微妙な10センチ。〜最終〜
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#387 [あき]
《俺はいつでも、手を伸ばしてるよ。なのに、あきは、それに掴まってくれない。なのに、どう勝負しろって言うんだよ…。》

彼の淋しい声に私はまた涙が溢れた。

『届かないよ…。
私は一生懸命伸ばしてるのに、西条さんの手。遠いもん…
なのに、こっちに来いばっかりで…

彼が、背中を引っ張るんだから、西条さんの手に届かないんだよ…。もう少し伸ばしてよ…。
掴みたいの…。』

⏰:09/08/27 00:55 📱:W65T 🆔:4Iumt6lI


#388 [あき]
《…俺には無理だ。
 これ以上は、伸ばせない。
 俺はあきが好きだったよ。》

この夜。
私達の付き合いに、終止符が打たれた。
あの二度目の再会から、たった数ヶ月だった。
彼の、最後の言葉だけが胸に響く。
私は、自分の意志の弱さから
なおちゃんも、西条さんも失った。
二兎追う者は一兎も得ず。
昔の人は巧いこと言うもんだ。

自分の馬鹿さ加減にほとほと吐き気がした夜だった。

⏰:09/08/27 01:03 📱:W65T 🆔:4Iumt6lI


#389 [あき]
また、面白みのない生活が始まる。毎朝早朝に起きて、深夜まで働く。一時は干された仕事。私達の終演と共に、職場でも人の噂は七十五日。噂が消沈したのか、はたまた、やはり若手には難しかったのか、少しづつ私の手元に仕事が戻ってきた。私は、また言われるように、言われるがまま、夢中で働いた。あれ以来、彼からの連絡は無かった。私は、一時、淡い夢を見ただけだと、そう自分に言い聞かす。仕事をしていると、時々耳にする、彼がいる地方の出張話。ドキンと胸が鳴った。何食わぬ顔をして、資料を盗み見する。そこには、変わらず、提携先として彼の社名が記載されていた。けれど、そんな噂を立ててしまった私には関係のない出張話で。勿論、立候補する勇気も無かった。彼と出会う前の日常に戻っただけの話。

⏰:09/08/27 01:22 📱:W65T 🆔:4Iumt6lI


#390 [あき]
さえちゃんには、終わったよ。とただ、それだけを告げた。
彼女は、それで良かったんだよと電話口で微笑んでくれた。

そんな日々が数週間経った。

もう、全てを忘れよう。

そう自分に言い聞かせ、日々の生活を取り戻したその日。

一本の連絡が、また私を荒波へと引きずり込んでいく−…

⏰:09/08/27 01:32 📱:W65T 🆔:4Iumt6lI


#391 [る]
失礼します

>>1-100
>>100-150
>>151-200
>>200-300
>>301-400


>>330

⏰:09/08/27 09:31 📱:911SH 🆔:GUni/6H2


#392 [あき]
色々とあって、
またまたまたまた?
機種変更をしました。
(※もう何台目だろ…(^へ^;)ゞ)
最終章完結に向けて、こつこつやります。

〜あき〜

⏰:09/09/03 18:32 📱:W64S 🆔:3fznAjFs


#393 [あき]
今朝の目覚めは最も悪いと書いて、最悪だった。気分の乗らないまま、荷物をまとめて駅に向かう。
今朝の早朝五時。
耳元で、つん裂く携帯電話の着信音で目覚めた。

《…はい》

《悪いっ!緊急っ!すぐ起きて飛ぶ準備して!》

あのインテリ眼鏡をかけた女上司のがなり声で目覚めるなんて。

《……はぁ……なんですか…》

寝ぼけた頭は、やっとの思いで言葉を発した。起きてしまったのが間違い。

⏰:09/09/03 23:45 📱:W64S 🆔:3fznAjFs


#394 [あき]
《田中が、今日からの三日間○×地方が飛べなくなった!変わり探してんのっ!あんた行けるよねっ!?》

飛ぶとは、私達の業界では出張の通称。
田中とは、私の直属、数年下の後輩。
○×地方とは、ここから新幹線で数時間の先で、過去に受け持った地方。

《……はぁ……そりゃ…なんとか……》

寝ぼけた頭は、事態を未だ把握せず、生半可な返事を繰り返す。

《起きろっ!!資料は今からファックス流すっ!いいねっ!!》

インテリ上司は切迫感溢れる声で、私を叩き起こした。そして、返事を待たずして、電話は切れた。

⏰:09/09/03 23:54 📱:W64S 🆔:3fznAjFs


#395 [あき]
そして、直ぐ様、今やファックス専用とも言うべき電話が部屋中に鳴り響き、ジージーと何枚にも及ぶ用紙が送られて来た。
無言で、起き上がり、フラフラと電話の前に立つ。
送られてきた資料を一枚一枚眺めながら、私の脳みそは動き出す。


『…はぁっ!?まじかっ…』

一通り目を通して、私は確実にそう言った。

⏰:09/09/03 23:59 📱:W64S 🆔:3fznAjFs


#396 [あき]
髪を縛り、顔面に特殊メイクを施しながら、エンドレスに流れてくる何枚にも及ぶ資料に目を通して、突然割り振られた仕事を確認する。
自惚れではないが、資料内容は容易に把握できた。
私には慣れた案件。
インテリ上司が、突然に私に割り振った意図がわかる。

ただひとつ。
引っ掛かる項目。
地方名。

(…西条さん……)

彼の会社名がその資料には記載されていた。

⏰:09/09/04 00:10 📱:W64S 🆔:tYpkgbEE


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