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#44 [河上彦斎(1/3)◆vzApYZDoz6]
そんな修羅の者の前に、ある1人の男が立ちはだかった。
立ちはだかった男は、手に西洋式の筒を持っていた。その筒には見覚えがあった。
自動拳銃。江戸末期の世では珍しい、近代兵器の第1歩。
「俺と合い見えてもらおうか」
男が自動拳銃を突き付ける。
西洋の龍のエングレーブが入った銃。
その龍を静かに見つめ、修羅の者は薄く笑った。
同時に刀に手を掛ける。
抜刀と同時に凪ぎ払われる刀身。男は突き付けていた銃身を立てて剣撃を受け止める。
刀の速度を殺さずに、銃身を横に倒して受け流
:08/03/03 15:42 :P903i :zBYy/l0.
#45 [河上彦斎(2/3)◆vzApYZDoz6]
>>44また途切れたw
しかも44とか不吉w
そんな修羅の者の前に、ある1人の男が立ちはだかった。
立ちはだかった男は、手に西洋式の筒を持っていた。その筒には見覚えがあった。
自動拳銃。江戸末期の世では珍しい、近代兵器の第1歩。
「俺と合い見えてもらおうか」
男が自動拳銃を突き付ける。
西洋の龍のエングレーブが入った銃。
その龍を静かに見つめ、修羅の者は薄く笑った。
同時に刀に手を掛ける。
抜刀と同時に凪ぎ払われる刀身。男は突き付けていた銃身を立てて剣撃を受け止める。
刀の速度を殺さずに、銃身を横に倒して受け流す。そのまま手首を回して銃口を修羅の者に向け、引き金を引いた。
:08/03/03 15:46 :P903i :zBYy/l0.
#46 [河上彦斎(3/3)◆vzApYZDoz6]
射出された弾丸は、現代のそれとは違い決して速くない。
それでも、銃口を向けられて尚笑みを浮かべる修羅の者を殺すには十分な速度があった。
だが、弾は修羅の者に当たらなかった。
受け流された刀の柄ギリギリに逆の手を添えて、テコの原理で刀身を無理やりに軌道修正。
つばめ返しと呼ばれる連撃技。
柄の真ん中を支点にして切り上げられた刃が、射出された鉛弾と銃身を両断し、一緒に引き金に掛けられた男の指を切断した。
「があっ!!」
思わず斬られた手を抱えて蹲る男の先で、振り上げられた刀身が妖しく光る。
それに気付いた男が顔を上げる前に、男の体は右肩から袈裟懸けに斬り裂かれた。
辺りに飛び散る緋色の鮮血。
修羅の者は、倒れ伏す男ではなく斬り捨てた刀を睨んでいた。
幾度となく血を纏った刀身は、赤黒く変色している。
とうに輝きを失った刀をしばらく眺めて、付いた血を振り払い鞘に納めた。
足下に転がる男の死体には目もくれず、修羅の者は再び歩き出す。
より強き者を、より強き武具を求めて。
ただひたすらに、修羅の道を歩いていった。
:08/03/03 15:47 :P903i :zBYy/l0.
#47 [[人斬り]ふむ(1/1)◆s8/1o/v/Vc]
人斬り。
それが俺の称号だった。
俺が名乗ったものではない。
世が俺に与えた名だ。
別にこの名は好きじゃないが、嫌いでもない。
なぜなら間違っていないから。
俺は人を殺す。
どんな形であれ、それは変わらない。
俺は人殺しだ。
皆が恐れる殺人鬼だ。
血塗られた太刀も、その味を覚えてしまっている。
滴る鮮血に、肉を切り裂く味を。
昨日も人を殺した。
洞窟の中にたむろしていた野党だったか…。
そんな事はどうでもいい。
俺は洞窟の地面や岩壁を血の色で汚し、血臭を充満させた。
十人前後いた人間は、俺の前で、俺の手によってただの肉の塊と化した。
人斬り。
それが大量殺人鬼である俺に付けられた呼称。
ぼんやりと空を眺めていたら、近くに女の叫び声が響いた。
見れば、河原で若い女が下衆な三人の男に襲われている。
俺は太刀に手を掛けた。
ゆっくりと歩を進める。
人を斬るために。
今日も、俺はこの手を血に染めて人殺しとなるだろう。
一人の女性のために。
:08/03/03 19:35 :SH905i :☆☆☆
#48 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/03 19:38 :SH905i :☆☆☆
#49 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/03 19:39 :SH905i :☆☆☆
#50 [紫陽花[私の宝物(1/1)]]
『朝よ〜!!起きなさい!!』
いつものように朝が苦手な息子をたたき起こす。剣道部の息子は昨日の試合の疲れからか今日はいつも以上に起きない。
『まったく…』
でも確かに昨日の試合は素人が見てもスゴい試合だった。我が息子ながらあんなに白熱した闘いを繰り広げられるなんて自分の目を疑ったほどだ。結果は惜しくも負けてしまったが、その時の息子の悔しそうな顔は夫の若い頃そっくりだった。
あぁ……こうやって男の子から男性へと変わるのね、そう思うとなんだか胸が熱くなった。
しかし昨日の白熱した闘いとは裏腹に今は天使のような寝顔で布団にくるまっている。
『だけどまだまだ子供ね』
そういって私は息子の布団を剥ぎ取り起きるよう促した。
今日もまた変わらない
いつもの日々が始まる。
ーーーendーーー
:08/03/03 20:48 :F905i :☆☆☆
#51 [雨のち晴れ(1/2)◆vzApYZDoz6]
私の体を、夏のぬるい雨が打つ。
心の中も同じく晴れていない。闇が、私の心に突き刺さる。
まぁこれは比喩なんだけど。
どうせならもっと明るいものに刺されたい。
上を向く気力が出ない。
向いてもどうせ雨雲だけ。
傘が無くても雨宿りしようとは思わなかった。
でも光化学スモッグに侵されたこの街の雨は、体にチクチクと突き刺ささってすごく痛い。
まぁ比喩なんだけど。
どうせならもっと優しい雨に刺されたい。
そう思って、とりあえず街から離れるためにバスに乗り込む。
以外と乗車してる人は多い。って今雨降ってたんだっけ。
バスの中でもずぶ濡れの私に視線が痛く突き刺さる。
まぁ比喩なんだけど。
どうせならもっと柔らかい視線に刺されたい。
バスの中はうつ向いてやりすごした。
着いた先は駅。視線を避けるようにうつ向いたまま、さっさと特急電車に乗り込んだ。
尖った視線はもう慣れた。
街から離れる程に人は減る。でもその分、馴れ馴れしい人が増える。
あまり話し掛けてほしくなかったから、ここでもうつ向いて歩いていった。
:08/03/03 23:03 :P903i :zBYy/l0.
#52 [雨のち晴れ(2/2)◆vzApYZDoz6]
着いた場所は田舎町の、ある1軒の家。
久しぶりに来た気がする。そこで初めて顔を上げて、家を見上げる。
いつの間にか雨はあがっていた。
あれ?上を向いただけなのに視界が明るくなった気がする。突き刺さるものは柔らかい。
これも比喩?
ううん、違う。明るくて、優しくて、柔らかいものを感じる。
後ろを振り返ると、眩しさに目が眩んだ。
田舎の山々の上に広がる入道雲。その更に上で輝く太陽。
太陽の光を受けた蒸気が、虹となって山々に掛かっていた。
あー、そっか。暗かったのも、怖かったのも、尖ってたのも、私が下を向いていたせいなんだ。
だって、そうでしょう?
いつでもそこにある空が、こんなにも――
後ろの家の戸が開き、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あらあんた…帰ってくるなら電話の1本ぐらい入れたらいいのに。なんかあったのかい?」
「別に。何となくだよ」
本当はふられちゃったからなんだけど。ホームシックになって何が悪い。
でも、思ったより早くに私の心の雨はあがった。
もう大丈夫。
だって、そうでしょう?
そこにいつでもある空が、こんなにも――
――こんなにも、おっきいんだから。
:08/03/03 23:03 :P903i :zBYy/l0.
#53 [アダ名で呼んでほしいシュール(1/2)]
「なぁ山中さん、こないだ貸しt」
「ちょっと待ったぁ!!」
「え?なに、どうした?」
「なんであなたは私をアダ名で呼んでくれないの?」
「はっ?いやそんな事よりこないだ貸しt」
「そんな事よりってなによ!!」
「えっ、いや…そんな怒んなよ…」
「それならアダ名で呼んでよ!」
「分かったよ…じゃあ、シューr」
「それは皆呼んでるから面白くない」
「いや皆が呼ぶのがアダ名じゃねぇのかよ?」
「そうねー、私は素直だってよく言われるし『ナオスー』とかいいかも」
「おっと華麗なスルーパス出ました」
「なんか言った!?」
「いや…何も」
:08/03/03 23:58 :P903i :zBYy/l0.
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