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#565 [遠距離前(1/3)あんみつ]
 


踏切の音がする。

もうすぐ電車が来るんだ。

もうすぐ行ってしまうんだ。

そう思うと、ずっと我慢してたものがのどの奥からこみ上げてきて、私は唇を噛み締めた。

今、目の前にいる大好きな人は、これから来る電車に乗って私の知らない街へ行く。


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⏰:09/08/17 14:36 📱:D904i 🆔:irKb7zTg


#566 [遠距離前(2/3)あんみつ]
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彼女が涙をこらえているのが、痛いくらい分かった。

俺は、口から出そうになる言ってはいけない言葉を必死に呑み込む。

言ってはいけない。

彼女には彼女の生活がある。

俺は無言で彼女を抱き締めた。



────────

⏰:09/08/17 14:38 📱:D904i 🆔:irKb7zTg


#567 [遠距離前(3/3)あんみつ]
このまま時が止まれば。

彼の腕の中で本気で思った。

そんな思いもむなしく、ホームに電車が停まる。

腕の力が緩むのが分かった。

そっと体を離して彼は言う。

「……じゃあ、行くわ」

嫌だ。

「……行ってらっしゃい」

行かないで。

ドアが閉まり、電車がゆっくりと動き出す。

いとも簡単に私と彼を引き離すこの箱が、今は憎い。

電車が見えなくなって、私は彼の温もりごと自分の体を抱き締めた。

言えなかった言葉がのどにつっかえて、今も、これからもきっと、ずっと苦しい。


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⏰:09/08/17 14:39 📱:D904i 🆔:irKb7zTg


#568 []
>>1-50
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>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450

⏰:09/09/04 23:17 📱:SH904i 🆔:nVJyS6uk


#569 []
>>1-100
>>101-200
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>>901-1000

⏰:09/09/04 23:19 📱:SH904i 🆔:nVJyS6uk


#570 [別れ/渚坂]
「こんな終わり方しか出来ない俺って最低だよな」

自嘲ぎみにしか笑えない俺には言い訳をする資格も無いのかもしれない。俺のせいでボロボロになった彼女を前にしても、気の利いたセリフなんて一ミリも思いつかないのだから。

「でもお前とはわりと続いた方なんだぜ。前の奴なんか一週間しかもたなかったから」


今更昔話に花を咲かせようって腹じゃあない。でもこう言うことで、彼女を捨てる自分の精神を庇護しているしているのかもしれない。ああ、きっとそうだ。そうに違いない。


こんな俺を前にしても彼女は一言もしゃべらない。きっと彼女はその小さな身体だけでなく心までも乾きだしたのだ。

以前は潤っていた部分が一秒ごとに乾いていく。身体も心も。確実に。俺のせいで。



……これ以上は両者とも限界だ。無理、なのだ。


「じゃあな、コンタクト。俺は今日からお洒落眼鏡をかけるんだ。今まで世話になったよ」


右手に乗っていた使い捨てコンタクトを素早くゴミ箱に入れ、その手で黒縁眼鏡のフレームを掴み、難なく装着。


「よっし、いってきます!」


外は本日も晴天なり。

今日から俺は今流行の眼鏡男子だ。

⏰:09/10/25 13:15 📱:F905i 🆔:RazuJFaA


#571 [我輩は匿名である]
あっがーれ!

⏰:09/11/18 04:36 📱:P08A3 🆔:EPpIYhCk


#572 [渚坂]
定期あげー

⏰:10/01/01 23:53 📱:F905i 🆔:dPq9enoQ


#573 [渚坂]
あげとく

⏰:10/03/28 01:23 📱:F905i 🆔:tOiw0VQo


#574 [避難訓練(1/3)◆vzApYZDoz6]
黒板にチョークを撫で付ける耳障りな音を、さらにでかくて耳障りな非常ベルの音が掻き消す。
しかもこれがまた長い。やかましい事この上ない。

かの有名なアインシュタインは、小さな子供に相対性理論とはどういうものか、と聞かれた時、『好きな子の事を考える時の時間の進みは早く、熱いストーブの前で堪える時の時間の進みは遅くなる』事を証明する理論、と説いたそうだが、実にいい喩えだ。
それが相対性理論とどう関わりがあるかなんて俺には理解のしようもないが、少なくとも言ってる事は的確である。

要は楽しい時は時間が早く、かったるい時は遅く感じるという事だが、果たして今の俺はストーブどころかオーブントースターでも足りないぐらいに時間の経過を緩やかに感じていた。
只でさえ長い非常ベルに続いて教頭のダミ声まで黙って聞かなきゃならない上に、非常ベルが知らせる警報とダミ声が告げる情報その両方が嘘っぱちと確定しており、なおかつその嘘っぱちに素直に従ってこのクソみたいに寒い中上履きのままグラウンドまで走り、最後に冷たい地面に座ってこれまでの無意味な行為の重要性を語る校長の無駄に長い話を聞くという一連の行為を、事もあろうかもうすぐ卒業する俺達3年の連中に強いてるんだから、そりゃ時間経過も遅くなるというものである。

『地震により、家庭科室から火災が発生しました。生徒のみなさんは―――』

前置きが長くなったが、つまり今は避難訓練の真っ最中で、上の鍵括弧が示すように、ちょうど今第一ステップである非常ベルが止まり、第二ステップである教頭のダミ声が響き始めたところだ。

⏰:10/03/28 16:08 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


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