記憶を売る本屋さん
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#451 [我輩は匿名である]
「どうしてあの女をかばった?どうしてあいつを置いて死んだんだ!?
お前が余計な事をしなければ、今日子も子どもも死ななくて済んだのに!
すがる人がお前しかいないような奴が、お前無しに平気で生きれるとでも思ったのか!?」
「もういい!!」
直人は振り切るように叫んだ。
本を机に置いて、直人はひったくるように鞄を持って部屋を出る。
:10/04/09 18:49
:N08A3
:D1zW908U
#452 [我輩は匿名である]
薫の母に挨拶もせずに、スニーカーの踵を踏みながら、急いで家を出た。
薫が恨んでいる人間は、俺かもしれない。
そう思うと、無意識に足が動いた。
走って家に帰り、自分の部屋に閉じこもる。
何が正しかったのか、どうすれば良かったのか…。
死んだのは自分ではないのに、直人は1人、座り込んで泣いた。
:10/04/09 18:49
:N08A3
:D1zW908U
#453 [我輩は匿名である]
「…どうしたの?」
直人の後に見舞いにやってきた響子は、薫に尋ねる。
かなり不機嫌そうな顔をしていたため、気になったのだろう。
「…なんか、疲れた…」
薫は頭を抱える。
「…俺は…おかしいのかな…?」
「…何悩んでるの」
響子はベッドの傍に座りなおす。
:10/04/09 20:05
:N08A3
:D1zW908U
#454 [我輩は匿名である]
「…もう、あいつを恨む理由はない。
でも…忘れようと思えば思うほど、逆に許せなくなってくる…」
薫は大きく息を吐く。
「…仕方ないよ。薫があの子を恨むのは当然の事だと思う」
響子は薫にそう声をかけるが、薫の表情は変わらない。
「…もう、過去に縛られるのはやめたいって思った」
薫はうつむき、手で頭を抱えたまま言う。
:10/04/09 20:05
:N08A3
:D1zW908U
#455 [我輩は匿名である]
「響子もまた俺の傍にいてくれてる。それに…俺はもう霜月優也じゃない。
だからもう、どうでもいいって…。
そう思おうとしても、なかなか出来なくて…」
「…薫さぁ、鬱になりやすいタイプだよね」
響子はふと、そんな事を薫に言った。
薫は「え?」と顔を上げる。
「考え方なんて、すぐ変われるわけないじゃない。
そんな事で悩んでると、ハゲるよ?」
「…ハゲる…?」
薫はショックを受け、うなだれる。
:10/04/09 20:05
:N08A3
:D1zW908U
#456 [我輩は匿名である]
響子は笑って、薫の隣に座った。
「家族殺されたようなもんなんだから、すぐに許せるわけないじゃない。
私が薫でも、絶対許せないと思う。
お腹の子まで亡くなったんだから、私だってまだ完全には許せてないよ?」
「…そんな感じには見えないけど」
「そう見えないようにしてるのよ。
そしたら、そのうち自分の中でも見えないようになるだろうから」
「…前向きだな、お前は」
薫は笑う。少し羨ましそうに。
:10/04/09 20:06
:N08A3
:D1zW908U
#457 [我輩は匿名である]
「薫が考えすぎるだけだよ。いつからそんな性格になったの?」
「さぁ?生まれつきじゃないか?」
薫はそう言って、そっと響子の肩を抱いた。
響子も何も言わず、薫の身体の右側にもたれかかる。
「…俺、お前いないといつか鬱になりそう」
「じゃあずっと一緒にいるわ。ハゲられても困るし」
「はっ、そうだな」
薫はやっと、いつもの笑顔を浮かべる。
:10/04/09 20:06
:N08A3
:D1zW908U
#458 [我輩は匿名である]
「…死ぬまで一緒にいて」
「“死んでも”の間違いでしょ」
「ああ、そうだった」
薫の笑顔に、響子もホッとしたように笑い返した。
:10/04/09 20:07
:N08A3
:D1zW908U
#459 [(´_ゝ`)]
きゃーー!
面白い(*´ω`*)
:10/04/09 21:54
:T003
:ih/7SJ/2
#460 [ま]
早く!続き!(笑)
小説家なれるぜ(o^−^o)
:10/04/09 23:28
:P04A
:DTnIV34Y
#461 [那加。]
:10/04/10 07:53
:SH706ie
:/Mu/A5SA
#462 [我輩は匿名である]
>>459さん
ありがとうございますっ


面白いって言っていただけてかなり嬉しいです(*´∇`)
>>460さん
ちょっと待って

笑
これぐらいでは無理ですよー
>>461さん
コメントありがとうございます


楽しんでいただけて嬉しいです


これからもよろしくです


:10/04/10 09:28
:N08A3
:4t4VPhl2
#463 [我輩は匿名である]
「…直人…」
誰かが直人を呼ぶ。
が、いつの間にか周りは真っ暗だ。
声も、母親の声ではない。
「誰だ…?」
「のんきに泣いてる場合じゃないよ…。
早く晶ちゃんを見つけて…。
あのままじゃあの子は…また同じ事を繰り返す…」
「…お前…もしかして…」
:10/04/10 09:36
:N08A3
:4t4VPhl2
#464 [我輩は匿名である]
「直人…もう君にしかあの子を助けられない…。
早く…晶ちゃんを…」
直人はハッと目を覚ます。
:10/04/10 09:37
:N08A3
:4t4VPhl2
#465 [我輩は匿名である]
部屋を見回すが、誰もいない。
泣いているうちに、いつの間にか眠っていたらしく、窓の外がもう明るい。
「…要…?」
直人は呟く。
「晶ちゃん」と呼ぶのは、要だけだ。間違いない。
「(今の…夢か…。
…そうだよな…泣くなんて、俺らしくないよな)」
要の声に背中を押されて、直人はベッドの上に座り、考える。
「直人ー!学校はー!?」
ドアの外から、今度こそ母親の声がする。
:10/04/10 09:38
:N08A3
:4t4VPhl2
#466 [我輩は匿名である]
時計は朝の8時半を回っている。
「今日は休むー!」
直人は理由もなくそう返事をした。
変だと思われても構わない。それどころじゃない気がした。
「(…『同じ事を繰り返す』って…晶の生まれ変わりがいるのか?
しかも……また死ぬ気でいるのか…?
…何のために助けたと思ってんだよ…あいつ……)」
直人はため息をつき、あの日、晶が言っていた事を思い出す。
:10/04/10 09:39
:N08A3
:4t4VPhl2
#467 [我輩は匿名である]
「(『もう誰も信じない』…って事は、俺が…要が女を連れてたから怒った…。
でも、俺が死んだから後を追った…。
あー、わかんねぇなぁ…)」
直人は頭をわしゃわしゃと掻き乱す。
そもそも、晶がなぜ自殺したのかがよくわからない。
要に愛想を尽かしたのに、要が死んだからショックで死んだ。
直人にはこれが理解できないらしい。
仕方がないので、最初から順を追って考える。
:10/04/10 09:39
:N08A3
:4t4VPhl2
#468 [我輩は匿名である]
「(晶は要しか心を許せる友達がいなかった。
「私には要くんがいてくれるだけでいい」とまで言っていた。
しかし、要が女性と歩いてるのを目撃した。…道案内しただけだけど。
それで『裏切られた』と勘違いした。
で、「もう誰も信じない」と言った。
でも自分をかばった要が死んだ。
……頼れる人が本当にいなくなっちまった、とか思ったのか?
だから、自暴自棄になったのか?
って事は、俺が死んだのがいけないのか…?)」
直人は腕を組んで考え込む。
:10/04/10 09:40
:N08A3
:4t4VPhl2
#469 [我輩は匿名である]
「(でも喧嘩しなければ、俺も死なないで済んだだろ…)」
という事は、勘違いされたのがダメだったのか。
「『もう誰も信じない』…信じない…信じ“られ”なくなった…?
誰も信じられない……誰も……。
ん?誰かがどっかで同じ事…」
言っていた。
直人は両手で頭を抱え、「あー」とうなり声を上げる。
:10/04/10 09:40
:N08A3
:4t4VPhl2
#470 [我輩は匿名である]
薫?いや、薫は誰かを信じなくなった事はない。
響子?彼女は寧ろ本気で(薫を)信じ続ける方だ。
奏子?…あいつは自殺とかする性格じゃないだろ。
怜奈?…あいつは死んでくれても別に構わない。
「…全員違う…としたら…?」
直人は首が痛くなるほど両方に振りまくる。
『あんた、人間不信になった事ない?』
ふと、誰かがそう言った時の事を思い出す。
:10/04/10 09:41
:N08A3
:4t4VPhl2
#471 [我輩は匿名である]
「…!」
直人はハッと顔を上げる。
「…金髪女…?」
そうだ。この間会った時、やつれた顔でそう言っていた。
『誰とも話したくない』と。
直人はとっさに、机から本を取って開く。
「(あれはいつだった…?結構最近だったはず…。
最後に会ったのは、病院に見舞いに行って、薫に追い返された日…)」
直人は考えながら、今度はカレンダーに目を向ける。
:10/04/10 09:42
:N08A3
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#472 [我輩は匿名である]
「(あいつらが階段から落ちたのは、この間の金曜日…。
その次の日だから…5月17日…!)」
直人はそれに近い日にちのページを見る。
事の始まりは、5月5日だ。
この日に要が女性を道案内し、晶が勘違いして怒った。
「(…待てよ…あいつ、この次の日、休みじゃなかったか…?)」
最近飛鳥はよく学校を休んでいるため、はっきりは覚えていない。
しかし、それが確か始まったのが、この日らへんだった気がする。
:10/04/10 09:42
:N08A3
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#473 [我輩は匿名である]
「(もしあいつが、薫たちみたいに自分と前世を重ね合わせていたとしたら…)」
直人は本を見ながら、再び頭を抱え直す。
目を閉じ、今までの会話を思い起こす。
「(…あいつには友達がいない…。いつも1人…。
『なんで他の人と接するのが苦手か、その理由を知りたい』…。
なんかそんな事言ってたよな…。だから本を読んでた…。
『死にたくなったら死ねばいい』…そんな事も…)」
言っていた。『そんなの人の勝手』とも。
直人の表情が曇る。
:10/04/10 09:42
:N08A3
:4t4VPhl2
#474 [我輩は匿名である]
「(…次は…階段で喋った日だ…。
あの時は……そうだ、家にいても楽しくないって話だ。
『誰も私を見てくれない』…。でも俺とはなぜかシカトせずに喋る…)」
頭を抱える手に、自然と力が入る。
「(…晶も最初、家出っぽい感じだったな…。
『帰りたくないから、ここにいる。誰も心配してない』…。
一緒じゃねぇかよ…何もかも…!)」
直人はなぜか悔しくなって、大きくため息をつく。
:10/04/10 09:43
:N08A3
:4t4VPhl2
#475 [我輩は匿名である]
これならきっと、飛鳥は晶に自分を重ね、のめり込んでいったと、十分考えられる。
だから、要と晶が会わなくなった頃から、飛鳥は休みがちになったのかもしれない。
精神的に不安定になるのも、無理はない。
2人が仲が良かった頃は、怜奈に目を付けられた薫を気遣う余裕もあった。
しかし、5月5日以降、ずっと元気がなかった。
『人間不信になった』といい話も、要に裏切られたと思っていたと考えれば、全て辻褄が合う。
「(…やっぱりそうだ…。多分、あいつが…神崎が晶だ…!)」
直人はうつむいたまま、両手で顔を覆う。
:10/04/10 09:43
:N08A3
:4t4VPhl2
#476 [我輩は匿名である]
どうして今まで、ここまで深く考えなかったのか。
こうやって考えれば、すぐに飛鳥が晶だと気付けたのに。
直人は後悔した。
しばらく、そのままの体勢でうなだれる。
そして、何かを決意し、本を開いた。
「……あー…こっちの本じゃなかったのか…」
直人は本を閉じてベッドの枕元に放り投げ、代わりに携帯電話を手に取る。
こんな朝から電話するのも悪いと思ったが、それどころではない。
:10/04/10 09:44
:N08A3
:4t4VPhl2
#477 [我輩は匿名である]
「(…薫…出てくれよ…)」
直人は携帯電話を耳に当て、祈るように目を閉じる。
しかし、何度呼び出し音が鳴っても出ない。
「(…晶が死ぬのは…今日か明日か…どっちかだったよな…)」
直人は諦めて電話を切る。
本当に同じ事を繰り返すなら、晶は…飛鳥はきっと、再びビルから飛び降りる。
しかし、それがどのビルだったのかわからない。
しかも今の時代、高い建物はあちこちにある。
:10/04/10 09:44
:N08A3
:4t4VPhl2
#478 [我輩は匿名である]
直人はいてもたってもあられなくなって、部屋を出ようとノブに手を当てる。
が、直人はドアを開ける前に、制服姿の自分を見つめた。
「…制服でうろうろして、警察とかに見つかったりしたらめんどくせぇな…」
直人はぶつぶつ言いながら、タンスを開け、適当に服を出す。
Tシャツに薄い上着を羽織り、ジーンズに履きかえる。
仕上げに、適当に鞄をぶら下げる。
「…これで大丈夫だな」
直人は今度こそ部屋を出て、玄関に向かう。
:10/04/10 09:45
:N08A3
:4t4VPhl2
#479 [我輩は匿名である]
「あっ、ちょっと直人!どこ行くのよ!?学校は!?」
家を出ようと思ったら、玄関先で母親に捕まった。
直人はどうしようかと目を泳がせる。
「ちょ、ちょっと熱っぽいから、病院行って来る」
驚く事に、口が勝手に動いた。
「あら、大丈夫?」
「あ、あぁ、まぁ、一応行っとこうと思って。じゃ」
直人はそう言って、そそくさと家を出た。
靴をちゃんと履きながら、直人はホッと一息つく。
:10/04/10 09:46
:N08A3
:4t4VPhl2
#480 [我輩は匿名である]
行くあてはない。どこに行けばいいのか、見当もつかない。
この広い町の中で捜し回ると考えると、早くも気が引けてくる。
「…とりあえず、ビルが多いとこでも行ってみるか。あいつも学校なんか行ってないだろうし」
直人は立ち上がり、走りだした。
直人の考えは当たっていた。
:10/04/10 09:46
:N08A3
:4t4VPhl2
#481 [我輩は匿名である]
飛鳥はジャージ姿のまま、フラフラと歩いている。
彼女も行くあてはなかった。
「…どうしようかな…」
暗い小さな声で呟く。
「飛び降りは…ダメだよな…。また誰かにぶつかったら…」
飛鳥はそう言いながら、ゆっくりと足を進める。
ポケットの中に、カッターナイフを隠して…。
:10/04/10 09:47
:N08A3
:4t4VPhl2
#482 [我輩は匿名である]
うあああぁあぁぁぁあ
:10/04/10 12:39
:SH904i
:AO.1JJ2w
#483 [我輩は匿名である]
:10/04/10 13:58
:N08A3
:4t4VPhl2
#484 [(´_ゝ`)]
すごい!
尊敬します(´・ω・`)
:10/04/10 14:28
:T003
:rXLHAmgI
#485 [我輩は匿名である]
>>484さん
そんなそんなっ


ありがとうございます(o>ω<o)
:10/04/10 18:21
:N08A3
:4t4VPhl2
#486 [我輩は匿名である]
「はぁ…はぁ…」
直人は息を切らして足を止める。
住宅街を抜け、駅前の賑やかな場所にやってきた。
ここなら、ビルもマンションもたくさんある。
「…全部見て回れってか…?」
直人が早くも疲れてため息をついた時、携帯電話が鳴った。
見ると、薫から電話がかかってきている。
「薫!?」
直人は慌てて電話に出る。
:10/04/10 18:22
:N08A3
:4t4VPhl2
#487 [我輩は匿名である]
「…電話した?」
薫の眠そうな声が返ってくる。
「てかお前…学校は…?」
「休んだ!」
「…そんなはっきり…」
「それより、お前に聞きたい事があんだよ!」
直人は無理矢理話を進める。
「何…?」
「お前の嫁が死んだの、どこのビルだ!?」
直人の切羽詰まった様子を感じ取ったのか、薫の声が変わる。
:10/04/10 18:22
:N08A3
:4t4VPhl2
#488 [我輩は匿名である]
「近くの駅前の、吉川ビルだったけど…」
「吉川ビル…」
直人は辺りを見回す。
「でも、もうないぞ」
薫はそう補足した。
「何で?」
「知らねぇけど、俺が半年前行ったときは、もう空き地になってた」
「マジかよ…」
無駄足だったのか。直人は息を吐きながらしゃがみこむ。
:10/04/10 18:23
:N08A3
:4t4VPhl2
#489 [我輩は匿名である]
「…それがどうかしたのか?」
薫にそう聞かれて、直人は少し口を閉じる。
言うべきか、言わないべきか、考える。
「…晶が…」
しばらく考えて、直人は話す事を決めた。
「晶が、また死ぬかもしれないんだ」
「…は?」
「晶も、俺たちみたいに生まれ変わってたんだよ。
おまけに本も持ってる」
直人は断言する。
:10/04/10 18:23
:N08A3
:4t4VPhl2
#490 [我輩は匿名である]
今度は薫が黙り込んだ。
「俺達のクラスに、神崎っていう金髪女がいるだろ?
多分、あいつが晶だ」
「…本当か?」
「多分、だ」
直人はそう繰り返す。
「薫、香月か安斎のアドレス知ってるか?」
「響子は知ってる」
「じゃあ、香月に聞いてみてくれないか?今日神崎が学校にいるかどうか」
「…わかった。後でメールする」
薫はそう言って、電話を切った。
:10/04/10 18:23
:N08A3
:4t4VPhl2
#491 [我輩は匿名である]
「くそ…どこ行けばいいんだよ…!?」
直人は立ち上がり、汗を拭う。
携帯電話の時計は、9時40分を指している。
家の中で考えすぎたかもしれない。
「早く見つけないと…」
直人はとりあえず、周辺をうろうろする。
:10/04/10 18:24
:N08A3
:4t4VPhl2
#492 [ま]
がんばれ直人(´・ω・`)
:10/04/10 20:52
:P04A
:/O00ahZg
#493 [我輩は匿名である]
ちょうど休み時間になり、響子は、ポケットで携帯電話のバイブが鳴っているのに気付いた。
『おはよう。
悪いんだけど、8組に神崎飛鳥っていう金髪の女が来てるか見てくれないか?
直人からのお願い(>人<)』
「…神崎飛鳥…?」
響子は誰だろう、と首をかしげ、教室を出る。
「(直人から…って事は、水無月君も休みかな…?)」
早歩きで8組まで行き、顔をのぞかせる。
:10/04/10 21:55
:N08A3
:4t4VPhl2
#494 [我輩は匿名である]
「ねぇねぇ」
ドアの傍にいた男子に声をかける。
「今日、神崎っていう金髪の子、来てる?」
「神崎?来てないよ」
男子の1人が答える。
「最近ずっと休みだよなぁ」
「そう。今週1日も来てないし。無断欠席みたいだぞ」
男子達はいろいろ教えてくれた。
響子は「ありがとう」と笑って、屋上へと足をすすめる。
:10/04/10 21:55
:N08A3
:4t4VPhl2
#495 [我輩は匿名である]
自分たちが落ちたあの階段の踊り場で、響子は薫に電話をかける。
「あっ、薫?」
「ごめんな、いきなり。どうだった?」
「休みだって。今週はずっと無断欠席って男子が教えてくれたよ」
「今日は水曜日だから、3日間か」
「…その子がどうかしたの?」
響子は壁にもたれる。
:10/04/10 21:56
:N08A3
:4t4VPhl2
#496 [我輩は匿名である]
「その女が、石川晶かもしれないらしい」
「石川晶?あぁ、落ちてきた子?」
「そう、落ちてきた子」
薫の声が若干呆れている。
「そいつが、また自殺するかもしれないらしい」
「…何それ」
響子は首をかしげる。
「わからない。直人がそう言ってる」
薫もわからなそうに返事をする。
:10/04/10 21:56
:N08A3
:4t4VPhl2
#497 [我輩は匿名である]
「でも…あの子、飛び降りはもうしないと思うよ」
響子はそれだけ、はっきりと言った。
「何で?」
「落ちてくるとき、目が合ったのよ、あの子と」
響子は言う。
「目が合って、一瞬ハッとしてた。『しまった』とか思ったんじゃない?
勝手に私が考えてるだけだけど、飛び降りはもう出来ないと思う。普通なら、ね」
「…そうか。わかった、ありがとう。じゃあまたな」
薫はそう言って、電話を切った。
響子も携帯電話をポケットにしまい、教室に戻っていった。
:10/04/10 21:57
:N08A3
:4t4VPhl2
#498 [我輩は匿名である]
その頃、直人はハンバーガー店の前で悩んでいた。
今日は朝ご飯を食べていない。そのため、腹が減ってきたらしい。
「…どーしようかなぁ…」
悩んでいると、薫が電話をかけてきた。
「お待たせ」
「あぁ…どうだった…?」
直人はぐったりしたまま尋ねる。
:10/04/10 21:57
:N08A3
:4t4VPhl2
#499 [我輩は匿名である]
「どうかしたのか?声が死んでるぞ」
「腹減った…」
「はぁ?朝ご飯食べてないのか?」
「朝から何も食ってない…」
「何か食えよ…」
薫は呆れている。
「でも、のんきになんか食ってる場合じゃねーだろ…?」
「あいつはもう、飛び降りはしない」
薫の言葉に、直人は「え?」と姿勢を正す。
:10/04/10 21:58
:N08A3
:4t4VPhl2
#500 [我輩は匿名である]
「何でわかったんだよ?」
「響子が言ってた。あいつが落ちてきた時に目が合ったって。
その時に、『しまった』って感じでハッとしてたらしい。
今日子を下敷きにしたのをわかってるなら、普通なら怖くて出来ないんじゃないか。
あくまで響子の考えだけどな」
「…そっか…」
直人は何だかホッとした。
:10/04/10 21:58
:N08A3
:4t4VPhl2
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