冷たい彼女〔続編〕
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#301 [ゆーちん]
このまま続けてもいいのか。
それとも我慢するか。
迷う俺に答えをくれたのは、他の誰でもなく、白い素肌をさらけ出している俺の彼女だった。
:09/02/05 12:28
:SH901iC
:YIV4zkBU
#302 [ゆーちん]
「続き、してよ。」
『いいの?』と聞くと、小さく頷いた凜。
「高校入って、まだ1度もしてないじゃん。」
うん、そう。
もう何ヶ月もキス以上の事はしていない。
:09/02/05 12:28
:SH901iC
:YIV4zkBU
#303 [ゆーちん]
高校入ってから、何だか凜を抱くのが怖かったんだ。
一気に色っぽくなった凜ちゃんを俺ごときが抱いていいのか?的な…ただのヘタレだ。
:09/02/05 12:29
:SH901iC
:YIV4zkBU
#304 [ゆーちん]
最初は別に、SEXなんかしなくても幸せだった。
凜さえいればいい。
でもやっぱ…男だし。
ヤりたくなるよ。
そのたびに怖くなる。
:09/02/05 12:30
:SH901iC
:YIV4zkBU
#305 [ゆーちん]
俺は凜にふさわしいのか、って。
もっと男らしくなんなきゃいけないんじゃないか、って。
そんな時、めちゃめちゃカッコイイ剛さんに出会い、すっげぇ感動した。
:09/02/05 12:30
:SH901iC
:YIV4zkBU
#306 [ゆーちん]
俺も剛さんみたいなカッコイイ男になりたい。
なれるかな。
いや、なってみせる!
話はそれたけど…本当に続きしちゃっていいの?
「俺、根性なしだから。」
「知ってる。でも、私を抱く根性ぐらいは持っててよ。」
:09/02/05 12:31
:SH901iC
:YIV4zkBU
#307 [ゆーちん]
凜の手が、俺の頬に触れた。
「私は心に抱かれたくて仕方なかったのに。」
ドストラーイク。
そういう言葉は笑顔で言ってくださいよ杉浦さん。
「そんな嬉しい事…俺、照れるわ。」
「好きな人とエッチしたいって思うのは当たり前でしょ?だから続き、して。」
:09/02/05 12:32
:SH901iC
:YIV4zkBU
#308 [ゆーちん]
止まらなかった。
暴走だよ、暴走。
朝っぱらから、俺ら元気だよな。
ベットが揺れ動くたび、感情も揺れ動く。
可愛い、気持ち良い、好き、綺麗、最高…みたいなね。
:09/02/05 12:33
:SH901iC
:YIV4zkBU
#309 [ゆーちん]
「心…ヤッ…っ…ンンッ。」
眉間にシワを寄せ、もがく凜。
しばらくするとシワが消え、体の力が抜けたのがわかった。
その後すぐに俺も果てた。
:09/02/05 12:34
:SH901iC
:YIV4zkBU
#310 [ゆーちん]
久しぶりのSEXは、たまらなく気持ち良かった。
朝から汗をかくなんて、普通なら嫌なのに、この運動のせいで出た汗は嫌じゃない。
お互いシャワーを浴びてから朝ごはんを食べた。
:09/02/05 12:34
:SH901iC
:YIV4zkBU
#311 [ゆーちん]
疲れるのかと思ったけど、妙に穏やかに過ごせた。
凜の機嫌もいい。
俺がバイトに行く前、いってらっしゃいのキスまでプレゼントしてくれたぐらいだから。
:09/02/05 12:35
:SH901iC
:YIV4zkBU
#312 [ゆーちん]
:09/02/05 12:35
:SH901iC
:YIV4zkBU
#313 [ゆーちん]
○●○●○●○

里帰り
○●○●○●○
:09/02/06 11:32
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#314 [ゆーちん]
ついにこの日が来た。
フェリーから降りて来る美少女!
「凜ちゃーん!」
キャリーバックを転がしながら、こっちに向かって歩いて来るワンピースの少女。
:09/02/06 11:32
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#315 [ゆーちん]
「おぉ!心、わざわざ私の出迎え?ご苦労だね。」
…出たよ。
ワンピース美少女の後ろから、ひょっこり現れたのはタンクトップに短パン女。
西山香奈さん。
:09/02/06 11:33
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#316 [ゆーちん]
「俺は凜ちゃんを迎えに来たのー。香奈なんか興味なし。」
「しばらく見ない間に生意気になったね。佐奈ちゃんの車の下敷きになればいいのに。」
:09/02/06 11:33
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#317 [ゆーちん]
あぁ、そういえば佐奈と香奈も一緒に帰って来てんだっけ。
忘れてた。
俺の頭の中は凜の里帰りの事しか考えてなかったから。
西山姉妹の帰省は正直…いや、言わないでおこう。
殺されたくないもん。
:09/02/06 11:34
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#318 [ゆーちん]
「で、その佐奈ちゃんは?」
「駐車場で待ってるって。凜、行こ。」
フェリーは、人だけではなく自転車や自動車も移動可能。
:09/02/06 11:35
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#319 [ゆーちん]
佐奈は自分の車まで持って帰って来たみたい。
帰省中、島で暴走でもするつもりですか?
やめてよね。
静かな島が一気に騒がしくなるお盆の始まりなんて、考えたくもないよ。
:09/02/06 11:36
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#320 [ゆーちん]
凜の荷物だけ運ぶつもりが、なぜか香奈の荷物まで運ぶ羽目に。
コロコロと2つの鞄のタイヤを転がしながら駐車場まで引っ張った。
「あ、いた。」
香奈が指さす先には見覚えのある車が。
:09/02/06 11:37
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#321 [ゆーちん]
あのうるさくて賑やかな車じゃ、この島で確実に浮く。
持ち主と同じだ。
佐奈も香奈も、この島じゃ浮いていた。
ちょっと派手派手しい格好をしてたばっかりに、周りに怖がられたり、変な目で見られたり。
:09/02/06 11:37
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#322 [ゆーちん]
別に見た目くらい何でもいいじゃんね。
大事なのは中身だよ。
って、凜に一目惚れだった俺が言うなって?
:09/02/06 11:38
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#323 [ゆーちん]
「佐奈ちゃん、元気〜?」
「あ、心?何でいんの。」
大事なのは、中身。
中身だよ、中身。
「凜ちゃんと西山姉妹のお出迎えに決まってんじゃん。」
「はぁ?んなバレバレな嘘つくなよ。どうせ私と香奈なんか眼中になかったくせに。」
:09/02/06 11:40
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#324 [ゆーちん]
「えっ…バレた?」
「ひき逃げするぞ、ハゲ。」
怖いけど、大事なのは中身の中身なんだよ。
うん。
中身の中身がいいから、俺は何だかんだで西山姉妹が好き…なのかな。
認めたくないけど。
:09/02/06 11:41
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#325 [ゆーちん]
香奈は助手席、凜は後部座席へと乗り込む。
俺も後部座席に乗り込もうとしたら…
「心の乗る場所ないよ?」
佐奈の車の定員は4人まで。
じゃあ俺も乗れるじゃん。
:09/02/06 12:09
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#326 [ゆーちん]
「何で?」
すると佐奈は後部座席を指さした。
凜の隣を覗き込む。
…乗れない理由がわかりました。
:09/02/06 12:10
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#327 [ゆーちん]
「家出っすか?」
「ただの里帰りだっつーの!」
「里帰りの荷物の量じゃないだろ、これ。」
凜の隣には、無造作に積まれた荷物荷物荷物。
:09/02/06 12:10
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#328 [ゆーちん]
よくもまぁここまで荷物を積めるなってぐらい。
「女は何かと必要なんだよ。」
「あぁ、そうですか。」
渋々、俺は佐奈ちゃんの車を見送った。
せっかく迎え来たのに凜も車乗ってっちゃうんだもんなー。
:09/02/06 12:13
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#329 [ゆーちん]
俺は太陽に励まされながら、家までの道をのんびり歩いた。
こんな事なら自転車で来ればよかった、と後悔しながらね。
:09/02/06 12:14
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#330 [ゆーちん]
寄り道せず杉浦家まで足を進めた。
「凜ちゃーん。」
玄関は開いたまま。
ふと足元を見ると、かわいらしいサンダルが脱ぎ揃えられていた。
:09/02/06 12:17
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#331 [ゆーちん]
「あぁ、やっと来たの。」
二階から降りて来た凜は俺を見て、そう呟いた。
「片付け終わった?」
「うん、まぁ。片付けって言う程荷物ないし。」
「あ、そっか。佐奈ちゃんの荷物見た後だから、どうも感覚が。」
:09/02/06 12:17
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#332 [ゆーちん]
「あの姉妹の荷物は私もビックリした。」
凜が笑った。
夏の暑さも忘れちゃうような涼しい笑顔のせいで、俺の心臓は締め付けられっぱなし。
:09/02/06 12:18
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#333 [ゆーちん]
「散歩でも行こっか。」
「いいよ。」
今日は自転車なし。
のんびりとしたこの島を、のんびりとした足取りで歩いた。
凜は日焼け対策として日影を選んで歩く。
日なたに引きずり出してやろうかと思ったけど、そんな事して嫌われちゃやだもん。
:09/02/06 12:19
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#334 [ゆーちん]
「凜ちゃんカレーライスはいつ作ってくれんの?」
「んー、そのうち。」
「明日作って?」
「明日は澪たちと遊ぶからダメ。」
「ちぇーっ。」
:09/02/06 12:19
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#335 [ゆーちん]
「そんなに食べたいんだったらママに作ってもらいなってば。」
「マザコンキャラ定着っすか?」
「へへッ…」
:09/02/06 12:20
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#336 [ゆーちん]
俺達は自然と海に向いて進んでいた。
観光客や島の奴らが楽しそうに泳いでいる。
見慣れた光景。
「心、あっち座ろう。」
「ん。」
凜が指さした先は、やっぱり日影。
ちょっと人込みから外れた場所だったので、二人っきりという雰囲気に何だかドキドキさせられる。
:09/02/06 12:21
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#337 [ゆーちん]
海を眺めながら何をするわけもなく、ぼーっとしたり、話したい事を話したり。
やっぱりこの島が1番。
のんびりできて、羽根伸ばせて、安らげて。
それに…
:09/02/06 12:22
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#338 [ゆーちん]
「凜ちゃーん。」
「ん?」
「チューしようよ。」
「やだよ。すぐそこに人いるし。」
「バレないって。」
「変たっ‥」
好きな人が隣にいて。
海で騒ぎ回る人達に隠れながらしたキスは、子供の笑い声がBGM。
:09/02/06 12:22
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#339 [ゆーちん]
唇が離れると『バカ心。』と言って、笑ってた。
「凜ちゃんとチューできんなら、バカでも変態でも何だっていいもぉん。」
そんな俺を嘲笑った凜。
ちょっとばかり、顔が赤くなってた気がする。
本当、可愛い。
:09/02/06 12:23
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#340 [ゆーちん]
次に凜と会ったのは2日後だった。
バイトに行く為、フェリー乗り場にいた時。
「心!」
見覚えのある白いワンピース姿の凜。
「凜ちゃん!偶然だね。」
「今からバイト?」
「そうだよ。凜ちゃんは?本島に行くの?」
:09/02/06 13:18
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#341 [ゆーちん]
「ううん。」
凜の表情が少し変わったのがわかった。
「どうしたの?」
「親が、来るの。」
「えーっ!」
つい、叫んでしまった。
それほど驚く出来事なんだ。
海外を忙しく飛び回る凜の親が来るって事は。
:09/02/06 13:19
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#342 [ゆーちん]
卒業式や入学式にも出席できない程、忙しいみたいなのに…。
「よかったね。それで凜ちゃんはお迎えに来たって訳?」
「うん。」
「そっか。会うの久しぶりなんじゃない?」
「一年以上会ってないからちょっと緊張しちゃう。」
:09/02/06 13:20
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#343 [ゆーちん]
困った表情の凜を見て、悲しくなった。
親と久しぶりに会えるのに、嬉しくないのかなって。
「大丈夫、大丈夫。元気な姿見せてあげなよ〜?」
:09/02/06 13:21
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#344 [ゆーちん]
「うん。心の事、機会があったら言うつもりだから。」
「俺の事?」
「彼氏だよ、って。」
:09/02/06 13:21
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#345 [ゆーちん]
さっきまで悲しんでたくせに、その言葉で有頂天になってる俺。
「えへへ〜。」
「そのデレデレした顔やめて。気持ち悪いから。」
早めに家を出て来てよかった。
フェリーの時間までまだ少しある。
こんなところで凜に会えるなんて思ってなかったから、すっげぇ得した気分。
:09/02/06 13:22
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#346 [ゆーちん]
1秒でも長く話したいって思ってしまう。
「ごめんちょ。つーか、昨日楽しかった?澪と遊んだんだろ?」
「あぁ…うん。まぁ。」
今日の凜の顔は忙しい。
コロコロと変わってく表情。
:09/02/06 13:24
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#347 [ゆーちん]
「楽しくなかったの?」
「んー…色々あって。」
「どうしたの?」
「女の悩みってやつ。ごめん、心にも言えない。」
「あら残念。」
「ごめんね?」
「ううん、別にいいよ。女の子も大変だね〜。」
「うん…大変だよ。」
:09/02/06 13:24
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#348 [ゆーちん]
時間も気になるし、凜も気になるし…。
キョロキョロする俺に、凜は言った。
「明日の夜会える?」
「うん。でもバイトだから遅くになるよ。」
「それでもいい。」
凜から誘ってくれるなんてさ、顔が自然に緩んでしまう。
:09/02/06 13:25
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#349 [ゆーちん]
凜の顔だけじゃなく、俺の顔も忙しいや。
「また連絡する。」
「うん。ご両親によろしく。いってきます!」
「いってらっしゃい。」
凜に見送られてバイトに行くのは、なかなか気分がいい。
調度すれ違う時間だったので、凜の両親には会えなかったけど、願わくば今夜は家族団欒楽しく過ごして欲しいと思った。
:09/02/06 13:27
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#350 [ゆーちん]
翌日の夜、バイトが終わると同時に凜から連絡が入り、約束通り会う事になった。
本島から帰って来た俺を出迎えてくれた凜。
「おかえり。」
「ただいま凜ちゃん!」
抱き着きたくなったけど、我慢。
手を繋いでそのまま海辺まで歩いた。
:09/02/06 13:28
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#351 [ゆーちん]
「今日の夕方、お父さんとお母さん帰ったよ。」
「もう?一日しか居れなかったんだ。」
「忙しいみたいだから。」
「楽しかった?」
「んー、普通。」
「そ。普通が1番だよ。」
「…変態の心にそんな事言われても説得力ない。」
:09/02/06 13:29
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#352 [ゆーちん]
日中は賑わう海辺も、夜は驚くぐらい静かになる。
民宿などないこの島は日帰りで海に遊びに来る観光客がほとんどだから。
そんな静かな海に、凜と俺の笑い声が響く。
波音も混ざって、すごく心地いい。
:09/02/06 13:29
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#353 [ゆーちん]
「久しぶりに会ったのに、緊張ってゆーか…変に遠慮とかしてぎこちなかったなぁ。」
凜はいきなり反省会を開き出した。
「そうなんだ。」
「心の事、結局紹介できなかった。」
「また次でいいよ。」
「次?次いつ会えるかわかんないんだよ?また1年後かもしんないし…それまで別れないで一緒にいられる?」
:09/02/06 13:31
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#354 [ゆーちん]
凜が意地悪な顔で笑った。
「俺は凜ちゃんと同じ墓に入るつもりだから。」
「ふーん…あっそ。」
これが凜の愛情表現。
:09/02/06 13:32
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#355 [ゆーちん]
ちょっと突き放す言葉を言い、俺は縋り付く言葉を返す。
そして凜は笑う。
それが彼女の愛情表現なんだと俺は思っていた。
ちょっと難しい女の子だけど、それがたまらなく俺のツボ。
本当、凜以外の女なんか考えらんねぇもん。
:09/02/06 13:33
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#356 [ゆーちん]
「私は、お父さんとお母さんに、たった一年会ってないだけ。でもお父さんとおじいちゃん達はもっと会ってない訳じゃん。」
「うん、まぁ。」
今まで凜を連れて里帰りをしなかった話を聞くと、少なくとも十年以上は会ってなかったのかもしれない。
:09/02/06 13:34
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#357 [ゆーちん]
「なのに普通なの。すっごく自然。私が変に緊張しすぎちゃってたのかも。」
「そっかぁ。でもまぁ仕方ないよ。」
「仕方ないのかな。3人で住んでた頃、どんな風に接してたのか思い出せなくて。私、変かな?」
:09/02/06 13:34
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#358 [ゆーちん]
「全然。そんな緊張とかしちゃうのも含めて凜ちゃんなんだから。ご両親は気にしてないよ、きっと。久しぶりに娘に会えて喜んでただろ?」
「うん、まぁ喜んでたけど…。」
「じゃあ気にしない、気にしない!」
:09/02/06 13:35
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#359 [ゆーちん]
珍しくクヨクヨしている凜を見て、勝手に体が動いてた。
小さな凜の肩を抱きしめている俺の左手。
凜も嫌がらず俺にもたれ掛かってくれている。
「今日きっとヘコむんだろうと思って昨日のうちから心と会う約束したの。正解だね、見事にヘコんじゃったよ。心のバカヅラ見て充電しないと。」
:09/02/06 13:41
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#360 [ゆーちん]
親とぎこちなくなったりするのも、若さの特権だとか思わない?
同じ歳の親が言うのも変だけど思春期ってやつじゃないのかな。
いつか笑って話せる日が来ますようにと俺は願った。
:09/02/06 13:42
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#361 [ゆーちん]
●○●○●○●
お知らせもあるので
感想板覗いてみて
下さいm(__)m
>>2●○●○●○●
:09/02/06 13:43
:SH901iC
:ML7ZPUMw
#362 [我輩は匿名である]
:09/02/06 20:35
:N906imyu
:wPzLyXME
#363 [我輩は匿名である]
:09/02/06 21:47
:W45T
:wb.nVjyY
#364 [我輩は匿名である]
頑張ってください!★
:09/02/12 11:44
:D905i
:aYuFz4ys
#365 [我輩は匿名である]
かいてー
:09/02/12 22:19
:N903i
:☆☆☆
#366 [ゆーちん]
●○●○●○●
お待たせしました

少しずつですが
更新します

●○●○●○●
:09/02/14 23:27
:SH901iC
:ziY6sleA
#367 [ゆーちん]
○●○●○●○

女の悩み
○●○●○●○
:09/02/14 23:37
:SH901iC
:ziY6sleA
#368 [ゆーちん]
8月も残りわずか。
凜は夏休みが終わるまで島で過ごすらしく、俺はめちゃめちゃ嬉しかった。
そんな凜ちゃんと一緒に昼ご飯をトメ食堂で食べていると、トメばあちゃんが呟いた。
:09/02/14 23:38
:SH901iC
:ziY6sleA
#369 [ゆーちん]
「騒がしいのが来るな。」
俺は答えた。
「来るよ。とんでもない台風が。」
車の騒音が聞こえる。
お年寄りのトメばあちゃんでも聞こえるくらい、うるさい車。
そんな車で騒ぎ立てているのは、この島であの人しかいない。
:09/02/14 23:39
:SH901iC
:ziY6sleA
#370 [ゆーちん]
「トメばあちゃ〜んっ!」
勢いよく扉を開けて入って来た台風こと、佐奈ちゃん。
その後ろから、香奈も入って来た。
「佐奈かぁ?」
「そうだよ、ばあちゃん!私のこと忘れちゃった?」
:09/02/14 23:39
:SH901iC
:ziY6sleA
#371 [ゆーちん]
「長い事見てねぇから忘れたわ。」
「ひどいよばあちゃん。昔は毎日ここ来てたのに。」
佐奈とばあちゃんが話に花を咲かせている間、香奈は俺たちのテーブルに座って他愛もない話をする。
「あ、そうそう。私と佐奈ちゃん、今日フェリーで本島帰るよ。凜は夏休み終わるまでいるんでしょ?」
:09/02/14 23:40
:SH901iC
:ziY6sleA
#372 [ゆーちん]
たまらなくハッピーな気分。
うるさい姉妹が本島に帰る。
つまり平和になる。
イコール凜ちゃんにいちゃつける!
なーんて頭の中をピンク色にしていると、何かに感づいた佐奈は俺の頭を殴りに来た。
:09/02/15 09:30
:SH901iC
:7e12d.8w
#373 [ゆーちん]
「私達いないからって凜ちゃんに変な事すんじゃないよ。」
「いってぇ!佐奈ちゃんいつのまに来たの。今の今までばあちゃんと喋ってたじゃん。」
「お前が鼻の下伸ばしてる間に来たんだよバカ!」
もう一発殴り終えると、佐奈ちゃんも俺の隣に座った。
:09/02/15 09:31
:SH901iC
:7e12d.8w
#374 [ゆーちん]
「それより、澪はどうなったの?」
佐奈は漬け物を食べながら、凜と香奈に行った。
すると2人の表情が一転。
香奈は目が大きくなった。
「佐奈ちゃん!」
「え?」
:09/02/15 09:33
:SH901iC
:7e12d.8w
#375 [ゆーちん]
「心、いるから。」
凜が気まずそうに佐奈に言う。
「あっ…そういう事。ごめん。」
佐奈も感づいたらしく急にしおらしくなった。
何とも気になるやり取り。
:09/02/15 09:33
:SH901iC
:7e12d.8w
#376 [ゆーちん]
「…俺、邪魔?」
そう言うと3人共『そうだよ。』って目で俺を見るんだもん。
へこむよね。
「外で待ってるよ。」
:09/02/15 09:34
:SH901iC
:7e12d.8w
#377 [ゆーちん]
自ら席を立とうとした時、急に服の裾に体重がかかった。
「へ?」
真面目な顔をした佐奈が、引っ張っていたのだ。
「心、即答しろよ?」
「はぁ?」
俺に考える隙を与えない間に、佐奈の質問が飛んで来た。
:09/02/15 09:36
:SH901iC
:7e12d.8w
#378 [ゆーちん]
「凜ちゃんに子供ができたって言ったら、心どうする?」
「…ほえ?」
「妊娠3ヵ月。どうする?」
凜の方を見たが、いつもの冷たい表情だった。
「…ほっ、本当に?どどどうしよ…えっ、妊娠?俺パパ?えぇーっ!」
:09/02/15 09:37
:SH901iC
:7e12d.8w
#379 [ゆーちん]
頭の中で色んな場面が流れた。
凜と出会った日から、キスをした日、初めてSEXした日、笑った日、泣いた日…。
てゆーかパニック状態で何がなんだか。
「心は、赤ちゃんできたって言われたら嬉しい?」
「うっ、嬉しいよ!当たり前じゃん。でも現実的に考えればラーメン屋のバイトじゃ凜ちゃんと赤ちゃん養えないね。学校辞めて就活するしかないのか…。」
:09/02/15 09:38
:SH901iC
:7e12d.8w
#380 [ゆーちん]
佐奈が真面目に質問するから、真面目に考えたのに…。
「フフッ。」
凜が笑った。
「え?」
:09/02/15 09:39
:SH901iC
:7e12d.8w
#381 [ゆーちん]
笑っている凜の肩をポンポンと叩いた香奈が言った。
「単純なんだね、凜さんの彼氏。」
ん?
「心、よく言った。あんたは合格。」
なぜか佐奈から合格を頂いた。
「何?どういう意味?」
「心、ごめん。ちょっと男の反応ってのを見てみたくて、試したの。」
:09/02/15 09:39
:SH901iC
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#382 [ゆーちん]
佐奈の言ってる意味がさーっぱりわからない。
「試した?」
「世の中の男がみんな、あんたぐらい素直だったらいいのにな。」
「佐奈ちゃん、俺よくわかんないんだけど…」
:09/02/15 09:40
:SH901iC
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#383 [ゆーちん]
すると凜は言った。
「よく考えてみなよ。3ヵ月前、私とSEXした?」
7月、6月、5月…。
「あっ、してない。」
「SEXしてなきゃ妊娠もしてないよ。」
「へ?妊娠してないって…えっ、嘘?冗談なの?」
:09/02/15 09:41
:SH901iC
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#384 [ゆーちん]
やっと気付いたか、と香奈は大笑いしていた。
何、俺騙されたの?
テンション上がり損?
「嘘なの?ねぇ、妊娠してないの?」
「うん。佐奈ちゃんが言ったでしょ?男の反応ってのを試したって。」
「何それ〜。俺すっげぇ興奮したのにぃ。凜ちゃんのウエディングドレスまで想像しちゃったよ!」
:09/02/15 09:41
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#385 [ゆーちん]
と、まぁ拍子抜けした俺。
そんな俺に佐奈は言った。
「澪の彼氏は、心みたいに喜ばなかったんだ。だから中絶も考えてる。でも産みたい気持ちもある。心が言ったように現実的に考えると金銭的に苦しい。命が関わってる事だからさ、澪も悩んでるんだよ。」
:09/02/15 09:42
:SH901iC
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#386 [ゆーちん]
あっさり言い終わった佐奈は、また漬け物を頬張る。
俺が理解するのに、佐奈は漬け物を3度口に運んだ。
「澪、妊娠したの?」
「理解するの遅い。バカ。」
やっと理解できたのに、佐奈に叱られた。
:09/02/15 09:43
:SH901iC
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#387 [ゆーちん]
「とりあえず澪は島の女にしか相談してないから、心は知らないフリしてなよ。心に言うつもり無かったけど、隠し事って私苦手でさぁ…」
あぁ、昔からそう。
佐奈に内緒話だよって言ったはずの話が次の日には流出。
:09/02/15 09:44
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#388 [ゆーちん]
剛さんの時といい、隠し事が嫌いなようだ。
「私は隠し事が嫌いって澪もわかって相談したんだろうし、まぁ心に知られたところで澪は困ったりしないでしょ。島の人間だし。あっ、でもまだ竜や大輝にも言っちゃダメだからね。」
:09/02/15 09:45
:SH901iC
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#389 [ゆーちん]
一気に言い終わった佐奈。
漬け物もからっぽになり、佐奈は席を立った。
「私ちょっと澪んとこ行って来るわ。」
「じゃあ私も行く。」
そう言って香奈も立ち上がった。
西山姉妹はトメばあちゃんに挨拶して、食堂から出て行った。
:09/02/15 09:46
:SH901iC
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#390 [ゆーちん]
台風が過ぎ去った気分。
「凜ちゃん詳しく教えてくれる?」
「聞かれると思った。」
苦笑いした凜も立ち上がり、昼ご飯代をトメばあちゃんに支払い、食堂の外に出た。
:09/02/15 09:47
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#391 [ゆーちん]
俺も慌てて凜を追い掛け、外に出る。
たまらなく熱い日差しが襲って来た。
:09/02/15 09:48
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#392 [ゆーちん]
「今日は心の家に行きたいなぁ。」
「うん、いいよ。それより聞きたい事だらけなんだけど。」
「家についたら話すよ。」
「…うん。」
日影を歩く凜。
その隣を歩く俺。
:09/02/15 10:32
:SH901iC
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#393 [ゆーちん]
「で、本当に妊娠してないの?」
「してない。」
「…なんか、つまんないの。」
:09/02/15 10:33
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#394 [ゆーちん]
台風のような姉妹がなぜ食堂に来たのかが未だにわからない。
そんな中、俺の家につくともう一つの台風がいる事に気付いた。
「凜ちゃーん!いらっしゃい!」
ハイテンションママ。
「お久しぶりです。」
:09/02/15 10:34
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#395 [ゆーちん]
「お盆に帰って来てたんですって?全然遊びに来てくれないから、心に愛想尽きたのかと思ってたの。」
「ちょっと忙しくて、なかなか来れなかったんです。すみません。」
「ううん!うちのバカ息子の世話をしてくれているってだけでも感謝しきれないのに、凜ちゃんが謝る事ないのよぉ。」
:09/02/15 10:36
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#396 [ゆーちん]
何でうちの母ちゃんは凜を見ると、こんなに元気になるわけ?
勘弁してください。
「どうぞゆっくりして行ってね。そうだ!夕ご飯食べてく?今日の江森家のメニューはカレーライス。」
思わず2人で笑ってしまった。
母ちゃんは何の事かわからず、不思議そうな顔をしていた。
:09/02/15 18:05
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#397 [ゆーちん]
そりゃそうだ。
カレーライスで吹き出すなんて、俺と凜にしかわからない冗談だからね。
「あら?凜ちゃん、カレーライス嫌い?」
「いえ、大好きです。」
「じゃあ一緒に夕ご飯食べましょ?」
「はい、是非。」
:09/02/15 18:06
:SH901iC
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#398 [ゆーちん]
「夕ご飯いらない、って凜ちゃん家には、おばちゃんが電話しておいてあげる。」
「色々とすみません。」
「いいのよ!それじゃあ夕ご飯までゆっくりしてってね。」
「ありがとうございます。」
母ちゃんと凜の会話、終了。
:09/02/15 18:07
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#399 [ゆーちん]
凜は俺の部屋に入った途端、声を出して笑った。
「タイミング良すぎだよ、心のお母さんっ!」
「まさかカレーライスとはねぇ。」
しばらくカレーライスネタで笑っていると、凜は扇風機の前に座って、さっきの話しを詳しく教えてくれた。
:09/02/15 18:08
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#400 [ゆーちん]
佐奈が言ってた内容とさほど変わらなかったけど、凜が丁寧に教えてくれたおかげで、やっと理解できた。
澪は妊娠3ヵ月。
彼氏は出産に反対だが、澪は産みたい。
だけどお金や将来を考えると不安だらけ。
:09/02/15 18:17
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#401 [ゆーちん]
同級生だけではなく、佐奈という姉ちゃん的存在の人にも相談したが、なかなか決断できずにいる。
「誰にもチクったりしないって信じてるから、佐奈ちゃんも心に話したんだと思うよ。」
チクんないよ、当たり前じゃん。
:09/02/16 11:43
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