・・悪魔なキミ・・
最新 最初 🆕
#400 [みき]
楽しみに待ってます
頑張って最後まで
書いて下さいφ(.. )

⏰:08/07/14 17:02 📱:SH903i 🆔:Z08uRlAI


#401 [我輩は匿名である]
頑張って((q∀p))

⏰:08/07/16 10:45 📱:W61SH 🆔:WTpJFYps


#402 [x]
あげ

⏰:08/07/16 19:28 📱:W54T 🆔:vjd4plS6


#403 [我輩は匿名である]
ぬを

⏰:08/07/16 23:58 📱:W61SH 🆔:WTpJFYps


#404 [エみ]
楽しみにしてます

主さんのペースで頑張ってください

⏰:08/07/17 00:26 📱:SH902iS 🆔:L0Kcg.N6


#405 [みい]

>>395
ひっ、ひぃぃいいっ!!


なんだかんだでこいつが悪魔なんだってこと、忘れてました…。


「そうゆう悪いこと言う口は…塞いどかねえと」


そう言うと、一気に押し付けられる唇。


角度を変え、何度も啄むように重ねてくる。

⏰:08/07/17 01:41 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#406 [みい]

一気に熱をもった私の頬に、蓮の左手が。


右手は、砕けそうになった私の腰に。


そんな状況なもんだから、どうあがいても体が密着してしまう。


「〜〜っ!//んっ…//」


蓮の唇がわずかに離れる瞬間を見計らって空気を取り込まなければ、酸欠であの世行きだ…。

⏰:08/07/17 01:42 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#407 [みい]

しばらくの間唇を重ね続け、私の息が上がってきた頃になってようやく蓮は私から離れた。


「…ハアッ…ハッ…」


涙目で必死に息を整える私を、蓮は上から見下ろし、ふっと一瞬笑ったあと、


「これで終わりだと思うなよ?」


と耳元で囁く。

⏰:08/07/17 01:43 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#408 [みい]

まっ、まだ続くわけっ!?//


「もう、むっ…」


無理、と反論しようとした私の口に、それこそ栓をするように蓮の舌が入り込む。


ちょっとっ…!ディープなんて初めてだってば〜っ!//


唇にでかでかと初心者マークでも貼り付けとけばよかった…;

⏰:08/07/17 01:44 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#409 [みい]

蓮にされるがままになりながら、無意識にうっすらと目を開く。


するとそこには…蓮のどアップ//

いや、キス真っ只中だから当たり前なんだけど…


どんだけ色っぽい顔してんのよーっ!//


至近距離で見る蓮の顔に、一人で勝手にどぎまぎしていると、それまで固く閉じられていた蓮の目も開く。

⏰:08/07/17 01:45 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#410 [みい]

うわ……//


あろうことか、蓮と視線がばっちり絡み合う。


ちょっと…これってすっごい恥ずかしいシチュエーションじゃ…//


そう感づいた瞬間、蓮が目だけで、あの意地悪そうな笑みを浮かべてきた。


〜やばいっ!//顔から出火!!//

⏰:08/07/17 01:46 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#411 [みい]

私はそんな悪魔から逃げるように、再び目をぎゅっとつぶった。


蓮の舌が、私の咥内を支配する。


それに伴い、頭も、心も、体も…全てが蓮で埋め尽くされる。


今、蓮のことだけ感じている。蓮のことしか考えられない。



微かに音をたて、蓮がゆっくりと唇を離した。

⏰:08/07/17 01:47 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#412 [みい]

体中の力が抜けて、倒れ込みそうになってしまった私を蓮が抱き留める。


「…っと。お仕置き終了」


意地悪そうに口角を上げる蓮。
私は足元がふらつきながらも、自分の体を支えるように、蓮の肩にしがみつく。


「にしても、お前変態。人のキス顔盗み見するなんて」
「なっ…違うもん!//蓮だって見たじゃん!」

⏰:08/07/17 01:48 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#413 [みい]

「かわいい柚を一目拝んでおこうと思ってさ」


『かわいい柚』という言葉に、からかわれてるとわかりながらも顔が熱くなる。


そんな私を見て、蓮はくすくすと笑った。


「あ、言っとくけど、こんなん序の口だから」
「えっ、ぇえっ!?」


このくそ長いキスが序の口!?//

⏰:08/07/17 01:49 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#414 [みい]

「だからさ。生意気に俺のこと煽るの、まじで止めときな。お前多分死ぬぞ」


笑いながら言うけど、蓮だから冗談に聞こえないって言うか…まあとりあえず私は笑えません;



作戦を仕掛けたのは私なのに…いつのまにか形成逆転しちゃって…

さえちゃん…、早瀬柚稀、完敗です…。


………まあ、幸せだったけどね//

⏰:08/07/17 01:51 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#415 [みい]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新Stopします
感想等いただけたらう
れしいです(>Д<)
ぜひお願いします、、
こちらに下さったコメ
ントへのお返事は、感
想板のほうでさせてい
ただきました(^ω^)

>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⏰:08/07/17 01:55 📱:SH905i 🆔:1/FXXkyI


#416 [ゆぅ]
>>250-300

⏰:08/07/17 02:30 📱:P903i 🆔:7D2SgQPI


#417 [ゆぅ]
>>300-400

⏰:08/07/17 02:36 📱:P903i 🆔:7D2SgQPI


#418 []
頑張ってください

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600

⏰:08/07/17 07:22 📱:SH903i 🆔:MctcO7Sk


#419 [我輩は匿名である]
あげる!!!!w

⏰:08/07/20 16:39 📱:W61SH 🆔:2J7dq4lA


#420 [みい]







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Story8〜悪魔のやさしさ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⏰:08/07/22 01:04 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#421 [みい]

『何かあったときはお隣りに蓮君もいるし、安心だわ♪』




…そんな呑気なことを言い残し、我が家の両親は箱根旅行へ行ってしまった…。


「安心って…どう考えてもあいつが1番危険でしょ!」


あたしだって一応年頃の女の子なんだから、「男は狼なのよ、気をつけなさい!」くらい言えないもんかしら、お母さんったら。

⏰:08/07/22 01:04 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#422 [みい]

…ま、蓮には言ってないんだ。人生、ドラマじゃないんだから『もしものこと』なんて起こらないって。


「晩御飯どうしよっかな〜♪…って、嘘っ!?」


なんじゃこの空っぽな冷蔵庫は!

もー!買い物行かなきゃいけないじゃんかあ…。しかもなんか雲行きが怪しいし…。


雨降るのかな…?仕方ない、急いで行っちゃうとするか。

⏰:08/07/22 01:06 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#423 [みい]

………………………………

「ふあーっ!とりあえず降られなくてよかったあ!」


晩御飯の材料の調達を終え、雨が降らないうちにどうにか帰宅できました♪


…にしてもこの黒々しい空…なーんか嫌な予感…。


私の大っっ嫌いな…アレが近付いてる気配がする……;


「きっ、気のせい気のせい!」

⏰:08/07/22 01:07 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#424 [みい]

………………………………

晩御飯も食べ終え、お風呂も入ったし…


夜更かしタイムだーっ♪


…って意気込んだはいいものの。


「なんか…眠いかも…」


買い物行ったり自分で洗い物したりと、何かと労力使ったもんだから…まだ23時なのに瞼が閉じそうだ。

⏰:08/07/22 01:08 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#425 [みい]

くそう…夜はまだまだこれからなのに…。


たまにしかできない夜更かしに未練たらたらなまま、眠りにつきかけたその瞬間。


ガラガラガラーっ!


「ひぃいっ!!!!」


私の大っ嫌いなアレ…つまりアレですよアレ。ピカッて光って、おへそに落ちるやつ!

⏰:08/07/22 01:10 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#426 [みい]

その、私が名を口にするのも怖がるアレが…


ゴロゴロ…!


「いやあーーっ!!!!」


派手に光を放ちながら、鳴りはじめたってわけです…。


嫌だ、ど、どうしよう…!こんな、こんなの、とてもじゃないけど一人じゃいられない!心臓持たない!!

⏰:08/07/22 01:11 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#427 [みい]

そうだ、さえちゃんだ!さえちゃんに泊まりにきてもらおう!


「さ、さえちゃんに電話…」


ボタンを押す指すらやたらと震える。ああ、私ってなんて小心者なんだろう…。

「あっ!さえちゃ…」
『おかけになった番号は、只今電波の届かない場所か、…』


…なぜこんな大事な時に繋がらなーいっ!

⏰:08/07/22 01:13 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#428 [みい]

〜っ…仕方ないっ!蓮なら隣だし、すぐ来れるだろうし…!


RRRR……


携帯の呼び出し音が、やけに長く感じられる。


もうっ…早く出てよおっ…!


『はい』


や、やっと出たっ…!にしてもなんて無愛想なんだ。でもこの際そんなの関係ねえ!

⏰:08/07/22 01:14 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#429 [みい]

「れっ、蓮?」
『…何、どうした?』


電話をかけたはいいものの…よくよく冷静になって考えてみると、こんな夜に蓮を自分の家に誘うなんてこと、できない…;しかも家族がいないときに。
だってそんな大胆なこと…、やっぱ無理だあっ!//


「い、いや、何でもない…」


蓮じゃなくて他をあたろう、と思った瞬間…

⏰:08/07/22 01:17 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#430 [みい]

ゴロゴロ…ピシャーンッ!


「いやあああっ!!」
『柚!?』


や、やっぱもう無理ーっ!!!!


「今すぐうちに来て!お願い!」
『…待ってろ』


ピッ、という電子音が聞こえたあと、私は携帯を机に放り投げ、ベッドの上で布団にくるまった。


早く…、早く、来て…っ!

⏰:08/07/22 01:18 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#431 [みい]

隣だからすぐ来てくれるだろうと思ったのに…30分経った今も、玄関のインターホンは鳴らない。


「ふえっ…れん〜っ…」


名前を呼んでみても、返事はない。



その代わりに待ちに待った、ピンポーン、という、この場面にそぐわない間抜けな音。


私は急いで玄関のドアを開ける。

⏰:08/07/22 01:19 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#432 [みい]

その先には雨に濡れ、走ってきてくれたのか、息が上がっている蓮が立っていた。


私は蓮を見るなり抱きつく。


「…遅い…」
「わりい、矢野んち行ってた」


矢野君ってどこ住んでたっけ?隣町?そのまた隣だっけか…?


「つーか何?何があった?」

⏰:08/07/22 01:20 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#433 [みい]

蓮は私を自分から引き離し、小刻みに震える私の目を見る。


「か、かかか…かみな、り…」
「は?」


「だからっ!雷!嫌いなの!」


ああ、1日に2回もこの単語を口にするなんて…今日は厄日だ…。


「…雷ごときで、この俺をあのくそ強い雨ん中、走らせたってわけ?」

⏰:08/07/22 01:21 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#434 [みい]

見ると蓮の口元がヒクヒクしている。


「そ、そうだけど…?」


少し怯えながらも、肯定すると…


「…焦って損した」


はあ、と溜息をつきながらこめかみに手をやる蓮。


その態度にカッチーンときたのは、私。

⏰:08/07/22 01:22 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#435 [みい]

「なによっ!いいじゃん別に!怖かったんだもんっ…!」
「別に悪いなんて言ってねえだろ、俺はただ、」
「言いたそうだった!」
「だからそうじゃなくて。俺は、」
「もういいよ!めんどくさいなら帰ればいいじゃん!蓮じゃない他の人に来てもらうから!」


最後の私の言葉に、それまで冷静だった蓮の表情が一変した。


「それ、まじで言ってんの?」


蓮が醸し出す黒い雰囲気にたじろぎながらも、負けまいと反論する。

⏰:08/07/22 01:23 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#436 [みい]

「そうだけど!?別に蓮じゃなくてもいいもん!てゆうかさえちゃんが出なかったから仕方なく蓮に電話しただけだし!」


言い切った瞬間、ものすごい力で手首を掴まれる。


「ちょっ…痛い…!」
「…なにそれ。くそ腹立つ」


なにそれってこっちの台詞だっつーの!腹立ててるのは私のほうだもん、謝ってなんかやるもんか!

⏰:08/07/22 01:25 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#437 [みい]

キッと蓮を睨みつけると、


「その顔。最悪に不細工だから止めろ」


となじってくる。


「ちげえんだって。俺は、お前の身に何かあったんじゃねえかってすっげえ焦ってたから、雷って聞いて拍子抜けしただけ」
「…拍子抜けしたんでしょ、帰っていいよ」


はあ…、どこまでもかわいくないな、私って。

⏰:08/07/22 01:26 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#438 [みい]

「こんな状態のお前残して帰れるほど、俺も冷血じゃない。手の震え、止まんねえし」


蓮が下に目を遣ったから、私も目線を落とす。


そこには蓮の左手に強く掴まれながらも、今だ震え続けている私の右手があった。


「あ……」
「…一旦着替えに帰ってすぐ来るから。待ってろ」

⏰:08/07/22 01:29 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#439 [みい]

ポン、と一回私の頭を軽く叩くと、蓮は玄関のドアノブに手をかける。


「ま、待って!」


私は思わず蓮を引き止めてしまった。蓮は私の方に振り返る。


「…行かないで。ひ、一人に、しないで…」


だって…なにせ怖いんだもん…。

⏰:08/07/22 01:30 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#440 [我輩は匿名である]
<<200-300
<<301-400
<<401-500

⏰:08/07/22 01:30 📱:D905i 🆔:PjkXNtps


#441 [みい]

「…すぐ戻ってくっから。な?」


それでも首をぶんぶんと横に振る私。蓮にとっての"すぐ"と、私にとっての"すぐ"は、かなり差がある…気がしたから。


少しの間のあと、「柚、」と呼ばれて顔を上げた。


「バスタオルと、親父さんの服。貸して」


蓮はそう言いながら、靴を脱ぎ始める。

⏰:08/07/22 01:31 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#442 [みい]

私は急いでバスタオルを取りにお風呂場へ向かった。


………………………………

「入んぞ」


うちのお父さんのTシャツと短パンに着替え、髪を乾かした蓮が部屋に入ってくる。


や、やばい…。この空間に二人きりって、なんか思ってたより遥かに緊張する…。

⏰:08/07/22 01:32 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#443 [みい]

がしかし、そんな私を尻目に蓮は、


「じゃ、おやすみ」


と言って私のベッドに寝転がる。


「ええっ!?ってちょっと!乙女のベッドにずかずかと上がらないでよ!」


あ、ありえない…!無神経にもほどがある!


てゆうか私の緊張って一体…;

⏰:08/07/22 01:34 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#444 [みい]

「駅から走ってきて疲れてんだよ。お前のせいだろうが」


蓮は目を閉じたまま答える。


「だっ、だからってねえっ…!」


反論しかけたら、蓮は起き上がり、ずいっと私に顔を近付けた。そして私の顎を掴む。


「まあ…その疲れをお前が癒してくれるっつーなら、話は別だけど?」

⏰:08/07/22 01:38 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#445 [みい]

そう言いながら私の唇に指を這わせる蓮に、私はお決まりの赤面。


「嘘だよ、ガキが相手だとやらしい気分にもならねえ」


蓮はくくっと笑うけど、私は…そういうこと言われると、やっぱちょっとショックだったりする。


同じようなこと、付き合う前にも言われたことあるし…それって私が女として魅力ないってことですよね…。

⏰:08/07/22 01:40 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#446 [みい]

そんなことを考えてへこんでいる私を知ってか知らずか、


「まあ、そんなガキ相手にたまに欲情してる俺もかなりやべえけどな」


なんて、衝撃的なことをさらっと言う蓮。


「よっ、よくじょうって…!//」
「なに、意味知らねえの?教えてやろうか、欲情ってのは…」


わーかーるーかーらーーっ!//ストップ説明!!

⏰:08/07/22 01:43 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#447 [みい]

「ふあ〜あ…まじ眠い。電気消せよ」
「ちょっ…本当にそこで寝る気!?」


ベッドの上で大きなあくびをする蓮に批難の目を向ける。


「ああ。俺はここに"いてやってる"身だからな。当たり前」


こんの変態俺様男〜〜っ!
…仕方ない、私はリビングのソファだな…。床でなんか固くて寝れたもんじゃない。

⏰:08/07/22 01:44 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#448 [みい]

部屋の電気を消し、掛け布団を頭から羽織って部屋を出ていこうとすると、


「…どこ行くんだよ」


真っ暗な部屋に響く、降りしきる雨の音と蓮の声。


「どこって、リビング…」
「それじゃ俺が来た意味ねえじゃん。ここに来い」


蓮は自分が寝ている隣を、乱暴に手で叩いた。

⏰:08/07/22 01:46 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#449 [みい]

おっ、同じベッドにですかっ!?//


「いっ、む、無理!//」
「なんで」


なんでってそんな…そんな、1つのベッドに男女2人でなんて…//


「別に俺はどっちでもいいけど。お前があっちで一人で寝て、雷様にへそ取られても関係ねえし」
「ひぃぃいいいっ!!!!」


そ、それだけはまじ勘弁っ!!!!

⏰:08/07/22 01:47 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#450 [みい]

というわけで覚悟をきめた私は、無言のままベッドに近付く。


暗闇の中、蓮の顔が見える。蓮は、予想と反して真面目な表情をしていた。


「…よ、欲情しないでね」
「ごくごくたまにしかしねえから。心配すんな」


あ、さようでございますか…。
そんなに『ごくごく』を強調しなくてもいいじゃんかよ…;


ギシ、と軋む音をたて、私はベッドに上がり込む。

⏰:08/07/22 01:50 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#451 [みい]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新Stopします
よかったら感想等下さ
るとかなり嬉しいです
感想板までぜひお
願いします(>Д<)

>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⏰:08/07/22 01:55 📱:SH905i 🆔:rH5bUJqA


#452 [アカリ]
>>400-500

失礼しました

⏰:08/07/22 06:18 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#453 [アリス]
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500

⏰:08/07/22 08:48 📱:W51T 🆔:☆☆☆


#454 [みい]

「…ほら」


蓮は自分が掛けていた布団を、私の上に掛けてくれた。


「…ありがとう」


距離が近すぎて、顔が熱くなる。私は耐え切れなくなって、蓮に背中を向けた。


「こっ、これ以上近づかないでよね!」
「お前は人のこと呼び出しといて何様だ、おい」

⏰:08/07/23 00:36 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#455 [みい]

何様のつもりでもないけど、無理なんだもん!//


「「…………」」



あ、沈黙。蓮、寝たのかな…。


静かになった部屋の中で、私の神経は外の天気へと集中してしまう。さっきまでは、蓮との言い合いで気にならなかったけど…雨足は強くなる一方だ。


はあ…早く止まないかな…。

⏰:08/07/23 00:37 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#456 [みい]

なんて溜息をついた瞬間、ゴロゴロ…という不気味な音と共に、一瞬部屋中が白く光る。


「ぎぇえっ!!!!」


私は思わず縮こまって叫んでしまった。


「…なんで怖いかな、こんな綺麗なのに」


背後から、おもしろがるような蓮の呟きが聞こえる。

⏰:08/07/23 00:38 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#457 [みい]

「きっ、綺麗なんかじゃないっ!」「俺は結構好きだけど」


こんなものが好きだなんて、どーいう神経しとんじゃお前は!しかも起きてたのかよ!


「ひぇえっ!!」


そんな言い合いをしてるうちにも、容赦なく地に向かって光を伸ばす稲妻。


我慢の限界に達した私は、恐る恐る蓮の方に体を向き直す。

⏰:08/07/23 00:39 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#458 [みい]

と同時に再び部屋が光に包まれ、私は反射的に蓮の着ているTシャツの裾をぎゅっと掴む。


「…これ以上近づくなっつったのはどの口だ、こら」
「…すいません…」


はい、ごめんなさい、この口です…;だって…怖いもんは怖いんだもん〜っ!!!!


でもあんなことを言ってしまった手前、もうこれ以上はほんとに近付けない…;

⏰:08/07/23 00:40 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#459 [みい]

変なプライドみたいなものが私をがんじがらめにするのだ。

蓮の胸に飛び込めたら。
ぎゅっ、って強く抱きしめてもらったら。


この恐怖なんて、きっと一瞬で吹っ飛んでいってしまうのに。


不協和音のような雷の鳴き声が響く度に、蓮のTシャツを掴んだ手に力を込める。


何度目かの私のそんな行動のあと、蓮は長い溜息をついた。

⏰:08/07/23 00:41 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#460 [みい]

「もっとこっち来い」
「…いい、大丈夫」


…またかわいくないことを…。なんでいっつもこんななんだろう、私って。


「来いっつってんだろうが」


不意に勢いよく蓮に引き寄せられ、一瞬にして私は蓮の胸の中にすっぽりと収まってしまった。


「変なとこで意地張ってんじゃねえよ、ばかゆずが」

⏰:08/07/23 00:42 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#461 [みい]

「ば、ばかじゃないもん!!」
「泣いてまで我慢するなんてよっぽどの馬鹿だろ」
「泣いてなんかっ…」


言いかけたとき、蓮の指が私の頬を撫でる。

その時ようやく気付いた。自分がいつの間にか、恐怖のせいで涙まで流していたことに。


「素直になれよ、いい加減」


蓮の体温を感じ、一気に安心した私は子供のように泣きじゃくってしまった。

⏰:08/07/23 00:43 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#462 [みい]

そんな私の背中を、とんとんって優しくさすってくれた蓮。

雷の音が鳴り始めるとすぐ、「聞くな」って言って手の平で私の耳を押さえてくれた。








「…落ち着いたか?」
「うん、大分ましになった…」


ありがとう、って言わなきゃ…。

⏰:08/07/23 00:45 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#463 [みい]

「あのっ、蓮!?」


蓮は私の背中に手を回したまま、少し離れて私の顔を見る。


うぎゃ〜!!ち、近いっ!//でも、せめてお礼くらい言わないと…!


「あっ、ありがとっ!//」


…はれれ?

勇気を振り絞って言ってみたはいいものの、蓮は目を丸くしてからそっぽを向いてしまった。

⏰:08/07/23 00:46 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#464 [みい]

「え、あの…、蓮…?」


なんですかそのリアクションは;なんか…不安になっちゃうじゃん…。


蓮は未だ私を見ず、なぜか溜息をつく。


えーっ!?なんでそんなイマイチの反応なわけ!?一応私なりに、素直に感謝の気持ちを伝えたつもりだったのに…。


しばらくの沈黙のあと、やっと、

⏰:08/07/23 00:47 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#465 [みい]

「お前、今の反則」


とか言ったかと思って顔を上げると、間髪入れずに蓮の唇が私の唇に重なった。


「ふっ……!?」


咄嗟の出来事だったため、十分に息も出来ない私は苦しくて蓮の胸を押すけど、そんなの全く意味をなさない。

むしろ背中に回った蓮の腕に力が入って、二人の距離はほとんどゼロに近い。

⏰:08/07/23 00:48 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#466 [みい]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新Stopします
よかったら感想等貰え
るとすごく嬉しいです
感想板のほうに是
非お願いします

>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⏰:08/07/23 00:51 📱:SH905i 🆔:g.4Qk.lY


#467 [我輩は匿名である]
失礼します;

>>389-400
>>400-440

とても面白いので
これからも
頑張ってくださいね★

⏰:08/07/23 01:29 📱:W53T 🆔:fykHeQpA


#468 [我輩は匿名である]
この話すきーっx
頑張って下さい

⏰:08/07/23 03:19 📱:W61PT 🆔:ZPu3vec6


#469 [我輩は匿名である]
あげ!w

⏰:08/07/23 23:11 📱:W61SH 🆔:4XVRhwAE


#470 [凛]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
失礼

⏰:08/07/24 00:51 📱:P702i 🆔:ON0slSqM


#471 [我輩は匿名である]
あげ

⏰:08/07/24 07:15 📱:W61SH 🆔:noXE50Wc


#472 [我輩は匿名である]
あげちゃうし

⏰:08/07/24 18:55 📱:W61SH 🆔:noXE50Wc


#473 [夜蝶]
頑張れ
この小説
どえら好きやあテ

⏰:08/07/24 22:52 📱:911T 🆔:OzQlKX6E


#474 [か-な]
↑感想ここに書くなし!

⏰:08/07/24 23:28 📱:F902iS 🆔:7t/e1/sM


#475 [我輩は匿名である]
あげ

⏰:08/07/25 20:59 📱:W61SH 🆔:Xx3X4cZ2


#476 [みい]

>>465

蓮の舌が私の咥内へ、背中にあった手が私のTシャツの中へ侵入してくる。


ちょっ…う、嘘でしょーっ!?//

あまりにヤバめな事態に、私の頭はすっかりパニック状態だ。


私の腰あたりを撫で回していた蓮の右手が、徐々に上のほうに伸びていく。


待ってー!//ちょ、タンマ!タンマタンマ!//まじで駄目だって!

⏰:08/07/26 15:50 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#477 [みい]

ひえ〜!無理ムリむりっ!//


お母さん…っ、このままじゃあ柚稀、『お隣りの蓮君』に喰われてしまいますっ…!



〜♪〜♪〜…


でっ、電話!さえちゃんかも!


机の上に置きっぱなしにしていた私の携帯がおもむろに鳴りだしたとき、蓮の動きが一瞬止まった。

⏰:08/07/26 15:51 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#478 [みい]

い、今だあっ!!


その隙に私は力いっぱい蓮の肩を掴み、思い切り押し退けた。


ゴンッ、という音と共に、蓮が小さく呻(ウメ)き、頭を押さえる。


「さっ、さえちゃんっ!?」
『柚?ごめん、さっきバイト中でさ〜。何かあった?』


さえちゃん…ナイスタイミングだよー!まじ感謝ですっ!!

⏰:08/07/26 15:52 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#479 [みい]

「ううんっ、大丈夫大丈夫!ごめんねわざわざ!ありがと♪」
『ならいいんだけどさ!あっ、てゆうか聞いてー!またあのクソ店長がさあ…』


お、なんか長くなりそうだな…。恐る恐る蓮に目を遣ると、かなーり眼球を光らせ、不機嫌オーラ漂わせてます…;


そんなことなどつゆ知らず、さえちゃんの弾丸トークは止まらない。

『まじありえなくない!?もう本当無理!きもすぎて我慢できない!』

⏰:08/07/26 15:53 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#480 [みい]

それは確かにきもいね〜、って相槌を打とうとした瞬間、素早く携帯が取り上げられた。


「ちょ、返してよっ!」


あたふたと携帯を取り戻そうとする私の手を難無く押さえ込む蓮。


『柚〜?聞いてんのー?』


並じゃない大きさを誇るさえちゃんの声が携帯から漏れる。

⏰:08/07/26 15:54 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#481 [みい]

そんな携帯をつまむように持ちながら、蓮は不愉快そうに片目を閉じると、


「邪魔すんなよ」


と一言だけ言い放ち、携帯の電源ボタンを押してしまった。


「な、何てことするのよおっ!」
「こんな深夜に電話してくる奴が悪い」


親切にかけ直してくれただけじゃんか!

⏰:08/07/26 15:57 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#482 [みい]

でも、それより何より問題なのは…「こんな深夜に二人っきり」なのが、さえちゃんにばれちゃったこと!

ああ…どう言い訳しよう…;さえちゃんのことだから、きっと根掘り葉掘り聞いてくるに違いない;


あーでもない、こーでもないと言い訳を考えていると、


「柚、」


と蓮の私を呼ぶ声。

⏰:08/07/26 15:57 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#483 [みい]

…はっ!そういえばこいつ、狼なんだった!危ない私!//


そろーりとベッドから抜け出そうとした私の腕を、蓮が掴む。


「ぎょえっ!」
「…何その反応」


だってあんた、私のこと犯そうとしたじゃん!こんくらいの反応なんて当たり前でしょうが!


「よ、欲情しないって言ったのに…//」

⏰:08/07/26 17:39 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#484 [みい]

「たまにするっつったはずだけど?てゆうか…」


そこまで言うと蓮は小さく溜息をつく。


「涙目で上目遣いされて、その気が起きない男なんていねーだろ」


…知らねーよそんな男心なんて!


「あんたに理性ってもんはないわけ!?」

⏰:08/07/26 17:40 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#485 [みい]

「あるけど吹っ飛んだ」


けろっと言う蓮。
てゆうかそれ、偉そうに言うことじゃないから!


「…っこの変態!//どスケベ!」
「何とでも言え」


手をひらひらさせる蓮に、罵声を浴びせても効果ナシ…;


「つーかいい加減寝ようぜ。あのうるせえ女のせいでヤる気も失せたし」

⏰:08/07/26 17:42 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#486 [みい]

「ヤる気」とか普通に言うなっつーのー!//


「私の半径1メートル以内に入らないでよっ!?」
「この狭いベッドじゃ普通に無理」


くっ…そぉお〜!!あー言えばこー言う男め…!


私は勢いづけて蓮に背を向け、目一杯離れたところで目を閉じた。


あんなに怖かった雷も、いつのまにか鳴り止んでたしね;

⏰:08/07/26 17:44 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#487 [みい]

………………………………

チュンチュン…チチ……


ん……朝…?


雀の鳴き声に目を擦ると、朝日に透けるカーテンの色が映った。


と同時に、隣で寝ている蓮の存在に気づく。


…そうだ、結局一緒に寝たんだっけ…。

⏰:08/07/26 17:45 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#488 [みい]

…にしても。


私から突き放したものの、この、ロマンチックとはほど遠いシチュエーションは何!?


普通、漫画とかならさ、朝起きたら彼氏がぎゅってしてくれてたりするもんでしょ!?


…なのにこの男ときたら…。バッチリ私に背中向けやがって!


さっきも言った通り、突き放したのは私です!それは重々承知です!

⏰:08/07/26 17:46 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#489 [みい]

そうなんだけどね!?
…そうなんだけどさ…。


はあ、と溜息をついた瞬間、ごろんと蓮が寝返ってこちらを向く。


うわわっ…;

咄嗟の出来事に、私はついたぬき寝入りをしてしまった。


「ん……?」


蓮が呟いたのが聞こえる。どうやら目が覚めたらしい。

⏰:08/07/26 17:48 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#490 [みい]

「…柚……?」


名前を呼ばれても、寝た振りをしている私はもちろん無反応を決め込む。


「…………」


しばし無言。

また寝たのかな…と思って、目を開けようとしたとき、私のおでこにかかっている前髪に、蓮の指先が触れた。

⏰:08/07/26 17:49 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#491 [みい]

ひっ…なっ、何!?!?


ビビりながらも、今更目を開けることが出来ない私は、蓮にされるがままだ。


蓮の指が、私の前髪をそっと丁寧に掻き分けていき、

おでこにスースーとした感覚が生まれる。


と同時に…

⏰:08/07/26 17:51 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#492 [みい]

ちゅ…


……えっ!?//


小さく音をたて、微かに私のおでこに触れたのは…多分、いや99.9%、蓮の唇。


放心状態の私をさらに抱き寄せるように、蓮は腕を私の後頭部に回した。


しばらくすると、すー、すーと規則正しく聞こえてくる蓮の寝息。

⏰:08/07/26 17:54 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#493 [みい]

…引き寄せられた蓮の胸の中で私が思ったこと。




1.人生って案外ドラマチックな 展開もありえる


2.悪魔ってたまに、たまあーに! 優しかったりする



蓮の体温を感じて、恥ずかしさに赤面しながらも、さえちゃんへの言い訳を必死で考える私であった…。

⏰:08/07/26 17:55 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#494 [みい]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新Stopします

恐れ多くも、感想板に蓮
のイメージ画をUpさせ
て頂きました目に毒
かもしれませんが、勇気
のある方だけどうぞ
小説と合わせて感想等頂
けると嬉しいです

>>1みい感想板

⏰:08/07/26 18:10 📱:SH905i 🆔:0ZFDBPTw


#495 [絢香]
あげとく

⏰:08/08/01 00:51 📱:W61SH 🆔:g.F2k8zU


#496 [みい]








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Story9〜第2の悪魔、降臨
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⏰:08/08/02 00:29 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#497 [みい]

「お嬢ちゃん、誰待ってんの?」


学校が終わってから映画でも見に行こうか、ってことになって蓮と二人で歩いていて、蓮が飲み物を買いに行った時、私はものすごい巨体の男に声を掛けられた。


赤シャツにグレーのスーツを羽織り、金のネックレスをじゃらじゃらさせているあたりを見ると、どう考えてもシャバの人ではないと思う。


「え、あの…」

⏰:08/08/02 00:30 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#498 [みい]

その人のあまりのデカさ…まあはっきし言っちゃうと、デブさ、に圧倒され口ごもっていると、


「もしや彼氏とか?」


と聞いてきたので、私はうんうん、と強く2回頷いた。


するとその人はちっと舌打ちをしてから私に笑みを向ける。


「ねえねえ〜そんなのより俺と遊んだほうが楽しいって♪ね?」

⏰:08/08/02 00:31 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#499 [みい]

うわあ…ナンパって奴だ…!初めてされるよ私!


「いや、あの…」
「彼女1人にしとく男なんかやめてさ、俺にしなよ〜」


テレビや漫画でよく聞くようなお決まりの文句を並べながら、デブは私の腕を掴んだ。


「ひいっ!!!ちょっ、やめてっ…!」「ちょーっとだけだからさ、ね、お願い!」


やめんかこのくそデブー!

⏰:08/08/02 00:32 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#500 [みい]

ぐいぐいと力任せに腕を引っ張られる。


ナンパってこんなもんなのか!?
かっこいいお兄さんがもっと甘ーい言葉並べて、肩とか抱いて優しくリードするもんなんじゃないの!?


想像とは掛け離れたナンパというものに、私は戸惑いを隠せない。


「ほんとに無理だってばあー!」


そう私が叫んだ瞬間だった。

⏰:08/08/02 00:32 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#501 [みい]

腕を掴まれていた痛さが消える。


不思議に思って恐る恐る顔を上げると、目の前に蓮が立っていた。


よく見ると、蓮がさっきまで私の腕を掴んでいたデブの腕をねじり上げている。


「すいません、こいつ俺の女なんすよ」


蓮の声はこういう時でさえ至って冷静だ。全く抑揚がない、いつもどおりの落ち着いた声。

⏰:08/08/02 00:33 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#502 [みい]

「いっ…!何すんだおま…え…」


デブの目が、蓮を捕えた瞬間驚いたように大きく見開かれた。


「んだよ?」


蓮が不審そうに言うと、そのデブははっとしてからまたにやりと笑い、


「彼女いいじゃん、ちょっとだけ貸してよ」


なんて言ってくる。

⏰:08/08/02 00:34 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#503 [みい]

「…いい加減にしろよ」


蓮は今度は、私も聞いたことのないくらい低い声で凄むと、掴んでいたデブの腕をぐっと引っ張る。


よろけた巨体の耳元に顔を近付ける蓮。どうやら何か言っているようだ。相手の顔が怯えたように歪む。


それから蓮は相手を突き放し、


「わかったなら失せろ、デブが」

⏰:08/08/02 00:35 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#504 [みい]

と吐き捨て、私の腕を引っ張ってデブの横を通り過ぎていく。


すれ違いざまに相手の顔を見ると…さっきの表情を余韻に残しながらも、不気味ににやけていたような気がした。



「蓮っ!さっきの人、知り合い!?」


ずんずんと歩いていく蓮に必死についていきながら私は聞く。


「は?知らねえよあんなデブ」

⏰:08/08/02 00:36 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#505 [みい]

あっちは蓮のこと、知っていそうな雰囲気だったけど…まあ気のせいか。


それにしても。

「も、もうちょっと言い方ってもんがあるでしょ…」


そりゃ私だって思ったし、心の中では散々デブ呼ばわりしたけど、まだ口には出してないもん!


「デブにデブって言って何が悪い。つーかお前さ、ぼーっとしてんなよ。あーゆうの面倒くせえ」

⏰:08/08/02 00:37 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#506 [みい]

「ご、ごめんなさい…」


面倒くせえって…。彼女がナンパされてたのよ!?下手したらあのまま変なとこ連れてかれちゃうかもしれなかったのよ!?

もっとさ、もっと…「無事でよかった」とか、そうゆう優しい言葉とかないわけ?


…まあ、所詮悪魔だし。そんなの要求しても無理って話だよね…。

…こないだのおでこにキスは優しさを感じたけどさ…//

⏰:08/08/02 00:38 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#507 [みい]

「何顔赤くしてんだよ」

蓮がいかにも気味悪そうに私の顔を横目で見る。


「いっ、いやいや!//」


あの朝のことを思い出してたなんて言えない!//だって蓮はあの時私が寝てたと思ってるわけでしょ!?

私が起きてたって知ったら蓮、どうするんだろう…?焦るかな?焦る蓮…うわ、見てみたい〜!!


…まあ、これはとっておきの楽しみとして大事にとっておくか…♪

⏰:08/08/02 00:39 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#508 [みい]

心の中でむふふと笑った後、私は気になっていた質問を蓮にぶつけた。

「さっきなんて言ったの?ほら、耳元で」


あの強気勘違いデブ(あ、私も言いすぎか?)を一瞬でだまらせる文句とは一体…?と。


「…『てめえの汚ねえど頭(ドタマ)かちわってそっから手え突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろかごらあ』」
「ひいっ!!」


淡々と言う蓮が逆に怖い…;

⏰:08/08/02 00:40 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#509 [みい]

「そ、そんなのどこで…」


覚えたの?と言い終わる前に、蓮が答える。


「向こうの高校の連れの口癖」


…ははあ、すごい人とつるんでたんだなあ…;


「えっと、一応聞くけどその人って…」
「族とかじゃねえよ。最近念願の女と付き合えて浮かれてるただのあほだ」

⏰:08/08/02 00:41 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#510 [みい]

「あ、意外とかわいらしいお方で…」


好きだった女の子と付き合えて浮かれる男の子の口癖があんなだなんて、あまり想像できないけど…;


「最近彼女といると理性吹っ飛んじまってやばいっつってたぜ?それでもかわいらしいか?」


にやりと笑う蓮。


…男ってやつはどいつもこいつも〜!//

⏰:08/08/02 00:42 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#511 [みい]

「かわいくないっ!//」

蓮はそいつに言っといてやるよ、と笑いながら答える。



この時、私達はまだ気付いていなかった。


忍び寄る第2の悪魔の影に…。






「誰がデブだ…!にしても…へへっ、おもしろいもん見つけちまったな…」

⏰:08/08/02 00:43 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#512 [みい]

………………………………

――*蓮Side*――

最近、とゆうか柚と映画を見に行ったあの日以来、誰かにつけられている気がしてならない。


登下校中、気配を感じる。何者かに盗み見されているような気分なのだ。

「まじかよ、おい、大丈夫なのか?」


そう漏らすと、珍しく矢野が真剣な顔をして聞いてくる。

⏰:08/08/02 00:45 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#513 [みい]

「お前に心配されるほど柔じゃねえよ」


いつもどおり毒づくが、矢野は眉間に皺を寄せたまま。


「蓮は男だから大丈夫だろうけど、柚ちゃんは…」
「わかってる。できるだけ1人で行動させねえようにしとく」


そう、問題は柚だ。

どこのどいつだかも、目的が何なのかも知らないが、柚に何かあったらもちろんただじゃおかねえ。

⏰:08/08/02 00:46 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#514 [みい]

「蓮…」


矢野の震える声が聞こえ顔を上げると、いつかのように勢いよく肩を掴まれる。


「なんだよ?」
「俺が柚ちゃん守りたかったあ〜!なんでお前なんだよ!さっきのかっこいい台詞、俺に譲れ!」


この期に及んでこの男は…。まじどうしようもねえ奴。


泣き叫ぶ矢野を尻目に、俺はまだ見ぬ敵に思いを馳せていた。

⏰:08/08/02 00:47 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#515 [みい]

………………………………

「知らねえ奴来ても絶対玄関開けんなよ」
「うん」

「宅配便だったら俺んちに預かってもらうように言え」
「うん」


「変な電話かかってきたらすぐ切れ」
「はいはい」

「一人でふらふら出歩くな」
「はーい」


「…ちゃんと聞いてんのか」

⏰:08/08/02 00:48 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#516 [みい]

「聞いてるってば!てゆうかもう暗記しちゃったし…。最近、蓮そればっか言うんだもん」


柚が不服そうに口を尖らせる。
俺はそんな柚の文句を無視し、さらに念を押した。


「外歩いてるとき、怪しい奴にはついてくなよ」
「幼稚園児じゃないんだからそれくらいわかってる!バイバイ!」


もう、と頬を小さく膨らませながら柚は家に入っていった。

⏰:08/08/02 00:48 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#517 [みい]

…まあ、家にいれば何されることもないだろうし安心なんだけど。万が一何かあったらすぐ連絡するように言ってあるし。


RRR……


ポケットの携帯が震え、少しドキっとした自分が情けなくなる。


画面を見ると、『石川弘樹』の文字。


…ちょうどよかった。こないだこいつの口癖が役立ったことに礼でも言っておくか。

⏰:08/08/02 00:49 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#518 [みい]

俺は通話ボタンを押した。


…………………………………

――*柚稀Side*――

私は夕刊を取りに階段を降りていく途中、最近の蓮について考えていた。


蓮ったら、最近何を思ってあんな口うるさく言ってくるんだろ。


「なんで?」って聞いても「なんでも」って言って取り合ってくれないし…。

⏰:08/08/02 00:50 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#519 [みい]

「もーう、蓮ったら…」


私だって子供じゃないんだから、何を今更…とぶつぶつ言いながらポストに手を突っ込んでいると、


「俺がなんだって?」


…背後に悪魔さんの気配…;


恐る恐る振り向くと…やっぱりいました。腕組みして立っておられます。何度見てもなかなか迫力ある出で立ちでございます、はい。

⏰:08/08/02 00:51 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#520 [みい]

「あ、いや、あの…」


どぎまぎと口ごもる私を見て、蓮は、


「まあ何でもいいや。ちょっと付き合え」


と言って私の腕を掴み歩き出す。


「ちょっ、こんな時間からどこ行くの!?」


時計塔の長針はとっくに夕方6時を回っているのだ。

⏰:08/08/02 00:52 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#521 [みい]

「んー、ちょっとな」


そう答える蓮の横顔が、少しいつもと違うように見えたのはやはり見間違いではなかったと、私は後に悔やむことになるのだ…。



………………………………

「蓮?ここって…」

蓮に連れて来られたのは、近所の工事現場の倉庫。


蓮は無言で掴んでいた私の腕を放し、私の肩を思い切り押す。

⏰:08/08/02 00:53 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#522 [みい]

「痛っ…!」


蓮に押された衝撃に、そのまま倒れ込み、足をくじいてしまった。


「れ、蓮…?どうしたの…?」


足の痛みのせいで立ち上がれない私を、冷たく見下ろす蓮。背筋がぞくっとする。


無表情なのはいつもと同じこと。でも、何かがいつもの蓮と違う。

何?一体何が起こったの…?

⏰:08/08/02 00:54 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#523 [みい]

見上げると、冷たく無表情だった蓮の口元がふっと緩み、


「俺は蓮じゃねえよ、柚稀ちゃん」


という言葉と、鼻で笑う音が耳に響いた。







……レンジャ、ナイ…?



⏰:08/08/02 00:57 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#524 [みい]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新Stopします
また弘樹出しちゃいまし
た、、知らない方、すみ
ません・・恋愛模様・・
を見てもらえるとわかり
ます(軽く宣伝←)

感想等よかったらもらえ
ると嬉しいかぎりです
お待ちしております
>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⏰:08/08/02 01:01 📱:SH905i 🆔:T7ettLIc


#525 [みい]

何…どうゆうこと…?


だって、顔が…顔が、蓮にそっくり…。


いや、そっくりなんてもんじゃない。



「全く一緒」だ。



目の前の蓮が、「俺は蓮じゃない」って言っている。でも…どう見たって……。

⏰:08/08/04 21:57 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#526 [みい]

「俺は、蓮の双子の片割れ」



混乱した頭に、衝撃的な事実がエコーをかけて響く。


双子…?蓮、双子だった…の?
嘘よ、だって私は蓮が小2の時に引っ越してきた頃から知っている。
…それ以前のことは、知らないけど…。


「初耳だ、って顔してんな。やっぱ聞いてなかったんだ。…ま、そりゃそうか」

⏰:08/08/04 21:59 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#527 [みい]

彼はくくっと渇いた声で笑ったあとしゃがんで、驚きで声も発せない私に目線を合わせる。


「俺はなあ、親父に捨てられたんだよ」


頭を金づちか何かで強く打たれた気分だった。


親父って…蓮のお父さん?小さいとき、何回か会ったことがある。蓮とは違って優しそうで、ほんわかしてて…


そんなあのおじさんが、捨てた?この人を?

⏰:08/08/04 22:01 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#528 [みい]

「まだ俺が5歳のとき、あのくそじじい…蓮と2人で消えたんだ。そのあとの俺は、アル中の母さんとふたりきり」


自嘲気味に笑う彼を見て、私ははっと思わず息を飲む。
そんな…そんなことがあったなんて…。


「で、ここに双子のうち出来の悪い方、雨宮淕(アマミヤ リク)の誕生ーってわけ」


ふんっ、と鼻で笑うと、淕…は立ち上がって私を見下ろす。

⏰:08/08/04 22:05 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#529 [みい]

「…柚稀ちゃん。俺はね、許せないんだよ。俺を見捨ててのこのこ生きてる親父が。…染谷蓮が、ね」


憎しみがこもった言葉とは裏腹に、淕の声には抑揚がない。


「こっちに戻ってきてるって小耳に挟んでさ。この上ない復讐のチャンスだと思った」


にやりと口角を上げる淕に、胸がざわつく。蓮が…蓮の身が、危ないかもしれない。

足の痛みを我慢し、弾みをつけて立ち上がる。

⏰:08/08/04 22:07 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#530 [みい]

でも、またすぐに強く押され、倒れ込んでしまう。

「悪いけど、柚稀ちゃんにはちょーっとばかし手伝ってもらうよ」


淕はそう言い、


「おい、そろそろいいぞ、出てこい」


と誰にともなく招集をかけ始めた。

すると、ごちゃごちゃした物の影から一人、また一人と男が出てくる。

⏰:08/08/04 22:11 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#531 [みい]

その中には、1週間ほど前、私に話し掛けてきた巨体男の姿があった。


「久しぶりだね、お嬢ちゃん」


この人だ…この人が淕に、言ったんだ…。蓮に会ったことを。


「い、や!来ないで!」


どうにか立ち上がり、必死で逃げるものの、引きずる足が邪魔をして上手く走れない。

⏰:08/08/04 23:12 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#532 [みい]

ポケットから携帯が落ちる。でも、それを拾う余裕もない。


「なんで逃げるの〜?俺らと楽しいことしようよ、ね?」


ケラケラ笑いながら追い詰めてくる連中。私はもう、恐怖に頭がおかしくなりそうだった。


………………………………

――*蓮Side*――

あんなに注意したのにっ…!

⏰:08/08/04 23:12 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#533 [みい]

30分前、柚の母さんから電話があって俺は家を飛び出した。


夕刊取りに行ったついでにコンビニにでも行っただけだと思いたいが…


前回と同じように、柚が行きそうな場所を当たってみるが、あいつの姿はない。


道に突っ立って周りを見渡していたとき、携帯が鳴った。

⏰:08/08/04 23:14 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#534 [みい]

発信元を見ると、「早瀬柚稀」になっている。俺は直ぐさま通話ボタンを押した。


「柚かっ!?おい、今どこに…っ」
『残念!柚稀ちゃんではありませーん』


しかし俺の声に応えたのは柚ではなく、嘲笑を含んだ男の声。


「…誰だお前」
「…マジでわかんねーの?」


最初の声は高くてわからなかったが、二言目で気付いた。

⏰:08/08/04 23:16 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#535 [みい]

こいつ…俺と同じ声してやがる…!


思い当たるふしが出てきた。でもまさか、そんな…。なぜ今更?


「…柚稀をどこにやった」


とりあえず今は相手が誰かなんてどうでもいい。柚が第一だ。


『ああ…柚稀ちゃん?柚稀ちゃんならうちの奴らがかわいがってくれてるよ…』

⏰:08/08/04 23:17 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#536 [みい]

何だと…っ!?


耳に神経を集中させると、後ろに聞こえる騒がしい声。


「柚っ!?おい柚稀!」
『聞こえるわけねーじゃん』


ククッと笑う相手。俺は怒りに携帯を握りつぶしてしまいそうだった。


くそっ…どこにいんだよ…!

⏰:08/08/04 23:18 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#537 [みい]

震える拳を握りしめ、精神を落ち着かせて耳をすます。


やけに響く声と、鉄骨が倒れるような音…


…!あそこかっ…!


『ま、あの女が大事なら、急いだほうがいいぜ。じゃーな』


甲高い笑い声と共に電話が切れると同時に、俺は一目散に駆け出した。

⏰:08/08/04 23:18 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#538 [みい]

どうかっ…、どうか、間に合ってくれ…!


柚…っ!


………………………………

――*柚稀Side*――


私は薄暗く、だだっ広い倉庫の中でひたすら逃げ回っていた。


「やめてよっ!来ないでったら…!」

⏰:08/08/04 23:20 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#539 [みい]

「お嬢ちゃーん、そろそろ鬼ごっこは終わりにしねえ〜?」


巨体率いる7、8人の集団が、壁で行き止まりになってしまった私ににじり寄ってきた。


「来ないでったら!」


息を切らしながらそこら辺に転がっているものを手当たり次第に投げ付けるが、そんなの何の効果もない。


淕が遠くの壁にもたれたまま、こっちを見て笑っているのが目に入った。

⏰:08/08/04 23:21 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#540 [みい]

…悪魔だ。あの人こそ、正真正銘の悪魔…。


そんなことを考えながら、最後の鉄屑を投げた時だった。


ガシャーン!!


派手な音と共に、倉庫の扉が開く。逆光で顔は見えないけど、あの人影は……


「柚稀はどこだ」


蓮だ…。蓮が、来てくれた…。

⏰:08/08/04 23:36 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#541 [みい]

蓮はつかつかと倉庫の中に足を踏み入れてゆく。


淕が蓮の前に立ちはだかった。


「久々だね、兄さん」
「…ああ」


双子の兄弟の…十数年ぶりの、再会。同じ顔でも全く異なる表情。淕はにやにやと笑い、かたや蓮は無表情。


感動も糞もない。私はよくわからないけど、何故かすごく悲しくなった。

⏰:08/08/04 23:43 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#542 [みい]

「…柚っ!!」


静まった空間に、途端に蓮の声が響いた。
どうやら、奥にいた私の存在に気付いたらしい。叫びすぎて声が掠れてしまった私は、口パクで大丈夫、と繰り返した。


「ってめえ…!」


逃げ回ったせいで散々乱れた私の着衣や、転んでできた擦り傷を見遣ると、蓮は淕の胸倉につかみ掛かる。

⏰:08/08/04 23:44 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#543 [みい]

淕がその弾みでよろけると、


「おい、うちの淕に何してくれてんだよ」


さっきまで私を追いかけ回していた連中が、そう言いながらいつのまにか蓮達の横に立っていた。


「つーか何!?マジ超そっくり〜!ウケんだけど!」
「淕〜、こいつが例のお兄様かよ〜?」
「兄弟でいがみ合うなんて、皮肉だねえ〜♪」

⏰:08/08/04 23:45 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#544 [みい]

「だろ!?俺もこないだ会った時さ、一瞬淕が制服コスプレしてんのかと思ったし!」


様々な冷やかしの声が上がる中、淕が、


「…黙れ」


と一言命令すると、一気にその場が静まり返った。


「兄さん、元気だった?」


胸倉を掴まれたまま、淕が口を開く。

⏰:08/08/04 23:48 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#545 [みい]

「……」


蓮は答えず、淕を睨みつけるだけだ。


「…俺は元気だったよ、お蔭さまでね」


淕は皮肉混じりにそう言うと、力が緩んだ蓮の腕を振り払う。


「小学校では母子家庭で、しかもその母親がアル中ってことでいじめられて、中学入った頃から荒れ始めて…」

⏰:08/08/04 23:49 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#546 [みい]

「高校にも行かずにふらふらしてる俺に比べて、兄さんなんて今は高校生してるんだもんね。偉いねえ〜」


わざとらしく溜息をつき、蓮を見る淕。


「…何が目的だ」


蓮は淕のことは見ず、私のほうを見ながら淕に問う。
淕も同じ様にこちらをちらっと見遣ったあと、


「…まあ、とりあえず…」

⏰:08/08/04 23:50 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#547 [みい]

口元に笑みを浮かべ、顎に手をやったまま考え込む淕。


次の瞬間、淕はまるで名案とでも言うように、手を叩きながら「目的」を蓮に告げた。


「土下座してよ、ここで」



蓮の眉がぴくりと動くのが、遠くからでもわかった。


「聞いてんの?どーげーざ!」

⏰:08/08/04 23:51 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#548 [みい]

淕は楽しそうにケラケラと笑う。他の連中も笑っている。


蓮が私に再び目を向ける。私は、何度も強く首を横に振った。


そんなこと、する必要なんかない…!私なら自力で逃げれるから、気にしないで…!


「早くしないと、柚稀ちゃんがどうなるかわかんないよ?」


淕の言葉を合図に、巨体男がこちらへ近付いてきた。

⏰:08/08/04 23:53 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#549 [みい]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新Stopします
あまり面白くない展開か
もしれませんが感想
もらえるととても嬉しい
ので、どうかよろしくお
願いいたします、、

>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⏰:08/08/04 23:56 📱:SH905i 🆔:obrxLMmQ


#550 [´゚ω゚`]
おもしろいです
>>257-400
>>401-500

⏰:08/08/05 00:29 📱:SO702i 🆔:IDGAKT62


#551 [我輩は匿名である]
>>500-550
>>550-600

⏰:08/08/05 01:10 📱:SH903i 🆔:uAwVNVbE


#552 [くぴ]
あげ

⏰:08/08/06 17:08 📱:P705i 🆔:N7qaU0MY


#553 [ayaka]
あげちゃうぜw

⏰:08/08/06 17:33 📱:PC 🆔:nWS/TAzU


#554 [そら]
あげます
いつもみてます
頑張って下さい

⏰:08/08/06 21:42 📱:P903i 🆔:☆☆☆


#555 [我輩は匿名である]
>>250-300
>>300-350
>>350-400
>>400-450
>>450-500
>>500-550

⏰:08/08/07 20:31 📱:W51P 🆔:.3Sb9.RY


#556 [夜蝶]
あげる

⏰:08/08/07 23:40 📱:911T 🆔:uIqAaxmo


#557 [みい]

>>548
私は、あんたなんか恐くもなんともないんだからっ!という目でデブのことを睨みつける。


デブが冷やかすように「お〜怖っ!」と笑いながら私に歩み寄ってきていた時…



「わかった」



突然蓮の声が響いた。


「へ……?」

⏰:08/08/08 11:58 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#558 [みい]

さっきまで出なかった声が、掠れて自分の喉元を通り自分の口から零れたのがわかった。


なに…?蓮、何が「わかった」の?何に同意したの…?


「だから、そいつには近付くな」


そう言い、デブに睨みをきかす蓮。デブは鼻で笑ったあと、再び蓮のいる方へ歩き出した。


「…柚、目え閉じろ」

⏰:08/08/08 12:00 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#559 [みい]

蓮が私を見ないまま命令する。


何?私が目を閉じたら、あなたは何をするの?…淕に、土下座…する、の?

そんなの嫌だ。蓮がそんなことしなくたっていいじゃない。どうしてそんなことする必要があるの?


蓮は視界の隅に映った、いやいや、と首を横に振る私に気付き、


「早く閉じろっつってんだよ!」


と声を荒らげる。

⏰:08/08/08 12:01 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#560 [みい]

私はその声にびっくりして、思わず目をぎゅっとつぶった。



しーんとした真っ暗闇の中、


「悪かった」


と蓮の声が響く。



ああ…。今、あのプライドの高い悪魔が、屈辱に耐えながらも実の弟に…ひざまづいているんだ…。

⏰:08/08/08 12:02 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#561 [みい]

蓮のそんな姿なんか見たくない。想像だってしたくない。


私は閉じた瞳にさらに力を入れ、唇を噛み締めた。


「…いー眺め」


馬鹿にしたような口調…。同じ声だけど、これは淕のものだろう。


コツコツと、足音が近付いてくる。その音は、私の前で止んだ。


「ねえ柚稀ちゃん。見なよ、あいつの無様な姿」

⏰:08/08/08 12:03 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#562 [みい]

…淕だ。


私は強く頭を横に振った。だって蓮はそんな姿、私に見せたくないに決まってる。だから命令したのだ。


すると、舌打ちが聞こえ、


「見ろっつってんだろーがよ!ぁあ!?」」


と脅すような口調で肩をがしっと掴まれ、そのまま強く揺さ振られる。

「そいつには触んな!」

⏰:08/08/08 12:06 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#563 [みい]

蓮の怒鳴り声に、薄く目を開けると、既に立ち上がっている蓮が向こうに見えた。


「…兄さん、ちょっとそいつらと遊んでてよ」


淕が言い終わらないうちに、デブを始めとする連中が後ろから蓮に飛び掛かったのがわかった。


「蓮っ!」


私は蓮の元へ駆け寄ろうとしたが、淕に押さえ込まれてしまう。

⏰:08/08/08 12:07 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#564 [みい]

「…っ何すんのよ!放してっ!」


もがいてもあがいても、男の力になんか到底敵いっこない。


「柚稀ちゃんはその間俺と遊んでよーよ。どうせ同じ顔じゃん」

「あんたなんかっ…あんたなんか、蓮の足元にも及ばない!このカス!クズ!」


思い切り睨みながらそう吐き捨てると、淕は目を丸くし、そのあと笑い出した。

⏰:08/08/08 12:08 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#565 [みい]

「兄さんってこんな女が趣味なんだ…。俺、こんな気の強い女はパスだわ」


こっちだってあんたみたいな最低男なんか願い下げだ。


でも…と淕は私の顎に手をかけ、


「染谷蓮のものは、全て奪う」


と私の耳に口づける。


私は、あまりの気持ち悪さに全身が震え、吐き気まで催した。

⏰:08/08/08 12:09 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#566 [みい]

「兄さんとはどこまでいったの?もうヤっちゃった?」
「そんなのっ…あんたに関係ないっ!」


吐きそうなのを我慢してどうにか答えると淕は、


「ふーん…その様子だと…まだ、だね」


とニヤついた。


図星で、不覚にも顔が熱くなる。

⏰:08/08/08 12:10 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#567 [みい]

「じゃあ兄さんには悪いけど…俺がお先に柚稀ちゃんをいただこうかな」


淕は私に顔を近付けてきた。


嫌だ…嫌だよ。蓮とじゃなきゃ。蓮以外の人となんか…。


「…イタダキマス」


面白がるような淕の声が間近で聞こえ、私は強く目を閉じる。


その時だった。

⏰:08/08/08 18:28 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#568 [みい]

バキイッ!


物凄い音が聞こえ、私を押さえ付ける力が急になくなったのだ。


驚いて目を開けると、淕の姿もない。


そして、淕の代わりに私の視界に入ってきたのは…


「無事かっ…?」


紛れも無い、蓮だった…。

⏰:08/08/08 18:29 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#569 [みい]

「れ、蓮…っ」


あまりの安堵感に、我慢しきれず涙をこぼす私を、蓮は優しく抱きしめてくれた。


「今のうちに、お前は早く逃げろ」


よく見ると、蓮は傷だらけだ。あれだけの人数を相手にしたのだ、まだマシなほうだろう。


「なんで?蓮も一緒に…」

⏰:08/08/08 18:30 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#570 [みい]

行こうよ、と言いかけた私を、蓮の言葉が遮った。


「俺は…まだ、こいつに伝えなきゃなんねえことがあるから」


そう言い、うずくまる淕を見る蓮。


「そんなのいいよ!こんな人に何言ったって無理だもん!」


こんな人、相手にするだけ時間の無駄だよっ…。

⏰:08/08/08 18:32 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#571 [みい]

私の必死の説得にも、蓮は首を縦に振ろうとしない。


「何をっ…」


何をそんなに伝えたいの?そう言いかけた時だった。


「よくも…やってくれたね、兄さん」


淕が立ち上がり、他の連中もボロボロになりながらも、いつの間にか私達を囲むように立っていたのだ。

⏰:08/08/08 18:33 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#572 [みい]

「柚っ!逃げろ!」


蓮の言葉に急いで逃げようとしたが、間に合わなかった。


「おーっと、逃がさないよ。まだまだお楽しみはこれからだからね」


淕に捕まえられてしまったのだ。


「兄さん。柚稀ちゃんを無事に家に帰したいならさ…」


淕がそこまで言うと、二人の男が蓮を取り押さえた。

⏰:08/08/08 18:34 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#573 [みい]

蓮はそのまま淕を見据えている。


「…抵抗しちゃダメだよ。一切…ね」


淕が言い切った瞬間、デブが蓮のお腹にパンチを食らわせた。


顔を歪めた蓮の口の端から、血が流れる。


「蓮っ!!」
「ショーはこれからだよ、柚稀ちゃん」


何人もの男が、一斉に蓮に飛び付いた。

⏰:08/08/08 18:36 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#574 [みい]

いや…蓮が、蓮が…。


時折見える蓮の姿は、もう血まみれだった。


「かっこいいね〜。そんなに柚稀ちゃんのこと、大切なんだ」


無関心そうに言う淕に、私は必死に訴えた。


「お願い、もうやめて…!このままだとっ…蓮、死んじゃう…!」


口に出すのすら恐ろしい。蓮が死んでしまう、なんて…。

⏰:08/08/08 19:00 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#575 [みい]

しかし、私の懇願への返事はあまりに残酷なものだった。


「死ぬ…?ああ、それもいいかもしれないね。どうせなら殺しちゃおっか」


楽しそうに笑う淕。


…この人、狂ってる…。


あまりに非情な言葉に、目眩がした瞬間だった。


凄まじい音と共に、何台ものバイクが入ってくる。

⏰:08/08/08 19:01 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#576 [みい]
<Font Size="-1">
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
更新Stopします
よかったら感想等もら
えると本当励みになる
ので、是非感想板のほ
うへお願いします

>>1みい感想板
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
/Font>

⏰:08/08/08 19:03 📱:SH905i 🆔:V2IHnmoY


#577 [†未来†]
とっても続きが気になります
無理をなさらず頑張って下さい

⏰:08/08/08 21:44 📱:SH904i 🆔:B0dN6uZM


#578 [我輩は匿名である]
>>577
感想板へ

⏰:08/08/08 21:50 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#579 [みい]

沢山のバイクが私達の目の前で止まり、ぞろぞろと人が降りて近付いてくる。


「どこのどいつだおめえら。今から集会なんだよ、退け」


頭(カシラ)のような人が私達に向かって言い放つ。


淕は怪訝そうに舌打ちをした。


先程まで蓮を袋だたきにしていた連中は指示を待つように淕の顔色を窺っている。

⏰:08/08/10 00:44 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#580 [みい]

「…なんだ、フクロか。狡い手使いやがって。おい、大丈夫か兄ちゃんよ」


頭が蓮を仰向けにした瞬間、


「いやあっ!」
「…!」


私は蓮のあまりにひどい姿に思わず悲鳴を上げた。


その時、なぜか頭も同じ様に息を飲んだのがわかった。


「矢野さん、どーしたんすか?」

⏰:08/08/10 00:45 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#581 [みい]

…矢野?矢野って、まさか…。


「…俺のダチだ。おい、早くこいつ病院に連れてけ」


手下らしき人ははいっ!と返事をすると、もう力のない蓮をバイクの後部座席に座らせ、走っていった。


「…おい。てめえらをしきってんのはどいつだ」
「…俺だけど?」


頭の質問に淕が私を放し、声を上げる。

⏰:08/08/10 00:46 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#582 [みい]

頭に近付いていく淕。


私は、目を凝らして頭の姿を見た。


いつもはゴムで縛ってある前髪が、今は下ろしてある。

教室での人懐こそうな笑顔なんて全く感じさせない、険しい表情。

そして、私のよく知る調子のよさそうな声の代わりに、低く相手を威嚇するような声色。



全てが普段と真逆だけど…あなたはもしかして…矢野君?

⏰:08/08/10 00:48 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#583 [みい]

「…は?お前…」


淕の姿を目の当たりにした頭は、眉を寄せる。


「あんたのお友達の片割れだけど?」


淕は少し戸惑った様子の頭を見て、楽しそうに笑った。


「ふーん…そっか、そりゃ初耳だな」


頭がそう言い、辺りを見回した瞬間、私と目が合う。

⏰:08/08/10 00:49 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#584 [みい]

「柚ちゃんっ!?」


私の姿を見て、声を上げる頭。


ああ、やっぱしあの矢野君だったんだ。あの、うちのクラスのお調子者の矢野君…。


「なんで、こんなところに…?」
「こっちの台詞だから!銀次、柚ちゃんも病院に…!早く!」


銀次と呼ばれた男の人が、淕から力ずくで私を取り上げた。


「大丈夫すか?」

⏰:08/08/10 00:50 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#585 [みい]

銀次さんの問い掛けに、私は小さく首を縦に振った。


「すぐ着くんで、しっかり捕まってて下さい」


銀次さんは私を蓮のときと同じように後部座席に座らせる。


「矢野君…」


私が矢野君のほうを振り向くと、


「後は任せて。柚ちゃんは蓮の傍にいてあげな。ね?」

⏰:08/08/10 00:50 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#586 [みい]

矢野君はそう言ってウインクをした。


「…うん…!」


私が返事をすると同時に、バイクが走り出す。


蓮…、蓮…!

どうか、どうか無事でいて…

あなたに何かあったら、私は…


私は……

⏰:08/08/10 00:51 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#587 [みい]

…………………………

「…大丈夫っすよ」
「……」


私と銀次さんが病院に着いた時、蓮は既に手術室の中だった。


病院特有の暗い廊下に備わった、長いベンチに二人で腰掛ける。

「こんなに自分のこと思ってくれてる人がいるんすもん、そう簡単には逝けるはずないっす」


銀次さんは私に気を遣ってくれているのか、ひたすら私を励まそうとしてくれている。

⏰:08/08/10 00:52 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#588 [みい]

「私がとろいから…逃げられなくてっ…、それで蓮が…っ」


そう。元はといえば私が逃げ損ねたせいで、蓮は無抵抗を余儀なくされ、殴り続けられたのだ。


「私のっ、私のせいでっ…」
「自分を責めちゃ駄目っす。蓮さんだってそんなこと思ってないすよ」


涙でぐちゃぐちゃになった顔を両手で覆うと、背中に温かい手の平の感触が生まれた。

⏰:08/08/10 00:53 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#589 [みい]

それはきっと、金色の髪の毛を立たせ、頬に古傷をこさえた銀次さんのものだろう。


「柚さん、疲れてるんすよ。自分起きてるんで、柚さんは寝てて下さい」


何かあったらすぐ起こしますから、と背中を摩られる。


蓮の大事な時だ、寝るものか、と意地になって目に力を入れたが、夕方からの出来事で思った以上に体力を消耗していた私は、いつの間にか眠りに落ちてしまった。

⏰:08/08/10 00:55 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#590 [みい]

……………………………

「…ずさん、ゆずさん」


…誰…?誰かに呼ばれている。私を呼んでいるのは…誰?


「柚さん」


うっすらと目を開けると、見慣れない金色の頭が映る。


「…ぎ、んじさん…?」


ああ、そうだ。昨日、私…。

⏰:08/08/10 00:55 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#591 [みい]

そこまで思い出した途端、はっと頭が冴え渡る。


「蓮!蓮はっ…!?」
「手術自体は夜中に終わったんす。で、さっき麻酔が覚めて…」


縋り付く私に、銀次さんは落ち着いた口調で説明してくれた。


「蓮さん、無事っすよ」


その一言を聞いた瞬間、足の力が一気に抜け、その場にへたりこんでしまう。

⏰:08/08/10 00:57 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#592 [みい]

蓮…無事だった…。


そう心の中で繰り返すだけで、自然と涙がこぼれる。


「柚さん、早く病室行ってあげましょう?」


にこっと笑う銀次さんに涙を拭いて頷くと、私達は蓮の病室へ向かった。


………………………………


「柚稀ちゃん!?」

⏰:08/08/10 00:58 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#593 [みい]

病室までの廊下を急いでいると、向こうから歩いてきた夫婦に声を掛けられる。


「おばさん…、おじ、さん……」


それは蓮の両親だった。


「柚稀ちゃん…恐かったわね、もう大丈夫よ」


おばさんが涙ぐみながら私の頭を撫でる。


「私の…私のせいで、すみません…っ」

⏰:08/08/10 00:59 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#594 [みい]

「いやだ、柚稀ちゃんのせいなんかじゃないわよ!」
「近頃は変な連中が多いからな」


おばさんに続いておじさんが発した言葉に、私は胸が痛んだ。


おじさん…、あなたの、息子なんだよ…?蓮を襲ったのは…。


「もうぴんぴんしちゃって、すっかり元気なのよ」


顔出しに行ってあげて、とおばさんに促され、私達は再び足を動かす速度を速めた。

⏰:08/08/10 01:00 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#595 [みい]

………………………………

「…ここっす」


601号室。看護婦さんの字で「染谷蓮」と書かれたプレートがはめられている。


「じゃあ俺はここで」
「ま、待って…」


踵を返した銀次さんを呼び止めた。なんだか、二人では会いづらい…。


「俺、邪魔じゃないすかね?」

⏰:08/08/10 01:01 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#596 [みい]

困ったように聞く彼に、私は少し罪悪感を覚えた。


「邪魔なんかじゃ…。面倒臭いこと頼んでごめんなさい」


私が謝ると、銀次さんは焦ったようにいやいや、と首を振る。


「…じゃ、入りますよ?」


ドアに手をかける銀次さんの後ろに隠れるようにして、病室に入った。

⏰:08/08/10 01:02 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#597 [みい]

「失礼します」
「…誰?」

個室のベッドの上に…蓮がいる。外を見つめているようで、私達のほうを見ないままだ。


「……れ、ん?」


上擦る声を振り絞って呼びかけると、蓮はゆっくりとこちらを向いた。


「…よお、ばかゆず」


そう言ってニヤつく蓮の姿が、涙でよく見えない。

⏰:08/08/10 01:03 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#598 [みい]

「ふえっ…蓮…?ほんとに蓮…?」「俺以外に誰だっつんだよ」


意地悪な笑顔も、憎まれ口も、ほんのちょっとだけ優しい目も…蓮だ。蓮が、ここにいる。


「…っ、蓮〜っ!」


私は全力で蓮のベッドまで駆け寄ると、思い切り蓮に抱き着いた。


「大声出すな、傷口に響く」


キツイ文句とは裏腹に、蓮は私の頭を優しく撫でてくれる。

⏰:08/08/10 01:04 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#599 [みい]

蓮が、生きてる。生きて、こうして私を抱き留めてくれている。


それを実感するだけで次から次へと涙は溢れ、私の頬を濡らした。



「ところで、そいつ誰?」


蓮にそう聞かれるまで、失礼なことに私はすっかり銀次さんの存在を忘れていた。


銀次さんの前で蓮に抱き着いたことがとても恥ずかしく感じられ、私は咄嗟に蓮から離れる。

⏰:08/08/10 01:04 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#600 [みい]

「銀次さん。私をここまで連れてきてくれて、ずっと一緒にいてくれたの」


銀次さんには感謝の一言に尽きる。彼がいなかったら、きっと私は取り乱して、収拾がつかない状態になっていただろう。


私に紹介されぺこりと頭を下げた銀次さんを、蓮は興味なさそうにふーん、と見遣り、


「こいつが世話になったな。…悪いけど出てけ」

⏰:08/08/10 01:06 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


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