俺がホストじゃなかったら
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#292 [ゆう]
タツミさんは何も言わないでずっと俺を見ていた
「それで俺、すげー落ち込んで。俺がホストじゃなかったらこの人の人生は狂わなかったんだって、そう思いました」
「そんな時、ずっと俺を支えてくれてたのは、レナでした。それからちょっとして、成り行きでレナは俺の家に住むことになって、ちょっとの間二人で暮らしてました」
俺は、溶けていくグラスの氷をずっと見ていた
:07/08/17 11:59 :D902iS :☆☆☆
#293 [ゆう]
「でも二人暮らしはすぐ終わりました。レナの電話を聞いちゃって。俺は都合良く使ってるだけだって、寝床にしてるだけだって、そう言ってました」
タツミさんの表情が曇った
「で、部屋出てってもらいました。しばらくの間めっちゃ落ち込んだし女癖も前よりもっと悪くなって。だから、刺されたこともありました」
俺は笑って言った
タツミさんは苦笑いだった
:07/08/17 13:32 :D902iS :☆☆☆
#294 [ゆう]
「だけどしばらくしてレナが店に来ました。謝りに。あの電話は誤解だって言ってました」
「本当に誤解なのか?」
タツミさんの問いに俺は
「わかりません。でもその時の俺は、好きな女は信じるしかねーだろと思って、許して、また一緒に住み始めました」
そう言った
:07/08/17 13:35 :D902iS :☆☆☆
#295 [ゆう]
「それからまた成り行きで、付き合うことになりました。その時レナはキャバ辞めてて、昼間働いてました。だけど付き合って少し経って、またキャバ嬢に戻りました。でも本当は、セクキャバでした」
「お前の店に通うために?」
タツミさんは静かに俺に聞いた
:07/08/17 13:41 :D902iS :☆☆☆
#296 [ゆう]
「レナがセクキャバで働いてるって知った時に問いつめたら、そうやって言ってましたね。俺の店に行きたいからだって。だから俺、また思ったんです。俺がホストじゃなかったらレナはこんな思いしなくて済んだのにって。それで、店には来るなって言ってレナにはセクキャバ辞めてもらいました」
タツミさんは口を挟まず真剣に俺の話しを聞いてくれていた
:07/08/17 13:45 :D902iS :☆☆☆
#297 [ゆう]
「そしたら次はレナ、風俗で働いてて。気づかなかった俺も悪いんですけど。レナ、セイヤに金払ってたんです。店にも通ってるみたいで。セクキャバもヘルスも全部、セイヤのスカウトでした。セイヤとはもう切れてると思ってたからめっちゃショックでした」
タツミさんはため息をついて
「なんでそんな女‥」
と言った
:07/08/17 13:50 :D902iS :☆☆☆
#298 [ゆう]
「俺、レナに依存してたんだと思います。まともな恋愛とかしたことなくて、本気で好きになったのも、レナが初めてでした」
タツミさんは笑って
「お前は相変わらずどうしようもねー男だな」
って言った
:07/08/17 13:52 :D902iS :☆☆☆
#299 [ゆう]
「まぁさすがの俺もキレて、真剣別れも考えました。だけど、子供ができたんです」
タツミさんは驚いたように顔を上げた
「俺昔から子供大好きで。なんか、怒ってるのも忘れるぐらい嬉しくて。3度目の正直みたいに、許して、結婚するって決めました」
:07/08/17 13:56 :D902iS :☆☆☆
#300 [ゆう]
「それから毎日考えるのは子供のことばっかりでした。俺、嬉しくて、おもちゃとか服とか家具も揃えちゃって。名前の本も買いました」
タツミさんは、俺が小学校を卒業してから両親が家を出てったことも知っていたから、この話しの時の表情は穏やかだった
「俺すげー楽しみで、絶対いい親になるって決めました。だけど、子供、産まれないんです」
:07/08/17 14:01 :D902iS :☆☆☆
#301 [ゆう]
タツミさんの表情が変わる
「なんで産まれないの?」
タツミさんの問いに俺は静かにこう言った
「堕ろしちゃってたみたいなんです。それ俺知らなくて。バカみたいですよね、産まれるもんだと思って浮かれてて。部屋まで用意して、子供待ってて。早く産まれないかなーとか勝手に思ってて、実際喜んでたのは俺だけ‥‥‥」
そう言った時俺は、自分が泣いてることに気づいた
:07/08/17 14:05 :D902iS :☆☆☆
#302 [ゆう]
「ほんと、俺、バカっすよ。勝手に信じて勝手に傷ついて、それでもまだ好きって。おかしいってわかってるのに‥好きって気持ちが強すぎて、あー、何言いたいかまとまんねー、意味わかんないっすよね」
俺はちょっと笑った
タツミさんはバスタオルを俺の顔に投げて
「いつまでも鼻水垂らしてんなクソボウズ!」
と言って笑ってくれた
:07/08/17 14:22 :D902iS :☆☆☆
#303 [ゆう]
「もうそんな女別れろ‥って俺が言っても意味ないから、とりあえず気持ちに整理つくまで俺ん所にいろ。お前が帰る頃には元気にさせてやるよ」
タツミさんはそう言ってくれた
「ありがとうございます‥」
俺はタツミさんの優しさを改めて実感した
この日からしばらく俺はタツミさんの家に居座った
:07/08/17 23:59 :D902iS :☆☆☆
#304 [ゆう]
その夜タツミさんは店が休みだったから俺を焼き肉屋に連れてってくれた
「俺ら、昔よくここ来たよな。お前まだ15歳か16歳のガキんちょだったのに、いつの間にか22歳だろ。すごいよな」
タツミさんは懐かしそうな目で俺を見てビールを飲んだ
:07/08/19 11:48 :D902iS :☆☆☆
#305 [ゆう]
「お前が夜の仕事続くとは思わなかったよ」
「俺も思わなかったっすよ」
俺は笑いながら網の上の肉をひっくり返した
「なのに今なんかもうナンバー入りだろ?お前オーラねぇよ笑」
タツミさんは俺が確保していた肉を3枚まとめて食べた
:07/08/19 11:52 :D902iS :☆☆☆
#306 [ゆう]
食べ終わって店を出た俺はその足で仕事へ行った
「これで帰って来いよ」
タツミさんはそう言うと合い鍵を渡してくれた
店につくと、昔から俺を指名してくれてる子が来ていた
:07/08/19 12:05 :D902iS :☆☆☆
#307 [ゆう]
「あ、ユウさん来ました」
ヘルプでついてくれてたのはルイだった
「待たせてごめんね」
俺はすぐそのテーブルについた
「いいよ、あたしさっき来たから。てかルイくんの喋りマジつまんない笑」
「ユウさーん、俺めっちゃ必死なんすよ」
ルイが泣きそうな顔をして俺に言った
:07/08/19 12:14 :D902iS :☆☆☆
#308 [ゆう]
この日は店が暇だったから3人でゆっくり楽しく飲んだ
「俺もナンバー入りたいっす。どうしたらいいんすか?」
少し酔ったルイが俺達に聞いた
「んー、色かけまくって枕しまくれ」
俺は笑いながらそう答えた
「そうだよルイくん。ユウなんか色枕ホストだったんだよ、あたしにも色かけてたからね笑」
:07/08/19 12:28 :D902iS :☆☆☆
#309 [ゆう]
「ユウがまだナンバー入ってない時とか特に!会いたいってメールすると絶対会いに来てくれるの。ちょっと喋っていい所になると『店戻らなきゃ』って行っちゃうんだよね。それであたしも『じゃあ今日店行く!』みたいな笑」
「えーめっちゃベタですやん笑」
ルイは笑いながら俺を見た
「後は、普通に二人で遊んだ時とか『あ、もう出勤の時間だー。同伴だったらもうちょっと一緒にいれるんだけどね』って。それでまたあたしも『じゃあ今日同伴にしよ!』みたいな笑」
:07/08/19 15:12 :D902iS :☆☆☆
#310 [ゆう]
「その時は自分が色とか思ってないから、つい行っちゃうんだよね。今思うとユウもバカだよね、店来させたいのバレバレだし笑」
俺は恥ずかしくなって笑った
「もーいいじゃん、昔の話しとか恥ずかしすぎ」
俺がそう言うとルイは
「なんかもっと初々しいユウさんの話し聞きたいっす」
と食いついてきた
:07/08/19 15:16 :D902iS :☆☆☆
#311 [ゆう]
それからちょっと、俺の昔の話しをルイに暴露された後で
「結構女の子傷つけたでしょ。そろそろちゃんと一人を大切にしなきゃ。いつか自分に返って来て、ユウが傷つく立場になるんだからね」
そう言われた
ルイの表情が一瞬曇ったけど俺は笑って
「俺を裏切る女なんかこの世に存在しねーよ」
と冗談で返してまた笑い合った
:07/08/19 15:24 :D902iS :☆☆☆
#312 [ゆう]
営業が終わった後ルイが
「平気っすか?」
と聞いて来た。
「何が?」
「自分が傷つく立場になるよって話しっす‥今あれ言われたらキツいっすよね」
「あぁ‥あの通りだと思うよ。だから平気」
そう、今まで俺は傷つける立場だったんだから
これはしっぺ返しなんだ
俺はそう思った
:07/08/20 07:18 :D902iS :☆☆☆
#313 [ゆう]
「でも‥子供のことは、違うじゃないですか。ユウさんあんなに楽しみにしてたのに」
ルイはまだ何か言いたそうだったけど、俺は笑って「おつかれ」と言ってタツミさんの家へ向かった
ルイは心の綺麗な人間だと思う
俺みたいな人間にはならないでね
そんなことを考えているうちにタツミさんの家についた
:07/08/20 07:49 :D902iS :☆☆☆
#314 [ゆう]
それからしばらくタツミさんの家で寝泊まりを繰り返したある日、タツミさんがレナについて口を開いた
「レナって子はナオキの家出てったのか?」
「まだわかんないっす、連絡とかもないんで」
「見に行ってみれば?まだ家にいたなら、一回話し合えよ」
タツミさんのその言葉に押され、出勤前に家に戻ってみた
:07/08/20 23:34 :D902iS :☆☆☆
#315 [ゆう]
鍵を開けて中へ入ると、微かにレナの匂いがした
シャネルの香水の匂い
久しぶりのその匂いに俺は胸が締め付けられた
まだ、嫌いになれていない
まだ俺はレナを愛したままだった
:07/08/20 23:37 :D902iS :☆☆☆
#316 [ゆう]
部屋にレナはいなかった
だけど荷物がまとめられている様子もなく、レナはまだここにいることが分かった
待っていれば帰って来るかもしれない
そう思った俺は店に、同伴で遅れると電話を入れた
:07/08/20 23:47 :D902iS :☆☆☆
#317 [ゆう]
ソファに座ってテレビをつけて待っているといつの間にか寝てしまった
ここ最近ろくに寝れなかったから、起きたら3時間ぐらいは経っていた
目を覚まして振り返るとレナがテーブルに肘をついてこっちを見て座っていた
:07/08/20 23:55 :D902iS :☆☆☆
#318 [ゆう]
「あぁ‥ひさしぶり」
俺は寝起きの声でレナに言った
「え、てゆーか、なんでいきなりナオキがいんの?しかも何で寝てんの?」
「だってここ俺の家でもあるし。まだレナいるかなと思って見に来た」
「いたら何なの?」
「ちゃんと話し、まだしてないから」
:07/08/21 00:04 :D902iS :☆☆☆
#319 [ゆう]
「レナは、どうしたいの?」
少しの沈黙後、俺が口を開いた
「それどういう意味で?」
「なんで堕ろしたん?別れたかった?」
俺の言葉にレナは黙った
:07/08/21 00:07 :D902iS :☆☆☆
#320 [ゆう]
「‥うん」
随分黙った後レナがそう言った
「ナオキのこと好きじゃなかったし、子供とか面倒じゃん。だから早く別れてよ」
「‥‥‥わかった」
俺はそれしか言葉が出なかった
現実はそう簡単に俺の頭に馴染もうとしない
:07/08/21 23:12 :D902iS :☆☆☆
#321 [ゆう]
「じゃあ、そういうことだから。ここはちゃんと近いうち出てくから」
レナは淡々と言うとそのまま家を出て行った
取り残された俺はソファに深く座ってただ呆然としていた
携帯を取り出して見ると、客から何件か着信やメールが入っていた
俺はその中から適当に客を選んで電話をかけた
:07/08/22 23:37 :D902iS :☆☆☆
#322 [ゆう]
「あ、もしもし?今どこ?あのさ、今から同伴してくれない?いつものお礼で、今日は俺のおごり」
その客はすんなりオッケーしてくれた
どんな状況でも仕事は行かなきゃいけない
どんな状況でも仕事中は笑ってなきゃいけない
何で俺っていつでもこんなに仕事優先なんだろう
:07/08/22 23:42 :D902iS :☆☆☆
#323 [ゆう]
店が終わった後また俺はタツミさんの家に帰った
心配してくれてたタツミさんに、レナとの会話を話すと
「ナオキ、お前とんでもない女に引っかかったなぁ」
と笑ってくれた
悲しい反面、ずっと騙され続けたのかと思うと情けなくて、俺まで笑えてきた
:07/08/23 12:55 :D902iS :☆☆☆
#324 [ゆう]
一週間くらい経ったある日
夕方に目を覚まして携帯を見ると、客の他に『レナ』の文字が受信ボックスにあった
俺は急いでメールを開いた
『部屋でてったから』
内容はそれだけだった
受信時間はとっくの前なのに、俺はタツミさんの家を寝起きのまま飛び出した
:07/08/23 18:09 :D902iS :☆☆☆
#325 [ゆう]
俺はスウェットのまま地下鉄に乗った
タツミさんのアパートから俺のマンションは一駅だった
何でこんなに急いでるんだろう
会えるわけないのに
そんなことを考えているうちに俺のマンションについた
:07/08/23 18:15 :D902iS :☆☆☆
#326 [ゆう]
鍵でドアを開けた
その拍子に、ドアについてる郵便受けから金属が擦れる音がした
郵便受けを開けると、レナが持っていた合い鍵が入っていた
ポストの中の鍵が、二人の関係の『終わり』を俺に教えてくれた
部屋にはまだ微かに、レナの残り香があった
:07/08/23 18:21 :D902iS :☆☆☆
#327 [ゆう]
:07/08/23 18:22 :D902iS :☆☆☆
#328 [ゆう]
:07/08/23 21:19 :D902iS :☆☆☆
#329 [ゆう]
部屋に入ると、レナのものは全てなくなっていた
レナの化粧品、レナの服やバッグや靴、レナの歯ブラシ、コップ、雑誌
もとから荷物が少なかったから、ここで俺とレナが暮らしていたことを証明するものは、もう何ひとつ残っていなかった
:07/08/24 01:36 :D902iS :☆☆☆
#330 [ゆう]
レナに『今までありがとう』ってありきたりなメールを送ろうと思ったけど、もうアドレスは変えられていた
完全に終わった
俺の長かった恋
俺の初めての恋
俺を変えてくれた恋
たくさん裏切られたけど、それでも大好きだった
ほんと、バカだよね
:07/08/24 01:50 :D902iS :☆☆☆
#331 [ゆう]
それからの俺は最悪だった
仕事に身が入らない
指名も売り上げも数字は下がり、ナンバーも1から2に下がった
客に「最近元気ないね」って言われたくない一心で、わざと明るく振る舞ってみても裏目に出るばかりだった
:07/08/24 02:01 :D902iS :☆☆☆
#332 [ゆう]
女に振られたぐらいで仕事に支障が出るとかダサすぎる
楽しませなきゃと思って頑張る程、いつもの接客が出来なくなっていった
「ユウくん最近どうしたの?」
そう俺に話しかけてきたのはオーナーだった
:07/08/24 02:06 :D902iS :☆☆☆
#333 [ゆう]
「ナンバー、下がったみたいだけど。最近、調子悪そうだね」
「はい、すんません」
「ユウくんには新しい店任すことになってるんだから、ナンバー1でキープしといてもらわなきゃ」
そう言うとオーナーはスタッフルームを出て行った
俺は何かムシャクシャして近くにあったゴミ箱を思いっ切り蹴り飛ばした
:07/08/24 02:13 :D902iS :☆☆☆
#334 [ゆう]
「ユウさん、大丈夫ですか?」
俺が倒したゴミ箱を直してる時、ルイがスタッフルームに入ってきて俺にそう聞いた
「へーきだよー」
「ゴミ箱、蹴ったんすか?」
「でもちゃんと直したよ」
「‥ユウさん、何かダサくて可愛いっす」
「うっせ、きもちわりー」
俺は笑った
:07/08/25 12:36 :D902iS :☆☆☆
#335 [ゆう]
「笑ってくれましたね」
ルイがニコッと笑った
「え、俺いつも笑ってるし」
「いやいや、最近の顔、死んでますよ。調子も悪いじゃないですか。ホスラブとかでめっちゃ言われてるっすよ」
「出た。またホスラブかよ」
そう言いつつ俺は自分が何て叩かれてるのか気になってルイに見せてもらった
:07/08/25 12:45 :D902iS :☆☆☆
#336 [ゆう]
『今回のナンバー教えて』
『ケン、ユウ、マサキだよ。それ以下は知らない』
『ユウ下がったね』
『最近初めてこの店行ってユウ指名したけど別に大したことなかった笑』
『最近調子悪いよね』
『本命にフられたんだよ』
『本命って誰?』
『本命は私だよ』
『↑一生ユウに騙されとけ』
:07/08/25 13:04 :D902iS :☆☆☆
#337 [ゆう]
『ユウは色枕ホスだからナンバー1は続かないよ』
『ユウは枕しないよ』
『昔はバリバリ枕だったよ』
『中学の時からタラシでヤリチンだったらしいよ』
『うわー幻滅』
『↑関係ないじゃん、営業妨害やめろ』
『女で遊ぶ奴は女に遊ばれる』
:07/08/25 13:23 :D902iS :☆☆☆
#338 [ゆう]
結構痛い内容の書き込みばかりだった
「うわー、すげー言われようだな俺。誰がここまで知ってんだよ」
「大丈夫っすよ、ホスラブなんかデマばっかりだし」
「いや、実際この通りなんだけどさ笑」
だけど何だかんだ言って俺は、ホスラブで叩かれるのとかは慣れてたから気にしないでいた
:07/08/25 13:37 :D902iS :☆☆☆
#339 [ゆう]
それから数日後、俺はいつものように出勤して、指名されたテーブルについた
「アイ、久しぶりだね」
この日俺を指名したのはキャバ嬢のアイ
「久しぶりー!ちょっとの間キャバ出勤してなかったから来れなかった」
アイはそう言うと申し訳なさそうに笑った
:07/08/27 13:40 :D902iS :☆☆☆
#340 [ゆう]
それから何度か他からの指名が被って、アイのテーブルをちょくちょく離れた
戻って来た頃にはアイはかなり酔っていた
アイは酔うと手がつけられない
「ばか、そんな飲むなっていつも言ってんだろ」
俺はアイが飲んでいたグラスを取り上げた
:07/08/27 21:58 :D902iS :☆☆☆
#341 [ゆう]
「あーもう!うるさいなぁ!」
うわ、始まった‥
アイは酔うといつもこうだった
だから俺もなるべく長い間席を離れないようにしていた
「ユウ、いい加減はっきりしてよ!」
俺からグラスを奪い取ってアイが言った
:07/08/28 14:05 :D902iS :☆☆☆
#342 [ゆう]
「なにがだよ笑」
いつものことだと思った俺は適当に話しを流して、小さい子を扱うようにアイの頭を撫でた
「いつもそうやってはぐらかすやん!アイは彼女なん?客なん?本命って誰?」
アイは俺に詰め寄った
:07/08/28 16:24 :D902iS :☆☆☆
#343 [ゆう]
「ユウもアイのこと好きやと思ってキャバ頑張って店通っててん。本命ってレナちゃんなん?」
突然レナの名前を出されて俺は戸惑った
「レナは、俺とは関係ないよ」
「そうやんな、レナちゃん、ユウのこと利用しててんもんな」
アイはそう言うと少し笑った
:07/08/31 13:21 :D902iS :☆☆☆
#344 [ゆう]
何でアイがレナのこと知ってるの?
何でそこまで知ってるの?
そう思ったけど、平気なふりをするので精一杯で何も聞けなかった
俺は利用されてただけ
そうだよね
俺、ほんとダサいよね
:07/08/31 13:26 :D902iS :☆☆☆
#345 [ゆう]
次の日、アイからメールが入った
『昨日は酔って変なこと言ってごめん。アイのこと色でも、アイはユウが好きやよ』
メールにはそう書かれていた
胸が苦しくなった
『無理して店来なくていいよ、会いたくなったら外で会おう』
俺はそれしか言えなかった
:07/08/31 13:34 :D902iS :☆☆☆
#346 [ゆう]
ちょっと前までは、これが仕事なんだから仕方ないと思っていたことも
仕事だからって平気で出来たことも
レナにふられてから、出来なくなった自分がいた
好きな人に裏切られる辛さを知ってしまったから、簡単に『好き』という言葉が言えなくなった
人の痛みに敏感になって、弱くなっていた
:07/08/31 13:40 :D902iS :☆☆☆
#347 [ゆう]
更新遅れてごめんなさい
今ちょっと仕事の方でトラブルがあって忙しいです
待っててくれてる人ごめんなさい
今からちょっと更新します
:07/09/07 15:19 :D902iS :☆☆☆
#348 [ゆう]
「もう色とか出来なくなってきたー‥」
ルイと二人で仕事帰りに立ち寄った早朝のファミレス
俺はそう独り言のように呟いた
「アイちゃんのことっすか?」
ルイは口をもごもごさせながら俺に聞いた
:07/09/07 15:24 :D902iS :☆☆☆
#349 [ゆう]
「あぁ‥前の俺なら確実にアイに色かけたよ。絶対付き合ったと思う。アイ、付き合ったらすげー店とか通いそうなタイプじゃん」
「そうっすね」
「でもさ、嘘で好きって言えなかった。好きだった人が、本当は俺のこと好きじゃなかったって、めっちゃ悲しいことだからさ」
:07/09/09 11:48 :D902iS :☆☆☆
#350 [ゆう]
「ユウさん、それでホスト続けられるんすか?」
ルイが俺に聞いた
ルイの言いたいことは分かった
今の俺じゃホストに向いてないってこと
「出来るだろ。客が払う金額に見合った、むしろそれ以上のサービスを提供するのは、嘘ついて騙したり、色かけたりしなくても出来るはずじゃん」
俺はそう言った
:07/09/09 14:47 :D902iS :☆☆☆
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