双子の秘密
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#640 [ゆーちん]
斗美は、高校を辞めた。
なぜなら、もうすぐ母親になるからだ。
「よっこいしょ。」
椅子から立ち上がるのも大きなお腹のせいで一苦労らしい。
「おばさんみたいな事言わないでよ。」
「だってさー、腰とか超〜痛いんだもん。」
:08/12/11 14:36 :SH901iC :uyR.lwfs
#641 [ゆーちん]
もうすぐおばあちゃんになる、私たち双子の母は言った。
「双子だと人の倍、大変よ。」
そう、どうやら斗美のお腹には双子が宿っているらしい。
「あ、斗羽さぁ、あのチョコケーキまずかったよ。」
作りすぎたので、残りをテーブルに置いてあったのだ。
:08/12/11 14:38 :SH901iC :uyR.lwfs
#642 [ゆーちん]
「え、じゃあマジで犬行きかもだ。」
「何が?」
「まずかったら犬にやるって聡志が。」
「犬もいらないって言うかもよ?甘すぎだよ、アレ。」
「ママに教わった通りにしたんだけどなぁ。」
:08/12/11 14:38 :SH901iC :uyR.lwfs
#643 [ゆーちん]
そんな事を言って過ごしながら、リビングでテレビを見た。
ママはお風呂。
パパはまだ仕事。
リビングには久しぶりに斗美と二人っきり。
「斗美。」
「ん?」
「赤ちゃん、楽しみ?」
:08/12/11 14:39 :SH901iC :uyR.lwfs
#644 [ゆーちん]
「楽しみだよ。ちょっと怖いけどね。」
「そっかぁ。やっぱり楽しみなんだ。」
「斗羽もいつかわかるよ。」
「私は妊婦にはいい思い出ないから。」
そう言いながらも、私の手は斗美のお腹を撫でていた。
「何?」
「不倫相手の奥さんは妊娠中だったんだよね。」
「やっぱ不倫してたんだ。」
:08/12/11 14:39 :SH901iC :uyR.lwfs
#645 [ゆーちん]
昔、斗美にそんな話したもんね。
不倫とか浮気の相談。
やっぱり気付いてたか。
「1年ぐらい前に。前のカフェのバイト先の人。」
「じゃあうちの旦那も不倫しないか、注意しないとなー。」
「亮治さんなら大丈夫だよ。あの人は不倫なんかしない。」
:08/12/11 14:40 :SH901iC :uyR.lwfs
#646 [ゆーちん]
「そう?経験者に言われると説得力あるな。」
「不倫と浮気なら任せて。」
「アハッ。バカだ。」
斗美と、こんな風に過ごせるなんて思わなかった。
私も成長したし、斗美も成長したんだ。
:08/12/11 14:41 :SH901iC :uyR.lwfs
#647 [ゆーちん]
「聡志がいなかったら私、今もまだドン底だったのかも。」
「そうかもねー。」
「寄り道したけど、聡志がいてよかった。」
「大切にしなよー。聡志いい奴じゃん。」
「うん。」
双子の姉と、恋愛の話をするという事は私たちは変わったんだ。
:08/12/11 14:43 :SH901iC :uyR.lwfs
#648 [ゆーちん]
険悪だった関係から、生まれ変わった。
双子って、ライバルだと思う。
ライバルだから、嫌いにもなるし好きにもなる。
険悪にもなれば、仲直りもする。
家族って、キョウダイって、双子って、そういう物だよ。
:08/12/11 14:43 :SH901iC :uyR.lwfs
#649 [ゆーちん]
確かに比べられるのは嫌だけど、仕方ないもん。
顔は同じでも、私と斗美は違うんだから。
比べられるのが嫌だと思っていた昔の自分は、本当に子供だったんだなって思う。
もうすぐ生まれる斗美の子供たちも、きっと張り合うんだろうな。
:08/12/11 14:44 :SH901iC :uyR.lwfs
#650 [ゆーちん]
姪か甥かはわかんないけど、もし子供たちが張り合ったり喧嘩した時、私は双子の先輩として教えてあげよう。
うんと相手を嫌いになりなよ、って。
嫌いになるから、いいところも見えてくるの。
私は最近、やっと斗美の好きなところ、見つける事ができたかもしれないの。
:08/12/11 14:45 :SH901iC :uyR.lwfs
#651 [ゆーちん]
あと教えてあげられる事は…秘密を持ってもいいけど、ほどほどにしとけって事かな。
私は、不倫や浮気をして良かったと思ってる。
いや、悪い事だけど…成長できたと思うもん。
園田さんは今もあのカフェで働いている。
元気な子供が生まれているだろう。
立派なパパになってるといいな。
:08/12/11 14:45 :SH901iC :uyR.lwfs
#652 [我輩は匿名である]
:08/12/11 14:46 :W53T :qRZvfggc
#653 [ゆーちん]
太一くんは、恵と仲良くやってるみたい。
恵からよくラブラブ話を聞かされる。
太一くんも一時の火遊び程度にしか思ってないんだろうな。
別にそれでいい。
その方がいい。
:08/12/11 14:46 :SH901iC :uyR.lwfs
#654 [ゆーちん]
私には聡志がいるんだから。
「あ、メールだ。」
噂をすれば聡志から。
《ケーキ甘すぎ!でも美味しかったよ。ありがと。俺1人で食べたから。》
「斗羽、顔ニヤけてる。キモい。ウザイ。」
:08/12/11 14:48 :SH901iC :uyR.lwfs
#655 [ゆーちん]
斗美からの嫌味も気にならない。
「だって聡志優しいんだもん。」
「いいね。亮ちゃんは今ごろ見知らぬ女にチョコレートでも貰ってるのかなー。」
そう言った斗美は、なぜか余裕たっぷりだった。
:08/12/11 14:49 :SH901iC :uyR.lwfs
#656 [ゆーちん]
「パパ浮気中かもよ〜。」
そう言いながらお腹をさすってあげると、『悪いパパには、帰ってきたらお仕置きだねー。』と笑っていた。
愛されてる自信があるんだろうな。
:08/12/11 14:50 :SH901iC :uyR.lwfs
#657 [ゆーちん]
「ねぇ。」
「ん?」
「元気な双子生みなよ。」
「任せてよ。」
こうして笑い合う事ができるのは、私たちは双子っていう素敵なキョウダイだからだ。
END
:08/12/11 14:51 :SH901iC :uyR.lwfs
#658 [ゆーちん]
◆◇◆◇◆◇◆
あとがき
◆◇◆◇◆◇◆
:08/12/11 14:52 :SH901iC :uyR.lwfs
#659 [ゆーちん]
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は双子をテーマにしてみました。
難しかったです(-.-;)
二人を平等に主役にしようと思ってたんですが、姉の斗美のほうがページ数も多いし、書きやすかったので不平等になってしまいました(T_T)
計画性がないのかな。笑
:08/12/11 14:52 :SH901iC :uyR.lwfs
#660 [ゆーちん]
途中から二人の思考が逆転していくのに気付いてもらえましたか?
斗美は一途に、斗羽は複数の恋に。
誰だって変わる事のできる生き物だって知って欲しくて、こういう風な感じにしました。
:08/12/11 14:53 :SH901iC :uyR.lwfs
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