双子の秘密
最新 最初 🆕
#1 [ゆーちん]
マイペース更新ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいm(__)m

>>2 アンカー・感想板
>>3 前作

⏰:08/12/07 22:47 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#2 [ゆーちん]
>>1-100
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感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4098/

⏰:08/12/07 22:48 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#3 [ゆーちん]
本当にあった×××な話
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9487/f

⏰:08/12/07 22:49 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#4 [ゆーちん]
◇◆◇◆◇◆◇

斗羽に無いもの

◇◆◇◆◇◆◇

⏰:08/12/07 22:50 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#5 [ゆーちん]
双子ってね、面倒だよ。


『同じ顔だ〜!』って指さされて笑われるのが嫌い。


名前が似ているから『どっちが斗美(トミ)で、どっちが斗羽(トワ)だっけ?』って聞かれるのが嫌い。


『斗羽は頭がいいのに、斗美はサッパリなんだね。』とバカにされるのが嫌い。


双子なんだから何もかも同じだと思わないでよ。


比べないで。

⏰:08/12/07 22:51 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#6 [ゆーちん]
たった数分早く産まれたから私が姉で、斗羽が妹。


頭悪くて、運動神経なくて…他にも言い出したらキリがないよ。


こんな出来の悪い姉、斗羽も恥ずかしいでしょ?


いつしか私は自分自身を嫌うようになっていた。


顔や体格、声や仕草も同じな斗羽も嫌いになっていた。

⏰:08/12/07 22:52 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#7 [ゆーちん]
私は私なんだ。


双子だからって斗羽と比べたりなんかしないで。


あれは小学校6年の時。


私は耳に穴を開けてやった。

⏰:08/12/07 22:52 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#8 [ゆーちん]
ママに叱られた。


『何考えてるの?』って。


『いつまでも斗羽と一緒は嫌だから。』って答えてやった。


「消毒とか…ちゃんとしなさいよ。腫れたりすると大変だから。」


ママはそれ以上、何も言わなかった。

⏰:08/12/07 22:56 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#9 [ゆーちん]
おかげさまで腫れたりなんかしなかった。


両耳にキラキラ光るものが輝いている。


斗羽には無いもの。


嬉しくて嬉しくて、これをきっかけに私は斗羽には無いものを求め始めた。

⏰:08/12/07 22:57 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#10 [ゆーちん]
私だけの洋服や鞄、靴下に下着。


小学生らしい斗羽への反発だったが、中学に上がった途端に桁が変わった。

⏰:08/12/07 22:58 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#11 [ゆーちん]
斗羽には無い明るい髪色。


斗羽には無いフワフワのパーマヘア。


斗羽には無い化粧っ気。


斗羽には無いスカートの短さ。


斗羽には無い恋人への甘える声。


出来のいい姉妹へ反発する子のお決まりのコース。


とにかく斗羽と私は違うんだって事を表現したかった。

⏰:08/12/07 22:58 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#12 [ゆーちん]
だけど斗羽も女だ。


髪を明るくしたり、髪を巻いたり、化粧をしてスカートを短くしたり…彼氏を作ったり。


斗羽から逃げたかったのに、簡単に追い付いた。


いや、追い越されたのかもしれない。

⏰:08/12/07 22:59 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#13 [ゆーちん]
可愛くて、頭がよくて、スポーツできる女がモテない訳ない。


男にも女にも好かれちゃってさ。


斗羽が嫌い。


羨ましいから嫌い。


ただの嫉妬。


わかってる。


私は出来損ないの姉なんだ。

⏰:08/12/07 22:59 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#14 [ゆーちん]
◇◆◇◆◇◆◇

斗美に有るもの

◇◆◇◆◇◆◇

⏰:08/12/07 23:00 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#15 [ゆーちん]
いつからだろうね。


双子が面倒臭いって思ったのは。


数分早く産まれた姉の斗美は、私よりたくさんの友達がいる。


人見知りしてしまう私と違い、すごく社交的。

⏰:08/12/07 23:01 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#16 [ゆーちん]
「斗美は誰とでも仲良くなれるのに斗羽は消極的ね。」


周りによく言われた言葉。


そんな事言われたって…自分でもこんな性格嫌なんだもん。


勉強ができたって、スポーツができたって…人としての経験値が少ないので意味がないよ。

⏰:08/12/07 23:02 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#17 [ゆーちん]
小学6年生の時、斗美がピアスの穴を開けた。


ママは驚き、斗美を叱ってたが怯むどころか反発していた。


何て言ってたのかは聞こえなかったけど、斗美がママに言い返すとママは諦め顔で戻ってきた。

⏰:08/12/07 23:02 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#18 [ゆーちん]
「斗美はいつも思い切った事をするんだから。困るけど…それも個性よね。」


そう言ってママは自分を納得させていたんだ。


「斗羽も、もう少し何事にも積極的になってくれたら…斗美が浮かなくて済むのにね。」


悲しい笑顔でママがそう言った事、今でも忘れない。

⏰:08/12/07 23:03 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#19 [ゆーちん]
斗美と比べないで。


私だってわかってるんだから。


だけど治せないんだもん、仕方ないじゃない。


斗美のようになればいいの?


そうすれば友達がたくさんできて、ママを悲しませなくて済む?

⏰:08/12/07 23:04 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#20 [ゆーちん]
そう思っていた中学1年生。


斗美がどんどん離れて行った。


『おはよう』とリビングに現れた斗美は、昨日までの私の姉じゃない。


別人だった。


茶色く明るい髪にフワフワとした可愛らしいウェーブ。


化粧をして、スカートなんてパンツが見えそうなくらい短かった。

⏰:08/12/07 23:04 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#21 [ゆンな(´Д`)]
おもろい

⏰:08/12/07 23:05 📱:P703imyu 🆔:F3/hKzKw


#22 [ゆーちん]
「斗美!何なのその格好!」


ママは叫んだ。


「何って?」

「何の真似よ!」

「真似?真似なんかしてない。斗美だよ。私は斗美。」


斗美は冷静に答えた。


普段から物静かなパパは言った。


「少し派手過ぎないか?」

⏰:08/12/07 23:06 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#23 [ゆーちん]
斗美の目は力強かった。


化粧のせいかな?


いや、違う。


瞳が力強く、パパに言い返していた。


「派手だろうが地味だろうが、私は私なの。人と比べないで!私の人生なんだから…好きに生きたい。」


パパは『そうか。』と言っただけ。

⏰:08/12/07 23:07 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#24 [ゆーちん]
そのあとママは斗美を叱っていたが、斗美は聞く耳を持たなかった。


学校に行くと随分騒がれていた。


斗美は『可愛いね。』と言われるのが嬉しく、すごく喜んでいた。

⏰:08/12/07 23:07 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#25 [ゆーちん]
「斗美のパーマ可愛いね。」


…知らないよ。


「斗美は可愛くなったのに、斗羽は何もしないの?」


…ほっといてよ。


「一気に斗美に差、つけられたな!」


…わかってるよ。


「斗羽も、斗美みたいに化粧とかすれば?」


…。

⏰:08/12/07 23:08 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#26 [ゆーちん]
それから私は斗美に近付くのに必死だった。


斗美みたいになれば、もっと社交的になれる?


積極的になれる?


斗美と比べられなくなる?

⏰:08/12/07 23:09 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#27 [ゆーちん]
貯めていたお年玉を使い、髪を染めてコテや化粧品を買った。


ふと、斗美の貯金箱を持ち上げる。


この貯金箱には斗美のお年玉貯金が詰まっていた。


…軽い。


きっと斗美もお年玉貯金で可愛く変身したんだね。


私も、斗美みたいになりたいよ。

⏰:08/12/07 23:09 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#28 [ゆーちん]
いつの間にか、斗美に近づけていた。


『斗羽と付き合いたい。』と名前の知らない同級生から言われた時、やっと斗美に近づけたんだと実感できた。


見た目を真似る事しかできなかった私だけど、その彼に『斗羽は斗羽だよ。斗美ちゃんとは違う。』と言われた時、嬉しくて涙が出た。

⏰:08/12/07 23:10 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#29 [ゆーちん]
斗美と比べなかった彼を心から感謝した。


そうだよね。


私は斗美とは違うんだ。


積極的になれないのも、人見知りする性格だって個性だよ。


私は斗美とは違う。

⏰:08/12/07 23:11 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#30 [ゆーちん]
◆◇◆◇◆◇◆

キリがいいので
今日はここまで

>>21ゆンなさん
ありがとうございます

>>2

◆◇◆◇◆◇◆

⏰:08/12/07 23:12 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#31 [ゆンな(´Д`)]
おつかれさま
最新楽しみにしてます

⏰:08/12/07 23:18 📱:P703imyu 🆔:F3/hKzKw


#32 [ゆーちん]
◇◆◇◆◇◆◇

>>31ゆンなさん
はい、今から更新します

◇◆◇◆◇◆◇

⏰:08/12/08 17:26 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#33 [ゆーちん]
〔斗美〕


中学校は義務教育だから頭が悪くても進学はできる。


頭脳は小学生レベルなのに、体は中学2年生になっていた。


いや、中学2年生以上?

⏰:08/12/08 17:27 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#34 [ゆーちん]
「アッ、アッ…いい…ンンッ…」


月日が経てば髪が伸びて根本が黒くなる。


パーマも取れるし、化粧品だってどんどん良い物が欲しくなる。


私服だって、いくらあっても物足りない。


いつまでもママが買って来る斗羽とお揃いの私服なんか着てられないっつーの。

⏰:08/12/08 17:27 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#35 [ゆーちん]
こうやってお金をくれる人と気持ちいい事するだけで、たくさんの欲しいものが手に入ると知ったのは中1の終わり。


春休みは友達と夕方まで遊んでから、夜になるといつもこうやってお金を稼いだ。


おかげで春休みの間に笑えるくらいお金持ちになった。


『中学生とは思えないな。』とお客さんに言われるたびに、私は斗羽より大人っぽいんだと嬉しくなった。

⏰:08/12/08 17:28 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#36 [ゆーちん]
ガチャ…


家に帰り、玄関を開けるとリビングから笑い声が聞こえた。


斗羽とママだ。


私は忍び足のようにソーッと廊下を歩き、リビングの扉の前で盗み聞きをした。

⏰:08/12/08 17:29 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#37 [ゆーちん]
「じゃあ今度連れて来なさいね。」

「うん…でも、やっぱ恥ずかしいな。」

「何言ってんの!ご馳走作るわ!」

「何でママがそこまで張り切るのよ〜。」


どうやら斗羽と彼氏の話をしていたらしい。

⏰:08/12/08 17:29 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#38 [ゆーちん]
ママ、斗羽に彼氏が出来た事は喜ぶんだ。


私に彼氏が出来た事を知った時は何にも言わなかったくせに。


「でも本当よかった。斗羽は内気だから彼氏出来ないんじゃないかってママ心配してたのよ?」

「エヘヘ。彼氏のおかげで内気な性格も少しマシになった気もするんだ。」

⏰:08/12/08 17:30 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#39 [ゆーちん]
「本当?そんな素敵な彼、もっと早く教えて欲しかったわ。」


ママの顔を見なくても満面の笑みだとわかる。


「斗美だって彼氏いるよ?」

「あの子はああいう性格だから、いくらでも彼氏なんて出来るのよ。でも斗羽は人一倍、消極的だったから。」

⏰:08/12/08 17:30 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#40 [ゆーちん]
私が援助交際してるとママに言ったら、どういう反応してくれんだろ。


心配してくれたらいいな。


ねぇ、ママ。


私だって初対面の人と話す時、少しは緊張するんだよ。


ママが思ってる程タフじゃない。


もっと私を心配してよ。


私は所詮、まだ14才のガキなんだからさ…。


斗羽ばっかかまってないで、私の事も褒めてよ。

⏰:08/12/08 17:31 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#41 [ゆーちん]
部屋に行き、久しぶりに涙を流した。


腹が立った時に出る涙や、悔し涙や悲しい涙。


黒い涙が顔中を濡らす。


泣いて泣いて泣き切った後に、私は思う。


ママを困らせたい。


心配されたい。


こうして私はまた援助交際を繰り返すの。

⏰:08/12/08 17:31 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#42 [ゆーちん]
お客さんに体を触られてる時は『ママが悲しむだろうな』と思いながら過ごしている。


援助交際の事をバラして困らせたい反面、稼ぎ口が無くなる心配からバラされたくないという気持ちもある。


わがままなんだ、私って。

⏰:08/12/08 17:32 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#43 [ゆーちん]
「斗美、おはよう。」


斗羽が毎朝話し掛けてくる。


「おはよ。」

「今日お笑い番組あるから一緒に見ようね。」

「何で?」

「何で、って。斗美が好きな芸人が出るから‥」

「だからってどうして斗羽と一緒に見なきゃいけないの。」

「…ごめん。」

⏰:08/12/08 17:33 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#44 [ゆーちん]
いつもこうやって強く当たってしまうのに、斗羽はめげずに毎日話し掛けて来る。


話されるたびに嫌いになる。


家族なのに、妹なのに…嫌いになってしまう。

⏰:08/12/08 17:33 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#45 [ゆーちん]
比べられるのが嫌い。


その原点となる【斗羽】が嫌い。


だけど紛れもない妹。


同じ顔、同じ声、同じ体格。


変える事のできない事実。


心の底から嫌いになれればいいのに…なぜか完璧に嫌いになれないのは【妹】だからなのかな。


中途半端な私。


欠点だらけ。


なのに妹の斗羽ときたら…羨む事ばかりだよ。

⏰:08/12/08 17:34 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#46 [ゆーちん]
悲しい顔をする斗羽を残し、私は先に学校へ登校した。


「お、斗美。おはよ。」

「おはよ。」


顔の広い私は登校中、何度も友達と遭遇する。


私と斗羽は、雑誌用語なんかで区別するのなら…ギャル系と清楚系。

⏰:08/12/08 17:35 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#47 [ゆーちん]
だから私の友達と、そういうギャルで派手な子が多かった。


て、言っても所詮は中学生だから、どこか中途半端。


目だけ真っ黒のパンダ化粧とか、汚い靴下履いた子とか。


私はそういうのは嫌。


完璧にしたいの。


斗羽が何事にも完璧だから、私も完璧中の完璧になりたい。


斗羽を…追い越したい。

⏰:08/12/08 17:35 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#48 [ゆーちん]
〔斗羽〕


斗美が私を嫌っていると薄々気付き始めていた。


斗美と比べられるのは嫌だけど、斗美は嫌いじゃない。


私の大切のお姉ちゃんだもの。


仲良くしたくて話し掛けても冷たい態度だし、いつの間にか斗美と私には溝が生じていたみたいだ。

⏰:08/12/08 17:36 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#49 [ゆーちん]
「はぁ…。」

「ため息ついてると幸せ逃げるよ。」


中1の秋から付き合っている彼氏の【聡志】が笑いかけてくる。


「斗美が私に冷たいの。」

「今に始まった事じゃないんだろ?」

⏰:08/12/08 17:37 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#50 [ゆーちん]
聡志には何でも話せる。


付き合う前は名前も知らない他人だったのに、会うたび話すたび離れるたびに好きになっていく。


「そうだけど。今日だって朝から怒らせたし…」

「斗美ちゃんみたいになりたいけど、比べられるのは嫌。わがままだよな、斗羽って。」


歯を見せて笑う聡志。

⏰:08/12/08 17:37 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#51 [ゆーちん]
「からかってる?」

「うん。」

「もぉー!」


自分でもわがままだってわかってる。


わがままだし、意味のわからない願望のせいで自分自身を苦しめちゃってるんだから。

⏰:08/12/08 17:38 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#52 [ゆーちん]
「それじゃあね。」

「うん。」


部活帰りに一緒に下校して私の家の前でバイバイ。


毎日聡志とこうやって放課後デートをする。


つい最近、この放課後デートの現場をママに見られてしまい、ママは楽しそうに騒いでた。

⏰:08/12/08 17:38 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#53 [ゆーちん]
聡志を気に入ってくれたみたいで家に連れて来い、って言うの。


嬉しいけど、恥ずかしいな。


パパは私と聡志の事を知らないだろうし…。


もし招待するならパパのいない時にしよう。

⏰:08/12/08 17:39 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#54 [ゆーちん]
「あ、待って。」


聡志は家の周りを確認してから、私にキスをかくれた。


「いきなりすぎ。」

「ごめんね。」

「ママに見られてたらどうすんの?次から外でキスするの禁止ね。」

⏰:08/12/08 17:39 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#55 [ゆーちん]
「破ったら?」

「んー…アイスでも奢ってもらおっかな。」

「そんな罰ゲームなら毎回でも破りそう。」


聡志はまた八重歯を見せて笑い、軽いキスをした。


「また明日。」


聡志が見えなくなるまで見送りをして、体を反転させると斗美がいた。

⏰:08/12/08 17:40 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#56 [ゆーちん]
「斗美!」


玄関前の壁にもたれて私をジーッと見ている。


「おかえり。今日は帰り、早いね。」

「ふーん。聡志って奥手に見えて、やる事大胆だ。」

「見てたの?」

「見るも何も、あんたら私がここにいるの気付かなかったの?わざと見せ付けてるのかと思った。」

⏰:08/12/08 18:09 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#57 [ゆーちん]
「見せ付けてなんか!」

「私への嫌がらせ?」


斗美は嘲笑うのが得意。


余裕ぶってる笑顔で私を見る。

⏰:08/12/08 18:09 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#58 [ゆーちん]
「そんなわけないじゃん!」


また斗美が私から離れて行く。


日に日に大人っぽくなる斗美に追い付きたいのに、どんどん遠くなる。


同じような化粧をしたいわけじゃない。


そこまでスカートを短くしたり髪を明るくしたいんじゃない。


斗美みたいな明るい性格になりたいだけなの。

⏰:08/12/08 18:10 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#59 [ゆーちん]
斗美は目が笑わない笑顔で言った。


「ムキになっちゃって〜可愛いね、斗羽は。いつまでも処女じゃねーんだから、もっとタフになりなよ。」


…!


その単語を聞いた私は恥ずかしくて顔がアツくなった。

⏰:08/12/08 18:11 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#60 [ゆーちん]
「斗美!ここ外だよ?ママが聞いてたら…」

「あれ?何その反応。」

「え?」

「斗羽、あんたまだ処女?」

「…ちょっ、斗美!」


処女と言う単語に敏感だった私は、近所の人やママに聞かれていないかドキドキした。

⏰:08/12/08 18:12 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#61 [ゆーちん]
「へー、やっぱ聡志は奥手なんだ。まだヤッてないなんて珍しいね。聡志溜まってんじゃないの?」


とても双子の姉の発言だと思わなかった。


恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。


顔のアツさが限界だった。

⏰:08/12/08 18:12 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#62 [ゆーちん]
「はぁーあ。可愛いね、斗羽。本当ムカつく。処女って言っただけでそんな純粋に恥ずかしがっちゃってさ。いつから私たち、こうも違っちゃったのかな。」


斗美の笑顔が消えた。


「斗美が…離れて行ったんじゃない。」

「はぁ?その言葉そのまま斗羽に返す。」

⏰:08/12/08 19:08 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#63 [ゆーちん]
「いきなりピアス開けたり髪の毛染めたり…斗美から離れてったんだよ?」


斗美の目が恐かった。


「何言っちゃってんの。斗羽が頭よくて運動できて、いつの間にか成績表は見違えるくらいの差ができて…私は斗羽と比べられんのが大っ嫌いだったの。」

⏰:08/12/08 19:09 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#64 [ゆーちん]
「それは勉強しない斗美が悪いんじゃない!」

「そうだよ。バカな私が悪いの。見た目が同じなのに中身は違う。比べられてバカにされて…だから私は外見を変えたの。斗羽と私は違うんだから、って皆に見せ付けたかったの。」


雷に打たれた気分だった。

⏰:08/12/08 19:09 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#65 [ゆーちん]
双子の悩みは…ある意味似ていたんだ。


私たちは互いに比べられるのが嫌。


私は私なんだよ、と心の中でいつも思っていた。


なんだ…一緒だったんだ。


双子ならではの悩みは、やっぱお互い抱えてしまうものなんだね。

⏰:08/12/08 19:10 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#66 [ゆーちん]
『私も悩んでた。』とは言わなかった。


私が斗美の外見を真似ようとした事で、余計に苦しめてしまっていた。


私が悪いところもあったのだから、今は謝るしかない。

⏰:08/12/08 19:10 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#67 [ゆーちん]
「ごめん。斗美の悩みに気付かなかった。」

「これ以上真似してきたら殴るよ?」

「女の子なんだから、殴るとか言っちゃダメだよ。」

「ったく。いちいちウザい妹。斗羽のがしっかりしてんだから、あんたが姉だったらよかったのにね。」

⏰:08/12/08 19:11 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#68 [ゆーちん]
斗美は舌打ちをしてから家に入って行った。


久しぶりだった。


こんな風に会話をたくさん交わしたのは。


斗美の口調が悪くなっていた悲しさと、私と同じ声色は変わっていなかった嬉しさ。


複雑な気分。

⏰:08/12/08 19:12 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#69 [ゆーちん]
私も後を追うように、家に入った。


その夜、私たちはリビングでお笑い番組を見た。


朝はひどい事言っといて、結局は一緒に見てくれる斗美は素敵な姉だよ。


私は斗美が好き。


だけど比べられるから嫌い。


わがままなんだよ、私って。

⏰:08/12/08 19:12 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#70 [ゆーちん]
◆◇◆◇◆◇◆

思春期の気持ち

◆◇◆◇◆◇◆

⏰:08/12/08 19:12 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#71 [ゆーちん]
あの日、斗美の本音を聞いてから、少しは私への態度が良くなってくれた姉。


「斗羽、そのピアス貸して。」

「え?」

「聞いてなかったの?私はこれからデート。だからそのハートのピアスをつけたい。だから貸してって言ったの。」

⏰:08/12/08 19:13 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#72 [ゆーちん]
「あ、うん、いいよ。」

「サンキュ。」


物の貸し借りだってするようになった。


今まではお互い同じ物を持っていたから貸し借りなんてした事なかった。


姉妹らしくて嬉しい。


でも私への敵対心は斗美から消え切らない。

⏰:08/12/08 19:14 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#73 [ゆーちん]
「今の彼氏はどんな人なの?」

「んー?普通。」


斗美の彼氏はしょっちゅう変わる。


それに対して私は1人の男と長く付き合う。


「そうなんだ。喧嘩とかしない?」

「喧嘩する前にどうせ別れるよ。」

⏰:08/12/08 19:15 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#74 [ゆーちん]
「え、なんで…」

「彼氏なんて肩書だけ。私とヤリたいだけなんだよ。ヤリまくって飽きたら捨てる。私の周りにいる男なんてそんな奴ばっか。」


けだるそうにピアスをつけながら答えてくれた斗美の発言に、また顔がアツくなった。


「…。」

⏰:08/12/08 19:15 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#75 [ゆーちん]
何も言えない私に気付いた斗美は冷たい目で私を見た。


「あー、斗羽にこの手の話しても通じないんだった。」

「…ごめん。」


なぜか謝ってしまった。


余りにも斗美の雰囲気が悪かったから、これ以上機嫌を悪くさせないようにって。

⏰:08/12/08 19:16 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#76 [ゆーちん]
「ヤリたいと思った事ないの?」

「…うん、ない。」

「話になんない。一生処女だね。」


溜め息をつき、斗美は唇にグロスを塗り始めた。

⏰:08/12/08 19:16 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#77 [ゆーちん]
「斗美は恥ずかしくないの?」

「何?」

「そういう事…するの。」

「H?全然。あんな気持ち良いもの恥ずかしがってちゃ勿体ないよ。」

「き、気持ち良いものなの?」

⏰:08/12/08 19:17 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#78 [ゆーちん]
驚いた。


ただの卑猥な行為にしか思ってなかったから。


「意識ぶっ飛ぶくらい気持ち良いね。ま、お子ちゃまの斗羽には一生わかんないんだろうけど。じゃっ。」


支度が出来た斗美は甘い匂いを部屋に残して、デートに出掛けて行った。

⏰:08/12/08 19:17 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#79 [ゆーちん]
斗美を真似たことばかりしていたけど、さすがにアレは恥ずかしくて簡単にできっこない。


それにしても斗美の恋愛って、なんか悲しい。


私が言うのも変だけど、斗美ならもっと素敵な恋ができると思う。


何も、自分を下げるような事しなくてもいいのに…。


斗美なら、素敵な恋愛できるのに。

⏰:08/12/08 19:18 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#80 [ゆーちん]
〔斗美〕


双子の妹が彼氏とキスをしてる場面を見た姉の私は、とてつもなく腹が立ったのを覚えている。


幸せそうな顔しちゃってさ…。


つい、いつにも増して斗羽をイジメたくなった。


とろくさい斗羽の性格が嫌いだから、言葉を返されると本音が零れてしまった。

⏰:08/12/08 19:19 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#81 [ゆーちん]
比べられるのが嫌だった、って。


凄く悲しい顔で謝って来た。


あの日から斗羽は私に気を使っている。


私も、少し言い過ぎたかもしれないと後悔していた。


だから私も気を使ってしまう。

⏰:08/12/08 19:19 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#82 [ゆーちん]
そもそも家族なのに、双子なのに、妹なのに…気遣いする必要なんてないじゃない。


本音を言ってからは少しだけ荷が軽くなり、斗羽との溝が浅くなった。


そして今日。


付き合ってくれとか頭下げて来た彼氏と面倒なデートのために支度をしていた。

⏰:08/12/08 19:20 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#83 [ゆーちん]
洋服に合うピアスがなかったので斗羽が持っている可愛らしいハートのピアスを借りた。


斗羽は笑ってた。


嬉しかったのかな。


私が斗羽にお願い事するのなんて何年ぶりなんだろ。


ちょっとくすぐったかった。

⏰:08/12/08 19:20 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#84 [ゆーちん]
『喧嘩とかしない?』なんて、くだらない質問をする斗羽。


『喧嘩する前にどうせ別れる』と答えると不思議がっていた。



だから教えてあげた。


『私とヤリたいだけなんだよ。飽きたら捨てられる。』って。


斗羽は恥ずかしそうな顔をしていた。


純粋な妹は、こういう話に顔を赤らめる。


可愛い奴。


ムカつくよ、同じ女として。

⏰:08/12/08 19:21 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#85 [ゆーちん]
そのあとも処女の斗羽には刺激的すぎるような事を言って、恥ずかしがらせてから家を出た。


駅前で待つ、体目的で上辺だけの彼氏に会いに…。


この頃の私は、気持ちが不安定だった。


思春期ってやつ?

⏰:08/12/08 19:22 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#86 [ゆーちん]
比べられることに腹が立ったり、妹が悲しむ顔をすると後悔したり…。


自分の気持ちをコントロールするのが難しかった。


だから、買い物やお洒落でごまかしてたりもした。


斗羽と比べられたくないから援交をするのは確かだけど、ストレス発散させているというのも理由の1つだった。

⏰:08/12/08 19:22 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#87 [ゆーちん]
そして中3になった。


修学旅行や受験勉強と、忙しい1年。


私と斗羽の関係は可もなく不可もなく。


ウザけりゃ無視するし、別に普通だったら普通の態度で普通に接する。


要するに私は気分屋なの。


ね?


欠点だらけでしょ。

⏰:08/12/08 19:23 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#88 [ゆーちん]
中3になっても私は今までと変わらなかった。


少し変わった事と言えば、胸が大きくなった事くらい?


彼氏も何度変わったかわかんないし、部屋中のブランド物も合計すればいくらになるのかもわからない。

⏰:08/12/08 19:23 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#89 [ゆーちん]
何か変わらないと、また斗羽に追い越される!


そう自分に言い聞かせているのに、もういいじゃん?って諦めてる自分もいる。


面倒だよ、双子は。

⏰:08/12/08 19:24 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#90 [ゆーちん]
私が双子なんかじゃなかったら、こんな想いすることもなかったのに。


もう誰を恨んで、何と戦えばいいのかもわからなくなってきていた時期。


私はSEXと金で気を紛らわす事しかできなかった。

⏰:08/12/08 19:24 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#91 [ゆーちん]
〔斗羽〕


斗美に言われたから、したんじゃない。


お互いの気持ちが通じ合ったから、したの。


斗美に煽られたからじゃない。


これは私の意志だよ。


斗美の真似をしたいからじゃない。


違うよ、ね。

⏰:08/12/08 19:25 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#92 [ゆーちん]
「斗羽。」

「…え?」

「ごめんね、痛くなかった?」

「あ、うん。もう大丈夫。」


初めては痛いって友達が言ってた。


まさにその通り。


斗美の嘘つき。


痛すぎて気絶しそうだったよ。

⏰:08/12/08 19:25 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#93 [ゆーちん]
「でもさ、何で急にOKしてくれたの?今までずっと嫌がってたし…別に今日が記念日ってわけでもないしさ。」


聡志は不思議そうに私を見ていた。


「理由は特にない。ただ…早く聡志と1つになりたかっただけ。」

「そっか。ありがと。」


髪を撫でる聡志。

⏰:08/12/08 19:26 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#94 [ゆーちん]
今まであんなに好きだったのに、なぜかひんやりとした気持ちになった。


初めてのHをすれば心がもっと温かくなるもんじゃないの?


でも私の心は冷静なまま。


一体どうしたんだろ。

⏰:08/12/08 19:27 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#95 [ゆーちん]
そんな中2を過ごした私も中3になった。


中3の夏休み前、私は聡志と別れた。


初めてのHから3度、体を重ねたがどれも痛くて気持ち良いなんてお世辞にも言えない。


Hが痛いから別れたんじゃない。

⏰:08/12/08 19:56 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#96 [ゆーちん]
誰だって、好きだったものが急に色褪せてしまい、好きじゃなくなることもある。


聡志には素直に『あなたへの気持ちがなくなった。』と伝えた。


『仕方ないね。今までありがとう。』と納得してくれた聡志は最後まで優しかった。

⏰:08/12/08 19:56 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#97 [ゆーちん]
中2のあの日に大人になってから、急に何もかもが苦しくなった。


聡志は好きだったけど、所詮は斗美の真似。


斗美が彼氏を作ったから私も彼氏を作った。


斗美がお洒落をするから、斗美が恋愛をするから…斗美が、斗美が、斗美が。


全部、姉の真似。

⏰:08/12/08 19:57 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#98 [ゆーちん]
私は比べられるのが嫌だと斗美が言っていた。


私も斗美と比べられるのが嫌だった。


私はもっと斗美に近付きたい。


だけど斗美は私と離れたい。

⏰:08/12/08 19:58 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#99 [ゆーちん]
どうすればお互いの願望を叶えられるんだろう。


やっぱ、どっちかが折れないと無理なのかな…。


はぁ。


何か双子って面倒ね。


比べられずに済めたら、どれほど楽しいんだろうって思う。


双子なんかじゃなかったら…。

⏰:08/12/08 20:00 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#100 [ゆーちん]
◆◇◆◇◆◇◆

秘密の始まり

◆◇◆◇◆◇◆

⏰:08/12/08 20:03 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#101 [ゆーちん]
〔斗美〕


バカな私はバカなりのバカに合ったバカな高校に入学した。


斗羽はもちろん頭のいい高校。


別に羨ましくもない。


最近じゃ、比べられても…開き直っていた。


だけどやっぱりどこか意地があって、斗羽が私に少しでも近付こうとすれば私は離れていた。

⏰:08/12/08 20:04 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#102 [ゆーちん]
「斗美どこ行くの?」

「サボり。数学嫌い。」


学校にも慣れた5月のある日。


すっかりサボり癖のついた私は教室を抜け出した。


屋上への階段をコツコツと昇る。


扉を開けると太陽が出迎えてくれた。


…気持ちいい。


ひなたぼっこに最適な日。


こんな日に教室にいるなんて勿体ないよって勉強オタクに言ってやりたい。

⏰:08/12/08 20:05 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#103 [ゆーちん]
なんとなく迷路のようになっているこの屋上は、たまにサボりに来るので、最初は迷いまくったものの今じゃナビゲーションできるくらい詳しくなった。


たまにカップルがイチャついてたりもするから、気付かれないように逃げるルートだって知っている。

⏰:08/12/08 20:05 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#104 [ゆーちん]
私はお気に入りのひなたぼっこスポットに足を運んだ。


ラッキー。


もしかして、今日は屋上貸し切りかも?


イチャつくカップルもいなければ、煙草を吸う不良もいない。


のんびり昼寝が出来る。

⏰:08/12/08 20:06 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#105 [ゆーちん]
見事に貸し切りだった屋上で私は昼寝をした。


昼寝って言ってもまだ3時間目だけどね。


30分くらい寝ただろうか。


急に寝苦しくなった。


夢から意識が戻って来る。


…ん?


隣に人の存在を感じる。

⏰:08/12/08 20:09 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#106 [ゆーちん]
ゆっくり目を開けると、面倒臭い人物が座っていた。


「…何か用ですか。」

「あ、起きた?」


私を見下ろしながら笑ってるのは由良(ユラ)先生。


「昼寝の邪魔ですー。」

「こんな短いスカートで寝てると風さんにパンチラさせられんぞ。」

「セクハラー。」

⏰:08/12/08 20:09 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#107 [ゆーちん]
どうして隣に人がいると寝苦しくなるんだろう。


普通は人肌に安心して眠くなったりするんだろうけど、私は違う。


彼氏であろうが援交の客であろうが隣に誰かいると、グッスリ眠れない。

⏰:08/12/08 20:11 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#108 [ゆーちん]
体を起こし、先生に聞いた。


「おさぼりですか?」

「うん。チクったら屋上から落とすからなー。」

「シャレになんないよ。」


私が笑うと先生も笑った。

⏰:08/12/08 20:12 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#109 [ゆーちん]
由良先生に授業は教わっていないけど、校内の誰もが由良先生を知ってると思う。


教員の中で1番若くて、顔もまぁまぁ?


クラスの女子がギャーギャー騒ぐから、嫌でも覚える。

⏰:08/12/08 20:44 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#110 [ゆーちん]
「先生、知ってた?」

「知らない。」

「まだ言ってないんだけど。」

「僕、超能力でお前の言う事、先にわかるんですよ。」

「あっそ。」

「…ごめん、うそ。ふざけました。何?」


わたあめみたいな優しい風が私と先生の間を吹き抜けた。

⏰:08/12/08 20:45 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#111 [ゆーちん]
「校内禁煙なんだよー。」

「へぇー知らなかったー。」


明らかに知ってるでしょって感じの言い草。


知らないはずない。


教師なんだからさ。


こうやってふざけながら話しをする人って気楽でいいかも。

⏰:08/12/08 20:46 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#112 [ゆーちん]
「煙草吸ってサボってた、って校長にチクられたくなかったら100万円よこせ!」

「…お前の孫まで呪うからな。」

「アハハッ。」


先生の口元がキュッと上がり、笑いながら煙草のけむりを空へと吐き出した。

⏰:08/12/08 20:46 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#113 [ゆーちん]
「斗美は?」

「へ?」

「煙草、吸わないの?」

「吸わない。肌に悪いし。」

「ふーん。真面目だな。吸ってそうなイメージなのに。」

「よく言われる。」


携帯灰皿に煙草の吸い殻を入れ、煙草とライターと灰皿をポケットに直している先生。

⏰:08/12/08 20:48 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#114 [ゆーちん]
私は聞いてみた。


「私、先生に授業教わってない。」

「うん、そうねー。」

「何で私の名前知ってんの?」

「教師だもん。」

「ふーん。私のクラス全員の名前わかるの?」

「わかんねぇよ?斗美だけしか知らない。」

「だから何で私だけの名前知ってんの?」

⏰:08/12/08 20:48 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#115 [ゆーちん]
呆れ笑い混じりの質問に先生は笑顔で答えた。


「男だもん。」

「…意味、わかんない。」

「んー、わかんない?斗美の名前だけ、ちゃんと知ってるんだよ、俺。」

「どうして?」

「言ってんじゃん。俺だって男だもん。」


見つめ合いながら無言の会話をした。

⏰:08/12/08 20:49 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#116 [ゆーちん]
自惚れても、いいのかな。


いつもなら私に好意がある男が現れても動揺なんてしないけど…先生のような20代の人と付き合った事がない私は、戸惑うばかりだった。

⏰:08/12/08 20:49 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#117 [ゆーちん]
「え…あの…」

「ブッ。テンパりすぎ。」

「だって意味が…」

「バカだから意味もわかんないのか〜。残念だな。」


先生はニコッと笑い、私の肩に手を乗せ、グッと立ち上がった。


「バカだけどバカじゃないし。」

「そういう発言がバカっぽいんだよ。」

「…うるさいな、もう。」

⏰:08/12/08 20:50 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#118 [ゆーちん]
怒ったフリをすると先生は声を出して笑った。


「ハハッ。んじゃ俺は戻るねー。」

「さっさとどっか行っちゃえ。」

「可愛くねーの。バイバイ。」

「…バイバイ。」

⏰:08/12/08 20:51 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#119 [ゆーちん]
煙草臭い中に甘い香水の匂いがした。


ほんの少しの甘い匂いを残し、先生は屋上から降りて行く。


再び一人ぼっちになった屋上で、運動場を見下ろしながら考えた。


さっきの先生が言った意味、やっぱそういう意味なのかな。


自意識過剰になってもいいのかな。


先生、私に好意持ってくれてるのかな。


だとしたら、どうすればいい?


付き合うの?

⏰:08/12/08 20:52 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#120 [ゆーちん]
いつもの私なら告白されれば大体OK。


来る者拒まず。


誰にでも足開いててさ。


でもね、最近はちょっと違うんだ。


上辺だけの恋人とかSEXとか…面倒なんだよね。


もし先生に告白されても、今の私なら断ると思う。


って、自惚れすぎか。

⏰:08/12/08 20:54 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#121 [ゆーちん]
ファンの子に屋上から突き落とされかねないね。


変な妄想をストップさせ、私も屋上を降りた。


ちょうどチャイムが校内に鳴り響いた時だった。

⏰:08/12/08 20:55 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#122 [ゆーちん]
その2日後。


また屋上で、私の隣で美味しそうに煙草を吸う由良先生の姿があった。


「先生さぁ。」

「ん?」

「いつから煙草吸ってんの?」

「斗美ぐらいの時から。」

「ふーん。」

⏰:08/12/08 20:55 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#123 [ゆーちん]
最初は、先生が隣にいるから昼寝できないじゃんって思ったけど、話をしてるうちに睡魔なんか飛んでっちゃった。


他愛もない話をしながら空を見上げる二人に、今日も優しい風が吹く。

⏰:08/12/08 20:56 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#124 [ゆーちん]
「何で教師になったの?」

「さぁ?自分でもわかんなーい。」

「アハハ。変なの。」

「昔の俺はさ、両親や担任や警察に迷惑かけまくりな少年だったの。」

「不良?」

「俺は不良だと思ってないんだけど、周りはそう呼ぶ。」

⏰:08/12/08 20:57 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#125 [ゆーちん]
「アハハ。自覚なかったんだ。バカじゃん。」

「斗美よりバカはいないって。」

「はぁ?」


私の顔を見てクスッと笑ってから先生は言った。

⏰:08/12/08 20:58 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#126 [ゆーちん]
「更正しなきゃなーと思って、頑張って勉強とかしたの。そん時、担任に助けられたから俺も教師になるかぁと思って…今に至る。でも教師なんか俺には向いてなかったのかも。性に合わなくて毎日息が詰まるよ。」


誰にでも、悩みはあるんだと思った。


当たり前の事だけど、誰しもが悩み事を抱えてるんだと思い知った。

⏰:08/12/08 20:59 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#127 [ゆーちん]
「で、ここで息抜きですか。」

「ここは俺の場所だったのに、誰かさんが昼寝場所に使い出すから迷惑極まりないないね。」

「エヘッ、ごめん。」

⏰:08/12/08 20:59 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#128 [ゆーちん]
「お前が初めてだわ。入学して1ヵ月なのに堂々と屋上でサボって昼寝してるやつ。」

「先生も昼寝すれば?すっごい気持ち良いんだよー。」

「いいよ。起きれなかったらヤバいし。」

⏰:08/12/08 21:01 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#129 [ゆーちん]
「アラームかけて寝ればいいんじゃない?」

「また今度な。斗美が昼寝してる隙に隣で添い寝しといてやるよ。」

「何で私が寝てる隙なの。」

「目が覚めたら王子様が隣で寝てるってロマンチックだろ〜、このこの〜。」

「アハハ。キモいし、王子様って誰だよー!バ〜カ。」

⏰:08/12/08 21:01 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#130 [ゆーちん]
こうして見つけたおさぼり友達。


次にサボった時には先生は来なかった。


その次も来なかった。


だけどその次は来た。

⏰:08/12/08 21:02 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#131 [ゆーちん]
いつも一緒にサボれるって訳じゃない。


先生だって授業があるんだから、いつもいつもサボってられないもんね。


だけど一緒にサボるとなれば、なぜか楽しくなれた。


昼寝せずに、くだらない話をする。


たったそれだけなのに、楽しくて安らげる時間だった。

⏰:08/12/08 21:03 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#132 [ゆーちん]
梅雨入りをした6月は屋上ではサボれない。


他にサボれる場所を探さないと。


先生はいつもどこでサボってんだろ。


屋上で話ている時に聞いておけばよかった。


学校内で先生とすれ違ってもお互い無視するし、連絡先ももちろん知らない。

⏰:08/12/08 21:04 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#133 [ゆーちん]
しばらくは先生とおさぼり出来ないのかなー、なんて思っていたら梅雨明けが訪れた。


驚く事に梅雨中、私は一度もサボらなかった。


迷っているうちに終わった梅雨期間。


授業に出ているのに、ちっとも賢くならない私。


太陽が暑く輝きだした。

⏰:08/12/08 21:04 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#134 [ゆーちん]
せみが鳴く。


うるさい。


屋上に上る。


暑い。


「久しぶりー。」

「やっぱり居た。居るような気がしてた。」


太陽より眩しい笑顔が煙草を手に持って、私を待ってくれていた。

⏰:08/12/08 21:05 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#135 [ゆーちん]
「しばらく見ない内に太ったんじゃない?」

「うるさい!」

「アハハ。嘘うそ。梅雨の間ずーっとサボらないで授業受けてたのー?」

「うん。屋上以外サボる場所知らないし。」

「俺も知らない。だから授業がない時はずーっと職員室で引きこもってた。」

⏰:08/12/08 21:06 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#136 [ゆーちん]
乾き過ぎて暑いくらいの屋上の床に座って、こう聞いた。


「私に会えなくて寂しかったでしょー?」


期待していたふざけた答えが返って来る事はなく、先生の笑顔がスッと消えた。

⏰:08/12/08 21:06 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#137 [ゆーちん]
「何でわかんのー。」


こうやって語尾を少し伸ばして喋る癖のある先生。


私はその口調が心地よくて安心できるの。


「何で俺が寂しかったって知ってんの?斗美も寂しかったの?」

「え?あ…いや、そうじゃなくて…えっと…」

⏰:08/12/08 21:07 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#138 [ゆーちん]
先生は煙草を携帯灰皿に捨てた。


「前にも言ったよね。」

「え?」

「俺も男なの。」


頭の後ろに先生の手が回ったと思ったら、次の瞬間には目の前に先生がいた。

⏰:08/12/08 21:08 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#139 [ゆーちん]
私の唇は先生の唇と重なっていて…教師と生徒の壁を越えてしまった瞬間だった。


驚いて開いたままだった目を、ゆっくり閉じて、キスに答えた私。


甘く長いキスだった。

⏰:08/12/08 21:08 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#140 [ゆーちん]
〔斗羽〕


高校生になってバイトを始めた。


駅前のカフェ。


人見知りをするというコンプレックスがあるからこそ、あえて接客業を選んだ。


どんな時でも笑顔を作ってなきゃいけないという役割。

⏰:08/12/08 21:09 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#141 [ゆーちん]
最初は恥ずかしかったものの、1ヵ月もすれば自然に笑顔を浮かべる事ができていた。


「斗羽ちゃん!」

「あ、いらっしゃいませ。来てくれたんだ。」


このバイトのおかげで人見知りが少しは治ったのか、中学時代なんかと比べられないくらい友達が増えた。

⏰:08/12/08 21:10 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#142 [ゆーちん]
「カフェオレ1つね。たっくんは?」


友達の恵は彼氏と来てくれた。


「俺アイスカプチーノ。」

「カフェオレ1つとアイスカプチーノ1つですね。合計720円になります。」

「はいよ〜ん。」

「あ、俺出すわ。」


たっくんと呼ばれる彼氏がお金を払うと、恵は甘えた声で『ありがとう。』と何度もお礼を言っていた。

⏰:08/12/08 21:10 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#143 [ゆーちん]
彼氏ねー…。


聡志以来、彼氏はいない。


欲しいと思うけど、今度付き合うならHなんかしない人がいいなー、なんて。


そんな性欲ゼロの人なんていないか。

⏰:08/12/08 21:11 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#144 [ゆーちん]
「ごゆっくりどうぞ。」

「ありがとね、斗羽。」


商品を受け取ると恵たちは奥のテーブルに向かった。


その後、店はなかなか忙しくて恵たちが、いつ帰ったのか気付かなかった。


いつの間にか上がる時間になっていて、店長から『上がっていいよ。』と言われたので、店の制服から学校の制服に着替え、家へと歩き出す。

⏰:08/12/08 21:11 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#145 [ゆーちん]
駅前は明るく賑わっているので怖くない。


だけど駅前から少し離れると急に暗くて不気味な道があり、いつもビクビクしながら帰ってた。


こんな時、送り届けてくれる彼氏とかいたらなー…。

⏰:08/12/08 21:12 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#146 [ゆーちん]
梅雨が明けると夏が来る。


店内は涼しくて、お客さんは涼みついでに来店してくるので毎日忙しかった。


「桜井さん、申し訳ないんだけど1時間延長してもらえる?」


店長に頭を下げられちゃ断るにも断れないよ…。


夜道が怖いから、出来るだけ早く帰りたいけど…仕方ないよね。


「はい、わかりました。」

⏰:08/12/08 21:13 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#147 [ゆーちん]
いつも21時に上がるけど、今日は22時上がり。


「お疲れ様でした。」


店を出ると、ムッとした暑さが私を待ち構えていた。


明るい駅前を歩き、嫌いな暗い道を歩く。


一人ぼっちだと怖い。


だけど誰かいても怖い。


どっちにしろ、この道は怖い。

⏰:08/12/08 21:13 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#148 [ゆーちん]
やだ、やだ。


早く帰ろ…。


と、その時だった。


「桜井さん。」


心臓が跳ね上がった。


誰もいないと思っていたのに後ろから声をかけられ、私は慌てて振り返った。

⏰:08/12/08 21:14 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#149 [ゆーちん]
「あ…園田さん。」


後ろにいたのは園田さんだった。


バイト先の正社員の人。


確か25歳って言ったかな。


「ごめん、驚かしちゃった?」


無邪気に笑う園田さんと、10も歳が離れてるなんて思えない。

⏰:08/12/08 21:15 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#150 [ゆーちん]
「あの、何してるんですか?こんな道で…」

「さて問題。園田さんは何をしてるんでしょーか?」


園田さんは歩き出した。


私は園田さんの隣を歩く。


「まだ勤務中ですよね。あ、わかった!買い出しだ。」

「お〜、さすが頭のいい高校行ってるだけあるね。正解。」

⏰:08/12/08 21:15 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#151 [ゆーちん]
久しぶり。


聡志以来だ。


この道を誰かと歩いて、怖いと感じなかったのは。


「やっぱり。何の買い出しですか?」

「ティッシュ。ストック切れてるのも忘れてたんだって。店長ボケてんじゃねーの?」


声を出して笑い合った。

⏰:08/12/08 21:16 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#152 [ゆーちん]
「店長にチクりますよ?」

「んな事したら桜井さんのロッカーにカエル入れてやるし。」

「やー!絶対嫌です!やめて下さいよ?」

「アハハ。桜井さん次第だねー。」

「言いませんよー!でも、なんでこんな道歩いてるんですか?駅前のコンビニでもティッシュぐらいありますよ。」

⏰:08/12/08 21:17 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#153 [ゆーちん]
「だってコンビニ高いじゃん。ここ通って行ったらドラッグストアあるっしょ?あそこ安いし、俺ポイントカードあるもん。」

「ポイントカードって!」

「あれ?ポイントカード、バカにしちゃう系?」

「バカにはしてないですけど、園田さんはポイントカードとか似合わなくって。」

⏰:08/12/08 21:17 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#154 [ゆーちん]
「あー、よく言われる。でもうちの奥さん、ポイントカードとか割引券とか好きでさ。その影響。」


…驚いた。


結婚、してたんだ。


私だけが知らなかったのかもしれないけど、指輪はしていないし、誰からも聞かなかったから驚きで言葉が出なかった。

⏰:08/12/08 21:18 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#155 [ゆーちん]
「煙草吸っていい?」

「あ、はい。」


歩き煙草する人は嫌い。


だけど園田さんは嫌いじゃない。


出たよ、私のわがままっぷり。


わがままって言うか矛盾してる筋の通ってないだけの女、みたいな。


やだな。

⏰:08/12/08 21:20 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#156 [ゆーちん]
「車で行けば一瞬だけどガソリン高いじゃん?どうせ仕事サボれるんだから、歩いて時間掛けまくってやろーって思ってさ。」

「健康にも、いいですもん…ね。」

「俺がメタボ予備軍とでも言いたいのか、女子高生め!」

「アハッ。違いますよ。」


結婚してるなんて驚きだったけど、私には関係ない。

⏰:08/12/08 21:20 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#157 [ゆーちん]
家の近くで別れ、園田さんは24時の閉店時間までの勤務を『仕方ないから頑張るわー。』と言って、ドラッグストアに向かって歩いて行った。


大きな背中を見えなくなるまで見送り、私は家に帰る。


「ただいま。」

「おかえり。遅かったわね。」


ママが出迎えてくれた。

⏰:08/12/08 21:21 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#158 [ゆーちん]
「1時間延長してさ。」

「夜道怖かったでしょ?」

「ううん。今日は怖くなかったよ。」


斗美はまだ帰ってないみたい。


「え?何で?」

「おさぼりさんが一緒だったから。」

「何それー?」


ママの不思議な顔を残し、私は部屋へと足を進めた。

⏰:08/12/08 21:22 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#159 [ゆーちん]
それから不思議なもので、園田さんと関わる事が多くなった。


雑用させられる時も園田さんと。


レジする時も園田さんと。


掃除の時も園田さんと。


店長、わざとですか?ってぐらい園田さんとシフトが一緒になる。


嫌じゃないけど、妻がいる人と話したりするのって…何だか妙に緊張しちゃう。

⏰:08/12/08 21:24 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#160 [ゆーちん]
「桜井さんってさー。」

「はい。」

「彼氏いんの?」

「いないです。」

「ふーん。モテそうなのにね。彼氏いた事は?」

「ありますよ。でも私がフッちゃいました。」

⏰:08/12/08 21:24 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#161 [ゆーちん]
店裏で雑用させられていたので何だかんだと雑談。


恋の話なんて普段しないのに。


やだなぁ。


緊張するよ…。


「何で?好きじゃなかったの?」

⏰:08/12/08 21:25 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#162 [ゆーちん]
「最初は好きじゃなかったです。知らない人だったんで。とりあえず付き合ってみて、優しい人だから私もいつの間にか好きになってました。でも…ちょっと冷めちゃって。」

「冷めちゃったの?」

「はい。急に彼氏への気持ちがサーッて冷めて、このままだと彼が可哀相だから別れました。変ですかね?」

「ん?何が?」

⏰:08/12/08 21:25 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#163 [ゆーちん]
「普通は冷めたりとかしないんですかね?初めての彼氏だから、よくわかんなくて。」

「普通だよ。変じゃない。俺も若い頃は桜井さんみたいな経験あるよ。あんな好きだったのに、何がきっかけか忘れたけど急に気持ちが空っぽになってたり。」

⏰:08/12/08 21:26 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#164 [ゆーちん]
「そっか…私だけじゃなかったんだ。」


今日は平日なのでわりと店も暇だった。


休日なら、こんなとこでサボりみたいな雑用なんかしてる時間もない。


平和な時間が流れている。

⏰:08/12/08 21:26 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#165 [ゆーちん]
「好きな人いる?」

「いないですね。」

「何で?恋愛しなよ。学生なのに勿体ない。俺も学生戻りたいな。」

「どんな高校生だったんですか?園田さんって。」

「俺?超〜人気者。」

「嘘だぁ。」


満面の笑みで笑ってる私と違い、園田さんは小さく笑っていただけだった。

⏰:08/12/08 21:27 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#166 [ゆーちん]
「ファンクラブもあったべ。」

「絶対嘘ですよねぇ!」

「本当だって。で…そのファンとやらに手ぇ出したらガキ出来て、高校辞めてここに就職。つまんねー学生時代だったわ。」


そう言って遠くを見て笑った。

⏰:08/12/08 21:27 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#167 [ゆーちん]
「そうなんですか。じゃあ、ここ、かなり長いんですね。」

「17の時からだからー…8年目?ガキもいつの間にか今年からランドセル背負ってっからね。」

「そんな大きいお子さんのバパなんですか。見えないです。」

⏰:08/12/08 21:28 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#168 [ゆーちん]
「本当?俺、見た目若い?」


つまらなさそうに笑った園田さん。


家族の話はもっと楽しく話せばいいのに。


「若いですよ。高校生でも通るんじゃないですか?」

「マジ?じゃあ高校生と恋愛してーな。」


【高校生】って単語だけで楽しそうになる園田さん。


親父じゃん!なーんて。

⏰:08/12/08 21:29 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#169 [ゆーちん]
「アハハ。高校生と?犯罪ですよっ。」


私は笑った。


すると園田さんの顔には小さな笑顔だけが浮かべ、私の目を見ていた。


「…じゃあ桜井さん、共犯者ね。」


そう言って、園田さんは私にキスをした。

⏰:08/12/08 21:30 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#170 [ゆーちん]
「…っ、やっ!」


思わず唇から離れた。


園田さんの顔が見れない。


「…何、したんですか。」

「キスだけど。」

「どうして…ですか。」


頭が上手く回らない。


パニックになっていた私の手を、園田さんは強く握った。

⏰:08/12/08 21:48 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#171 [ゆーちん]
「好きになっちゃった。」

「でも、結婚してるんじゃ‥」

「好きになっちゃダメなの?」


そんな、強い瞳で見ないでよ。


不倫なんて、ダメに決まってんじゃん…。


好きになっちゃダメです。


そう言えばいいだけなのに…私の唇は動かずに、またキスを交わしていた。

⏰:08/12/08 21:48 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#172 [ゆーちん]
ゴトッ…


「っ!」


人の気配がしたので慌てて唇を離した。


「園田さ〜ん、ちょっとレジの調子悪いんで来て貰ってもいいですかー?」

「あぁ、わかった。すぐ行く!」


私の手を離し、園田さんは立ち上がった。

⏰:08/12/08 21:49 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#173 [ゆーちん]
「邪魔くさいな。終わったらすぐ戻るね。」

「…。」


恥ずかしくてずっと俯いていた。


園田さんは小走りで店の方に戻って行く。

⏰:08/12/08 21:49 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#174 [ゆーちん]
一人で冷静に考えた。


これは…悪い事だよね。


悪い事だってわかってるのに、どうして二度目のキスを簡単に受け入れてしまっちゃったんだろう。


今、辞めればまだ間に合う。


不倫する気はない、ってちゃんと伝えよう。

⏰:08/12/08 21:50 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#175 [ゆーちん]
そう決めて、一人で雑用を再開した。


風がぬるい。


もっと冷たい風が吹いて、私の熱を冷ましてくれればいいのに。


そんな事を考えていると後ろから物音が聞こえた。


きっと園田さんだ。


ちゃんと…言わないと。

⏰:08/12/08 21:50 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#176 [ゆーちん]
何も言わず、スッと隣に座った園田さん。


「あ、園田さっ‥」


むせ返るようなキスだった。


早く、突き放せ。


さもないと私が悲しいだけじゃない。


早く、離れろ。


早く、ねぇ早くってば…。

⏰:08/12/08 21:51 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#177 [ゆーちん]
「ンッ…フッ…」


頭で思う事と、体での反応が違い、園田さんの舌が私の口の中で、私の舌は園田さんの口の中で暴れていた。


「ンンッ…っ…園田さ…ん。」


私の口の中から園田さんの舌が出て、首筋にゆっくり這わす。


「ダメです…誰か来ますよ…。」

⏰:08/12/08 21:52 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#178 [ゆーちん]
不倫だからダメなんじゃなくて、誰かに見られるかもしれないからダメ。


理不尽でしょ、私。


さっきまで決意していた事、もう頭にないよ。


「…大丈夫。」

「待って、ダメで…す。」

⏰:08/12/08 21:52 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#179 [ゆーちん]
園田さんを押し退けると、首元にヒヤッと風が通り抜けた。


「じゃあ今度ね。」


園田さんの優しい笑顔。


「…。」


断れない。


私の頭は縦に動いた。

⏰:08/12/08 21:53 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#180 [ゆーちん]
◆◇◆◇◆◇◆

抜け出せない沼

◆◇◆◇◆◇◆

⏰:08/12/08 21:58 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#181 [ゆーちん]
〔斗美〕


「先生ぇ。」

「はーい。」

「テストに出るとこ教えてぇ。」

「1問100万円なーり。」

「死ねぇ。」

「道連れなー。」


さすがの屋上も、7月になれば暑くていつもの場所で昼寝なんてしてらんない。

⏰:08/12/08 21:59 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#182 [ゆーちん]
だから日影になっている場所でサボるの。


でもここだと眺めも悪いし、日影すぎて寒い時もあるからあんまり好きじゃない。


せっかくの屋上なのに、見渡しが悪いなんて最悪。


ま、隣に先生がいる事が唯一の救いだね。

⏰:08/12/08 21:59 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#183 [ゆーちん]
「あー、もぉマジで意味わかんない。完璧なカンニング方法教えてよー!」

「わかんないんだったら授業出ればいいじゃん。それに俺、一応教師なんだけど。カンニング方法なんて知らないし。」


先生のこの笑顔が好き。


安らげんだよねー。

⏰:08/12/08 22:01 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#184 [ゆーちん]
「あら?5時間目は授業ないから暇だったら屋上に来いってメールして来たの、誰でしたっけ?」

「え〜!そんな人いんの?よっぽど斗美が好きなんだねー。」

「うん、私の事好きで好きでたまんないみたい。」

「…フッ。やっぱ斗美といたらバカが移るわ。」

⏰:08/12/08 22:01 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#185 [ゆーちん]
「あー?またバカ扱い?」

「僕そんなバカにメロメロなんです〜。」


昼下がりの甘いキス。


すぐに息が上がってしまう。


教科書を持っていたはずなのに、力が抜けていつの間にか足元に落ちているし。

⏰:08/12/08 22:02 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#186 [ゆーちん]
私は手を先生の首に回し、もうテスト勉強どころではない。


「…斗美…っ。」

「ん?」

「ダメ。」

「何で?」

「ゴム持ってないでーす。」

「…役立たず!」

⏰:08/12/08 22:03 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#187 [ゆーちん]
私たちは付き合ってはいない。


セフレでもない。


まだSEXしてないからね。


SEXしたら【セフレ】って呼ぶような相手になるのかもね。


でもまだキスしかしてない。


たまに屋上で一緒にサボって、キスして、笑い合うだけ。

⏰:08/12/08 22:04 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#188 [ゆーちん]
自分でもこれからどうなるのかわかんない。


恋人になるのか、ただの友達でいるのか。


「ごめんちゃい。」

「じゃ、カンニング方法教えてちょ。」


教科書を拾いあげ、先生に笑顔を向けた。


「だから何で俺に聞くわけ。」

⏰:08/12/08 22:04 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#189 [ゆーちん]
「いかにも今までのテストはカンニングで生き延びて来ましたって顔してるもん。」

「…バレました?」

「顔に書いてるもん。カンニングは俺に聞け、って。」


笑い声が屋上に響き渡った。


楽しいね。


先生と出会えてよかったよ。

⏰:08/12/08 22:05 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#190 [ゆーちん]
「斗美。」


暑い夏に体を寄せ合わせれば暑苦しい。


だけど先生だと暑いだなんて感じない。


不思議。


「何?」

「今日の放課後、暇?」

「あー…ごめんなさい。バイトだ。」

「何時に終わる?」

「…わかんない。」

「そっか。じゃあまた今度誘うねー。」

⏰:08/12/08 22:06 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#191 [ゆーちん]
中学の頃から続いてるバイト。


まぁ簡単に言えば援交ね。


先生は、私が援交してる事なんか知らない。


あの日、私たちに秘密が出来た日から、たまにこうやってデートに誘ってくれるけど…ことごとくいつも援交の予定が入っている。

⏰:08/12/08 22:06 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#192 [ゆーちん]
終わる時間もわかんないし、援交した後に先生に会いたくない。


何よりSEXして、またSEX?みたいな。


先生は客じゃないもん。


やっぱ援交の後に、体重ねたくない。


先生にも悪いじゃん。


さっきまで知らない親父が舐め回し、快楽を突き付けていた体なんて…触りたくないでしょ?

⏰:08/12/08 22:07 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#193 [ゆーちん]
「ごめんなさい。」

「いいよ。でも早くデートしたいんだけど。」

「私とデートすると財布空っぽになるよ?」

「…。」

「アハッ。何でノーリアクションなのよっ!」

「怖い女だなーと思って。」

「もうっ!」

⏰:08/12/08 22:12 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#194 [ゆーちん]
何度キスしても飽きない。


もっとキスしてたい。


なのにチャイム音が私達ひ引き裂いた。


「またメールする。」

「うん。」


チュッと音を立てた可愛いキスを落とし、先に屋上から降りて行った先生。


私は少ししてから降りる事にしてる。

⏰:08/12/08 22:12 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#195 [ゆーちん]
けだるい6時間目を受けてから待ち合わせ場所に向かった。


そこには嬉しそうな顔をした客がいる。


「お待たせっ!」

「ううん、行こうか。」

「うんっ!」


安っぽいラブホテルに着くと、先にお金をもらう。


3万円。

⏰:08/12/08 22:16 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#196 [ゆーちん]
2回ヤりたいなら6万円ね。


フェラして欲しいなら1万円追加。


この客は4万円を渡して来た。


何度も会ってるこの客は、いつも1回のSEXとフェラを要求して来る。


めんどくさいなー、と思いながら客がシャワーを浴び終わるのをベットの上で携帯を触りながら待った。

⏰:08/12/08 22:16 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#197 [ゆーちん]
「お待たせ〜。」


本当、待ちくたびれた。


シャワー室から出てきた客を、笑顔で出迎えて、ベットに座らせた。


「あ、また少し痩せた?」

「実はそうなんだよ!痩せたってわかる?」

「うん!この調子でダイエット頑張ってね!」

⏰:08/12/08 22:17 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#198 [ゆーちん]
メタボが増える世の中で、中年親父でさえダイエットをしてる人が多い。


『痩せたね。』と言えば、気を良くする単純な親父たちは、こんな胡麻すり女を気に入り、また仕事をさせてくれる。


客のアソコを口に入れ、目をつぶりながらしごいた。


情けない声が零れる。

⏰:08/12/08 22:17 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#199 [ゆーちん]
私の長い髪がヒラヒラと体に当たるのが、またイイんだって。


変だよねー。


髪ごときに興奮するなんてさ。


そんな変な人に体売ってる私も変なのかな?

⏰:08/12/08 22:18 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#200 [ゆーちん]
でも、もう抜け出せないよ。


今さら普通のバイトなんて出来ない。


【女子高生】って言う最高のブランドを利用できる内にしっかり稼がないと。


私の口の中で果てた客が、嬉しそうな顔をしながら快楽に浸っていた。


はい、1万円。

⏰:08/12/08 22:19 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


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