ダイスキ。

和紀にボールが回るたび、
和紀がボールをカットするたびに

女の子達はキャーキャー言う。

でも好きの気持ちはまけない。

言葉を発することが出来ないほど‥私は和紀から目が離せないから。

素人目で見てもわかる。

ドリブルの速さ

周りを見る力

和紀は全て飛び抜けていて

そんな和紀につられるようにチームのプレーが輝き出す。

そこにいる誰もが和紀の１プレー１プレーにくぎづけになった。

刹も、前ちゃんもキラキラとしていて

三人ともなんて楽しそうなんだろう‥

―憧れるしかなかった。
―見つめるしかなかった。

‥ピィーッピーッピィーー‥

長いホイッスルの音が響き渡り試合終了を告げる。

私達はまるで長い夢を見ていたかのようにぽーっとグランドの選手を見続けた。

試合は３―０で和紀達の圧勝だった。

「‥すごいね」
「‥うん‥」

まだ現実に戻れない。
和紀、刹、前ちゃん

こんなにすごかったんだ。

しばらく感動にひたっていると私達に気付いた三人が、手をふってくれた。

和紀も笑顔で手をふっている

―ドクンッ―

何だろうこの気持ち。

言葉に表せないほど‥涙が出るほどに溢れ出るこの気持ち。

‥あぁ。

これが愛してるっていう事か。

頭の片隅で思った。

めっちゃ面白くて毎日みちきてます

やっぱ主さん天才です

これからも頑張って下さい

応援してます

しばらく息も出来なくて。

やっと息が吸えるようになると

和紀達は打ち上げがあるので

先に帰ることにした。

空はもう暗くなり始めた帰り道、和紀から一通の

が届いた。

みちきてじゃなくてみにきてですね

何度もごめんなさい

頑張って下さい

美希さん

毎日だなんてありがとうございます

てっ天才じゃないですけど‥そういってもらえると嬉しいです///照

これからもよろしくです

――――――――――――From 和紀
Sub やった

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿スカウトされて、来年からチーム入り決まった

つか今日来てくれてありがと

家帰ったら打ち上げしよ

窓空いてるから先部屋で待ってて

　 -END-
――――――――――――

(いつもより絵文字が多い‥よっぽど嬉しいんだろうなぁー‥///)

美佳と別れて

部屋に戻ってから返信をうつ。

カチカチカチッ
‥‥ピッ

を送信して私は和紀の部屋に入った。

一人で和紀の部屋に入るのはもちろん初めて。

(エロ本とかやっぱあるのかな‥///笑)

私は何故か一人テンションを上げて和紀を待つ。

そして和紀の今日の活躍を思い出していた。

瞼に焼き付いた和紀はあまりに格好よくて

“これが私の彼氏ですっ”

って全世界の人に自慢したかった。

和紀になんておめでとって言おうか

幸せに浸り考える。

ふと気付くともう夜の８時。

(どんだけ長い打ち上げだよ!!!)

そう、一人で突っ込んでる時―‥

♪♪♪♪♪♪♪

私の携帯がけたたましく鳴った。

(あっ和紀からだ!!)

そう思って着信ボタンを押すと出たのは

「もしもし!?」

刹だった。

「もしもしっ茜!?刹だけど」

「どしたのー??刹、和紀は??」

「茜、今和紀ん家だろ??和紀の親いるか??」

(どうしたの‥刹

ねぇなんで慌ててるの??)

「和紀ん家は共働きだから１０時ぐらいにならないと帰ってこないよ‥??

ねぇ、和紀は‥??」

すごく、嫌な予感がした。

「茜だけでも来て。

〇〇病院だから‥」

刹は電話を切ろうとした。
「ねぇ!!!刹!!!和紀は!!??」

つい怒鳴ると

「酔っ払いの車に跳ねられた‥ｶﾞﾁｬｯ‥ﾂｰﾂｰﾂｰ」

刹は震えた泣きそうな声で言うと電話を切った。

和紀??

―‥お願い嘘だといって。
―‥お願い夢なら覚めて。

私は裸足で外に出て急いでタクシーを捕まえた。

「〇〇病院までお願いします‥早く行ってください!!」

タクシーの運転手はびっくりしていた。

でも、とにかく早く和紀の元へ。和紀、和紀‥

ポケットに入っていた財布から千円札を取り出し運転手に押し渡す。

お釣りも受け取る前に病院に入り、受付で和紀の名前を叫んだ。

「‥和紀は、和紀はどこですか!!」

「え;あっ先ほど運ばれた一之瀬和紀さんのお友達‥??」

「和紀!!和紀はどこ!?」

私は半ば狂乱しながら聞いた。

「突き当たって右の‥あっまって‥!!」

私は最後まで聞かずに走り出す。

角を曲がると

刹と前ちゃんとクラブチームの顧問らしき人

私はそこで不安に堪えられなくなって泣き崩れた。

「和紀‥和紀はどこ‥??」
刹と前ちゃんが抱きしめてくれながら言った。

「和紀は今手術中。茜‥大丈夫だから落ち着こう」って。

でも二人もがたがたと震えていて‥どうしようもないほど恐かった。

しばらくして和紀の両親が駆け込んで来た。

さっきの私と同じように和紀の名前を叫びながら―‥

私は泣き崩れたままだった。
恐い‥恐いよ和紀。

今日一緒に打ち上げしようって言ったじゃん‥

今日スカウトされたって言ったじゃん‥

‥

ビーッ‥

手術中のランプが、消えた。

中から大柄の医者が出て来た―‥

「和紀っ和紀は!?」
和紀の両親がつめよる

すると医者は

「手術は成功し、息子さんは一命を取り留めました‥」
疲れ切った笑顔で答えた。

「ほー‥‥‥‥‥」

その場にいた全員が安堵のため息をついた。

良かった‥和紀‥良かった‥

泣きながら私はそう思った。
―君がいない世界なんて考えられない。
おいてかないでおいてかないで‥おいてかないで―

ねぇ和紀‥助かったと聞いたはずなのにこの不安は何で拭い去れないの‥??

私は‥二日間寝られなかった。

三日目に和紀が目を覚ますまで。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「‥ぁ‥」

「和紀ッッッ!!!起きたの―‥??」

和紀は手術後の三日目にやっと目を覚ました。

嬉しくて、嬉しくて‥‥嬉しくて。

「‥あ‥かね‥??」
「うっ‥ふぇ‥和紀ぃ～～!!!」

「何泣いてんだよ‥‥そっか‥俺‥事故ったんだっけ。」

和紀は苦笑いを浮かべて言った。

「もー‥本っ当に心配したんだからね??ｸﾞｽｯ」

「ごめんな‥ってか俺よく生きてたな‥笑」

「頭打撲に、両足骨折、肋は二本も折れて生きてるんだから奇跡だよ‥///」

そう言うと何故か和紀の顔色が‥変わった。

見間違いかと思うほど一瞬で、、すぐ笑顔に戻る。

「‥どしたの??」

勇気を出して聞いてみた。

「‥なぁ普通って‥怪我したとこ‥痛いよな‥??」
「う‥うん」

「頭ずきずきするし、あばらもいてーんだけど

足が‥全く痛くねーし

太股から下ぴくりとも動かせない。」

―‥‥‥‥‥

‥‥拭い去ることの出来ない不安はこれだった。

神様がいるのなら、答えてください‥

どうして和紀なの‥

どうして和紀の夢を奪うの‥
あたしが変わらせてください。

その後すぐに再検査。

手術した医師から和紀の両親だけに

「残念ながら‥神経が傷ついてしまって‥足から下はもう‥一生動かないでしょう‥」

こう伝えられたと知った時、、ただひたすらに

運命を呪った。

今日の更新はここまでです

感想等もし宜しければこちらに頂けると嬉しいです

http://bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3315/

貼れてない

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3315/
です

失礼します

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

さくら

さん

ｱﾝｶｰありがとうございます

―‥和紀は

自分の足がもう“一生”動かないことを

まだしらない―‥

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
私は和紀の両親に言われてちゃんと学校に通い始めた。

でも学校にいても考えるのは和紀の事ばかり。

和紀が怪我したという噂は物凄い勢いで広まり

ものすごい数の面会者が和紀を訪れた。

でもそれは最初だけ。

面会に飽きた人達が一人、また一人来なくなる。

今でも来るのは

先生、刹、前ちゃん、美佳、、、そして私。

こんな時友情って何なんだろうって思わずにはいられないんだ―‥

私は毎日和紀の所へ通う。

連絡手段は電話と、会うことだけだった。

ﾏﾅｰﾓｰﾄﾞの携帯は、和紀が事故ったあの日どこかで無くしてしまったから

も出来ない。

二ヶ月、三ヶ月‥和紀が入院してかなりの日がたった。

そして―‥最近和紀はどんどんマイナス思考になって‥

あの大好きないたづらっぽい笑顔は

もう‥滅多に見られない。

「失礼します」

病院のドアを開ける。

「‥‥‥。」

最近和紀は見舞に来る茜を見なくなった。

今日も背を向けたまま。

「今日は遅れてごめんね??ちょっと委員会があって‥」

持ってきた林檎の皮をむきながら言った。

「‥うそつき。」

背を向けている和紀がぼそって言う。

「男とあってたんでしょ‥??」

(‥またか;)

「委員会だってば;」

「じゃー後で美佳にも聞いとく」

「‥‥うん」

和紀は日に日に‥厭味っぽく、嫉妬深く‥そして私を信じなくなっていく。

そんな和紀を見るのが哀しくて、辛くて、代わってあげたくて‥

今日も一人、家で涙を流す。

和紀‥不安でしょうがないんだよね‥??

‥私はどこにもいかないよ??

それでも毎日毎日和紀の部屋へ通う。

和紀のたまにする笑顔が見たいから。

和紀を今支えてるもの

それは“治る”

と聞かされている事だった。

「来月になったらやっと手術だって」

和紀はたまに笑顔で言う。
片手でダンベル持って筋トレしながら必死に遅れを取り戻そうとしていた。

この和紀に誰が言えますか
キミハモウナオラナイ

‥。

和紀を見るのが本当に辛かった。

家に帰るなり声をあげて子供のように泣くことしか‥

そしてただ祈ること事しか出来なくて。

ご飯も喉を通らず‥

私も‥衰弱していった―‥

そんな、ある冬の日。

「‥もぉうざいからこないで‥」

君はそう言った。

黙って病室を出て、大泣きをした。

―‥和紀

―‥和紀しかいないんだ

私には和紀だけで。

きっと和紀にも私だけで。

(‥何で‥何で)
また今日も一人家で泣く。

その日神様なんていない

って―‥思った。

雪がちらほらと舞う夜で

皆が家で温まっている時。

和紀が病院の部屋の窓から‥飛び降りた。

,

―なぜ命まで奪うんですか

―なぜ彼なんですか

―なぜ私は生きているんですか

私達はもう十八歳で

まだたったの十八歳で。

何事に対しても“無力”
だった―‥。

―‥彼は‥

十八歳の短すぎる命に‥

幕を閉じた―‥

報せを受けた時

泣くことも出来ずに

―‥ただ立ち尽くした。

―‥ただ生きていた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

ピンポーン‥

玄関のチャイムが今日も鳴り響く

「茜‥美佳ちゃんが呼んでるわよ‥」

「‥‥‥。」

「‥そう。じゃぁ美佳ちゃんに言っておくから‥」

「‥‥。」

廃人のように生きている

何も考えたくない‥

また待っていれば窓に小石の当たる音がきっとする

また優しくキスをしてくれる

ねぇ‥和紀。

報せを聞いて病院で和紀の顔を見た時

顔は少しも傷ついていなくて‥眠っているみたいで

安堵の表情を浮かべていた。

まるで痛みや苦しみから解放されたようだった

和紀‥

私も和紀を傷つけたうちの一人なの‥??

和紀の事だからひょこって現れて

「茜だまされたー♪」

って言って頬を摘むよね??

学校来い

茜は和紀の死を認めていないんだよって

ちゃんと前を見ろって

何度も皆から

が届く。

もう私も生きるのに‥疲れたみたい。

向こうでなら和紀と一緒に暮らせるかな

今日も和紀の部屋に行き、和紀の香に包まれて、

やっと眠ることが出来る。
泣けるものなら泣きたいな

和紀の部屋に行き冷たい床にゴロンと寝転がる。

寒いなぁ‥

あの日食べたﾌｫﾝﾀﾞﾝｼｮｺﾗとﾎｯﾄﾐﾙｸが飲みたい‥

思い出しながら天井を仰ぐ。

そして手を延ばし広げると

“ゴトッ”

和紀のベッドの下の何かが手に当たった。

‥??何だろう‥。

見ると、和紀とお揃いのストラップを付けた

ピンク色の私の携帯。

「こんなとこにあったんだ‥」

このストラップ和紀は恥ずいと言いながら付けてくれてたっけ。

私は今の携帯の充電器を持ってきて、

とりあえず電源を入れてみた。

着信 0

は三通は和紀が事故った日の物で刹と前ちゃんからだった。

内容は全部

［おちつけよ‥］

とか

［今手術してるみたい。］

とかだった。

四通目は、

和紀からだった。

止まりそうな位静かだった心臓が‥動き出す

その

は和紀が飛び降りた日に来ていた。

胸がぎゅぅーってなる。

(何でこっちの携帯に‥??)
そう思ったけど‥とりあえず開いてみる。

――――――――――――From 和紀
Sub 無題
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
茜はこの携帯を見てないかもしれない。

てか無くすとかありえないから‥笑

今日、来ないでとか言ってごめん‥

本当は毎日来てほしいんだ‥

でも俺は今茜を傷つけることしか出来なくて

いつも疑うことしか出来なくて。

茜が最近弱ってるのが辛くて‥ああ言えば茜は元気になるのかなって思った。

茜が思ってる以上に‥俺茜の事が好きすぎるみたい

自分だけのものにしたいってよく思うし

茜は知ってたんだよね??

今日先生達が話してるの聞いちゃった

俺治らないんだってね。

夢を奪われても生きれる程俺は大人でも子供でも無くて‥

もう無理みたい‥

でも茜に言っておきたいんだ。

俺は人生の中で茜と会えたことが最高だよ

十八年‥泣きたいほど茜が好きだった。

俺は茜の笑った顔が１番好きだから‥俺の分まで生きて‥それから笑って

俺はお前だから。

あと生まれ変わったら今度こそサッカー選手なるから

ただ‥一言だけ聞きたかった。

気付いてた??茜、一回も俺に好きって言ったことないんだよ

笑

聞きたかった‥マジで。

最後にいろいろ傷つけてごめん‥マジありがとう‥。
―END―
――――――――――――

―‥か‥ず‥‥き―

涙が‥溢れ出す。

和紀‥本当に死んじゃっ‥たんだ‥

‥和紀ッ―‥

声をあげて泣いた。

何で恥ずかしがって言わなかったんだろう‥

和紀‥救われたのは私だよ‥生まれて来てくれて、好きになってくれて、守ってくれて‥

「‥‥‥ダイスキ。

ありがとぉ‥‥」

泣き崩れながら携帯に向かって叫んだ。

めっちゃ泣けます

主さんすごすぎです

頑張って下さい

――言いたくて、でも言えなかった好きの気持ちが

今やっと‥和紀に届いた気がした――

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

めっちゃ泣けます

主さんすごすぎです

頑張って下さい

<font color="black" size="2">>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000</font>
頑張れ

まだまだ続きますがキリが良いので一回切ります

美希さん

ありがとうございます

私も半泣き状態でなんとか書きました

まだ続くので是非また見て下さい

今度いつですか

？

さん

あんかーありがとうございます

みなみさん

なるべく早く書くつもりですが何時になるかわからなそうです

本当にすみません

めｯちゃ面白い泣けてきた(ラ㍑。∀゜)丿頑張ってください!!!!!!!!

自然に涙がつたりました。
本当にいい小説です。
最後まで頑張ってください。

すごく泣けました。この話大好きです！この先どうなるのか楽しみにしてますねっ頑張ってください！！

(。∀ﾟ)ｱﾋｬさん

ｺﾒ有難うございます

はい

これから完結まで精一杯頑張ります

なさん

勿体ない程の御褒めの言葉‥有難うございます

涙
何だかとても嬉しいです、頑張りますっ

†Reiraβさん

好きと言っていただけて涙が出るほど嬉しいです

完結まで‥頑張ります

まなみさん

ｱﾝｶｰ有難うございます

皆さん本当に有難うございました

それでは少しだけ更新します

“笑って

”

‥和紀がそう言ったから、
―‥頑張れる気がした
―‥生きられる気がした

和紀とお揃いのストラップを新しい携帯に付け替えて‥
その日は吐いても吐いてもご飯を食べた。

-次の日-

―ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ―

「はーい‥あら、美佳ちゃん‥‥毎日毎日本当にありがとう

ちょっと待っててね」

「いえ‥(茜、今日も来ないのかなぁ‥)」