・・悪魔なキミ・・
最新 最初 🆕
#550 [´゚ω゚`]
おもしろいです
>>257-400
>>401-500

⏰:08/08/05 00:29 📱:SO702i 🆔:IDGAKT62


#551 [我輩は匿名である]
>>500-550
>>550-600

⏰:08/08/05 01:10 📱:SH903i 🆔:uAwVNVbE


#552 [くぴ]
あげ

⏰:08/08/06 17:08 📱:P705i 🆔:N7qaU0MY


#553 [ayaka]
あげちゃうぜw

⏰:08/08/06 17:33 📱:PC 🆔:nWS/TAzU


#554 [そら]
あげます
いつもみてます
頑張って下さい

⏰:08/08/06 21:42 📱:P903i 🆔:☆☆☆


#555 [我輩は匿名である]
>>250-300
>>300-350
>>350-400
>>400-450
>>450-500
>>500-550

⏰:08/08/07 20:31 📱:W51P 🆔:.3Sb9.RY


#556 [夜蝶]
あげる

⏰:08/08/07 23:40 📱:911T 🆔:uIqAaxmo


#557 [みい]

>>548
私は、あんたなんか恐くもなんともないんだからっ!という目でデブのことを睨みつける。


デブが冷やかすように「お〜怖っ!」と笑いながら私に歩み寄ってきていた時…



「わかった」



突然蓮の声が響いた。


「へ……?」

⏰:08/08/08 11:58 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#558 [みい]

さっきまで出なかった声が、掠れて自分の喉元を通り自分の口から零れたのがわかった。


なに…?蓮、何が「わかった」の?何に同意したの…?


「だから、そいつには近付くな」


そう言い、デブに睨みをきかす蓮。デブは鼻で笑ったあと、再び蓮のいる方へ歩き出した。


「…柚、目え閉じろ」

⏰:08/08/08 12:00 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#559 [みい]

蓮が私を見ないまま命令する。


何?私が目を閉じたら、あなたは何をするの?…淕に、土下座…する、の?

そんなの嫌だ。蓮がそんなことしなくたっていいじゃない。どうしてそんなことする必要があるの?


蓮は視界の隅に映った、いやいや、と首を横に振る私に気付き、


「早く閉じろっつってんだよ!」


と声を荒らげる。

⏰:08/08/08 12:01 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#560 [みい]

私はその声にびっくりして、思わず目をぎゅっとつぶった。



しーんとした真っ暗闇の中、


「悪かった」


と蓮の声が響く。



ああ…。今、あのプライドの高い悪魔が、屈辱に耐えながらも実の弟に…ひざまづいているんだ…。

⏰:08/08/08 12:02 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#561 [みい]

蓮のそんな姿なんか見たくない。想像だってしたくない。


私は閉じた瞳にさらに力を入れ、唇を噛み締めた。


「…いー眺め」


馬鹿にしたような口調…。同じ声だけど、これは淕のものだろう。


コツコツと、足音が近付いてくる。その音は、私の前で止んだ。


「ねえ柚稀ちゃん。見なよ、あいつの無様な姿」

⏰:08/08/08 12:03 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#562 [みい]

…淕だ。


私は強く頭を横に振った。だって蓮はそんな姿、私に見せたくないに決まってる。だから命令したのだ。


すると、舌打ちが聞こえ、


「見ろっつってんだろーがよ!ぁあ!?」」


と脅すような口調で肩をがしっと掴まれ、そのまま強く揺さ振られる。

「そいつには触んな!」

⏰:08/08/08 12:06 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#563 [みい]

蓮の怒鳴り声に、薄く目を開けると、既に立ち上がっている蓮が向こうに見えた。


「…兄さん、ちょっとそいつらと遊んでてよ」


淕が言い終わらないうちに、デブを始めとする連中が後ろから蓮に飛び掛かったのがわかった。


「蓮っ!」


私は蓮の元へ駆け寄ろうとしたが、淕に押さえ込まれてしまう。

⏰:08/08/08 12:07 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#564 [みい]

「…っ何すんのよ!放してっ!」


もがいてもあがいても、男の力になんか到底敵いっこない。


「柚稀ちゃんはその間俺と遊んでよーよ。どうせ同じ顔じゃん」

「あんたなんかっ…あんたなんか、蓮の足元にも及ばない!このカス!クズ!」


思い切り睨みながらそう吐き捨てると、淕は目を丸くし、そのあと笑い出した。

⏰:08/08/08 12:08 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#565 [みい]

「兄さんってこんな女が趣味なんだ…。俺、こんな気の強い女はパスだわ」


こっちだってあんたみたいな最低男なんか願い下げだ。


でも…と淕は私の顎に手をかけ、


「染谷蓮のものは、全て奪う」


と私の耳に口づける。


私は、あまりの気持ち悪さに全身が震え、吐き気まで催した。

⏰:08/08/08 12:09 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#566 [みい]

「兄さんとはどこまでいったの?もうヤっちゃった?」
「そんなのっ…あんたに関係ないっ!」


吐きそうなのを我慢してどうにか答えると淕は、


「ふーん…その様子だと…まだ、だね」


とニヤついた。


図星で、不覚にも顔が熱くなる。

⏰:08/08/08 12:10 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#567 [みい]

「じゃあ兄さんには悪いけど…俺がお先に柚稀ちゃんをいただこうかな」


淕は私に顔を近付けてきた。


嫌だ…嫌だよ。蓮とじゃなきゃ。蓮以外の人となんか…。


「…イタダキマス」


面白がるような淕の声が間近で聞こえ、私は強く目を閉じる。


その時だった。

⏰:08/08/08 18:28 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#568 [みい]

バキイッ!


物凄い音が聞こえ、私を押さえ付ける力が急になくなったのだ。


驚いて目を開けると、淕の姿もない。


そして、淕の代わりに私の視界に入ってきたのは…


「無事かっ…?」


紛れも無い、蓮だった…。

⏰:08/08/08 18:29 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#569 [みい]

「れ、蓮…っ」


あまりの安堵感に、我慢しきれず涙をこぼす私を、蓮は優しく抱きしめてくれた。


「今のうちに、お前は早く逃げろ」


よく見ると、蓮は傷だらけだ。あれだけの人数を相手にしたのだ、まだマシなほうだろう。


「なんで?蓮も一緒に…」

⏰:08/08/08 18:30 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#570 [みい]

行こうよ、と言いかけた私を、蓮の言葉が遮った。


「俺は…まだ、こいつに伝えなきゃなんねえことがあるから」


そう言い、うずくまる淕を見る蓮。


「そんなのいいよ!こんな人に何言ったって無理だもん!」


こんな人、相手にするだけ時間の無駄だよっ…。

⏰:08/08/08 18:32 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#571 [みい]

私の必死の説得にも、蓮は首を縦に振ろうとしない。


「何をっ…」


何をそんなに伝えたいの?そう言いかけた時だった。


「よくも…やってくれたね、兄さん」


淕が立ち上がり、他の連中もボロボロになりながらも、いつの間にか私達を囲むように立っていたのだ。

⏰:08/08/08 18:33 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#572 [みい]

「柚っ!逃げろ!」


蓮の言葉に急いで逃げようとしたが、間に合わなかった。


「おーっと、逃がさないよ。まだまだお楽しみはこれからだからね」


淕に捕まえられてしまったのだ。


「兄さん。柚稀ちゃんを無事に家に帰したいならさ…」


淕がそこまで言うと、二人の男が蓮を取り押さえた。

⏰:08/08/08 18:34 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#573 [みい]

蓮はそのまま淕を見据えている。


「…抵抗しちゃダメだよ。一切…ね」


淕が言い切った瞬間、デブが蓮のお腹にパンチを食らわせた。


顔を歪めた蓮の口の端から、血が流れる。


「蓮っ!!」
「ショーはこれからだよ、柚稀ちゃん」


何人もの男が、一斉に蓮に飛び付いた。

⏰:08/08/08 18:36 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#574 [みい]

いや…蓮が、蓮が…。


時折見える蓮の姿は、もう血まみれだった。


「かっこいいね〜。そんなに柚稀ちゃんのこと、大切なんだ」


無関心そうに言う淕に、私は必死に訴えた。


「お願い、もうやめて…!このままだとっ…蓮、死んじゃう…!」


口に出すのすら恐ろしい。蓮が死んでしまう、なんて…。

⏰:08/08/08 19:00 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#575 [みい]

しかし、私の懇願への返事はあまりに残酷なものだった。


「死ぬ…?ああ、それもいいかもしれないね。どうせなら殺しちゃおっか」


楽しそうに笑う淕。


…この人、狂ってる…。


あまりに非情な言葉に、目眩がした瞬間だった。


凄まじい音と共に、何台ものバイクが入ってくる。

⏰:08/08/08 19:01 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#576 [みい]
<Font Size="-1">
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新Stopします
よかったら感想等もら
えると本当励みになる
ので、是非感想板のほ
うへお願いします

>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
/Font>

⏰:08/08/08 19:03 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#577 [†未来†]
とっても続きが気になります
無理をなさらず頑張って下さい

⏰:08/08/08 21:44 📱:SH904i 🆔:B0dN6uZM


#578 [我輩は匿名である]
>>577
感想板へ

⏰:08/08/08 21:50 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#579 [みい]

沢山のバイクが私達の目の前で止まり、ぞろぞろと人が降りて近付いてくる。


「どこのどいつだおめえら。今から集会なんだよ、退け」


頭(カシラ)のような人が私達に向かって言い放つ。


淕は怪訝そうに舌打ちをした。


先程まで蓮を袋だたきにしていた連中は指示を待つように淕の顔色を窺っている。

⏰:08/08/10 00:44 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#580 [みい]

「…なんだ、フクロか。狡い手使いやがって。おい、大丈夫か兄ちゃんよ」


頭が蓮を仰向けにした瞬間、


「いやあっ!」
「…!」


私は蓮のあまりにひどい姿に思わず悲鳴を上げた。


その時、なぜか頭も同じ様に息を飲んだのがわかった。


「矢野さん、どーしたんすか?」

⏰:08/08/10 00:45 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#581 [みい]

…矢野?矢野って、まさか…。


「…俺のダチだ。おい、早くこいつ病院に連れてけ」


手下らしき人ははいっ!と返事をすると、もう力のない蓮をバイクの後部座席に座らせ、走っていった。


「…おい。てめえらをしきってんのはどいつだ」
「…俺だけど?」


頭の質問に淕が私を放し、声を上げる。

⏰:08/08/10 00:46 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#582 [みい]

頭に近付いていく淕。


私は、目を凝らして頭の姿を見た。


いつもはゴムで縛ってある前髪が、今は下ろしてある。

教室での人懐こそうな笑顔なんて全く感じさせない、険しい表情。

そして、私のよく知る調子のよさそうな声の代わりに、低く相手を威嚇するような声色。



全てが普段と真逆だけど…あなたはもしかして…矢野君?

⏰:08/08/10 00:48 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#583 [みい]

「…は?お前…」


淕の姿を目の当たりにした頭は、眉を寄せる。


「あんたのお友達の片割れだけど?」


淕は少し戸惑った様子の頭を見て、楽しそうに笑った。


「ふーん…そっか、そりゃ初耳だな」


頭がそう言い、辺りを見回した瞬間、私と目が合う。

⏰:08/08/10 00:49 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#584 [みい]

「柚ちゃんっ!?」


私の姿を見て、声を上げる頭。


ああ、やっぱしあの矢野君だったんだ。あの、うちのクラスのお調子者の矢野君…。


「なんで、こんなところに…?」
「こっちの台詞だから!銀次、柚ちゃんも病院に…!早く!」


銀次と呼ばれた男の人が、淕から力ずくで私を取り上げた。


「大丈夫すか?」

⏰:08/08/10 00:50 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#585 [みい]

銀次さんの問い掛けに、私は小さく首を縦に振った。


「すぐ着くんで、しっかり捕まってて下さい」


銀次さんは私を蓮のときと同じように後部座席に座らせる。


「矢野君…」


私が矢野君のほうを振り向くと、


「後は任せて。柚ちゃんは蓮の傍にいてあげな。ね?」

⏰:08/08/10 00:50 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#586 [みい]

矢野君はそう言ってウインクをした。


「…うん…!」


私が返事をすると同時に、バイクが走り出す。


蓮…、蓮…!

どうか、どうか無事でいて…

あなたに何かあったら、私は…


私は……

⏰:08/08/10 00:51 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#587 [みい]

…………………………

「…大丈夫っすよ」
「……」


私と銀次さんが病院に着いた時、蓮は既に手術室の中だった。


病院特有の暗い廊下に備わった、長いベンチに二人で腰掛ける。

「こんなに自分のこと思ってくれてる人がいるんすもん、そう簡単には逝けるはずないっす」


銀次さんは私に気を遣ってくれているのか、ひたすら私を励まそうとしてくれている。

⏰:08/08/10 00:52 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#588 [みい]

「私がとろいから…逃げられなくてっ…、それで蓮が…っ」


そう。元はといえば私が逃げ損ねたせいで、蓮は無抵抗を余儀なくされ、殴り続けられたのだ。


「私のっ、私のせいでっ…」
「自分を責めちゃ駄目っす。蓮さんだってそんなこと思ってないすよ」


涙でぐちゃぐちゃになった顔を両手で覆うと、背中に温かい手の平の感触が生まれた。

⏰:08/08/10 00:53 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#589 [みい]

それはきっと、金色の髪の毛を立たせ、頬に古傷をこさえた銀次さんのものだろう。


「柚さん、疲れてるんすよ。自分起きてるんで、柚さんは寝てて下さい」


何かあったらすぐ起こしますから、と背中を摩られる。


蓮の大事な時だ、寝るものか、と意地になって目に力を入れたが、夕方からの出来事で思った以上に体力を消耗していた私は、いつの間にか眠りに落ちてしまった。

⏰:08/08/10 00:55 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#590 [みい]

……………………………

「…ずさん、ゆずさん」


…誰…?誰かに呼ばれている。私を呼んでいるのは…誰?


「柚さん」


うっすらと目を開けると、見慣れない金色の頭が映る。


「…ぎ、んじさん…?」


ああ、そうだ。昨日、私…。

⏰:08/08/10 00:55 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#591 [みい]

そこまで思い出した途端、はっと頭が冴え渡る。


「蓮!蓮はっ…!?」
「手術自体は夜中に終わったんす。で、さっき麻酔が覚めて…」


縋り付く私に、銀次さんは落ち着いた口調で説明してくれた。


「蓮さん、無事っすよ」


その一言を聞いた瞬間、足の力が一気に抜け、その場にへたりこんでしまう。

⏰:08/08/10 00:57 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#592 [みい]

蓮…無事だった…。


そう心の中で繰り返すだけで、自然と涙がこぼれる。


「柚さん、早く病室行ってあげましょう?」


にこっと笑う銀次さんに涙を拭いて頷くと、私達は蓮の病室へ向かった。


………………………………


「柚稀ちゃん!?」

⏰:08/08/10 00:58 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#593 [みい]

病室までの廊下を急いでいると、向こうから歩いてきた夫婦に声を掛けられる。


「おばさん…、おじ、さん……」


それは蓮の両親だった。


「柚稀ちゃん…恐かったわね、もう大丈夫よ」


おばさんが涙ぐみながら私の頭を撫でる。


「私の…私のせいで、すみません…っ」

⏰:08/08/10 00:59 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#594 [みい]

「いやだ、柚稀ちゃんのせいなんかじゃないわよ!」
「近頃は変な連中が多いからな」


おばさんに続いておじさんが発した言葉に、私は胸が痛んだ。


おじさん…、あなたの、息子なんだよ…?蓮を襲ったのは…。


「もうぴんぴんしちゃって、すっかり元気なのよ」


顔出しに行ってあげて、とおばさんに促され、私達は再び足を動かす速度を速めた。

⏰:08/08/10 01:00 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#595 [みい]

………………………………

「…ここっす」


601号室。看護婦さんの字で「染谷蓮」と書かれたプレートがはめられている。


「じゃあ俺はここで」
「ま、待って…」


踵を返した銀次さんを呼び止めた。なんだか、二人では会いづらい…。


「俺、邪魔じゃないすかね?」

⏰:08/08/10 01:01 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#596 [みい]

困ったように聞く彼に、私は少し罪悪感を覚えた。


「邪魔なんかじゃ…。面倒臭いこと頼んでごめんなさい」


私が謝ると、銀次さんは焦ったようにいやいや、と首を振る。


「…じゃ、入りますよ?」


ドアに手をかける銀次さんの後ろに隠れるようにして、病室に入った。

⏰:08/08/10 01:02 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#597 [みい]

「失礼します」
「…誰?」

個室のベッドの上に…蓮がいる。外を見つめているようで、私達のほうを見ないままだ。


「……れ、ん?」


上擦る声を振り絞って呼びかけると、蓮はゆっくりとこちらを向いた。


「…よお、ばかゆず」


そう言ってニヤつく蓮の姿が、涙でよく見えない。

⏰:08/08/10 01:03 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#598 [みい]

「ふえっ…蓮…?ほんとに蓮…?」「俺以外に誰だっつんだよ」


意地悪な笑顔も、憎まれ口も、ほんのちょっとだけ優しい目も…蓮だ。蓮が、ここにいる。


「…っ、蓮〜っ!」


私は全力で蓮のベッドまで駆け寄ると、思い切り蓮に抱き着いた。


「大声出すな、傷口に響く」


キツイ文句とは裏腹に、蓮は私の頭を優しく撫でてくれる。

⏰:08/08/10 01:04 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#599 [みい]

蓮が、生きてる。生きて、こうして私を抱き留めてくれている。


それを実感するだけで次から次へと涙は溢れ、私の頬を濡らした。



「ところで、そいつ誰?」


蓮にそう聞かれるまで、失礼なことに私はすっかり銀次さんの存在を忘れていた。


銀次さんの前で蓮に抱き着いたことがとても恥ずかしく感じられ、私は咄嗟に蓮から離れる。

⏰:08/08/10 01:04 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#600 [みい]

「銀次さん。私をここまで連れてきてくれて、ずっと一緒にいてくれたの」


銀次さんには感謝の一言に尽きる。彼がいなかったら、きっと私は取り乱して、収拾がつかない状態になっていただろう。


私に紹介されぺこりと頭を下げた銀次さんを、蓮は興味なさそうにふーん、と見遣り、


「こいつが世話になったな。…悪いけど出てけ」

⏰:08/08/10 01:06 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#601 [みい]

と感謝の言葉と同時にまさかの邪魔物扱い。


「蓮!なんてこと…」
「いやいやいいんすよ、柚さん」


蓮への非難の言葉を、苦笑した銀次さんが遮る。


じゃ、お大事にと笑顔で再び頭を下げ、銀次さんは病室を後にした。


「なんでそんなひどいこと言うの!?」

⏰:08/08/10 01:07 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#602 [みい]

銀次さんがいなくなった病室で、私は蓮に抗議する。


「すごくお世話になったのに…!失礼じゃない!」


が、当の本人は知らん顔して髪の毛を邪魔くさそうにかきあげるだけ。


これにはいくら病人といえど、さすがに私の堪忍袋の緒も切れる。


「蓮っ!聞いてるの!?」

⏰:08/08/10 01:08 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#603 [みい]

私が椅子から身を乗り出した瞬間だった。


ぐ、と腕を強く捕まれる。


「…邪魔なんだよ」
「……へ?」


何が?何の話よ?


頭の上に?のマークを浮かべる私を見て、蓮は長いため息を一つついた。


「あいつがいたらキス出来ねえだろ」

⏰:08/08/10 01:09 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#604 [みい]

……きす、ですか?


ああ!キスね!なるほどなるほど、それは確かに…って、


「ぇえ!?なっ!きっ、キス!?//」
「だから…傷口に響く…」


顔を歪める蓮を見て、私は咄嗟に口を覆った。


「…それとも何?あいつに見せ付けたほうが燃えた?」


意地悪く笑う蓮に、茹でだこみたいに顔が赤くなる。

⏰:08/08/10 01:11 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#605 [みい]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新Stopします
想等もらえるととても嬉
しいので、感想板のほう
へ是非お願いします

>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⏰:08/08/10 01:14 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#606 [みい]

「そっ、そんなわけっ…!」
「ねえだろ?だから出てってもらった、それだけ」


っしょ、とゆっくり上半身を起こす蓮。パジャマの胸元から、胸からお腹にかけて包帯が巻かれているのが見えた。


「蓮…怪我、だいじょ…わっ!?」


いきなり、掴まれていた腕がぐっ、と引き寄せられ、私達の顔の距離は30センチくらい。

⏰:08/08/12 22:42 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#607 [みい]

「大丈夫じゃねえ。お前のせいで」


真正面で無表情のままそう言われ、私は俯くしかない。



――『お前のせいで』



蓮の一言が心に重くのしかかる。

ね、銀次さん。やっぱり私のせいなんだよ…。蓮だって、私を責めてる。


「ごめっ、なさい…」

⏰:08/08/12 22:44 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#608 [みい]

蓮の顔が見れない。私をどんな目で見ているのか、知るのが恐くて。


「ご、ごめっ……」


せめてちゃんと謝らなければ、と頑張ってみても、溢れる涙のせいで思うように言葉が出てこない。


「柚、泣くな」


この頃よく蓮に「泣くな」って怒られる気がする。

⏰:08/08/12 22:46 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#609 [みい]

「…っとに、お前は冗談通じねえ奴だな」


蓮が頭をぐしゃぐしゃとしながら、溜息混じりに呟く。


「じょー、だん?」
「そ、冗談。お前のせいなんかじゃねえから気にすんな」


蓮はそう言って、私の頬の涙を乱暴に手の平で拭ってくれた。


「…悪かったな、恐い思いさせて。怪我とかしてなかったか?」

⏰:08/08/12 22:47 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#610 [みい]

私はぶんぶんと首を横に振る。

昨日は恐かったけど、蓮がいなくなっちゃうかもしれないことの方が、想像しただけでも何億倍も恐かった。


蓮は私が無傷だと知って、安心したように長く息を吐く。


それでも尚泣きつづける私に、痺れを切らしたようだった。


「泣くなっつーの。…俺、お前が泣くの、なんか苦手ってゆうか…調子狂う」

⏰:08/08/12 22:49 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#611 [みい]

「…よく泣かしてたくせに」


私が少し嫌味ったらしく言うと、


「昔の話だろ。いっちょ前に揚げ足取ってんじゃねえよ」


と私のおでこを小突く蓮。


自分でも涙を拭きながらへへ、と笑うと、蓮も無言で微かに口角を上げる。


「…ってわけで……」

⏰:08/08/12 22:51 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#612 [みい]

…ん?んんん?


途端に穏やかな空気が一変したのが感じられた。


さっきまでより更に強く掴まれた私の右腕。

熱を帯びた色に染まる蓮の瞳。


「れ、蓮…?あの…っ」


これはっ…、この雰囲気はっ…!

⏰:08/08/12 22:52 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#613 [みい]

「そ、そろそろ私、行くねっ…」


明らかに動揺した私が席を立った瞬間、思い切り腕を引っ張られ、再びお互いの顔が近づいた。


「まだ、帰さねえ」


真剣な表情でそんなことを言われると、一気に恥ずかしくなってしまう。


静かな中、自分の心臓の音だけがバクバクとうるさく、蓮にも聞こえてしまうかも、なんて変な心配まで生まれる始末だ。

⏰:08/08/12 22:53 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#614 [みい]

「柚…」


こんなに近くで自分の名前を甘く囁かれると、余計に胸が高鳴る。


息をすることすらままならない。それほど私は緊張していた。

なにせこうゆう雰囲気にはどうも慣れないもので…。


「…再会を祝して」


蓮が薄く笑い、近付いてきたのがわかった。

⏰:08/08/12 22:54 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#615 [みい]

私は強く目を閉じ、覚悟を決めた…が。


「……はれ?」


蓮の唇が触れたのは、意外や意外、私の唇…ではなく。


「涙、残ってたから」


まだ涙の跡が消えずにいる、私の頬だった。

⏰:08/08/12 22:55 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#616 [みい]

唇を舐め、しょっぺえ、と顔をしかめる蓮を見て、私はいてもたってもいられないくらいの恥ずかしさに襲われる。


当然のように、唇にされるものだと思い込んでいた自分が、ひどく自惚れているように思えたのだ。


真っ赤になってしまった顔が蓮に気付かれないよう俯くが…


「なに顔赤くしてんの?」


…ばーれーてーるー……。

⏰:08/08/12 22:57 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#617 [みい]

「や、べ、別っ、に!?」


自分でもどんだけだよ、とツッコミたくなるほどのきょどりようだ。


「…こっち向いてみ」


何となく、勘だけど、蓮の声色がおもしろがっているようなものに思える。


…絶っっ対嫌だ!!こんな林檎みたいな顔、笑われるに決まってる!

⏰:08/08/12 22:59 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#618 [みい]

断固拒否、とでも言うように、私は蓮から素早く顔を背ける。


「柚、こっち向けって」


嫌だってば!あんたはそんなに私を笑い者にしたいのか!


無視を決め込む私に、蓮もいい加減苛立ったようだった。


無言で腕を引っ張られる。


「きゃっ…」

⏰:08/08/12 23:01 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#619 [みい]

咄嗟の出来事に、とろい私はもちろんされるがままで。


思い切り蓮の胸に飛び込む形になってしまった。


本能的につぶった目を恐る恐る開くと、目の前に映るは包帯が巻かれた蓮の胸板。


「…いってえ……」


勢いよくぶつかってしまったせいか、蓮が微かに声を漏らした。

⏰:08/08/12 23:02 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#620 [みい]

私はそれに反応し、慌てて顔を上げる。


「ご、ごめん!大丈夫!?」







……やられた。




真正面に蓮の意地悪な笑み。

⏰:08/08/12 23:05 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#621 [みい]

こっ、この男…!騙しやがったな…!


「俺は平気だけど、お前は大丈夫か?」
「は!?」


蓮の言っている意味がわからなくて、少々強気に聞き返すと、


「…顔、真っ赤」


という声と同時に、私の頬が両手で包み込まれた。


…完敗、です…。

⏰:08/08/12 23:08 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#622 [みい]

「何かあった?なんでそんな赤いわけ?」


明らかに面白がっている蓮の質問。


くそー…。答えるまい!てゆーか答えられません!


両頬を蓮の手に支配され、顔を動かすことができないので、かろうじて視線だけでも下に落とす。



「…さっきの、さ」

⏰:08/08/12 23:09 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#623 [みい]

蓮はそこまで言うと、右手を私の頬から離す。


不思議に思ったが、視線を動かさないでいると、不意に唇に何かが触れて、思わずビクッとしてしまった。


「こっちの方がよかった?」


低く囁くような声と共に、蓮の指先が私の唇をなぞる。


「…っ!」

⏰:08/08/12 23:12 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#624 [みい]

驚きに思わず顔を上げると、お馴染みの、あの嫌ーな微笑みを浮かべる悪魔。


「そ、んなこと、ない…」


強気に振り払いたかったが、正直言うと少々図星だった私は、再び俯き弱々しい否定をする。


「あ、そ。俺はこっちのがよかったんだけどな」


そんなことを言いながら私の唇をなぞり続ける蓮。

⏰:08/08/12 23:14 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#625 [みい]

私の顔は沸点に達したやかんのように、湯気までたってしまいそうな勢いだ。


「……っ!」


俯いた私の両頬が蓮の手の平によって再び包まれ、反射的に少しだけ顔を上げた瞬間だった。


間近に蓮の顔が見えた直後、軽く触れ合う自分達の唇。


間もなく入ってくる蓮の舌。

⏰:08/08/12 23:15 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#626 [みい]

まるで命を持っているように、自在に私の咥内を侵していく。


「ふ……あっ……」


思わず声が漏れる。何かに頼らなければ瞬時に倒れ込んでしまいそうな私は、蓮のパジャマの襟元を掴むのに精一杯だ。


…それなのに。私はこんなにもいっぱいいっぱいなのに、も関わらず。


「……っ!?」

⏰:08/08/12 23:17 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#627 [みい]

敵はまだまだ余裕なのか、私の後頭部に手を回し、更に深く舌を侵入させてきたのだ。



…死ぬかも。



苦しみにもがきながらもぼんやりと冷静にそう思った時、


「蓮っ!…ぅわぁあああっ!!」


ガラッと音を立て、勢いよく病室に飛び込んで来た不運な人は…、矢野君です…。

⏰:08/08/12 23:19 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#628 [みい]

私は蓮が矢野君の登場により少しだけひるんだ隙に、蓮から即座に離れた。


…かなり恥ずかしいけど、グッドタイミングだよ、矢野君…。あなたは正真正銘、私の命の恩人です…。


「…ノックくらいしろよ」


思い切り不機嫌丸だしの蓮が、矢野君を睨み据えながら言う。


「おまっ、お前なあっ!病院のベッドはそういうことに使うものではっ……」

⏰:08/08/12 23:20 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#629 [みい]

対して矢野くんは、私と同じくらい顔を赤くして、蓮を指差しながら大声を出す。あわあわ、という擬態語がぴったりだ。


「うるせえな、まだ使ってねえだろうが」


心底面倒そうな顔をする蓮。


まだって!言っておきますけども、今後も使うつもりなんてないからね、私は!!


うう、と悔しそうに唸ったあと、矢野君は急に思い出したように神妙な顔つきになる。

⏰:08/08/12 23:21 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#630 [みい]

「ちょっと待ってて」

そう言って一度病室を出て、再び入って来た矢野君が連れてきたのは…


「……淕…」


雨宮淕、だった。


「どうしてやろうか悩んだんだけどさ、俺じゃ決めかねたから蓮に引き渡そうと思って」


矢野君はそう言い、淕を蓮のほうへ少し荒っぽく押し出す。

⏰:08/08/12 23:23 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#631 [みい]

淕はポケットに手を突っ込んだまま、ばつが悪そうに俯いている。頬には、大きな傷が出来ていた。


「…あんだろ?二人で話すことの一つや二つ」


矢野君は諭すようにそう言ったあと、私の手をとり病室を出ようとした。


「…矢野」


後ろで蓮の声が聞こえ、私達は立ち止まり、振り返る。

⏰:08/08/12 23:24 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#632 [みい]

「…さんきゅ」


矢野君は大きく目を見開いた後、照れ臭そうに笑ってまたドアに向かう。


「…おい、矢野」


そこでなぜか二回目の待ったがかかった。


私と矢野君が二人して今度は何か、と不思議に思いながら先程と同じように振り向くと、

⏰:08/08/12 23:26 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#633 [みい]

「柚に触んな」


蓮が指差すは、さっき矢野君に手をとられ、そのまま自然に繋がれた私達の手。


矢野君ははいはい、と苦笑すると私の手を放し、おどけるように両手を頭上に置いて病室を出た。



「蓮達…ふたりきりにしちゃって大丈夫かな?」


病室を出たあと、私は矢野君に小声で聞く。

⏰:08/08/12 23:28 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#634 [みい]

「大丈夫だよ。あんなんでも血の繋がった兄弟なんだから」


矢野君が笑ったその時、私は矢野君の頬に出来た、淕のものと同じくらい大きな傷に初めて気が付いた。


「矢野君っ…ほっぺた、怪我してる…!」
「え?…ああ、ほんとだ」


矢野君は自分の頬に手をやり、指先についた血をぺろっと舐めながら苦笑する。

⏰:08/08/12 23:29 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#635 [みい]

「早く手当してもらわなきゃ!ここ、病院だし…」
「だいじょーーぶ!こんくらい平気平気!俺の自然治癒力、まじ半端ないから!」


オロオロする私を茶化すようにウインクをする矢野君。でも、結構派手な傷だ。そんなわけにはいかない。


「駄目だよ、もしばい菌でも入ったりしたら…」


尚も診察を勧める私を、矢野君は目を細めるようにして見つめる。

⏰:08/08/12 23:30 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#636 [みい]

「…柚ちゃんは、優しいね」


てんで期待していなかった褒め言葉に、思わずきょとんとしてしまう。


「久々だな、こんなに人に心配してもらえるの」


どこか悲しみをたたえた笑みと独り言のような小さい呟きに、私の胸は締め付けられる思いがした。


「…俺のこと、恐くないの?」

⏰:08/08/12 23:31 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#637 [みい]

遠慮がちにそんな質問をするのはきっと、矢野君が持つもう一つの"顔"を私が知ってしまったからだろう。


「恐くなんかないよ。だって、矢野君は矢野君だもん」


最初はびっくりした。それは否めないが、本当の姿は、今私の目の前にいる彼なんだとわかるから。恐怖なんて感じない。


私の返事を聞いて矢野君は少し驚いたようだった。

⏰:08/08/12 23:32 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#638 [みい]

でも、またすぐに微笑み、


「そっか」


と私の顔を見る。


矢野君の過去や、どんな心の傷を負っているのかなんてこと、私は知らない。

でも、この優しい笑みの持ち主に、どうか誰かが幸せをもたらしてくれますように。


「柚ちゃんが手当してくれない?俺、医者って嫌いなんだ」

⏰:08/08/12 23:37 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#639 [みい]

長椅子に座り、私を上目に見て笑いながら問う矢野君に、私はこくんと頷いた。


………………………………

「いっ…たあー!痛い痛い!」


病院内のコンビニで買ってきたマキロンをティッシュに含ませ頬の傷口に押し当てると、廊下に響くぐらいの大声で矢野君が叫ぶ。


ちょっと…みんな見てるじゃん!恥ずかしいったらありゃしない…。

⏰:08/08/12 23:38 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#640 [みい]

「も、無理!柚ちゃんもういいよ!」


泣きそうに、というか半分泣きながら矢野君は私の手を拒絶する。


「まだ駄目だよ!ちゃんとやっておかなきゃ…」


私だってSなわけでもないから、そんな矢野君を見るのは心苦しい。でも、これも彼の為なのだ。


矢野君の悲痛な叫び声は、このあともしばらく響き続けた…。

⏰:08/08/12 23:39 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#641 [みい]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新すとっぷします
大量更新、、だったかな?
とりあえず疲れちゃい
ました感想等もらえる
と疲れも吹っ飛ぶので、
ぜひ感想板のほうにエー
ルをお願いします

>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⏰:08/08/12 23:43 📱:SH905i 🆔:F8dJwfHI


#642 [我輩は匿名である]
>>250-350
>>350-450
>>450-550
>>550-650



失礼しました(´・ω・`)

⏰:08/08/14 12:37 📱:SO705i 🆔:MzuZVnhc


#643 [くぴ]
あげ

⏰:08/08/18 03:51 📱:P705i 🆔:Ijucxmh6


#644 [アカリ]
あげます

⏰:08/08/20 17:48 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#645 [我輩は匿名である]
あげ(・´ω`・)

⏰:08/08/21 01:54 📱:W61SH 🆔:4fEeMT9.


#646 [みい]

――*蓮Side*――

「座れよ」


俺がベッドの隣にある椅子を顎で指すと、淕はそれを拒否するように俺を睨み付ける。


「…ま、立ちっぱでもいいけど。お前には聞いてもらわなきゃなんねえことがあるんだ」


…10年以上も前のこと。俺達が、まだガキだった頃の、こと。

⏰:08/08/26 00:31 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#647 [みい]

「例のことだけど、」


俺が話し始めた途端、


「てめえみたいな奴の話なんか聞きたくねえよ!」


淕が叫びながら俺につかみ掛かってくる。


「てめえみたいな…裏切り者の話なんか…!」


俺を見る淕の目には、確かに憎しみが宿っていた。

⏰:08/08/26 00:31 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#648 [みい]

だが、ここで引き下がるわけにもいかない。


いくら憎まれていようと、こいつにあの日の真実を伝えることが、俺の役目なんだと思うから。


「…何とでも言え。俺を嫌うのも構わない。…ただ、これだけは聞いてほしい」


俺の言葉に、淕は迷うように少し瞳を揺らした後、俺の襟元を放し、力無く椅子に腰を下ろした。

⏰:08/08/26 00:32 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#649 [みい]

すーっ、と息を大きく吸い込みゆっくりと口を開き、一気に言う。



「親父はお前を捨てたわけじゃない」



これがあの日、俺達双子が離れ離れになった日の、真実。


俯いた淕の肩が、びくんと動く。


淕の様子を確認したあと、俺は話を続けた。

⏰:08/08/26 00:33 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#650 [みい]

「あの日の夜、親父は俺に言った。『もうお母さんとは一緒に住めないんだ』。俺はガキながらにあのババアが狂ってたのは分かってたし、親父の苦労もなんとなく感じてた」


あの時の親父の悲しそうな顔や、泣きそうな声は、今でも鮮明に思い出せる。


「親父は俺達を連れて出ていくつもりだった。でも、淕。お前はあの時、寝ていたんだ」


淕が訝しげな顔を俺に向けた。

⏰:08/08/26 00:33 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


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