―温―
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#381 [向日葵]
「でも。」と言いながら、静流は私を抱き寄せた。
更に息が出来なくなる。
「し……し、しず……っ。」
「そんな辛そうに笑う紅葉なんか見たくなかったよ……。」
辛そう……だった?私、隠せなかったんだ……。
自己嫌悪に陥っていると、静流の体が離れた。
肩に手を置かれて、またガーゼを貼り直そうとでも言うのかと思った。
でも違った……。
それは、とても予想外な事で、あってはならない事なのに……。
:07/09/16 02:55 :SO903i :2t8n8oBQ
#382 [向日葵]
静流は私に目線を合わすと、熱を帯びていてそれで真剣な目を私に向けてきた。
私はその目を見てからはもう何も考えれなくなって、静流の行動をただ見ておくしかなかった。
だから分からなかった。
静流が……私の唇に触れているだなんて……。
思ってもみなかった……。
触れているのが……静流の唇だなんて……。
:07/09/16 02:58 :SO903i :2t8n8oBQ
#383 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/09/16 02:59 :SO903i :2t8n8oBQ
#384 [向日葵]
:07/09/16 03:12 :SO903i :2t8n8oBQ
#385 [向日葵]
―忘―
あれほど願った。
気持ちが欲しい。
でもそれは許されない。
だから静流。私に構ってはいけないと……。
―――――なのに。
:07/09/17 00:45 :SO903i :3VM2u4cU
#386 [向日葵]
なのに今……
何が起こってるの……?
熱い……。
柔らかい……。
何これ。
静流の顔が目の前にあって、吐息が口の中に少し入って……。
なんで私……静流とキスしてるの……?
目を開いて、瞬きする事もなく私は固まっていた。
静流の顔が、ようやく離れた。
止まってた息がやっと出来る。でも上手く息が吸えない。
:07/09/17 00:52 :SO903i :3VM2u4cU
#387 [向日葵]
「……。何……して、るの……。」
声がかすれる。
顔が熱くて、唇には感触が残ってて。
静流を見ると口元を手で隠して目を見開いていた。
まるで自分がしたことに驚いてるみたいに。
冷静になれ私。
動悸止まれ。
「こんなことして……いいと思ってんの?」
静流ん見ても、まだ床を呆然と見ているだけ。
言葉を発してくれない。
何で何も言ってくれないの?
後悔してるって言うの……?
:07/09/17 01:04 :SO903i :3VM2u4cU
#388 [向日葵]
私は静流の横っ面をパシッと音が鳴る程度に叩いた。
その軽い痛みで静流は我に帰ったらしい。
目の色が変わった。
そして私の顔をゆっくり見る。
「聞いてる?……こんな事、していいの?駄目だよね?」
沈黙が私達を包む。
静流はぎこちなく目を動かして頭を働かせているみたい。
私は黙って静流の言葉を待つ。
隠した手から、口をパクパクとするのが見える。
:07/09/17 01:13 :SO903i :3VM2u4cU
#389 [向日葵]
やっとの事で出てきたのが、次の台詞。
「……忘れろ。」
そう言って静流は自分の部屋に入ってしまった。
―――忘れろ。
今確かにそう言った。
何よそれ。
勝手に抱き締めて、勝手にキスして。
それで忘れろ?
さっきまでの静流に対する熱が怒りの熱に変わる。
いい加減にしなさいよ……。
バンッ!!
:07/09/17 01:21 :SO903i :3VM2u4cU
#390 [向日葵]
気づけば静流の部屋のドアを開けていた。
ベッドで寝転んでいた静流は突然の訪問者に驚いて飛び起きた。
「……わよ。」
「え……。」
キッと静流を睨みつけて、顔や手に貼ってあるガーゼと包帯を乱暴に取ってやった。
それを、できるだけ静流の方に投げた。
「言われなくても忘れてやるわよっ!勝手にされて、何の感情もないキスなんか、すぐに忘れてやるわよこのスケベジジィ!!」
:07/09/17 01:30 :SO903i :3VM2u4cU
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