Stay with me...
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#1 [愛華]
:11/02/15 23:56
:840SH
:joGe9RtI
#2 [愛華]
:11/02/15 23:57
:840SH
:joGe9RtI
#3 [愛華]
:11/02/16 00:00
:840SH
:30baR7.c
#4 [愛華]
1章-脱獄少女-
:11/02/16 20:27
:840SH
:30baR7.c
#5 [愛華]
私は今、見知らぬ土地にいる。
大切なひとを探すために。
「…………あっついし。
っつーか本当にここかな……」
羽田陽向(はねだひなた)
15歳。
:11/02/16 20:30
:840SH
:30baR7.c
#6 [愛華]
簡単に言うと家出。
まぁ色々わけありだけど
それはまたあとで。
故郷を遠く離れ、異国に等しい
ここに来たのにはわけがある。
あたしはお母さんに会うために
たったひとりでここに来た。
しかし色々問題があった。
お母さんの居場所を知らない。
:11/02/16 20:37
:840SH
:30baR7.c
#7 [愛華]
「……うぁー……どうすりゃ
いいってんだよ……ってか
家出る時、気付けよ自分…」
家を出てから3日。
持っているのは少しの荷物と
バイトで稼いだそれなりのお金
若いころのお母さんの写真。
のみ。
:11/02/16 20:48
:840SH
:30baR7.c
#8 [愛華]
3日間なにをすればいいか
わからないまま過ぎてしまった。
そんな自分が情けなくて、
あたしはひとり公園のベンチで
うなだれていた。
ジリジリと焼け付くような日差し
子供の笑い声 自転車のベルの音
その全てがあたしを焦らせる。
:11/02/16 20:54
:840SH
:30baR7.c
#9 [愛華]
「あー…ホテル探さなきゃ…」
未成年のあたしが何日間も
同じホテルに泊まればさすがに
怪しまれる。警察なんかに
連絡されたらかなり困るので、
毎日違うホテルに泊まっていた。
今日も何もできないままか……
あたしはホテル探しのため
立ち上がろうとした。
その瞬間強烈な眠気に襲われた。
:11/02/16 21:00
:840SH
:30baR7.c
#10 [愛華]
「うわ…………っと」
反射的にベンチにまた座りこむ。
あー…最近あまり寝れてないし…
てゆーか……寝てる場合じゃ…
必死に起き上がろうとするが
体が言うことをきかない。
どんどん夢の中に引き込まれる。
:11/02/16 21:13
:840SH
:30baR7.c
#11 [愛華]
気がつくと眠りについていた。
相当疲れていたらしく、
あたしは夢を見なかった。
ぐっすりと眠れるのは
本当に久しぶりで。
夢を見ないことはありがたい。
お母………さん。
今、どこにいますか………?
:11/02/16 21:39
:840SH
:30baR7.c
#12 [愛華]
'
触らないで。
お願いだからあたしに触らないで
あたしの心に入ってこないで。
あたしは一人で…大丈夫だから。
:11/02/16 21:50
:840SH
:30baR7.c
#13 [愛華]
'
「………大丈夫、ですか?」
………うるさいな。
「風邪ひきますよ……」
わかってるよ。今起きるから。
:11/02/16 21:56
:840SH
:30baR7.c
#14 [愛華]
「あの…………」
「だーっ!!うるっさいな!!
起きるって言ってんでしょ!?」
飛び起きると周りは真っ暗。
………あれ?
子供もいない。
耳障りな自転車のベルも。
いつのまにか太陽も沈んでいた。
:11/02/16 22:00
:840SH
:30baR7.c
#15 [愛華]
あたしどのくらい寝てた…?
寝不足って怖いな………。
「……あの、すいませんでした」
「へ?」
隣を見ると見知らぬ男が。
いや、知ってるわけないけど…
けっこう背が高い。
余裕で185はあるんじゃないか。
:11/02/16 22:13
:840SH
:30baR7.c
#16 [愛華]
暗くてよく見えないけれど、
心配そうな顔をしている。
「あ、お兄さんが起こして
くれたの?ありがとね」
「いえ。余計なことをしたかと
思ったんですが………」
あ、そうか。怒鳴っちゃった…
でも怒ってないみたいだ。
よく見ると、制服を着ている。
高校生……?
それにしては口調が………
:11/02/16 22:45
:840SH
:30baR7.c
#17 [愛華]
「あの、家に帰ったほうが…」
「え?あ、そうだね」
今どきの男ってみんなこんな
もんなんだろうか?
堅苦しいな………
「……あ、お兄さん。ついでに
ここらへんで安くていいホテル
ないかなぁ?」
「…………ホテル、ですか…?」
:11/02/17 20:57
:840SH
:SVPXtlTg
#18 [愛華]
なんかめんどくさそうなので
さっさとここを去ろうと、
あたしは荷物を持って立ち上がる
そんなあたしを男はつま先から
頭のてっぺんまで見回す。
「……なに?なんかついてる?」
「旅行………というよりは
家出って感じですね?」
わぉ。
:11/02/17 21:02
:840SH
:SVPXtlTg
#19 [愛華]
男は隣のベンチに腰を下ろした。
外灯のおかげで今ははっきり
顔が見える。
少し幼い感じの顔。
それでも男っぽい感じはする。
「………お兄さん、勘いいね。
ピンポーン。でもちょっと違う。
あたしは家出っていうよりも
逃げてきたの」
「君、名前は?」
:11/02/17 21:15
:840SH
:SVPXtlTg
#20 [愛華]
「人に名乗らせたいならまず
自分から、が基本でしょ?」
なんかめんどくさいことに
なっちゃったけど………
警察にでも連れていかれたら
こっちが困る。
適当にあしらってすぐに
この公園を出よう。
でもあたし自身、
この3日間、まともに人と
話していなかったから人の声が
恋しかったのかもしれない。
:11/02/17 21:26
:840SH
:SVPXtlTg
#21 [愛華]
「……俺は天宮滝(あまみやたき)
普通の高校1年生です」
「何歳?」
「15です」
「嘘、同い年じゃん。てゆか
なんでそんな喋り方?」
「知らない人には敬語を使う。
最低限のマナーですよ」
そういって天宮はにっこりと
笑った。
:11/02/17 21:33
:840SH
:SVPXtlTg
#22 [愛華]
高校生としては幼い顔。なのに
大人のような喋り方。
どれが本当の天宮なのか
わからなかった。
「天宮の趣味は?」
「趣味……料理とかですかね」
「料理?」
「まぁ色々あって親と喧嘩
しまして。ただ今一人暮らし中
なんですよ」
「ふーん……」
:11/02/17 21:40
:840SH
:SVPXtlTg
#23 [愛華]
この男は見ず知らずのあたしに
なんでこんなこと教えてくれるんだろうか?
趣味とか聞いてるあたしも
あたしだけれど。
「ではあなたの事を聞いても?」
時計を見ると午後8時。
そろそろ本当にホテル探さなきゃヤバいな………
あたしは荷物をもう一度
しょいなおした。
:11/02/17 21:46
:840SH
:SVPXtlTg
#24 [愛華]
「………天宮。多分もう
会うことはないだろうけど…
一応教えてあげるよ。
あたしは羽田陽向。
脱獄中の15歳だよ」
「だつ………ごく!?」
「あはは、違うよ。」
あたしは荷物の重さを肩で
感じながら入口へ歩きだす。
:11/02/17 21:52
:840SH
:SVPXtlTg
#25 [愛華]
入口まで歩いてくると、
まだベンチに座ったままの
天宮のほうを振り返った。
天宮はただあたしを見つめる。
「………地獄を脱する、で脱獄。
あたしは地獄から逃げてきたの。
さよなら、天宮」
これが、あなたとの出会いでした
:11/02/17 21:58
:840SH
:SVPXtlTg
#26 [愛華]
第2章 -落下物語-
:11/02/18 20:19
:840SH
:5o3u9M7Y
#27 [愛華]
「この女性、ここにいますか?
ここで働いてるって聞いて
きたんですが………」
「………えーと…すいません。
ここにはいませんが………
失礼ですが、お母様ですか?」
「あ、いえ!多分、場所を
間違えたんだと思います。
お手数おかけしました」
そういってあたしは素早く
お母さんの写真をしまうと
その建物からでていった。
家から逃げてきて10日。
今だお母さんとは会えない。
:11/02/18 20:29
:840SH
:5o3u9M7Y
#28 [愛華]
お母さんは介護福祉士の資格を
持っていたので、その系統の
仕事をしていると予想。
シラミ潰しに老人ホームや
介護施設をまわっている。
が、会えないまま…………。
「………ホテル暮らしにも
飽きてきたしなぁ………」
残りのお金も少なくなってきた。
:11/02/18 20:39
:840SH
:5o3u9M7Y
#29 [愛華]
第一情報が少なすぎる!!
この町にいるかどうかも定かじゃないし介護の仕事してるかも
わかんないし…………。
「………あーっ!!もう!!
イライラする!!イライラ!!
ってかそこのガキ!!そんな
見るな!!喧嘩売ってんのか!」
ごみ箱をけっとばして、
下校途中の小学生に八つ当たり。
:11/02/18 20:45
:840SH
:5o3u9M7Y
#30 [愛華]
我ながら最低なやつだと思う。
見つからないから諦める…?
そんなことできるわけない。
帰る場所なんてあたしにはない。
頼るひとはお母さんしかいない。
それまで、ひとりで。
頑張らなきゃいけないの。
あたしはお母さんに会うために
今まで生きてきたの。
:11/02/18 20:51
:840SH
:5o3u9M7Y
#31 [愛華]
「…………行かなきゃ」
あたしは立ち上がると、次の
施設に向かった。
頼るひとなんていない。
いらない。必要ない。邪魔。
それでも会うと決めたひとが
心にいるから。 だから
あたしは今日も歩いていける。
:11/02/18 20:55
:840SH
:5o3u9M7Y
#32 [愛華]
あたしは施設に入ると、ホールにいる女の人のもとへ向かった。
「すいません。ここでこの女性
が働いてると聞いたのですが…」
女の人はにっこり微笑むと、
優しくあたしに話しかける。
「お母様ですか?お名前は?」
「あ、羽田みちると言います」
:11/02/18 21:02
:840SH
:5o3u9M7Y
#33 [愛華]
「羽田みちるさん………
ここではそのような方は
いらっしゃいませんが……」
ここもか………。
いないならいい。
あたしはさっさと帰ろうと
振り返ると、そこには2人の
警官が立っていた。
………………は?
:11/02/18 21:06
:840SH
:5o3u9M7Y
#34 [愛華]
「………なんですか?」
大丈夫。落ち着け。
あたしが家出したってばれてる
わけじゃないんながら。
連れていかれるわけじゃない。
堂々としていなきゃ………。
それでも心臓は鳴り止まない。
「……君、お母様を探されてる
んですよね?」
:11/02/18 21:15
:840SH
:5o3u9M7Y
#35 [愛華]
「えっと…………」
「最近、色んな介護施設に女の子がお母さんを捜しに来ているって話を聞きましてね。
最近家出とかそういうもので
お母さん頼ってくる未成年の子が増えてまして…………」
………ちょっと、やばいかな?
いや、ちょっとじゃない。
コレかなりヤバいな。
:11/02/18 21:20
:840SH
:5o3u9M7Y
#36 [愛華]
髭の生えた二人の警官は
あたしに手を伸ばす。
あたしはそれを反射的に避ける。
「……家出なんかじゃないです」
「じゃあなぜお母さんを?」
「えっと………」
警官は顔を見合わせると、
あたしに1歩近づき、さらに
手をつかもうとした。
:11/02/18 21:25
:840SH
:5o3u9M7Y
#37 [愛華]
「話聞かせてもらえるかな?
君の力にもなれるからね」
………連れてかれる!!
そう思った瞬間。
聞いたことのある声がした。
「なにやってんだよ、夏子」
「……………は?」
:11/02/18 21:28
:840SH
:5o3u9M7Y
#38 [愛華]
その声のするほうを向くと、
やっぱり見たことのある顔。
天宮滝。
天宮はゆっくりあたしと警官の
ところに歩いてきた。
「………妹が、なにか?」
「そちらはお兄さんで……」
「はい。」
:11/02/18 21:35
:840SH
:5o3u9M7Y
#39 [愛華]
おいおい何いってんの?
つーかこの状況なに?
誰よ、夏子って。
「この子ね、お母さん捜しに
色んな施設まわってるんだって。お兄さん知ってた?」
「あー…知りませんでした。
うちは母子家庭なもので、母が
家を空けがちでして…………。
寂しかったんだと思います」
「お兄さんならしっかり妹さんの世話してあげないと。」
:11/02/18 22:33
:840SH
:5o3u9M7Y
#40 [愛華]
「はい、すいませんでした。
ほら夏子。お前も。」
だから夏子って誰。
でも天宮があたしを助けようと
してくれてるのはわかった。
警官たちも天宮の登場によって
今は1歩下がっている。
今はのっかったほうがいい。
「……すいませんでした」
:11/02/18 22:38
:840SH
:5o3u9M7Y
#41 [愛華]
あたしは頭を下げる。
あれ、あたしなんで謝ってんの?別に悪いことしてないのに。
それでもあたしが謝ると、警官は満足そうな顔をしていた。
「それじゃ帰るぞ、夏子」
「あ、はい!!」
天宮はあたしの手を引っ張る
ようにして歩いていく。
:11/02/19 14:21
:840SH
:VlElYrtI
#42 [愛華]
何も言わず歩き続ける天宮。
それに何も言えずついてくあたし
行き着いた先は公園だった。
天宮と出会った公園。
「…………ぶはっ!!」
あたしは緊張の糸が切れたことでたまらず吹き出してしまった。
:11/02/19 14:49
:840SH
:VlElYrtI
#43 [愛華]
「!なに笑ってんですか!!」
「だって!!夏子って誰!!
はははは!!お腹痛い!!」
「だって名前出すと困るかと…」
「ちょ、息できない……」
あたしがひーひー言ってる横で
怒ったような顔をしてる天宮。
こうしてはっきりと面とむかって話すのは初めてだ。
:11/02/19 14:54
:840SH
:VlElYrtI
#44 [愛華]
「…天宮はなんであそこに?」
「たまたま通りかかったら、
外から警官と女の子がもめてる
のが見えまして。よく見たら
陽向さんだったので………」
「そっか。助けてくれて
ありがとう。助かったよ」
あたしがそう言うと、天宮は
初めて会った時のように
ゆっくり微笑んだ。
よく見たらちゃんと男だ。
(当たり前だけど…。)
:11/02/19 15:06
:840SH
:VlElYrtI
#45 [愛華]
大人っぽくて……
幸せそうなひと。
「それじゃ、あたし行くね」
「行くってどこにですか?」
「それは天宮には関係ない」
「関係ないとかそういう問題
じゃないで…………しょっ」
「…………いった!」
:11/02/19 16:21
:840SH
:VlElYrtI
#46 [愛華]
天宮に持ち上げられたあたしの腕に激痛が走る。
長袖のTシャツからは血が
じんわりとにじんでいた。
「この暑いのに長袖なんか変
だと思ったんですよ。
どうしたんですか、これ?」
「だから関係ないってば…」
「家で手当してあげますから。
来てください」
「余計なお世話」
:11/02/19 16:25
:840SH
:VlElYrtI
#47 [愛華]
あたしがそう言うと、天宮は
悲しそうな目であたしを見る。
べ、別にあたし間違ったことは
言ってないし…………
そんな目で見ないでよ。
「………だ、だいたいなんで
あたしにそんなかまうの?
赤の他人でしょ?あたしたち」
「……………」
:11/02/19 16:41
:840SH
:VlElYrtI
#48 [愛華]
「家出娘がめずらしい?
なんかいやらしいことしようとか考えてんじゃないのー?」
「……………」
笑えよ、馬鹿。
天宮の無言の圧力が重い……。
「………手当だけですから。
させてもらえますか?」
「……………やだ」
:11/02/19 16:49
:840SH
:VlElYrtI
#49 [愛華]
「なにもしませんから」
あたしは自分の傷を見る。
治療道具なんかにお金なんか
使いたくないし…………。
頼るわけしゃない。
利用させて、もらうだけ。
「じゃあ………包帯だけもらう」
「………!!十分です」
天宮は満面の笑顔を浮かべた。
:11/02/19 22:02
:840SH
:VlElYrtI
#50 [愛華]
天宮って………変。
まぁいいや。包帯だけもらって
さっさとホテルに戻ろう。
天宮と一定の距離を保ちながら
一緒の道を歩く。
日は暮れはじめていた。
横から見る天宮はよく見ると
綺麗な顔立ち。
きっとモテるんだろうな。
学校でもこんな喋り方なのか?
………どーでもいいか。
:11/02/19 23:38
:840SH
:VlElYrtI
#51 [愛華]
「そこらへんに座って下さい」
そんなことを考えてるうちに
いつのまにか天宮の家についた。
そこまで広くはないけど、
一人暮らしには十分なマンション
知らない家の匂いがする。
あたしはふかふかのソファに
遠慮がちに腰を下ろした。
「……あれ、救急箱………」
:11/02/20 12:32
:840SH
:EuWhtOcA
#52 [愛華]
「救急箱ないの?」
「いや、確かここに…あった!」
天宮は戸棚の中から白いケースを取り出した。
それを持つと、あたしの隣の椅子にゆっくり座った。
「…………手、出して下さい?」
「…………お願いします…」
天宮はちょっとだけ微笑むと
包帯を丁寧にほどいてゆく。
:11/02/20 12:38
:840SH
:EuWhtOcA
#53 [愛華]
なんか……………変な感じ。
人にこんなに優しく触れられたのなんていつぶりだろうか?
「……ずいぶんずさんな包帯の
巻きかたですね……」
「悪かったね」
天宮は包帯を取ると、むきだしになっている傷に消毒していく。
「……新しい包帯だけくれれば
それでいいって言ったじゃん」
:11/02/20 12:43
:840SH
:EuWhtOcA
#54 [愛華]
「そんなんだったら、ずっと
治らないままですよ!化膿してるじゃないですか………
見たところ切り傷ですけど…
どこでどうやってこれを?」
天宮は真剣な顔で聞く。
「……前の家でちょっとね」
あたしがそう言うと、天宮は
「そうですか」とだけ言った。
傷は綺麗なガーゼを当てられ、
綺麗な包帯で包まれていく。
:11/02/20 12:51
:840SH
:EuWhtOcA
#55 [愛華]
天宮は器用だった。
手当が終わると、血で汚れた
あたしのTシャツを水で洗って
くれた。貸してもらった天宮の
Tシャツは甘い匂いがした。
知らない家の匂いにも慣れた頃。
「………さて。そろそろ
聞かせてもらえますか?」
紅茶を飲みながら天宮が言った。
:11/02/20 14:39
:840SH
:EuWhtOcA
#56 [愛華]
「………聞くってなにを?」
「あなたの家出の理由です」
あたしは飲んでいた紅茶を
吹き出しそうになった。
「……だから天宮には関係ない!Tシャツ貸してくれたり
手当してくれて感謝してるよ。
でもそこまで話せる程、あたしはあんたのこと信用してない!」
「関係ない、ね………」
:11/02/20 14:47
:840SH
:EuWhtOcA
#57 [愛華]
「Tシャツ乾いたら出ていく。
もう会う事なんてないんだから
話す必要なんてないよ。」
「手当して、警察から助けたのに関係ないってことはないでしょ」
天宮はずいっと顔を近づける。
真っすぐな天宮の目に吸い込まれそうになる。
……近い……それに
綺麗な目してるな………。
じゃなくて!!
:11/02/20 14:54
:840SH
:EuWhtOcA
#58 [愛華]
「……俺が警察に言っても
いいんですよ?あなたのこと」
天宮はにっこり微笑む。
今はその笑顔がカンに障る。
「あんた………見かけによらず
嫌なやつだね。最悪」
「なんとでもどーぞ。さ、
話してくれますね?」
………隠すほどのことじゃない。話し終わったらすぐ帰ろう。
それでも思い出すのは嫌だな。
:11/02/20 17:41
:840SH
:EuWhtOcA
#59 [愛華]
あたしは息を吐く。
「…簡単にいうと。家庭内暴力。お父さんからのね。っていっても本当のお父さんじゃないけど」
「………暴力……」
天宮は信じられない、といった
顔をした。当たり前だけど……
:11/02/20 17:46
:840SH
:EuWhtOcA
#60 [愛華]
そう。
あたしはお父さんから暴力を
毎日のように受けていた。
お母さんが再婚した男性は
酔うと暴力を振るう男だった。
お母さんはそれに耐え兼ね、
お父さんと離婚した。
お母さんはあたしを引き取ると
いって聞かなかったけれど、
お父さんがあたしを引き取ることそれが離婚の条件だった。
暴力の対象はあたしになった。
:11/02/20 17:50
:840SH
:EuWhtOcA
#61 [愛華]
傷にならないレベルの最高の暴力を毎日受けつづけた。
そしてあの日。
「……酔ったお父さんが刃物
持ち出して腕切り付けられたの。殺される、って思った。
それで急いで荷物まとめて
逃げてきたってわけ。」
あたしは辛い記憶は飛ばしながら天宮に過去を話した。
:11/02/20 17:55
:840SH
:EuWhtOcA
#62 [愛華]
「これで満足?天宮」
「……………」
天宮は何もいわず下を向いたまま引かれたな、こりゃ。
あたしは乾いたTシャツを手にし家を出ようと立ち上がった。
すると天宮も急に立ち上がる。
「………わ!びっくりした。
急に立ち上がんないでよ…」
:11/02/20 18:00
:840SH
:EuWhtOcA
#63 [愛華]
「………よし!決めた!」
「は?決めたって何を……」
天宮はさっきよりももっと
優しい笑顔を見せた。
そしてまた顔を近づける。
だから近いっつの!
おでこくっつくっつの!
それにしても綺麗な目……
じゃなくて!!
そんなことを考えていると、
天宮の目があたしの目を捕らえた
:11/02/20 18:15
:840SH
:EuWhtOcA
#64 [愛華]
「………陽向さん」
「な、なに………」
天宮は甘くていいにおいがした。優しいお日様みたいなにおい。
「……ここで暮らしませんか?」
「……………は?」
それは天宮がお日様みたいな
人だったからかな。
:11/02/20 18:31
:840SH
:EuWhtOcA
#65 [愛華]
いったんきります。
>>51-65読んで下さってる方がいたら
感想下さると嬉しいです。
:11/02/20 18:34
:840SH
:EuWhtOcA
#66 [ゆず]
:11/02/20 19:38
:P03A
:oJDWQc6I
#67 [愛華]
>>66 ゆず様
とても嬉しいです
ありがとうございます!!
感想板にもぜひ来てみて
下さいね(^-^)
:11/02/20 20:57
:840SH
:EuWhtOcA
#68 [愛華]
第3章 -特別恋愛-
:11/02/20 21:02
:840SH
:EuWhtOcA
#69 [愛華]
『家族』
それがどんなものかと聞かれたら
多分こんなものなんじゃないか。
あたしはそう思った。
あんたに会って、そう思った。
「陽向さーん。朝ですよー」
「眠い………」
「俺、学校あるんですから。
朝ごはん片付きませんよー…」
:11/02/20 21:08
:840SH
:EuWhtOcA
#70 [愛華]
「わかったよ、うっさいな」
あたしは布団から出ると、
ドアの鍵を開けて、リビングに
出た。テーブルには天宮がいる。
「……おはようございます!」
「うん。おはよう」
天宮と暮らしはじめてから2週間
ドアの鍵は閉めたまま眠る。
:11/02/20 21:12
:840SH
:EuWhtOcA
#71 [愛華]
ほかほかのごはんに目玉焼き。
そのあたたかさが嬉しい。
「いただきまー……」
あたしが食べようとすると
天宮が皿をひょいっと取り上げる
「ちょっと、何すんの」
「さっき起こしてあげた時。
『うっさい』ってことは
ないんじゃないですか?」
「人間小さいよ、天宮」
:11/02/21 22:58
:840SH
:RLLSXJ5o
#72 [愛華]
「はい、ごめんなさいは?」
………お前は親父か。
「悪かったってば…あたしが
朝弱いの知ってるでしょ?」
「謝る時は目を見て!!」
天宮はあたしの顔をぐいっと
自分の顔に近づける。
だから近いっつの!!
天宮はたまになんのためらいも
なくこうやって顔を近づける。
天宮との距離数センチ。
:11/02/21 23:03
:840SH
:RLLSXJ5o
#73 [愛華]
「ごめ……なさ…い」
「はい、いいですよ!」
天宮はにっこり笑うと
水玉のエプロンを外して
朝食を食べ始めた。
天宮はたった2週間であたしの
心をときほぐしていった。
まるで本当の家族に接するような
そんなあたたかさで。
:11/02/21 23:08
:840SH
:RLLSXJ5o
#74 [愛華]
'
「一緒に暮らす?何言ってんの」
あたしは手当を終えたばかりの
腕をぎゅっと握りしめる。
「だって行くとこないんでしょ?ここなら部屋はありますし。
お母さんを探すのだって俺、
手伝いますから」
:11/02/21 23:11
:840SH
:RLLSXJ5o
#75 [愛華]
何言ってんの、この男。
「…………そんなことして。
あんたになんの得があんの?」
「そんなの考えてないです」
「じゃあ、同情?」
「残念、それも違います」
「じゃあ何が目的」
「なんだと思います?」
天宮は優しく笑った。
:11/02/21 23:14
:840SH
:RLLSXJ5o
#76 [愛華]
あたしの胸がきゅうっとなる。
しめつけられるような………
「………助けたい。だけです」
天宮はあたしをゆっくりと
同じ目線で抱きしめた。
あたしよりもずっと大人で
包みこんでくれるあたたかさ。
こんな温もりを忘れていた。
ずっと昔のどこかに置いてきて
しまっていたもの。
:11/02/21 23:18
:840SH
:RLLSXJ5o
#77 [愛華]
信用するわけじゃ、ない。
でも少しなら。
お母さんと同じにおいのする
このひとなら。
見知らぬ土地で出会った人。
だけどこのひとなら。
頼るわけじゃ、ない………。
利用するだけ…………。
あたしは天宮の背中に手を回す。
なぜかわからないけれど、
一粒だけ涙が流れた。
:11/02/21 23:22
:840SH
:RLLSXJ5o
#78 [愛華]
'
まぁそんな感じで始まった
あたしと天宮の2人暮らし。
あたしが一方的に居候してる
だけだけれども………。
この2週間で『天宮』という
人間の優しさにたくさん触れた。
:11/02/21 23:25
:840SH
:RLLSXJ5o
#79 [愛華]
それは強張ったあたしの心を
ほぐすのには十分な温かさで。
あたしは心のどこかで寂しかった
頼る人が誰もいない土地で
ただお母さんを心に想うことで
自分を保っていた。
完全に信用したわけじゃない。
でも。
天宮なら大丈夫なんじゃないか
あたしの何かがそう言ってる。
だから、それに従う。
:11/02/21 23:29
:840SH
:RLLSXJ5o
#80 [愛華]
「それじゃ、陽向さん。
行ってきますね。」
「掃除しといたほうがいい?」
「気が向いたらでいいですよ」
ぽん、と頭にのせられた手。
そこだけが熱くなる感覚。
「それじゃ」
ガチャン………
:11/02/21 23:36
:840SH
:RLLSXJ5o
#81 [愛華]
天宮が学校に行った後の部屋は
ひどく寂しくて、冷たい。
……ペットってこんな気持ち
なんだろうか………。
お兄ちゃんがいたら、
あんな感じなのかな?
天宮を信じたい。
でも、どこかで裏切られるのを
恐れている自分がいる。
天宮はあたしのこと、
どう思ってるんだろう………
:11/02/21 23:41
:840SH
:RLLSXJ5o
#82 [愛華]
見ず知らずのあたしにここまで
してくれるそんな天宮の気持ちがわからなくてこわい。
天宮はあたしを拾ってくれた。
それを後悔してないのかな……
あたしはいつものように
お風呂を洗ったり、掃除をしたりして1日を過ごした。
もう慣れたことだけど、
しばらく外に出てないなぁ…
:11/02/22 23:53
:840SH
:Ol2UrkHs
#83 [愛華]
贅沢は言えないけれど。
お母さんも探さなきゃいけない。
1人の時にふいに沸く孤独感。
それがたまらなくつらい。
あたしの居場所は……どこ?
そしてまた日がくれてゆく。
自分の在るべき場所に迷って
今感じているあたたかさに
戸惑いながら。
:11/02/22 23:58
:840SH
:Ol2UrkHs
#84 [愛華]
「ただいま……って暗っ!!」
「………んー……」
目がチカチカする……
「電気もつけないでまた寝て…
女の子がこんなとこで寝ちゃ
ダメですよ?」
目を開けると帰宅した天宮が
カーテンをしめていた。
「あ………おかえりなさい」
:11/02/23 00:04
:840SH
:cnjmFwTM
#85 [愛華]
「はい。ただいま」
天宮はにーっと笑う。
あたし、いつのまにか
寝ちゃってたのか………。
天宮はちゃちゃっとパスタを
作り、あたしをテーブルに
つかせた。
天宮は『帰ってきたらまずご飯』をモットーとしている。
この2週間で気づいたことの1つ
:11/02/23 00:08
:840SH
:cnjmFwTM
#86 [愛華]
出来立てのパスタはおいしい。
なにより誰かと食事を共にする
ことが最高に嬉しかったりする。
「ね、天宮。学校って楽しい?」
「そうですね。楽しいですよ」
「お友達とかいる?」
「もちろん」
「女の子も………いる?」
「……あ、ヤキモチですか?」
:11/02/23 00:14
:840SH
:cnjmFwTM
#87 [愛華]
「違うよ、ばーか」
「なーんだ」
こうやって誰かと笑いながら
話せるなんて………
1人の時は思ってなかったな。
「あたし、友達いないからさ。
うらやましいなって思って」
「………学校、行きたい?」
「うーん、どうだろう…」
あたしが困ったように笑うと
天宮は悲しそうな顔をした。
:11/02/23 00:18
:840SH
:cnjmFwTM
#88 [愛華]
あたしはそれに気づかない。
「……あ、陽向さん!!
今度の日曜日出かけません?」
天宮が思い出した様に言った。
「え、どこに?」
「陽向さんの服とか買いに。」
「そんなの………いいよ」
ただでさえ迷惑かけてるのに。
金銭面でも迷惑はかけられない。
:11/02/23 00:48
:840SH
:cnjmFwTM
#89 [愛華]
「なにいってんですか!
お金のことなら気にしなくても
いいんですよ」
「でも…………」
「陽向さん」
天宮はフォークを置くと、
あたしを真っ直ぐに見つめる。
「………遠慮されると壁を
感じます。俺はそれがいやです。もっとわがまま言って下さい」
:11/02/23 15:10
:840SH
:cnjmFwTM
#90 [愛華]
天宮の澄んだ目で見つめられるとあたしは何も言えなくなる。
「……あ、まみや…」
「はい?」
「あのね、1回しか話さないからちゃんと聞いていてね」
「……?はい。」
あたしは天宮の目は見れなくて
下を向いたまま声を出す。
:11/02/23 15:18
:840SH
:cnjmFwTM
#91 [愛華]
「……あたし、天宮にはすごく
感謝してるんだ。行くとこない
あたしを拾ってくれて………
こんなに優しくしてくれて。
上手く表せてないかもだけど
ほんとに感謝してるの」
「……………」
「でも、今までが辛かったから
人を頼るのとか……信頼するの
とかにちょっと抵抗があって。
それが天宮にとって『壁』に
感じてるなら………ごめんね」
:11/02/23 15:23
:840SH
:cnjmFwTM
#92 [愛華]
「陽向さん………」
「あ……たしは……。
天宮をちゃんと心から信頼
できるように……頑張るから」
………い、言えた……。
天宮はどう思ったかな……。
チラッと天宮を見ると、天宮は
いつもの笑顔であたしを見ていた
優しくてあたたかい笑顔。
:11/02/23 15:28
:840SH
:cnjmFwTM
#93 [愛華]
「……陽向さん。ここおいで」
天宮はにっこり笑いながら
自分の膝を指さす。
「へ、ここ……って」
「こーこ!」
あたしは手をぐぃっと引っ張られ
気がつくと天宮の膝の上にいた。
「……ちょ、なにすんの!」
「はい、ぎゅー」
:11/02/23 15:31
:840SH
:cnjmFwTM
#94 [愛華]
そう言ってあたしを抱きしめる
天宮はまるでお兄ちゃん。
同じ年なんだけどなぁ……
てか何も知らないひとがこれを
見たら勘違いするような……
まぁいっか……
だって嬉しいんだもん。
あたしも同じように天宮に
ぎゅーっとした。
天宮はそれに驚いたようで
手の力が少しだけ緩む。
:11/02/23 15:39
:840SH
:cnjmFwTM
#95 [愛華]
サラサラの天宮の髪。
甘いにおい。そして
意外と広い肩幅。がっしりした手やっぱり天宮は男なんだと
実感したりする。
「……頑張らなくていいです」
「え?」
「陽向さんに信頼してもらえる
ように頑張らなきゃいけないのは俺なんですから。ね?」
「………うん。」
:11/02/23 15:47
:840SH
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#96 [愛華]
1人の部屋は寒いけれど
2人ならあたたかい。
忘れていた幸せがここにある。
それをくれた天宮を信じたい。
天宮にも幸せを感じて欲しい。
あたしはどうすればいいかな…?
そして日曜日。
:11/02/23 20:21
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#97 [愛華]
「陽向さーん!起きてー!」
「……うぁーい……」
いつもの天宮の声。
あたしはいつものように鍵を開けリビングに出る。
時計を見ると、午前11時。
「陽向さん、よく寝ますね…
具合でも悪いんですか?」
「ん?大丈夫だよ」
:11/02/23 20:30
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#98 [愛華]
あたしは、あくびをしながら
頭をボリボリとかいた。
「ほんとですか?ちょっと
こっちむいてください」
天宮のそんな言葉とともに
次に目を開けると、目の前には
天宮の心配そうな顔。
「………ぬぉっ!!」
「あ、顔色は普通ですね。
むしろ赤い感じだし……」
「近いんだっつの!!
あんたそれ無意識なわけ!?」
:11/02/23 20:39
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#99 [愛華]
「?なにがですか?」
「だ、だからなんでそんなに
顔をち、かづけ………」
「なに?きこえませんよ」
そういってまた顔を近づけようとする天宮に顔が熱くなる。
このやろ〜……
ドゴッ!
「だからその癖なおせボケ!!」
:11/02/23 20:47
:840SH
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#100 [愛華]
あたしは天宮を一発殴ると
着替えるために部屋に戻る。
後ろから天宮のクスッと笑う
声が聞こえた気がした。
ほてった顔を冷ますように
手で扇ぎながら鏡を見つめる。
今日は、天宮とお出かけです。
:11/02/23 21:11
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