微妙な10センチ。〜最終〜
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#701 [あき]
『で?だから?私に何を言って欲しいわけ?〃』

『思ったままをどうぞ。俺は、女の気持ちがわからん!!』

『なおちゃんは、その子の事、女としてどう思った?』

『…いや。特に…』

『なら、相手を傷つけるだけだよ。やめとけ、やめとけぇい〃』

明るく、私らしく
彼から除外させる。
昔から、この言葉で、私はライバルを蹴落としてきた。

卑怯だ。
本当に、私は卑怯だ…

自分は、寂しさから耐えられず、フラフラとしてたくせに。
なのに、誰にもなおちゃんには触れて欲しく無かった。
ただの嫉妬。

⏰:09/10/31 03:08 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#702 [あき]
なのに女心の解らないなおちゃんは言った。
私の言葉に、そうだよなと頷きながら。
だけど
私の目の前で。
いつもの調子で。
言った。

『いや、でも俺も一人は疲れるし。そろそろ、いいかなと思うんだよな。』


どうしてだろう。

私には、西条さんがいるのに。

なおちゃんの言葉に


ズキンときて。
グサリときて。


カッとなった―…

⏰:09/10/31 03:18 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#703 [あき]
『なら、付き合えばいいじゃん。その彼女、ボロボロに傷つけると思うけどね。』

『んだよ。その言い方。』

カチンときた悪いクセ。なおちゃんに向けて、思ってもない言葉が飛び出した。なおちゃんは、ギターを置くと、私の目を見る。その目は、深い所で光っていて、不愉快さを表していた。それは、瞬時にわかったけど、言い出したのは自分。やっぱり後には引けない。

『だって、今まで興味示さなかったくせに、今回のその彼女にはなおちゃんも何か、魅力を感じたから、付き合ってもいいって思えるんでしょう。
なら良いんじゃないって言ってるの!』

⏰:09/10/31 03:41 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#704 [あき]
『そうだな。そっちも、嫁の貰い手出来たみたいだし?』

『……』


『いいんじゃね?
想われる相手と一緒にいる方が幸せなんだよ。きっと。』


『そんな事ない!!
好きな人と一緒にいる方が幸せだよ!!』


『そうかな?好きにならなきゃ生まれない感情は沢山あって、それは、ほぼ苦痛でしかねーよ。会いたいに始まり、悲しい、寂しい、嫉妬に、怒り…な??疲れるだろ??』

⏰:09/10/31 04:02 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#705 [あき]
『それは間違ってる。好きになってもらえない相手といる方がツラいんだよ!!』

『あきはどうなんだよっ?なら、その彼の事傷つけてんじゃねーの?いい加減にハッキリしてやれよっ。』

『そんなのわかってるっ。だけど、私は幸せになりたいのっ!だから、彼の所に行く事も真剣に考えて…』

『あっそ。なら、好きにすれば?俺も、彼女の事考えてやるつもりだし。』

『…あっそ!するわよっ!!バカッ!!』

⏰:09/10/31 04:19 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#706 [あき]
バックを掴み、部屋を飛び出した。
バタバタと降りる階段に、なおちゃんのお母さんが不思議そうに居間から顔を覗かせる。

『あきちゃ…』
『おばちゃん!お邪魔しましたっ!!』

目を丸くした、お母さんに声を掛けられて、私は、顔を背けて挨拶をする。
そのまま、バタバタと玄関を飛び出した。
そんな私の背中を、呆然と見送る姿が目に浮かぶ。
だけど、その姿は溢れる涙ですぐに消えた。

暗闇の中。
流れる景色の中、夢中でアクセルを踏み続けた。

⏰:09/10/31 04:26 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#707 [あき]
なおちゃんが、誰と交際しようが、どこで何をしようが。私には怒る理由なんて、ない。
そんな事、この何年もわかっていた。だからこそ、耐えてきた。
なのに今夜は、この悔しさも、この悲しさも、とめどなく泪となって溢れ出てしまう。
この泪で消し去りたくなる。私の心の淡い灯火。

『なおとの馬鹿野郎!!』

ハンドルをガツンと殴ってみる。手の痛みの変わりに心が痛かった。

彼が放つ言葉の数々に一喜一憂して。
バカみたいに信じて。
それからずっと
心に灯され続けた消える事のない淡い光も。
その微かに光る灯火を信じて待ち続けた、私自身の存在も。
そんな私の時間も全てを否定されたように思えて。泪が止まらなかった。

⏰:09/10/31 04:48 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#708 [あき]
コメ失礼します。
いつも読んでいます!
お互い求め合ってる様に感じました。
最後まで読みます。頑張って

⏰:09/10/31 14:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#709 [あき]
あきさん、いつも有難う! あきより。笑

⏰:09/10/31 21:36 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#710 [あき]
――――――――

部屋は静かで、何もやる気が起きない。
ソファーに転がり、無音の中で、さっきの出来事を思い出す。
勢い余って飛び出したなおちゃんの部屋。
バタンと閉めた部屋の扉。バタバタと降りた階段の感触。
それらは、まだ手足に残っていた。
なおちゃんは、いつも、冷静沈着で。
いつも大人で。
私ばかりが子供扱いで。だけど、なおちゃんの隣は心地好くて。
わかっていたのに。
私は何を求めて何を間違って…
どうしてこんな事になってしまったんだろう。

⏰:09/10/31 21:43 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#711 [あき]
なおちゃんの手を離したのは私。

幸せを掴む友人達を目の前に。
羨みそして自分の現実に焦り戸惑った。

いつまでもいつまでも。曖昧な言葉の向こう、微かに見え隠れする不安定な未来に夢見る歳でもない。
そう思った.
その瞬間、私は何かを見失って。
未来より、目の前の確実なる現実に手を伸ばしたのだ。
全てを過去にし、現実を掴み、確かなる未来を―…
あの瞬間、私はそう選んだ。


その結果がこの有り様で…

⏰:09/10/31 22:09 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#712 [あき]
思い返しても。
あの時、あの瞬間…
いや、なおちゃんに恋した瞬間から。
私はただ、寂しかっただけ。
誰かに愛されているという[今]が欲しかっただけ。
掴んだ現実。
なのに、私の中は、いつも、なおちゃんで一杯だった。誰も入る余地なんてなかった。
すぐにわかったのに…引き返せば良かったのに。
弱虫の私は、引き返せなかった。
最悪最悪な女。

⏰:09/10/31 22:16 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#713 [あき]
なおちゃんの口から聞かされた[現実]に、ただ、後悔の波が押し寄せる。
仕方ない
仕方ないんだ。
私が、西条さんのモノになったように。
なおちゃんが、誰かのモノになっても。
仕方ない。

そう自分に言い聞かせ
ソファーの上。
膝を抱え
子供の様に
ただ、泣きじゃくった―…

⏰:09/10/31 22:20 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#714 [あき]
―――――――

あの夜から、なおちゃんとは、音信不通。
もしかしたら、なおちゃんは[彼女]といるのかもしれない。
そんな余念が、私を遠ざける。
あの真っ青携帯の女の時と同じ。
ただ、あの時と決定的に違う事。
それは―距離―あの頃すぐ傍で感じられたなおちゃんの生活が。
今の私達には、ここから北へ遥か数十キロの距離に憚られ、何も見えなかった。
意識は、北へと向かうものの、今夜もまた、反対側、遠く離れた南にいる、西条さんに縛られ身動きが取れないでいる。

⏰:09/10/31 22:29 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#715 [あき]
『うん。…もう寝るしっ…〃うんっ。出来れば言うからっ…じゃおやすみなさい。』

電話を切り、溜め息が漏れる。

あれ以降も、まるで何事もなかったかのように、彼は毎日の電話を欠かさなかったし、毎日のように、私に愛を求めた。

私はというと。
まるで彼の愛に逆らうように、冷めた感情で、彼の愛を受け入れ。
言葉を発した。

許せなかった。

⏰:09/10/31 22:49 📱:W64S 🆔:.0W.fEWM


#716 [あき]
あの日、あれは彼は私を繋ぎ止める手段だったと。
百歩…いや一千歩…まだまだ…一億万歩…うーん…よし百億万歩譲ったとして、理解をしよう。

だけど、二度目のそれは許せなかった。

私の体を知ったうえでのそれは、やっぱり許せなかった。
これは、同じ苦しみや不安を背負う女性にしかわからないかもしれない。
体を知ったうえでの、それは、ただ単に快楽、もしくは支配感。その捌け口としか思えなかった。
勿論、そんなつもりはないと言われても。
私には屈辱―…
の何物でもない。
そして、やはり、そのものが、深く深く傷として残った。

⏰:09/11/01 01:24 📱:W64S 🆔:vcC6lnxA


#717 [あき]
彼の戦略にまんまとはまった私はただ、彼を受け入れるしかなかった。

99パーセント無理だと言われ続けた体でも。
まさかまさかの、このタイミングで、残りの1パーセントの奇跡が起きてしまっていたらと考えると震える。
私はもう、本当に彼から逃げられない。
選択は許されない。
一生、諦めるしかなかった。

滑稽だけど
普通の女の子のように。拭いきれない不安と、日々一人で戦っていた。

⏰:09/11/01 01:48 📱:W64S 🆔:vcC6lnxA


#718 [あき]
彼自身、あれが全てのように、より一層私を呼び寄せる意思を強めていた。

私の中の分身が

そりゃさ、我が侭で傲慢で自分とは合わない奴だけど。
もう二度と、こんなに愛される事はないのかもしれないよ。
いっそこのまま飛び込んでしまえ!
一緒に生活すりゃぁ、愛せる時が来るよ。


そう言う。
だけど、もう一人の私が

本当にいいの?彼でいいの?なおちゃんへの想いを忘れられるの?行ったら、二度となおちゃんに会えないよ?一生彼だよ?愛せるの?

そう言って腕を掴む。

⏰:09/11/01 02:02 📱:W64S 🆔:vcC6lnxA


#719 [あき]
仕事復帰を果たし、折り合いがつかなくなり、今や修復不可能の大御所連中に揉まれながらの日々の暮らしに加え。

遠く離れた西条さんとの戦いの日々。

そしてあれ以来避けてきた、なおちゃんへの心の葛藤。

そうした、目まぐるしい時間の中で。

月日はあっという間に流れた。

そして

私は、更なる体の異変に気がつく―…

⏰:09/11/01 02:10 📱:W64S 🆔:vcC6lnxA


#720 [あさか]
アゲ

⏰:09/11/08 22:42 📱:SH906i 🆔:FYfu5g7E


#721 [りん]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700

⏰:09/11/09 18:18 📱:P905i 🆔:GiV21S1Y


#722 [ももか]
あきさん、この話しは
今リアルタイムの出来事ですか

⏰:09/11/11 17:04 📱:P03A 🆔:MRJ2oyes


#723 [なお]
体大丈夫ですか

初めから、ずっと読んでます。
なので、あきさんのこと、体のことすごく心配になったから、コメントしました
私には、あきさんが「なおちゃんがやっぱり好き」っと前みたいに素直に言って戻って来てくれるのを心底に願っているように思います。待ってると思います。
なおちゃんもあきさんと同じように助けを求めたい人はあきさんしかいない思います。
あきさんじゃないとダメだと思います。
勝手なことを言って本当にすみません。
でも思いは言葉にしないと伝わらないから、、だからあきさんには後悔だけは絶対にしてほしくないです。

⏰:09/11/12 00:31 📱:P03A 🆔:w5I/bXMY


#724 [れぃな]
私もこの小説ら、あきさんが大好きです!無理せず、頑張ってください☆☆

⏰:09/11/12 22:33 📱:N905i 🆔:JNHfaKMI


#725 [あき]
皆様、コメント有難うございます。
一つ一つ大切に見させて頂きました。
待って下さって有難うございました。

⏰:09/11/16 20:36 📱:W64S 🆔:u8G2/lLk


#726 [あき]
――――――――

『また飲んじゃった…』

錠剤のカプセル。
飲み干したミネラルウォータ−。
たった今、自らが手を伸ばしたそれらを見つめ、私は呟く。

『ダメだよな…』

殻になったそれらを見つめながら、自分に溜め息をついて、頭を抱えた。
だけど、飲み干した私の体は直ぐに心臓がバクバクと音を立てて、息苦しくなって,クラクラと目眩がして。

その感覚が。
私の精神を落ち着かせてくれた。

⏰:09/11/16 20:49 📱:W64S 🆔:u8G2/lLk


#727 [あき]
白い錠剤。

これは今の私には、無くてはならないものとなった。

ただの鎮痛剤―…

苦痛を和らげてくれるそれは、私には何事にも変えられないものとなった。
それが…
この白い錠剤を飲み干さないと落ち着かなくなった。

一錠…二錠…三錠…

無意識に飲んでしまう。
今は少しチクッとした事に反応し。
一度に四錠…飲み干した。

⏰:09/11/16 20:54 📱:W64S 🆔:u8G2/lLk


#728 [あき]
依存―…

依存なんて言葉が当てはまるのかはわからない。ダークなイメージが強いこの言葉。
自分には関係のない世界だと思っていた。
なのに。
間違いなく、今の私は本来の目的すら見失い、用途を見失ったまま。目の前の白い錠剤を飲み続けている。

持ってないと落ち着かない。
飲まないと落ち着かない。

異常なまでの量を、一度に何度も…
飲み干した。

⏰:09/11/16 21:01 📱:W64S 🆔:u8G2/lLk


#729 [あき]
一度に四錠飲み干した体はドクンドクンと脈動が激しくなり、それが全身に伝わる。

『きた…』

視界は、一瞬ぐにゃりと曲がるけれど、これは、すぐにハッキリと見える。

次に体温が急上昇し、胸がカッと暑くなる。


そして、私の精神は
それらを全身で受け止めて。

そして、何故か安らいだ。

⏰:09/11/16 21:09 📱:W64S 🆔:u8G2/lLk


#730 [あき]
そんな裏の姿を見せず、笑顔で出社する。
隙を見つけては、錠剤を多量に飲み、また笑顔を作る。

『痩せたよねぇ!』

外に出て、交わす会話の中に自分自身の体の変化を知らされる。
勿論自覚はしてない。
なんなら、相変わらずの子豚体系だと思っているけれど、最近は、必ずそう声を掛けられた。
昔から体重の変動は激しい方。
忙しくなれば痩せるし、悩みがあれば痩せる。
だけど、直ぐに元通り。
いつもの事と、そんな言葉すら特に気にもしなかった。

⏰:09/11/16 21:27 📱:W64S 🆔:u8G2/lLk


#731 [あき]
西条さんとは相変わらずの関係を続けていて。

なおちゃんとも、相変わらずで―…


だけど、考えたって何も解決しない事は明確で。
もはや私には、どちらも煩わしくて、どうでも良くなっていた。

ただ、日々
流されるがまま過ぎていて。

淡々と過ぎていた。

⏰:09/11/16 21:50 📱:W64S 🆔:u8G2/lLk


#732 [あき]
――――――――

何気無い昼下り。
簡単にコンビニおにぎりで昼食を済ませ、いつもと変わらず、与えられた書類に目を通し、与えられた仕事に取りかかる。
ふとデスクの横、コピー機の前に立つ後輩の蒼白い顔が気になった。

『大丈夫?顔色悪いよ?』

声をかけてみる。
後輩は、そんな私の声に昔からひどくて。と小さな声で苦笑いをした。

ああ。あれか。

『鎮痛剤あるよ?飲む?』

そう言ってデスクの引き出しからポーチに入れた錠剤を差し出した。後輩は、助かりますと苦笑いをして一錠受け取ると、給湯室に向かったのだろう。うねりをあげるコピー機をそのままに、私の前から立ち去った。

⏰:09/11/17 01:47 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#733 [あき]
(生理痛ねぇ…〃)

そんな後輩の背中を見送り、可哀想にと少し肩をすくめ、再びデスクに戻り、書類に向かう。ボールペンを握り、はたと手が止まった。

……
………

視線をデスクの隅。
毎年、出入り業者に貰い、強制的に配布される可愛げも何もない無機質な月めくりカレンダーに移す。

……
………

⏰:09/11/17 01:56 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#734 [あき]
引き出しを開け、スケジュール帳を開いた。

がさつな性格の私でも、何故か昔からこれだけは欠かさない。
日々のスケジュールは勿論の事、何らかしらの形で、日々の生活を記してきていた。
感想であったりメモであったり…
一冊のノートには、私の日々が記されている。
ペラペラとめくり、目的の文字を探す。
今月はまだ、目的のものを見つけられない。
ページをめくって、先月、先々月の自身のスケジュールを確認する。やはり先月、先々月もまた、目的のメモ書きは見つけられなかった。やっと見つけた目的の文字が最後に記されていたのは…

三ヶ月も前だった。

⏰:09/11/17 02:12 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#735 [あき]
(………)

三ヶ月前には、ハッキリと日付にはマル印、その数日後には、バツ印がついている。
これもまた私の昔からの癖で、私だけの決まった印。

その文字(印)が、三ヶ月前を最後に、今まで記されていない。
スケジュール帳をパタリと閉じて、静かに引き出しに収める。
再びカレンダーを見つめ、今月も、あともう少しで終わる頃だと改めて気付いた。

心臓がバクンと鳴り、ドキンドキンと脈を打った。

⏰:09/11/17 02:24 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#736 [あき]
―――――――

感じた事のない恐怖。
物音ひとつしない冷めた部屋のソファー、暗闇の中、ただ、ただ体を抱える。外はザーザーと本降りの音がしていた。

『…まさか…』

本能なのか、潜在意識の中にあった憧れなのか、自然と手がお腹に伸びる。

『…はは…まさかぁ〃無理だしっ!』

意識が拒絶し、伸ばした手をハラハラと振り払い、意識を多量に飲み干し続けた錠剤を見つめる。

『……いや、こっちでもマズイよね…』

⏰:09/11/17 22:41 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#737 [あき]
黒い闇に悪魔の声が聞こえる。その声に一瞬心が揺れた。揺れてそして。

『……最低…』

そう呟き、涙が溢れた。情けなくて悔しくて涙が止まらなかった。
この言葉は誰に向けられた言葉でもない。

(今までこんなに薬を飲んでんだから…飲み続ければ大丈夫…)

悪魔の…いや私自身の声が聞こえ、それに頷いたのも、また私自身。
おぞましい私自身
に向けた言葉だった。

⏰:09/11/17 22:53 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#738 [あき]
頭を抱え、溢れる涙をそのままに、ただひたすら言葉を吐き続けた。
今はただ、そうするしか出来なかった。

『ごめんなさい…
ごめんなさい…』

本当は
気付いてた―…


あの時あの瞬間から。
起きるかもしれない奇跡に、覚悟をした筈なのに。

私は…
私という人間は…

⏰:09/11/17 23:19 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#739 [あき]
湧き出る感情は。

歓び

でも

希望でも

なく―…


恐怖。

であるという事が。

どうゆう意味なのか。

⏰:09/11/17 23:20 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#740 [あき]
そして今、現実になるかもしれないと思えば思う程。私は恐怖に怯えた。

それは
間違いなく。
その小さな奇跡を起こそうとした彼の想いへの裏切りだという事に。

『ごめんなさい…
ごめんなさい…』

起きているのかもしれない0.1パーセントの奇跡を、瞬時に自分の保身の為だけに消そうとした事に。

『ごめんなさい…
ごめんなさい…』

⏰:09/11/17 23:30 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#741 [あき]
『ごめんなさい…
ごめんなさい…』


とっくの前から
わかってたのに…
彼を突き放せなかった。
一人になるのが怖かった。

彼の心を裏切った。



『ごめん…ごめんね…』

信じてくれてたのに。
私の全てを受け止めてくれてたのに。

その一番大切で一番大好きな温もりを

裏切った。

⏰:09/11/17 23:49 📱:W64S 🆔:hcsGFdM6


#742 [あき]
――――――――

―ピッ。

《んん?》


『あっ…あたしぃ〃』

《おうっ》

『あのね…あたしね疲れちゃって。でもね、すっごく苦しくて…』

《はぁ?》


『…助けて…なおちゃん…』


《おいっ。何言ってんの?あきっ!》

―――――――――

⏰:09/11/18 00:40 📱:W64S 🆔:6mvq7ihU


#743 [あき]
ただの鎮痛剤。

ペットボトルの空と
ありったけの白い錠剤の脱け殻。

それが、テーブルの上、乱雑に視界に広がっている。

バクバクする心臓とクラクラする頭に、ぼんやりと見つめていた。

見つめていたのに。


耳から伝わる、大好きななおちゃんの声で。


涙で滲んで
見えなくなった―…

⏰:09/11/18 00:50 📱:W64S 🆔:6mvq7ihU


#744 [我輩は匿名である]
あげ(^ω^)

⏰:09/11/19 12:50 📱:P904i 🆔:fI9Ge5BQ


#745 [我輩は匿名である]
(。・ω・。)

⏰:09/11/26 17:15 📱:P904i 🆔:fg2YixCw


#746 [あき]
――――――――

つんと鼻につく消毒液の部屋に、また私は寝かされてる。
数分前から白衣の天使が、私に繋がれた細い管の後片付けをしていた。

『体調はどう?起きれる?』

『…まぁ…』

『廊下で彼が待ってるわよ。もう心配かけちゃダメだからね。』

『…はぃ…』

硬いベッドから体を起こして、私は頭を下げた。
消毒液の臭いのする部屋を抜けて、しんと静まり返った廊下に出ると。
そこに、なおちゃんがいた。

⏰:09/11/28 03:14 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#747 [あき]
ベンチに座り、腕を組んで難しい顔をしているなおちゃんに、歩み寄る。

『…終わった…』

『…おう。』

『……』

『……』

静かに立ち上がり、廊下を歩き出した彼の後をついていく。

静まり返った廊下に、私達の足音だけが響いていた。

⏰:09/11/28 03:17 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#748 [あき]
懐かしい匂いの車内。
相変わらずのBGMが流れている。
窓の外、眠り返った街の光を、私は静かに見つめる。
どんよりして、じめじめした空気の空。

時折、なおちゃんの煙草の匂いが車内に香っていた。

涙が溢れてきた。

⏰:09/11/28 03:21 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#749 [あき]
『…ごめん…』

『……』

『……うざっ。本当うざいよ。』

『…ん…。ごめん…』


なおちゃんは、たった一言。そう言っただけで、何も言わなくなった。崩壊した涙腺は、ただ溢れるばかりで、私は何も言えなかった。

⏰:09/11/28 03:24 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#750 [あき]
途切れた記憶。

部屋で、いつものように、白い錠剤を飲み干す。苦痛から逃げる為に、いつものように飲み干して…なおちゃんに電話をかけた。何故か、たまらなく声が聞きたくなって電話をかけた。

《苦しいよ…》

泣きながらそう伝えた。
言い様のない恐怖と、それから逃れる為に飲み干した錠剤の副作用。私はなおちゃんに苦痛を吐き出したんだ。

⏰:09/11/28 03:42 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#751 [あき]
《苦しい》

やっと吐き出したこの言葉は、私の全てだった。あの時、心も体も-苦しい-と悲鳴を上げている私自身を、助けて欲しかったのかもしれない。(※今だからそう思う)

その言葉を最後に、私の記憶は途切れ始める。

深い深い眠り―…

私自身、いつ眠ったのかもわからない程、ただ深い眠りに落ちていた。

⏰:09/11/28 03:53 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#752 [あき]
プツンと途切れた記憶。

遠くで、誰か声を聞いた。体を揺さぶられる感覚。ソファーに顔を埋め、ダラリと伸ばした私の腕。

(ああ…寝ちゃったのかな…)

そう思った。

次の記憶は
誰かに抱えられる感覚に身を任せている。

《だれ……?》

そこで、始めて声を発した。その声に答えてもらったのか、もらえてないのかは、わからない程、やっぱり私の記憶は、そこでプツンと途切れている。

⏰:09/11/28 04:07 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#753 [あき]
私を締め付けている洋服を乱暴に剥ぎ取られ、そして、強く捕まれた手の感覚に再び目を覚ます。

《…何…やめて…だれ…》

露になったであろう肌に絡む手。私は、体をくねらせ、そう言った。
そんな私の戯言に、黒い影は力の入らない体を抱え込む。そして大きな手は、私の手をしっかりと強く握った。
そこで、再び記憶は途切れ―…
ハッキリと目を覚ました時。
私は、何故かきちんと洋服を着て、消毒液の臭いがする硬いベッドの上、細い管に繋がれて寝かされていた。

⏰:09/11/28 04:25 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#754 [あき]
さっきから横で気難しい顔で煙草をふかしながら座るなおちゃんに、何も聞けなかった。
途切れた記憶は、あまりにも曖昧過ぎて、私自身怖くて聞けなかった。
胃を洗ってもらい、栄養を管から貰って。
すっかり正気に戻った今。

(…パンツ…可愛いの履いてたっけ…)

この期に及んで、馬鹿な私は、子供時代以来、何十年ぶりに見せた…いや、見せてしまったんであろう露な姿を心配する。
無言の部屋。
ああ。逃げ出したい…

⏰:09/11/28 04:34 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#755 [あき]
『…あの…』

人生最大限の勇気を振り絞り、無言の圧力に割って入る。
そんな私の声に、なおちゃんは、言った。

『…んだこれっ?
死にたかったわけ?』

聞いた事もないような静かな声。

『………』

『…答えろ。』

秘めた感情は、身震いするほど、怒りに満ちている声だった。

⏰:09/11/28 04:41 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#756 [我輩は匿名である]
説明の仕方まわりくどくね?死ねばいいし

⏰:09/11/28 21:34 📱:N906imyu 🆔:☆☆☆


#757 [我輩は匿名である]
>>756
普通に考えて主さんの心情わかんないですか?ものには言い方があるし、コメントするにはマナーがありますよね?あなたみたいな人は幸せ来ないでほしいです。
長文失礼しました。

⏰:09/11/28 22:40 📱:F01A 🆔:nbnzHfDo


#758 [我輩は匿名である]
>>756

文句言うくらいなら見なければいいと思います。
それに,主の文章は分かりやすいです。
これからも、更新楽しみにしています。

⏰:09/11/28 22:46 📱:821P 🆔:P2holPts


#759 [あき]
皆様、コメントありがとうございます。

気にしないで下さい。反論すれば、荒れるだけなので。^-^;

⏰:09/11/28 23:26 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#760 [あき]
『わかんない…』

冷めた声に、私はそう答える。

本当に、わからなかった。

あの瞬間。
私はただ、痛みから逃れる為に、いつもより少し多く錠剤を飲み干しただけかもしれないし。

全ての苦痛から逃れたい為に、多く飲み干したのかもしれないし。

あの時、あの瞬間の感情を言葉に表せないでいた。

⏰:09/11/28 23:31 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#761 [あき]
『だって、記憶ないしさっ?〃』

『ふざけんな。』

『……ごめん…』


静かな部屋の重い沈黙は、私の胸をチクチクと突き刺した。


『いい加減にしろよな。』

『…はい…』

心底…[心の底]から響く彼の声。
今、やっと事の大きさに気付く。
うつ向き、小さくなる私。
ただ静かな時間が流れていた―…

⏰:09/11/28 23:39 📱:W64S 🆔:qt2ezAIU


#762 [我輩は匿名である]
ごめんなさい(泣)

⏰:09/11/29 08:12 📱:N906imyu 🆔:☆☆☆


#763 [あき]
翌日
梅雨時期にもかかわらず、久しぶりの晴れ渡る空の下、私は、静かに扉を閉めた。

厚い雲に覆われて、時々雷雨にみまわれた私の胸が今日。

曇の隙間から、目映い光が差し込んで。
この空のように、晴れ渡ろうとしている。

『…よかった……』

今にも、力が抜けて座り込みそうになる自身を奮い立たせ、私は心底、澄みきった空にそう呟いた。

⏰:09/12/01 19:37 📱:W64S 🆔:EwkRwe0A


#764 [あき]
昨夜、不安の全てを打ち明けた私に彼はたった一言。

《三ヶ月止まっただけだろ?》

彼はくだらないと言った。

《ストレスだ、何だってよくある話じゃねぇの?
あ!もしや、あまりにもの肥満体系に、あがったんじゃねー?〃》

そう言って、ふははと笑った。

⏰:09/12/01 19:47 📱:W64S 🆔:EwkRwe0A


#765 [あき]
《…こんな事今までなかったもん…》

彼の嫌味にすら、まともに言い返す私に彼は、眼差しを真っ直ぐに代える。

《…なら、とにかく調べてもらえ。で、もし、そうだったんなら彼と、しっかり話合うんだ。逃げてちゃ話にならんだろ?いいな?》


私は、小さく頷いた。

⏰:09/12/01 19:53 📱:W64S 🆔:EwkRwe0A


#766 [あき]
また私は、なおちゃんに勇気を貰う。

そして、今朝。

私はひとり、その扉を開き、そして今、晴れ渡ろうとしている気持ちと、新たな気持ちを固め、ここに立っていた。

全てを終わらせたい。


本気で。
そう強く思った。

⏰:09/12/01 19:58 📱:W64S 🆔:EwkRwe0A


#767 [我輩は匿名である]
あきさん嫌だー!なおちゃんとくっついて欲しい!!妊娠してても西条さんとの赤ちゃんなら失礼な話、喜べないよ
ハラハラドキドキ更新待ってます!
体調にはこれからも気をつけて下さいね

⏰:09/12/02 00:09 📱:SH906i 🆔:CDkbhDsg


#768 [あき]
匿名さん、有難う!
―――――――――

携帯電話を握り、画面を出した。

【今から行っていい?】

【おう】

直ぐに返事は返ってきた。
そっけない画面をパタリと閉じて、ハンドルを握る。

いつもそう。
昔から、彼はそう。
何も言わない。
何も聞かないで。
ただ、私の答えを待ってくれている。

そんな彼に私は会いに行く。

⏰:09/12/02 01:32 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#769 [あき]
いつもの玄関を勝手に開けて、懐かしい匂いが残る廊下に足を置く。
途中、居間を覗くと、ベッドの上、気持ち良さそうに眠っているおじさんがいて。
寄り添うように、おばさんが座って本を読んでいた。

『おばちゃん!〃おじゃましますっ』

『あら、あきちゃん。いらっしゃい!〃』

『うんっ。』

笑顔を向けて、居間の前を通り過ぎる。
古い廊下の向こう。
軋む階段を登ると、中からギターの音色が聞こえてきた。

⏰:09/12/02 01:39 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#770 [あき]
数回ドアをノックして、ガチャリと開けた。

『来たよー!!』

バックをいつもの場所に置いて。
いつものソファーにどかりと座った。
私の挨拶を無視する彼は、ベッドに座り、足をこれでもかってぐらい広げ、少し丸めた背中に、少し傾げた首。
加えた煙草の煙を少し煙そうに目を細め、アコースティックの心地良い音色を奏でていた。

そんな、なおちゃんを…私は黙って見つめた。

⏰:09/12/02 01:48 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#771 [あき]
耳から伝わるその音色は、私の胸を暖かくし、心癒していく。
煙草に一本、火を点けた。
フワリと舞い上がった煙が、空で消える。

『……』
『……』

ただ私達の間には、ギターの音色しか無かった。
静かな時間。
だけど、なおちゃんがギターを置いた。
同じく、再び煙草に火を点けて、フワリと煙を吐き出す。

『…で?』

私の目をしっかりと捉え、真っ直ぐな眼差しで、答えを聞いた。

⏰:09/12/02 01:54 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#772 [あき]
『…うんっ…今朝行ってきたの。』

『んなこた、知ってる。昨日、俺がああ言ったんだ。あきのする事なんざ、予想がつくわ。』

『……』

『…で?その結果を言いに来たんじゃないのかよ?』

『…うん…』

『で?どうだったんだ?』

『…うん…あのね…』

⏰:09/12/02 01:59 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#773 [あき]
『…大丈夫だった!!
やっぱり、なおちゃんの言う通り、ストレスやら、薬の影響やらで、ホルモンバランス崩れてるだけだったみたい…』

ふへへと笑う私に、なおちゃんは、だから言ったこっちゃないと、呆れたように言った。

『お騒がせしました…〃』

なおちゃんは、また、馬鹿だアホだと、私をたしなめる。
お小言を聞きながら、私は、自然に溢れる笑顔を隠しきれない。
今、目の前で、お小言をダラダラと言い続ける、この呆れた目。

だけど、あの一瞬
ほんの0.5秒だけ

その一瞬の目に、なおちゃんなりの安堵が見えた。
それが嬉しかった。

⏰:09/12/02 02:18 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#774 [あき]
『はいはいっ…すみませんでしたぁ!!』

『ったく!!本当にあほぅの塊みたいな女だよなっ!!だから、デブなんだよっ!!』

『てか、デブは関係なくないっ!?いや、逆に!?お陰様で、かなり痩せましたけどぉ〃ほれほれっ〃』

私は、ペタンコになったお腹をパンパンと叩いて見せる。

『ウエストなんてきゅーっとくびれちゃってますがぁ?〃』

調子に乗って、くねくねとポーズを決める。
そんな私に、なおちゃんは、ふんと鼻を鳴らして言った。

⏰:09/12/02 02:24 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#775 [あき]
『痩せたって自慢すんじゃねーよっ!知るかっ!!』

その言葉に、ズキンと胸の音が鳴った。

『…いっ…言い出したのそっちじゃんっ!』
『…ったく。
本当、ドアホだよな。
もう吐くな。
薬に頼るのもやめろ。
いいな?』

『…はい…』

ズキンと鳴った胸が、熱くなった。

⏰:09/12/02 02:38 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#776 [あき]
『そんな事繰り返してたら、本当に子供産めなくなるぞっ?いいのか?』

『…そんなの…私は、もともと…』

『まだそんな事言ってんのか。くだらねーっ!〃』

ねぇ。なおちゃん。
本当はね。本当は…私。この数日間。
不安と恐怖に怯えながらも、相反する心の隅に、私にも…なんて淡い期待してた。
矛盾してるよね。
だけど、結果は、やっぱりゼロで。
安心した。ほっとした。それと、同じくらい情けなかった。悲しかった。やっぱり、私はダメな女なんだって。
そう思い知らされた。

そんな思いすら、貴方は知っていたって言うの?

⏰:09/12/02 02:53 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#777 [あき]
『で?その彼とは、どうすんだよ?』

『終わらせたい。
彼の考えには、ついてけないよ。もう何度も言ってるけど、聞いてやくれないし、理解してくれないんだ…。』

苦笑いで伝える私に、変わり物には、変わり物が着くんだなと、昨夜話た、西条さんとの一連の出来事を一人フムフムと分析を始めた。

『話を聞く限りでは、あきの為ってよりかは、自分資本の男だもんな。』

『そうなんだよね…。』

『ガツンと言えば?』

『効果なし。てか、もう怖い…刺されるよ〃あたし。』

⏰:09/12/02 03:12 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#778 [あき]
『なら、諦めて結婚すれば?』

『いやだ。』

『なら、刺されちゃえば?』

『おいっコラッ!』

『ったく、贅沢言うなよなぁ〜〃』

『いやいや…その選択は贅沢じゃなくて、究極でしょ!!』

ある晴れた昼下り。
私の最大の悩みなんて、知ったこっちゃないと言わんばかりの、なおちゃんから、

『俺が話してやるか。それが一番手っ取り早いよな。ほれ、携帯貸せっ!』

それは突然の発言だった。

冗談は、よしこちゃんだよ!!なおと君!泣

⏰:09/12/02 03:22 📱:W64S 🆔:mHlVqlYw


#779 [みさ]
1週間ぐらい前から1作目を読み始めて今ここまで追いつきました!!!
この小説好きです!!
これからも応援してます!
あきさん!がんばってください(>_<)

⏰:09/12/05 19:57 📱:P905i 🆔:☆☆☆


#780 [我輩は匿名である]
 
あきサンお疲れ様です☆
やっぱあきサンにはなおチャンですよ!! これは何年前の話ですか?

自分が素の姿でいられる人と一緒になってくださいm(__)m

⏰:09/12/10 00:40 📱:SH906iTV 🆔:6wwQq7jY


#781 [あき]
みささん。
匿名さん。
有り難うございますっ。

初めは、好きすぎた、なおちゃんとの楽しかった日々だけを記すつもりが…
三編にまで長くなり(-ー-)ゞ
コツコツと書き始めた私の過去が、この本編で、現在に近づいてまいりました。
なので。
もうすぐ、最終章も結末を迎えますっ。
宜しくお願いします!

⏰:09/12/10 20:54 📱:W64S 🆔:denBUdqw


#782 [あき]
『なっ…何言ってんのよっ!なおちゃんが出たら、まとまる話もまとまんないっつーのっ!!』

突然の突拍子もない発言にたじたじだ。
なおちゃんは、そんな私の剣幕にきょとんとしたまま、つぶらな瞳で首を傾げる。

『なんでだよ??』


こんにゃろ…
ふざけんのは顔だけにしてくれっ…
別れ話にあんさんが出てきたら、彼は間違いなく、発狂して、怒り狂って卒倒する。
遠く離れたあの場所に救急車出動だよ。
ピーポーパーポーだよ。何故にそれがわかんないかなぁ!!

⏰:09/12/10 21:00 📱:W64S 🆔:denBUdqw


#783 [あき]
『じゃ、逃げないでちゃんと伝えろ。』

なおちゃんは、ほれっと言わんばかりに、私の携帯電話を差し出した。私は首を横に振る。

『何?ビビってんの?なら結婚しちゃえば?』

再びテーブルに置かれた私の携帯電話。
顔をちらりと見ると
真っ直ぐな眼差しで私を見つめ、小さく頷いた。


『わかった…ちゃんと見ててね。』


静かに深呼吸をして、携帯電話を握りしめた。

⏰:09/12/10 21:15 📱:W64S 🆔:denBUdqw


#784 [あき]
―…

《もしもーし。》

『あ…私!…です。』

《おお。仕事終わった?》

『いえ…今日は休みで。』

《ん?聞いてなかったけど?》

『…あ…ごめんなさいっ…』

《じゃ、今何してるの?》

『…出掛けてます…』

《…またかよっ…》

⏰:09/12/10 21:19 📱:W64S 🆔:denBUdqw


#785 [あき]
ビクリと体が萎縮する。
泣きそうになった。
なおちゃんの顔を見ると彼は黙って私を見つめていた。
ベッドに座り、大きく頷く。

私はソファーに座ったまま再び頷き、小さく深呼吸をした。


《…お前は、いつもいつも、どこをほっつき歩いてんだよっ!!》

そんなアイコンタクトの電話の向こう。
西条さんの声は怒りに変わっていた。

『あのっ……!!』

⏰:09/12/10 21:28 📱:W64S 🆔:denBUdqw


#786 [あき]
《なにっ!?》

握り締めた手から汗が吹き出て、小刻みに体が震える。


『あのっ……私達……もうっ…終わりませんかっ…?』


なおちゃんが見つめる中。勇気を振り絞って出した言葉は。
自分でも驚く位に曖昧なものだった。

⏰:09/12/10 21:32 📱:W64S 🆔:denBUdqw


#787 [あき]
なおちゃんを見ると、案の定、彼はそんな私の情けない姿に笑っていた。

どあほ。ハッキリ!

そう口で言っている。
私は、必死に首を横に振り、これでも精一杯の言葉で伝えたつもりだっと意思を伝える。

《ああっ?ふざけた事言ってんじゃないよ。》

こちらの状況を勿論知る由もない西条さんは、突然の私の発言に怒りを露にした。
私は、プルプルと首を横に振り、なおちゃんを見つめる。
再び泣きそうになり、心が折れそうになった。

⏰:09/12/10 21:44 📱:W64S 🆔:denBUdqw


#788 [あき]
『…もう、無理なの。』
そう伝えながら、なおちゃんを見る。
なおちゃんは、大きく頷いていた。
その姿にまた安心する。

『何度も言ってるけど、私達合わないと思う。』

震える体を必死に押さえながら、電話の向こう側の彼に伝える。


《あきっ!!ふざけた事言うのもいい加減にしろよっ!!!》

怒鳴り声が、電話口から漏れる。
耳から伝わったその声がバクバクと心臓を早めた。

⏰:09/12/10 21:53 📱:W64S 🆔:denBUdqw


#789 [あき]
『………』

《とにかく、また電話するっ!今日はもう寝るからっ!!お前も早く寝ろっ。》

『待ってっ!!切らないでっ!!』

《ああっ?》

『…話終わらせてから、切ろうよ。大切な話してんだよ?
いつもそう。
西条さんは、いつも、自分の言い分ばかりで、私の話なんて聞いてやくれないじゃないっ!!』

《はぁ?俺に寝るなって言うのかっ?明日、事故でもしたらどうすんだよっ!!!》

西条さんは、もう自身訳が分かっていないようだ。ハチャメチャな言い分を述べた。

⏰:09/12/10 21:59 📱:W64S 🆔:denBUdqw


#790 [あき]
再び、なおちゃんの顔を見る。
首を横に振り、ダメだと伝えた。
なおちゃんは、肩をすくめ、一枚のメモにカリカリとペンを走らせた。
私の横に立ち、紙をテーブルに置く。

【はっきりと言えよ。それじゃ、伝わらない。あほか。】

メモには、そう書かれていた。

【言ってるじゃんっ!泣きそう!】

筆談で、そう答える。
電話の向こうでは、西条さんさんの怒りは続いていて、散々と私は非難され続けていた。

⏰:09/12/14 00:56 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#791 [あき]
【話にならない。】

走り書きで、なおちゃんに渡す。
なおちゃんは、無言でそれを見つめ、またさらさらと何やら書き出した。

【ごちゃごちゃ言わずに、はっきり言え。】

なおちゃんの目は、強く強く私を見守ってくれている。

私は、頷き、電話の向こう。私を非難し続ける西条さんに再び向き合った。

『だから、私が許せないんでしょ?だったら別れてくれればいいじゃん…。もういいって…』

⏰:09/12/14 01:04 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#792 [あき]
《はぁ??悪いのはどっちだよ!?開き直るのかっ?!》

西条さんの怒号に再び小さく小さくなった体。震える手を必死に押さえ、なおちゃんを見る。なおちゃんの口が

〈大丈夫だ〉
静かに動いた。
そして
〈頑張れ〉
そう動いた。

私は頷き、また大きく深呼吸をする。
負けない。そう思った。惨敗続けたこの勝負も。今は、なおちゃんがいる。

それだけで強くなれた気がしていた。

⏰:09/12/14 01:21 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#793 [あき]
『お願いだから、私を解放して下さい。…わ…私はっ…!!貴方の物じゃないの!!ちゃんと意思があるのっ!!もう別れてよっ!!!うんざりだしっ!!!』

その言葉を発した時、興奮したのか、何故か涙が溢れてた。
すぐに、なおちゃんの気配を感じる。

【よく言った。あとは、もう電話を切ればいい。】

そう走り書きをした後、ソファーの前にしゃがみこみ、震えながら、泣き出す私のヘタレっぷりを覗き込んでは、指差し笑っていた。

⏰:09/12/14 01:38 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#794 [あき]
《おまっ…!!何だその言い種っ…》

『だから別れるっ!!ばいばいっ!!』

慌てて電話を切る。
恐怖をソファーに投げ、逃げるように目の前にしゃがみ込んだ体に震える体を埋めた。

『大馬鹿者。』

すっぽり収まった私の体をそう言って、頭をポンポンと叩くその手は、優しくて暖かくて。また涙が出てきた。

『うぇ……ごめん……怖かったよぉ…』

『知るか』

そう言いながら、なおちゃんは、黙って私の震えを受け取めてくれていた―…

⏰:09/12/14 01:53 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#795 [あき]
――――――――

『…まただ…しつこい…』

『まじもんだな。』

『……うん。』

『はぁ。俺が出る?』

『却下。余計ややこしい。』

あの別れ話から、数時間。ソファーの上では、分刻みで、携帯電話が震えていた。見なくても相手は誰かわかる。
震える携帯電話をちら見しながら

『私、刺されるかな。』

『刺されちまえ。』

『……はい…すみません…』

さっきから、なおちゃんとは、こんな会話ばかり。

⏰:09/12/14 01:59 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#796 [あき]
西条さんは、もう意地になっているしか思えなかった。私と別れたくないんじゃない。
ただ、意地になっているだけ。

『…どうしよ…』

一向に、鳴り止まない携帯電話。

『さぁ。でも、このまま無視してたからって、収まるとは思えないけどな。』

『…私も思います…』
二人でそれを見つめる。


どうしろってんだよ!!くそーっ!!!

⏰:09/12/14 02:03 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#797 [あき]
西条さんが、諦める事はひとつ。聞いてきた過去の恋愛経験。
《俺さ、浮気されたら、もう許せない。》
彼の性格。異常な束縛心。それらを総合すると、やはりこれしかない。どうせ怒ってるんだ。怒り狂って、私が捨てられた事にすりゃ、話は早い。
《俺、女運なくて…いつも浮気されちゃう。》
まさかまさかだけれど?過去の彼女達も、もしかしたら、これが最終的手段だったのかもしれない。私が、挑もうとしている事で、今はそう思えてならないけれど。
どうせ傷付けたんだ。
とことん傷付けて、恨まれなきゃ。
私は西条さんからの呪縛も解けないし。
震える携帯電話を見つめ、西条さん自身にも申し訳ないような気がしてきた。

⏰:09/12/14 02:27 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#798 [あき]
『あの…』

この決断をなおちゃんに言うか言おまいか悩みながら声を発した。なおちゃんは、私の顔を見るなり、呆れたように笑った。

『はぁ…だから、俺は初めから言ったろ?』

『……でも…やっぱり、傷付けるよね。トドメ刺しちゃうよね…』

もじもじと、ライターを鳴らす私に、なおちゃんは、言った。

『だろな。』

『…これしかないのかな…』

『知らん。』

『………』

⏰:09/12/14 02:34 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#799 [あき]
携帯電話を見つめる。
相変わらず、分刻みで震え続けるそれは、西条さんの怒りでもあり、叫びにも聞こえた。
このままじゃいけない事だけは、わかる。

『……やる。』

『ほーか。』

携帯電話を握りしめ。
次の電話を待つ。
握りしめて直ぐ様、それは鳴った。

『鳴ったぞ?出るか?』

『よしっ…出る。』

なおちゃんの部屋で、ジャッジが着かなかった勝負。これが、本当の最終ラウンド。
心の中で、ゴングが鳴り響いた。

⏰:09/12/14 02:42 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#800 [あき]
―――――――

『はいっ。』

《…どうして電話に出ないんだよっ!!》

『…出先だって言ったしっ。それに、もう別にいいでしょっ!!関係ない!!』

先ずは、強気作戦。
しかし、相変わらずのびびりヘタレっぷり満開の私の手は、しっかりと、なおちゃんの膝を掴んでいた。

《…はぁ?本気なのか?》

『まだ言ってんの?本気だってば!!』

膝を握る手に力が入る。なおちゃんは、いてぇわとジェスチャー。
そして、貸せと手を差し出した。

⏰:09/12/14 02:47 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


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