僕⇒俺
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#400 [まリな]
頑張ってください(^o^)x
:08/03/20 16:21 :W51H :☆☆☆
#401 [氷雨]
まリなさん
アリガトウ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「それじゃあ、また明日」
俺は葉山さんを家まで送り挨拶する。
葉山さんは玄関の前に立ち止まって動かない。
「葉山……さん…?」
俺は不思議に思って尋ねた。
葉山さんは俺の方を振り向くと不安そうな顔で俺に言う。
:08/03/23 23:34 :D704i :☆☆☆
#402 [氷雨]
「陽……?あの子と付き合わないよね?」
俺はあの子がわからずにハテナ顔をする。
葉山さんは俺の表情をみて、にっこり笑った。
「ごめん……不安になっただけだよ」
苦笑いすると「また明日ね」といい家の中に入った。
:08/03/23 23:37 :D704i :☆☆☆
#403 [氷雨]
「不安………?」
閉まった扉を見つめたまま呟き、しばらく考えたあと家へと足を動かした。
――――――………
「なあ…付き合わないよね?ってどういう事……?」
今日は親がいないらしいので出前ピザを三依と食べている。
「は……?突然なに言ってんの?」
:08/03/23 23:53 :D704i :☆☆☆
#404 [氷雨]
以前よりも仲良くなったとはいえ口の悪さの直っていない妹にガンをとばされる。
「いや……友達に言われたから…」
俺はつい口に出てしまった言葉の言い訳を考える。
「友達って女?」
三依は何か分かったのか正解を口にした。
:08/03/23 23:56 :D704i :☆☆☆
#405 [氷雨]
「うん!!なんだか気になってさ……」
三依にすがるように答えを待った。
三依は、はぁっとため息をついた。
「まぁ……確定とは言わないよ?けどさ、んな事女が男に言うって事は気があんじゃない?」
三依はさも当たり前のように重要な事を口にした。
:08/03/24 00:00 :D704i :☆☆☆
#406 [氷雨]
「へ……………………?」
俺の思考回路は止まり、すぐにフル回転した。
俺が?葉山さんが?
え……………?
フル回転したといっても突然の事で理解できない。
「まあさ……身なりが良くなった、モデルだからって、近寄ってくる女かもしれないから気をつけてーーー」
:08/03/24 00:04 :D704i :☆☆☆
#407 [氷雨]
三依はピザも食べ終えて俺にくぎを差すと部屋へと上がった。
「身なり………、モデルだから……?」
俺は葉山さんの最初の言葉を思い出した。
――【調教】――
葉山さんに俺への気持ちはない。
:08/03/24 00:07 :D704i :☆☆☆
#408 [氷雨]
葉山さんの事が好きだと認めたくなかった。
けれど、雅さん達に暴かれた。
三依は気があるんじゃ…と言った。
けれど、葉山さんに俺への気持ちはない。
「はは………何、傷ついてんだろ?」
俺は知らぬ間に葉山さんを好きになってたんだ。
:08/03/24 00:12 :D704i :☆☆☆
#409 [氷雨]
葉山さんにとって俺はただの遊び道具だった?
深い不安感は底を知らずにただただ深みへ深みへ俺を案内する。
そんな時、メールの届く音がした。
画面を見ると……
――北原 愛美――
そして、俺は最低な事をしたんだ……
:08/03/24 00:22 :D704i :☆☆☆
#410 [氷雨]
:08/03/24 00:25 :D704i :☆☆☆
#411 [我輩は匿名である]
:08/03/24 02:11 :D903i :☆☆☆
#412 [我輩は匿名である]
:08/03/24 02:21 :D903i :☆☆☆
#413 [こ]
あーげ
:08/03/24 22:34 :SH905i :☆☆☆
#414 []
:08/03/24 23:32 :D902iS :☆☆☆
#415 [氷雨]
我輩サン こサン
サン
ありがとうございます
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄届いたメールには
―――From 北原 愛美―――
今日
はすみません
勝手に学校まで行ったばかりか
なんだか感情的になってしまって
邪魔しちゃいました
ごめんなさい
――――――――――――――
そこには謝罪の言葉が書かれていた。
:08/03/25 21:55 :D704i :☆☆☆
#416 [氷雨]
―邪魔―
その言葉に胸を傷ませながら乾いた笑いをもらす。
「はは…邪魔なんて……」
葉山さんは何とも思っていない。
俺…俺は何がしたいんだろう。
北原さんから来たメールをジッと見つめた。
:08/03/25 21:59 :D704i :☆☆☆
#417 [氷雨]
そして指を動かす。
――― To 北原 愛美 ―――
大丈夫だよ
邪魔なんて…全くそんな事ないから
気にしないで
――――――――――――――
ごく普通に返したつもりだったんだ。
:08/03/25 22:13 :D704i :☆☆☆
#418 [氷雨]
俺はメールを返すと携帯を遠くに投げた。
なんだか携帯が怖かった。
けれど、すぐに返事がくるとまた携帯を手にする。
―――From 北原 愛美―――
え
そうなんですか
なんだか期待しちゃいます
(笑)
大切だと聞いたので
付き合ってるのかと
あの…電話してもいいですか
――――――――――――――
:08/03/25 22:28 :D704i :☆☆☆
#419 [氷雨]
「え?電話…!?」
俺はメールを見て驚き、考えた。
メールすら苦手なのに?電話ができるかな?
俺の胸はドキンドキンとなった。
女の子と電話…?
:08/03/25 22:41 :D704i :☆☆☆
#420 [氷雨]
少し緊張して震える手でメールを打つ。
――― To 北原 愛美 ―――
いいよ
――――――――――――――
打ったのは一言だけ……
緊張して何を送ればいいのかったわからなかったからなんだけど…
俺は携帯を握りしめて電話を待つ。
そして、ふと思った。
:08/03/25 22:56 :D704i :☆☆☆
#421 [氷雨]
こういうのって男がかけた方がいいんじゃ……!
そう思ったが、携帯が音と共に震えた。
画面には《北原 愛美》と出ていた。
「でないと………」
俺は震える手を抑えて電話にでた。
「はい」
:08/03/25 23:26 :D704i :☆☆☆
#422 [氷雨]
声は少し震えていた。
『あ……陽君…?』
北原さんはメールと違い大人しく返事した。
「うん、そうだよ…どうしたの?」
俺はさも慣れているかのように返事した。
どうして俺…意地張ってるんだろう?
:08/03/25 23:29 :D704i :☆☆☆
#423 [氷雨]
『あの陽君?また聞くけど…あの人とは何もないんだよね?』
北原さんが葉山さんの事を言っているのがすぐにわかった。
好きだと自覚したからかな?
俺は苦笑いした。
「うん、何もないよ?」
俺はこの時、すごく何もかもがどうでもよくなってた。
:08/03/25 23:36 :D704i :☆☆☆
#424 [氷雨]
葉山さんに直接聞いたわけでもなかったのに……
北原さんは少し黙った後、言った。
『私と付き合ってください』
「え?」
俺はすぐに聞き返してしまった。
そして、すぐに言う。
:08/03/25 23:39 :D704i :☆☆☆
#425 [氷雨]
「あ……俺、北原さんの事、知らないし…」
ありきたりな言葉を発していた。
北原さんはしばらく黙った後に言った。
「今から知ってほしいんだ。私も陽君の事、何も知らない…知りたいから付き合いたいの」
:08/03/29 20:23 :D704i :☆☆☆
#426 [氷雨]
俺は携帯の向こうで笑顔で微笑んで緊張しているであろう北原さんを想像した。
北原さんはすごいな……。
ただそう思った。
「俺さ…好きな人がいるんだ」
叶わない恋だけれど…
心で呟いた。
:08/03/29 20:25 :D704i :☆☆☆
#427 [氷雨]
葉山さんが頭に浮かぶ。
そして、小宮が笑う。
胸がズキリと傷んだ。
「北原さん………?」
何も喋らなくなった北原さんにはなしかける。
『あ……ごめんね。陽はその人と付き合うの…?』
北原さんは真剣な声で俺に言う。
:08/03/29 20:35 :D704i :☆☆☆
#428 [氷雨]
「付き合えない。たぶん無理なんだ」
俺は、はっきりと言葉にして返した。
『そっか…、陽君…試しでいいんだ。放課後に一緒に帰るだけで、それだけでいいから、付き合えないですか?』
北原さんの声はいつもより、今まで以上に真剣な声だった。
俺は黙ったまま考える。
:08/03/29 20:38 :D704i :☆☆☆
#429 [氷雨]
「けど……、俺…北原さんを利用してる…」
また違う痛みが陽を襲った。
利用なんてダメだ…
けれど、それ以上に心を傷んでいた。
『私は……陽君が隣にいるだけで幸せだと思うの…。側にいさせてください』
泣きそうに震える声で北原さんは言った。
:08/03/29 20:42 :D704i :☆☆☆
#430 [氷雨]
「俺でいいの?」
気づいた時にはそう言ってしまっていた。
すぐに
『陽君がいいの!!』
そう明るく嬉しそうな声が聞こえた。
:08/03/29 20:44 :D704i :☆☆☆
#431 [氷雨]
俺は最低な事をした。
気持ちを安易に考えたんだ。
俺は何も考えないで傷つけた。
:08/03/29 20:47 :D704i :☆☆☆
#432 [氷雨]
―――――――………
「陽兄ーーー!!起きろい!」
耳が張り裂けるように響いた声に俺は布団を蹴り上げた。
三依はけらけら笑い言う。
「へっへーー今日は私の勝ちーーー!!」
三依が先に起きている事なんて今の今まであっただろうか。
:08/03/29 20:50 :D704i :☆☆☆
#433 [氷雨]
「ほんとに………?」
俺は愕然とけらけら笑う三依を見上げた。
三依は偉そうに俺を見て、「やーーい、寝坊助」と笑った。
少しムカッときたけれど、三依らしいな、と俺は微笑んだ。
:08/03/29 20:53 :D704i :☆☆☆
#434 [氷雨]
「それでねー…」
三依は自慢気に言うとリビングまで溜めた。
リビングに近付くと何か匂いがした。
「朝ご飯!作ってみた!!」
扉をバンっと開けると、少しだけ焦げくさい、けれど美味しそうな匂いが鼻に届く。
:08/03/29 21:08 :D704i :☆☆☆
#435 [氷雨]
「ええぇえぇぇええーー!?」
俺は三依と立派な朝ご飯を交互に見て声をあげた。
三依はえっへんと鼻をこすり照れている。
「な、…………何かあったの………?」
そう普通に自然と声になる。
:08/03/29 21:11 :D704i :☆☆☆
#436 [氷雨]
「いや………んーー、陽兄…の初カノ祝いというか」
三依がもごもごと詰まりながら言った。
俺は嬉しいような痛いような感じを心に受けながら、「ありがとう」と極上の笑顔で答えた。
三依の朝ご飯は普通に美味しかった。
「美味しい」と言うと三依は本当に嬉しそうに笑顔で「ありがとう」と言った。
:08/03/29 21:16 :D704i :☆☆☆
#437 [氷雨]
学校への道を歩く。
「彼女かぁ………」
初めてなんだけどな……
俺は急に不安になり、頭痛がした。
一瞬……《葉山さんに相談》と頭によぎる。
最低だ。俺はダサい《のび太》のままだ。
:08/03/29 21:19 :D704i :☆☆☆
#438 [氷雨]
あれ?
そういえば…どうして三依、知ってたんだ?
少し俺は悩んだけれど、薄い壁のせいだと決めつけて、学校への道を急いだ。
―――――――………
学校はいつもと同じでザワザワとみんなの話し声が響いてる。
:08/03/31 12:15 :D704i :☆☆☆
#439 [氷雨]
「それでさーー!昨日の芸人でさ!!」
隣で小宮は大好きな芸人について語っているし、高槻は飽き飽きしながらも聞いてあげてる。
俺はそんな中、まだ姿を見せない葉山さんを心配してた。
もう……俺には関係ない人なのに……
:08/03/31 12:18 :D704i :☆☆☆
#440 [氷雨]
ずっと扉を見ていると、携帯が震えた。
画面には【北原 愛美】と出ていた。
―――From 北原 愛美―――
今日
学校
終わったら
陽君の学校まで行くね
――――――――――――――
俺の彼女か…………
初めての彼女……
:08/03/31 12:24 :D704i :☆☆☆
#441 [氷雨]
メールを見ながら呟いた。
そして、返事を送る。
――――To 北原 愛美――――
いいよ
俺が北原さん迎えに行く
ごめんね、気を使わせて
――――――――――――――
少しは彼氏らしい文になってるかな?
そんな事を思いながら俺は【送信】を押した。
:08/03/31 12:28 :D704i :☆☆☆
#442 [氷雨]
「なぁ…陽?葉山さんとはどなったの?」
突然の小宮の言葉にびくりと震えた。
小宮と高槻は昨日の事を心配してくれているのだろう。
「あーーー…仲直りしたよ」
俺はにっこり笑った。
それは本当の事だから。
:08/03/31 12:35 :D704i :☆☆☆
#443 [氷雨]
「マジ!?良かったーー!校門見たら知らない女の子いるし、葉山さん、走って帰るし、俺どうしようかと」
小宮は安心したように言うと笑った。
高槻も「俺も心配した」そう言って笑ってくれた。
すごくいい友達だ。
:08/03/31 12:40 :D704i :☆☆☆
#444 [我輩は匿名である]
:08/03/31 13:30 :D903i :☆☆☆
#445 [氷雨]
我輩サン
アンカーありがとう♪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「それでさ………」
小宮は含みのある言葉で俺を見た。
俺は目を丸くして「何…?」と答えた。
小宮の続きは予想もしていなかった言葉で…
:08/04/02 22:13 :D704i :☆☆☆
#446 [氷雨]
「あの女の子、誰っ?」
と、いう興味津々で明るい声の質問だった。
俺は一瞬にして【北原さん】だとわかった。
い…言うべきかな?
「あー………彼女?」
最後の『彼女』は聞こえないような小さな声で…
:08/04/02 22:23 :D704i :☆☆☆
#447 [氷雨]
「へ…………?」
小宮には聞こえたみたいで間の抜けた声が発せられた。
目が合い、へらっと笑った。
「陽が1番か……」
高槻は溜め息をつきながら何かを言った。
小宮と俺は顔を見合わせて高槻に視線を送り、
「「何か言った?」」
:08/04/02 22:51 :D704i :☆☆☆
#448 [氷雨]
同時に言った。
高槻はぷっと吹き出し笑うと俺に尋ねた。
「彼女…できたんだろ?」
何故かすごく悲しそうな顔で俺の顔を覗く。
嫌な予感がして高槻の顔を見る。
「なあ…、高槻ってゲイ?」
:08/04/02 23:00 :D704i :☆☆☆
#449 [氷雨]
高槻はフリーズしたかのようにあんぐりと口を開けて放心している。
俺のそんな不安をよそに小宮は隣で馬鹿笑い。
「…って!!んなワケねえだろ!!!」
高槻は自分を取り戻すとノリツッコミした。
「良かったーーー!本気で悲しそうな顔するからだよ」
:08/04/02 23:19 :D704i :☆☆☆
#450 [氷雨]
俺は本気で心配しだんだよ?
高槻がゲイだったらどうしたらよいものかと…
なのに、
「陽ーー!!大っっ好きだ!」
なんて、小宮もゲイ発言するし。
俺としては不安なわけで…
:08/04/02 23:22 :D704i :☆☆☆
#451 [氷雨]
「ははー…陽には参るって」
高槻は苦笑いした。
そして、ついに言った、あの言葉を、
「俺にも好きな子いるし」
と!!
「やっぱりな!!」
:08/04/03 12:36 :D704i :☆☆☆
#452 [氷雨]
小宮はすぐに反応した。
気付いてなかったの俺だけ?
「誰!?」
俺も負けじと3秒程、遅れて飛びついた。
小宮も高槻に顔を近付けて聞く体制に入った。
「あの子………」
:08/04/03 12:40 :D704i :☆☆☆
#453 [氷雨]
高槻は照れながら目を向けた。
「「え………?」」
高槻の視線の先には、
1人で本を読んでいて、眼鏡で、髪が腰まで伸びていて、綺麗だけど性格は地味な、以前の俺みたいな女の子だった。
「なっ、なんだよ。えって!」
高槻は照れながら怒ってた。
:08/04/03 12:51 :D704i :☆☆☆
#454 [氷雨]
「すっ、好きなんだからしょうがねえだろ!」
真っ赤になっていう高槻はなんだか可愛くて小宮と俺で高槻をニヤニヤしながら見ていた。
そして、いつの間にか生徒全員が来ていてチャイムが鳴ると同時にみんな席へと向かった。
「席つけーー!よしっ、みんないるなー」
先生の声で今日が始まった。
:08/04/03 13:01 :D704i :☆☆☆
#455 [氷雨]
――――――………
「なぁ!今日、帰りさ!マック行こうぜ!恋バナしよ!」
この提案は当然、小宮から。
高槻は少し考えた後に…
「俺……恋バナした所で成就しねえしな‥、けどマックには行く!!」
高槻はマックに釣られて行く事になった。
俺はばつの悪そうな顔をしているだろうなと思いながら、
「ごめん…、彼女のとこ行かなきゃ」
:08/04/03 13:16 :D704i :☆☆☆
#456 [氷雨]
「マジ!?ラブラブだなぁー」
「陽はいいよなぁ、かっこいいし…」
最初は小宮、次は高槻。
笑いながら顔の前で両手を合わせて、ごめんのポーズをした。
「いいよ!行ってこいーー!」
小宮が俺の背中をパシンと叩いた……いや、殴った。
:08/04/03 13:30 :D704i :☆☆☆
#457 [氷雨]
けほけほと咳をして「ありがとう」と言った。
「俺も頑張ろう」
高槻がボソッと呟いたのを小宮も俺も気付かなかった。
――――――………
「これで終わります。気をつけてなぁ」
いつも通りの先生の声。
:08/04/03 14:28 :D704i :☆☆☆
#458 [氷雨]
ザワザワとざわめきはじめた教室。
すぐに帰る生徒。
部活に向かう生徒。
そこまではいつも通りだった。
ただひとつ違う事、それは…
「ねえ……陽?話があるの」
目の前に葉山さんがいる事。
:08/04/03 14:32 :D704i :☆☆☆
#459 [氷雨]
胸がドキリと跳ねた。
「どうしたんですか?」
けれど、さも動揺していないような返事をした。
葉山さんは苦笑いして、俺の前の席へ座った。
「あのね、私、陽に言ってない大切な事があるんだ」
葉山さんは俺の目を真剣な目で見つめた。
:08/04/03 20:53 :D704i :☆☆☆
#460 [氷雨]
真剣すぎる瞳にゴクリと喉を鳴らす。
「な…に………?」
「あー……えっと……待ってね……あのね……」
葉山さんは急に周りを見渡す。
そして、真っ赤にもなっている。
いつもの葉山さんじゃないような……
:08/04/03 21:27 :D704i :☆☆☆
#461 [氷雨]
「葉山さん…?」
顔を覗き込むとより真っ赤になっていた。
肩も震えていて…
「大じょう………っ!」
心配していると急に顔を上げて言った。
「私!!私!!!陽の事がずっと、ずっと…………」
〜♪♪〜〜〜♪〜♪〜
:08/04/03 21:34 :D704i :☆☆☆
#462 [氷雨]
タイミングよく携帯が鳴る。
メールだった。
――― From 北原 愛美 ―――
学校終わったよ
待ってるね
――――――――――――――
北原さんの学校は近いけれど、10分はかかる。
けれど、葉山さんの言葉の続きを聞きたい。そう思った。
:08/04/03 21:44 :D704i :☆☆☆
#463 [氷雨]
何を言おうとした?
もしかして…?
鈍感らしい俺にもわかるようなシチュエーションと言葉。
1つ光の道が見えて消えた。
俺には彼女がいる、それに小宮の好きな人。
葉山さんはダメなんだ…
心がズキッと傷んだ。
:08/04/06 12:26 :D704i :☆☆☆
#464 [氷雨]
「ごめん…葉山さん、俺、行かなくちゃ」
鞄を掴んで葉山さんに、にっこりと笑って、「さよなら」と言った。
色々な気持ちを込めて。
葉山さんは泣きそうな顔をしてた。
俺もたぶん泣きそうな顔をしてると思う。
こんな葉山さんを初めて見た。
:08/04/06 12:32 :D704i :☆☆☆
#465 [氷雨]
唇をぐっと噛みしめて、また小さく聞こえないくらいの声で、
「さよなら」
震える声で言い、北原さんの元へ急いだ。
「陽君!!」
北原さんは可愛く首にマフラーを巻いて、白い息をはきながら掛けて来る。
:08/04/06 12:37 :D704i :☆☆☆
#466 [氷雨]
ちょこちょこと小さくて、俺はにっこり笑った。
「ごめんね?待たせたよね?」
俺はごめんのポーズをして、謝る。
俺が迎えに来た時間はメールがきてから40分はたっていた。
「んーーー、大丈夫だよ?友達とお話してたから。ほら!三依!!」
:08/04/06 12:42 :D704i :☆☆☆
#467 [氷雨]
北原さんは友達の名前を呼ぶと手を振った。
「愛美!なーーーに?あ、もしかして、その人が愛…し…の…………………………、陽兄!!?」
目の前にいる、俺の彼女の友達はよく知った子で、今日も昨日もこの17年間一緒に暮らしている子でした。
俺はサーと血が引くのを聞いたような気がした。
:08/04/06 12:50 :D704i :☆☆☆
#468 [氷雨]
「三……依………」
俺は無意識に妹の名前を呼んだ。
北原さんは俺と三依の顔を交互に見て言った。
「似てるーーー!!」
なんだか嬉しそうに手を叩いた。
三依は俺、はははっと笑った。
:08/04/06 13:00 :D704i :☆☆☆
#469 [氷雨]
「愛美らしい。陽兄が愛美の愛しの君だったんだ」
三依は納得したように優しく北原さんに笑うと、くしゃくしゃと頭を撫でた。
北原さんも三依ににっこり笑うと、嬉しそうに俺を見た。
「陽兄、愛美さ……、女子高なのに他の学校の奴らから、スッゴいモテての、守ってあげてね」
ニっと笑うと、耳元に一言残して帰って行った。
:08/04/06 13:08 :D704i :☆☆☆
#470 [氷雨]
「あーーー…、どっか行こっか?」
最初に声をかけたのは、俺だった。
北原さんは嬉しそうに返事すると、歩き出した。
足は自然と街の方へ向かい、カップルの定番デートスポットについていた。
「ここ……」
俺は最初を思い出していた。
:08/04/06 13:14 :D704i :☆☆☆
#471 [氷雨]
―ATTRACTIVE―の和樹さんや雅さんのお店や多くのオシャレなお店があり、若者の集まる大きなビル。
初めて葉山さんとデートをした所。
【デート】と呼んでもいいのかという程、主旨は違っていたけれど。
「陽君………、あの、ね。手つないでもいい?」
:08/04/06 13:20 :D704i :☆☆☆
#472 [氷雨]
北原さんは真っ赤になっていた。
勇気を出して言ってくれているだな。と思うと、少し愛しかった。
「どうぞ」
俺は手を差し出して、にっこり笑った。
北原さんは笑い返すと飛びつくように俺の手をとった。
「カップルだ」と嬉しそうに笑いながら。
:08/04/06 13:43 :D704i :☆☆☆
#473 [氷雨]
「どこか、行きたい所ある?」
俺が聞くと北原さんは考えるような仕草をする。
可愛いな…。
そんな気持ちになれた。
「陽君と一緒ならどこにいても嬉しい」
そう上目遣いで言われれば、やっぱり俺は嬉しくて、笑った。
「じゃあ、そこら辺歩こうか」
:08/04/06 13:48 :D704i :☆☆☆
#474 [氷雨]
「うん!」
北原さんも嬉しそうに笑い返してくれた。
けれど、歩いている内に北原さんの機嫌が少しずつ悪くなっているのに気が付いた。
俺、何かしたかな?
不安になる。
「どうしたの?」
俺はつい聞いてしまった。
:08/04/06 13:51 :D704i :☆☆☆
#475 [氷雨]
北原さんは少し涙目になっていてギョッとして、焦った。
なんで…?
ハテナが頭を渦巻いてる。
やっと北原さんは口を開いてくれた。
「ちょっと嫉妬と……自信が………、私でいいのかな?って…………」
今まで見た事ないような、胸がギュッと掴まれたような笑顔だった。
:08/04/06 17:45 :D704i :☆☆☆
#476 [氷雨]
よく周りを見たら、俺と北原さんをジッと見る人や、「なんで?あんな子が…?」なんで罵声も飛んでいて。
俺は雑誌で少し有名になっていた事を忘れていた。
『愛美を守ってあげてね』
三依の言葉が頭をめぐる。
俺は北原さんを守らないと、
そう思った。
:08/04/06 17:49 :D704i :☆☆☆
#477 [氷雨]
「北原さん、大丈夫だよ。俺が守るから、北原さんは可愛いよ」
俺は北原さんに優しく語りかけた。
北原さんは真っ赤になり「嬉しい」と言って涙を流した。
俺はそれな慌ててハンカチを北原さんに渡す。
:08/04/06 17:53 :D704i :☆☆☆
#478 [氷雨]
数分して北原さんは少しだけ赤い目でにっこり笑った。
「もう大丈夫。ハンカチ洗って返すね」
北原さんは本当に可愛い。
けど…………………
まだ【好き】が言えない。
:08/04/06 17:56 :D704i :☆☆☆
#479 [氷雨]
「おっ!陽?」
聞いた事ある声が聞こえた。
それはついこの間、葉山さんの事を相談した人だった。
「雅…さん……」
俺の気持ちを知っている。
雅さんを見た瞬間に『逃げたのか?』そう言われたみたいだった。
:08/04/06 21:01 :D704i :☆☆☆
#480 [氷雨]
「何してんだ?妹………?」
雅さんは北原さんを凝視している。
北原さんは怖そうに俺の影に隠れた。
俺は決心して口を開く。
「お……俺の彼女」
声が震える。
:08/04/07 11:59 :D704i :☆☆☆
#481 [氷雨]
「え…………?」
雅さんの声は明らかに怒っていた。
俺は北原さんの手をギュッと握ると、
「すみません、今、デート中なんで……」
雅さんに一礼して、俺はまた【逃げた】
「ちょっ!陽!!!」
:08/04/07 12:03 :D704i :☆☆☆
#482 [氷雨]
雅さんが後ろで叫んでいたけれど、俺は振り返る事なく、突き進んだ。
北原さんの手を優しく握って。
しばらく、歩くと俺は止まって振り向いた。
「ごめん、あの人すごくいい人なんだけど…」
そこまで言うと北原さんは微笑んだ。
「うん。陽君の事、すごく心配している人の目だった。いい人だって、わかるよ」
:08/04/07 12:07 :D704i :☆☆☆
#483 [氷雨]
北原さんの言葉を聞いたら涙が出そうになった。
優しい雅さんを裏切った?
そう思ってしまった。
北原さんは不思議そうに俺に聞いた。
「けど…、どうして怒ってたの?」
:08/04/07 12:09 :D704i :☆☆☆
#484 [氷雨]
「それは……、わからない」
本当は知っている。
俺が【逃げた】から。自分の気持ちから。
けど…、どうしたらよかった?
俺は葉山さんがあの時、俺の事をそういう対象でないと思ってた。
:08/04/07 18:05 :D704i :☆☆☆
#485 [氷雨]
けど、今日の葉山さんはなんだか変だった。
俺は今でも、思い出すたびに光が 差しては消える。
「期待は残酷だ……」
俺は小さく呟いた。
そして、決めた。【葉山さんは諦める】と、
:08/04/07 18:18 :D704i :☆☆☆
#486 [氷雨]
その日は北原さんと散歩のようなデートをして、 家まで送り すぐに家へ向かった。
「ただいまぁーー…」
楽しかった、けれど俺は疲れてた。
心に何ともいえないようなモヤモヤが渦巻いている。
正体のわからないモヤモヤ。
:08/04/07 18:54 :D704i :☆☆☆
#487 [氷雨]
やるせない気持ちで一杯になる。
「はああぁぁぁああ……」
おもいっきり大きな溜め息をついた。
何かを吐き出したくて。
けれど、スッキリする事はなくて、変わりに呆れたような声が聞こえた。
「なあーにっ!でっかい溜め息ついてんのよー!!」
:08/04/07 19:00 :D704i :☆☆☆
#488 [氷雨]
元気な母の声。
なんだかホッとする。
「なんでもないってー…てか!おかえり」
長い間、会ってなかったような気がする。
「ただいま!」
お母さんはにっこり笑った。
「陽ーーー!おかえりぃ」
:08/04/07 20:18 :D704i :☆☆☆
#489 [さな]
あげx
:08/04/12 09:27 :W54T :☆☆☆
#490 [我輩は匿名である]
:08/04/12 18:10 :D903i :☆☆☆
#491 [◆DGAVybFN0A]
:08/04/13 00:00 :F705i :☆☆☆
#492 [ゅぅ]
あげます
:08/04/13 03:14 :F705i :☆☆☆
#493 [あー(∵`)ノ]
:08/04/13 08:47 :D904i :☆☆☆
#494 [ナナミ]
age(・∀・)
:08/04/13 12:02 :F704i :☆☆☆
#495 [氷雨]
ガバッという効果音がピッタリな我が父の抱擁。
「ちょ…っ!!苦しい、苦しい!」
俺はギブギブという風に父の背中を叩く。
父はそれに気付くと俺をやっと離し、顔を覗く。
目の前で嫌味っぽいにっこり笑顔で笑うと言った。
「三依に聞いたぞ!」
と、
:08/04/14 08:18 :D704i :☆☆☆
#496 [氷雨]
みなサン
アンカー&あげ
アリガトウ
長い間の留守
すみません
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ふぇ………………っ!三依!!」
一瞬考えたがすぐに頭に届く。
お父さん達に言わなくてもいいじゃん!!
そう思いながらドスドスと突き進む。
:08/04/14 08:22 :D704i :☆☆☆
#497 [氷雨]
リビングの扉を開けると三依はテレビの前のソファーで大笑いしていた。
それは楽しそうに笑うものだから俺は力が抜けて、三依の隣に座った。
三依は俺に気付くと、バッと俺の肩を掴む。
「おかえり!どうして愛美と知り合った!?なんで、しかも付き合ってんの!?」
三依は俺に質問を浴びせる。
キラキラの瞳をギッと睨みつける。
:08/04/14 13:25 :D704i :☆☆☆
#498 [氷雨]
「どうしてお父さん達に言ってんの!?」
少し怒った風に言う。
ちょっと毒気抜かれてたけど、珍しくまだ完全には抜かれてない。
三依はビックリして目を見開いている。
俺は勝った!そう思ったのに…
「陽兄ーー!怒ってもイケてる!!」
なんて言って、ウインクした。
:08/04/14 13:29 :D704i :☆☆☆
#499 [氷雨]
はぁぁぁ……っ
と、おもいっきり溜め息をついてしまう程、呆れた。
「ありがと」
俺は一切、笑わずにお礼を言った。
三依に何を言ってもダメだ。そう思ったから。
「ご飯、できたよーー」
お母さんが叫ぶと俺、三依、お父さんは同時に返事してテーブルを囲った。
:08/04/14 13:34 :D704i :☆☆☆
#500 [氷雨]
―――――………
あれ?
俺、寝てた?
瞳を開くと、カーテンからうっすらと光が漏れている。
俺、いつ寝たんだろ?
そんな曖昧な記憶を辿りながら体を起こす。
:08/04/15 19:35 :D704i :☆☆☆
#501 [氷雨]
枕の隣には開かれたままの雑誌が転がっている。
この状況からすると、雑誌を見ながら寝たんだな。
そう頭で納得して、いつもより早めに学校の支度を始める。
なんだか今日は嫌な予感がする。
頭によぎり、胸にモヤモヤが残る。
:08/04/15 19:39 :D704i :☆☆☆
#502 [氷雨]
家族みんなが起きてくる。
俺はいつもよりずっと早くに家を出た。
なんだろう?
勝手に足が動くような、今すぐ学校に行かなければならないような。
そんな胸騒ぎがした。
:08/04/15 19:41 :D704i :☆☆☆
#503 [氷雨]
学校に着いても胸騒ぎは収まらない。
誰もまだいない雰囲気の中、校舎へと足を進める。
幸い、先生は来ているみたいで鍵は開いていた。
こんなに早く来るの初めて。
そう思いながら時間を見ようと携帯を取り出した。
――メール 3件――
:08/04/15 19:48 :D704i :☆☆☆
#504 [氷雨]
「あっ!!」
昨日、メールをいっさい見てない事に気付いた。
北原さんからメール来てるだろなぁ。
心の中で謝って、受信箱を開いた。
……………………ぇっ?
20:26 北原 愛美
21:48 北原 愛美
23:13 葉山 美咲
:08/04/15 20:59 :D704i :☆☆☆
#505 [氷雨]
葉山さん………?
なんで?
葉山さんのメールを開いた。
それと同時に…
「陽……?」
もう間近に迫った教室から葉山さんが顔を出す。
え………?
俺はその場に固まってしまった。
:08/04/15 21:02 :D704i :☆☆☆
#506 [氷雨]
葉山さんは教室から出てくるとえへへ、と笑った。
俺は何が起こっているのかわからない。
「ごめんね。陽…、こんなに早くに呼び出して……」
呼び出し?
……………っ!!
急いで携帯をのぞく。
葉山さんからのメールには…
:08/04/15 21:04 :D704i :☆☆☆
#507 [氷雨]
―――From 葉山 美咲―――
遅くにごめんね
明日
早く来れないかな
話したいんだ
待ってる
――――――――――――――
そう書かれていた。
胸騒ぎはこれ?
俺の胸のモヤモヤは少しだけ晴れた。
:08/04/15 21:09 :D704i :☆☆☆
#508 [氷雨]
「おはよう…、どうしたんですか?」
偶然にでも早く起きて良かった。そう思った。
けれど、俺は少し怖かった。
葉山さんに何の話をされるのか不安だったから。
俺は目を逸らしながら尋ねた。
葉山さんの表情が見えない。
:08/04/15 21:13 :D704i :☆☆☆
#509 [氷雨]
当たり前なんだけど…
葉山さんが口を開く。
「陽…?あのね?ずっとはぐらかしたり、言えなかったんだけど…私ね……」
葉山さんは真っ赤になって下を向いた。
なんだか見た事ある。
頭で嬉しい事と悲しい事が混ざり合う。
:08/04/15 21:16 :D704i :☆☆☆
#510 [氷雨]
言わないで…!!
そんな事を思った。
けれど…
「私、陽が好き」
そう言った。
………………………。
嬉しいはずなのに…………、
:08/04/15 21:18 :D704i :☆☆☆
#511 [氷雨]
俺には葉山さんの気持ちを受け入れられない。
受け入れちゃいけない。
涙が流れそうになる。
「ごめん………」
必死に言葉を絞り出した。
「ぁ……………」
:08/04/15 21:22 :D704i :☆☆☆
#512 [氷雨]
葉山さんは静かに言葉を漏らした。
胸が痛い。
キリキリと突き刺すような傷みに胸を押さえた。
「ごめん…、彼女いるから」
無理矢理笑った。
笑ったなんていえないような笑顔だったと思うけど。
:08/04/15 21:26 :D704i :☆☆☆
#513 [我輩は匿名である]
:08/04/16 07:31 :SH905i :☆☆☆
#514 [我輩は匿名である]
:08/04/16 08:13 :SH903i :☆☆☆
#515 [我輩は匿名である]
:08/04/16 12:27 :SH903i :☆☆☆
#516 [氷雨]
我輩さん
アンカーありがとう(@^O^@)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「彼…女……?」
葉山さんはボソッと呟いて、俺を見る。
俺は目を自然と逸らす。逃げるみたいに…
葉山さんは俺の言葉を待っているみたいで、静かな時間が過ぎる。
:08/04/16 23:09 :D704i :☆☆☆
#517 [氷雨]
「俺………」
そう言いかけた時、
「はは…、私…馬鹿だ」
葉山さんが言った。
え…………?
俺は突然の言葉に口を噤む。
葉山さんは俺から目を逸らし独り言を言うみたいに言葉を繋いだ。
:08/04/16 23:18 :D704i :☆☆☆
#518 [氷雨]
「自信、持って欲しくて。私はあなたが好きだから。寝顔が可愛くて、ただ繋がりが欲しかった」
葉山さんはただ悲しそうに呟く。
俺は聞くことしかできなくて顔を上げて葉山さんを見る。
葉山さんは太陽に照らされて、輝いてるみたいだった。
:08/04/16 23:22 :D704i :☆☆☆
#519 [氷雨]
「あなたに話しかけれない、私が大嫌いだった」
葉山さんは下を向く。
【あなた】…?
誰の事?
俺は頭が着いていかなくて、理解しようとしてもできなかった。
葉山さんはまだ言葉を繋げる。
「気付いたのは一緒のクラスになって3日後…、話しかけれないのはあなただけになってた」
:08/04/16 23:26 :D704i :☆☆☆
#520 [氷雨]
葉山さんの顔が見えない。
俺は真っ直ぐ葉山さんを見ている。
顔が見えなくてすごく不安だった。
葉山さんの声が震えてるから……
:08/04/16 23:28 :D704i :☆☆☆
#521 [氷雨]
「ねえ…陽?」
突然、震えた声で俺に尋ねた。
「え…?なんですか?」
優しく答える、不安が詰まった声だったけれど…
「今…何月だと思う?」
葉山さんは不可思議な質問を俺にした。
:08/04/16 23:31 :D704i :☆☆☆
#522 [氷雨]
「へ………?」
思わず間抜けな声で答える。
葉山さんが少し笑ったような声を漏らした。
俺は意味もわからずに質問に答えた。
「12月」
:08/04/16 23:33 :D704i :☆☆☆
#523 [氷雨]
そう…、今は12月初め頃。
本格的に冬になった。
雪は降ってはいないけれど、肌に触れる風は突き刺すように痛い。
葉山さんはどうしてこんな質問を…?
考えていると葉山さんは振り向いて笑った。
涙を瞳にたくさん溜めて。
:08/04/16 23:37 :D704i :☆☆☆
#524 [氷雨]
「葉山さ…っ!!」
慌てて近寄ろうとすると、葉山さんは人差し指を立ててシーッと口パクした。
俺はそこで静止して葉山さんの言葉の続きを待った。
「【調教】」
葉山さんはそう言葉にした。
俺の心がズキッと痛んだ。
:08/04/16 23:42 :D704i :☆☆☆
#525 [氷雨]
「あんなの言い訳だった。口から出任せ…」
葉山さんは悲しそうに言う。
「言…い訳……?」
俺も葉山さんから出た言葉を繰り返した。
「うん、クラス換えがあって3日後から私と陽が初めて話した時まで…」
葉山さんは途切れ途切れに涙が流れないように言葉を絞り出す。
:08/04/16 23:47 :D704i :☆☆☆
#526 [氷雨]
葉山さんはにっこりと笑った。
そして、こう言った。
「話した事もない陽が好きだった」
:08/04/16 23:49 :D704i :☆☆☆
#527 [氷雨]
予想もしていない言葉だった。
ただ、頭は真っ白で、葉山さんのさっきの言葉がまわる。
言葉もでないくらいに思考は停止している。
「陽?本当…なんだよ?」
:08/04/17 23:55 :D704i :☆☆☆
#528 [氷雨]
悲しそうに呟く。
俺…………、
俺は……………、
そう思うけど、続きが言えない。
言葉にしようとしてもハッキリと口にできない。
『陽の気持ちを!!』
確か、孝裕さんが言っていた。
俺の気持ち。
:08/04/18 00:02 :D704i :☆☆☆
#529 [氷雨]
『葉山さんが好きだ…』
けど……、
『俺には北原さんが…』
北原さんを裏切れない。
:08/04/18 00:05 :D704i :☆☆☆
#530 [氷雨]
「ごめんなさい…、俺…答えらんない」
口にしたくなかった。
口にしたら、もう終わってしまうような気がしたから。
けど、もう言葉にしてしまった。
葉山さんをまた見れない。
:08/04/18 08:11 :D704i :☆☆☆
#531 [氷雨]
俺は黙ったまま、逃げ出したくなった。
「うん……、知ってる。困らせてごめんね?陽」
葉山さんの笑いの少し混ざった声が聞こえた。
顔を見ると無理矢理の笑顔で笑ってる。
ツキンと胸に響く。
:08/04/18 08:16 :D704i :☆☆☆
#532 [氷雨]
「いえ………」
そう言うしかできなかった。
俺は好きな人を傷つけた。
今日は木曜、雅さんに怒られるだろな。
俺は胸をグッと握りしめた。
:08/04/18 08:20 :D704i :☆☆☆
#533 [氷雨]
『陽か…?』
電話の声の主は俺にそう聞いた。
「…はい、どうしたんですか?」
分かってるけど、尋ねる。
電話の声は少し怒っているように、溜め息をついた。
その溜め息にも胸はツキンと痛む。
:08/04/18 13:39 :D704i :☆☆☆
#534 [氷雨]
『話がある、撮影時間の1時間前に集合な』
その声には心配の声も含まれていた。
【話】が何かなんて分かってるけど…
俺は言った。
「わかりました、じゃあすぐに行きますね」
:08/04/18 13:42 :D704i :☆☆☆
#535 [氷雨]
今は放課後。
撮影まで時間を潰そうと図書室に向かう途中だった。
電話を切るとメールが入っていた。
―――From 北原 愛美―――
撮影
頑張ってね
応援してるね
――――――――――――――
メールを見て、また胸に痛みが走る。
俺はどうしたらいいんだ?
:08/04/18 13:46 :D704i :☆☆☆
#536 [氷雨]
雅さんからの電話
心配してくれているんだろな。
そう思うと嬉しかった。
北原さんはどうして俺が好きなんだ?
俺は北原さんを利用してる。
そう色々な事を思うと胸は執拗に痛む。
:08/04/21 12:57 :D704i :☆☆☆
#537 [氷雨]
少し重い足取りでスタジオへと急いだ。
「陽!!」
スタジオの扉を開くと雅さんが俺に叫んだ。
眉を寄せて、俺に向かって走り寄る。
《怒られる!!》
:08/04/21 13:03 :D704i :☆☆☆
#538 [氷雨]
そう思い、瞳を閉じた。
…………………あれ?
雅さんの手は優しく俺の頭をいつものようにクシャクシャと撫でる。
「何かあったのか?」
誰もいない広いスタジオに優しく声が響いた。
俺はビックリして顔を上げる。
:08/04/21 13:11 :D704i :☆☆☆
#539 [氷雨]
雅さんは眉を寄せて、心配してくれていた。
切なくなるような優しく表情で。
俺はどうしてか、また胸が痛んだ。
「美咲と何かあった?昨日の女は本当に彼女なのか?」
雅さんは2つ質問した。
:08/04/21 13:14 :D704i :☆☆☆
#540 [氷雨]
「俺、利用してる……」
自然と言葉はでていた。
何かを吐き出すように言葉を繋ぐ。
「北原さんは放課後一緒に帰るだけの彼女でいいって言ったんです、俺…逃げたんです」
雅さんは俺の言葉を静かに聞いてくれていた。
何も言わずに。
:08/04/21 13:18 :D704i :☆☆☆
#541 [氷雨]
「帰るだけの彼女なんて、いけないのに…、俺は北原さんを利用して葉山さんを消そうとした」
涙が流れそうになるくらいに情けなくて、言いながら俺は最低だ。
そう自分に言っていた。
「葉山さんの心には何もない。俺への気持ちなんてない、そう思っていたから」
:08/04/21 13:21 :D704i :☆☆☆
#542 [氷雨]
「俺は逃げた」
俺は外見が変わっただけの、やっぱり【のび太】
逃げて他を頼る。
自分で何かをしようとしない。
拒否されるのが怖いから…
:08/04/21 13:24 :D704i :☆☆☆
#543 [氷雨]
「俺は葉山さんが好きなんです。すごくすごく……けど、北原さんを裏切れない。裏切るなんてしたくないんです!」
雅さんに縋るように視線を合わせて言った。
「どうしたらいいのかもわからない」
俺の頭じゃ考えられない。
自分で考えようとした!けど…
何回考えても答えは見つからなかった。
:08/04/21 13:28 :D704i :☆☆☆
#544 [氷雨]
全て言い終わり雅さんの言葉を待った。
次に聞こえた雅さんの声は怒りに満ちていた。
「陽?お前は逃げてるんじゃないと思う。もっと最低な事……してるんだぞ」
その重い低い声に肩がぞくりと震えた。
そんな怒っている雅さんは初めてだった。
:08/04/21 13:33 :D704i :☆☆☆
#545 [氷雨]
静かに雅さんは呟く。
「【逃げる】と言って、お前は自分が傷つく事が嫌なだけじゃねぇのか?」
雅さんは厳しくだけど、瞳は違った。
優しく俺を覗き込んでいる。
「自分が傷つくのが嫌だからって他の人を傷つける奴は俺は嫌いだ…」
:08/04/21 20:40 :D704i :☆☆☆
#546 [氷雨]
雅さんは悲しそうに俺を見る。
俺はビクリと震える。
「俺は陽が気付いてなかったの気付いてた」
………え?
不可思議な言い方に疑問を抱く。
どういう事?
:08/04/21 20:46 :D704i :☆☆☆
#547 [氷雨]
俺は反射的に雅さんの顔を見た。
また悲しそうな顔で、けどさっきと違って笑っていた。
無理矢理に。
俺は不思議な言葉に首を傾げる。
雅さんは乾いた笑いを漏らすと言った。
「俺は全部知ってたんだ」
:08/04/22 08:09 :D704i :☆☆☆
#548 [氷雨]
意味がわからなかった。
全部知ってる?
何を?
頭はまたハテナで埋め尽くされた。
「はは…、陽…変な顔」
雅さんは苦笑いした。
:08/04/23 16:57 :D704i :☆☆☆
#549 [氷雨]
「へ………………?」
不意に笑った雅さんにマヌケな声を出す。
俺の声を聞くと雅さんはホッとしたような顔をしてふんわり笑った。
そして…
「陽…、美咲は…高校入学してからずっとお前が好きだったんだ」
:08/04/23 19:27 :D704i :☆☆☆
#550 [氷雨]
なんて言った。
……………………
……………え?
葉山さんが…?え…………?
:08/04/23 19:29 :D704i :☆☆☆
#551 [氷雨]
またパニックに陥る。
「陽って本当に百面相だよなぁ…、美咲はすげぇな」
そう言って明後日の方を向いてしまった。
俺は質問したい事がいっぱいで…
口を開いた。
「えっと……、どうして雅さんが………?」
:08/04/23 19:33 :D704i :☆☆☆
#552 [氷雨]
やっぱり出た言葉はまだ理解しきれていないような質問だった。
「ん?俺がどうして知ってるかって…?」
そんな俺の質問に瞬時に理解して適切な返事をしてくれた。
雅さんは少し考えた後、俺に言った。
「俺、美咲の幼なじみだし」
にっこり満面の笑みで笑った。
:08/04/25 21:33 :D704i :☆☆☆
#553 [氷雨]
「へ〜〜……え?幼なじみ!?」
意外な言葉に驚きを隠せない。
俺の顔を見てプッと雅さんが噴き出す。
「どんだけ驚いてんのー、俺らよく恋について語るから」
ニッと悪戯っぽく笑った。
:08/04/25 21:46 :D704i :☆☆☆
#554 [氷雨]
ということは…
最初から…?
「最初から知って?俺の気持ちも……?」
俺は少し冷や汗を流す。
たぶん顔もひきつってるんじゃ?
:08/04/25 21:58 :D704i :☆☆☆
#555 [氷雨]
雅さんは当たり前のように言った。
「陽の気持ちはわからなかった、陽を知らなかったし。美咲は珍しく話しかけれないって言うしさ」
俺は納得。
つい最近まで雅さんを知らなかったんだもんな。
俺の気持ちもわかるはずないよな…
そう思っていたのに、
:08/04/25 22:03 :D704i :☆☆☆
#556 [たいせー]
面白うて一気読み!
してしまいした。
:08/04/26 01:03 :P702i :☆☆☆
#557 [氷雨]
たいせーさん
ありがとう!!
ほんとにそういうお言葉!涙が流れそうなクライに嬉しいですヾ(^▽^)ノ
もうそろそろ終盤の予定です。
遅くなるかもですが、見守ってくださると嬉しいです!
:08/04/26 12:16 :D704i :☆☆☆
#558 [我輩は匿名である]
:08/04/26 18:38 :SH904i :☆☆☆
#559 [たいせー]
ガンバってください!
俺も一応ですけど、
ファンタジー書いてんですよ。
:08/04/26 21:43 :P702i :☆☆☆
#560 [氷雨]
:08/04/27 06:14 :D704i :☆☆☆
#561 [氷雨]
「けど…彼氏彼女じゃないってわかってたのに、あのラブッぷりには驚いた」
雅さんは乾いた笑いをしてから俺の顔を見、ニッと笑った。
俺は雅さんの笑顔を見た瞬間、顔が火照っている事に気付いた。
『ラブッぷり』とはどんなものかもわからないけど、恥ずかしくて、
「どこがそんなに……?」
:08/04/27 06:20 :D704i :☆☆☆
#562 [氷雨]
俺はつい、質問してしまった。
質問してしまったイコールたぶんだが、
もっと照れる事を言われるに等しいのに。
雅さんは俺の質問を聞いて、考える事もなく、それをあっけなく言った。
「雰囲気!!」
しかも、力強く…。
:08/04/27 06:23 :D704i :☆☆☆
#563 [氷雨]
「へ…?雰囲気……?」
俺はピンとこなくて雅さんの言葉を繰り返した。
その言葉に雅さんは元気よく返事していた。
笑顔で雅さんは続ける。
「それにー…美咲は陽に本気で惚れてたから、そりゃ嬉しそうで嬉しそうで」
可愛い妹へ向けるような遠い目をしていた。
:08/04/27 06:28 :D704i :☆☆☆
#564 [氷雨]
「葉山さんが…?」
やっぱりこれにもピンとこない。
『葉山さんが俺を好き』
だってあの時、葉山さんは普通だった。
演じる時に近づくだけで、その他の時は少し距離があった。
次の日には手を繋いでいたけど……
:08/04/27 06:31 :D704i :☆☆☆
#565 [氷雨]
けど、告白は真剣だった。
葉山さんは俺のせいでたくさん泣いてる。
「陽……?」
俺は目を開けたまま寝ているような状況で、雅さんの心配している声が響いた。
「あ……、考え事……」
とっさに出たのはそのままの言葉だった。
:08/04/27 06:36 :D704i :☆☆☆
#566 [氷雨]
「陽は目、開けたまま寝れるんだなー」
雅さんは俺をからかうように言った。
顔を見上げると、いつもの意地悪っぽい笑顔。
俺はこの笑顔に何度、助けられたんだろう。
そう思うと、俺も自然と笑顔になっていた。
:08/04/27 06:39 :D704i :☆☆☆
#567 [氷雨]
久しぶりに自然と出た笑顔。
久しぶり……
俺は笑えていなかったんだ。
やっと気付いた。
北原さんといても俺は笑っていなかった?
笑っていたよな?
楽しかったよな?
自分に質問した。
:08/04/27 06:42 :D704i :☆☆☆
#568 [氷雨]
「陽?また考え事?」
雅さんは少しつまらなさそうに呟いた。
いつの間にか下がっていた顔を上げると拗ねている雅さんがいた。
少し可愛い。
そう思ってしまった。
「何かあるなら、俺にも相談しろよ?」
:08/04/27 06:45 :D704i :☆☆☆
#569 [氷雨]
次には大人の顔。
雅さんって幼かったり、大人だったりする。
思わずプッと笑いが込み上げた。
これに雅さんは素早く反応。
「なっ…何、笑ってんだー…よっ!!」
それと同時にチョップも俺の頭に直撃した。
:08/04/27 06:49 :D704i :☆☆☆
#570 [氷雨]
「ぃったぁあー………」
それは思いもよらない程、痛くて俺は半べそになっていた。
それを見て、雅さんは笑った。
そして、俺はだいぶ遅れて、ある矛盾に気が付いた。
あれ……?
葉山さんと雅さんの話し、少し違う。
:08/04/27 09:40 :D704i :☆☆☆
#571 [氷雨]
なんだか変だ……。
「はっるーー……!?またどっか行ってんぞー」
今度は俺の額にデコピンが炸裂した。
「ぃったぃですってば!!」
必死にデコピンされた場所をさする。
暴力反対!!
心の中で叫んだ。
:08/04/27 09:45 :D704i :☆☆☆
#572 [氷雨]
雅さんはなんだか機嫌よく笑っている。
俺の気付いた矛盾。
それを聞こうか迷った。
けど、覚悟を決める。
:08/04/27 09:48 :D704i :☆☆☆
#573 [氷雨]
「雅さん、雅さんは入学してから葉山さんが俺を好きだと言いましたよね?」
俺の真剣な口調に雅さんも真剣に考えた。
そして、1回頷くと言った。
「ああ…、入学してからだ」
どこか矛盾している。
葉山さんは……、
:08/04/27 09:51 :D704i :☆☆☆
#574 [氷雨]
「葉山さんはクラス替えがあって、3日後って言ってました」
そうこれが矛盾。
どうして恋の相談をしていた2人の話しが食い違うのか 。
俺は雅さんの瞳を見る。
雅さんは呻きながら考えていた。
眉を寄せて必死に思い出すように。
:08/04/27 09:55 :D704i :☆☆☆
#575 [カラス]
:08/04/27 14:25 :D905i :☆☆☆
#576 [氷雨]
カラスさん
アンカーありがとう!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そして雅さんは言った。
「美咲が自覚してないだけでさ、好きだったと思うぞ?」
雅さんは、はっきりそう言った。
またうんうんと何度も自分で頷いていた。
俺はその様子を見て、また疑問が浮かぶ。
また質問した。
:08/04/27 23:44 :D704i :☆☆☆
#577 [氷雨]
「どうして雅さんにわかるんですか?」
俺は普通に聞いたつもりだったんだけど、
雅さんはにっこり笑って俺の背中を軽く叩いた。
「んな、トゲある言い方しなくてもいっじゃん!ヤキモチか?」
「なっ!!」
俺は体が熱くなったような感覚に襲われた。
:08/04/27 23:52 :D704i :☆☆☆
#578 [氷雨]
「はは、顔ー真っ赤だぞ!」
雅さんはおもいっきり楽しんでいた。
俺はこんなに悩んでいるのに!!
けど、雅さんを見てたら自然と笑いがこみ上げた。
俺と雅さんの笑い声がスタジオに響く。
時間を忘れて、話していたから、気づかなかった。
後ろの黒い影に…
:08/04/27 23:58 :D704i :☆☆☆
#579 [氷雨]
「お゛い…」
ドスの利いた低い声。
笑い声は消え、俺と雅さんは肩をビクリと揺らし、顔を見合わせた。
そして、雅さんは「ヤバ…」確かにそう言った。
また低い声が響く。
「2人共?俺様のスタジオで勝手に何をしてるんだ…?」
それはそれは魔王が降りてきたのかというくらいの支配感だった。
:08/04/28 00:11 :D704i :☆☆☆
#580 [たいせー]
うわぁ魔王降臨(笑)
:08/04/28 00:13 :P702i :☆☆☆
#581 [氷雨]
:08/04/28 00:37 :D704i :☆☆☆
#582 [氷雨]
「よっ!孝裕!!」
雅さんは明るく元気よく話しかける。
けど、俺は……
「た…孝裕さん、こん…にちは」
雰囲気に呑み込まれて引きつりながら挨拶をする。
俺の挨拶を聞くと孝裕さんはにっこり笑った。
そして、いつの間にか扉の側へ忍び足で歩く雅さんを睨みつけた。
:08/04/28 00:42 :D704i :☆☆☆
#583 [氷雨]
「雅ぁぁあ!!」
突然、予想外に叫んだ孝裕さんに俺も雅さんも肩をすくめた。
雅さんはこちらを振り向くと笑う。
苦笑いで…
孝裕さんはただ雅さんを睨んでいて、それがただ怖かった。
こんなに鋭いガン飛ばしてる人、初めてみた。
:08/04/28 00:47 :D704i :☆☆☆
#584 [氷雨]
怖いといっても孝裕さんを知っているから、この程度の怖さなんだけど…
俺は孝裕さんと雅さんを交互に見る。
先に口を開いたのは雅さんだった。
「ごめんって!!もう仲間外れにしねえからぁ」
出たのはまたも予想していなかった言葉だった。
:08/04/28 00:50 :D704i :☆☆☆
#585 [氷雨]
「へ………?」
気が抜けてしまって、つい声が零れた。
雅さんは苦笑いで頭の上で両手を合わせて、ごめんのポーズ。
孝裕さんも孝裕さんで少しだけ満足したかのようにため息をついた。
俺は目の前で何が起きてんの?って感じで呆けていた。
:08/04/28 19:05 :D704i :☆☆☆
#586 [氷雨]
「孝裕はさ、心配してんの…、こんだけ魔の空気、漂わせてるけど」
雅さんの声は呆けていた俺の耳になんなく入ってきて、優しく語る。
孝裕さんは前みたいに怒ったりせずに頷いた。
すごくすごく、嬉しくて涙が瞳に溜まる。
「陽を俺に取られて、怒ってるんだ…」
けれど、次の言葉は明らかに笑みが含まれていた。
:08/04/28 19:13 :D704i :☆☆☆
#587 [氷雨]
「え………?」
反射的に聞き返す。
言われた本人は頷いくのを止めて、フリーズ中。
俺は我が友を思い出し、禁句の言葉を言ってしまった。
「孝裕さん、あっち系なんですか!?」
あえて問題の言葉は伏せれたけれど、
孝裕さんの肩が小刻みに震える。
:08/04/28 19:16 :D704i :☆☆☆
#588 [氷雨]
ヤバい!!
つい出してしまった言葉を取り戻したかった。
しかし、そう思っても、もう遅い。
「陽?」
魔王の囁きはすぐそこまで迫っていた。
孝裕さんの怖さはドスの利いた低い声、あと威圧感、迫力。
そして何よりも【俺様】
:08/04/28 19:21 :D704i :☆☆☆
#589 [我輩は匿名である]
あげる 頑張って
:08/05/03 00:20 :P902iS :☆☆☆
#590 [x]
あげ
:08/05/04 12:25 :W54T :☆☆☆
#591 [氷雨]
長らくの放置
すみません!
更新します。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「今のは俺に言ったのか?」
詰め寄られる事1メートル前。
ドスの利いた重低音は目の前で歩みを止めた。
そっと顔をあげると優しい笑顔の孝裕さん。
けれど…、笑っているけど笑ってない。
:08/05/04 18:25 :D704i :☆☆☆
#592 [氷雨]
ひくひくと口をひきつらせながら、の優しい笑顔。
それ程、恐ろしいものはなかった。
とっさに、
「すみません!!」
と、謝っていた。
それと同じ位の時、頭に手が置かれた。
驚きまたも俯いていた顔を上げると、軽く頭を叩かれた。
:08/05/04 18:30 :D704i :☆☆☆
#593 [氷雨]
「陽だから許してやるが…、もう二度と言うな…発するな」
怒りは収まる事なく現れていた。
俺の馬鹿っ!!
そう何度も俺は俺を責めた。
けれど、その後、雅さんに話した(相談)事を孝裕さんにも話すと、機嫌良さそうに助言してくれた。
そんなに仲間外れが嫌いなのか、と疑問を抱くくらいに。
:08/05/04 22:26 :D704i :☆☆☆
#594 [氷雨]
そして、突然の魔王の御言葉。
「陽、お前美咲に告れ」と…
確かにそう言った。
当然、俺はフリーズ。
なかなか帰って来れないくらいに衝撃力抜群の魔王の御言葉。
「気の毒に……」
隣に座る雅さんの声がどこか遠くに聞こえた。
:08/05/04 22:35 :D704i :☆☆☆
#595 [氷雨]
「やる気あるのか!!?」
孝裕さんの罵声が飛ぶ。
無理もない。
俺は撮影中にも関わらず、「陽、お前美咲に告れ」その言葉でパニック状態。
帰っては来れたが、撮影に集中できないでいる。
「孝裕……、お前が撮影前にあんな事言ったからだろ」
そう言って弁解してくれる。
:08/05/05 07:37 :D704i :☆☆☆
#596 [氷雨]
雅さんが天使に見える。
しかし、
「知るか!仕事と私事の区別くらいつけろ!」
罵声は止むことなく、しかも、正論なので雅さんも口を噤む。
「陽、今は忘れて頑張れ…」
後はそう言うしかなくなって、雅さんは苦笑いした。
:08/05/05 07:41 :D704i :☆☆☆
#597 [氷雨]
『今は忘れて……』
雅さんの言葉通り、考えない事にした陽は1度、目を瞑り、また開く。
陽の顔にはモデル《HARU》の顔が覗いた。
幼さの少し残った、けれど綺麗で儚く、時に妖艶、時に悪戯っ子。
陽は色んな顔で周りを魅了する。
:08/05/05 07:46 :D704i :☆☆☆
#598 [氷雨]
クルクルと変わる表情に周りは惹かれ、孝裕と雅以外のスタッフはボンヤリと陽もとい、HARUに見入っていた。
「はい、終了」
孝裕さんの声でスタッフはハッと意識を取り戻す。
周りを見渡し、はは、とみんなで苦笑いをした。
一方、撮影の終わったモデル側は……
「陽、やっぱお前はモデル向き」
:08/05/05 07:50 :D704i :☆☆☆
#599 [氷雨]
「へ………?」
雅さんの言葉にクエッションマークが飛ぶ。
そんな俺を尻目に孝裕さんも頷いた。
「俺、陽の事、知ってるような気がするんだ」
孝裕さんが意味のわからない言葉を発する。
雅さんんは怪訝そうな顔をして、
「新手のナンパ?」
:08/05/05 08:04 :D704i :☆☆☆
#600 [氷雨]
と、言った。
「なっ…!お前はいつもそんな事ばかり考えてるのかっ!?」
孝裕さんが焦りながら雅さんに怒鳴る。
雅さんはそんな孝裕さんを無視して尋ねた。
「陽と孝裕、知り合いだったの?」
やっぱり怪訝そうな顔で俺と孝裕さんを交互に見る。
「いや…、どこかで見た事があるんだ」
:08/05/05 08:09 :D704i :☆☆☆
#601 [我輩は匿名である]
:08/05/05 12:53 :P902iS :☆☆☆
#602 [x]
この小説大好きです
更新頑張って
下さいx!!
:08/05/05 17:32 :W54T :☆☆☆
#603 [氷雨]
我輩さん
アンカーありがとう!
さん
大好きですか!?ぅわぁぁあ!すごぃ嬉しいです!
今日、更新予定です。暫しお待ちを!!
:08/05/06 13:06 :D704i :☆☆☆
#604 [氷雨]
孝裕さんは俺をジッと見る。
俺も暫くは見ていたんだけど、いたたまれなくなり視線を逸らした。
「あ…………」
孝裕さんは思い出したかのように声をあげる。
雅さんも当然のようにその言葉に食い付く。
「何なに!?思い出した!?」
:08/05/06 16:10 :D704i :☆☆☆
#605 [氷雨]
元気な子犬のように孝裕さんに飛び付く。
けれど、孝裕さんは考えるというように手を頭に置き、答えを探していた。
「なんだ、まだかよ…」
そんな姿に雅さんは面白くなさそうに孝裕さんから離れた。
けれど…
「雅…、お前もよく知っている御人を思い出さないか?」
:08/05/06 16:15 :D704i :☆☆☆
#606 [氷雨]
孝裕さんから出た【御人】と、いう言葉に雅さんの体がピクリと反応した。
「【御人】だ………?」
確かめるように繰り返した。
雅さんの言葉に孝裕さんは頷く。
次は雅さんからの視線攻撃。
またもいたたまれなくなって視線を逸らす。
「あ………っ!!え……?」
:08/05/06 16:20 :D704i :☆☆☆
#607 [氷雨]
雅さんも思い出したかのように声をあげて、「マジ……?」、そう呟いた。
孝裕さんが意を決したように俺に尋ねる。
「陽?もしかしたらな、お前の父親は彩史さんか?」
突然出た父親の名に瞳をパチクリさせる。
雅さんも孝裕さんも真剣そのもので…
「どうして、お父さんの名を知ってるんですか?」
:08/05/06 16:24 :D704i :☆☆☆
#608 [氷雨]
俺は驚きを隠せずに言った。
お父さんが関係あるの?
眉にしわが寄る。
「陽………、本当に。本当に彩史さんの息子なのか?」
孝裕さんは呟くように俺に尋ねる。
雅さんも俺をジッと見つめている。
「うん、俺のお父さんですけど…。お父さんを知っているんですか?」
:08/05/06 19:38 :D704i :☆☆☆
#609 [氷雨]
もう1度質問して、そこで俺はハッと気付いた。
お父さんはモデルをしていたんだ。
「俺の先輩。俺の憧れ…」
雅さんが呟いた。
俺は雅さんの顔を見上げた。
その顔は嬉しそうな、悲しそうな顔をしていた。
「雅…さん……?」
:08/05/06 19:42 :D704i :☆☆☆
#610 [氷雨]
「なぁ。…今日、陽ん家いってもい?」
雅さんは何かを我慢したように言う。
俺は直ぐ様返事をする。
「はいっ、大丈夫です」
そう言ってにっこり笑った。
「俺も行くから」
後ろから当然のように声が聞こえる。
「はいっ!」
孝裕さんにも笑顔を送った。
:08/05/06 19:48 :D704i :☆☆☆
#611 [氷雨]
「ただいまーー!」
俺は元気よく自宅の玄関を開けた。
リビングからいつものようにバタバタと足音が近づく。
「はーーるーーーーっ!」
「んぐっ…!」
いつものように我が父親は俺に抱き付き満面の笑みを向けた。
「おかえりっ!!」
:08/05/06 19:56 :D704i :☆☆☆
#612 [氷雨]
少し苦笑いをし、
「ただいま……」
と、我が父を自分から引き剥がした。
「あれ………?」
お父さんは俺の後ろに気づき、疑問を口にした。
「孝裕と雅じゃん!!」
俺の後ろの2人にも満面の笑みで笑った。
:08/05/06 20:05 :D704i :☆☆☆
#613 [氷雨]
後ろを振り向き、2人を見ると口をぱくぱくしていた。
「彩……史……さん……」
震える声で雅さんは呟いた。
あの俺様の孝裕さんでさえ、なんだか震えている。
「おう!元気そうだな!陽が世話になってるらしいな、ありがと」
お父さんは茶目っ気に言ってウインクした。
:08/05/06 20:40 :D704i :☆☆☆
#614 [氷雨]
「彩…史さん……、どこにいたん…ですか……?」
孝裕さんが独り言かと思うくらい小さな声で呟いた。
お父さんは孝裕さんの言葉を聞くと、少し考えていた。
そして、少しの沈黙の後、お父さんは言った。
「モデルは楽しかった。けど、俺、もう1つの夢を叶えなかったんだよな」
目を輝かせて。
:08/05/07 22:51 :D704i :☆☆☆
#615 [氷雨]
「だから、夢、叶えるためにモデル辞めたの」
少年のように言うお父さんに雅さんと孝裕さんは険しい顔をした。
「突然……、突然、何も言わずに俺らを置いて……?」
雅さんの声はやっぱり震えている。
「言ってくれたら……!!」
納得していない、という風に悔しそうに言葉を止める。
:08/05/07 22:56 :D704i :☆☆☆
#616 [心]
更新楽しみに
してますx
頑張って下さいy
:08/05/10 11:06 :W54T :☆☆☆
#617 [氷雨]
心さん
ありがとう!!今日、少し更新します!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「俺がお前らにどうして黙って行ったのか…わかる?」
お父さんは急に真剣な顔になり、雅さん、孝裕さんに問い掛けた。
「「………っ!」」
その言葉に2人は口を閉ざす。
《どうしてなのか》をわかっているから。
:08/05/11 19:48 :D704i :☆☆☆
#618 [氷雨]
「確かに……、辞めると言われたら断固反対してました…!」
孝裕さんは今にも泣きそうな切ない顔してお父さんに訴える。
「けど、突然…目標のなくなった俺らは、ただただ虚しかった」
少し言葉を開けて、思いを伝える。
お父さんはそれを瞳を閉じて、聞いていた。
雅さん、孝裕さんにとってお父さんは《目標》であったのだと、俺は蚊帳の外で聞き、ただ立ち尽くしていた。
:08/05/11 19:54 :D704i :☆☆☆
#619 [氷雨]
おはよございます!
そして、すみません(/_;)
たぶん…、1週間程ここにはこれなくなってしまいます。
更新が遅い上にこれなくなりますが…、見捨てないでやってくれたら嬉しいです。
またまたたぶん…ですが、土曜くらいに1度来れると思います!
それまでの留守、本当にすみません…°・(ノД`)・°・
:08/05/12 06:28 :D704i :☆☆☆
#620 [心]
土曜日まで
待ってますx
あげ続けます笑
:08/05/12 18:32 :W54T :☆☆☆
#621 []
:08/05/12 19:52 :D903iTV :☆☆☆
#622 [氷雨]
心さん
待っててもらぇたんですか!?もぅ!!すごぃ嬉しいデス°・(ノД`)
氷雨!頑張って更新しますね!本当に嬉しいですーーー!!
さん
アンカー!ありがとう♪!!
:08/05/17 08:22 :D704i :☆☆☆
#623 [はるか]
あたしも待ってまーす
v(* ̄U ̄*)
:08/05/17 10:16 :W51S :☆☆☆
#624 [氷雨]
はるかさん
はるかさんもですか!?氷雨!嬉しすぎて涙でそうです!ワラ
ありがとう!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「あの……」
そして、俺はついに声にする。
「お父さんって何がしたかったの…?」
蚊帳の外にいたけれど、気になる事が1つ。
俺の声と共にハッとしたようにその場の空気がガラリと変わった。
:08/05/17 20:21 :D704i :☆☆☆
#625 [氷雨]
「ん……?俺の夢か……?」
お父さんもいつものおちゃらけた雰囲気に戻り、俺の質問の返事を考える。
「そういえば…、夢ってなんなんですか?」
雅さんが反復するように尋ねる。
それに孝裕さんも同意するかのようにお父さんの顔を覗く。
「俺はーー、翻訳家になりたいんだ」
:08/05/17 20:25 :D704i :☆☆☆
#626 [氷雨]
はい……………?
翻訳家…って……?
俺は真っ白な頭に言葉を写す。
「翻訳家ですか……?」
孝裕さんは呆れたというか予想外すぎる言葉に呆気にとられている。
雅さんも左に同じで…
「え?お父さんって今、何してるんだった……?」
:08/05/17 20:28 :D704i :☆☆☆
#627 [氷雨]
あまり、家に帰ってこないお父さんを俺は全く気にもせずに生活していたんだ。
と、今更気付く。
『彩史はお仕事!!』
と、言い張るお母さんに俺は安心しきっていて、お父さんが何をしているのかも知らなかった。
そして、リビングから突然…
「陽は本当に馬鹿ねー、彩史は留学してたのよ」
:08/05/17 20:32 :D704i :☆☆☆
#628 [氷雨]
明るく元気な声が響いた。
「へー……留学かぁーー……………………、って!えっ!?」
改めて聞かされた新事実に俺は驚愕する。
雅さん、孝裕さんは驚きのあまりあんぐりの口を開けていた。
「えー……陽、本当に知らなかったのか……?お馬鹿さんだなぁー」
:08/05/17 20:35 :D704i :☆☆☆
#629 [氷雨]
お母さんよりも明るくおちゃらけた声に力が抜ける。
「俺?優秀でさ、特待生限定留学の許可つうか資格?貰えて!行っちゃった!ドイツ!!」
それはそれは嬉しそうに語るお父さんに俺は送る言葉もなくて、ただハハハと笑った。
「という事は大学に通われているんですか?」
孝裕さんが尋ねる。
「おう!」
お父さんはまたも明るく返事した。
:08/05/17 20:40 :D704i :☆☆☆
#630 [氷雨]
「そう……だったんですか…」
納得(少しだけ)したように孝裕さんは呟いた。
雅さんはまだ納得していないというように、不機嫌な顔をしている。
ていうか……、お父さんが大学生っていうのに俺は驚いてるのに誰も何も言わないの?
そんな思いは俺の胸の中に留まったけれど、解決する事はなかった。
:08/05/17 20:45 :D704i :☆☆☆
#631 [氷雨]
「モデルの仕事は……」
雅さんが小さく小さく呟く。
それにお父さんはわかっていたかのように素早く答える。
「俺はモデルを辞めた。復帰するつもりもない」
そうキッパリと言い放つ。
それでも、やっぱり雅さんは気にくわないといった顔で不機嫌になる。
「はは、子供みたいな所は変わらないな、雅。陽が居るだろ?」
:08/05/17 20:49 :D704i :☆☆☆
#632 [氷雨]
「へ………?」
突然の自分の指名にマヌケな声が漏れる。
「陽なら俺以上のモデルになれる、小さな頃から陽はモデル向きのセンス持ってたからな」
お父さんに褒められる事は日常茶飯事だけど、こんな対等とした褒められ方は初めてだった。
「そうだったかな?」
身に覚えのない事にクエッションを表す。
:08/05/17 20:53 :D704i :☆☆☆
#633 [氷雨]
「おう!俺は陽に基礎から叩き込んだからな!子供の頃に覚えた事は忘れにくいんだぞ」
お父さんはニカッと笑って、俺の髪を撫でる。
「納得……」
雅さんが呟く。
「陽ってモデルになるために生まれたみたいにセンス良かった。まっ!服以外は…」
後で付け足された《服》。
俺は服のセンスがまるっきりない。
:08/05/17 20:58 :D704i :☆☆☆
#634 [氷雨]
「服かぁ……、俺、大学生だからそこまでは…」
お父さんも苦笑いする。
孝裕さんはただ黙って頷いていた。
俺は言いたい放題言う、お父さんと雅さんを睨みながらワナワナと拳を握り締めて耐えていた。
「彩史さん!また来ていいですか!?」
:08/05/17 21:01 :D704i :☆☆☆
#635 [氷雨]
元気に子犬のようにハシャぐ雅さん。
あの後、ご飯をなぜか家族プラス雅さん、孝裕さんと一緒に食べた。
食べた後も雑談をして、お父さんと雅さん達は仲直り。
丸く収まったんだけど……
「おう!いつでも来い!」
:08/05/17 21:04 :D704i :☆☆☆
#636 [氷雨]
「やった!!」
「俺も……来ていいですか?」
少し遠慮がちに孝裕さんも尋ねる。
「いいに決まってる!けど、来る時は電話しろよ!」
その言葉に孝裕さんはものすごく嬉しそうに笑って、「はい!」と叫んだ。
そして、最後に……
:08/05/17 21:07 :D704i :☆☆☆
#637 [氷雨]
「あ、陽?さっきの話、進めておく」
そう言って孝裕さんは乗って来た雅さんの車に乗り込み扉を閉めた。
クラクションを小さく鳴らして去って行く車を見送りながら、俺は瞳を瞑り、覚悟を決めた。
リビングには家族みんな集まっていて、楽しくテレビを見ている。
:08/05/17 21:10 :D704i :☆☆☆
#638 [氷雨]
「俺!!」
そんな楽しい雰囲気をぶち壊すように俺は大きく叫んだ。
家族3人は驚いて声の主、俺に視線を送る。
1番に口を開いたのはお母さんだった。
「どうしたの?急に……」
不意を付かれたからかいつもの元気よさは隠れていた。
:08/05/17 21:14 :D704i :☆☆☆
#639 [氷雨]
「あーー……俺さ、本格的にモデルする。だから迷惑とか掛けるかもだけど……よろしく」
そう少し照れながら言った。
顔を上げると家族全員が笑顔で、
「迷惑じゃないし、むしろ支えてやる!」
生意気な口を聞きながらも俺は三依に笑顔を送る。
「本当にお馬鹿さん、迷惑なんてかけまくって?迷惑じゃないんだから」
:08/05/17 21:18 :D704i :☆☆☆
#640 [氷雨]
お母さんの優しい矛盾にも笑顔で「ありがとう」と言った。
「俺はお前のお父さんで先輩で師匠!頼りまくりなさい!」
いつもの明るくおちゃらけた物言いにも安心感が湧き、自然と笑顔になる。
「俺、頑張るよ!」
俺の夢は《トップモデル》
お父さんみたいなモデルになる事だ。
:08/05/17 21:22 :D704i :☆☆☆
#641 [氷雨]
新しい夢。
けれど、まだ進めない。
俺はまだ逃げ続けているから。
大切な大切な人を傷付けて。
けれど、進むという事はまた傷付ける。
俺はまた1人の人を傷付ける。
「三依?ちょっと話があるんだ」
:08/05/17 21:26 :D704i :☆☆☆
#642 [氷雨]
「何……?」
三依は何もわかっていない笑顔で俺に笑いかける。
俺は最低だ。
深く深く心が痛むけれど、言わなければ始まらない。
「俺は北原さんを好きじゃないんだ……」
自分で言いながらズキズキと胸が痛み、顔を顰める。
:08/05/17 21:29 :D704i :☆☆☆
#643 [氷雨]
:08/05/17 23:00 :D704i :☆☆☆
#644 [氷雨]
「……………………えっ?」
数秒してから三依はあやふやな言葉を呟く。
まだ俺の言葉を頭まで理解できていないのか、眉を寄せて考えている。
俺はただ次の三依の言葉を待つ。
暫くして……
「陽兄…?どういう事?」
睨みを利かせて俺に尋ねた。
:08/05/19 20:23 :D704i :☆☆☆
#645 [氷雨]
その瞳はギラギラと輝いて、俺の胸にチクチクと痛みが走る。
俺は重なくなった口を開く。
「『一緒に放課後、帰るだけでいい』って、北原さんが言って、俺はそれに逃げた」
三依の瞳を真っ直ぐに見て、逃げたい気持ちを抑えていた。
三依は明らかに《怒》の表情で俺の話を聞く。
「俺は葉山さんが好きなんだ。北原さんも知っているけど…、俺は葉山さんの気持ちが怖くて北原さんに逃げたんだ…」
:08/05/19 20:30 :D704i :☆☆☆
#646 [氷雨]
俺は言い訳をしている情けない男……
逃げた男。
けれど、俺は1歩を踏み出したい。
気持ちを伝えたい。
傷付ける事がわかっているのに、そう思ってしまう。
最低な男だ…。
何も喋らない三依を前に俺は自分を責め続けた。
:08/05/19 20:33 :D704i :☆☆☆
#647 [氷雨]
けれど……
「陽っ兄!!」
三依は明るく元気に俺に声を掛けた。
え…………?
その状況が掴めずに俺はいつの間にか下がっていた顔を上げ、三依を見る。
「知ってる……、全部知ってるよ」
:08/05/19 20:36 :D704i :☆☆☆
#648 [氷雨]
「な……にを…?」
小さく呟くと三依は苦笑いした。
俺は表情の意味が全くわからなくて、パニック寸前だった。
すると、三依は話し始める。
「愛美は全部お見通しだったよ。『陽君にはね!すっごく好きな人がいるんだ……、いつか別れる時が来ても、《ありがとう》って笑顔で見送るよ』って、言ってた……」
それは大きな瞳にたくさんの涙を溜めながらだったけれど、三依はそれを言う事をしなかった。
:08/05/19 20:43 :D704i :☆☆☆
#649 [774ch]
頑張れ-
:08/05/20 23:14 :D903i :☆☆☆
#650 [氷雨]
774chさん
ありがとう!風邪でダウンしてましたぁ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
俺は言葉を失う。
どうして?どうして、そんなに……
自分を犠牲にしてまで好きでいてくれるの?
俺の瞳には知らぬ間に涙が滲んでいた。
:08/05/22 21:48 :D704i :☆☆☆
#651 [亜美]
頑張って~
ずットみてますから_A
:08/05/22 21:50 :W52CA :☆☆☆
#652 [氷雨]
「げっ!陽兄!?」
なんとも場違いな声に俺は少し苦笑いする。
「大丈夫だから…、三依、ありがとう」
男らしくなく瞳に涙を溜めて思いを口にする。
三依は安心したように、ホッとため息をついた。
「それでも、男か!!」
最後にはやっぱり生意気な台詞を吐いたけれど、俺はそれに対して優しく笑った。
:08/05/22 21:53 :D704i :☆☆☆
#653 [氷雨]
亜美さん
ありがとう!頑張ります!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
次の日、俺は北原さんを放課後学校まで迎えに行った。
「ごめん!待たせた!?」
息を切らせて尋ねると北原さんはクスクス笑って…
「全然だよ!私も今、校門に来た所」
そう言って微笑んだ。
:08/05/22 21:59 :D704i :☆☆☆
#654 [氷雨]
優しくてふんわりとした雰囲気。
大人しそうに見えるのに内には強さを隠してる。
そんな女の子。
「陽君、今日はどこに行く?」
そう言いながら、さり気なく手を繋ぐ。
小さくて壊れそうな、手をソッと握り返した。
:08/05/22 22:03 :D704i :☆☆☆
#655 [氷雨]
「あのね、今日…ちょっと話があるんだ」
俺は意を決して呟くように告げた。
北原さんは驚きもせずにコクンと首を縦に振る。
「うん!公園、行こっか」
俺は手を引っ張られて北原さんに着いていく。
公園には散歩をしている人やサッカーをしている子供達がたくさんいた。
:08/05/22 22:07 :D704i :☆☆☆
#656 [氷雨]
冬だというのに意外と人はたくさんいて俺は驚いた。
「驚いてる」
北原さんはまたクスクス笑って俺をベンチまで引っ張り、ベンチへ腰掛けると隣をパシパシ叩いた。
「ここ!」
俺は北原さんの隣に腰掛ける。
:08/05/22 22:12 :D704i :☆☆☆
#657 [氷雨]
「私ね!この公園、大好きなんだ。だから陽君と来たかったの」
北原さんは優しく微笑む。
俺は今から、最低な事をしようとしていれのに…
北原さんは優しい笑顔をくれる。
けれど……
俺は口を開く。
「北原さっ………………」
:08/05/22 22:16 :D704i :☆☆☆
#658 [氷雨]
「陽君!楽しい思い出をありがとう!私は大丈夫だよ?幸せになってね」
俺の言葉を遮り、北原さんは叫んだ。
そして、また優しく笑った。
俺は思いもよらない展開に呆然と口をパクパクさせる。
それを見て、北原さんはキャハキャハと笑う。
:08/05/22 22:20 :D704i :☆☆☆
#659 [氷雨]
「そんな陽君、初めて見たー……、陽君……別れても仲良くしてね?」
今にも泣きそうな震えた声。
俺がそうさせているんだ、と思うとズキリと胸が痛む。
けれど…、俺は……
1度、瞳を閉じ…開く。
「うん、当たり前だよ?俺こそ仲良くしてね?」
:08/05/22 22:25 :D704i :☆☆☆
#660 [氷雨]
その言葉を聞いて、また北原さんは笑い出した。
ぇぇえええっ?どうして…?
俺は意味がわからなくて、首を傾げる。
北原さんは一通り笑い終えると言った。
「陽君って面白い!!」
どして……?
やっぱり意味がわからない。
意味を聞いても、北原さんは笑って誤魔化した。
:08/05/22 22:29 :D704i :☆☆☆
#661 [氷雨]
そして、俺達は最後のデートとしてゲームセンターへ行った。
「あのぬいぐるみ、可愛い!」
北原さんが叫ぶ。
「あれ?俺、捕れるかも…」
そう言って、500円を投入して、操作する。
「わぁー!陽君すごいっ!」
ぬいぐるみは1回目で取れた。
:08/05/22 22:34 :D704i :☆☆☆
#662 [氷雨]
「はい!!あげる」
俺は取れた嬉しさ余って、極上の笑みを向けた。
「陽君はズルいよなぁ……」
北原さんがそう呟いた事にも気付かずに第2回目へ突入する。
「「あっ!」」
俺と北原さんは同時に声を上げた。
「惜しかったね……」
残念そうな声と表情。2回目は失敗してしまった。
:08/05/22 22:39 :D704i :☆☆☆
#663 [氷雨]
「次こそは!!」
俺は気合いを入れて、取りかかる。
500円で3回。
チャンスは後1回だけだ。
自分の世界に入ってしまって、真剣に取り組む。
そんな姿を見て、北原さんはまたもクスクスと笑っていた。
そして……
「ぁあっ!!…………」
:08/05/22 22:42 :D704i :☆☆☆
#664 [キリア]
あげ
:08/05/28 10:05 :SH904i :☆☆☆
#665 [我輩は匿名である]
あげます
:08/05/30 00:34 :SH903i :☆☆☆
#666 [ヒステリッカー]
:08/05/30 08:54 :N905imyu :☆☆☆
#667 [ヒステリッカー]
:08/05/30 08:56 :N905imyu :☆☆☆
#668 [ヒステリッカー]
:08/05/30 08:56 :N905imyu :☆☆☆
#669 [ヒステリッカー]
何回もすいませんm(__)m
:08/05/30 08:57 :N905imyu :☆☆☆
#670 [氷雨]
キリアさん・我輩さん
アゲ
ありがとう!
ヒステリッカーさん
大丈夫ですよ!!ありがとう! ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ぬいぐるみはポスッと出口へ一直線。
「陽君、すごいねーー!!」
北原さんは大興奮して俺の腕にしがみつく。
そのまま、しゃがみ込みぬいぐるみを取り出して、北原さんへ渡した。
「はい!」
:08/05/31 10:20 :D704i :☆☆☆
#671 [氷雨]
そう言い、北原さんの胸へぬいぐるみを収めると、北原さんはぬいぐるみをギュッと抱き締める。
「陽君、私すごく嬉しい…、ありがとう!」
少し悲しい顔をしていたのに気付いたけれど、そんな顔をさせているのは俺。
声をかけるなんて出来ないから、俺はにっこり笑うしか出来なかった。
「陽君、今日はありがとう!また、良かったら友達として遊ぼうね」
:08/05/31 10:25 :D704i :☆☆☆
#672 [氷雨]
帰り際、北原さんは満面の笑みでそう言うと手を振り玄関の扉をパタリと閉めた。
「俺も!俺もすごく楽しかった!ありがとう」
閉まった扉へ叫んだけれど、絶対に北原さんは聞いてくれている。
そう思い、叫んだ。
その後は早足で帰宅し、明日の事を考える。
《伝えないと……》
そう決心すると拳をギュッと握り締めた。
:08/05/31 10:32 :D704i :☆☆☆
#673 [我輩は匿名である]
:08/05/31 12:20 :N902iX :☆☆☆
#674 [氷雨]
我輩さん
アンカーありがとう!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
けれど、小宮にはなんて言ったら?
問題は残っていた。
小宮は葉山さんが好き。そして…、俺も……。
気持ちを伝える。
それは、小宮を裏切る事になるんだ。
:08/05/31 21:37 :D704i :☆☆☆
#675 [氷雨]
《俺の気持ち……》
伝える前に小宮に話そう。
そう決めた。
明日……、…………?
「明日っ!!学校休みだ!!」
明日は土曜日。
思わず叫んでしまう。
それは完全な計画ミスだった。
けれど、タイミング良く携帯がなる。
:08/05/31 22:19 :D704i :☆☆☆
#676 [氷雨]
誰……?
少し遠くで鳴っている携帯を手を伸ばして取ると画面には《小宮》の名前が出ていた。
メールを開くと『明日
遊ぼ
』そう写し出されていて、メールからも無邪気さが醸し出されているような…
小宮らしさ満点のメールだった。
思わず、にっこりと笑ってしまう。
:08/05/31 22:29 :D704i :☆☆☆
#677 [氷雨]
そして、すぐに返事した。
『うん
久しぶりだし
楽しみだ
』
明日、遊ぶ時間と場所を決めると明日の為に早めに眠りについた。
1つ、決意をした。
《明日…話そう》と……、
:08/05/31 22:34 :D704i :☆☆☆
#678 []
:08/06/01 07:59 :P903i :☆☆☆
#679 [氷雨]
さん
アゲありがとう!!嬉しいですっ!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「陽ーー!!?」
小宮が俺を呼ぶ。
久しぶりに遊ぶのに、俺の意識は他へ行ってしまっていた。
「あ……、ごめん!!」
小宮の声で意識を取り戻す。
心配そうな顔で俺を覗き込む小宮にズキリと胸が何度も痛む。
:08/06/02 13:36 :D704i :☆☆☆
#680 [氷雨]
俺を心配してくれる小宮を俺は裏切るんだ。
俺は自分を責め続けていた。
「大丈夫か?体調悪い?」
本当に小宮はいい友達なんだ。
俺は伝えてもいいのか?
今になって、その疑問が頭をよぎる。
心配そうに見る小宮に、「大丈夫!ありがとう」と、言いにっこり笑った。
:08/06/02 13:40 :D704i :☆☆☆
#681 [我輩は匿名である]
:08/06/02 16:57 :SH704i :☆☆☆
#682 [氷雨]
我輩さん
アンカーありがとう!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「そかぁ?無理すんなよ?」
優しすぎて、いい奴すぎて苦しい。
けれど、言わないと始まらない。
俺はそれからは、いつ言おうかと機会を伺いながらもおもいっきり遊んだ。
そして……
:08/06/02 20:59 :D704i :☆☆☆
#683 [氷雨]
「あのさ、俺…小宮に言わないといけない事があるんだ…」
それは少し遊び疲れて日陰のベンチで缶ジュースを飲んでいる時だった。
小宮は不思議そうに俺を見た。
「何なに?真剣な顔して?」
俺の雰囲気を読み取ったのか笑いながらも瞳は真剣に俺を見てくれている。
俺は緊張でゴクリと喉を鳴らした。
:08/06/02 21:14 :D704i :☆☆☆
#684 [氷雨]
「お…れ……、俺さ…」
声がかすれて上手く言えない。
けれど…
「小宮……、俺は葉山さんが好きなんだ」
言葉を繋げて話す。
小宮の瞳を見つめて、必死に伝えた。
瞳は一瞬、ぐらりと揺れた。
それがどういう意味なのかはわからなかったけれど、俺は心の中でビクリと震えた。
:08/06/02 21:32 :D704i :☆☆☆
#685 [氷雨]
小宮に嫌われてしまうんじゃないか。
親友が離れていくのは嫌だ。
けれど…
小宮は俺に話してくれた。
俺も話さないと。
けれど、そう思っても本当は怖い。
早く何かを言って欲しい。言って欲しくない。
:08/06/02 21:39 :D704i :☆☆☆
#686 [氷雨]
気持ちは2つに分かれて、小宮の言葉を待つ。
そして、小宮は俺の予想を裏切るように…、
にっこり笑った。
え…………っ?
驚きを隠せなくて、俺は目を見開いた。
「陽も葉山さんが好きなんだ!!一緒だな!あれ?けど、陽、彼女いたよね?」
:08/06/02 21:51 :D704i :☆☆☆
#687 [氷雨]
明るくいつもの元気な声で、なんだか嬉しそうに小宮は言った。
「…………へ…?」
小宮のまたも予想を裏切る言葉に俺は間抜けな声が出てしまった。
しばらく、呆然と小宮のニコニコ笑った顔をボーっと見ていた。
「陽?何か言えっての!」
そんな俺に小宮はいつものようにデコピンをくらわす。
:08/06/02 22:00 :D704i :☆☆☆
#688 [氷雨]
:08/06/02 22:01 :D704i :☆☆☆
#689 [氷雨]
「え…!?あ……北原さんは友達に………、え……?」
北原さんの事を説明しようと思うのに、小宮の言葉に動揺して言葉はまとまらない。
そんな俺を見て、小宮は笑ってる。
「小宮は…怒らないの……?」
俺はついそう、口にしていた。
俺は怒るだろうと覚悟していたのに…
:08/06/03 13:29 :D704i :☆☆☆
#690 [氷雨]
笑うのを止めて、小宮は首を傾げる。
そして、キョトンとした顔で言う。
「俺が?何に怒るの??」
本当にわからないといった表情で俺を覗く。
それに俺は気が抜けてしまった。
「俺が黙ってた事とか……」
緊張の糸は完全に切れていて、脱力しながらそう言った。
:08/06/03 13:34 :D704i :☆☆☆
#691 [氷雨]
「だって、それは俺が先に言っちゃったからだろ?なら、しょうがないじゃん!」
また小宮に笑顔が戻り、俺に笑いかける。
俺は情けない気持ちになってしまう。
「小宮はでっかいな……」
そう、小宮は大きい。
俺はなんて小さかったのだろう。
:08/06/03 13:40 :D704i :☆☆☆
#692 [氷雨]
小さな事でクヨクヨしてしまう。
「陽のが、背でっかいじゃん!嫌みか!?」
小宮は頬を膨らませてプンプンと怒っている。
思わず吹き出して笑ってしまった。
それに噛み付くようにまた小宮は怒るフリをしながら、笑っていた。
:08/06/03 13:43 :D704i :☆☆☆
#693 [氷雨]
一通り笑い終えると、小宮はにっこり笑って言う。
「葉山さんも陽が好きだから、幸せにな!」
俺は固まった。
「え………」
ただそう言うしかできなくて…
小宮は言葉を繋げる。
「俺さ、我慢できなくて告白したんだ!じゃあ、好きな人がいるってさ!」
なんだか小宮はニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべている。
:08/06/03 13:49 :D704i :☆☆☆
#694 [氷雨]
俺はなにがなんだか分からなくて、頭はハテナでいっぱいになる。
「俺さ、葉山さん見てて、分かっちゃったんだ!!」
何故か嬉しそうに子供のように小宮ははしゃいでいる。
小宮の言葉を聞いても、やっぱり分からなくて首を傾げる。
「もう!陽は鈍いなぁ!葉山さん、ずっと陽の事、見てんの!!俺、ビックリしちゃって」
:08/06/05 08:18 :D704i :☆☆☆
#695 [氷雨]
宝物を見つけ出したみたいに瞳はキラキラと輝いている。
「えっと………」
葉山さんが俺を見てる?
それは……、えーーと……
「絶対!好きだっ!!!」
小宮は大きく叫んだ。
そういうこと……
告白はされたけど、実感はなかった。
:08/06/05 08:24 :D704i :☆☆☆
#696 [Heart]
:08/06/05 19:39 :N902iS :☆☆☆
#697 [氷雨]
Heart
さん
アンカー
ありがとう!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
葉山さんはデートをしていても手を繋いでいても、そんな素振りを見せなかったから…
嬉しそうにしていたけれど、それが『好き』だなんて思わないくらいに葉山さんは自然だった…
それとも……、気付かなかった俺が悪いのかな?
:08/06/08 01:48 :D704i :☆☆☆
#698 [氷雨]
「俺……、告白するよ。でも…小宮はいいの?」
『好き』って気持ちはそう簡単に消えない。
苦しくて、けれど嬉しくて楽しくて。
小宮はそれでもいいの…?
俺が言う筋合いないのかもしれないけど………
けれど、そんな俺を尻目に小宮は満面の笑みで笑って。
:08/06/08 01:53 :D704i :☆☆☆
#699 [氷雨]
「へへ……、陽はいい奴だなぁ!!俺はもう大丈夫っ!俺って、立ち直り早いんだぞ!!」
そう言った。
そして、最後に……
「まぁ?陽が気にやむって言うなら【ジェラート】でも奢ってもらうさっ!!」
【ジェラート】…どこか外国のヨーロッパから来たと今、話題のアイスクリームだ。とにかく………
「げっ!?【ジェラート】!?高っいじゃん!!」
:08/06/08 01:59 :D704i :☆☆☆
#700 [氷雨]
そう恐ろしいくらいに高い。
けれど、それに見合うくらいに美味しい。………らしい。
「俺っ!食べてみたかったんだぁ!!」
ニンマリとわざとらしく笑うと小宮は俺が『YES』と言うまで、【ジェラート】について語らっていた。
場所は変わって【ジェラート】
今日も長蛇の列ができていて、殆どが女の人だと並んでから気付いた。
:08/06/08 02:05 :D704i :☆☆☆
#701 [氷雨]
「女の人はいいなぁ…」
小宮が呟いた。
それに俺も縦に首を振る。
女の人は甘い物、片手に持っていても全く違和感がない。
けれど男は、彼女が隣にいたら似合うけれど……
1人でなんか食べられない。(今日以外は…)
「陽も分かってくれると思ってたっ!!」
:08/06/08 02:09 :D704i :☆☆☆
#702 [氷雨]
感動したように瞳をキラキラさせて俺を見る。
俺はまた思わず吹き出し笑った。
そして、ついに俺らの番が来た。
「「うわぁ、種類ありすぎだろ……」」
全く同時に言う。けれど、悩んでいる暇はない。
長蛇の列が俺らの後ろにも出来ているから。
:08/06/08 02:13 :D704i :☆☆☆
#703 [氷雨]
「俺っ!カシス入ってるの!!」
小宮は叫んだ。
カシスは小宮の大好物だ。
「カシスでしたら、8種類取り入れてありますがどちらになさいますか?」
俺達はその多さに2人大きな声で驚いた。
「…………っ!!……んん!」
小宮は苦しそうな顔で苦渋の決断をしていた。
:08/06/08 02:18 :D704i :☆☆☆
#704 [氷雨]
そして……
「人気なのください!!」
と、言った。
店員は目を一瞬丸くしたけれど、ふんわり笑って…
「カシスで1番人気は《カシスホワイト》です。よろしいですか?」
小宮にそう尋ねた。それに小宮は元気に「はい!」と満面の笑みで答える。
「お連れ様はどうされますか?」
:08/06/08 02:22 :D704i :☆☆☆
#705 [氷雨]
「じゃあ、俺は2番人気のくださいっ!」
小宮も苦渋の決断してたし、俺のあげたら喜ぶだろなぁ。
そんな気持ちで頼んだ。
「はい、かしこまりました。2番人気は《カシスオレンジ》でございます。少々お待ち下さい」
店員はそう言うとアイスクリームをワッフルコーンの器に綺麗に盛っていく。
:08/06/08 02:27 :D704i :☆☆☆
#706 [氷雨]
アイスクリームの上にはカシスやカシスのソース、ハーブや生クリームが乗っていて甘党には堪らない品に仕上がっている。
「お待たせ致しました、こちらが《カシスホワイト》になります」
店員はにっこり笑い、小宮に渡す。
小宮ははちきれんばかりの笑顔で、それを受け取った。
「こちらが《カシスオレンジ》でございます」
:08/06/08 02:32 :D704i :☆☆☆
#707 [氷雨]
俺にもにっこりと笑い、アイスクリームを差し出す。
「ありがとう」
俺もにっこり笑い返し、アイスクリームを受け取る。
高かったけれど、やっぱりアイスクリームはそれに見合った物だ。
「うんまっ!!」
小宮はもう半分以上を食べ終えていた。
呆れながらも店を出る。
:08/06/08 02:35 :D704i :☆☆☆
#708 [氷雨]
最後に……
「HARUと一緒のください!」
そう聞こえたような気がしたけれど、勘違いだと誤魔化した。
小宮はものの数分でジェラートを完食。
今、現在……俺の《カシスオレンジ》を食い入るように見つめている。
「食べる……?」
:08/06/08 02:39 :D704i :☆☆☆
#709 [氷雨]
そう意地悪く尋ねた。
「いっ……いらないっ!!」
小宮は意地を張って食べようとしない。
「小宮の為に買ったのに…」
そう呟くと、ぷいっと反対を向いていた顔は俺を覗き込み…
「じゃあ、いるっ!」
嬉しそうに《カシスオレンジ》を食べた。
満足そうに食べているのを見たら、笑いがこみ上げてきた。
:08/06/08 02:45 :D704i :☆☆☆
#710 [氷雨]
「何、笑ってんの!?」
小宮は怒った風に言うけれど、アイスクリームを食べるたびに幸せそうに笑う。
「何もないよ」
にっこり笑い、誤魔化すと…小宮もアイスクリームを食べながらにっこり笑っていた。
そして、いつの間にか時間は10時を過ぎていて、帰ることになった。
:08/06/08 02:53 :D704i :☆☆☆
#711 [氷雨]
「それじゃ、小宮ありがとう!楽しかった!!」
俺は手を振りながら喋る。
「俺もっ!!つか、早く告白しろよっ、また月曜ーー!!」
小宮はポロッと肝心な事を叫び、走り去っていった。
ドクンと胸は跳ねたけれど、もう覚悟は決まっていた。
『有言実行』そう心に決め、帰路を早足で進んだ。
:08/06/08 02:58 :D704i :☆☆☆
#712 [氷雨]
俺は自分でも意外だったけれど、帰宅と同時にある事を思い付いた。
メールじゃなく明日、会いに行こう。と………
きちんと想いを瞳を真っ直ぐに見て。
出掛けていたら?なんて考えずに…何故か会えるような気がしていたから。
「明日だ……」
そう呟くと瞳を閉じた。
:08/06/08 03:08 :D704i :☆☆☆
#713 [きい]
:08/06/08 13:40 :F905i :☆☆☆
#714 [ふう]
あげx
:08/06/10 19:54 :W54T :☆☆☆
#715 [は]
あげ
:08/06/11 18:47 :D903iTV :☆☆☆
#716 [氷雨]
きいさん
アンカーありがとう!!
ふうさん・はさん
アゲありがとう!今から書きますね!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
自然と瞳は開き、遠足前のようにドキドキと胸が高鳴る。
起きた時刻はいつもは寝ているであろう、6時30分ちょうどだった。
上体をゆっくりと起こし、目をさする。
:08/06/13 08:13 :D704i :☆☆☆
#717 [氷雨]
やけに落ち着いていて俺自身もビックリした。
そして、いつもの流れ通りに洗面所へ向かい、鏡の正面にたった。
多少眠そうな顔をしているが、適度な緊張で引き締まっているように感じる。
「今日………か…」
そう呟き、水を掬いバシャバシャと勢いよく顔を洗う。
決意したものの、やはり戸惑う。
:08/06/13 08:19 :D704i :☆☆☆
#718 [氷雨]
「ご飯…食べよう……」
ドキドキと胸は高鳴るのに、テンションは反抗するように低かった。
台所へ行き、朝食を作る。
静かすぎる我が家の朝。
てか…、遅すぎっ!!
もう朝食もでき、7時を越そうかという時間になっても三依はまだしも、両親すら起きて来ない。
ドタバタと無理矢理に音を出して階段を駆け上がる。
:08/06/13 14:03 :D704i :☆☆☆
#719 [氷雨]
「お母さんっ!仕事は!?」
扉を開けた瞬間に叫ぶ。
そこには気持ちよさそうに肩を寄せ合い一緒に眠る両親がいた。
「んーー……陽、おはよ。今日は休みなのー」
寝ぼけ眼で答えるとまた眠りにつく。
お父さんは一応、学生だから休みは当然。
:08/06/13 14:09 :D704i :☆☆☆
#720 [氷雨]
大きく溜め息をつき、
「休みでも、起きておこうよ……」
その呟きはお母さんに聞こえるはずもなく、ただの独り言になってしまった。
現在、時刻は9時30分。
朝食も食べ終え、何もかもを済ませて俺は1人、時間を持て余していた。
けれど、ソファーから立ち上がる。
:08/06/13 14:13 :D704i :☆☆☆
#721 [氷雨]
靴を履き、「行ってきます」静かにそう口にすると、扉を開けた。
胸の鼓動は歩くたびに早くなり、目眩のしそうな程に緊張している。
少し遠い距離でもこういう時はすぐに目的地は見えてくる。
胸はより早さを増し、足は少しふらつく。
【告白】がこんなにも緊張してしまうなんて予想外だった。
:08/06/13 14:20 :D704i :☆☆☆
#722 [ゆりなエ]
あげイ
:08/06/19 02:02 :W53T :☆☆☆
#723 [我輩は匿名である]
あげるよ
:08/06/20 07:30 :P902iS :☆☆☆
#724 [TAJA]
頑張れ〜(^-^)/
:08/06/22 00:29 :P902iS :☆☆☆
#725 [氷雨]
ゆりなさん・我輩さん・TAJAさん
アゲありがとうございます!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
俺は高鳴る鼓動が頭まで聞こえて来るのを感じながらも、確実に歩を進める。
冷たい風も感じなくなった感覚になる頃、見慣れたフェンスが目に入った。
それは目的地へ到着した事を自分に知らせていた。
:08/06/23 00:47 :D704i :☆☆☆
#726 [氷雨]
「着いた…………」
意外にも胸は早く鳴っているけれど、気持ちは落ち着いていた。
小さく呟いて息を静かにはく。
葉山さんの部屋であろう窓へ視線を向けると微かに動く影があった。
ドクンッと胸が跳ねた。
:08/06/23 00:51 :D704i :☆☆☆
#727 [我輩は匿名である]
めっちゃ気になる
:08/06/27 10:28 :SH903i :☆☆☆
#728 [我輩は匿名である]
気になるからあげ
:08/06/28 19:48 :P902iS :☆☆☆
#729 [ゆん☆]
あげエ
:08/06/29 15:51 :W42S :☆☆☆
#730 [ひろ]
あげあげ
:08/06/29 23:27 :P906i :☆☆☆
#731 [我輩は匿名である]
続きめちゃ読みたい
ゆっくりでいいんで書いて下さい
待ってます
:08/07/02 17:52 :SH702iS :☆☆☆
#732 [氷雨]
すみません
忙しすぎて来れませんでしたっ
あげ、皆さん有難う御座いますっっ
今日から少しずつですが…更新していきます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
胸を静まれと云う風に手で押さえてインターホンへもう片方の手を伸ばす。
胸は収まる事なく速く鼓動を打つ。
:08/07/03 08:12 :D704i :☆☆☆
#733 [氷雨]
インターホンまで、後1センチ。
しかし、それは阻まれた。
ビクリと手を引き¨阻まれた正体¨を見やる。
それは【携帯】
高らかに陽の大好きな曲が機嫌良く鳴っている。
:08/07/03 08:15 :D704i :☆☆☆
#734 [氷雨]
「……………っ!!びっくりしたぁ…」
少しの脱力感が漂い携帯をポケットから抜き出す。
どうせお母さんだろう。
そう思い携帯の画面を見ると、
──着信:葉山 美咲──
そう記してあった。
………………え?
:08/07/03 08:19 :D704i :☆☆☆
#735 [氷雨]
反射的にさっきまで見ていた部屋を見上げる。
そこには不思議顔の葉山さんがいた。
カーテンから可愛らしく俺を覗いて手を振っている。
手を振り返し携帯の通話ボタンを押した。
『陽?どうしたの?』
一言目は当然それ。
:08/07/03 08:26 :D704i :☆☆☆
#736 [氷雨]
葉山さんの声を聞き、緊張感は一気に静まった。
「葉山さん、俺、葉山さんに伝えないといけない事があるんです」
勇気も何も要らなく自然と出た言葉だった。
気持ちは穏やかで、そう言いにっこりと窓越しの葉山さんに笑いかけた。
けれど、『うん、分かった。じゃあ、下りるね』葉山さんの声は小さく暗かった。
:08/07/03 08:35 :D704i :☆☆☆
#737 [氷雨]
思わず頭にはハテナが浮かぶ。
なんで………?
その時は全く分からなく首を傾げるだけで葉山さんを待った。
暫くして葉山さんは玄関を元気よく開ける。
「おまたせっ、ごめんね」
:08/07/03 08:40 :D704i :☆☆☆
#738 [氷雨]
何故か凄く可愛くて、何処かに出掛けるのかおしゃれしていた。
「すみませんっ、何処か出掛けるんだったんですか?」
タイミング悪すぎだ………
申し訳ない気持ちになり、つい謝ってしまう。
けれど、俺とは反対に葉山さんは頬を赤らめている。
「…………っ、好きな人の前だから………」
:08/07/03 08:44 :D704i :☆☆☆
#739 [氷雨]
最後の言葉は小さくて上手く聞き取れなかったけれど、判断できた。
「……………っ!」
一気に顔だけでなく体まで赤くなったような感覚になる。
2人して、真っ赤になり下を向いて沈黙が流れた。
「あのっ…………」
:08/07/03 08:51 :D704i :☆☆☆
#740 [氷雨]
勇気を出し、顔を上げた。
俺の声を聞くと葉山さんも顔を上げて目が合う。
緊張が走る。
けれど、拳をギュッと握り締め決意を決めた。
「俺は…………っ」
「無理しなくていいよ」
:08/07/03 13:35 :D704i :☆☆☆
#741 [氷雨]
「……………えっ?」
意味が分からなかった。
葉山さんはにっこりと泣きそうな笑顔で笑っている。
突然の静止にどうしたら良いのかも分からずにポカンとしていた。
どういう意味?どうして泣いてるんですか?
:08/07/03 13:38 :D704i :☆☆☆
#742 [氷雨]
泣いてるのは心だけど、今にも涙が頬が伝いそうな、そんな淋しい笑顔。
「謝るだけなら、そんな優しさは要らないよ?」
……………………?
やっぱり葉山さんの言っている事が全くさっぱり分からない。
俺はいつまでも不思議顔のまま葉山さんを見つめる。
:08/07/03 13:42 :D704i :☆☆☆
#743 [氷雨]
「あの子と上手くいってるなら、私はそれで………」
─あの子…─
そう聞いて話はピースがはまったかのように理解できた。
「違うっ!!」
葉山さんの言葉を遮って叫んだ。
俺の大きな声に葉山さんはビクリと肩を震わす。
:08/07/03 13:46 :D704i :☆☆☆
#744 [しゅん]
あげ
:08/07/06 11:49 :P904i :☆☆☆
#745 [我輩は匿名である]
:08/07/06 12:10 :P902iS :☆☆☆
#746 [氷雨]
しゅんさん・我輩さん
有難う御座いますっ!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「違いますっ……、俺は……」
気持ちを自分の心の中で叫ぶ。
《葉山さんが好きだ》
拳を握り締め、下を向いていた顔をあげて葉山さんの瞳を真っ直ぐに見る。
:08/07/07 22:18 :D704i :☆☆☆
#747 [氷雨]
もう覚悟は出来ている。
好きだ。と言われていても振られない可能性は0ではない。
気持ちを伝える事は大切だけれど、重い。
どれだけの勇気がいるか。
それは伝えた人物にしか分からない。
:08/07/07 22:23 :D704i :☆☆☆
#748 [我輩は匿名である]
あげます
:08/07/10 20:36 :P902iS :☆☆☆
#749 [さな]
あげx
:08/07/11 19:17 :W54T :☆☆☆
#750 [みL1]
:08/07/14 00:25 :D905i :☆☆☆
#751 [mst.・*]
>1-100
:08/07/14 17:08 :SH904i :☆☆☆
#752 [我輩は匿名である]
あ げ
:08/07/17 23:29 :P902iS :☆☆☆
#753 [我輩は匿名である]
あ
げ
ま
す
:08/07/20 09:15 :P902iS :☆☆☆
#754 [匿名]
上げ
:08/07/20 20:04 :F905i :☆☆☆
#755 [(´・ω・`)]
:08/07/24 02:10 :F703i :☆☆☆
#756 [けんじ]
あげます
:08/07/30 00:27 :SH903i :☆☆☆
#757 [しゅん]
上げます
:08/08/04 15:57 :P904i :☆☆☆
#758 [我輩は匿名である]
見てます
頑張って下さいっ
:08/08/04 16:06 :PC :☆☆☆
#759 [氷雨]
みなさんっ!
長らく留守にしてしまい…申し訳ありませんっ……
どの位更新できるかわかりませんが…
頑張っていきたいと思いますっ
すみませんっ!!
:08/08/06 07:16 :D704i :☆☆☆
#760 [氷雨]
「陽…………?」
葉山さんは首を傾げて俺を覗く。
それは何気ない仕草だけれど、なんだか可愛い。
こんな時にそんな事を思うなんて自分でもびっくりしたけど、いくらか緊張がほぐれた。
ふんわりとした穏やかな笑みで俺は葉山さんに微笑んだ。
葉山さんは目を見開いて突然の笑顔にびっくりしていたけれど優しい笑顔で返してくれた。
:08/08/06 07:23 :D704i :☆☆☆
#761 [氷雨]
「葉山さん、俺は…葉山さんが好きなんだ」
笑顔で告白できるだなんて思ってなかった。
多少緊張はしていて手は震えているけど、いつもの俺が出せたと思う。
返事は分からないけれど、振られるかもしれないけれど…
葉山さんに隠していた気持ちを伝えれた事にまた穏やかな笑みが零れる。
:08/08/06 08:41 :D704i :☆☆☆
#762 [氷雨]
ついこの前、初めて話をして、買い物をして、手を繋いで、キスをして、喧嘩して、すれ違って。
この間の短い期間の事なのに俺の人生はこの為にあったんじゃないかと思うくらいに大切な思い出。
振られたとしても色褪せる事無く、胸には深く残ると思う。
葉山さんはまたも俺の言葉に目を見開いて驚いていた。
:08/08/06 08:49 :D704i :☆☆☆
#763 [氷雨]
こんなに表情が豊かな人なのに、どうして俺は気付かなかったんだろう。
ねえ、葉山さん。
「俺はこれからも葉山さんと一緒に居たいんだ。初めはびっくりしたけどさ…、あの時は押し倒してくれてありがとう」
「なっ!あの…時…っは、接点作る……のに必死で………っ」
驚き過ぎて固まっている葉山さんに悪戯っぽく伝えると葉山さんは真っ赤になって頬を隠す。
:08/08/06 08:55 :D704i :☆☆☆
#764 [氷雨]
そう素直に自分の言葉を伝える事が出来る葉山さんが好きだ。
照れて真っ赤になるのを必死に隠す葉山さんが好きだ。
伝えた後は想いが溢れて止まる事を知らない。
「好きだ」
その想いは不思議なくらいに自然と言葉になっていた。
:08/08/06 09:00 :D704i :☆☆☆
#765 [氷雨]
瞬間、葉山さんの瞳から一粒の涙が零れた。
「え…………?どうしたんですか!?」
俺はあたふたとどうしたのかと顔を覗く。
瞳は涙で潤んでいて綺麗だった。
けれど、感動している場合では無く、やっぱりあたふたとしてしまう。
:08/08/06 09:12 :D704i :☆☆☆
#766 [氷雨]
「ね……、陽?」
葉山さんは涙いっぱいの瞳で俺を見上げる。
さらりと流れる髪は綺麗で愛しい。
「ん?何ですか?」
葉山さんは笑っていた。
涙をたくさん溜めて笑っていた。
「あのね、美咲って呼んで」
「……………え?」
:08/08/06 09:18 :D704i :☆☆☆
#767 [氷雨]
あたふたとしていた俺は葉山さんの言葉でどこかへ飛んでいき、代わりに思考がフル回転しだす。
突然のお願いに告白した時よりも緊張が走る。
いつの間にか考えるように上を向いていた瞳を意味が分かると参ったと云う風に手のひらで覆う。
照れて葉山さんを見れない。
:08/08/06 09:24 :D704i :☆☆☆
#768 [氷雨]
覚悟を決めているとクスクスと笑い声が耳に届く。
手を離し視線を葉山さんへ向ける。
「何、笑ってるんですか?」
何が可笑しかったのか皆目見当もつかなくて首を傾げる。
それでも笑い続ける葉山さん。
「いつもの陽だ」
:08/08/06 09:43 :D704i :☆☆☆
#769 [氷雨]
そう嬉しそうに笑い混じりで葉山さんは呟いた。
「いつもの俺……?」
その言葉にさらに首を傾げる。
俺はいつも、いつも通りだったはずなんだけどな。
そう心で呟いた。
すると……
:08/08/06 09:47 :D704i :☆☆☆
#770 [氷雨]
「さっきの陽は格好良すぎる……」
頬を隠しながら葉山さんは今までに無いくらい小さな声で呟いた。
けれど、奇跡的に聞き取ると一気に赤くなる感覚を覚えた。
端から見れば¨変な子たち¨に認定されるだろうと思うくらいに真っ赤な2人。
暫く真っ赤でいると同時に笑いが込み上げた。
:08/08/06 09:52 :D704i :☆☆☆
#771 [氷雨]
「変なの……っ」
「うん、なんだか変ですね」
笑顔で微笑み合った。
この時間が楽しくて久しぶりの心からの満面の笑みだった。
「陽?あのね……」
「うん」
やっぱり照れた様に下を向き顔を隠す仕草は凄く可愛くて愛しかった。
:08/08/06 12:17 :D704i :☆☆☆
#772 [氷雨]
護りたい。
つい最近までは自分に自信なんて皆無で下ばかり見ていた俺。
¨男らしく¨なんて言葉は到底似合わなくて、のび太だった俺。
まだ¨のび太¨からは脱出できていないかもしれないけれど、
『葉山さんを護りたい』
そう強く心に思う。
:08/08/06 12:21 :D704i :☆☆☆
#773 [氷雨]
穏やかな気持ちで葉山さんに視線を送る。
そして……
「陽が好き。大好きなの」
照れた頬は淡いピンクで葉山さんは隠す事なく、真っ直ぐに俺を見てくれた。
「え?陽!?どうしたの!?」
:08/08/08 09:33 :D704i :☆☆☆
#774 [氷雨]
葉山さんの驚いた声にハッとする。
頬に何かが流れた。
触ると涙だった。
「あ……っ、俺…嬉しくて…」
涙を拭いながら、慌てて言葉を繋げる。
葉山さんは俺の言葉を聞いて嬉しそうに笑った。
「大好き」
:08/08/08 09:37 :D704i :☆☆☆
#775 [氷雨]
また葉山さんは言ってくれた。
カァァァと真っ赤になる。
「俺も好きだよ…」
照れて小さな声になってしまったけど、想いは伝わる。
にっこりと笑う葉山さんがその証拠。
「あ………、み……美咲、今からデートしませんか?」
:08/08/08 09:43 :D704i :☆☆☆
#776 [氷雨]
「…………っ!するっ!するよっ!!」
勇気を出して『美咲』と呼んだ。
それに涙を溜めて喜んでくれる美咲は可愛くて仕方ない。
俺達は手を繋いで思い出の場所をデートした。
「ねぇ、陽?」
:08/08/08 09:47 :D704i :☆☆☆
#777 [氷雨]
「ん?」
美咲は真剣な眼差しで俺を見上げる。
「敬語とれかけてる」
嬉しそうに美咲は笑った。
「嬉しいから、そのままね」
はにかんだ笑顔は少し照れていて、繋いだ手をギュッと握り締める。
:08/08/08 09:52 :D704i :☆☆☆
#778 [氷雨]
「うん」
こんなに幸せでいいのかな…?
直ぐ隣には大好きな人が居て、夢も見つかった。
「美咲、俺…本格的にモデルになるんだ。それで……」
「私が居るよ?陽が苦しくなったり、嬉しい事があったら私が一緒に居る」
:08/08/08 12:20 :D704i :☆☆☆
#779 [氷雨]
俺の言いたかった事が分かっていたのか俺の言葉を遮り美咲は真剣に言葉を繋げる。
「そりゃあ………、色々大変だろうけど、私が陽から離れないからっ」
そう言うと真っ赤な顔で悪戯っぽく笑うと下を向いてしまった。
少し小さく見えた美咲を思わず抱き締めた。
:08/08/08 12:24 :D704i :☆☆☆
#780 [氷雨]
「…………え?」
美咲は突然の俺の行動に付いていけなく小さく呟いた。
「美咲、凄く好きだ。幸せにするからっ」
俺の言葉に美咲は暫くの間、反応しなかった。
「陽……プロポーズみたい…」
やっと聞こえた声は涙で濡れて震えていた。
:08/08/08 12:28 :D704i :☆☆☆
#781 [氷雨]
「はは……、本当だ」
美咲を離し顔を覗くと瞳に涙を溜めていて満面の笑顔だった。
俺はこの人と生きていく。
生きていきたい。
本当のプロポーズはまだ先だけれど、俺はこの人の笑顔を護りたい。
いつか………
最高のプロポーズができるように。
いつか……
:08/08/08 12:36 :D704i :☆☆☆
#782 [氷雨]
世界で1番の幸せな花嫁になれるように。
いつも、いつも俺の隣で。
「俺は美咲が大好きだ」
言うと振り返り照れたようにはにかむ笑顔。
:08/08/08 12:43 :D704i :☆☆☆
#783 [氷雨]
護るよ。
もうプロポーズの言葉は決まっているんだ。
まだ内緒だけど。
いつか必ず言うから。
:08/08/08 12:52 :D704i :☆☆☆
#784 [氷雨]
「ずっと俺と一緒に居よう。愛してるよ」
──end──
:08/08/08 13:01 :D704i :☆☆☆
#785 [氷雨]
あ───……
微妙な終わりですみませんっ
陽らしいなと思って頂けたら幸いですっ
しかし…終わりましたっ
読んでくださった方、有難う御座います!
:08/08/08 13:03 :D704i :☆☆☆
#786 [Hiro]
おわっちまった!
楽しかったっす
:08/08/08 13:29 :P702i :☆☆☆
#787 [まなみ]
主さん(^O^)/
完結おめでとう
ございます
!
おもしろかったです
:08/08/08 22:44 :F905i :☆☆☆
#788 [我輩は匿名である]
お疲れ様でした(^^)
主さんの終わり方も
よかったのですが
最後に陽と美咲には
事故でも偶然でもない
ちゃんとしたキスとか
してほしかったです;
番外編や別の小説を
書く予定ありますか?
また応援させて
頂きますので
頑張ってください★
:08/08/08 23:04 :W53T :☆☆☆
#789 [蘭]
お疲れ様でした―
影ながら楽しく見ていました
とてもおもしろかったです
:08/08/09 00:02 :PC :☆☆☆
#790 [氷雨]
HIROさん
終わりましたっ!
読んでくださりありがとうございました
まなみさん
ありがとうございますっ
完結しましたぁ
長くかかってしまいましたが読んでくださってありがとうっ
:08/08/11 09:57 :D704i :☆☆☆
#791 [氷雨]
我輩さん
ありがとうございますっ
あ……本当ですね。
キスさせてあげたらよかった。なんだか陽もなにやら訴えかけてくるイメージが……(笑)
次ですか……んーー…
今、HPで小説を書いているんですが…スランプ中で(泣)
多分、そっちに集中したいので暫くは来れないと思うんです
凄く嬉しかったですっ!!
また来た時は宜しくお願いします!!
ありがとうございましたっ
:08/08/11 10:02 :D704i :☆☆☆
#792 [氷雨]
蘭さん
お疲れ様ですっ!!
ありがとうございますっ
面白かった……その言葉で私はやってこれました!!
本当にありがとうっ
:08/08/11 10:04 :D704i :☆☆☆
#793 [R]
ぉもしろかったです
HPでの小説も読んで
みたいのですが
URLを教えてくれませんか
:08/08/13 16:23 :SH902iS :☆☆☆
#794 [我輩は匿名である]
:08/08/13 17:41 :SH904i :☆☆☆
#795 [氷雨]
Rさん
遅い返信すみませんっ(泣)
HPの方はジャンルが180度違うので
ちょっと…難しいです
すみません…(泣)
:08/08/21 20:58 :D704i :☆☆☆
#796 [氷雨]
我輩さん
ァンカーありがとうございますっ!!
:08/08/21 20:59 :D704i :☆☆☆
#797 []
:09/11/30 22:07 :SH904i :☆☆☆
#798 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑
:22/10/26 21:26 :Android :☆☆☆
#799 [ん◇◇]
:22/10/26 21:42 :Android :☆☆☆
#800 [ん◇◇]
:22/10/26 21:55 :Android :☆☆☆
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