・・・ゆめみる魚・・・
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#701 [向日葵]
※訂正

>>696

×そんなつめり
○そんなつもり

⏰:08/05/03 11:58 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#702 [向日葵]
私も気を取り直して、机をはさんで真の正面に座り、「いただきます」と言ってから豪華な食事を食べ始めた。

その美味しい食事に、変な意識は取れ、普通に食事を楽しんでいた。

なんてったってこのカニ!!
美味しすぎる……っ!

感動して食べていると、真がクスクス笑った。

「美味そうに食うな。そんなに良い?」

「だってカニなんて滅多に食べないもん」

「安月給だしな」

⏰:08/05/03 12:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#703 [向日葵]
「自分で言っちゃうんだ」

2人で笑う。
このままの時間がすぎればいいと思った。

しかし……。

「あ、みかげ、ちょっと醤油とって」

「あ、ハイ」

と真に渡す時、手が触れてしまった。
手を繋いだりするくせに、この雰囲気に敏感になってるせいか、パッと醤油差しを落としてしまう。

「わー何やってんだ!」

「ご、ごめん!」

⏰:08/05/03 12:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#704 [向日葵]
電話でもすればいいのに、動揺した私は「フロントに行ってくる!」と行って部屋を出る。
するとそんな私を止める真も部屋を出る。

出た所で、私は真に腕を引かれた。

「みかげ、どうした。部屋にあるティッシュでも使えばいいだろ」

「や……あの……」

「……なんか緊張してる?」

言い当てられて黙る。

「わ、私が意識しすぎなだけ。真はそんな事しないって分かってる……」

⏰:08/05/03 12:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#705 [向日葵]
ふいに、真が私を抱き締めた。
薄い浴衣は容易く体温が伝わってしまうと同時に、自分の鼓動も伝わってしまう気がした。

そんな私を、真は優しく背中を撫でて落ち着かせる。

「大丈夫だから……本当に何もしない。こんなみかげに無理強いしようとは思わないから」

そう言ってくれてる真なのに、私はずっと1人で舞い上がっている。
そう思えばなんだか惨めな気がした。

私何やってんだろう……。

⏰:08/05/03 12:14 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#706 [向日葵]
アンカーしておきます(。・ω・。)

良かったらお使い下さい


>>2-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700

⏰:08/05/03 12:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#707 [向日葵]
真の腕に抱かれて安心する筈が、私はドンドン落ち込んだ。

1人で舞い上がったり焦ったりして真を困らせている自分が情けないとすら思った。
しかし、落ち込んでるくせに何故か沸々と怒りに満ちてくるのが私であって、そもそも真がベタベタしたりするくせにこんな時だけ理性保ったりするからこちらが我慢してるんじゃないかとか、実はそう言いながら……と身構えなくちゃならないんだ。

そしてこんなに色々考えてるのに本人は涼しい顔でいるってどういう事だよっ!

⏰:08/05/05 01:32 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#708 [向日葵]
私は逆ギレした怒りをそのままにして真と距離を取った。
いきなり私が突き放したので真はどうしたのかと困った顔をしていた。
が、今の私にはそんなもの目に入らなかった。

「アイス食べたい」

「はぁ?この寒いのに?」

「食べたいったら食べたいの今すぐ!」

まるでダダッコ。
最悪だ。

真は呆れたようにため息をつく。
そのため息が、私の胸をグサリと刺す。

⏰:08/05/05 01:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#709 [向日葵]
きっと楽しくなるだろうと思っていた旅行が、私のせいで楽しくないものに変わっていってる気がする。

どうして私はこうなんだ……。

そして更に追い討ちをかけるように、売店に嫌な人物がいた。

「あ、昼間のお兄さん!」

アイツだ。
小恵子だ。

馴れ馴れしく寄って来て、私なんかいないみたいに真に媚びた視線を送るものだから、私のイライラは段々と頂点へ向かって行った。

⏰:08/05/05 01:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#710 [向日葵]
「何してるんですか?買い物で?」

「コイツが、アイス食べたいと言うもんでね」

小恵子は興味無さそうに私を見てからまた白々しいほどの笑顔で真に向き直る。

「もしかしてまだ未成年?」

「えぇ。でも可愛いものでね」

小恵子は最後の言葉だけ聞き流したようだった。

「成人でしたらお兄さんのお酒の相手も出来たでしょうに……。どうです?婚約者さんさえ許して頂けるなら、私の部屋きません?」

成人……大人……。
幼い事がそんなにダメな訳……?
仕方ないじゃない。
どうあがいても、私は真と同い年になれる訳がないのだから。

⏰:08/05/05 01:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#711 [向日葵]
小恵子は用事が済んだのか、真に部屋番を教えるとさっさと帰っていった。

取り残されたのは、真と私のみ。

アイスを入れてる冷凍庫の音がやけに耳に入ってきて耳障りだった。

アイスを買った私はアイスを入れた袋を持ってさっさと部屋へ戻った。
乱暴に机に袋を置いて、勢いよく寝室へ繋がるふすまを開けた。

「みかげ。アイス食べないのか?」

聞いてくる真の手を引っ張り、寝室へ誘(イザナ)う。

⏰:08/05/05 01:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#712 [向日葵]
無理矢理座らせた後、私も座り、浴衣の上に羽尾っていたものを脱ぎ捨てた。
帯に手をかけた瞬間、真にその手を掴まれた。

険しい表情をしていた私と同じくらい真の顔も険しかった。

「何してんの?自分がしようとしてる事分かってる?」

「分かってなかったらしてない。真だって分かってるなら何で止めるの?」

「……何をムキになってる」

一段階真の声が低くなる。
それに少しうろたえながらも、私も負けず劣らず言い返す。

⏰:08/05/05 01:53 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#713 [向日葵]
「真だって、どうせ飽々してんでしょ?私があまりに幼稚だから手が出せないとか思ってんでしょ?」

「落ち着けみかげ。そんな事思っちゃいない」

「いいね冷静になれるだなんて。ここに来て何回私が子供扱いされてたか真知ってる!?その度に自分が惨めになっていくのを味わってるの知ってる!?」

私は真の手を払い、帯を取り始めた。
緩めば浴衣がはだけ、買ったばかりのミントグリーンの下着がちらりと見えた。

いずれこうなるならいつしても同じだ。

⏰:08/05/05 01:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#714 [向日葵]
「早くしてっ」

「みかげ。ちゃんと着ろ」

「相手にしないんだね。やっぱり私の事なんかいいんじゃない!」

「じゃあこうして欲しいのかよ!」

天井が見えた。
真が私の上に覆い被さる。
片手で両手を塞がれ、身動きがとれなくなった。
と同時に、真が私の口を塞いだ。

いつものような優しさの欠片もないキスは、次第に私を冷静にさせ、恐怖を覚えさせる。

⏰:08/05/05 02:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#715 [向日葵]
「いや……っ!」

真の唇が首筋をなぞる。
鳥肌がたった。

「真やめて……っ」

「お前が望んだんだろ?」

「やだ……っ、嫌だぁ……!!」

ついに泣いてしまった。
すると真は私を解放してくれた。
そして両方の頬をパシリと叩く。

「そんなやっつけでやって、俺が本当に喜ぶと思ったか」

それだけ言うと私から離れ、寝室を出ようとした。
私は急いで起きて、必死に真を止める。

「し……真待って……!待ってったらぁ……っ!!」

⏰:08/05/05 02:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#716 [向日葵]
とっさに真の浴衣の裾を引っ張る。
真は突然の私の攻撃に足を取られてモロに顔からこけた。

「――っ!!いってーな!鼻血出たらどうしてくれるつもりだ!」

「ご、め、んなさ……い。怒らないで……行か、ないで……」

掴んだまま片手で目を擦る。

馬鹿な事をしたと反省する。こんな事しても真が喜ばない事分かってたのに私は試した。
真は本当に私の事を思って行動してくれるのかと。

⏰:08/05/05 02:09 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#717 [向日葵]
結局真は大丈夫だと信じていながら信じきれなかったのは自分だ。
自分に負けて、私は真を傷つけた。

きっと真は行ってしまう。
こんな最低な奴と旅行に来るんじゃなかったって思ってる。

そう思いながら泣く。
こんなのズルイ。
でも真に呆れて欲しくないと願えば、涙は後から後から流れてきた。

ふと、肩に暖かさが宿る。
視線を動かせば、浴衣の上に羽尾っていたものが肩からかけられていた。

⏰:08/05/05 02:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#718 [向日葵]
そして、真はそこにいた。目の前にいた。
その顔は、まだ怒っているけれど、激しい怒りではないみたいだった。

「俺はいつお前に無理しろと望んだ」

「望んで……ない……」

真は私の両頬をつねって上を向かせる。

「だったら2度とこんなふざけたマネはよすんだ。分かったか?」

「分かった」と弱々しく呟くと、ようやく真は険しい表情を崩し、柔らかく微笑んだ。

「馬鹿だねーお前は。飽きる訳ないのに」

⏰:08/05/05 02:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#719 [向日葵]
軽く私の服装を正してから、真は私を優しく抱き締めた。
だから私は余計に切なくなって、真の胸に顔を埋めてまた泣いた。
そんな私を、真は優しく諭し、なぐさめる。

「誰がなんと言おうと、俺が良ければいいの。俺から言わせれば、子供だなんだって上っ面しかみない奴の方がよっぽと幼稚だと思うぞ」

それでも、私が真に近づきたかったのだ。
皆が納得してくれるような2人になろうと、慣れない事に背伸びしようとしてたのだ。

でも、そんな私の気持ちを、真はよく分かってくれていた。

⏰:08/05/05 02:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#720 [向日葵]
「俺は純粋なみかげが好きだから、無理しなくていいんだ。ちゃんと全部受け止めるから、1人で頑張ろなきゃいけないなんて傷つかなくていいんだ」

そんな事言われてしまえば、胸の中に溜っていた窮屈な思いが徐々に消えていき、私は更に泣いた。

何度も「ごめんなさい」と言った。
その度に真は「もういいよ」と言いながら頭を優しく撫でてくれた。

「怖い思いさせて悪かったな」

「それは、私が悪いんだもん……」

「それでもごめん……」

⏰:08/05/05 02:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#721 [向日葵]
今度は優しいキスをする。
優しいのに、体の芯が溶けてしまいそうになる。

そして実感する。

真は私の全てを愛してくれてるんだと。
焦った自分は本当に馬鹿だったのだ。

私は安堵のため息を深くした。

*******************

少し溶けてしまったアイスをみかげと2人で食べた後、みかげは泣き疲れて寝てしまった。

「一緒に寝て欲しい」と珍しくみかげが甘えてきたので、腕枕をしながら寝かしつけた。

⏰:08/05/05 02:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#722 [向日葵]
※訂正

>>720

×頑張ろなきゃ
○頑張らなきゃ

⏰:08/05/05 03:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#723 [向日葵]
*アンカー*

>>706にあります(。・ω・。)

⏰:08/05/05 12:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#724 [向日葵]
まだ少し濡れたままの髪の毛を撫でてからこめかみにキスを落とす。
それからそっとみかげの頭から腕を抜いて、俺は1人部屋を出た。

出て向かった先は205号室。
あの小恵子とか言う女の部屋。
ノックをすれば、すぐに小恵子が出てきた。
嬉しいと言う感情を隠す事なく喜んでいる姿に心の中で腹抱えて笑った。

「いらっしゃいませ!どうぞ中に!」

「お友達も一緒でしょ?それは悪いよ。それに……」

小恵子の耳に息が吹きかかるようにしながら甘く囁く。

⏰:08/05/07 23:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#725 [向日葵]
「君と2人っきりで話がしたいな……」

間近で優しく微笑めば作戦終了。
案の定罠にかかった小恵子は俺が導くままに人気の無い所へついてくる。

立ち止まって、今度は少し色っぽい雰囲気を醸し出しながら微笑む。
そうすればこれから何が起こるのかの妄想が膨らんで何の疑問ももたなくなるだろう。

すると小恵子は顔を桃色に変え、恥じらうように俺を見つめた。

トントンと事が進んでくれるので心の中での俺の腹筋はピークを迎えそうだ。

⏰:08/05/07 23:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#726 [向日葵]
俺は笑顔のままゆっくりと彼女を壁際まで追い詰める。
片手をゆっくり壁につければ、お互いの距離は短くなった。

小恵子は恥ずかしそうに、でも嬉しそうに口を開いた。

「だ、駄目ですよお兄さん……。貴方には婚約者がいらっしゃるでしょ」

「えぇ。でも、君には言っておきたい事があったもんでね……」

表情崩さず、俺は小恵子の髪の毛をぐっと後ろに引っ張り、首がのけぞるような形にさせた。
小恵子の顔は一変し、驚いたように俺を見た。

⏰:08/05/07 23:53 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#727 [向日葵]
俺は笑顔を消し去り、冷たく彼女を見つめ、いつもの2倍は低い声で言葉を発した。

「いいか。今度みかげ泣かしたりしたら今みたいにこんな生ぬるいのんじゃすまねぇ。次はその顔変形させてやるからな……」

パッと手を離せば、小恵子は腰が抜けたのかズルズルと座り込んだ。
そんな彼女に冷笑を浮かべながら俺は告げる。

「ワガママだけで思い通りになると思ったら大間違いだ。世間知らずも大概にするんだな」

「な……っ、アンタ……二重……」

“二重人格”とでも言いたいのだろうか。
俺の豹変ぶりの恐怖と驚きで上手く喋れないみたいだ。

⏰:08/05/08 00:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#728 [向日葵]
まぁ……コイツにどう思われようと俺にメリットはないからどうでもいい。

「好きなように妄想すればいいさ。明日以降は2度と会わないだろうから最後に言っておいてやるよ。俺が優男面してんのはアイツの前だけだよ」

それだけ言って、小恵子を置いたままその場を立ち去った。

部屋に戻ってくると、窓辺にみかげが立っていた。
月明かりで青白くなっている為少しビビった自分が情けない……。

俺の気配に気づいたみかげは振り向くとすぐに俺の元へやって来て抱きついた。

⏰:08/05/08 00:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#729 [向日葵]
寝ていたせいか、みかげの体温が温かく、外へ出て少し冷えた俺の体が心地良さを感じていた。

「どこ行ってたの……?」

「少し散歩」

「側にいて……1人にしないで……」

「しないよ……」

頬に手を添えて、唇を寄せようとすると急にみかげの体が傾いたので慌てて受け止めた。

見れば規則正しく寝息をたてて寝ていた。
どうやら寝ぼけていたらしい。

⏰:08/05/08 00:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#730 [向日葵]
呆然としながらも、おかしくなって喉の奥で笑ってからみかげを布団まで運んだ。
そして今度は朝まで離れないようにみかげをしっかり抱いて、俺も目を瞑った。


*****************

―――――――……

真が小恵子を脅したのも、昨日寝ぼけていただなんて知らない私は穏やかな朝を迎えた。

目をショボショボさせながら開けば、真がそこにいてホッとした。

「真。起きて……」

⏰:08/05/08 00:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#731 [向日葵]
真は少し唸ってから私をキツク抱き寄せる。

ちょ……っ!
浴衣!薄い!そんなに密着しないで……っ!

「真……っ!朝だっつーのっ」

「まだチェックアウトまで時間あんだろうよぉ……もう少し寝たい……」

「じゃあ離して」

「なんで?」

なんでってアンタ……。


朝風呂入ってみたいなーなんて思ったりしてる訳で。
だって露天風呂だよ!?
朝も楽しまなきゃ駄目っしょお!!

⏰:08/05/08 00:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#732 [向日葵]
「やりたい事あんの!」

「俺もやりたい事ある」

と真は私の上に覆い被さってきた。

「朝のキスしたい」

「はぁ!?」

「いいでしょ」

「や、ちょっと待ってぇぇぇ!!」

――――――
――――――――……

「お、終わり!?」

次の日、多香子にまたもや廊下へ呼び出された私は、「旅行中どんなラブラブな事があったか」を聞かれて、1つ1つ淡々と答えた。

⏰:08/05/08 00:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#733 [向日葵]
そうこれだけ。
多香子が想像している事なんてこれっぽちも無かったのだ。

「だ、だって下着は!?しかもなんの為の1泊2日!?意味がないじゃない……っ!」

そんな事言われてもタイムマシーンがある訳でなし。

それに、改めて真が私を大切にしてくれている事が分かった。
布団じゃなく、人肌の温かさは私の心さえ温かくしてくれた。

「皆が皆、そうなればいいってもんじゃないの。私達は私達の付き合いがあるんだから」

⏰:08/05/15 22:08 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#734 [向日葵]
そう言って、密かに薬指にはまっている銀の輪を撫でた。
するとアナウンスが流れてきた。

<葛みかげ、葛みかげ。至急職員室まで来なさい>

「あれ?今の松川だよね?珍しい。準備室じゃないんだ」

私も「あれ?」と首を傾げた。
珍しくも学校の用事で私を呼び出したのだろうか。

多香子と別れて、私は職員室へと向かった。

前まで来ると、既に真は廊下へ出ていた。

⏰:08/05/15 22:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#735 [向日葵]
外面装備なので、学校的な用事らしい。
近くまで行くと、平たくて黒い物体で頭を軽く叩かれた。

「日直。仕事忘れんじゃない」

あぁ。なるほどね。

「すーいませーん」

頭に置かれている日直日誌を受け取り、回れ右をして帰ろうとする。
と、腕を引かれた。

「ちょっとこっち来て」

小声で言われ、導かれるがままに階段がある場所まで連れて行かれた。

⏰:08/05/15 22:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#736 [向日葵]
真は外面を少し崩して普段私に見せる顔を覗かせたと思うと、額の髪の毛に指を埋め、大きなため息をついた。

眉を寄せて、何事かと見つめる私に気づいた真は苦い顔をしながら私に言った。

「今日、早く家に帰ってくれないか。それと、なるべく可愛い格好をしてくれ」

「はぁ……早く帰る事は出来るけど……。なんで可愛い格好?」

再びため息をつく。

「両親が、今日来るんだと」

⏰:08/05/15 22:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#737 [向日葵]
頭が一瞬にして真っ白になった。
そして時間も止まった気がした。

え、今なんて?
リョウシン?
両親……両親……つまり、真のお父さんと、お母……さん……。

え。

「え――――っ!!」

響く構造になってる階段付近に、私の声があちこちにエコーしてはねかえる。

真は私の予想外の大声に耳を塞ぎ、予想通りの反応に申し訳なさそうな顔をした。

⏰:08/05/15 22:24 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#738 [向日葵]
「な、なななんで!?今日平日だよ!?しかもなんで向こうから!?普通こっちからだし……っ!」

「とりあえず無理だと思うが落ち着いてくれ……」

「いや無理だって!」

「うん分かってるから、ちょっと落ち着く努力して……」

何度も深呼吸を繰り返すも、どうにもこうにも落ち着かない。
頭をぐしゃぐしゃにして、もう1度来そうなパニックの波をなんとか抑えようとする。

そもそも真に世話になってる立場で、しかも結婚申し込まれた奴が1度も挨拶しないって物凄く無礼に当たるんではないのだろうか……っ!

⏰:08/05/15 22:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#739 [向日葵]
ほんっっとに丁寧に礼儀正しくしなければ、荷物勝手にまとめられてポイッと放り出されたり……。

嫌な予感が私の頭の中を駆け巡る。
あわあわとなっている私を、真は応接室に引っ張って行った。
階段ではやはり分が悪いと思ったらしい。

ピシャリとドアを閉めて私の両肩に手を置く。

「ゴメン。思い立ったら吉日で動いてる奴らだからさ……その……うん」

真も急な訪問に同様しているらしく、いつもの饒舌具合はどこへやら。

⏰:08/05/15 22:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#740 [向日葵]
「何か好きな食べ物とか用意した方がいい!?」

「いやそれより……お前に聞いておきたい事がある」

何だと首を傾げると、真は切なげに私を見つめた。
少し胸の奥が高鳴る。

「親父達に、結婚の話をしようと思う。だから聞きたい。お前は、俺と結婚してくれるんだな?」

「は……?何言ってんの。当たり前でしょ。今更?もしかして真はしたくないの?」

「違う。もしまだ気持ちが定まってないなら、他の日にするってだけ」

結局する事には変わりないのだからいつ言ってもいいのでは?と思った自分が恥ずかしくなった。

⏰:08/05/15 22:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#741 [向日葵]
結婚するという決意が揺るがない自分が、いかに真の側にいたいかを示している。

そう思えば顔が赤くなってしまう。

急に私の顔が赤くなったので、真は不思議そうに私の顔を覗き込む。

「何。どうかした?」

「な、なんでもないっ!」

すると、真の両手が私の顔を包んだ。

「俺と出会ってくれて、ありがとう……」

愛しそうに見つめながら言うものだから、切ない気持ちが胸に広がっていった。

⏰:08/05/15 22:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#742 [向日葵]
唇を重ねて、お互いの気持ちが真実である事を確かめる。

「……。あ、あのっ!」

真を突き離す。
真は不服そうな顔をしながら少し距離を取っただけでまだそこにいた。

「何?」

「何じゃないっ!キスが長い!ここは学校なんだから……」

「スリルがあっていいじゃん。それに、まだ足りない……」

再び唇を押しつけられて、離れる時は酸欠で上手く立ってられなかった。

⏰:08/05/15 22:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#743 [向日葵]
真剣な事を言ったと思ったらこれなんだから……。

酸欠で立てない私を支えながら真は笑う。
ボディーブローぐらいを決めたい気持ちにかられるのに、今は力が入らないから手をつねるので精一杯だ。

「じゃ、今日よろしくな」

満足そうに言う。

「やっぱり結婚取り消そうかしら……」

「それは困る。」

笑いながら真は言った。

「パニックがおさまったみたいで良かったよ」

⏰:08/05/15 22:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#744 [向日葵]
感想板が新しくなりました
良ければ覗いてください

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3624/

⏰:08/05/16 19:46 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#745 [向日葵]
パニックおさめる方法なら他にもあるだろうとツッコミたいけど、今は力が入らない。

とりあえず、真が部屋から出る前に後ろから蹴り飛ばしてやった。

真と別れて、教室に戻る。
渡された日誌に日にち、担当者を書き終えると帰って来た私に気づいた多香子がやって来た。

「おかえり。あぁ今日みかげ日直だっけか。だから普通に呼び出したのね」

まぁ他にも用事はあったんだけどね……。

これを言えばまた多香子がなんやかんやで今日は夜盛り上がるかもよ!とか言って下着第2弾を買わされそうなので黙っておく。

⏰:08/05/17 21:47 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#746 [向日葵]
「多香子。今日ちょっと掃除サボらせて。早く帰らなきゃならないの」

「え、なになに」

黙って帰らせてくれないのが多香子だ……。

ため息をつく。

「豚肉が安い日だから真が早く行けってうるさいの」

もちろんこれは嘘。
しかし多香子は目をキラキラさせる。

「若奥さんは大変だねー」

もうコイツの色ボケ思考をどうにかしてくれ……。

⏰:08/05/17 21:51 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#747 [向日葵]
しかしそれだけ言えば多香子はサボりを承諾してくれた。
あとは、家に帰るまでに私の心の準備をしなければならない。

18歳で結婚の挨拶かぁ……。
もし母さん達が生きていたならどういうだろう。
心から祝福してくれるかな?

窓から外を眺める。
いつもの青空が、いつもより鮮やかに見えた気がした。

母さん……私、とても幸せだよ……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

制服以外では滅多にはかないスカートを着て、落ち着こうと思いながらリビングを行ったり来たりしていた。

⏰:08/05/17 21:58 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#748 [向日葵]
時刻は6時。
真はまだ帰っていない。

早く帰って来いと念を送る。
すると念の効果か、鍵を開ける音が聞こえた。

ホッとして、玄関に駆けて行った。

「おかえ……!り……」

語尾が小さくなったのは真の後ろに続いて入って来る人がいたからだ。

「ただいま。外であったから連れて来た」

私は真のお母さんにまず目がいった。

「あぁ!」

「こんばんわ。この前は助けてくれてありがとう」

⏰:08/05/17 22:03 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#749 [向日葵]
「コ、ココアの人……!」

まるでハムの人みたいに無礼にも指をさして驚く。
そんな私を気にもせず、真のお母さんはにっこり笑った。

そうなのだ。
その人は旅行に行く前日、自販機からココアが出なくて困っていた人だった。

「何度見ても可愛いわね。ね、あなた」

そこで初めて真のお父さんを見た。
見てから私は息をひくつかせる。

見るからにすごく厳しそうな人だったからだ。

⏰:08/05/17 22:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#750 [向日葵]
「こ、こんに……いや、こんばんわ!」

深々とお辞儀をする。
心臓は既に限界だ。

すると急に両肩を掴まれて体を起こされた。
お父さんと間近で向き合う形になる。

ひーっ!

目が泳ぎそうになるのを必死に堪えてお父さんと目を合わせる。

と、お父さんの顔が少し厳しさを増す。
顔は真と同じくらいカッコイイのだからもう少し柔らかな表情を浮かべて欲しいものだ。

⏰:08/05/17 22:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#751 [向日葵]
「真一……何故早くこの子を連れて来なかった」

「あ、あの、スイマセ……」

「こんな可愛い子お父さんに教えないなんてどういう事だ!」

え。

目が点になった。

真剣な顔で、その厳しそうな顔で、今、なんて言った……?

「みかげさんとか言ったかな?初めまして、真一の父、倫太郎です。」

手を取って、淑女のようにキスされる。

⏰:08/05/17 23:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#752 [向日葵]
私は唖然としながらその動作を見ている。

「お前が誰かれ構わずそうやって口説くから行くの躊躇ってたんだよ!」

お父さんから私を離しながら真は抗議した。

「倫太郎さん昔からそうよねー」

コロコロ笑いながら言うお母さんに、「そんな軽い……」と既にこの空気について行けずにいた。

「女性は皆素晴らしいからね。口説かずにはいられないのさ」

真のタラシ具合いはお父さん譲りらしい……。

⏰:08/05/17 23:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#753 [向日葵]
>>744
に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:08/05/17 23:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#754 [向日葵]
「そんな事より、言っておきたい事があるんだ」

「あぁ。結婚でもするのか?」

「どうして先に言っちゃうんだよ!」

「そんなもんさっさとすればいいのよ」

アップテンポの会話に私はついていけなかった。
さすが真のご両親……。ただものじゃない……。

「みかげさん」

「あ、ハイ!」

突然呼びかけられたので、背筋をシャッキリ伸ばしながら返事をした。

⏰:08/05/23 19:07 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#755 [向日葵]
お母さんは私の両手を握って優しく微笑んだ。

「貴方の事は真一から聞いてるわ。早くにご両親を亡くして辛かったわね。でもこれからは真一だけじゃなくって、私達にも甘えていいんだからね」

真のお母さんに、私のお母さんの影を重ねる。
きっとお母さんも微笑んでくれてる気がした。
そう思った瞬間、胸が一杯になった。

涙が勝手に溢れ出る。

「ありが……ございます……」

一生懸命繋いだ言葉は、たどたどしくも心はこもっていた。

⏰:08/05/23 19:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#756 [向日葵]
真のお母さんもそれを分かってくれたのだろう。
優しく抱き締めて、私の頭をまるであやすみたいに撫でてくれた。

「さて、将来の娘との挨拶もすんだし、呑むぞ」

お父さんはビニール袋一杯のお酒を掲げた。

「俺仕事あんだけど……」

「父さんだってあるさ。でもな真一、適度な酒は長生きの元なんだぞ?」

「てめぇは呑みすぎなんだよ!」

余裕たっぷりの真がうろたえてる姿は本当に珍しくて、私は沢山笑った。

これからこんな日が続くのかと思えば、夢のように思えたのだった。

⏰:08/05/23 19:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#757 [向日葵]
ねぇ真……。
私は貴方に沢山の幸せをもらってる。

だから私は一生をかけて、貴方を幸せにするね……。

⏰:08/05/23 19:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#758 [向日葵]
月日は流れ流れて、私は卒業を迎えた。

「み、か、げ……っ。また遊ぼうねぇぇぇ……っ!」

子供みたいに泣きじゃくる多香子をなだめるように頭を撫でる。

「ってか卒業旅行行くんだから、またも何もないでしょう」

「卒業旅行が終わったら音信不通になりそうなのがみかげだもぉーん!」

失礼な。
そんな薄弱じゃありませんったら。

じゃあねと言って、泣く多香子と校門で別れて校舎を振り返った。

⏰:08/05/23 19:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#759 [向日葵]
色々あったな……。
3年なんて、本当あっという間なんだなぁ……。

「感傷に浸ってんの?」

少し離れた所に見慣れた車がある。
そこに寄りかかって立っているのは、この学校で出会い、恋に落ちてしまった人。
いや、落とされた人?

「私ってそんな薄弱に見えるの?」

幸いまだ生徒は校舎で別れを惜しんでいる為いない。

「感情があんま表に出ないからな。……それよりだ。みかげ」

ぐいっと手を引かれて、間近で眩しい微笑みを浮かべる。

⏰:08/05/23 19:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#760 [向日葵]
「やっと結婚出来るんだ、俺達!」

そうなのだ。
私達はいよいよゴールイン。……な訳だけど……。

「ねぇ、まさかとは思うけど、今日届け出すとか言わないでね」

「え?なんで?」

キョトンとして言うからびっくりする。
卒業するわ婚姻届け出すわってなんだかしんどいと思うのは私だけなんだろうか……。

「私は逃げたりしないから、また明日にしない?」

「やだ」

そんなドきっぱり……。

⏰:08/05/23 19:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#761 [向日葵]
>>744に感想板がありますのでよければお願いします

アンカー
>>2-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-760

⏰:08/05/23 19:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#762 [向日葵]
※訂正

>>758
>>759

×薄弱
○薄情

です

⏰:08/05/23 23:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#763 [向日葵]
「早くみかげが俺のものって証が欲しいんだよ」

「ば、馬鹿!何言って……」

「早くー!早く早くー!」

だだをこね始める真。

本当にコイツは大人なんだか子供なんだか……。

と、校舎から生徒が出てきてこちらへ歩いて来る。
いくら卒業したからと言ってこんな所、しかも裏の真が顔を出しているのを見られては困るのではないか?

真は相変わらず、ブーイングしながらだだをこねている。

⏰:08/06/01 02:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#764 [向日葵]
「ちょ、……とりあえず、お、おーちつけぇーっ!!」

脳天チョップを1発。
「いってー!」と声をあげて静かになった真を無理矢理車へ押し込む。
その後私も助手席に乗り込んだ。

「て、てめぇ…みかげ……」

頭をさすりながら真が抗議してくるが、無視して指示する。

「さっさと車出す」

「はぁ?なんで……」

「いーから出す!」

⏰:08/06/01 02:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#765 [向日葵]
私の勢いに負けた真はアホっぽい声で小さく「はい」と言ってエンジンをかけた。

どこに行くかも決めてないのに車は発進して、学校を惜しむ事なく去って行った。

しばらく走っていると、真が口を開いた。

「なぁみかげ。お前の両親のお墓ってどこにある?」

「え。えーっと、岩浪町って田舎の所。昔住んでて、そこにある。ここからだと2時間はかかるかな。そるが、何?」

赤信号で車は止まる。
穏やかな笑みをこちらに向けた真は言った。

⏰:08/06/01 02:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#766 [向日葵]
「挨拶に行こう。思えば、俺もお前みたいに両親に挨拶に行ってない無礼な奴になってしまうからな。まぁお前の場合は俺が1人で止めてたんだけど……」

挨拶……。
再び車が発進した時、口の中でそのくすぐったくも感じる言葉を繰り返した。

「ありがとう……」

うつ向いて言えば、静かにクスリと笑った真が頭を優しく撫でた。

私の育った町に、思いがけず旅する事になってしまった。
本当に小さい頃だから、記憶にはあまり無いけれど、田んぼがそこかしこにあって、のんびりとした雰囲気だったような気がする。

⏰:08/06/01 02:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#767 [向日葵]
母さんや父さんは、私達の事をどう思うのだろう。

でも何故か、反対はしてない気がしたのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

約2時間後。
小さな駐車場に車を止めて、お墓の場所まで行った。

久々の町は、やはりのんびりとした雰囲気をまとっていた。

正直、お墓参りは久々で、親戚にお墓の世話を任せてばかりでいた。
お母さん達が怒っていない事を願いながら桶に水をためる。

⏰:08/06/01 02:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#768 [向日葵]
お墓の前まで来ると、ちゃんと世話をしてくれているのだろう。
仏花が綺麗に飾られ、墓石もきらりと光っている。

なんだかホッとして、水をかけ、真と2人で並んでお墓を見つめる。

何から報告をと思っていると、真の手が優しく私の手を包んだ。
ハッとして真を見れば、真剣な顔をしていた。

「ご挨拶と報告が遅れて、申し訳ありません。俺……じゃない、僕は、松川真一と申します」

まるで本当に2人が目の前にいるかのように、形式ばって、それでいて緊張しているように真は言った。

⏰:08/06/01 02:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#769 [向日葵]
「みかげさんとは、丁度1年くらい前に知り合ってから、交際させて頂いてます。そして今日、みかげさんの卒業と共に籍を入れたいと思い、こちらに足を運ばさせて頂きました」

真がそんな風に話すものだから、なんだか私も緊張して真の手を握り返す力が強くなってしまった。

真は頭をお墓に向かって下げる。

「ありきたりな言葉しか言えない事を許して下さい。けれどみかげは一生かけて幸せにします。悲しい顔はさせません、笑顔と幸せに満ちた毎日を過ごせるよう努力します」

⏰:08/06/01 02:42 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#770 [向日葵]
真を見てから、私はお墓をまた見つめる。

母さん……父さん……。
この人が……私の大切な人なの。
真がいなかったら、私はずっと夢の世界で1人ぼっちでいた。

誰かをいとおしいとか、守りたいとか、そんな柔らかな感情知らなかったままだと思う。

だから……。

「幸せになります……」

私も頭を軽く下げる。

少し早い春の匂いを含んだ暖かい風が私達を包む。

それは、母さん達の返事のような気がした。

⏰:08/06/01 02:46 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#771 [向日葵]
―おめでとう―
…………と。

「みかげ……。何泣いてんの」

気がつけば頬が濡れていた。
「あれ?」と繋いでない方の手で滴を拭う。
そんな私を優しい目で見つめて真は抱き締めた。

「みかげ、改めて言うよ。俺のそばに、ずっとずっといて下さい」

その言葉に、涙がまた溢れた。
真の背中に手をまわし、上着をギュッと掴む。

「はい……。真が望むなら、ずっとそばにいます……っ」

⏰:08/06/01 02:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#772 [向日葵]
私達はしばらく抱き合っていた。
そんな私達を、先ほどの風が祝福するように包み込んでいた……。

―――――
――――――――……

「――かげ。みーかーげ!」

ハッと目を覚ます。
目の前にいるは相変わらずの真一。そして愛娘のゆめがいた。

あれから4年後。
現在私は22歳。ゆめを産んで3年が経とうとしていた。

ソファーで寝ていたらしい私は体を起こす。

⏰:08/06/01 02:55 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#773 [向日葵]
「ままー……こわいゆめみたのー?」

「え……?」

ゆめは起きた私の膝に乗り、キュッと抱きついた。
困惑した顔で真一を見れば、真一の指先が私の目を拭う。

「泣いてるからさっきからゆめが心配してたぞ。それに最近疲れてんじゃないか?」

優しく髪を撫でる真一に笑う。

「大丈夫よ。この頃はつわりも大分マシになったし」

実は、新しい命が、私のお腹に宿っているのだ。

⏰:08/06/01 03:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#774 [向日葵]
真一はゆめを抱き上げて私の隣に座る。
そしてお腹をいとおしそうに撫でた。
そんな真一を見て、ゆめも真似して小さな手で一生懸命撫でる。

私はそんな2人を見て顔をほころばせた。

「まま、あかちゃんいつゆめとあえるのー」

「さぁー。いつだろうね」

「早く会いたいな、ゆめ」

「うん!」

にばっと笑うゆめに、真一は優しいキスを額に落とす。

⏰:08/06/01 03:04 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#775 [向日葵]
母さん、父さん、私は毎日が幸せです。

運命の糸が、真一に繋がっていた事を、心から感謝します。

楽しい毎日は、まだ始まったばかりだ……。
そう思えば、これから何が起こるかワクワクしてしまう。

こんな私にしてくれたのは、真一……貴方のおかげだね。

だから私は、真一のそばにずっといることを誓います……。



*END*

⏰:08/06/01 03:09 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#776 [向日葵]
*あとがき*

・・・ゆめみる魚・・・如何でしたか?
番外編も終わり、以上で・・・ゆめみる魚・・・の話全てを終えます
ここまで読んで頂いた方、応援して下さった方、アドバイスを下さった方、ありがとうございました
もう1つの小説、*柴日記*も亀ですが更新さていますので良ければまた見て下さい

本当にありがとうございました

*向日葵*

⏰:08/06/01 03:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#777 [向日葵]
>>744に感想板がありますんで、良ければ感想などお願いします


*アンカー*
>>2-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800

⏰:08/06/01 03:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#778 [我輩は匿名である]
あげ

⏰:11/03/01 22:54 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#779 [我輩は匿名である]
保守!!

⏰:12/05/25 22:42 📱:Android 🆔:☆☆☆


#780 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/11/27 19:11 📱:Android 🆔:☆☆☆


#781 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:22/11/27 19:12 📱:Android 🆔:☆☆☆


#782 [approach]
(´∀`∩)↑age↑(∩゚∀゚)∩age

⏰:25/11/13 00:00 📱:Android 🆔:☆☆☆


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