―温―
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#376 [向日葵]
間違ってる。
でも私は今、とても嬉しい。
静流の気持ちが分からなくて、何故ぶたれるのかとか、怒ってるかとか……意味もない行動を取られるよりも……何よりも……。
でも、好きとは違うんだよね……。
「静流。知ってる?」
「何……が?」
掴まれている手首をやんわり外しながら、私は続けた。
「静流が私に構いすぎたら、彼女さんが傷つくの。ううん違う。もう傷ついてる。」
静流の熱い瞳は途絶え、彼女を思う愛しい気持ちが瞳に映る。
:07/09/16 02:34 :SO903i :2t8n8oBQ
#377 [向日葵]
そう……。
これでいい。
これで……。
「私は、言ってみれば赤の他人なの。私より香月さん。香月さんより彼女さんを大事にしてあげなさいよ。」
あぁ……。涙出そう。
昨日のケーキ食べてた時みたい。
すっごい惨め。
すっごい虚しい。
「だから、そんな言葉、私に言ってはダメ。言う相手間違ってんじゃないわよ。」
間違ってほしくなんかなかった。
:07/09/16 02:37 :SO903i :2t8n8oBQ
#378 [向日葵]
その言葉は、私だけに欲しかった。
分かってる。分かってるよ!何度も繰り返した。
私は静流と幸せになってはいけない。
なれっこない。
私のせいで、彼女さんの幸せを取っては駄目。
頭の…心の隅に……ちゃんと刻んで、覚えてる。
でも欲深なの。
幸せの味を覚えてしまえばしまうほど。
もっと――――
もっと……って――――
心が叫ぶのが分かる。
胸が軋むのが分かる。
:07/09/16 02:42 :SO903i :2t8n8oBQ
#379 [向日葵]
ほら……。
笑え……。
「ね?分かった?」
笑えてる?静流。
久々に笑顔を見せれた。
久々すぎて、おかしな事になってないかな?
静流は何度も私の闇を拭いさってくれた。
だからせめて……静流には幸せになってほしいから……。
私は、例え苦しんでくじけそうになっても、いくらでも我慢出来る。
いつまで頑張って笑顔を作ればいいんだろう。
静流の反応が気になる。
:07/09/16 02:46 :SO903i :2t8n8oBQ
#380 [向日葵]
静流を見れば、静流の顔がまるでどこか痛いかのように泣きそうな顔をしていた。
あの、彼女さんを思う愛しい気持ちは消えている。
静流は一歩一歩よろよろと近づいてくる。
そして……そっと大きな手で私の顔を包んだ。
息を飲んで、大きく目を開いた。
顔に熱が集まる。
「初めてだ。……紅葉が笑うの。」
まだ悲しそうな顔で私を見つめながら、静流は力無く微笑む。
:07/09/16 02:51 :SO903i :2t8n8oBQ
#381 [向日葵]
「でも。」と言いながら、静流は私を抱き寄せた。
更に息が出来なくなる。
「し……し、しず……っ。」
「そんな辛そうに笑う紅葉なんか見たくなかったよ……。」
辛そう……だった?私、隠せなかったんだ……。
自己嫌悪に陥っていると、静流の体が離れた。
肩に手を置かれて、またガーゼを貼り直そうとでも言うのかと思った。
でも違った……。
それは、とても予想外な事で、あってはならない事なのに……。
:07/09/16 02:55 :SO903i :2t8n8oBQ
#382 [向日葵]
静流は私に目線を合わすと、熱を帯びていてそれで真剣な目を私に向けてきた。
私はその目を見てからはもう何も考えれなくなって、静流の行動をただ見ておくしかなかった。
だから分からなかった。
静流が……私の唇に触れているだなんて……。
思ってもみなかった……。
触れているのが……静流の唇だなんて……。
:07/09/16 02:58 :SO903i :2t8n8oBQ
#383 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/09/16 02:59 :SO903i :2t8n8oBQ
#384 [向日葵]
:07/09/16 03:12 :SO903i :2t8n8oBQ
#385 [向日葵]
―忘―
あれほど願った。
気持ちが欲しい。
でもそれは許されない。
だから静流。私に構ってはいけないと……。
―――――なのに。
:07/09/17 00:45 :SO903i :3VM2u4cU
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