浮 き 世 の 諸 事 情 。
最新 最初 🆕
#201 []
 
「あたしと壱助さんの‥
関係って‥何なんでしょう?」


どんな答えが返ってきても
怖じ気付いてはいけない

呼吸をやめた
取り込んだ空気を
体いっぱいに溜めたまま
その返事を待つ

⏰:10/05/27 21:28 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#202 []
 
少しの間だったはず
それなのに長く長く感じて
周りの音が止まった


「主従関係‥」


そう呟いた声は部屋中に響く
ぼやっとした灰色が中を漂って

⏰:10/05/27 21:29 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#203 []
 
だけど何故か納得してて
体がそれを拒否しなかった


"あぁ"と声を漏らし
一度だけ頷いた

⏰:10/05/27 21:29 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#204 []
 



「と、歯止めをかけてたんですが」


奇跡と言うものは

この世にあるのだろうか

⏰:10/05/27 21:30 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#205 []
 
「それじゃあどうも‥」


あるとしたら、それは‥



「物足りないもんで、ね」


今この時を言うのだろうか

⏰:10/05/27 21:30 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#206 []
 



「香夜さん‥
お慕い申し上げておりました。」


_

⏰:10/05/27 21:31 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#207 []
 
「お慕い‥お‥え何‥?何て?」

「貴女と言う人は‥
本当に、聞き分けがない」

「いやだって‥
だって‥お慕いって‥」

奇跡と言うものは‥

⏰:10/05/27 21:31 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#208 []
 


「いけない子‥ですね」


どうやら、あるようです。


_

⏰:10/05/27 21:32 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#209 []
 

「んん‥」


柔らかく上げられた前髪
二度目の唇は優しく包み込んで


高鳴る鼓動をそのままに
溶け合って、尚‥。

⏰:10/05/27 21:32 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#210 []
第四三章 【打ち明けて、赤い糸】
>>189-209
*。*。*。*。*
ついにきた !!←
ついにくっつきました。
あー長かった(´^ω^`)w

このまま最終話にしようかと
実は考えてましたが
普通すぎるので止めました ^q^
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/05/27 21:37 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#211 []
【本編アンカー/35〜】
>>2-19
>>21-33
>>36-63
>>66-81
>>88-100
>>103-125
>>153-165
>>167-182
>>189-209

⏰:10/05/27 21:38 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#212 [笹]
【番外編】
>>84-86
>>128-150

【補足】
>>185-188

⏰:10/05/27 21:39 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#213 []



あんな感じで
甘ったるい時間を過ごしたのも
夢なんじゃなかろうか


彼は相変わらず
"主従関係"に手を染める

⏰:10/06/01 21:05 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#214 []
 
「恋仲なのか主従関係なのか
これじゃあ‥
今までと変わらないじゃない」


口々にそうつぶやき
漏れる言葉は不満ばかりだったが
内心晴れやかで
そんなことはどうでもよかった

⏰:10/06/01 21:06 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#215 []
 
「呉服屋さんはーっと‥」

茶屋の右隣、金物屋の前
辺りを見渡して何度も確認する


「あ、ここかな」

入り口の前で立ち止まり
中を覗き込む
様子を確認して一歩踏み出した

⏰:10/06/01 21:07 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#216 []
 
『浴衣を頼んでおきましたので』

此方に少し視線をずらし
"取ってこい"とそれが訴える

言動に無駄のない様は
壱助さん独特だ


「浴衣かぁ‥。」

⏰:10/06/01 21:07 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#217 []
 
自分の浴衣がどうこうよりも
真っ先に頭に浮かんだのは
彼が緩く着崩している姿

思わず頬が緩む
もう恋仲なんだし
これくらいの事を
想像するのは許されるはず


「すみませーん
頼んでた浴衣、取りにきましたぁ」

⏰:10/06/01 21:07 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#218 []
 
初めて壱助さんに
呉服屋に連れて行かれた時
怪しげなおばあさんに
胸鷲掴みにされたっけ。

そんなことはもう
とうの昔のように思えた


「はぁーい」

パタパタと出てきたのは
綺麗な娘さんだった

⏰:10/06/01 21:08 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#219 []
 
「浴衣‥」

「浴衣って‥貴女の?」

「あぁ、えっと‥
壱助さんが頼んだ‥」

そう言い終わる前に
彼女はぐいっと迫ってきて
思わず仰け反ってしまった

⏰:10/06/01 21:08 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#220 []
 
「今壱助さん、て言った?」

「はぁ‥まぁ」

その形相は素晴らしく恐ろしい


壱助さん‥
あんたは何をやらかしたんだ

⏰:10/06/01 21:09 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#221 []
 
「あんたが代わり?
壱助さんは何処?いないの?」

息つく暇もなく
答える暇もなく
ぶつけられた質問から伺える


‥あの色男め。

⏰:10/06/01 21:09 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#222 []



『壱助さんの代わりです』
とはっきりそう言えば

狂ったように可笑しな声を上げ
胸倉を掴まれた


「どうしてあんたなのよ!!
今日を楽しみに
あたい、ずっと待ってたんだよう」

⏰:10/06/01 21:10 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#223 []
 
「あ‥あたしも別に
来たくて来た訳じゃ‥」

「つべこべ言わずに
壱助さんを出しなさいぃい!!」


出せと言われたって
当の本人は只今休憩中

大好きなお茶を啜って
さえずる小鳥にでも
目を細めて見入ってるのだろう

⏰:10/06/01 21:10 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#224 []
 
何て呑気な人なんだ‥。


もしやこれは作戦か?
この娘さんが厄介だから
あたしに事を済まさせようと?


「あの‥じゃあとりあえず浴衣!!
浴衣預かって宿戻って
また壱助さん連れてきますから!」

⏰:10/06/01 21:11 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#225 []
 
「浴衣だけ持って
逃げようってんじゃない?
彼を連れてきたら渡すわ」


交換条件ですか‥
承りましたー。


浴衣を緩く着崩している
壱助さんの姿が遠ざかる

色男も大変なんだなぁ‥

⏰:10/06/01 21:11 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#226 []



「回れ右」

「へ?」

襖を開けた瞬間吐き捨てられた
固まる体、間の抜けた声

「浴衣を取ってこいと
‥頼んだんですが、ね」

⏰:10/06/01 21:11 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#227 []
 
後ろを向いてるのに何故わかる‥
おそろしや、おそろしや


「だって呉服屋の娘さんが
壱助さん連れてこなきゃ浴衣‥」

「全く‥貴女と言う人は
"人並み以下"でありながら
更に無能‥と来ました、か」

"やれやれ"とため息をつかれ
つまらなそうな顔をしている

⏰:10/06/01 21:12 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#228 []
 
「な‥っ恋人に無能って‥
なら言わせてもらいますけど!!
恋人いるくせに
他の女性に色気振りまくのも
どうかと思 い ま す が !!」


こんなのは当てつけだ
しかし悔しいのが本音
自然と恋人となれば
独占欲も生まれてしまう

⏰:10/06/01 21:12 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#229 []
 
ただでさえ
あたしなんかとは本来
月とすっぽんのような差なのだ


「まぁ、まぁ
それは故意ではありませんぜ
"個性"の1つ‥ですよ」

にっこりヤらしい笑みを浮かべ
湯飲みを置いて横になった

⏰:10/06/01 21:12 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#230 []
 
「ちょ‥壱助さん!!
浴衣、これじゃあ‥」

だからと言って
またあたしだけで行ったら
絞め殺されるに違いない


無理矢理体を揺すっても
人形のようにぴくりともせず
手で"早く行け"と合図をするのみ

⏰:10/06/01 21:13 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#231 []
 
負けじと激しく揺すれば
あの鬼畜な唇は
"無能"と呟きやがった


恋人気分を味わう余裕もなく
喧嘩のようで実は
相手にされちゃいないだけで


‥先が思いやられます。

⏰:10/06/01 21:13 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#232 []
第四四章 【温度差、越えて】
>>213-231
*。*。*。*
6月と言うことで衣替え!!
浴衣ネタわっしょい。

やっとくっついたので
書きやすくなりましたw
温度差は相変わらず ^q^
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/06/01 21:16 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#233 []
【本編アンカー/35〜】
>>2-19
>>21-33
>>36-63
>>66-81
>>88-100
>>103-125
>>153-165
>>167-182
>>189-209
>>213-231

⏰:10/06/01 21:18 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#234 []
【番外編】
>>84-86
>>128-150

【補足】
>>185-188

⏰:10/06/01 21:18 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#235 [笹]
あげわすれ(´・ω・`)

⏰:10/06/01 21:21 📱:D905i 🆔:yJ1SMPPQ


#236 []



わーっと叫んでも
うーっと唸っても
それはただの体力の無駄遣い

この男‥実は頑固なのか?
ちっくしょう

湧き上がる苛立ち
自然と脳内再生される自らの声は
ぶっきらぼうになる

⏰:10/07/13 23:16 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#237 []
 
「‥もう知りませんからね!!
あたしは悪くないです
なぁんにも!悪くないんですよ!」

応答なし。

「‥あの娘さんに絞められても
知りませんからっ」

応答せよ。

⏰:10/07/13 23:16 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#238 []
 
「あ‥あたしが
どうなってもいいんですか?
きっとあたしあの娘さんに
し‥絞め殺されちゃいますよ!?」

なんと達者な口だろう
恋人に昇格したからって
つけあがるのもどうかと思う

「あんたはそれくらいじゃ‥
死にやぁ、しないでしょう。」

やっと口を利いたかと思えば
いちいち腹が立つ

⏰:10/07/13 23:16 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#239 []
 
きっと全身の毛穴も血管も
開ききってるに違いない
体が熱くてたまらない


「んぅーっ!!
壱助さんのばかぁ!あほぉ!」

横になった背中に
思いっきり訴えて
背を向けて寝転がった

⏰:10/07/13 23:17 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#240 []
 
たまにはこうして反抗して
わからせてやらないと
きっといつまでたっても
本質的主従関係は抜け出せない


いつまでたっても子供扱い
歯が立たないのは分かり切ってる

⏰:10/07/13 23:17 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#241 []



煮えくり返った腸。

あたしは何に怒ってるんだろう
‥なんて今更

少し怒鳴りすぎたかな
ほんとはただのヤキモチ

男として魅力があるのは認める
だって実際かなりの色男

⏰:10/07/13 23:18 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#242 []
 
だけど、他の女の人にも
そういう目で見られてるって
考えたら‥どうしょもなく‥

ものすごい美人な人が
壱助さんに惚れ込んだら
こんな滑稽なあたしには
当然勝ち目がないのだから。


ヤキモチは自信のなさの表れね

⏰:10/07/13 23:18 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#243 []
 

気づけば、もう日が暮れていた
照らす夕日が
何となく虚しくさせた。

胸の奥がぎゅっとする。
取られたくなんかないんだ
どっかに行っちゃいやなんだ
だけど‥素直に言えない

⏰:10/07/13 23:19 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#244 []
 
後ろに在るはずの横になった背中
ちらりと盗み見れば
いつの間にかいつものように
胡座をかいて外を眺めてた


嫌なんだ。
この背中が離れていくのが‥
素っ気なくたって
あたしには貴方が必要、壱助さん

⏰:10/07/13 23:19 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#245 []
 
「壱す‥」

語りかけた背中の隣には
例の物であろう浴衣が
少し乱れて置かれていた。

「‥取りに?」

「流石に此では‥
夏が越せないもんで、ね」

そう言って背中越しに
胸元をぱたぱたさせていた

⏰:10/07/13 23:20 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#246 []
 
「壱助さん‥?」

「事実を述べたまで、なのですが
何と‥強引な‥」

何かをあざ笑うかのように
くすっと息を抜きながら
"いや、いや"と頭を掻く

嫌な予感がした。
まさか"喰らわれた"のでは‥?

⏰:10/07/13 23:20 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#247 []
 
もう居ても立ってもいられずに
膝を擦って彼との距離を縮めた。

夕日の逆光に照らされた横顔は
絵になりそうな程美しく
影に染まったその姿は
すぐさまあたしを虜にした。

⏰:10/07/13 23:20 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#248 []
 
「なぁに‥
喰われちゃいませんぜ?」

余程不安げな顔をしていたのか
此方を覗き込んで微笑んだ。



「‥あ、」

⏰:10/07/13 23:21 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#249 []
 
その瞬間、目に飛び込んで来たは
彼の頬に綺麗な紅葉。

不謹慎だと叱られてもいいや。
可笑しくて、嬉しくて、可愛くて

「浴衣に紅葉じゃあ‥
季節外れじゃないですか?」

思わず吹き出してしまった。
夕日の橙がそれを柔らかく
包み込んでいたのが幸いだろう

⏰:10/07/13 23:22 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#250 []
 
「綺麗な紅葉ーっ!
今年は二人で紅葉狩りにでも‥」

さっきまでの不安もヤキモチも
どこかにやってしまうほど
それは鮮やかだったから。

「馬鹿にして、いるんですかい?」

目を細めて睨みをきかせたって
今はちっとも怖くない

⏰:10/07/13 23:22 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#251 []
 
ねぇ、それって‥

「‥恋人が居るって?」

そう言ってくれたと思うと
思わず頬が緩んでしまうの


「いえ‥妻がいると、ね」

「‥ばーか。良くできました。」

そっと紅葉に手をやれば
まだじんじんと熱を帯びていた

⏰:10/07/13 23:22 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#252 []
 
あぁもう‥愛おしいよ、壱助さん


「子供扱い‥ですかい?」

「たまには、いいでしょ?」

「えぇ‥。香夜さん」

甘えたい盛りなのか、
娘さんの一発が効いたのか
少し寂しそうな顔で
困ったように笑って見せて

⏰:10/07/13 23:23 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#253 []
 
「‥ん?」

黙って此方を見つめて
胡座をかいた膝の上を叩いた。

その中に黙って収まり
身を寄せれば満足そうに笑って

⏰:10/07/13 23:23 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#254 []
 
「褒美を‥頂けませんか、ね」

あの唇は甘えたって艶容だ。
緩く開けられた唇は誘い上手



―‥そっと触れる位のご褒美を

_

⏰:10/07/13 23:24 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#255 []
第四五章 【少年と、紅葉】
>>236-254
*。*。*。*。
かなり遅れました(´;ω;`)
ご無沙汰してますっ笹です!

結局甘いんです←
壱助さんがちょっと可愛い編
香夜ちゃんの敬語が徐々に消えつつあるんだよ編←
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/07/13 23:28 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#256 [笹]
【本編/44まで】
>>233
【45〜】
>>236-254

【番外編】
>>84-86
>>128-150

【補足】
>>185-188

⏰:10/07/13 23:30 📱:D905i 🆔:FnqGJxKs


#257 []



「うわ‥雪だぁ!
壱助さん!雪だよっ雪!」

もう新年を迎えて睦月

次の年になったからといって
何かが変わるわけでもないけど
気持ちの切り替えのいい機会

‥今年の抱負は何にしよう

⏰:11/01/26 13:12 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#258 []
 
「朝から‥騒がしい、ですね」

新年を迎えようが
壱助さんに変化はない
相変わらず冷静沈着です


この世が破滅の危機に直面しても
たぶん彼は変わらないだろう

⏰:11/01/26 13:12 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#259 []
 
「積もるかなー積もるかなー?」


真っ白な雪は
ひらひらと舞う花びらのようで
春を先取りした気分になる

灰色の厚くて遠くまで続く雲が
もう地面にくっつきそうだ

⏰:11/01/26 13:13 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#260 []
 
「雲って不思議ですよねぇ‥
ふわふわしてて綿飴みたいなのに
高い山に登ったって
絶対掴めないんですよ?」

「えぇ」

「それなのに、雨とか雪とか‥
一体どこに隠してるのかなー?」

囲炉裏から離れれば
空気はだんだん冷たくなって
鼻の先の感覚がなくなる

⏰:11/01/26 13:14 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#261 []
 
指先も冷たくて
‥去年のことを思い出す

残念ながら、
いや‥嬉しいことに
今年は囲炉裏の前を陣取る彼は
ぴしっと着物を着用


今年の抱負は、
"脱露出狂"なのかしら‥。

⏰:11/01/26 13:15 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#262 []
 
「そもそも雪って
何で降るんですかねー?
‥雨が凍ったの?
でもそしたら氷にならない?
あんなふわふわしないし‥」


脳を無理やりかき混ぜるように
あっちこっちに意識を飛ばして

無から有を作り出すのは
根本的に不可能だと落胆する

⏰:11/01/26 13:15 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#263 []
 
「餓鬼を喜ばせる為です、よ」

背中でぼそっと呟いた

低くて鋭いくせに、
どこか柔らかいその声は
何を言ったって不快感を与えない

「餓鬼?」

「が き ん ち ょ」

壱助さんの口から放たれた
"ちょ"が妙に新鮮味を帯びて
何だか可笑しかった

⏰:11/01/26 13:17 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#264 []
 
それを聞いてか何か、
色気を放ついつもの背中が
とても愛おしく見えた


「壱助さん、私もう‥」

性格は伴わないかもしれないけど
私も、もう十九だ

そもそも"がきんちょ"なんて
馬鹿にしてるようにしか思えない

⏰:11/01/26 13:18 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#265 []
 
互いに背を向けて暖と冷
囲炉裏でぱちぱち音が鳴る
すきま風がひゅうと鳴る


火の紅と雪の白
紅白めでたい色だけど
この2つは一緒にはなれない
‥神様が決めた定め

この世のことは
先に神様が全部決めている

神様はいいなぁ‥
好き放題できてさ

⏰:11/01/26 13:19 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#266 []
 
「‥香夜さん」

「っ‥何ですか?」


餓鬼じゃないなんて
言ったらたぶん笑われる

いや、壱助さんの場合は
笑いもせず
寝ぼけたことを言うあたしを
押し倒すに決まってるんだ

⏰:11/01/26 13:19 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#267 []
 
とかなんとか言いながらも
今でも、あたしが
生娘であるということは
大切にされてるんだなーと思う


「今年の抱負を
‥お聞かせください。」

背中を向けたままだった

壱助さんの手は
何やら棒みたいなものを握り
何かをかき回してるようだった

⏰:11/01/26 13:20 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#268 []
 
時折硝子に当たる音がする
瓶‥かな?


「抱負‥?えーっと
大人な女性になりたいです!」

「大人‥ほぉう」

尚もかき回す
その腕を上げたり下げたり
様子が把握できない
此方から見れば、変な光景

⏰:11/01/26 13:21 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#269 []
 
「内面的にはもちろんですけど
見た目も、女性らしく‥はい」


何をしているのか気になって
背後から、四つん這いになって
そっと覗き込む

何してるのか問ったって
大した答えが返ってくるとは
思えなかったのです。

⏰:11/01/26 13:22 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#270 []
 
今までの経験上
ちゃんとした返答があるのは
極々稀なことだから‥はは


「女性らしく、か」

何か引っかかるものがあるのか
壱助さんは
"なるほど"やら"はい、はい"やら
ぶつぶつ呟いている

⏰:11/01/26 13:22 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#271 []
 
その内
彼の横顔が見えるようになる

気のせいかな?
何だか楽しそうに見えた


仏頂面にも一応
喜怒哀楽があることを発見
宝物を発見したかのように
何故かわくわくした

⏰:11/01/26 13:23 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#272 []
 
「もう、
十九になったんですから‥」

呟くように、しかし手は止めず


少し開いた唇が色っぽく
着崩した襟元から覗く胸板は
男らしさを漂わせ

壱助さんは
人類最強な気がするもんです

⏰:11/01/26 13:23 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#273 []
 
「ちょいと、手をかけるだけで
‥十分に魅力はあります、よ」


急に此方を向くから
どきっとしてしまう

何をするにも急だ
振り向く時に随時報告されても
おかしな話だけれど

⏰:11/01/26 13:24 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#274 []
 
目を合わせて、あまりに彼が
真っ直ぐ見つめるものだから
急に恥ずかしくなって

あたしの視線は
彼と自分の手元に行ったり来たり

壱助さんは、微笑む
恐ろしいくらい美しかった

⏰:11/01/26 13:25 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#275 []
 
瓶の中には黄金の液体
綺麗に伸びたあの指がそこに沈む

包み込むように
まとわり付くように
待ちわびて居たかのように
たっぷり黄金が絡みつく


そして、もう片方の手が
あたしを引き寄せた

⏰:11/01/26 13:25 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#276 []
 
「冬は‥乾燥しますから、ね」

「ん‥」

黄金を纏った人差し指が
あたしの唇を優しく撫でた


甘ったるい香りと
ぬめっと貼り付くような感覚
隙間から流れ込んだものは
春が溶け込んだ甘みをおびて

⏰:11/01/26 13:26 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#277 []
 
「はちみつ‥?」

囲炉裏の熱に温められて
丁度人肌と同じくらいの心地よさ

どうやら‥
これを溶かしていたらしい

「保湿効果があるようで、ね」

十分にあたしの唇に塗りたくって
指に絡み付いた余りを
舌で丁寧に舐めとっていた

官能的で、胸騒ぎ

⏰:11/01/26 13:27 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#278 []
 
「保湿‥
確かに最近、乾燥してたかも」

「まぁ、関係あるのは
私だけですから‥
別に、乾燥していようがいまいが
どうってこと、ないのですが‥」


そう言い終わる前に
あっさり抱き寄せられてしまう

⏰:11/01/26 13:28 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#279 []
 
この人はいつも完璧で
何でもあっさりやってのけて
あたしの心を何度も奪う
‥時々、憎らしい


「ちょいと、
塗りすぎちまったようで‥」

柔らかい吐息が頬をかすめて
口元をゆっくり垂れる甘い蜜に
引き寄せられるようにして
彼の舌が唇の横を這う

⏰:11/01/26 13:28 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#280 []
 
「ん‥」

一度顔を離したかと思えば
今度は唇に吸い付いた

蜂蜜のねっとりした感触が
何故かあたしを高揚させる
体全体が熱くなって
どうしようもなく愛おしくなる


「ふ‥、」

息をつく隙を与えないほど
長い、甘い口づけ

頭がぼうっとする

⏰:11/01/26 13:29 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#281 []
 
自然と舌が侵入してきて
初めてなくせに
すんなりと受け入れてしまう

歯並びを確認するように
丁寧にゆっくり伸びてきて
上顎を優しく撫でられる


脳内まで犯されて、
思考が止まりそう‥
崩した足の先から
じわじわと快楽が込み上げる

⏰:11/01/26 13:30 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#282 []
 
羞恥に目を潤ませてみても
柔らかい唇を何度も重ねられ
少し斜めに傾いた
壱助さんの首筋が艶容で‥


やっと唇が離れた頃には
あたしはすでに彼の下
見下げる視線が柔らかい

つり上がった口元が
意地悪そうな笑みを作る
まるであたしをからかうように

⏰:11/01/26 13:31 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#283 []
 
「壱助さんって‥
甘いもの‥苦手なんじゃ?」


あっという間に
黄金に濡らされたはずの唇は
彼に染まって

もどかしい余韻を残したまま

「其れと、此とでは‥訳が違う」

「はちみつ、
‥わざわざ買ってくれたの?」

⏰:11/01/26 13:32 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#284 []
 
まだ整わない呼吸をよそに
目を細めて含み笑い

「食後の甘味として‥
今後、如何なものかなと‥ね」

「毎回、こうするんですか?」


優しく髪を撫でられる
これも神様が決めたこと?

⏰:11/01/26 13:32 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#285 []
 
「気に食わない、と」

「いいえ、
‥保湿は大事でしょう?
大人の女性にとっては」


時折あたしは素直じゃない
それは壱助さんも同じよね?

「まぁ、ね
今宵、十九になったのですから‥
後は老いて行く一方、ですよ」

「まだまだ若いですぅ!」

⏰:11/01/26 13:33 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#286 []
 
毒を吐く前にさらりと言ったけど


「壱助さん‥もしかして
今日があたしの‥」

「なぁに‥
それくらいの日付くらい
誰でも覚えられるもんです、ぜ」

本当は泣きたいくらい嬉しいよ
誰かに誕生日を
祝ってもらうのは約10年ぶりだ

⏰:11/01/26 13:34 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#287 []
 
これを祝ってもらったと
言うかどうかは別として


「‥ありがと、壱助さん」

大人ぶってみても
やっぱり頬が緩んでしまうの

「では、記念に"これ"‥
全身に塗りたくりましょう、か」

今度は手を丸々突っ込んだ
透き通った黄金が輝く
その奥で、いつもの怪しい笑み

⏰:11/01/26 13:34 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#288 []
 
「記念って‥何記念?!
ちょ‥壱助さんっ‥本気?!」


「大人記念、ですよ」


_

⏰:11/01/26 13:35 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#289 []
 
ねぇ、神様

何でも全部が既に決まってて
時々あたしは悲しくなります。
悔しくもなります。


だけど
この世に生を受けたことを
悲しいことだとは思いません


愛する喜びも、愛される喜びも
あたしは教えられたからです

⏰:11/01/26 13:35 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#290 []
 
「壱助さん‥?」

「何、か」


あたしの呼びかけに
答えてくれる人がいるからです

⏰:11/01/26 13:36 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#291 []
 



「‥大好き」


運命があってもなくても
ずっと一緒にいたいと思える人

_

⏰:11/01/26 13:36 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#292 []
第四六章【蜂蜜、甘味記念】
>>257-291
***************

久々の更新なのに
会話が少ないww(´;ω;`)
だらだら書き連ねて
申し訳ないです(´;ω;`)
とりあえず
香夜ちゃん19才おめでとう!

サブタイトル
プーさんの蜂蜜プレイ←
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:11/01/26 13:44 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


#293 [笹]
【本編/44まで】
>>233
【45〜】
>>236-254
>>257-291

【番外編】
>>84-86
>>128-150

【補足】
>>185-188

⏰:11/01/26 13:45 📱:D905i 🆔:MmQRKSWw


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