・・万華鏡・・
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#401 [果樹]
読んでくれている方いらっしゃるのでしょうか?
もしよろしかったら感想ください


:08/08/02 17:59
:P902iS
:☆☆☆
#402 [ako]
こんにちわ

ずっと読んでます

更新は大変だと思いますが頑張ってください

柴浦

カッコイイです

:08/08/03 15:37
:SH903i
:T9PJiczc
#403 [我輩は匿名である]
:08/08/03 17:56
:SH905i
:olveaEGw
#404 [果樹]
akoさん、我輩さんへの
お返事は感想板で


:08/08/05 19:04
:P902iS
:☆☆☆
#405 [果樹]
―――――――――・・・・
「お前は無防備すぎだ!」
「はぁ?!柴浦にそんなこと言われる筋合いないし」
「あるね」
「ない」
「ある」
「ない」
:08/08/05 19:05
:P902iS
:☆☆☆
#406 [果樹]
私たちがこんな言い合いをする20分前―――。
教室を出てから私の手を引いたままずんずんと進んでいた柴浦の足が急に止まった。
見上げるとそこは校舎の一番端にある視聴覚室。
「入れ」
ドアを開けた柴浦は私を視聴覚室の中に促す。
:08/08/05 19:05
:P902iS
:☆☆☆
#407 [果樹]
私が入った後、柴浦も入り、後ろ手でドアを閉めた。
私は何で柴浦が教室に来たのかもわからないし、何でここに連れてきたのかもわからなくてとりあえず頭が混乱していた。
じっと柴浦が見つめるので私も何となく柴浦を見ていた。
気まずいはずの沈黙がこの時はなんとなく心地好く感じた。
:08/08/05 19:06
:P902iS
:☆☆☆
#408 [果樹]
「何にもされてないか?」
先に口を開いたのは柴浦だった。
「あ・・うん。大丈夫・・」
私は柴浦から目をそらし自分の体を見渡す。
「そうか」
柴浦がふぅっと息を吐いた気がして少し顔を上げるとどこか安心したような柴浦の顔があった。
:08/08/05 19:06
:P902iS
:☆☆☆
#409 [果樹]
その顔に少しドキッとしてしまったのはきっと間違いではないと思う・・・。
「お前さぁもっと警戒心持てば?」
近くにあった机に軽く腰をかけた柴浦がいきなりそんなことを口にした。
「は?」
「お前は無防備すぎる!」
こんな感じで話は冒頭に戻る訳で・・・。
:08/08/05 19:07
:P902iS
:☆☆☆
#410 [果樹]
「何いきなり・・・」
つい眉間に皺が寄る。
「お前に隙があるからアイツにだって襲われそうになったんだろ?」
この時、私の中で何かのスイッチが入ってしまった。
「はぁ?!柴浦にそんなこと言われる筋合いないし」
「あるね」
:08/08/05 19:07
:P902iS
:☆☆☆
#411 [果樹]
私の言葉に柴浦がすかさず言葉を返して来た。
「ない」
「ある」
「ない!」
あるかないかっていう下らない言い合いが続く。
どちらも意地になっていて止める気配なんてない。
:08/08/05 19:08
:P902iS
:☆☆☆
#412 [果樹]
バチバチバチと火花が散る中、柴浦が溜め息をついた。
「あるよ。好きな女が無防備すぎたら不安になんだろ?」
「な・・・・・・・は?」
那覇?
いやいや違う違う。
今柴浦はなんていった?
好きな女?
:08/08/08 21:05
:P902iS
:☆☆☆
#413 [果樹]
「誰が誰の好きな女?」
思わず思ったことが口から出てしまった。
「お前が俺の好きな女」
「冗談でしょ・・?」
“冗談”だったらよかった。
でも私を見る柴浦の目は真剣で冗談なんて言葉で誤魔化せないことがわかった。
:08/08/08 21:06
:P902iS
:☆☆☆
#414 [果樹]
「何・・で?いつから?どうして・・・?」
頭が混乱する。
「何でつっても人を好きになるのに理由なんかないだろ。ただ泣いてるお前を守りたいって思った。それだけだ」
顔が熱い。
鼓動が高鳴って心臓が破裂しそう。
「かっ・・・帰る!」
:08/08/08 21:07
:P902iS
:☆☆☆
#415 [果樹]
私は柴浦が持ってきてくれた私の鞄を掴んで逃げるように視聴覚室を出た。
―――――――――・・・・
「はぁはぁ・・・」
走って校舎を出てきたせいで息切れが激しい。
私は息を整えながら柴浦が言った事を頭の中で繰り返していた。
:08/08/08 21:08
:P902iS
:☆☆☆
#416 [果樹]
お前が俺の好きな女――
人を好きになるのに理由なんかない――
ただ泣いてるお前を守りたいって思った――
「なんで・・・」
何で柴浦の事ばっかり考えてるのあたし・・・。
「はぁ・・・・」
:08/08/08 21:10
:P902iS
:☆☆☆
#417 [果樹]
何度目かになる溜め息をついた時パッパーと車のクラクションらしき音が聞こえた。
まだ校門を出ていなかった私は、学校の中なのに・・・と不思議に思い後ろを振り向くと車のライトが目に入ってきて眩しさに目を細める。
「乗ってけば?」
いつの間にか私の横に来ていた白い車の窓からは柴浦が顔を出していた。
:08/08/08 21:10
:P902iS
:☆☆☆
#418 [果樹]
「っ!!!」
驚きすぎて声にならなかった。
「何世にも恐ろしいものを見たような顔してんの」
フッと笑う柴浦に不覚にもドキッとしてしまった。
「あ、歩いて帰れるから」
柴浦の顔が見れなくてつい顔が横に向いてしまう。
:08/08/08 21:11
:P902iS
:☆☆☆
#419 [果樹]
そんな私を咎める訳でもなく柴浦は優しく笑っている。
「危ないから乗っていけって」
「そんな柔じゃないし」
「女の一人歩きは危ないぞ?世の中狼だらけだからな」
「じゃあ柴浦も狼だね」
間発いれない会話が飛び交う。
:08/08/08 21:12
:P902iS
:☆☆☆
#420 [果樹]
「茶化すな。ほら乗れって」
柴浦はまるで急かすように助手席を指していう。
「いいよ」
私は柴浦をちらっと見てからまた横を向き直して断る。
「いいから乗れ」
痺を切らしたような少し不機嫌な声・・・。
:08/08/08 21:12
:P902iS
:☆☆☆
#421 [果樹]
「・・・・・・はい」
そう言われてしまえば逆らえるはずもなく私は素直に言うことを聞いて車に乗り込んだ。
―――――――――・・・・
車に乗り込んでから沈黙が続く。
視聴覚室の時とは違うどこか重たい沈黙。
:08/08/08 21:13
:P902iS
:☆☆☆
#422 [果樹]
いや、あたしがそう思っているだけかもしれないけど・・・。
「寒くない?」
いい加減苦しくなってきた頃柴浦が聞いてきた。
冷房が効いている車内で私が寒がっていないか心配してくれているみたいだ。
「大丈夫・・・です」
「何他人行儀に答えてんの?」
:08/08/08 21:14
:P902iS
:☆☆☆
#423 [果樹]
柴浦はハンドルを握ったまま、フッと笑う。
「もしかして緊張してんの?」
その言葉に心臓が跳ねる。
緊張しないわけがない。
さっきの今で心の整理がつくはずもなく私の心臓の音は車に乗ってからずっと煩いくらいに耳に響いている。
:08/08/08 21:15
:P902iS
:☆☆☆
#424 [果樹]
気まずくなって私は下を向くことしかできなかった。
「可愛い奴」
クスッと柴浦が笑ったのが横から聞こえてきて顔が赤くなる。
―キキッ
柴浦がブレーキを踏んで車が停止する。
車はいつの間にか私の家の前に着いていた。
:08/08/08 22:12
:P902iS
:☆☆☆
#425 [果樹]
「着きましたよお嬢様」
「ありがとうございました・・・」
カチャとドアを開けたと同時に腕を掴まれてまた車内に引き込まれた。
「俺は本気だからな」
じっと目を見つめられて言われればまた心臓がドクンと跳ねる。
それだけ言うと柴浦は私の手を放す。
:08/08/08 22:12
:P902iS
:☆☆☆
#426 [我輩は匿名である]
:08/08/10 00:13
:N905i
:BbNK714E
#427 [果樹]
止まっていた私の思考が、手を放されたと同時に動き出したので、私は自分の鞄を持ち、車を降りた。
ドアを閉める瞬間、柴浦が
「また明日」
と言ったのが聞こえたが、それに答える余裕なんてなかったのでバタンとドアを閉め、急いで家の中に入った。
:08/08/17 23:55
:P902iS
:☆☆☆
#428 [果樹]
外で柴浦の車が走り去る音を聞いてから私は玄関のドアに持たれるようにして崩れ落ちた。
どうしよう・・・。
止まない心臓を抑えて私は天井を見上げた。
―――――――――・・・・
「柴浦に告白されたーー?!」
「ばかっ声大きい!!」
:08/08/17 23:55
:P902iS
:☆☆☆
#429 [果樹]
百合の声より遥かに私の声が大きかった気がするのはとりあえず無視しておこう・・・。
今、私は百合と屋上に繋がる階段の踊り場で座りながら話をしている。
内容はもちろん昨日あったこと。
淡々と話す私に対し、百合は百面相を繰り返す。
本当に忙しい奴。
:08/08/17 23:56
:P902iS
:☆☆☆
#430 [果樹]
私は横目でそんな百合を見ながら冷静に思った。
「それで?!真理奈は何て答えたの??」
百合の目がキラキラしているのは私の気のせいだろうか。
「答えないで逃げてきた」
「・・・・・・・は?」
私の言葉に百合があんぐりと口を開ける。
:08/08/17 23:56
:P902iS
:☆☆☆
#431 [果樹]
きっと私の答えが余りにも百合の妄想の世界と欠け離れていたのだろう。
とりあえず百合に突っ込みは入れず、その後家まで送ってもらった経緯を話すと、百合の口許が今度はにんまりと笑みを浮かべる。
「何・・・?」
気味が悪くて、恐る恐る聞くとにまにまと笑いながら百合がとんでもないことを口にした。
:08/08/17 23:56
:P902iS
:☆☆☆
#432 [果樹]
「真理奈さぁ、柴ちゃんに惹かれてるでしょ?」
「・・・・・・は?」
「いやー柴ちゃんを呼んだのは正解だったかも」
ふふっと怪しく笑う辺りが恐ろしい。
「自分で気付いてないだけかもしれないからよく考えてみたら?」
そういって百合は私の肩をポンポンと叩いて教室の方に歩いて行ってしまった。
:08/08/17 23:57
:P902iS
:☆☆☆
#433 [果樹]
一人になった私は屋上に出た。
頬をかすめる風に気持ちよさを感じて私はフェンスの側まで行き、校庭を眺める。
校庭では休み時間だというのに小学生のようにはしゃぐ男子生徒が数人いた。
それを見ながら私は、さっき百合が言った言葉を繰り返し考えていた。
惹かれてる・・・?
私が・・・柴浦に・・・?
:08/08/17 23:58
:P902iS
:☆☆☆
#434 [果樹]
“自分では気付いてないだけかもよ”
わからない。
どうやって確かめたらいい・・・?
こんな感情は初めてだ。
今まで付き合ってきた男たちとは違う。
胸がぎゅって締め付けられたり、側にいたいのにいたくない。
自分がどうしたいのかわからない。
:08/08/17 23:59
:P902iS
:☆☆☆
#435 [果樹]
―カチャ・・・キィ
思いに耽っていたら不意に屋上のドアが開いた。
「真理奈ーギャハハ」
啓祐・・・。
近付いてくる啓祐と距離を取るように私はフェンスに体を押し付けた。
「お前さぁあれはまずくね?」
:08/08/27 23:57
:P902iS
:☆☆☆
#436 [果樹]
隣まで来た啓祐がいきなりそんなことを口にした。
私が啓祐の言葉の意図が分からなくて首を傾げると啓祐はにやっと嫌な笑いを浮かべる。
「“笹原は返してもらう”だっけか?教師と生徒の関係には見えないよなー」
横目でちらりと私を見ながら言う啓祐の目は明らかに面白がっている。
:08/08/27 23:57
:P902iS
:☆☆☆
#437 [果樹]
「何が言いたいの?」
私は墓穴を掘らないように啓祐の言葉の続きを促す。
「お前が俺のものになれば許してやるよ」
「え・・・?」
「いいんだぜ?学校側にチクっても。学校側に言ったら柴浦はどうなるんだろうな?謹慎・・・は当たり前か。ギャハハ」
:08/08/27 23:58
:P902iS
:☆☆☆
#438 [果樹]
「・・・・・・っ!」
悔しい!
足元を見られているんだ。
私は唇から血が出そうなくらい下唇をぎゅっと噛んだ。
負けちゃいけない・・・。
負けちゃ・・・。
「い・・・やだ」
:08/08/27 23:58
:P902iS
:☆☆☆
#439 [果樹]
「あ?」
啓祐の眉間に皺が寄る。
「いやだ・・・」
「お前自分が何言ってるかわかってんのか?」
「わかってる・・・。言いたかったらいえばいいよ。」
私は震える手をぎゅっと握り締めて自分を震いたたせる。
「生意気な奴」
:08/08/27 23:59
:P902iS
:☆☆☆
#440 [果樹]
低くドスの効いた声で啓祐が言った後、私の耳元でパチンと破裂音がして頬に痛みが走る。
数秒後、叩かれたという事に気付いた。
「もぉいいわ。お前いらねぇ」
それだけ言って啓祐は屋上から出ていった。
痛い・・・。
:08/08/28 00:00
:P902iS
:☆☆☆
#441 [果樹]
私はふらつく足で屋上を降り保健室に向かった。
―――――――――・・・・
「ちゃんと冷やしておきなさいよー」
保健の先生が出ていった後、私は座っていた長椅子に寝転び目を閉じた。
頬には腫れを抑えるための濡れタオル。
:08/08/30 18:56
:P902iS
:☆☆☆
#442 [果樹]
―ガラガラガラ・・
誰かが保健室のドアを開けた音がしたが、きっと生徒だろうと気にも留めずに寝転んだままいると
「起ーきーろ!」
という声と共にパチンと額を弾かれた。
「〜〜〜っなんなんですか?!」
:08/08/30 18:57
:P902iS
:☆☆☆
#443 [果樹]
ガバリと起き上がり額を弾いた張本人の柴浦を見ると何処か不機嫌そうな顔をしていた。
「柴浦・・・?」
私が呼び掛けるとスッと柴浦の手が延びてきて私のまだ腫れている頬に触れる。
「あんまり無茶するな・・・」
呟くように言ったその顔は悲し気で何故か胸が痛くなった。
:08/08/30 18:58
:P902iS
:☆☆☆
#444 [果樹]
胸が痛い・・・なんで?
「まだ痛むか?」
「大丈夫・・・。私強いし」
そう言うと今度は腫れていない方の頬をむにっとつねられた。
「馬鹿野郎」
「なっ・・!」
「強がってないでいい加減素直になれ」
:08/08/30 18:59
:P902iS
:☆☆☆
#445 [果樹]
柴浦の言葉が胸に大きくのしかかる。
“強がり”
それは自分が一番よく分かっていることだ。
弱音を吐かない。
吐きたくない。
昔からそれが弱い自分を見せないための唯一の方法だった。
「別に強がってなんか・・・っ!」
:08/08/30 18:59
:P902iS
:☆☆☆
#446 [果樹]
「意地っ張り」
言葉とは裏腹に柴浦が私の頭を撫でる。
「全部受け止めてやるから。弱いお前も泣き虫なお前も。だからいい加減素直になれ」
そんなこと今まで誰も言ってはくれなかった。
いつだって“真理奈は強いな”“真理奈のそういう強いところが好きだ”って言われて来たから・・・。
:08/08/31 00:01
:P902iS
:☆☆☆
#447 [果樹]
本当に素直になってもいいの・・?
泣いてもいい・・・?
優しく頭を撫でる手に促されるように私は静かに涙を流した。
―――――――――・・・・
「柴浦と付き合うことになったーーーぁ?!」
「だから声が大きいってば!」
:08/08/31 00:30
:P902iS
:☆☆☆
#448 [果樹]
屋上へと続く階段の踊り場に百合の声と私の声が響く。
でも百合が驚くのも無理はない。
昨日の今日でいきなり“私たち付き合います”なんて報告をされたら誰だって驚くはずだ。
だって柴浦と付き合う決心をしたのは、昨日私が泣いたあの保健室でなのだから・・・。
:08/08/31 00:31
:P902iS
:☆☆☆
#449 [果樹]
―――――――――・・・・
「落ち着いたか?」
「ん・・・」
柴浦は私が泣き止むまでずっと頭を撫でてくれていた。
「ほら」と言って渡されたのは濡れタオル。
泣いて目が腫れた私のために柴浦が用意してくれたのだ。
:08/09/08 02:00
:P902iS
:☆☆☆
#450 [果樹]
「ありがと・・・」
それを受け取り、私は泣いて熱った目元に濡れタオルを当てがう。
♪〜・・・♪〜・・・
そんな時室内に携帯の着信が鳴り響いた。
鳴ったのは柴浦の携帯。
ゴソッとポケットを探り携帯を取り出して着信画面を見る柴浦の顔が少し歪む。
:08/09/08 02:01
:P902iS
:☆☆☆
#451 [果樹]
「出ないの?」
いつまでも鳴り響く着信音。
なかなか出ようとしない柴浦。
「ああ・・・悪い」
私が聞くとまるで覚醒したかのようにハッとして、バツが悪そうに柴浦は私に背中を向けて電話に出る。
「・・・もしもし?」
:08/09/08 02:02
:P902iS
:☆☆☆
#452 [果樹]
私はタオルを少しずらして電話中の柴浦の背中を見る。
「わかってるよ。用件は何だ?」
あ・・・ちょっと不機嫌。
『・・・・・でよ。あの時・・・・謝る・・・・・』
女の人・・・?
「今更だな。別れたいって言ったのはそっちだろ?」
:08/09/08 16:36
:P902iS
:☆☆☆
#453 [果樹]
『・・・もう一回・・・・まだ・・きなの・・・忘れ・・・・』
「無理だ。俺はもう忘れた。用件がそれだけなら切るぞ」
『・・・待って・・・要!』
プツッ・・ツーツー
女の人の叫び声は携帯の無機質な音によって遮られた。
「大丈夫なの・・・?」
「ん?あぁ、悪かったな」
:08/09/08 16:38
:P902iS
:☆☆☆
#454 [果樹]
私の声に気付き柴浦がこちらを向く。
その手に携帯はもう握られてなかった。
「昔の・・・彼女さん?」
「え?」
「話声が聞こえたから・・・」
気まずそうな顔をする柴浦。
言ってはいけないと思いつつも、私の口が止まることはなく何故か次から次へと言葉が出てくる。
:08/09/08 16:38
:P902iS
:☆☆☆
#455 [果樹]
「よかったじゃん。ヨリ戻したいって話なんでしょ?戻してあげなよ。元カノさん必死だったし。柴浦もいい年なんだからいい加減身を固めたり・・・」
バンッ!
私の止まることのなかった口は柴浦が私の横の壁をおもいっきり叩いた音によってようやく止まる。
「俺はお前が好きなんだよ。俺の気持ちが迷惑だったらそう言え。こんな遠回しにいってんじゃねぇ・・・」
:08/09/08 16:39
:P902iS
:☆☆☆
#456 [果樹]
最後の方は聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声が私の耳に届いた。
「ちゃんと冷やせよ」
それだけ言うと柴浦は私の頭をぽんぽんと軽く叩いて保健室を出ていった。
「・・・・・・・」
残された私は暫く放心状態のまま固まっていたがハッとして私はすぐ柴浦の後を追い掛けたがもう姿はなかった。
:08/09/08 16:40
:P902iS
:☆☆☆
#457 [果樹]
傷付けた。
その言葉だけが私の頭の中に響いた。
最後に見せたあの切なそうな今にも泣きそうな顔が頭から離れない。
好きだって言ってくれたのにそれを信じられなかった。
自分の中でブレーキかけて柴浦に惹かれている自分を無視し続けた。
:08/09/08 16:40
:P902iS
:☆☆☆
#458 [果樹]
恋シテハイケナイ相手。
自分の中でそう決めつけて自分の心と向き合おうともしなかった。
本当ハイツノ間ニカ好キニナッテイタ癖ニ。
臆病な私がそこにいた。
もう傷付きたくない。
これ以上苦しい思いはしたくない。
そんな風に思っていたから柴浦をあんな形で傷付けてしまった。
:08/09/08 16:41
:P902iS
:☆☆☆
#459 [果樹]
私は再び保健室に入り放課後がくるのを待った。
―――――――――・・・・・
キーンコーンカーンコーン
『校舎内に残っている生徒は速やかに下校して下さい』
「・・・・寝過ぎた」
起きたら空は茜色に染まっていてもう薄暗くなる手前だった。
:08/09/08 16:42
:P902iS
:☆☆☆
#460 [果樹]
私はベッドから降りて鞄を取りに教室に向かう。
渡り廊下を歩けば、校庭から部活動をする生徒の活気ある声と下校し始めた生徒が校門をくぐっていくのが見えた。
私はそれを横目で見ながら教室へと歩みを進めた。
―――――――――・・・・・
「やっと起きたか」
:08/09/08 16:43
:P902iS
:☆☆☆
#461 [果樹]
声がして振り向けば、教室のドアにもたれかかるようにして柴浦が立っていた。
「さっき起きたの」
私は柴浦と話ながら鞄に荷物を詰める。
「気を付けて帰れよ」
その言葉に振り向けば、柴浦はもうそこにはいなかった。
:08/09/08 16:46
:P902iS
:☆☆☆
#462 [果樹]
伝えなきゃ・・・っ!
私は鞄を机に投げ捨てて、走った。
柴浦の足跡を辿るように階段を降りて廊下を走って、やっと柴浦の背中が見えたのは昇降口の前。
「柴浦!!」
私の大声に肩を震わせて柴浦が振り返る。
「ビックリさせんなよ。ったく・・・」
:08/09/08 16:47
:P902iS
:☆☆☆
#463 [果樹]
頭をガシガシとかきながら苦笑いをする柴浦。
私はゆっくりと柴浦に近付く。
「さっきは・・・ごめんなさい」
少し震える声。
柴浦の顔が見れなくて、うつ向いていると頭に少し重みを感じる。
そろりと顔を上げると柴浦が笑って私の頭を撫でていた。
:08/09/08 16:47
:P902iS
:☆☆☆
#464 [果樹]
「しょーがねぇから許してやるよ」
はにかんだような照れたような柴浦のその笑いに、私はなんだか無償に泣きたくなった。
「柴・・・浦・・・」
「ん?」
小さな声で呼んだにも関わらず柴浦は気付いてくれて、小首を傾げる。
:08/09/08 16:48
:P902iS
:☆☆☆
#465 [果樹]
.
「あたし・・・柴浦のことが・・・す・・・き・・・みたい」
.
:08/09/08 16:49
:P902iS
:☆☆☆
#466 [果樹]
うつ向いた顔から火が出そうなほど自分の顔が熱いのがわかる。
「・・・みたいって何だよ」
ハハッと笑った声がして顔を上げれば眩しいくらいに柴浦が笑っていた。
「〜〜っ!」
:08/09/08 16:53
:P902iS
:☆☆☆
#467 [果樹]
いつも直球な言葉。
行動はいい加減且つ、子供。
それなのに生徒思いで優しい。
私が好きになった柴浦要はそういう人。
:08/09/08 16:54
:P902iS
:☆☆☆
#468 [果樹]
「あ!遊園地のチケット貰ったんだけど行くか?」
私たちが付き合って1週間後、柴浦からのいきなりのデートの誘い。
誘ってもらったのは嬉しい。
でも私の返事は・・・。
「行かない」
無表情で言う私に柴浦はクスクスと笑いながら、
「素直じゃねぇなぁ」
と私の頭をぽんぽんと叩いた。
私が素直になるのはもうちょっと先の事になりそうだ。
:08/09/08 16:55
:P902iS
:☆☆☆
#469 [果樹]
.
【恋患い】
―END―
.
:08/09/08 16:56
:P902iS
:☆☆☆
#470 [果樹]
:08/09/08 17:08
:P902iS
:☆☆☆
#471 [果樹]
.
「好きです!俺と付き合ってください!!」
「・・・ごめんなさい」
story 5
【成功率0パーセント】
.
:08/09/08 19:01
:P902iS
:☆☆☆
#472 [果樹]
「あ、小鶴さんだ」
仲間の一人が廊下を見ながら言うと全員が同じ方を向いたので、俺も例に習って向いた。
すると廊下では背の小さい女生徒とあれは確か・・・Ε組の大杉だ!
その大杉と背の小さい女生徒は何やら固い顔で話をしていた。
なんか大杉はすげーテンパってる感じに見える。
:08/09/08 19:04
:P902iS
:☆☆☆
#473 [果樹]
「いつ見ても可愛いよなー。あれって告られてんだよなー絶対!」
「まぁ小鶴さんだし」
「小鶴さん・・?」
さっきから聞こえるその小鶴さんとやらのことが分からず、俺は頭にはてなを浮かべる。
すると全員がばっと俺の方を向いて、まるで幽霊でもみたような顔をしている。
:08/09/08 19:05
:P902iS
:☆☆☆
#474 [果樹]
「倉、お前まさか小鶴さんを知らない・・・とか?」
「うん」
素直に頷く俺に何故かみんなは脱力。
「お前・・・。まぁ倉だしな。それでいいと思う。うん」
仲間の一人、哲が俺の肩をぽんぽんと叩くので俺は何だか除け者にされた気分だ。
:08/09/10 03:27
:P902iS
:☆☆☆
#475 [果樹]
「なんだよそれー!」
それからしつこく聞いたところ、哲は最初は面倒臭そうにしていたが、途中から興奮しだして、最後には吠えるように説明してくれた。
まぁ哲の話を要約するとつまりこうだ。
大杉と話していたあの小さい女生徒は、小鶴めぐみといって入学当初から美少女と騒がれて有名だったらしい。
:08/09/10 03:28
:P902iS
:☆☆☆
#476 [果樹]
3年から1年までの何人もの男が告白をしたが、全員玉砕。
彼女の断り文句は決まって
「ごめんなさい。」
の一言。
一見冷たそうに見える彼女だが、笑うと実は可愛いとか、誰にもこびないところが逆に好かれて、人気はさらに鰻のぼりらしい。
:08/09/10 03:29
:P902iS
:☆☆☆
#477 [果樹]
美少女か・・・
俺には無縁の話かな。
――――――――・・・・
「つる子ー!!」
名前を呼ばれて振り向くと、走りながらこっちに向かってくる人影がいた。
あ、ちなみにつる子は私の愛称。
「麻衣」
:08/09/11 06:52
:P902iS
:☆☆☆
#478 [果樹]
走ってきたのは友達の麻衣。
「まぁた告られてたでしょー」
にやにやと笑いながら麻衣は脇腹をこずく。
「覗き魔」
ぼそりと呟くと麻衣は「酷い!」と言ってよろめき三文芝居を始めた。
:08/09/11 06:53
:P902iS
:☆☆☆
#479 [果樹]
「覗きなんて・・・!あたしは純粋につる子が心配で」
「はいはい」
いい加減このやりとりにも飽きた私は、麻衣を適当にあしらう。
「それで?それで?なんて返事したの?」
さっきの三文芝居はもうやめたらしく、麻衣はまたにやにやと笑いながら私の顔を覗きこんできた。
:08/09/11 06:53
:P902iS
:☆☆☆
#480 [果樹]
「別に?いつも通りだよ。」
「また?もうちょっとは告白してくる人の身になって返事してあげたら?」
またいつものお説教か。
麻衣は私がいつも通りの“ごめんなさい”という言葉で、告白してきた相手を振ると必ずお説教をしてくる。
「わかったって。ほら行こう!授業始まっちゃう」
:08/09/11 06:54
:P902iS
:☆☆☆
#481 [果樹]
始まると長いので、私は麻衣のお説教が始まる前に麻衣を急かし、教室へと急いだ。
――――――――・・・・・
昼休み
飯を食う為に、弁当を持ちみんなのところへ、ルンルン気分で行こうとした時、放送が流れた。
ピンポンパンポーン
『1年С組、倉橋空。至急職員室まで来なさい』
:08/09/11 06:54
:P902iS
:☆☆☆
#482 [果樹]
・・・・は?俺?
「なんだ倉〜?なんかやらかしたのかぁ?」
哲がからかってきた。
「し、してねぇ!」
と思うがわかんねぇ・・・。
「とりあえず俺行ってくるわ!」
:08/09/12 01:08
:P902iS
:☆☆☆
#483 [果樹]
弁当を机の上に置き、俺は職員室へ急いだ。
・・・・・・・・・・・・・・・
「失礼しましったー」
ガラガラガラ・・・パタン
はー何だよ。
焦って損したぁ。
俺が職員室へ呼ばれた理由。
それは、母ちゃんからの土産の礼だった。
:08/09/12 01:09
:P902iS
:☆☆☆
#484 [果樹]
俺の母ちゃんと父ちゃんは、世界中飛び回ってる翻訳家とカメラマンで、結構名前は知れてんだ。
けど何故か、行った先の外国の土産を学校に送りつけてくるっていうちょっと変わった人たち。
いつもは学校側から礼の電話をしてるらしいんだけど、前に母ちゃんが
「たまには空の声も聞きたい!」
:08/09/12 01:09
:P902iS
:☆☆☆
#485 [果樹]
とか愚痴ったお陰で、担任に
「今日はお前から電話してやれ!」
とか頼まれた。
はー母ちゃんと話すと長くなるから極力電話は避けてたのに最悪だ。
案の定休み時間を20分も削られた。
元気そうで何よりだったけど、貴重な休み時間を削られたのは痛い。
:08/09/12 01:09
:P902iS
:☆☆☆
#486 [果樹]
昼飯をゆっくり食う時間がなくなったことに、俺は肩を落とし、一人とぼとぼと廊下を歩いていると、向こうから本を読みながら歩いてくる子が視界に入った。
あのままじゃ壁に激突するんじゃないかなーと思った矢先、彼女は壁に一直線に進む。
「うわっ前!前ー!」
――――――――・・・・
「うわっ前!前ー!」
:08/09/12 01:10
:P902iS
:☆☆☆
#487 [果樹]
え・・・・?
ゴンッ
「―――っっ!」
頭部に鈍い痛みが走り目の前には星が飛ぶ。
ああ・・・またやってしまった。
「あ、あの・・・大丈夫?」
横からスッと手が延びてきて見上げると、オレンジ色に近い髪の色の可愛い男の子が心配そうな顔で手を差し出してくれていた。
:08/09/14 22:56
:P902iS
:☆☆☆
#488 [果樹]
「はい。なんとか・・・。すみません。いつものことなんで大丈夫です。」
あたしはその手を借りて立ち上がると、スカート裾をパッパッと手で払った。
「あの・・・本読みながら歩いたら危ないよ?」
「そうですね。気を付けます」
心配そうに見てくるオレンジ頭の男の子に無表情で返す。
「あ!」
いきなり大声を出したオレンジ頭の男の子にちょっとびっくりしてしまう。
「これあげる!」
「え・・・?」
「ほら手ぇ出して!」
「え?あ、はい」
とっさに出した右の手の平に、ちょんと可愛らしい赤い包みが乗せられた。
:08/09/14 22:57
:P902iS
:☆☆☆
#489 [果樹]
「うーんとどっか外国のお菓子だから美味しいと思うよ。じゃあね」
それだけ言ってオレンジ頭の男の子は走って行ってしまった。
残された私は、ぼんやりとその後ろ姿を見続けた。
――――――――――・・・・
「倉ー遅かったなぁ」
:08/09/14 22:58
:P902iS
:☆☆☆
#490 [果樹]
教室に入るなり哲が声をかけてきた。
「あー・・・母ちゃんの話が長くてさ」
苦笑い気味に言うと哲も苦笑いで「あーね」と返してきた。
哲は家が近いせいか何度か俺ん家に来ていて、母ちゃんのことも何度か見ている。
そのため母ちゃんが俺を溺愛してんのも知ってんだ。
:08/09/20 09:39
:P902iS
:☆☆☆
#491 [果樹]
「相変わらずなのな。お前の母ちゃん」
「ハハッまーな」
哲と話しながら俺は弁当を口の中にかきこんだ。
「あ、ほーだ!ふぁっきはぁひゃんからのみひゃげもはった」
「何言ってっかわかんねーから食ってから話せよ」
哲が呆れながら言うので俺は急いで口の中の物を飲み込む。
:08/09/20 09:40
:P902iS
:☆☆☆
#492 [果樹]
「だからぁさっき母ちゃんからの土産もらってきたつってんの!」
「おっマジで?!」
食い物の話に釣られて哲が前のめりで聞いてきた。
「ほら」
「やりぃ!サンキュー倉!ほれみんな食い物だぞー」
哲はニカッと笑ってから、俺が渡した土産を配りにみんなのとこへ行った。
:08/09/26 03:33
:P902iS
:☆☆☆
#493 [果樹]
あれ、そういえばさっきの子どっかで・・・。
えーっと・・・。
俺はふと、さっき土産をあげた子のことを思い出したが、結局誰かわからなかったので、諦めて弁当の残りをかきこんだ。
――――――――――・・・・
「あ、いたいた。おーいつる子ー」
:08/09/26 03:33
:P902iS
:☆☆☆
#494 [果樹]
後ろから麻衣の声が聞こえたと思い振り向けば、案の定麻衣がこちらへと走ってきていた。
「帰ってくるのが遅いと思って探しに来てみれば。やっぱりこんなところにいた」
ぷくーっと頬に膨らませて麻衣は、冗談めかしく怒る。
「あれ?何それ?」
麻衣が私の掌を指差しながら首を傾げる。
:08/09/26 03:34
:P902iS
:☆☆☆
#495 [果樹]
私の手にはさっきオレンジ頭の男の子からもらった赤い包み。
「どっかの国のお菓子だって」
「は?」
更に首を傾げる麻衣を横目に、私は赤い包み紙を開けて中のお菓子をポイッと口の中に放り込む。
口の中にはほのかな甘さが広がり、クッキーの様な歯応えがあってとてもおいしい。
:08/09/26 03:35
:P902iS
:☆☆☆
#496 [果樹]
「あ゙!ずるい!」
「あーはいはい。ごめんね」
私はすねる麻衣の口に残りのお菓子を放り込む。
「あ!おいしい」
頬に手を当てて、嬉しそうな顔をする麻衣に笑いかけ私は教室に足を進める。
「ねっねっ!あのお菓子誰に貰ったの?」
:08/09/26 03:35
:P902iS
:☆☆☆
#497 [果樹]
廊下を歩きながら麻衣が興味津々といった顔で、聞いてきた。
「えーっと・・・」
私はあの菓子をくれた男の子のことを思い出す。
「アレンジ頭」
「は?」
私の返答に、麻衣の頭にはてながいくつも浮かんだ。
:08/10/05 00:15
:P902iS
:☆☆☆
#498 [果樹]
あ。
お礼言い忘れちゃった・・・。
――――――――――・・・・
「くそーたなっちめぇ。長々と世間話なんかしやがって。おかげでもう真っ暗じゃんかー!」
担任に話があると呼ばれた俺は、結局担任の世間話につき合わされた挙句、下校時間もとっくに過ぎてしまった。
:08/10/05 00:16
:P902iS
:☆☆☆
#499 [果樹]
「あ。くっそーっ負けたぁ!あ・・・?うわーーっ!」
ズダダダダダダダァン!
「いってーーぇ・・・」
凄い音と共に俺は階段から盛大に落っこちてしまった。
はぁ・・・人がいなくてよかった。
こんなださい姿見られたら俺は国外に逃亡するしかない。
:08/10/05 00:18
:P902iS
:☆☆☆
#500 [果樹]
「あれ?」
「あ?あれ?君は・・・」
上から声が聞こえたと思い見れば、階段の踊場に少女が立っていた。
「大丈夫ですか?」
タンタンと軽やかに少女は階段を下りてくる。
「はい。落し物」
俺の側まで来た少女の手には、ゲーム機。
:08/10/05 00:18
:P902iS
:☆☆☆
#501 [果樹]
それもそのはず、俺はこのゲーム機に熱くなりすぎて階段から転げ落ちてしまったのだから。
「ごめんね。ありがと」
俺は苦笑いで少女からゲーム機を受け取る。
「ゲームしながら歩いていたら危ないですよ?」
受け取る瞬間にクスッと笑われて昼休みにあったことを思い出す。
:08/10/05 00:19
:P902iS
:☆☆☆
#502 [果樹]
「ははは・・・だね。気をつける」
乾いた笑いを浮かべる俺に、少女はなんだか面白そうに笑っている。
「昼休みのときにあった子だよね?」
俺の問いに少女は、コクリと首を縦に振る。
「小鶴めぐみ」
「え?」
:08/10/05 00:20
:P902iS
:☆☆☆
#503 [果樹]
「名前。小鶴めぐみ。お菓子ありがとう。美味しかったです」
にこりと笑いながらお礼を言われた俺は、心臓がドキドキした。
何だ・・・?この感覚は?
「あなたは?」
「え?あっ!俺は倉橋空。倉でいいよ」
一瞬キョトンとしたが、小鶴さんはすぐににこりと笑う。
:08/10/05 00:20
:P902iS
:☆☆☆
#504 [果樹]
「それじゃあ私はこれで・・・。ばいばい倉くん」
そういって小鶴さんは手を軽く振って廊下を歩いていってしまった。
俺はしばらく、小鶴さんが歩いていったほうをぼけーっと見ていた。
あ!思い出した。
小鶴さんて哲が騒いでいたあの小鶴さんだ。
哲にこのこと話したらまたうるっせーんだろうなぁ・・・。
:08/10/05 00:21
:P902iS
:☆☆☆
#505 [果樹]
はぁと軽いため息をついて俺は昇降口へと向かった。
――――――――――・・・・
「つーる子ー!!」
ドンッ!
「んぎゃ!」
ドサッ
私は突然背中に感じた重さに耐えられず、そのまま地面に倒れる。
:08/10/05 12:27
:P902iS
:☆☆☆
#506 [果樹]
「麻ぁぁーー衣ぃぃーー・・・」
「あ・・あはははははー・・・」
上体を起こし私は後ろにいる麻衣を睨みつける。
麻衣は乾いた笑いを浮かべ顔を引きつらせている。
「まったくもー」
私は立ち上がり、スカートについたほこりを手で振り払う。
:08/10/05 12:28
:P902iS
:☆☆☆
#507 [果樹]
そのついでに頬を少し膨らませながら麻衣を再度睨みつける。
「ごめんってばー」
麻衣は両手を顔の前に合わせ必死に謝ってくる。
「別にいいけどさー。何いきなり?」
「え?なんでもないよ?」
「は?」
:08/10/05 12:28
:P902iS
:☆☆☆
#508 [果樹]
麻衣の返答に思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
「つる子の姿が見えたから飛びついただけー」
麻衣はまるで悪びれも無く笑顔で答える。
「ああ、そう・・・」
私は思わず肩の力が抜ける。
「つる子ー早く教室行こーよー」
「はいはい」
:08/10/05 12:29
:P902iS
:☆☆☆
#509 [果樹]
いつの間にか私の前の方に来ていた麻衣は、おいでおいでをするように私を呼ぶ。
私は仕方なく麻衣の後に続く。
「小鶴さんおはよー」
「え?あ、おはようございます」
突然呼ばれた名前に振り向けば、男の子がこちらに向かって手を振っていた。
反射的に私も挨拶をしてしまう。
:08/10/05 12:29
:P902iS
:☆☆☆
#510 [果樹]
「誰?あれ」
私の肩に顎を乗せながら麻衣が聞いてくる。
「知らない人」
「またぁ?つる子って本当よく知らない人に声かけられるよねー」
「ね。」
そうなのだ。
私は入学当初から知らない先輩や同級生によく声をかけられる。
:08/10/10 13:51
:P902iS
:☆☆☆
#511 [果樹]
最初はとても面倒くさいかったのだが次第にそれにも慣れてきた。
「倉ーはよー」
「はよー」
「おっ倉ー今日は早ぇじゃん」
「うるせー」
あ・・・。
:08/10/10 13:52
:P902iS
:☆☆☆
#512 [果樹]
賑やかな声が聞こえると思いそちらを向けば、昨日のオレンジ頭の倉橋空がたくさんの友達に囲まれていた。
「つる子倉橋くんと知り合いなの?」
「え?」
麻衣の言葉に驚いて私は麻衣を見る。
「倉橋くんって男子からも女子からもすんごい人気あんのよねー。まぁあの顔なら納得はいくけど」
:08/10/10 13:52
:P902iS
:☆☆☆
#513 [果樹]
うんうんと頷きながら言う麻衣の言葉を聞きながら私はまた倉橋くんに目を戻す。
「あ、小鶴さんおはよー」
「お・・・はよう」
突然の倉橋くんからの挨拶に私は一瞬硬直して言葉が上手く出てこなかった。
にひっと笑う倉橋くんになんだか心臓が高鳴る。
:08/10/10 13:53
:P902iS
:☆☆☆
#514 [果樹]
「え?え?」
麻衣は倉橋くんと私を交互に見て、戸惑いを隠せない様子だった。
そして何故か倉橋くんの周りにいる友達も口を開けて、呆然としていた。
そんな周りの状況を知らないのか倉橋くんは、笑顔で手を振っている。
人懐っこいんだなぁ。
:08/10/10 13:54
:P902iS
:☆☆☆
#515 [果樹]
そんな中、私は一人倉橋くんを見ながらぼんやりとそんなことを思った。
――――――――――・・・・
「くぅう〜らぁぁあ〜」
ドカッ
「でっ!」
ベシャッ
:08/10/10 13:55
:P902iS
:☆☆☆
#516 [果樹]
後ろからの恨めしそうな声と共に、いろんな音。
そして突然背中に感じた重さに、俺は頭から机に突っ込んだ。
「抜け駆けしやがってお前はぁ!いつのまに小鶴さんと仲良くなったんだよ!あんだけ興味なさそうにしてたくせにこのやろう!」
「ぐえっギブギブ〜・・・」
:08/10/10 13:55
:P902iS
:☆☆☆
#517 [果樹]
後ろから哲に首を絞められた俺は、蛙が踏み潰されたような声でうめきながら首に巻き付いている哲の腕を叩く。
「まいったか!」
そう言われてコクコクと何度も頷くと哲はやっと、首に巻き付いていた腕を解いてくれた。
俺は解放された瞬間に、足りなかった酸素をめいっぱい吸い込んだ。
「んで?実際どーなわけ?」
:08/10/10 13:56
:P902iS
:☆☆☆
#518 [果樹]
「何が?」
突然の哲の問掛けに俺の頭にはいくつものハテナが飛ぶ。
「だから小鶴さんとだよ!どうやって親しくなったんだ?怒らねぇから言ってみ?ん?」
そう言う哲のこめかみには青筋と怒りが浮かび上がっていた。
:08/10/14 10:39
:P902iS
:☆☆☆
#519 [果樹]
うそだ。
そう思いながらも話さないと更に怖いので俺はぽつりぽつりと話し始めた。
・・・・。
「・・・ってな感じで俺は全然小鶴さんだって気付かなかったの」
話し終えると哲は、はぁぁーと深い溜め息をついた。
「倉・・・お前ってやつはなんてばかなんだ」
:08/10/14 10:40
:P902iS
:☆☆☆
#520 [果樹]
「なっ・・・いきなりなんだよ!」
哲のばか発言はちょっと許せねぇ。
「俺がお前の立場だったら絶対小鶴さんの電話番号ゲットしてるぞ」
「はぁ?!」
なんだそんなことかよ。
あほくさ・・・。
俺はばかなことをいっている哲に軽く呆れる。
:08/10/14 10:40
:P902iS
:☆☆☆
#521 [果樹]
「なぁなぁ!今度小鶴さん紹介してくれよ!な?」
嬉しそうに言う哲に、俺は一言「無理!」ときっぱり言う。
「なんだよ倉のケチ〜」
哲がぶーぶーと口を尖らせて文句を言ってくる。
「俺だってそんなに親しいわけじゃねーの。だから無理」
それだけ言って俺は、机に突っ伏した。
:08/10/14 10:41
:P902iS
:☆☆☆
#522 [果樹]
横では哲がまだ何か言っていたが、俺はそれを遮断するように眠りについた。
――――・・
「どーゆうことなの?!隠し事はなしでしょ?!つる子ー!」
はぁうるさい・・・。
私は後ろからキャンキャン聞こえる声に心の中で深い溜め息をつく。
:08/10/14 10:41
:P902iS
:☆☆☆
#523 [果樹]
倉橋くんと別れてから麻衣はずっとこの調子で、
「何?どうゆうこと?!」
「教えて!」
と倉橋くんとのことを聞いてくる。
正直面倒臭いから嫌なのだ。
「つる子ってばー!」
「わかったわかった。後で話すから・・・」
嘘だけど。
:08/10/16 10:24
:P902iS
:☆☆☆
#524 [果樹]
「とか言ってつる子の後ではいつもないじゃない」
見抜かれてる・・・。
麻衣とは長い付き合いなので誤魔化しは通用しない。
私は観念して長い溜め息を吐く。
「倉橋くんとは・・・あのお菓子を貰った日に知り合ったの」
「えぇ?!あのお菓子くれたのって倉橋くんだったの?」
:08/10/16 10:25
:P902iS
:☆☆☆
#525 [果樹]
麻衣が身を乗り出すようにして聞いてくる。
私はこくりと小さく頷く。
「でもちゃんと話したのは昨日の放課後だよ」
「そうだったんだぁ・・・。なんか以外」
「何が?」
麻衣の発言に私の頭の上には無数のハテナマークが飛ぶ。
:08/10/16 10:26
:P902iS
:☆☆☆
#526 [果樹]
「つる子のタイプってあーゆーのなんだぁって思って。まぁ倉橋くんとつる子なら釣り合うからいーけどさぁ」
「・・・は?!」
麻衣の突拍子もない発言に私は、目玉が飛び出すくらい目を開いた。
「え?違うの?」
「違うも何もあたし倉橋くんのことよく知らないし。だいたい会った次の日に好きとかありえないでしょ」
:08/10/16 10:26
:P902iS
:☆☆☆
#527 [果樹]
私は呆れながらも麻衣を見ると麻衣はどこか納得していないようで
「そーかなー?」
なんて言っている。
・・・ありえないよ。
――――・・
「あーもう駄目だ。俺限界・・・」
ヘロヘロになった哲がドサッと地面に腰を下ろす。
「だらしねぇーなぁ。たかがマラソン程度で」
:08/10/16 10:27
:P902iS
:☆☆☆
#528 [果樹]
俺は哲の前に立ち、呆れながら哲を見下ろす。
「うるせー。サッカー馬鹿と比べんな!」
「馬鹿わ余計だ」
ドベシッと哲の頭を叩く。
今は、体育の授業中。
ちなみに学校の外周をマラソンしてきた直後だ。
サッカー部の俺と違い帰宅部の哲にはきつかったらしくとうとう哲は地面に寝転んでしまった。
:08/10/16 10:28
:P902iS
:☆☆☆
#529 [果樹]
「しょーがねぇーなぁ。飲み物買ってきてやるからちょっと待ってろ」
俺は自販機を探して校舎に向かった。
ピッ・・ガコン
校舎内の自販機からスポーツ飲料を取りだし、一口飲み込む。
「ぷはっ」
渇ききっていた喉が潤う。
:08/10/16 10:29
:P902iS
:☆☆☆
#530 [果樹]
「クスクス・・汗すごいよ?」
笑い声と共に聞こえた声を辿ると階段の方に小鶴さんが立っていた。
「マラソンしてきたから。小鶴さんこそ授業中じゃないの?」
俺は笑いながら答えて、首を傾げる。
「サボリ中」
:08/10/16 10:29
:P902iS
:☆☆☆
#531 [果樹]
ふふっと笑いながら俺の隣まで来た小鶴さんは、自販機のボタンを押して中から紅茶を取り出した。
「それなに?」
俺はふと小鶴さんが持っている冊子が気になった。
俺の言葉に反応した小鶴さんが「ん?」と自分の手の中のものを見る。
「ああ。これはあたしの趣味」
そういって捲ったページには沢山の写真。
:08/10/16 10:29
:P902iS
:☆☆☆
#532 [果樹]
「すごいね。すごく温かい感じがする」
俺はペラペラとページを一枚一枚捲りながら写真を見ていく。
「ありがとう。でもまだまだだよ。全然下手」
「そんなことないよ。俺の親が写真家やってるから少しわかるけどうまいと思う」
謙遜する小鶴さんに俺は、親の事を話す。
:08/10/20 13:28
:P902iS
:☆☆☆
#533 [果樹]
「倉橋くんのご両親写真家なの?」
「いや、写真撮ってるのは親父の方。倉橋すぐるって知ってるかな?」
「倉橋すぐる?!!嘘でしょ?」
「え?いや本当だけど・・・」
小鶴さんの思わぬ食い付きぶりに俺は内心ビックリする。
:08/10/20 13:28
:P902iS
:☆☆☆
#534 [果樹]
「あたし倉橋すぐるさんの写真すごく好きなの!!」
少し興奮気味に言う小鶴さんになんだか俺は顔の筋肉が緩むのを感じた。
「そうなんだ。でも本人は何の変哲もないただのおっさんだよ」
俺たちはそんな話題で互いに笑いあった。
別れ際に、今度父さんの撮った写真を持ってくるというと小鶴さんはありがとうと満面の笑みで笑った。
:08/10/20 13:29
:P902iS
:☆☆☆
#535 [果樹]
――――・・
「つる子ー!またサボったなぁ」
教室に入るなり麻衣のお説教が始まった。
「はいはい。すみませんでした」
私は軽く受け流しながら自分の席に座る。
「まったくもう!ん?なんか嬉しそうだね?良いことでもあった?」
:08/10/20 13:29
:P902iS
:☆☆☆
#536 [果樹]
「え?」
怒っていた麻衣が私の顔を見るなりそんなことを言うものだから内心驚いてしまった。
基本ポーカーフェイスの私は、あまり心を悟られないのだが今日はうっかり顔に出ていたらしい。
「うん。まぁちょっとね」
そういいながら私は自分のアルバムを捲る。
:08/10/20 13:30
:P902iS
:☆☆☆
#537 [果樹]
「写真増えたね」
「うん」
麻衣は私が写真好きなのを知っているので、一緒に覗き込んでくる。
倉橋すぐるさんがまさか倉橋くんのお父さんだったなんて・・・。
「ふふっ」
「何いきなり笑いだして。気持悪いよ」
:08/10/26 08:18
:P902iS
:☆☆☆
#538 [果樹]
私の突然の笑いに麻衣がツッコミをいれてくる。
「んーん。なんでもない」
私はまだにやける顔のまままたアルバムを捲った。
――――・・
「小鶴さんいるかな?」
俺は今昼休みを利用して小鶴さんのクラスまで来ている。
:08/10/26 08:19
:P902iS
:☆☆☆
#539 [果樹]
理由は先日約束したものを渡すため。
ドア付近にいた女の子に声をかけるとちょっと待っててと言われたので俺は廊下で待つことにした。
「倉橋くん・・・?」
ドアに寄りかかりながら待っていたら遠慮がちに名前を呼ばれたので振り向くと小鶴さんがドアからひょっこりと顔だけ覗かせていた。
:08/10/26 08:19
:P902iS
:☆☆☆
#540 [果樹]
「約束したやつ持ってきたよ」
そういいながら右手に持っていたアルバムを小鶴さんの目の高さらへんで揺らすと小鶴さんの顔が一気に明るくなった。
「ありがとう!ねぇ中庭に行って一緒に見ない?いろいろ話も聞きたいし」
「・・・いいよ」
:08/10/26 08:20
:P902iS
:☆☆☆
#541 [果樹]
まさか誘われるとは思ってなかった俺は小鶴さんの言葉に戸惑いながらも返事をする。
それから僕たちは中庭に向かった。
――――・・
「すごい・・・。すごく綺麗!」
小鶴さんは次々とページを見ながら感嘆の声を上げる。
:08/10/26 08:20
:P902iS
:☆☆☆
#542 [果樹]
「これなんてすごいアングル!人と風景のバランスもすごく綺麗!!」
興奮を隠すことなく話す小鶴さんは妙に可愛くみえて俺はつい笑いが溢れる。
「ハハッ」
「どうかした?」
いきなり笑った俺を不思議に思ったのか、小鶴さんが首を傾げる。
:08/10/26 08:21
:P902iS
:☆☆☆
#543 [果樹]
:08/10/26 08:22
:P902iS
:☆☆☆
#544 [なな]
:08/10/26 09:56
:SH904i
:Hc2u9Hgw
#545 [果樹]
ななさん
アンカーありがとうございます☆
:08/10/31 00:11
:P902iS
:☆☆☆
#546 [果樹]
「ごめん。本当に写真が好きなんだなぁと思ってさ」
俺の言葉に小鶴さんは優しく笑う。
「好きだよ」
その言葉に俺の胸がドクンと大きく鳴る。
「倉橋くんは写真撮らないの?」
:08/10/31 00:12
:P902iS
:☆☆☆
#547 [果樹]
小鶴さんがアルバムから目を離し、俺を見る。
「俺は写真よりも今はサッカーが好きだから。昔はよく父さんに付き合って写真も撮ってたけど」
俺は空を見ながら昔のことを軽く思い出す。
「そうなんだ。もうその写真はないの?」
「ん?あー探せばあると思うけど・・・」
:08/10/31 00:13
:P902iS
:☆☆☆
#548 [果樹]
俺は空を見ながら考える。
「見てみたい」
小鶴さんの思わぬ言葉に俺は少し驚く。
「子供が撮ったお遊びみたいなもんだよ?」
「うん。でも倉橋くんが撮ったの見てみたい」
:08/10/31 00:14
:P902iS
:☆☆☆
#549 [果樹]
「わかった。探してみるよ」
なんだか楽しそうに小鶴さんがいうものだから俺は思わずそう返事をしてしまった。
「でも俺からもお願いがひとつ」
「なに?」
:08/10/31 00:15
:P902iS
:☆☆☆
#550 [果樹]
俺はまるで交換条件とでもいうように人指し指を小鶴さんの顔の前に向ける。
「小鶴さんの写真ももっとたくさん見たい」
「あたしの?」
小鶴さんが少し驚く。
「うん」
:08/10/31 00:16
:P902iS
:☆☆☆
#551 [果樹]
俺の言葉に小鶴さんは少し驚いていたが次の瞬間ふわりと羽根のようにやわらかく笑って
「わかった。もってくる」
と返事をしてくれた。
――――・・
倉橋すぐるさんの写真を倉橋くんに見せて貰ったあの日から、私たちは昼休みによく中庭で互いの写真をみせあった。
:08/10/31 00:17
:P902iS
:☆☆☆
#552 [果樹]
なんだか倉橋くんと一緒にいると時間がゆっくり流れているみたいでとても落ち着いた。
私はそんな温かい時間がとても好きだった。
キーンコーンカーンコーン
「また中庭いくの?」
:08/10/31 00:18
:P902iS
:☆☆☆
#553 [果樹]
4限の終わりを告げるチャイムが鳴った直後に席を立った私に麻衣が聞いてきた。
「うん」
コクリと首を縦に振って私は自分のアルバムを手にとる。
「あたしもいっていい?」
「え?!」
:08/10/31 00:19
:P902iS
:☆☆☆
#554 [果樹]
突然の麻衣の言葉に私の時間が一瞬だけ時を止めた。
「邪魔しちゃ悪いかな?」
麻衣に悪意はないのだろう。
そんな麻衣を断るのはすごく悪い気がして私は麻衣を倉橋くんといつも会う中庭に連れていくことにした。
:08/10/31 00:19
:P902iS
:☆☆☆
#555 [果樹]
――――・・・
「今日は友達を連れてきたの」
「はじめまして倉橋くん!つる子の友達の麻衣です」
そういって紹介されたのは可愛い感じの女の子だった。
:08/10/31 00:20
:P902iS
:☆☆☆
#556 [果樹]
:08/10/31 00:21
:P902iS
:☆☆☆
#557 [果樹]
当然今日も二人きりだと思っていた俺は小鶴さんが友達をつれてきたのに少し悲しくなった。
なぜなら・・・
なぜなら俺は
この中庭でいろいろなことを話しているうちにいつのまにか小鶴さんのことが好きになっていたから・・・。
:08/11/03 22:04
:P902iS
:☆☆☆
#558 [果樹]
「ごめんね倉橋くん」
申し訳なさそうに謝る小鶴さん。
そのごめんねは何に対しての“ごめんね”なのだろう。
「気にしなくていいよ。麻衣ちゃんも写真撮ったりするの?」
:08/11/03 22:04
:P902iS
:☆☆☆
#559 [果樹]
小鶴さんに気を遣わせてはいけないと思った俺は、友達だという麻衣ちゃんに普通に話しかけた。
――――・・・
「麻衣ちゃんも写真撮ったりするの?」
「あたしは全然!いつもつる子が撮ったのを見せてもらっているだけだよ」
:08/11/03 22:05
:P902iS
:☆☆☆
#560 [果樹]
楽しそうに話す麻衣と倉橋くんの会話がなんだか遠くに感じた。
“麻衣ちゃん”
そう麻衣のことを呼んだ倉橋くんの声が否に耳に残った。
あたしは今でも“小鶴さん”なのに
:08/11/03 22:06
:P902iS
:☆☆☆
#561 [果樹]
「ねーつる子」
「え?あっごめん・・・。聞いてなかった」
いきなり話しを振られて、私は戸惑うことしかできなかった。
「もーだからねぇ・・・」
私に話しかけてくれる麻衣がとても可愛くみえた。
:08/11/03 22:07
:P902iS
:☆☆☆
#562 [果樹]
いつだって明るくて私とは正反対の麻衣。
倉橋くんも麻衣と同じタイプだろう。
私には二人がずっとずっと遠くにいるように思えた。
:08/11/03 22:08
:P902iS
:☆☆☆
#563 [果樹]
「ずっと元気なかったけどどうしたのつる子?」
倉橋くんと別れて、教室に帰る途中の廊下で麻衣が心配そうに聞いてきた。
「なんでもないよ」
私はいつものポーカーフェイスで答える。
:08/11/03 22:09
:P902iS
:☆☆☆
#564 [果樹]
「そう?ならいいんだけど。それにしても倉橋くんて面白いね!話やすいし」
私は上の空で麻衣の言葉を聞いていた。
なんだろう。
胸のあたりがもやもやする。
:08/11/03 22:11
:P902iS
:☆☆☆
#565 [果樹]
――――・・・
「はぁぁぁー」
「なんかあったのか?」
「哲・・・」
深い溜め息をついて机に突っ伏した俺に哲が話しかけてきた。
:08/11/03 22:12
:P902iS
:☆☆☆
#566 [果樹]
「小鶴さんとのあまーいあまーい一時の後に溜め息ってどーなのよ」
苦笑いでいう哲に俺も苦笑いを返す。
「それがさ。今日は二人きりじゃなかったんだ」
「どういうことだ?」
哲の眉間に皺が寄る。
:08/11/03 22:13
:P902iS
:☆☆☆
#567 [果樹]
「小鶴さんの友達が今日はいてさ。結局小鶴さんとあんま話せなかった」
「あーそれで元気がねぇわけだ」
「まぁな」
俺はまた溜め息をつく。
:08/11/03 22:14
:P902iS
:☆☆☆
#568 [果樹]
「小鶴さんは誰にも落ちねぇよ?お前だってわかってんだろ?」
哲の厳しい言葉が心臓に突き刺さる。
「ん・・・」
更に沈んでしまった俺をみて哲が頭をぐしゃぐしゃかきむしり始めた。
:08/11/03 22:14
:P902iS
:☆☆☆
#569 [果樹]
:08/11/03 22:25
:P902iS
:☆☆☆
#570 [果樹]
「あ゙ーーったくしゃーねぇなぁ。明日俺も連れていけ!」
「は!?」
「いーから!明日は俺も連れていけ」
何だかわからない内に哲はついてくることになってしまった。
:08/11/07 23:25
:P902iS
:☆☆☆
#571 [果樹]
――――・・・
「「はじめまして!」」
麻衣と哲くんの声が被った。
私を含めて4人は中庭の芝生の上に丸くって座る。
なんだか日を増ごとに人数が増えている気がするのは私だけだろうか?
:08/11/07 23:25
:P902iS
:☆☆☆
#572 [果樹]
今日の昼休みも麻衣がついていくというので一緒に来た。
それまでは昨日と同じ。
でも中庭にくるとなぜか倉橋くんの隣にも知らない男の子が立っていた。
「はじめまして!倉のダチの哲です。いつも倉が世話になっちゃって」
:08/11/07 23:26
:P902iS
:☆☆☆
#573 [果樹]
私の顔を見るなり倉橋くんの友達だという哲くんは挨拶をしながら私の手をブンブンと握ってきた。
「ごめんね小鶴さん。哲がどーしてもいくってきかなくてさ・・・」
倉橋くんは哲くんの頭を叩いてから私に謝ってきた。
:08/11/07 23:27
:P902iS
:☆☆☆
#574 [果樹]
困った顔の倉橋くん
終始笑顔の哲くんと麻衣
若干呆れ気味な私
なんだかまとまりのない集団だ。
「大丈夫だよ。あたしも麻衣っていうお荷物つれてきちゃってるから」
冗談混じりに言うとすぐに麻衣がほっぺたを膨らませる。
:08/11/08 22:44
:P902iS
:☆☆☆
#575 [果樹]
「お荷物ってなによー!!」
麻衣に怒られる私を見ながら倉橋くんと哲くんは笑っている。
この空間は楽しいのになんでだろう・・・。
胸にぽっかり穴が開いたみたいで物足りない。
:08/11/08 22:45
:P902iS
:☆☆☆
#576 [果樹]
――――・・・
「あ、倉ーわりぃんだけどなんか飲み物買って来てくんねぇ?」
会話の途中哲がいきなりそんなことを口にした。
「は?!なんで俺が?」
「いーじゃーん。お願い倉くんっ」
:08/11/08 22:45
:P902iS
:☆☆☆
#577 [果樹]
「いーやーだ!」
甘えた声でお願いをする哲。
もちろん俺の答えはNOだ。
「うっわ冷たい!倉くんてそーゆう人だったのー?」
「うるさい」
:08/11/08 22:47
:P902iS
:☆☆☆
#578 [果樹]
気持悪いオカマ言葉を使う哲を一喝して俺はそっぽを向く。
「あ・・・あたし行こうか?」
そんな俺と哲の会話の間に小鶴さんの遠慮がちな声が入る。
「え?マジ?じゃあお願いしちゃおうかなー」
:08/11/08 22:48
:P902iS
:☆☆☆
#579 [果樹]
そう言いながらも俺の顔をちらりと見る哲。
合図を送ってるのがまるわかりだ。
「あーわかったよ!俺が行けばいーんだろ?」
「さっすが倉ーおっとこ前ー」
行かせるように仕向けておいてよく言うよ。
:08/11/08 22:50
:P902iS
:☆☆☆
#580 [果樹]
「ったく。何がいんだよ?」
「俺炭酸ー。あとうすしおポテチとガムとチョコもー」
「あっじゃああたしオレンジジュース」
呆れながらも注文を聞くと次々と品物の名前が飛んできた。
:08/11/10 02:28
:P902iS
:☆☆☆
#581 [果樹]
「はいはい。小鶴さんは?」
「え?えっとー・・・」
小鶴さんは考えていなかったのか上を見て考えている。
そんな時哲がいきなりとんでもない言葉を言う。
:08/11/10 02:29
:P902iS
:☆☆☆
#582 [果樹]
「悩んでるんなら小鶴さんも倉と一緒にいってきちゃえば?」
「え?」
驚く小鶴さん。
「その方が選びやすいし」
ニヒッと哲の口元が弧を描く。
あれは何か企んでる時の顔だ。
:08/11/10 02:29
:P902iS
:☆☆☆
#583 [果樹]
「じゃあ・・・行こうかな」
考えた末に小鶴さんと俺が買い出し班になった。
ったく哲のやつ
余計な気を回しやがって・・・。
――――・・・
学校の中にある購買で言われたものを倉橋くんが買っているので私は外で待機になった。
:08/11/10 02:30
:P902iS
:☆☆☆
#584 [果樹]
ピトッ
「冷たっ!」
突然頬にひやっと冷たい物が触れて思わず肩が跳ねる。
「はい。あげる」
隣にはアイスを持った倉橋くんが立っていた。
:08/11/10 02:30
:P902iS
:☆☆☆
#585 [果樹]
「え?」
首を傾げると倉橋くんの口元が弧を描いた。
「買い出し付き合ってくれたお礼。本当は食べたいものとかなかったんでしょ」
「バレてたんだ・・」
思わず苦笑い。
:08/11/10 02:31
:P902iS
:☆☆☆
#586 [果樹]
私は別に食べたいものもなかったし購買で買いたいものもなかったのだ。
「座って食べよっか?」
片手にアイスを持った倉橋くんがベンチを指して言う。
「戻らなくていいの?」
「んー大丈夫だと思う」
:08/11/10 21:19
:P902iS
:☆☆☆
#587 [果樹]
私の問いに少し考える素振りをした倉橋くん。
麻衣と哲くんには悪いけど結局私たちは近くのベンチに座ってアイスを食べることにした。
「なんか久しぶりな感じがするね」
「え?」
:08/11/10 21:20
:P902iS
:☆☆☆
#588 [果樹]
アイスを食べながらいきなりそんなことを口にした倉橋くんの言葉の意図がわからなくて私は首を傾げる。
「こうやって小鶴さんと二人だけで話すのって」
シャクッとアイスを一口噛みながら倉橋くんが言う。
:08/11/10 21:20
:P902iS
:☆☆☆
#589 [果樹]
「そーだね。昨日は麻衣で今日は哲くんがいたもんね」
私は笑いながら言う。
「まぁ楽しいんだけどね」
「でもちょっと寂しいかな・・・」
「え?」
:08/11/10 21:21
:P902iS
:☆☆☆
#590 [果樹]
・・・・・え?え!?
今言ったのあたし?!
私は無意識の内に言ってしまった言葉に戸惑う。
「ご、ごめんっ。今の忘れて!」
「あ、うん・・・」
そこからは何だかお互い気まずくてずっと無言だった。
:08/11/10 21:21
:P902iS
:☆☆☆
#591 [果樹]
――――・・・
「どーだった?」
教室に戻った俺に哲がにやにやと口元を緩めながらきいてきた。
「変な気遣いやがって」
俺は哲をじとって睨む。
「俺は愛のキューピッドをしてやったんだろー。それよりどうだったんだよ」
:08/11/10 21:22
:P902iS
:☆☆☆
#592 [果樹]
「・・・わかんねぇ」
興味津々とばかりに目を輝かせる哲に、俺は片手で頭を抱えて答える。
「は?」
「余計わかんなくなった・・・」
あの言葉にはどういう意味があったんだ・・・?
:08/11/10 21:23
:P902iS
:☆☆☆
#593 [果樹]
――――・・・
「つーる子!倉橋くんていーよねー。気さくだし優しいかっこいいし!言うことなしって感じ」
教室に戻るやいなや麻衣が倉橋くんを誉め始めた。
「そーだねー」
私はそれを聞き流すように適当に答えた。
:08/11/11 06:10
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:☆☆☆
#594 [果樹]
「あれ?不機嫌?もしかしてヤキモチとか?!」
そんな私に麻衣がにやにやと笑って聞いてきた。
私は思わず大きな声が出る。
「ちがうよっ!」
「ふーん。まぁいいけど」
麻衣は私の言葉に適当に受け答えして前を向いてしまった。
:08/11/11 06:11
:P902iS
:☆☆☆
#595 [果樹]
いつもならもっと追求してくるのに。なんだろう。
麻衣の言葉が気になる。
麻衣・・・もしかして倉橋くんのことが・・・?
――――・・・
あと5分早く教室を出てれば
あの時哲たちと一緒に教室をでてれば
こんなことにはならなかったかも。
:08/11/11 06:12
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:☆☆☆
#596 [果樹]
今俺は廊下のど真ん中で立ち往生している。
なぜなら
なぜなら俺の行きたい方向に小鶴さんがいるからだ。
小鶴さんだけならいい。
軽く挨拶をして通りすぎればいいのだから。
:08/11/11 06:12
:P902iS
:☆☆☆
#597 [果樹]
でも俺の目線の先には、小鶴さんと知らない男子生徒(ネクタイの色からして三年)がいる。
二人の様子から察するにたぶん告白の真っ最中。
俺が行きたい理科室までは小鶴さんたちがいる階段を上らなきゃいけない。
:08/11/11 06:13
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:☆☆☆
#598 [果樹]
何くわぬ顔して二人の真横を通るほど神経が図太くない俺は結局廊下で立ち往生するはめになったわけだ。
どーすっかなぁ・・・。
ここにいてもしょうがねぇし。
もう授業も始まるし。
はぁ。と溜め息をつき俺は廊下に座り込む。
:08/11/11 06:13
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:☆☆☆
#599 [果樹]
階段の方からは二人の会話がちょくちょく聞こえてくる。
なんか盗み聞きしてるみたいでしのびない。
しょうがねぇ。
4限はサボるか。
決心をして立ち上がった俺は本日二度目の大失態を侵す。
:08/11/11 06:15
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:☆☆☆
#600 [果樹]
:08/11/11 06:17
:P902iS
:☆☆☆
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