― 短編箱 ―
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#201 [栢]

「もう、終わった‥」

ふと時計を見る
―‥0時2分

「嘘‥」

嘘なんかじゃない、
この温もりが事実

「メイがいいや、やっぱり
ってか‥じゃなきゃ駄目っぽい」

耳元で囁く声が春を告げた

⏰:09/10/26 00:46 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#202 [栢]

「ばかだよね‥。もう、ばか」

何かがほどけて雫になる
今までの不安も、隠してた想いも
全部が溢れ出る。


うるせぇよって緩く笑って
また荷物を整理し始めた

さっきとは違うわ‥
時計の音が愛おしい

⏰:09/10/26 00:51 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#203 [栢]

さっきよりも少し
近くに座ってみた。

だけどもどかしい、初めての感覚
‥むずがゆいね

「あ‥懐かしい(笑)
これ、覚えてる?」

そう言って
小さな封筒を渡された。

⏰:09/10/26 00:53 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#204 [栢]

"はるとくんえ

めいをおよめさんにしてね"


子供ながらに歪だけど
丁寧に書いたような字
何度も消した跡があった。

「幼稚園のとき、メイがくれたんだよ?」

正直記憶にはなかったけど
一気に体が熱くなった

⏰:09/10/26 00:56 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#205 [栢]

「うわぁ‥恥ずかしい」

そんな何年も前の手紙を
持っててくれたなんてね、
嬉しくて仕方がない

くすりと隣で笑われた。


そして、ある一通の手紙が
あたしの手元に現れた

何年も前の
まだ渡していない小さな手紙

⏰:09/10/26 00:59 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#206 [栢]

"めいちゃんえ

ぼくをおよめさんにしてね"


「やっぱり‥ばかだね」

思わず笑ってしまったの
可愛い文面

顔を赤くする"ぼく"が愛おしい

ねぇ‥
運命を信じたくなったよ

⏰:09/10/26 01:02 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#207 [栢]

二通の手紙を重ねて

声を一つにして、笑った



―‥長年待ち続けた、春の訪れ。

⏰:09/10/26 01:05 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#208 [栢]

>>180-108

なんかキュンとするやつが書きたかった
書きたかった‥(´・ω・`)
なかなか難しいですね ×

幼なじみとか
ありがちな設定だし、笑
最早ネタ切れです ´`。

後先考えずに書き始めたので
ごちゃごちゃになってしまいました
反省(・_・)
遠まわしすぎる表現も反省
もっと勉強します!

⏰:09/10/26 01:18 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#209 [栢]

>>180-108
春の青い芽

>>153-179
たった一度の反抗期

>>136-151
金木犀

>>135
前作

⏰:09/10/26 01:20 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#210 [栢]


>>180-208
春の青い芽

アンカミスでした×

⏰:09/10/26 01:22 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#211 [匿名]
春の青い芽?
とてもいい話です(゚ω゚)

⏰:09/10/26 02:38 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#212 [栢]

>>211

ありがとうございます ^^*

適当にタイトルつけたので
わかりにくいのになってしまいました×

一応
春の青→"青春"と
青い芽→"まだ始まったばかり"
って意味のつもりです(´・ω・`)笑

よかったらこれからも
よろしくです ><

⏰:09/10/26 15:54 📱:D905i 🆔:0HxquaIU


#213 [栢]
 
 
    星のブーケ

_

⏰:09/10/29 16:50 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#214 [栢]

冷たい夜空に両手を広げて

あのキラキラ光る
あの星たちが欲しかった


―‥幼い頃の夢

⏰:09/10/29 16:52 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#215 [栢]

だけど
どうしても手が届かない

「お星様‥、どうして?」

こぼす涙が月明かりに照らされて
キラキラと光る


この星たちを集めて
プレゼントしたい人がいた

「パパ‥」

⏰:09/10/29 16:57 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#216 [栢]

仕事中に急に倒れた。

「パパに‥パパにあげたいの」


なんとなく
星を集めてプレゼントしたら
元気になる気がしてた‥

"お星様は、
美知のお願い叶えてくれるんだよ"

だってパパがそう言ったから

⏰:09/10/29 17:01 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#217 [栢]

パパが倒れてから
毎晩、夜空を見上げては

お願い‥お願いと
泣きながら祈った。


「おもちゃも、お菓子も、
美知‥がまんするからぁ‥」

大好きなパパ
だけどずっと目を閉じてるの
笑ってくれないの‥

⏰:09/10/29 17:05 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#218 [栢]
パパに会いに行っても
いつもみたいに
お星様の話をしてくれない。

パパはお星様の専門家
いわゆる、 天文学者だった


"今見えるお星様の光はね
何万年も、何億万年も前の
昔の光なんだよ"

そんなことを教えてくれた。

⏰:09/10/29 17:47 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#219 [栢]

まだその時は幼すぎて
よく理解していなかったけど

夜星に魅了されたのは確か。


何度も何度も
掴もうとしたのに
お星様は、逃げてしまう

「美知‥
お星様に、嫌われちゃった」

泣きじゃくって
もうお願いなんてしないって決めた
だってパパ
元気にならないんだもん

⏰:09/10/29 18:22 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#220 [栢]

その日から
夜空を眺めるのをやめた


そんな私を見かねてか
お兄ちゃんが近寄ってきた。

「美知?
今日はお星様にお願いしないの?」

お兄ちゃんは6つ上の中学生

「もう、お願いなんてしないの」
しょぼくれながら
指で細い髪をくるくら巻き取った

⏰:09/10/29 18:26 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#221 [栢]

お兄ちゃんは
どうして? と優しく尋ねて
私と目線を合わせた

「だって、
パパにあげたかったのに‥
お星様、掴まらないんだもん」

大きな瞳に涙を溜めて
巻き取った髪をスルリと放す


お兄ちゃんの手が
私の頭を包むように撫でた。

⏰:09/10/29 18:31 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#222 [栢]

「じゃあ、美知
お星様の絵書いて
パパにプレゼントしようよ」

クレヨンと画用紙を手渡され
私はは浮かない顔をした

「美知‥下手くそだもん」

ふてくされて全てを放り投げた

パパに似て
いい言い方をするなら
こだわりが人一倍強かった

⏰:09/10/30 15:57 📱:D905i 🆔:d6Zud4xA


#223 [栢]

そしてお兄ちゃんは
パパに似て優しかった

「兄ちゃんがお星様書くよ!
だから、美知は色塗って?
美知色塗り上手でしょ?」

緩く笑ったその笑顔が
パパに似すぎてて
どこかキュッと痛くなる

だけど、
パパが笑ってくれた気がした

⏰:09/10/30 16:03 📱:D905i 🆔:d6Zud4xA


#224 [我輩は匿名である]

私は目を輝かせて
お兄ちゃんが書いた下書きを
丁寧に縁取って
一生懸命色を塗った

いつの間にか時間が過ぎ
11時になっていた

思った以上の完成度に
満足して
お兄ちゃんと私は
2人で一枚の毛布にくるまり
眠りについた

‥ぱぱが笑う夢をみた

⏰:09/11/02 17:23 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#225 [栢]

―‥朝
聞き慣れない声で目が覚めた

「美知ちゃん!起きて!」

「まだ眠い‥よ」

眠たい目を擦って
ぐずり気味の私に
そう言って起こしたのは
パパのお姉ちゃん
つまり、おばさんだった。

明らかに隠し切れていない動揺を
私は感じざるを得なかった

⏰:09/11/02 17:27 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#226 [栢]

お兄ちゃんは
すでに着替えていて
ぱたぱたと騒がしかった

訳もわからずに着替えさせられ
乱暴にラップに包んだ
おにぎりを手渡され

車に乗せられた。

わかってた‥
だって夢でパパが
にっこり笑ったんだもの
手を振って‥。

⏰:09/11/02 17:30 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#227 [栢]

「お兄ちゃん‥
お星様‥」

そう言いかけると

「大丈夫、
ちゃんと持ってきた」
と私の頭を撫でて言った。

喜んでもらえるだろうか‥
パパは見てくれるだろうか‥

早くパパの所に行きたくて
胸の奥が騒がしい
足が落ち着かない

⏰:09/11/02 17:33 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#228 [栢]

車を飛び降りて
お兄ちゃんに手を引かれて
思い切り走った。


ママ、おじさん、ばぁちゃんの
背中が囲んでいる

そして険しい顔のお医者さんが
パパをじっと見つめていた

「パパ、パパ!!
お星様!!お星様だよパパ!!」

みんなをかき分けて
パパの顔の前にあの絵を出した

⏰:09/11/02 17:37 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#229 [栢]

差し出した絵の端から
パパの真っ白な顔が見えた

「パパ‥?
お星様、美知とお兄ちゃんでね‥」

ママが静かに泣いている声が聞こえた

「‥書いたの一生懸命
お星様にお願いしたの!
パパが元気になりますようにって!」

遠退いていく呼吸を
見て見ぬ振りをして‥

⏰:09/11/02 17:42 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#230 [栢]

「ねぇお兄ちゃん?
昨日書いたんだよね?」

無邪気に振り返った私に
お兄ちゃんは
肩を震わせながら小さく頷いた

「パパ‥あのね、」

部屋の静けさに
何か話そうと必死だった

⏰:09/11/02 17:45 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#231 [栢]

ピ―‥

今までに聞いたことのない
耳に突き刺さる音を聞いた

パパの手が氷のように冷たかった


「あなたぁ‥!
いかないで‥いかないでぇ‥」

ママがパパに寄り添い泣き崩れる
お医者が時計を見て何かを言った

⏰:09/11/02 17:48 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#232 [栢]

嘘だよ‥パパ‥
お星様、
一生懸命書いたのに‥

美知が色塗り下手だったから?
美知が本物のお星様
集められなかったから‥?

ねぇパパ‥わかんないよ

「パパ‥お星様‥」

堪えていた涙が
体の奥から溢れ出しす

⏰:09/11/02 17:51 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#233 [栢]

「美知‥ありがと‥」

パパが確かにそう言った
消えそうな壊れそうな声で
確かに私にそう言った


その瞬間
魔法が溶けたように
子供らしく泣きわめいた

小さくなって泣く私を
お兄ちゃんは優しく包んでくれた

⏰:09/11/02 17:55 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#234 [栢]

子供の私たちは
家に帰らされた。

お兄ちゃんと2人きりの家。
風が窓を揺らす音が
さらに寂しくさせた

「お兄ちゃん‥
パパ‥元気にならなかった」

うつむいて目を擦って
少し震える声で
「美知‥パパの秘密知ってる?」
そう言った。

頑張って明るく振る舞うその声に
私は涙を止めた

⏰:09/11/02 18:00 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#235 [栢]

顔を上げ
首を横に振って見せる

するとお兄ちゃんは
にっと笑って小声で言った。

「パパって、
お星様の国の王様なんだよ!」

「おうさま?!」

驚いて胸を時めかせた私の口を
塞ぐ

暖かくて大きな手‥。

⏰:09/11/02 18:04 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#236 [栢]

「だからあんなに
お星様に詳しいんだよ?
それで、今日は帰らなくちゃいけない日
お星様の国のみんなだって
パパが居なくちゃ困ってるんだ」

一気に涙が乾く
とっさに思いついた優しさに
私は笑顔を浮かべた

「だけど‥パパは
美知のパパなんだよ?
勝手に連れてっちゃいや‥」

大好きな初めての"恋人"に
やきもちを焼くくらい大人になった

⏰:09/11/02 18:08 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#237 [栢]

「美知にもパパが必要なように‥
あっちのみんなにもパパが必要なんだ。
パパは人気者なの、

"お友達とは仲良く半分こ"って
パパと約束したでしょ?」

澄み切った空気に包まれて
私は大きく頷いた

⏰:09/11/02 18:12 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#238 [栢]

「じゃあ美知‥
お星様の絵パパにあげる!
それで、
みんなに自慢してもらうの!
美知はこんなに上手な絵を書くんだよって!」

にこにこと笑みを浮かべた
ちょっぴり大人になった。
大好きな"恋人"を
少しだけ独占したかった。


「そうしようか」

安心したようにお兄ちゃんが笑う

⏰:09/11/02 18:16 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#239 [栢]

たくさんの人に見送られて
パパはお星様の国に旅立った。

「美知!ほらあの白い煙‥
パパが馬車に乗ってるんだよ」

「わぁ‥!パパ王様だもんね!!」

笑顔でさよならをした
またいつか帰ってきてねと

⏰:09/11/02 18:19 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#240 [栢]

その日の夜は
星が満ちていた。


「パパが帰ったから
今日はお星様いっぱいだね」

白い息をリズムに乗せて

「今頃‥
美知の絵、自慢してるよ」

「そうだといいなぁ‥!」

流れ星が一筋
きらり、光って月に消えた

⏰:09/11/02 18:23 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#241 [栢]

>>213-241

まとまりなさすぎます(´;ω;`)笑

先日
流星群もあったと言うことで
星をネタにしたものが書きたくて
思いつきで書いてみました ^^
今回は恋愛ではなく
家族愛っぽいものを‥

死を暖かく見つめる事と
兄弟愛とパパに恋する娘と‥
いろいろ盛り込みシリーズ!←

何かしら
感じてもらえたら嬉しいです◎

⏰:09/11/02 18:28 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#242 [栢]

>>213-241
星のブーケ

>>180-208
春の青い芽

>>153-179
たった一度の反抗期

>>136-151
金木犀

>>135
前作

⏰:09/11/02 18:38 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#243 [栢]
 
 
     淡い雪

_

⏰:09/11/06 17:16 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#244 [栢]

ため息白く染まる。


「帰ろっか」

眉をさげて
少し恥ずかしそうに
手を差し出した。

小さな白い手が
俺の手を軽く握る。

「相変わらず、
手‥あったかいね」

クスリと笑う姿が
とてつもなく愛おしい。

⏰:09/11/06 17:22 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#245 [栢]

「相変わらず‥冷え性だね」

それを理由にして
その手を握りしめて
そのままポケットに突っ込んだ。

「手が冷たい人は
心があったかいんだよー」

長い睫に白い雪が降る
少し冷たそうにして
彼女は片目を瞑った。

⏰:09/11/06 17:28 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#246 [栢]

「ねぇ?」

真っ赤な傘から
こちらに顔を出しす

少し切りすぎたと言った
眉の上の前髪が揺れた

「何?」

返事をするのを忘れそうなくらい
見とれているから
それくらい、惚れてるから‥

離したくないんだけどね。

⏰:09/11/06 17:33 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#247 [栢]

「‥んん。
やっぱり、前髪変かな?」

彼女は何かを飲み込んだ
本当に言いたいことは
いつも言ってくれない‥。

「あぁ‥似合ってるよ?
長いときもよかったけど、」

手を伸ばして
くしゃくしゃと撫でた
視線を惹きたくて。

⏰:09/11/06 17:38 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#248 [栢]

「ありがと
去年も‥失敗したんだよねぇ」

白く染まったため息を
惜しそうに眺めて
それがまた俺を切なくさせるから

「可愛いよ‥可愛い」

「‥ありがとう」

去年と重ねてる?
そんなに遠くを見て、
彼女には何が見えてるんだろう

⏰:09/11/06 17:43 📱:D905i 🆔:Szu5HYiU


#249 [栢]

「ほんと?‥嬉しい
可愛いって、言ってもらえると
やっぱり‥」

そんな悲しそうに笑わないでよ

「あんまり、
言われたことないから」

アイツは‥言わなかったんだ。
俺はアイツとは違うよ?

あんな奴とは違うのに‥

⏰:09/11/07 18:20 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#250 [栢]

ねぇ教えて欲しいよ。
‥どこがいいの?
アイツは何を持ってるの?

嫉妬するよ
優しさには自信があるんだ
想う気持ちだって‥
誰よりも大きいはずなんだ。

灰色の空が渦をまく
ぼんやりした色。

⏰:09/11/07 18:24 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#251 [栢]

「あ‥クリスマス
一緒に‥いてくれる?」

未だに直視できないでいる
君の"笑顔"。

‥気づいてるよ。
ただ、見て見ぬ振りをしてるんだ

こんなに近くにいるのに
君に手が届かない。

いつまで経っても
俺の手じゃ暖められない
あの日から冷たい小さな手

⏰:09/11/07 18:28 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#252 [栢]

「一緒に過ごそうか」

独りよがり。
こんなの、愛じゃないさ
ただの自己満足なんだ‥。

いつかちゃんと見てくれる‥
そんな期待すら今では、抱かずに
君の足下を見つめるだけ。

「‥楽しみ」

雪が君の声を吸い取って邪魔をする

⏰:09/11/07 18:33 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#253 [栢]

「‥去年は、独りだったから
恋人と過ごすのは‥初めてなの」

君を独りにした
寂しい思いをさせた
アイツが憎いよ。

だけど俺にはきっと
そんな思いをさせることすら
できないんだろうな‥。

目頭に降った雪がじわっと溶けた。

⏰:09/11/07 18:36 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#254 [栢]

真っ赤な傘が
真っ白な雪の上に落ちる。

小さく君は驚いたけど、
‥それだけ。

壊れてしまいそうなくらい
強く強く抱きしめてみたけど
空気を抱いているみたいに、
虚しさを覚えた。

「ごめんね‥」

その言葉が
この想いへの返事な気がして
俺は目を閉じて‥

⏰:09/11/07 18:43 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#255 [栢]

いつまで
偽りの"笑顔"に浸ってるつもりだろう

「‥好きだ」


止むことを知らない淡い雪。

⏰:09/11/07 18:46 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#256 [栢]

>>243-256

冬なので冬のお話 ^^
今回は切ないかんじに書いてみました!

またわかりにくい話ですが
簡単に解説すると
付き合ってるんだけど
彼女が元カレ忘れられなくて
それに気づいてるのに
別れられない俺←

なんかもやもやしたかんじで
わかる人にはわかる気持ちなのかも

⏰:09/11/07 18:50 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#257 [栢]

>>242
前作

⏰:09/11/07 19:25 📱:D905i 🆔:B5ShcEsI


#258 [椎]
 
 
   思い出と共に

_

⏰:09/11/14 19:22 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#259 [栢]

きっと釣り合わないから




君から身を引いたんだ。

⏰:09/11/14 19:23 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#260 [栢]

あまりに美しすぎて
あまりに眩しすぎて


きっと
見えないふりをした‥。


今更もう遅いこと

⏰:09/11/14 19:24 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#261 [栢]

艶やかな黒髪が風に揺れる

いつだって遠くから見てた。


「瑞希ちゃん!
今日暇ならご飯食べに行かない?」

「瑞希ちゃんアドレス教えてよ」


いつだって君は人気者で
ひとりでいる事なんて
なかなかなくて
タイミングが掴めなかった。

⏰:09/11/14 19:29 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#262 [栢]

「あ‥ごめんなさい。
夜は家で夕食を食べるので‥」

「ごめんなさい。
あまりメールが得意ではないので‥」

下心の塊たちに
ひとつひとつ丁寧に言葉を返す。
そして柔らかく笑う。


‥憧れ、夢、理想
枯れ葉のこすれる音が物寂しい。

⏰:09/11/14 19:32 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#263 [栢]

後ろ姿を
もうどれくらい見つめただろう‥

少し大人っぽくなった。
少し背が伸びた気がする
だけど
相変わらず君は眩しくて、

僕は大人になったのだろうか。
背は少し伸びたんだけど
君は知らないんだろうな‥

⏰:09/11/14 19:36 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#264 [栢]

「橘くん‥?」

「あ‥俺?」

嬉しそうに頷いた姿が
愛おしすぎた

そんな顔されたら
叶わない想いにも
期待してしまいそうだ‥

「ノート‥ありがとうございました。」

丁寧な言葉遣いが余計に距離を感じさせる
もう7年目なのに‥

そこがまた君の魅力

⏰:09/11/14 19:39 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#265 [栢]

慌ててノートを受け取った。
少し手が触れた
どうしても目が泳いでしまう。

俺こそもうすぐ6年目なのに‥
なにも進展がないなんてな。

「見にくかったでしょ?
ごめんね(笑)」

思わず笑ってごまかした。
手がじわりと汗をかいた。

⏰:09/11/14 19:43 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#266 [栢]

「いえ、とても見やすかったですよ。
また‥
もしもの時は貸していただきたいです。」

ゆっくりと深く頭を下げて
いつものように柔らかく笑った。

「こ‥こんなんでよければ‥!」

ごくりと唾を飲む
もうこの笑顔だけで
僕は救われた気がしてしまう。
だからなにもできないでいる

⏰:09/11/14 19:46 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#267 [栢]

「あ‥あのさ、」

僕の口が思わぬとこで先走った。

「なんですか?」

きょとんとした顔。
可愛すぎて‥だめだもう。

「み‥瑞希ちゃんって、
中学の時から変わらないよね!」

意味がわからない発言。
あぁもう‥

⏰:09/11/14 19:53 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#268 [栢]

君の様子を
恐る恐るうかがってみると
少し困ったように‥

「それは‥
喜んでいいのでしょうか?」

透き通った手を口元に寄せて
クスリと笑った。

「もちろん!!‥いい意味だよ」

「ありがとうございます」

きっと褒められるのは慣れてるだろう
それなのに本当に嬉しそうに
笑ってくれるから
諦めきれないんだよ‥。

⏰:09/11/14 19:57 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#269 [栢]

「橘くんも‥
お変わりないですよ?」

僕に向けられた言葉が
優しく虚しさをかき消す。

「背は‥少し伸びましたけど、」

付け足すように言った言葉に
なんだか暖かくなった。
じわりじわりと
何かがこみ上げてくる

「背‥あぁ、
中学の時は小さかったしね」

⏰:09/11/14 20:01 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#270 [栢]

「高校生あたりから‥ですかね?
ぐんと伸びましたよね」

すごい‥よく知ってるな
思わず緩む口元に必死に力を込めた

「よく知ってるね!(笑)
そこまで話したりしてなかったのに‥」

「えぇ‥まぁ。
それくらいわかりますよ」

話の途中に細い髪を耳にかける
たぶんこれは君の癖。

⏰:09/11/14 20:08 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#271 [栢]

「そっか‥そうだよね(笑)」

奇跡なんかが起きたらいいなと
思ってはいけないのだ。

空一面が淡い紫に染まる
消えてゆく赤をよそ目に
真上では白い星が輝いた。

「日が落ちるの‥早くなりましたね」

腕時計を見つめて
ぽつり君がつぶやいた

⏰:09/11/14 20:11 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#272 [栢]

もう帰らなきゃな‥
送っていくとか言ったら
迷惑なのかな。

「瑞希ちゃん‥
あっちの駅まで一緒に帰らない?」

今日の僕はきっと心に決めたんだ。
もう終わりにしようって

「え‥あ‥、はい!
ありがとうございます」

感謝したいのはこっちのほうなのに
君はいつだってそう言うね。

⏰:09/11/14 20:20 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#273 [栢]

人気の少ない無人駅。
あたりの稲穂が風に揺れて
寂しげに奏でてた。

地元同じでよかった‥ほんと。
同じ時間を刻むことに
ほんの些細なことに
君といると幸せを感じるんだ。

古びた小さな電車に乗って
穏やかに揺られて

「こうして一緒に帰るのは、
よく考えると初めてですね」

不器用に開いた2人の空間が
僕らの距離を表した

⏰:09/11/14 20:25 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#274 [栢]

「大学入ってから一回も
駅で会ったことないもんね」

電車の音など気にならない
向かいの窓に映る君しか見れない

「なんだか不思議な気がします」

またクスリと笑う君を
窓越しに見つめた。

いつの間にかアナウンスが
僕らの別れを告げた。

⏰:09/11/14 20:30 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#275 [栢]

地元はやっぱり落ち着く
君と出会ったこの地が好きだ。

「今日はありがとうございました。」

改札を出て振り向いた君を
このまま連れ去りたかった。

「いえいえ‥こちらこそ」

僕らの声しか見当たらない
静かな夜に
ほんのり駅の光が差し込む

⏰:09/11/14 20:34 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#276 [栢]

「あのさ、瑞希ちゃん
今日は‥伝えたいことが‥」

僕の言葉に被せるように
君が僕の名前を呼んだ。

「あの‥私、明日からもう‥
大学通えないんです。」


チカチカと消えかかる光から
小さな虫たちが去っていく

虚しくすぎる電車の音に
耳を塞ぎたくなった。

⏰:09/11/14 20:38 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#277 [栢]

「それって‥」

「アメリカに引っ越すんです。
父の仕事の関係で‥
とても急な話で、私も驚きました。
最近、大学を休んでいたのは‥
そういうわけで、」

だんだんと小さくなる声を
拾うように目を閉じた。

振られた気がした。
もう会えなくなる‥。
君の笑った顔も丁寧な言葉遣いも
もうこれっきり

⏰:09/11/14 20:41 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#278 [栢]

「‥そうなんだ‥。そっか‥」

自らに納得させるように
何度も呟いた。
笑顔で見送ろうとしたけど
僕はそんなにできた人間じゃなくて‥

「それで‥、ずっと‥」

君の手に力が入ったのがわかった。

「橘くんを‥もう‥
見ていられないと思うと‥
胸が‥苦しくなりました。」

小さく小さく君が震えるから
泣いた顔なんて見たことなかったから‥

⏰:09/11/14 20:47 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#279 [栢]

言葉が出ない僕をよそに
声を絞り出して‥

「少し‥遅すぎました、
どうせなら‥気付かなければ‥
私‥橘くんが‥好きでした。」

月明かりに照らされた君は
まるで天使のようで
その涙も愛おしく思えるほどに‥

口を不格好に開いて
支えるのがやっとなほどに
体の力が抜けていった。

⏰:09/11/14 20:51 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#280 [栢]

「瑞希‥ちゃん‥、
それ‥本当‥?」

冷静そうなその声に
君は大きく頷いた。

「‥先に言わせてよ‥。
瑞希ちゃんが、好きだよ
‥もう、夢でもいい‥。」

ぎゅっと小さな体を抱きしめた
温もりをかんじた。

たった一時の夢でも
僕は君に近づけた。

⏰:09/11/14 20:57 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#281 [栢]

いつもは大人びた君も
ぐしゃぐしゃに泣いて
子供のように僕に抱きついた。

「知らなかった‥
釣り合わないと思ってたから‥
本当に‥本当に」

「‥私も、
叶わないと思ってました‥」

不安定な声が耳の中をくすぐる

「ありがとう‥大好きだよ」

もう離したくないさ‥
どこにも行かせたくない‥。
君は僕をわがままにさせた

⏰:09/11/14 21:01 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#282 [栢]

たった一時の幸せに
浸ることなんて嫌いだった。
あとに残る虚しさに
僕は勝てるほど強くなかったから

だけど今は、君だけは‥
僕を一番強くした。


「ずっと‥ずっと見てました。」

涙を拭いて恥ずかしそうに顔をあげて
こんなに小さかったんだ‥
初めてこんなに近づけた。

⏰:09/11/14 21:05 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#283 [栢]

「ずっと‥って、
高校の時から‥?」

「ええ‥その前から、」

目を細めて僕を真っ直ぐに見つめた
長い睫が涙に濡れていた。

「前って‥中学?」

「もちろんです‥。
姿を見れるだけで、幸せでした」

はっきりと言ったその声に
僕は顔を赤く染めた。

⏰:09/11/14 21:10 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#284 [栢]

「もっと‥
早く言えばよかったね、
そしたらもっと‥。」

君の傍にいれたのに‥

「気持ちが伝われば
私はそれで、十分でしたから‥
今こうしていられるだけで‥」

僕は優しく口付けた。
君の温もりが伝わる。

時が止まればいいと願ったのは
これが初めてだった‥。

⏰:09/11/14 21:13 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#285 [栢]

>>258-284

純愛一途物語(´・ω・`)笑

最初は切なく終わるつもりでしたが
書いてるうちに
この2人には結ばれて欲しい!
と思いましてくっつけました←

終わりかた微妙ですが
感想などいただけたら
うれしいです^^

⏰:09/11/14 21:17 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#286 [み]
毎回楽しみにしています感動とドキドキがあって、更新が待ち遠しいです
これからも頑張って下さい

⏰:09/11/14 21:53 📱:SH903i 🆔:wubq7iT2


#287 [栢]

 ◎ みさん

 ありがとうございます(;_;)
 とても励みになります ^^*

 気分屋なので不定期更新ですが
 これからもよろしくです♭

⏰:09/11/14 22:26 📱:D905i 🆔:lSHpUp5E


#288 []


アンカー
--------*
大好きです
>>1-100
>>101-200

⏰:09/11/20 20:05 📱:SH904i 🆔:R8NxYGoA


#289 []

>>201-300

⏰:09/11/21 09:30 📱:SH904i 🆔:B74zbu2g


#290 [栢]

さん

安価ありがとです ^^*

お礼と言ってはなんですが
リクエストなどありましたら
お受けいたします ◎

大まかな設定や
こんな感じの話がいいとか
登場人物の名前など
こちらに書いていただけたら
うれしいです\(^O^)/

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4584/

⏰:09/11/24 17:12 📱:D905i 🆔:6NafA9lE


#291 [栢]

>>257
>>258-285
まとめ

⏰:09/11/24 17:22 📱:D905i 🆔:6NafA9lE


#292 [栢]
 
 先輩のポケットに私の宇宙

_

⏰:09/11/24 17:43 📱:D905i 🆔:6NafA9lE


#293 [栢]

小さな頃から
私は"宇宙"に憧れた。

真っ暗な空間に
きらきらとした渦や
赤かったり青かったり
輪っかがついてたり‥
数え切れないほどの惑星

何度本を読んだって
何度写真集を見たって
すべてを知れない

そのもどかしさが
私を虜にしていたんだ

⏰:09/11/24 17:47 📱:D905i 🆔:6NafA9lE


#294 [栢]

暇な日はもっぱら宇宙の本。

いつの日か飽きがくるだろうと
暖かく見守ってた両親も
今ではあきれ顔。

何かひとつ
新しいことを知るたびに
わくわくした。

そして今日も
わくわくを求めて
"宇宙"を求めて
地元の図書館に向かう

⏰:09/11/24 17:51 📱:D905i 🆔:6NafA9lE


#295 [栢]

もうきっとすべて読み尽くした。
司書さんにも顔を覚えられた。

いつも休日はここへ来て
窓際のいすに座る

そしてひたすらに
日が暮れるまで"宇宙"に触れる


見た目は
少し田舎じみているが
普通の女子高生なはずだ

⏰:09/11/24 17:55 📱:D905i 🆔:6NafA9lE


#296 [栢]

「‥紗代ちゃん。」

司書の中村さんが
小声で私を呼んだ。

不思議そうに近寄る私に
にこにこしながらこう言った


「屋上に‥いってごらんなさい
きっとあなたをわくわくさせる
素敵なものがあるわ」

やりなれたように
片目を瞑ってウィンクすると
中村さんはせかすように
私の背中をぐいと押した。

⏰:09/11/24 18:00 📱:D905i 🆔:6NafA9lE


#297 [栢]

屋上‥?

検討もつかなかった
屋上から宇宙でも見えるのかな
‥それはさすがに有り得ない
じゃあ‥なんだろう。

非常階段を駆け上り
期待を胸に
勢いよく扉を開けた。

⏰:09/11/24 18:02 📱:D905i 🆔:6NafA9lE


#298 [栢]

すぅっと
心地よい風が髪を撫でる

そこには
期待するものは何もなかった。

「中村さん‥意味わかんない」

小言を言いながらも
青い空に目をこらす。


「今日は‥星がよく見えますよ」

ふと目をやると
すらっとした少し華奢な男が
同じように空を眺めてた。

⏰:09/11/24 18:06 📱:D905i 🆔:6NafA9lE


#299 [栢]

「紗代ちゃん‥でしたか?」

爽やかに笑われた。
少しばかり見とれた。

透き通るような白い肌に
真っ黒な縁の眼鏡
柔らかい声とは対照的な鋭い目

「中村にはめられたのでしょう」
少し参ったようにくすりと笑った

余裕ありげな言葉遣いが
気に入らなかった。

⏰:09/11/24 18:11 📱:D905i 🆔:6NafA9lE


#300 [栢]

「‥誰?」

目を細めて警戒心を剥き出しにした。

「さぁ‥誰でしょうね」

からかわれてる。
面倒な人が少しばかり
いや‥大嫌いだった。

「何それ。バカにしないでよ」

あたしのこの威嚇もさらりと交わされる
一気に現る苦手意識。

⏰:10/01/08 17:34 📱:D905i 🆔:TVGSibQw


#301 [栢]

そいつはあたしに目もくれず
ずっと空を眺めてた。

憎らしいのに
その美しさに見とれてしまうほど
透き通った肌‥
少し悩ましげな瞳

なんでだろう‥そいつは知りたくさせる
あたしの好奇心を掻き立てる。

⏰:10/01/08 17:38 📱:D905i 🆔:TVGSibQw


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