いた。けれど、そこから沈黙が続く。
「悪化したんだな」
「うん」
「俺、この間メールしたばっかだよ」
「うん」
吉田の母と、俺の母さんが話をしている。俺たちの親同士も、仲が良いのだ。

⏰:08/04/27 14:36 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#130 [生茶]
「相田、1週間後に部活の合宿があるんだ」
「うん」
俺は俯き加減に返事をした。さっきから、「うん」しか言っていない。それでも吉田は、喋りつづけていた。
横ですすり泣く音が聞こえた。横目で見てみると、吉田の母がハンカチを口に押し当てて涙を流していた。俺の母もそれにつられるようにしてすすり泣く。
「相田、体弱いくせにバスケ部なんて入るからだ」
「…うん」
式が始まってから、相田の遺影が目に入った。とても楽しそうに笑っている。急に、卒業式の日のことを思い出した。俺が写真を撮ろうと相田を呼んだ時の笑顔。
じわじわと悲しみが込み上げてきた。

⏰:08/04/27 14:43 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#131 [生茶]
焼香の時、俺は吉田の隣に並んだ。2人で相田の前に立ち、相田の両親にお辞儀して。相田の遺影を見るたびに、俺は泣きそうになった。
焼香を済ませて、食べ物の並んだ部屋に案内された。しかし、食べ物には手をつけず、俺は吉田と相田の話をしていた。
「ほら」
と、吉田はケータイの画面を俺につきつける。受信メールが開かれていて、そこには、「相田敏」という名前があった。
『俺バスケ部入ったんだ〜!今度合宿あるんだよ。楽しみ〜』
『そういや仲村元気?あいつのことだから、元気なのかな〜馬鹿は風邪引かないって言うし(笑)』
『えっ引っ越したの!?何だよ、教えてくれれば良かったのに!』
俺は受信メールを次々に読んだ。どれも相田らしいメールばかりだった。俺が最後に相田とメールしたのは、多分高校入ってすぐのことだ。話したいことは、山ほどあったのに。

⏰:08/04/27 14:52 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#132 [生茶]
「翔、食べなさいよ」
母さんが俺に言った。けれど俺はケータイの画面にくぎ付けで、後に言われた事はほとんど覚えていない。
「相田、バスケなんて興味あったっけ」
「あいつ体育の授業はバスケとサッカーは張り切ってた」
「そう…」
俺も、自分のケータイを開いて受信箱を開いたけれど、そんなに昔のメールはもう残っていなかった。
「俺、相田ともっとメールしたかった」
ケータイを閉じて震える声で言った。吉田も俯いていた。

⏰:08/04/27 14:58 📱:PC 🆔:.LrsNQDo


#133 [圭]
これリアルで好きあげます

⏰:08/04/27 17:45 📱:913SH 🆔:9e3d8.3Q


#134 [生茶]
○圭さん

ありがとうございます><*
皆さんに気に入られるような小説を書きたいと思っています!

⏰:08/05/01 20:25 📱:PC 🆔:8kkbzJOM


#135 [生茶]
不意に、相田に突然告白されたことを思い出した。
あの時の俺は、色々と勘違いをしていて、相田を傷つけてしまった。俺が冷静でいたなら、もう少し他に方法があったはずだ。
「…謝りたい」
「?」
「俺、相田にもう少し優しくすれば良かった」
「…」
ごめん、ごめん、と何度も心の中で相田に謝った。しかし、心の中にいる相田は、こちらに背を向けていた。

⏰:08/05/01 20:29 📱:PC 🆔:8kkbzJOM


#136 [生茶]
心の中でいくら呼びかけても、相田はこちらを向かない。
小学生の頃、相田と何か大喧嘩をした覚えがある。あの時は相田の方から謝ってきたけど、それまでは俺が呼んでも無視をして他の所に走り去った。今も、相田は俺に背を向けたままどこかへ行こうとしている。いや、もう俺たちの手の届かない場所へ行ってしまった。相田は帰って来ない。
「幽霊になってでもいいから、帰って来てほしいね」
吉田はそう言って、テーブルの上に並んでいる食べ物に手を伸ばした。

⏰:08/05/01 20:33 📱:PC 🆔:8kkbzJOM


#137 [生茶]
「相田が会わせてくれたのかもな」
外へ出て、街灯に集る蛾たちを目で追いながら、吉田が呟いた。
「何で?」
「や、別に何となく言ってみただけ」
「そう…」
幽霊になってでもいいから。せめてもう一度。
「いなくなるってこういうことなんだね」
「?」
俺は今まで、物心ついたあたりからは身内が亡くなったことは無いし、ペットだって飼っていなかった。友達が亡くなるようなことも無かったから、身近な生き物が死ぬということを、あまり体験した事が無かった。

⏰:08/05/04 17:59 📱:PC 🆔:84FyVaTM


#138 [生茶]
俺の目の前を、1匹の蚊がジグザグと飛びながら近寄ってくる。俺の腕にとまった蚊は、躊躇いも無く俺の血を吸い始める。それを俺はただじっと見ていた。
そういえば、俺は今まで何匹の蚊を叩き潰してきただろう。何匹の蟻を踏み潰してきただろう。
血を吸って満腹になった蚊は、よろよろと飛び去って行く。蚊に刺された腕は、徐々に痒みを訴えた。
「幽霊になってでも、いいから…」
「…」
言葉が続けられず、そのまま俺は泣いた。

⏰:08/05/04 18:13 📱:PC 🆔:84FyVaTM


#139 [生茶]
「今夜、吉田さんたち泊めてもいいかな?」
「えっ?」
屋内に入るなり、母さんが俺にそう言った。
「こんなに時間がかかるとは思わなくてね、これじゃ帰るの大変だから、って」
「あぁ、まぁいいけど…」
「祐太くんには吉田さんが今言いに行ったから」
「うん」
吉田と、夜を過ごすことになるとは思わなかった。

⏰:08/05/04 18:20 📱:PC 🆔:84FyVaTM


#140 [生茶]
俺と吉田と相田の家は、小さい頃から仲が良い。だから、お互いに第2、第3の家みたいな感じだった。今回もそのせいだろう。
「うわぁ久しぶりだなぁ」
吉田は俺の部屋を見回しながらそう言った。
「もう2年経つからな」
散らばった夏休みの課題やら雑誌やらをまとめながら返答した。
「2年経っても部屋の汚さは変わってないな」
「うるせぇな」
吉田は楽しそうに笑いながら、俺のベッドに横たわった。

⏰:08/05/04 18:31 📱:PC 🆔:84FyVaTM


#141 [生茶]
「彼女できた?」
俺が吉田の隣に座ると、吉田が唐突に聞いてきた。俺は何も考えず、いないよと言った。
「さらば青春って感じだな」
また吉田がケラケラと笑う。俺もつられて笑った。
「そっか、まぁ俺もいないけど。お前で十分!」
そう言いながら、吉田は俺に抱きついてきた。

⏰:08/05/04 18:38 📱:PC 🆔:84FyVaTM


#142 [生茶]
「やりたい…」
吉田が抱きついたまま言った。
「駄目だよ、相田が…」
「相田…には悪いけど、俺はお前が好きで、お前は俺が好きなんだろ?相田はどこにも入ってないじゃん」
「何だよそれ。相田だけ仲間外れじゃんか」
「相田相田って言っても、もう帰ってこないよ…。なぁ、もういないんだよ」
俺は妙に腹が立った。
「吉田がそんなこと言うとは思わなかった」
「な、何だよ。でもいつまでも相田に気を配ってなんかいられないだろ」
怒りと悲しみが入り混じる。
「いなくなったって、相田は…」

⏰:08/05/04 18:42 📱:PC 🆔:84FyVaTM


#143 [生茶]
「もういい」
「…」
「はっ…なせ!」
黙ったまま固く抱きつく吉田を強引に引き離し、部屋を出ようとする。
「どこ行くんだよ」
後ろで吉田の声が聞こえる。でも俺は何も言わず、部屋を出た。

⏰:08/05/05 18:42 📱:PC 🆔:WkkIwbDs


#144 [生茶]
その日は、吉田は俺の部屋で寝た。でも俺たちは一言も喋らなかった。
俺は朝早くから部活に出かけ、吉田家は俺が帰って来る前に家を出た。
非常に腹が立っていた。相田はもういないんだから俺とやれ、冗談じゃない。何でそんなに相田を他人扱いできるんだ。
俺は部屋で一人、相田との思い出を頭の中で再生した。何度も、何度も楽しかった思い出を再生した。

⏰:08/05/05 18:48 📱:PC 🆔:WkkIwbDs


#145 [生茶]
相田はもういない。けど、思い出は消えない。と、どこかで聞いたような言葉を思い出した。確かにその通りだった。相田とは、思い出の中でいつでも会えた。

⏰:08/05/05 18:53 📱:PC 🆔:WkkIwbDs


#146 [生茶]
相田は、俺のことをどう思っていただろう。親友、と思ってくれていただろうか。それとも、俺に見せたあの笑顔の数々は、偽りのものだったのだろうか。
頭の中で、物事は悪い方向へと進んでいた。

⏰:08/05/05 22:27 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#147 [生茶]
時間は、平凡に過ぎ去っていった。俺は高校を卒業し、大学生になった。既に一人暮らしを始めて2ヶ月になった。時々、母さんから差し入れが届いた。

⏰:08/05/05 22:30 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#148 [生茶]
大学から帰宅し、電気を付ける。いつも同じ動作を繰り返していた。
決して住心地の良いアパートとは言えない。日当たりもあまり良くないし、隣の部屋からは、毎晩酒に溺れた夫が妻と口喧嘩をしているのが聞こえる。

⏰:08/05/05 22:36 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#149 [生茶]
そんな夜、帰宅した俺は、机の上のプリントに紛れていた1枚の写真を見つけた。
それは、あの日、あの3人で撮った写真。そう。俺と吉田と相田の最後の写真。
何でこんな所にあるのだろう。不思議でたまらなかった。

⏰:08/05/05 22:39 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#150 [生茶]
俺は机の前でその写真を暫く見つめていた。
その写真があった場所を見てみても、他に写真は無かった。不思議だった。

⏰:08/05/05 22:42 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#151 [生茶]
3人の無邪気な笑顔を見ているうちに、俺は吉田とのことを思い出した。そういえば、あの時喧嘩したまま、連絡をとっていない。まだ、怒っているだろうか。

⏰:08/05/05 22:44 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#152 [生茶]
いや、違う。
俺が怒ったんだ。吉田は俺が欲しくてたまらなかっただけだ。
写真を机の上の目立つ所に置いて、その日は物思いにふけった。

⏰:08/05/05 22:47 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#153 [生茶]
ある日、俺はあの写真を持って、ある場所へ向かった。
他に特に持つ物は無く、必要な物だけをカバンに詰めて電車に乗った。

⏰:08/05/05 22:49 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#154 [生茶]
「あら、翔じゃないの」
「久しぶり」
まず着いたのは、実家。母さんが驚いた顔で迎えてくれた。連絡も何もしていなかったからだ。
「なぁに?お金に困ったの?」
少し久しぶりのリビングでくつろいでいると、母さんが笑いながら言った。

⏰:08/05/05 22:56 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#155 [生茶]
「違う違う」
母さんが持って来てくれたお茶を飲みながら、俺も笑う。
「ちょっと教えて欲しいことがあるんだけど」
「何?」

⏰:08/05/05 22:57 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#156 [生茶]
俺は母さんから、メモ用紙に書かれた手書きの地図を貰って、再び出掛けた。
「いってらっしゃい」
母さんが玄関で手を振った。
俺はメモ用紙を片手に、次の目的地に向かった。

⏰:08/05/05 23:00 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#157 [生茶]
目的地は、実家からそんなに遠くもない場所にあった。
敷地に入ってからは、記憶を頼りに歩いた。人はあまり来ていなかった。

⏰:08/05/05 23:02 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#158 [生茶]
前方に、男がいる。顔はよく見えない。しかし俺には、一目で誰だか分かった。
俺は相田の墓の前で立っている男に近寄る。

⏰:08/05/05 23:04 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#159 [生茶]
「吉田」
男はゆっくりこちらを向いた。まるで、俺が来ることを知っていたかのように。
「相田が会わせてくれたんだよな」
「うん」
吉田が、懐かしい笑みを浮かべた。俺もつられて笑う。

⏰:08/05/05 23:07 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#160 [生茶]
「久しぶり」
「久しぶり」
吉田が右手を俺の前に出した。俺も右手を吉田の右手に組ませる。卒業式の日と同じように、握手を交わした。
「相田が、俺らに仲直りしてほしかったんだ。幸せになってほしかったんだ」
吉田が言った。

⏰:08/05/05 23:11 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#161 [生茶]
「あの時はごめん」
「俺の方こそごめん」
お互いに謝った。
「ずっと好きだった。いや、愛してる」
「俺も。吉田を愛してる」

⏰:08/05/05 23:15 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#162 [生茶]
相田のくれた奇跡を、俺たちは笑顔で受けとめているよ。心から感謝してるよ。相田もきっと、天国で笑っているだろう。
俺たちは今、あの写真のように、3人で笑っている。そんな気がする。

終わり

⏰:08/05/05 23:20 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#163 [生茶]
私語

これで、この小説は完結致しました。
今まで読んで下さっていた皆様、ありがとうございました!!

途中から内容がガラリと変わってしまったので、BLを期待していて下さった方には大変申し訳ないです

⏰:08/05/05 23:25 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#164 [生茶]
私語

そのうちまた、新しい小説を書きたいと思っています。書く力がついていないうちは大変見苦しいものになるのですが…

それでは

⏰:08/05/05 23:29 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#165 [りゅう]
すごいよかったです
感動しました


主サンお疲れ様です

⏰:08/05/06 01:29 📱:D705i 🆔:vRHMSvvw


#166 [生茶]
○りゅうさん

読んでいて下さってありがとうございます^^
感動して下さいましたか!それは嬉しい事です!

⏰:08/05/06 18:51 📱:PC 🆔:zh79iqXM


#167 []
感動です

⏰:10/02/07 18:53 📱:SH01B 🆔:axv19xeU


#168 [我輩は匿名である]
>>1-60
>>61-120
>>121-170

⏰:10/02/18 04:55 📱:S001 🆔:2AsXEtLw


#169 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑a

⏰:22/11/03 22:07 📱:Android 🆔:DPKzmpdw


#170 [わをん◇◇]
>>140-170

⏰:22/11/03 22:10 📱:Android 🆔:DPKzmpdw


#171 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:22/11/03 22:10 📱:Android 🆔:DPKzmpdw


#172 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑(∩゚∀゚)∩age

⏰:22/12/26 23:40 📱:Android 🆔:K0o6YEWM


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