らぶずっきゅん!!!!
最新 最初 全 
#1 [七瀬]
やわらかい髪
長いまつげ
髪と同じ茶色い瞳
すべてが
あたしを惹き付けて
わしずかみにして
離さない―――
今日もあなたに
らぶずっきゅん!!!!!
>>2 アンカー。
>>3 感想板。
:09/08/08 21:38
:N703iD
:ndZ1OwLY
#2 [七瀬]
:09/08/08 21:39
:N703iD
:ndZ1OwLY
#3 [七瀬]
:09/08/08 21:40
:N703iD
:ndZ1OwLY
#4 [七瀬]
No.1 朝
:09/08/08 21:41
:N703iD
:ndZ1OwLY
#5 [七瀬]
「んだよ、ったく‥」
そのダルそうな顔。
朝は機嫌の悪いところ。
「こんな朝早くから起こしやがって〜‥」
その迷惑そうな言い方‥
「おいコラ。
聞いてんのか、千頼」
あなたのすべてのことに、あたしはずっきゅん。
:09/08/08 21:42
:N703iD
:ndZ1OwLY
#6 [七瀬]
「‥って、おい!」
今、あまりに興奮しすぎて鼻血ブーになって
倒れたあたしは
葉山千頼。
ハ ヤマ チ ヨリ
ナカハラ カズキ
この中原和希を
追い掛けて、もう10年。
長いね、早いね〜。
ちなみに、18歳です。
:09/08/08 21:42
:N703iD
:ndZ1OwLY
#7 [七瀬]
カズはあたしの王子さま。
ずーっと昔、
小学2年生のとき、
カズがこの町に転校してきたときから。
初めて見たときから。
あたしは
カズのために
カズのためだけに生きる。
そう決めたの。
:09/08/08 21:45
:N703iD
:ndZ1OwLY
#8 [七瀬]
「中原和希くんです。
先週この町に引っ越してきました。みんな仲良くね」
先生のはなしなんて
耳に入らなかった。
ううん。
スルリと抜けていった。
あたしの真剣すべて
視覚に集中してしまっていたから。
ある一点に。
:09/08/08 21:46
:N703iD
:ndZ1OwLY
#9 [七瀬]
あたしは、昔から
惚れっぽかったし、
小学生だったし。
でも、これは
軽はずみじゃない。
だって、
ピンって来たんだもんっ!!
きゅんきゅんって
来たんだもんっ!!!
しかたないじゃん〜!
:09/08/08 21:47
:N703iD
:ndZ1OwLY
#10 [七瀬]
「なかはらかずき。
よろしくなっ!」
カズはちっちゃいころからかっこよかった。
サッカーがうまくて‥。
昔から、よくモテた。
周りの男の子たちとは、違っていた。
"特別"なの。
周りから見ても、
あたしから見ても。
:09/08/08 21:48
:N703iD
:ndZ1OwLY
#11 [七瀬]
まあ、そういうとこが
ますますあたしを
きゅんきゅんさせるんですけど。
あーっ!!
当時のかわいいカズを
思い出したら
また興奮してき‥
「‥‥より‥ち‥より‥」
:09/08/08 21:49
:N703iD
:ndZ1OwLY
#12 [七瀬]
―――――――――
――――――
―――
「‥い‥おい‥」
「ん〜〜〜‥」
ハッ――
「っ!!」
「やっと起きたか」
:09/08/08 21:50
:N703iD
:ndZ1OwLY
#13 [七瀬]
目を覚ますと
ネクタイを
首にぶら下げながら
「ほら、立って。
学校行くぞ」
しゃがんで
あたしに手を差し出すカズ。
「今‥なんじ?」
「9時過ぎ」
:09/08/08 21:50
:N703iD
:ndZ1OwLY
#14 [七瀬]
「‥は、ははははは」
完璧遅刻じゃん‥。
「笑ってる場合じゃないっす。葉山さん」
「‥ごめんちゃい」
おどけて見せると、
小さく聞こえるため息。
うぅ〜〜〜‥‥
:09/08/08 21:51
:N703iD
:ndZ1OwLY
#15 [七瀬]
「千頼」
優しい声。
「ほら、手」
下を見ながら
差し出された手を握る。
「おわっっ!!」
:09/08/08 21:52
:N703iD
:ndZ1OwLY
#16 [七瀬]
「‥ネクタイ‥‥まがってる」
引っ張ったネクタイを
戻してあげたついでに
――ちゅっ
軽く唇を押し当てた。
「‥朝から、大胆だな」
カズは、やわらかく笑う。
:09/08/08 21:53
:N703iD
:ndZ1OwLY
#17 [七瀬]
ぜんぶ好きだけど、
この笑顔が特に好き。
きゅんなんて
もんじゃないよ。
ずっきゅーーーん!!!!!!
って感じ。笑
特に、朝はヤバい。
こんなフェロモン
毎日浴びたら死んじゃう。
:09/08/08 21:54
:N703iD
:ndZ1OwLY
#18 [七瀬]
余裕綽々にこんなこと言うから、ムカついた。
だから
――ちゅ‥
意地になって、もっともっと押し付けてやった。
すると、
「なに千頼。欲求不満?」だって。
:09/08/08 21:55
:N703iD
:ndZ1OwLY
#19 [七瀬]
「失礼な。中原くん。
悪いけど足りてますから」
なにそれなにそれ。
「そりゃどーも。
失礼しました」
なんで
そんな笑ってんの。
ああー、もうムカつくっ!
:09/08/08 21:58
:N703iD
:ndZ1OwLY
#20 [七瀬]
「‥一時間目、葉山さんの嫌いな情報だけど」
「‥‥‥」
「どーします?千頼さん」
「‥‥‥‥」
「来いよ。千頼」
カズは、ベッドに座って、さっきみたいに手を差し出す。
:09/08/08 21:59
:N703iD
:ndZ1OwLY
#21 [七瀬]
もー、いいやっ!
「‥せっかく、ネクタイ
締めたげたのに」
あたしは手を出す。
「またすればいーじゃん」
結局あたしは、
この笑顔に弱いんだ。
:09/08/08 22:02
:N703iD
:ndZ1OwLY
#22 [七瀬]
「‥ん」
鎖骨に唇が触れる。
それだけなのに
心臓はもうやばい。
「‥かわい‥今日の千頼」
「今日"の"!?」
「ごめんごめん」
軽く笑うカズ。
:09/08/08 22:03
:N703iD
:ndZ1OwLY
#23 [七瀬]
「すねないでー。
千頼ちゃん」
頭をくしゃくしゃって
やられる。
心臓もやられる。
「ってか、そろそろ
タッチ交替します?
和希くん」
上にいる和希くんは
「んー、
どーしよっかなー」
悩んでいるようす。
:09/08/08 22:04
:N703iD
:ndZ1OwLY
#24 [七瀬]
「ひさびさに千頼にも、してほしいけど、やっぱいーや」
「ふぅん‥。そ」
珍しい。
「うん。
今日はねー、俺がいっぱい千頼を鳴かせたいから」
「うわ。やらしー」
:09/08/08 22:05
:N703iD
:ndZ1OwLY
#25 [七瀬]
笑っていると、
「‥笑ってられるの、今のうちだけだよ?」
‥っと。
いきなりの、S発言。
「覚悟してます」
そう言ったが最後。
あたしたちは、
何度も何度も愛し合った。
:09/08/08 22:06
:N703iD
:ndZ1OwLY
#26 [七瀬]
「お腹空いたー」
「もう、お昼だもんねー」
時計の針は
12時を差している。
「ってか、千頼ほんと声出しすぎ」
ははっと笑うカズ。
「カズのせいじゃんっ!」
:09/08/08 22:07
:N703iD
:ndZ1OwLY
#27 [七瀬]
「まーねー。
俺の予定どーり」
「‥じゃあ、こんな昼過ぎになることも予定にしてたのかしら」
ちょっと
嫌味を言ってやった。
「ごめんごめん。
ひさびさだったし、千頼がかわいかったから」
:09/08/08 22:08
:N703iD
:ndZ1OwLY
#28 [七瀬]
"ごめんごめん"って、
笑いながら言うのは
カズのくせ。
「なんか食べに行こっか」
カズが立ち上った。
「なんか
食べたいもんある?」
:09/08/08 22:09
:N703iD
:ndZ1OwLY
#29 [七瀬]
「うーん‥、パスタ!」
「パスタか。わかった。
ちょっと待ってて」
そうやって、
カズは着替えだした。
「えっ、着替えんの?」
「うん。だって、学校サボるだろ?」
「まぁ‥そうだけど。
じゃあ、あたしも着替えたーい」
:09/08/08 22:09
:N703iD
:ndZ1OwLY
#30 [七瀬]
「えー、千頼用意長いもん。待ってたら、夕方なっちまうじゃん」
「悪かったわね!」
「いーじゃん。制服のままで。かわいーよ?千頼は、なにを着ても」
熱くなるのが、全身でわかる。
カズはずるい。
:09/08/08 22:10
:N703iD
:ndZ1OwLY
#31 [七瀬]
――――――――――
――――――
―――
「おっはよー」
「あ、おはよ!千頼」
あたしが教室に入ると
声をかけてきたのは、
ともだちの多果子。
タ カ コ
:09/08/08 22:11
:N703iD
:ndZ1OwLY
#32 [七瀬]
と
「‥はよ」
男ともだちの陽。
ハル
「ってか、昨日は二人そろってサボり?」
多果子は、
あきれたように言う。
「ごめん。1限目が糸田の授業だと思うと、行く気が一気に失せちゃって」
:09/08/08 22:22
:N703iD
:ndZ1OwLY
#33 [七瀬]
あたしは、かばんを机に置いて、言った。
「‥で、一日中なにしてたのよ。王子と」
「別にー。ゴロゴロしてー、パスタ食べにいってー、
ばいばいみたいな」
「ふーん」
いろいろ聞いてくる
多果子とは裏腹に
興味無さげな陽。
:09/08/08 22:23
:N703iD
:ndZ1OwLY
#34 [七瀬]
多果子はあたしとカズの関係を気にしてくれてる。
だけど、気を遣って、あまり深くは触れない。
多果子も陽も、なにも言わないけど、ほんとは知ってるんだ。
あたしとカズは
体だけの関係ってこと。
:09/08/08 22:24
:N703iD
:ndZ1OwLY
#35 [七瀬]
No.2 二人の関係
:09/08/08 23:55
:N703iD
:ndZ1OwLY
#36 [七瀬]
「ちーよーちゃん」
「なにー」
「現社の宿題見せてー」
「あたしもやってなーい」
「珍しい。
才色兼備なのに」
「昨日、誰かさんと一緒に、おサボりしたからじゃん」
:09/08/10 16:51
:N703iD
:KCNCkJKg
#37 [七瀬]
「えー、あれは、千頼から誘ってきたからだろー?」
また、あのやわらかい
笑顔で言う。
「‥すみませんね。
でも、宿題は見せてあげられませんから」
「ケチー」
「‥一緒にする?」
「千頼なら、そう言ってくれると思ってた」
:09/08/10 16:51
:N703iD
:KCNCkJKg
#38 [七瀬]
ノートと、青い教科書を
開いて、お互い向き合う。
「ぜんぜんわかんない」
「どれ?」
「ここ」
"一緒に"と言っても、
ほとんどあたしがやるみたいなもの。
:09/08/10 16:52
:N703iD
:KCNCkJKg
#39 [七瀬]
それでも
「あ、そっか。
やっぱ、千頼の教え方うまい。山部の授業より、ぜんぜんわかりやすいよ?」
この笑顔が見れたらいい。
‥なんて。
あたしって、バカな女。
:09/08/10 16:54
:N703iD
:KCNCkJKg
#40 [七瀬]
いつもいつも
追い掛けるのは
あたしのほうで
ドキドキするのも、
いーっつもあたしだけ。
あたしは、
いつもその笑顔に
ずっきゅんってくるのに‥。
:09/08/10 16:55
:N703iD
:KCNCkJKg
#41 [七瀬]
しかも、
質が悪いのは
カズが、あたしの気持ちに気づいてるってこと。
:09/08/10 16:56
:N703iD
:KCNCkJKg
#42 [七瀬]
「ちよりー」
「なに?」
あたしが、形だけでも
説明しているときに
「そと」
「もー、だからなに?」
カズは
いつもみたいに口を開く。
「外だってば。見てみ?」
シャーペンを持つ
手の袖を引っ張る。
:09/08/10 16:57
:N703iD
:KCNCkJKg
#43 [七瀬]
「‥飛行機雲」
「きれーだろ」
きれい、なのだろうか。
「えー」
「んだよ」
白い線は、青い空に
まっすぐのびている。
:09/08/10 16:57
:N703iD
:KCNCkJKg
#44 [七瀬]
「虹の方が好きだなぁ‥」
ほんとうに当たり前なほどまっすぐで
「わがまま」
まっすぐまっすぐ
「わがままで結構」
まっすぐまっすぐ‥
「そんなんじゃ、お嫁にいけないよ?」
:09/08/10 16:58
:N703iD
:KCNCkJKg
#45 [七瀬]
「いーよ。カズにもらってもらうから」
あまりに、まっすぐすぎて
「ははは。わかった。
じゃー中原千頼ちゃんだ」
ムカついた。
飛行機雲のように
まっすぐな彼は
「‥せに」
あたしの怒りを静かにゆっくりと燃え上がらせた。
:09/08/10 16:59
:N703iD
:KCNCkJKg
#46 [七瀬]
「え?千頼、声小さ‥」
「その気もないくせに」
でも、
まっすぐなものほど
壊れやすいってことを
あたしは、知っている。
:09/08/10 17:00
:N703iD
:KCNCkJKg
#47 [七瀬]
―――――――――…
ポケットの中が
ブーブーブーって、言っている。
着信"カズ"
出たくない。
というより、出れない。
しばらくすると、
ブザーは止まった。
:09/08/10 17:01
:N703iD
:KCNCkJKg
#48 [七瀬]
出ようか、止めとこうか
迷っているうちに
止まった。
‥なんで、あんなこと
言ったんだろ、あたし。
はぁーあ。
ほどよく崩した
ネクタイ。
青いチェックの
スカート。
:09/08/10 17:02
:N703iD
:KCNCkJKg
#49 [七瀬]
まだあたしが
中学生になるときにできた
それが今、あたしたちが
通う宮島高校。
"できた"というのは、
ちょっと違うな。
正しくは、"新"宮島高校。
もともとあった宮島高校とどっかの総合学科が合併して、今の高校ができた。
:09/08/10 17:03
:N703iD
:KCNCkJKg
#50 [七瀬]
それで
制服も新しくなって‥。
当時、中学生だった
あたしは
かわいい!
ガキんちょながら
感動した。
緑のネクタイが
ポイントの制服。
宮高‥当時は憧れたなぁ。
:09/08/10 17:03
:N703iD
:KCNCkJKg
#51 [七瀬]
‥でも、
今となっては大後悔。
自分の力をガクンと
下げてしまったのも、
カズと同じ高校に
入っちゃったのも。
かわいいと思っていた制服も着てみるとたいしたことなかった。
もっと、オシャレな制服がある高校も今では当たり前になってきたしね。
:09/08/10 17:04
:N703iD
:KCNCkJKg
#52 [七瀬]
幼すぎたんだと思う。
小学生のとき、カズに
一目惚れしたのだって
制服で高校
選んじゃったのだって。
やっぱ、
あたしってバカ女。
後悔したって、
もう遅いことだらけ。
:09/08/10 17:05
:N703iD
:KCNCkJKg
#53 [七瀬]
ブーブーブーブー
この感じは‥
受信"カズ"
メールか。
携帯をスライドさせる。
先月買い替えたスライド式の新しい携帯は、まだ慣れない。
:09/08/10 17:06
:N703iD
:KCNCkJKg
#54 [七瀬]
"ちよー。さっきはごめん。なんか怒ってる?"
だってさ。
あたしがなんで
怒ってるのか
わかんないくせに
"ごめん"か‥。
あたしは、そのまま
ポケットに入れた。
:09/08/10 17:06
:N703iD
:KCNCkJKg
#55 [七瀬]
あたしは、
今でも子どもだと思う。
勝手に怒って、
勝手に帰って、
10年も、カズのこと
追い掛け回して。
うん、十分子どもだ。
でも、あたしは悪くない。
ぜったいぜったい
悪くない。
:09/08/10 17:07
:N703iD
:KCNCkJKg
#56 [七瀬]
だって、カズも
子どもだもん。
あたしの
気持ち知りながら
それを利用して、
もてあそんでる。
あたしとキスする。
えっちだってする。
彼女‥いるくせに。
:09/08/10 17:08
:N703iD
:KCNCkJKg
#57 [七瀬]
ブーブーブーブー
"千頼、どこいんの?"
多果子か‥。
"ごめん。サボる"
送信、っと。
またサボっちゃったけど、仕方ない。
:09/08/10 17:09
:N703iD
:KCNCkJKg
#58 [七瀬]
昼休みに
脱走してきたから
まだお昼過ぎ。
お弁当食べたし、
お金持ってきてないし、
家に帰るしかない、よね。
‥たいくつ。
やだなぁ。
ヒマだといらないことまで思い出しちゃう。
:09/08/10 17:09
:N703iD
:KCNCkJKg
#59 [七瀬]
‥あの時のこととか。
―――――――――
―――――
―――
「あたし、カズが好き」
中学三年生。
まだ肌寒い
春休みのときだった。
:09/08/10 17:11
:N703iD
:KCNCkJKg
#60 [七瀬]
あたしは、
カズに告白した。
いつものように、
カズの部屋で二人で
まったりしているときに。
あたしは、冗談抜きで
マジメに真剣に告った。
イ
正直、自信もあった。
カズとは長い付き合いだし
カズもあたしのこと好きだろうと思ってた。
:09/08/10 17:11
:N703iD
:KCNCkJKg
#61 [七瀬]
今思うと、とんでもない
勘違いでうぬぼれだけど。
「‥ごめん。
俺、彼女いるから」
返ってきたのは、
その一言だけ。
:09/08/10 17:12
:N703iD
:KCNCkJKg
#62 [七瀬]
なにを言われたのか
理解できない。
思考は完全に停止状態。
ショックと恥ずかしさが
入り交じって‥。
「‥そ、そっかあ」
あたしも、
これしか言えなかった。
:09/08/10 17:15
:N703iD
:KCNCkJKg
#63 [七瀬]
まぁ、あれから
3年の月日が流れて、
いろいろわかってきた
こともある。
例の彼女は、
カズがここに引っ越してくるまえに住んでたところの幼なじみらしい。
幼稚園児のとき、
"結婚しようねー"って、
約束したんだそう。
:09/08/10 17:18
:N703iD
:KCNCkJKg
#64 [七瀬]
ね、
カズも案外
子どもでしょ?
そんな初恋みたいな。
あたしとやってること
変わんない。
ううん。
向こうなんて、あたしが
カズを好きになるよりも、ずっとまえなんだから、
ぜんぜん適わない。
:09/08/10 17:19
:N703iD
:KCNCkJKg
#65 [七瀬]
ありえない。
ありえないありえない。
そんなたかが幼稚園時代のもろい口約束のくせに。
ほんとありえないよ。
あたしも
たかが一目惚れのくせに。
――こんなに
好き、だなんて。
:09/08/10 17:20
:N703iD
:KCNCkJKg
#66 [七瀬]
それからだった。
あたしとカズの
今にまで続く、
"この関係"になって
しまったのは―――
:09/08/10 17:23
:N703iD
:KCNCkJKg
#67 [七瀬]
No.3 きゅん、ときどき ずっきゅん
:09/08/11 12:13
:N703iD
:ZycRR2Ck
#68 [七瀬]
「‥それさ、美化されすぎちゃったんじゃない?」
好物の照り焼きバーガーを大きな口で頬張りながら、多果子は言った。
「美化?」
破片しか残っていない
ポテトをちまちま食べながら答えた。
:09/08/11 12:14
:N703iD
:ZycRR2Ck
#69 [七瀬]
「そ。美化」
夕方のマクドは混んでないから、割りと好き。
「長いこと中原を追っかけてるから、いつのまにか
美化されちゃってんじゃない?」
でも、マクドのポテトは
あまり好きじゃない。
定番メニューだからか、
いつも頼んじゃうけど、塩辛いから嫌い。
:09/08/11 12:16
:N703iD
:ZycRR2Ck
#70 [七瀬]
「ねぇ、千頼。
中原はいつまでも"カズ"のままじゃないんだよ?」
「‥」
わかってる、そんなの。
「千頼の好きな"カズ"はもういないんだよ」
「‥‥」
‥それは違う。
たとえ、昔のカズのままじゃなくても、あたしは、カズが好きだ。
:09/08/11 12:18
:N703iD
:ZycRR2Ck
#71 [七瀬]
しょうがないじゃん。
わかってても、
昔のカズじゃなくても
カズを見ると心臓が勝手にどきどきするんだもん。
寝起きで機嫌悪いとことか子どもじみたとことか。
きゅん、って。
いやでも、なるんだもん。
:09/08/11 12:21
:N703iD
:ZycRR2Ck
#72 [七瀬]
「‥あのさ」
「んー?」
「こんなこと
言いたくないけど」
「なによ」
「もうそろそろ、
止めたら?」
むしゃむしゃと食べていた口が止まる。
:09/08/11 12:23
:N703iD
:ZycRR2Ck
#73 [七瀬]
「‥今の千頼は、半分あきらめてるような、でもまだ固執してるような‥‥」
多果子は、ほんとうに
言いにくそうに言う。
「その‥なんていうか‥」
でも、的の中心を射たことを言う。
「‥前はもっと輝いてたってゆーか、全身で恋してます!って感じだった」
:09/08/11 12:23
:N703iD
:ZycRR2Ck
#74 [七瀬]
冗談混じりに言ってくれるのは多果子の気遣いだってこと。
わかってる。
「好きな人に彼女がいようと、あきらめないで頑張る千頼すごいな、って思ったよ」
よーくわかってる。
:09/08/11 12:24
:N703iD
:ZycRR2Ck
#75 [七瀬]
だけど
「‥‥でも、最近の千頼はただ意地になってるだけに見える、の‥」
人って、ほんとうのこと言われると
抗いたくなる。
それが
正しいことであっても。
自分のために言ってくれてることでも。
:09/08/11 12:25
:N703iD
:ZycRR2Ck
#76 [七瀬]
「‥‥ね‥」
あたしってダメ人間。
「多果子はいいね」
友だちに
八つ当りするなんて。
「多果子は彼氏いるから、そんなこと言えるんだよ」
:09/08/11 12:26
:N703iD
:ZycRR2Ck
#77 [七瀬]
頭の中は意外と冷静。
でも、心臓は忙しい。
「あたしの気持ち、
多果子にはわからない」
ダメダメダメ人間。
好きな人とケンカして、
友だちともケンカした。
原因はすべて自分。
:09/08/11 12:27
:N703iD
:ZycRR2Ck
#78 [七瀬]
「千頼‥もっと頭よく冷やして考えな‥」
それだけ言うと、
多果子は立ち上がって
出ていった。
さっき、カズも同じ気持ちだったのかな。
‥取り残された気持ち。
:09/08/11 12:28
:N703iD
:ZycRR2Ck
#79 [七瀬]
―――――――――
―――――
―――
プルルルル…
その夜、
電話がかかってきた。
「はい、もしもし」
ママに促され、受話器を取ったことを後悔した。
「もしもし、ちよ?」
:09/08/11 12:29
:N703iD
:ZycRR2Ck
#80 [七瀬]
「‥‥」
ふだん、家にはまったく
かけてこないから驚いた。
「‥俺だけど」
携帯だと、あたしが出ないのが、わかっていたからだろう。
「"俺"って、どちらさまですか?」
わかってたけど、
意地悪してやった。
:09/08/11 12:30
:N703iD
:ZycRR2Ck
#81 [七瀬]
「‥‥」
しばらくの沈黙のあと、
「ちよ、ごめんな」
カズが謝ってきた。
「‥なんで謝ってんの」
「えっ?」
「あたしが、なんで怒ってるかも知らないくせに」
:09/08/11 12:30
:N703iD
:ZycRR2Ck
#82 [七瀬]
「だから謝ってんじゃん」
カズはずるい。
「なんで怒ってんのか、わかってやんなくてごめん」
――きゅん
「でも俺、千頼がなんで怒ってんのか知りたい。
ちよと、ずっとこのままなんて、やだから」
――きゅん、きゅん
:09/08/11 12:31
:N703iD
:ZycRR2Ck
#83 [七瀬]
「頼む。
教えてくれよ、ちよ‥」
カズは、どうしていつも
こんな一言で、あたしの心を打ち抜くんだろう。
――‥ずっきゅんって
:09/08/11 12:34
:N703iD
:ZycRR2Ck
#84 [七瀬]
「あたしも、ごめんね‥」
素直にならなきゃ。
「あたしだって、カズと
一生このままなんてやだ」
ちゃんと言わなきゃ。
「‥‥」
「‥どした?千頼」
:09/08/11 12:35
:N703iD
:ZycRR2Ck
#85 [七瀬]
―固執してる
―ただ意地になってるだけ
頭のなかを駆け巡る
ことばたち。
あー、
やっぱそろそろ潮時?
「ちよ?千頼?」
:09/08/11 12:36
:N703iD
:ZycRR2Ck
#86 [七瀬]
「‥好きぃ‥カズ‥」
そろそろ潮時。
だから、最後に悪あがき。
最後‥ほんとに最後だから
これで、ほんとうのほんとにラストだから
神様、許してください。
:09/08/11 12:37
:N703iD
:ZycRR2Ck
#87 [七瀬]
「‥‥ちよ‥俺‥」
あたしの心臓に
ふたたび、ずっきゅん、はやってくるのか、
18歳の春になるのか‥。
わからない。
まさに、神のみぞ知る?
:09/08/11 12:40
:N703iD
:ZycRR2Ck
#88 [七瀬]
―――――――――…
「あたし‥やっぱカズが好き」
「‥そっか」
「多果子‥ごめんね」
「いいよ、わたしはただ千頼に幸せになってほしいだけだから」
「ありがと‥」
「でも、よかったじゃん!おめでと‥千頼」
:09/08/11 12:42
:N703iD
:ZycRR2Ck
#89 [七瀬]
「うん‥ありがとう」
そう。
あたしたちは
付き合うことになった。
「なに言ってんの、いまさら」
受話器越しに苦笑する多果子の声が聞こえる。
「‥だけどさぁ‥やっぱ照れるよ、こうやって改めると」
:09/08/11 12:43
:N703iD
:ZycRR2Ck
#90 [七瀬]
「なに?のろけ?」
「‥えへへ‥‥」
ダメだ、あたし‥。
うれしいうれしい!
うれしすぎる。
嘘じゃないよね。
夢じゃないよね。
さっきのできごとが
頭のなかを巡る。
:09/08/11 12:45
:N703iD
:ZycRR2Ck
#91 [七瀬]
――――――――
―――――
―――
「‥‥俺‥」
どきどきどきどき‥。
沈黙が
あたしを不安に包む。
:09/08/11 12:45
:N703iD
:ZycRR2Ck
#92 [七瀬]
「付き合おっか」
「‥はっ?」
あたし‥‥耳‥おかしくなった?
「いや‥だから俺たち付き合う?」
いや、大丈夫だ、うん。
耳は正常‥ってことは
カズがおかしいのか〜。
:09/08/11 12:49
:N703iD
:ZycRR2Ck
#93 [七瀬]
「ちよ?聞いてる?」
「え、うん!聞いてるよ」
「それなら‥いいけど」
また変な沈黙ができる
「あの‥」
「ん?」
「付き合う‥って、カズがあたしの彼女に‥あたしがカズの彼氏になる‥‥ってことだよね?」
:09/08/11 13:10
:N703iD
:ZycRR2Ck
#94 [七瀬]
「‥いや‥反対。
ちよが俺の彼女に。俺がちよの彼氏になんの」
「‥あ‥そか‥ははは‥」
あたしは、
かーなりテンパってた。
「‥あの」
「まだなにか?」
どーーしても、確かめなきゃいけないことが、一つあった。
「カズ、東京に彼女いるんじゃないの?」
:09/08/11 13:10
:N703iD
:ZycRR2Ck
#95 [七瀬]
すると、カズは
「ぷっ、はははは!」
笑いだした。
「なっ‥なに!?
なんで笑ってんのよ〜!?」
「だってー!ちよ、まだ信じてんだもん!」
「え?えっ?
どういうこと!?」
:09/08/11 13:11
:N703iD
:ZycRR2Ck
#96 [七瀬]
「そんな昔話忘れたよ。
ってか、それってもう10年以上まえの話じゃん。
ちよ、信じすぎ!」
な、
「なんだぁ〜」
「なに?もしかして千頼、ほんとに東京に彼女いると思ってた?」
カズは笑って言う。
気が抜けた。
:09/08/11 13:14
:N703iD
:ZycRR2Ck
#97 [七瀬]
「‥っ‥カズぅ‥ぐず‥」
気が抜けたあたしは
泣いた。
「‥ごめんごめん。ちょっと冗談が過ぎたかな」
「‥ほん‥っと‥冗談きつすぎ‥」
‥そうだよ、バカっ!
:09/08/11 13:15
:N703iD
:ZycRR2Ck
#98 [七瀬]
なんで、気付かなかったんだろう。
ずっと、ずっと
あなただけを
見てきたのに。
なんで、思い出さなかったんだろう。
あのときの
「‥俺、彼女いるから」
っていうカズの表情を。
:09/08/11 13:16
:N703iD
:ZycRR2Ck
#99 [七瀬]
―――――――――
―――――
―――
「‥まぢかよ」
受話器越しに聞こえる
陽の声はなんだか険しい。
「ああ」
「和希、それまぢで言ってんのか?」
「さっきから、何度もそう言ってんじゃねーか‥」
そう言っても、陽は
まだぶつぶつなんか言っている。
:09/08/11 13:16
:N703iD
:ZycRR2Ck
#100 [七瀬]
「‥本気?」
「‥‥」
「お前、本気で葉山と付き合うのか?」
携帯を握る手が強くなる。
「‥ああ」
「止めとけ」
‥即答かよ。
:09/08/11 13:17
:N703iD
:ZycRR2Ck
#101 [七瀬]
「なんで‥」
「だって、お前‥‥」
なんとなく、わかってた。
これから、陽が
言おうとしていること。
「まだ、切れてないだろ。 東京の彼女」
:09/08/11 13:18
:N703iD
:ZycRR2Ck
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194