「好き」と言いたい。
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#850 [あんみつ]
 
「・・・コウ!!」

私はメールを送ってきたそいつの名前を呼んだ。

若干怒鳴り気味で。

「あ、バレた??」

ドアが開いて、中学からの腐れ縁が顔を出す。

「ばればれ」

私の言葉に、コウは笑いながら私の前の席に座る。
.

⏰:08/08/19 11:34 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#851 [あんみつ]
 
部活の途中なのか、着ている体操服を掴んでパタパタとしている。

「あっちぃー」

「・・・てかコウ何しに来たの??」

そんなコウを見て私は言った。

「んー・・・ちょっと休憩」

言いながらコウは、大きく伸びをする。
.

⏰:08/08/19 11:36 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#852 [あんみつ]
 
「・・・ふーん」

いいのかよって思ったけど言うのもめんどくさく、私は一言で片付けた。

少しの沈黙が流れる。

風が吹いて、カーテンが大きく揺れた。

私の髪も合わせてなびく。
.

⏰:08/08/19 11:37 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#853 [あんみつ]
 
「・・・でさ」

コウが口を開いた。

私の顔をちらりと見る。

「さっきのため息の原因は??」

コウはいつもと変わらない調子で言った。

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⏰:08/08/19 11:39 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#854 [あんみつ]
 

コウとは中一の時からずっと同じクラス。

明るくてお調子者でちょっと生意気で。

けど本当は、誰よりも友達思いで優しくて。

そんなコウを私は知ってる。

何度も何度も助けられた。

.

⏰:08/08/19 11:40 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#855 [あんみつ]
 

コウは変わらず、体操服をパタパタしている。

(・・・コウ)

「・・・なんかね」

私はゆっくりと話し始めた。

「自信ないの・・・」

コウが動きを止めて私を見る。

「健二先輩にとって一番は、私じゃなくて・・・根宮先輩なんじゃないかって」

.

⏰:08/08/19 11:42 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#856 [あんみつ]
 

・・・本当は、心のどこかでずっと思ってた。

体育祭以来、その考えはどんどん加速していった。

振り払っても振り払っても、頭に浮かぶのは健二先輩と根宮先輩の仲の良さそうな姿。

考えても考えても、同じところをぐるぐる回って抜けられない。

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⏰:08/08/19 11:44 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#857 [あんみつ]
 

「健二先輩も・・・私の気持ちに気づいてると思う。最近、なんかぎこちない。けど、お互い何も言わないし・・・」

視界が滲む。

涙目になっているのがコウにばれないように、私は下を向いた。

「ぎこちなくってもね、初めのうちは私頑張って喋ってたの。けど・・・ここんとこ、私わざと沈黙作ってて」

先輩の気持ちが分からなくて、不安で、試すように。
.

⏰:08/08/19 11:46 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#858 [あんみつ]
 
「・・・今日ね、先輩に一緒に帰れないってメールしたの」

「うん」

コウが優しく相づちを打つ。

「先輩・・・分かったって、それだけ」

.

⏰:08/08/19 11:48 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#859 [あんみつ]
 

理由も何も聞かなかった。

ただ一言、分かったって。

一緒に帰れないなんて嘘。

それでも、今までずっとこうして教室にいたのは、もしかしたら健二先輩来てくれるかもって、バカみたいに思ってたから。

.

⏰:08/08/19 11:50 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#860 [あんみつ]
 

(・・・ほんとバカ)

涙がこぼれそうになって、私は机に顔を伏せた。

「・・・ねぇ、コウ」

私は伏せたまま言った。

「うん?」

「押してダメなら引いてみろって言うけどさ・・・引いてもダメなら、どうすればいいんだろ」
.

⏰:08/08/19 11:52 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#861 [あんみつ]
 
「・・・」

私の問いに、コウは何も言わない。

いや、言わないんじゃなくて言えないんだろう。

「・・・ごめん、変なこと聞いた」

先に私から言った。
.

⏰:08/08/19 11:54 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#862 [あんみつ]
 
「・・・佐古」

コウが私の名前を呼ぶ。

けど、私は返事ができなかった。

喉が熱くなってきて、今何か喋ると涙声になってしまいそうだったから。
.

⏰:08/08/19 11:55 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#863 [あんみつ]
 
(・・・!?)

その時、私の頭に何か温かいものが触れた。

コウの手だ。

「・・・ごめんな、何も言えなくて」

コウが申し訳なさそうに言う。

(そんなことない・・・)
.

⏰:08/08/19 11:57 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#864 [あんみつ]
 
自分の中だけに閉じ込めておくのと、誰かに聞いてもらうのとでは、気持ちの軽さがだいぶ違う。

それに・・・こんなに話せたのはコウだからだ。

そう思うのに、言葉が出ない。

頭から手が離れた。

カタッとイスをしまう音がする。
.

⏰:08/08/19 11:59 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#865 [あんみつ]
 
「そろそろ行くな・・・頑張れよ」

コウの気配がだんだんと遠ざかっていく。

私は顔を上げられない。

ドアの閉まる音がした。

野球部も休憩中なのか急に静かになって、教室はやけに広く感じた。
.

⏰:08/08/19 12:00 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#866 [あんみつ]
 
「・・・う・・・ひっく」

涙が溢れた。

(・・・ありがとう、コウ)

本人に、言葉にして伝えられなかったことを悔やんだ。


けど・・・

コウ、もう私ダメだよ。
.

⏰:08/08/19 12:02 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#867 [あんみつ]
 
苦しいよ。

先輩が私の隣にいないのが寂しい。

先輩の隣にあの人がいるのを見るのがつらい。

なんかもう・・・限界だよ。


ねぇ・・・健二先輩。

私、わがままなのかな?

.

⏰:08/08/19 12:03 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#868 [あんみつ]
感想板貼っておきます
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:08/08/19 12:06 📱:D904i 🆔:twgWb/zk


#869 [ましゅまろ.。]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900

⏰:08/08/19 21:18 📱:SH903i 🆔:8tuCMI/o


#870 [あんみつ]
ましゅまろ.。さん
アンカーありがとうございます

⏰:08/08/21 22:37 📱:D904i 🆔:SrI3vkrY


#871 [あんみつ]
――――――――


「・・・健二先輩と、離れてください」


・・・まさか、自分がこんなセリフ言うことになるとは思わなかった。


自分勝手だって分かってる。

けど私は、つなぎ止めようと必死だった。

.

⏰:08/08/21 22:38 📱:D904i 🆔:SrI3vkrY


#872 [あんみつ]
 

「・・・分かった」

私の理不尽な要求に対して、根宮先輩は静かにそう言ってくれた。

「・・・その代わり・・・もう一度、健二と二人で出かけたい。ちゃんと話がしたいの。・・・明後日、それで最後にするから・・・」

私のわがままとは比べものにならない程の、小さな条件付きで。

私は、頷いて頭を下げることしかできなかった。

.

⏰:08/08/21 22:41 📱:D904i 🆔:SrI3vkrY


#873 [あんみつ]
 

健二先輩にとって、根宮先輩は大切な幼なじみ。

きっと、根宮先輩にとってもそう。

つらいだろう、苦しいだろう。

理不尽な私を許せないかもしれない。

それでも、分かったって言ってくれた。

私を責めもしなかった。

.

⏰:08/08/21 22:43 📱:D904i 🆔:SrI3vkrY


#874 [あんみつ]
 

根宮先輩に比べると、自分はなんて幼稚なんだろう。

思いやることを忘れて、健二先輩が好きという気持ちだけで動いてた。

ただ必死だった。

.

⏰:08/08/21 22:48 📱:D904i 🆔:SrI3vkrY


#875 [あんみつ]
 

・・・健二先輩。

私にも、根宮先輩みたいな強さがあれば、何か変わっていたのかな?

根宮先輩の小さな願いに頷きながら、それさえも不安に感じる私に・・・。

.

⏰:08/08/21 22:51 📱:D904i 🆔:SrI3vkrY


#876 [我輩は匿名である]
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300

⏰:08/08/24 22:34 📱:W53H 🆔:JPgm9QQw


#877 [匿名]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:08/08/25 00:06 📱:P903i 🆔:nC3CaaUg


#878 [匿名]
書かないのかな?

⏰:08/08/25 07:54 📱:SH905i 🆔:pqIjoGgw


#879 [匿名]
もう更新しないの?

⏰:08/09/03 22:10 📱:SH905i 🆔:qfZs.cXs


#880 [ぴや]
さよなら〜

⏰:08/09/05 07:30 📱:SH905i 🆔:NAQdDTxQ


#881 [あんみつ]
二人の匿名さん
アンカーありがとうございます
匿名さん
なかなか更新できなくてすみません
時間はかかりますが必ず完結させるので、長い目で見てくれると嬉しいです
ぴくさん
残念ながらまださよならじゃないんです

⏰:08/09/05 23:31 📱:D904i 🆔:lfuFswyo


#882 [あんみつ]
ぴやさんだった
すみません

今から更新します

⏰:08/09/05 23:32 📱:D904i 🆔:lfuFswyo


#883 [あんみつ]
――――――――


根宮先輩と話をした日の夜、健二先輩からメールがきた。

――――――――
9/17 21:38
From 竹本健二
Sub 無題

明後日の午前中ちょっと会えん?
話があるんだけど。
――――――――
.

⏰:08/09/05 23:36 📱:D904i 🆔:lfuFswyo


#884 [あんみつ]
 
今の状態でこんなメールが来たら、悪い想像をするのが普通だと思う。

今日まであまり眠れなかった。


待ち合わせは十一時半。

私の家の近くの公園。

私が十分前に着いた時、すでに健二先輩は公園のベンチに座っていた。
.

⏰:08/09/05 23:37 📱:D904i 🆔:lfuFswyo


#885 [あんみつ]
 
「よっ」

私に気がついて、先輩はぎこちなく微笑む。

私も笑顔を作る。


本当は、笑うような気分じゃない。

話の内容が気になって、怖くて怖くてたまらない。

.

⏰:08/09/05 23:39 📱:D904i 🆔:lfuFswyo


#886 [あんみつ]
 

先輩は、自分の隣をポンポンと叩く。

「待ちました?」

言いながら私は、先輩の隣に座る。

「いや、来たばっか」

そう言うと先輩は前を向いた。

公園には誰もいない。

子供が忘れていったのか、砂場にはスコップが一本ささっている。

先輩の顔を見れない意気地なしの私は、そのスコップを意味もなくじっと見ていた。
.

⏰:08/09/05 23:40 📱:D904i 🆔:lfuFswyo


#887 [あんみつ]
 
「・・・俺さ」

長い沈黙の後、先輩が口を開いた。

私は前を見たまま動けない。

膝の上に置いた両手に力が入る。

「ねこのこと・・・すげー大事なんだ」

健二先輩の口調は、とても真剣だった。

.

⏰:08/09/05 23:42 📱:D904i 🆔:lfuFswyo


#888 [あんみつ]
 

付き合うことになった日、健二先輩は一番に根宮先輩のことを話してくれた。

あの時も、この公園で。


大切な幼なじみ。

絶対になくしたくない存在。

けど、ねこは幼なじみだから。

彼女は・・・佐古だから。

.

⏰:08/09/05 23:44 📱:D904i 🆔:lfuFswyo


#889 [あんみつ]
 

あの時は私、付き合えることに浮かれてて、先輩の言葉を理解した気になってた。

根宮先輩への想いを、受け入れた気になってた。

・・・けど、違った。

嫉妬と不安が、今になって私に押し寄せる。

自分じゃもう、どうにもできない。

.

⏰:08/09/05 23:46 📱:D904i 🆔:lfuFswyo


#890 [あんみつ]
 

「けど・・・ねこは幼なじみで、それだけだよ」

あの時と同じ言葉を、健二先輩は繰り返す。


分かってる。

けど頷けない。

受け入れられない。

.

⏰:08/09/05 23:48 📱:D904i 🆔:lfuFswyo


#891 [あんみつ]
 

健二先輩のことを見ているだけだった頃、根宮先輩は健二先輩の彼女なんだと思ってた。

だって悔しいけど、一緒に並んで歩く二人は、本当にお似合いだったから。

認めたくないけど。

.

⏰:08/09/06 07:17 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#892 [あんみつ]
 

今、健二先輩と付き合っているのは私。

なのに・・・お似合いな二人の姿は変わらない。

根宮先輩は、幼なじみでしょ?

彼女は私じゃないの?

健二先輩にとっての一番は、私じゃなくて・・・

.

⏰:08/09/06 07:19 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#893 [あんみつ]
 

「・・・根宮先輩なの?」

私はハッとして口を押さえる。

声に出して言ってしまった。

「え?」

先輩が聞き返す。

その先輩の声があまりに優しくて、私は泣きそうになった。

もう、止められない。
.

⏰:08/09/06 07:20 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#894 [あんみつ]
 
「健二先輩の気持ち・・・分かろうとした。大切な幼なじみだって」

先輩の顔を見ないまま、吐き出すように言った。

「けど・・・根宮先輩と一緒にいるとき見る度ほんとは・・・すごく不安だった」

心の中にためていた物が、何かが切れたように溢れ出す。

視界が滲んだ。
.

⏰:08/09/06 07:21 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#895 [あんみつ]
 
「付き合ってるのは私でも・・・健二にとっての一番は、本当は・・・根宮先輩なんじゃないかって」

涙がこぼれた。

健二先輩は何も言わない。

(もう・・・やだ)

私は立ち上がった。

そのまま早足で公園の出口に向かう。
.

⏰:08/09/06 07:31 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#896 [あんみつ]
 
「待てよ、佐古!!」

先輩が追ってきて、私の手首をつかんだ。

「っ・・・やだ!!」

私は手を引っ張ってふりほどこうとするが、びくともしない。

.

⏰:08/09/06 07:33 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#897 [あんみつ]
 

隠してた気持ちを、言ってしまった。

独占欲の塊みたいな私。

このままだときっと、もっと自分勝手なことも言ってしまう。

先輩に嫌われたくない。

それだけは嫌だ。
.

⏰:08/09/06 07:34 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#898 [あんみつ]
 
早くこの場を離れたい。

もっとひどいことを言ってしまう前に。

そう思ったのに・・・もう、遅かった。


「健二先輩が根宮先輩といるとこ・・・もう見たくない!!」

泣きながら言った瞬間、大きなめまいがした。

.

⏰:08/09/06 07:35 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#899 [あんみつ]
――――――――


「・・・よかった、ただの貧血で」

ベッドで布団をかぶったままの私に向かって、先輩は言った。

「・・・ありがとうございます」

私は、布団をかぶったまま応えた。

.

⏰:08/09/06 08:58 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#900 [あんみつ]
 

あの時、大きなめまいがして、私はしゃがみこんだまま立ち上がれなくなった。

昔からたまにある貧血。

ここんとこ平気だったのに・・・。

.

⏰:08/09/06 08:59 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


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