【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
最新 最初 🆕
#1 [◆vzApYZDoz6]
ここは全員参加型の超短レス短編【SSS(ショートショートストーリー)】投下スレです。
このスレを開いたあなたも参加可能ですよ!

ルールは
・3レス以内であること
ただ1つのみ!
ジャンルも、恋愛・ファンタジー・バトル・ミステリー・ホラー・シリアス・エロetc何でもあり!どんと来いwww

トリップ推奨!
投下する時は、普段使ってるHNの前に
作品名(現レス数/全レス数)
と入れましょう!もちろん名無しさんでも参加OK!

例えば全3レスでタイトルが『あいうえお』なら、名前欄に
あいうえお(1/3)
と入れればいい訳です
こうすれば他の人と被ったりしても読みやすい筈w

>>2-5辺りへ続く

⏰:08/03/03 01:48 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#2 [◆vzApYZDoz6]
書き手さんが息抜きに使うもよし、書き手になりたい読み手さんが練習に使うもよし!
1人何作品投下しても構いません!

『書きたいけど、どんなん書けばいいのかわかりまへーん』
そんな小説初心者のために、お題をいくつか用意しましたよー^^

お題
@雨
Aあの頃の思い出
B電話
C卒業

お題をそのままタイトルにしてもよし、お題をテーマにしてもよし。
もちろん、お題を使わなくてもOK!

⏰:08/03/03 01:49 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#3 [◆vzApYZDoz6]
小説のスタイルも問いません!
会話だけでも、地の文(会話以外の文)だけでも、両方混ざっててもよし。
一人称だろうが二人称だろうが三人称だろうが構いません!
書き手さんなら、現行小説を小説で宣伝するのもありww
その場合は名前欄のタイトルに〜の宣伝小説とでも書きましょう!

とにかく『3レス以内』であれば何でもありです!
才能溢れる作家達の参加を待ってますよ^^

⏰:08/03/03 01:50 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#4 [◆vzApYZDoz6]
アンカー
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:08/03/03 01:51 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#5 [往年のライバル(1/1)◆vzApYZDoz6]
では手始めに俺が(コピペですが)

腰に構えた左手という鞘から、竹刀という刀を引き抜く。
鞘から手を離し両手で柄を握りしめ、一度頭上へ鋒を持っていき、ゆっくりと降ろしていく。
幾度となく繰り返した正眼の構え。構えたまま流れるように膝を折って腰を降ろし、蹲踞の姿勢に移行する。
正中線の延長線上に伸びる竹刀の先には、同じように構えて蹲踞する対戦相手。
面の影になって顔はまったく見えないが、俺の記憶が視神経を経て勝手に顔を形作る。
去年の同じ日、決勝で負けた相手。一昨年の同じ日、準決勝で負けた相手。
順当に行けば今年の今日の決勝戦は勝てる、なんて俺の都合のいい考えだろうか。
どちらにしろ、奴も俺も今日が高校最後の公式試合。お互いに悔いの残らない試合にしたいものだ。
向き合う俺と奴の間に、主審の右手がゆっくり下がってくる。
合図と共に上がったその瞬間に、いつも俺の思考は断ち切られる。
反復練習で体に染み着いた『自分の剣道』が、必ず勝つという確固たる意思の下で俺を勝手に制御するんだ。
いつであろうとそれは同じだったが、それでも奴にだけは負けてきた。
だが見ていろよ。今日は、今日こそは――

「始め!!」

主審の声に思念が強制的に打ち切られる。体が勝手に面を放つ。
出鼻はお互い決まらない。決まっていても多分次の動作に入ってただろうけど。

さっきの思念は結果に変えて思い出す事にしよう。

最後に勝つのは俺だ、ってな。

⏰:08/03/03 01:54 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#6 [奇怪な電話(1/2)◆vzApYZDoz6]
「まいったなー…」

男は頻りにそう呟きながら、自分の家をあちこち見回していた。
2階建1軒家の1階を、2階で眠る妻や息子を起こさないように、そっと。だがしかし焦ったように探しまわる。
ふと壁に掛けられた時計を見ると、時刻は朝6時。
家に帰ってきたのは5時頃だ。
友達の家で呑み明かした後タクシーで帰り、家に着いてから風呂に入り、朝飯を食べて、さぁ今から寝よう、という時に気が付いた。

携帯電話が見当たらない。

男はかれこれ10分程ずっと探し回っている。
家に帰ってから2階には1度も行ってないのだから、2階にあるはずはない。
たがいくら探そうとも1階にも見当たらない。

「しまったな…あいつんちに忘れてきたかな?」

男はまいったというように後頭部を掻きながら、家の電話の子機を手に取る。
その時に最初からこうしていれば良かった事に気が付いた。
恥ずかしかったのだろうか。男が振り返って、誰に見られてる訳でもないのに後ろを見回した。
自嘲ぎみに鼻で笑い、登録された自分の携帯電話に電話する。起きていれば友達が取るはずだろう。
受話器を当てた右耳から流れるコール音は、なかなか途切れない。

⏰:08/03/03 02:14 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#7 [◆vzApYZDoz6]
「もう寝ちまったか…」

また掛けなおすか、と耳から受話器を離す。
だが終話ボタンを押そうとする前に、僅かな大きさだがバイブ音が聞こえてきた。
どうやら自分の家にあったらしい。男はバイブの音を辿って歩き回った。
しかし、どうやら部屋の中には無いようだ。
いったん廊下に出ると、バイブ音が少し大きくなった。電話は近い。
しかし、不審な事にそれは2階から響いているようだ。
2階には1度も行ってない筈なんだが。そんなに酔ってたかな…
とりあえず2階に上がり、そろりそろりと廊下を歩く。
廊下の端に%8

⏰:08/03/03 02:15 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#8 [[最期の花]ふむ(1/1)◆PppyzxIHxs]
玉砕覚悟…
なんと良い響きだろうか。
数多の咆哮と足音が混沌とする世界で、我の前にある蝋燭の灯が静かに揺らめいて壁を怪しく照らした。
壁の向こうには既に火が放たれているのだろうか。
ゆらゆらと茜色に染まっている障子が目に映れば、そんなことが頭を過ぎった。
傍らにある白紙に包まれた小刀に手を掛ける。
鋭い刃は灯の僅かな揺らめきを吸い込んで、時折鈍い輝きを放っていた。
外にはどれくらいの従者が生き残って闘っておるのかのう…。
小さく息を吐くように漏らせば白装束を整える。
堂々たる構えで座せば、自然と装束が足に巻き込まれる形になった。
玉砕覚悟…
なんと良い響きだろうか。
生命尽きるまで、この身が果てるまで奮闘する姿は…鬼人が如くの気迫を漂わすであろうな。
最期まで敵にひれ伏さぬ生き様は、さぞかし天晴れであろうな。
さて、そろそろ…
我も逝くかね。
小刀を腹部に当てれば、躊躇うことなく深々と自らの腹に突き立てた。
鋭い痛みが全身に広がるように襲う。
じわりと脂汗が額に滲んだ。
仰向けに倒れそうになるも、巻き込まれた白装束がそれを許さない。
紅い鮮血が白装束を染めた。
玉砕覚悟で最期まで闘うなぞ、なんと浅ましいことよ…
荒い呼吸のまま、力を振り絞り小刀を横へ薙ぐ。
尖った刃が肉を引き裂き鮮血を流れ出させる。
我は敵の手に掛かって無惨に死ぬるくらいなら…自らの手でこの生命を絶とうぞ…
口元に笑みを含みながら、燃え往く寺の中で男はゆっくりと絶命した。

⏰:08/03/03 02:15 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#9 [奇怪な電話(2/2)◆vzApYZDoz6]
>>7

「もう寝ちまったか…」

また掛けなおすか、と耳から受話器を離す。
だが終話ボタンを押そうとする前に、僅かな大きさだがバイブ音が聞こえてきた。
どうやら自分の家にあったらしい。男はバイブの音を辿って歩き回った。
しかし、どうやら部屋の中には無いようだ。
いったん廊下に出ると、バイブ音が少し大きくなった。電話は近い。
しかし、不審な事にそれは2階から響いているようだ。
2階には1度も行ってない筈なんだが。そんなに酔ってたかな…
とりあえず2階に上がり、そろりそろりと廊下を歩く。
廊下の端に近付くにつれ、バイブ音がよく聞こえる。
だが、廊下の端に辿り着いても携帯電話が見当たらない。否、廊下の端からバイブ音が聞こえる訳ではない。
だがバイブ音が聞こえる一番近い場所は廊下の端。

「………?………」

男が、ゆっくりと視線をあげる。
ちょうど天井まで向かった時に、終話ボタンを押した訳でもないのにバイブ音が止まった。
垂れ下げた手に握る受話器から、微かに聞こえる友達の声。

「…これお前の携帯だろ?とりあえず今は眠いから後で持っていってやるよ…」

電話が切れた。

耳をすますと、荒く小さな呼吸音が聞こえてくる。

――そこに居るのは、誰だ?

⏰:08/03/03 02:16 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#10 [あの頃の思い出(1/2)]
なあ、憶えているか?心地よく吹くこの風の匂いを。

なあ、憶えているか?秋茜が飛ぶこのススキの原を。

なあ、憶えているか?あの日俺とお前2人で見た、赤く染まった夕焼けの空を。

『ここの風景は、きっと何よりも綺麗よね』

俺は、憶えている。お前が夕焼け空を仰ぎながらそう言ったのを。

俺は、憶えている。そう言ったお前の横顔が、一番綺麗だと思ったのを。

俺は、憶えている。あの日、お前と交わした小さな約束。

⏰:08/03/03 02:33 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#11 [あの頃の思い出(2/2)]
『次もまた見たいな。もちろん、私とあなた2人で、ね』

お前と交わした指切りげんまん。

俺はその指切りの約束を果たすために、ずっとここで待っている。

お前がどこへ行こうとも。

お前が帰ってくるのを、ずっと、ずっと。

「…………だから、帰ってこいよ。いつでも…待ってるからさ」

お前と2人で夕焼けを見た、このススキの原で。

⏰:08/03/03 02:34 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#12 [ギャグカオスなシュール(1/1)]
「オババババババババババババハ!!!wwwwwwwwwww」

「ワヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwwwwwwwwww」

「ギヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒwwwwwwwwww」
「アーッハッハッハッハッハッハッハッ!!!wwwwwwwwwww」



「………」

「………」

「………」







「次の授業なんだっけ?」

「国語だよ」

「あー宿題やってねーw誰か貸してw」

「やだよバーロw」


完…?

⏰:08/03/03 02:44 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#13 [[世界の真実]ふむ(1/2)◆s8/1o/v/Vc]
目が覚めた。
僅かに身震いするような肌寒さに瞼を開ければ、覚醒しきっていない頭で考える。
どうやら俺は寝てしまったらしい。
今は何時だろうか…。
カーテンが閉められていない窓から見える外は、既に日が没しており真っ暗な闇の世界を作り出していた。
室内も電気が就いておらず薄暗かった。
枕元の電子時計が緑色の字を発色させて12:37の文字を象っている。

「夜中か…」

寝過ぎたと後悔しつつも、のろのろと起き上がれば室内を明るくしようと電灯の電源に手を伸ばす。
カチリ…、と短い音を立ててスイッチが入れ代わった。
しかし、電灯は光らない。
部屋は不気味な薄暗さを保っていた。

「んだよ…電球切れてんのか?」

愚痴を零せば少しだけ苛々が込み上げてくる。
テレビに近付くとおもむろに手を伸ばし電源を入れる。
テレビは依然として真っ黒を画面に映し出している。

「何だよ…停電かよ…」

小さく舌打ちすれば一人納得し、暗いままの室内のベッドに腰を下ろした。
携帯を取り出すと無造作に開く。
僅かな携帯の眩しさに目を細めれば、待受画面には12:39の文字。
そして電話が一件来ていた。
それを確認しようと中身を開いた瞬間であった。
一瞬砂嵐になったかと思った矢先、画面は真っ黒になって電源が落ちた。

⏰:08/03/03 02:48 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#14 [梓 [真夜中の着信](1/2)]
〜〜♪

携帯を開くと、登録外の番号からの着信。私は、見なかったことにして携帯をポケットにしまった。

知らない番号…ではなかった。存在を消したくてデータを消した。それでも覚えている番号。忘れられなかった。
自分の鼓動が聞こえる。


好きでたまらなかった。好きで好きで、好きで好きで好きで好きで。
…こんな関係、うまくいく訳がなかった。

別れて半年。新しい彼女ができたと噂に聞いた。
私の中で、何かが壊れる音がした。


.

⏰:08/03/03 03:06 📱:SO703i 🆔:☆☆☆


#15 [梓 [真夜中の着信](2/2)]
電話は、見なかった事にしよう。後で履歴も消しておこう。そうすれば無かった事にできる。今まで通りの生活が送れる。

―本当にそれでいいの?

だって私はまだ思い出にできていない。

―会いたいんじゃないの?

会うべきじゃないの。

―まだ好きなの?

冗談じゃないわよ、あんな奴もう好きじゃないわ。

―じゃあ電話くらいいいじゃない。

…声を聞いたら会いたくなっちゃうじゃない。


私はそっとポケットから携帯を出した。一昔前の曲が静かな部屋に鳴り響く。

彼が好きだと言っていた、あの曲。




私はじっと携帯を見つめていた。

---END---

⏰:08/03/03 03:07 📱:SO703i 🆔:☆☆☆


#16 [[世界の真実]ふむ(2/3)◆s8/1o/v/Vc]
「おいおい冗談じゃねぇぞ!」

俺は慌てて電源を押し戻す。
しかし、いつまで押し続けていても一向に電源は戻らなかった。
電池はしっかりと三本補充されていたのを見たから、電池切れではないだろう。
念のため、充電器に差し込んだが反応はなかった。
そういえば停電だったな…。
思い出せば諦めたように携帯を投げ出して、ベッドに倒れ込む。
静かな時間が流れて、妙な違和感を抱いた。
嫌な予感のような、違和感を。
不意に横を見れば電子時計が発色していた。

「…ん?」

はて、気のせいだろうか。
電子時計の示す文字の光が弱々しくなってきているような…。
ぼんやりとそんな事を考えていたら、突然糸が切れたかのように電子時計の文字が消えた。

「…!?」

それを見ると俺は目を丸くした。
さっきからどうもおかしい。
違和感の原因がわかったのである。
無音なのだ。
静かすぎる、車の音すら聞こえない不気味な程無音の世界。
俺は立ち上がり窓を全開に開けた。

⏰:08/03/03 03:23 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#17 [[世界の真実]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
「何だよ…これ」

声が震えていた。
目の前に広がった光景は、真の闇。
停電の規模ではなく、人を失った不気味に佇む建物たちがひっそりと列を連ねていた。
照らし出すのは淡く朧な月明かりのみであった。

「誰も…いないのか?」

その時、後ろのベッドの片隅から声が聞こえた。
ベッドに寝転ぶ時はいつも掛けているラジオが、作動した様子だった。
俺はゆっくりと振り返る。
不気味なまで薄暗い室内に無機質なラジオの声が響いた。
途切れ途切れに数秒流れた後、ラジオは完全にその機能を失った。
俺は聞き取り難いラジオの内容に言葉を失った。
愕然と立ち尽くす俺に、先程ラジオは言った。

《現在…ょ…には…緊急…避難勧告が…されて…大変…危険…すので…ただちに…》

喋る物を無くした世界は、無音の世界へと続く不気味な静けさに包まれていった…。

⏰:08/03/03 03:26 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#18 [[世界の真実]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
最期の花[時代物](1/1)
>>8

世界の真実[ホラー](3/3)
>>13
>>16
>>17
(1/2じゃ文字数が足りませんでした;)

⏰:08/03/03 03:31 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#19 [賭け(1/3)]
俺はその日、1人でバーで呑んでいた。
特に理由は無い。ただ何となく、1人でいたかっただけだ。
カクテルの入ったグラスを静かに回していると、隣に1人の男が座って話し掛けてきた。

「君、もしよければ僕と賭けをしないか?」

フォーマルなスーツを着た、ごくごく普通の男。
いきなり何を言ってるのだろうか、と普段なら思っていただろう。
聞く気になったのは俺が酔っていたからだろうか。

「どんな賭けだい?」
「なぁに、簡単な賭けさ。君は何があっても顔が上を向いてはいけない。上を向いたら負けだ」

上を向いたら負け?そんなの向く訳無いだろう。
だが、今日初めて会ったばかりのこの男がどう上を向かせるかは、なかなか面白そうだ。
その時は文字通り酔狂だった俺は、賭けに応じる事にした。

「で、何を賭けるんだい?」
「この店で呑んだ代金さ。君が上を向いたら君が僕の代金を奢る。向かなければ逆だ」

なるほど、それなら例え負けてもそんなにダメージにはならないな。

「よし分かった」
「なら、今からスタートだ」

⏰:08/03/03 03:38 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#20 [賭け(2/3)]
賭けが始まった。
男はスーツの上着を脱いで、早速俺に話し掛けてきた。
内容は別段他愛のない世間話のようなものだが、男の話術に引き込まれてしまう。
だがこれは罠だ。きっと巧みに話しくるめて上を向かせるのだろう。
俺はそう思い、いつ仕掛けてくるか警戒しながら、男の話に耳を傾けていた。

それから、1時間程が経った。
男はまだ仕掛けてこない。
話の内容も、先程と話題は変わってはいるが特におかしな点はない。
そろそろ仕掛けてきてもいいと思うのだが。本当に俺を負かす気があるのか?
もしかしてただの暇潰しだろうか。
いや、そう思わせるのが罠に違いない。きっとそろそろ上を向かしにかかってくるはずだ。
そう考えていた時、男が腕時計を見ながら言った。

「おや…もう時間だ。悪いが賭けはおまいだ」

おしまい?俺はまだ上を向いてはいないが。
……という事は。

「…賭けは、俺の勝ちって事になるのか?」
「悔しいけどそうだね」

あっさりすぎて、なんとも拍子抜けだ。
だが、これで呑み代が浮くしまぁいいか。

「悪いが行かないと駄目でね。これで払っておいてくれるかな?」

男はそう言って財布から1万円札を取り出し、俺の前に置いた。

「今日はどうも。君と話せて楽しかった」

男が俺の前に手を差し出してきた。

「そうだな、俺も楽しかったよ。ありがとな」

またいつか会いたいものだ。
そう思いながら、男とがっちりと握手を交わした。

⏰:08/03/03 03:39 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#21 [賭け(3/3)]
代金は2人合わせて8000円。1万円でお釣りが出る。
呑み代が浮いたどころか、少し儲かった。自然と顔が綻んでくる。
足取り軽くレジへ向かう。
だが、男から貰った1万円札を出そうとした時に、1万円札がおかしい事に気が付いた。
なんというか、紙質が違う。厚みも少し違う気がする。

「…もしかしてあいつ、偽札を!?」

慌てて1万円札を電灯の光にかざして、透かしを見る。
そこに写っていたのは福沢諭吉ではなく。


『ほら上を向いた ごちそうさま』


こう書かれていただけだった。

⏰:08/03/03 03:39 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#22 [◆vzApYZDoz6]
>>14-15
いいですねーw

じゃんじゃん参加してくださいw

⏰:08/03/03 03:41 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#23 [ゆびきりげんまん(1/2)]
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。

「私ね、昔約束したんだ」
「約束?へぇー、誰とよ?」

図書館の机。
私の前に座る友達が読んでいた本を閉じた。こんな話にも興味を持ってくれたらしい。
広辞苑を読んでいたのだから、相当暇だっただけなのかも知れないけど。

「誰かは思い出せないんだ。どんな約束かもよく憶えていない」
「何それ。約束した事しか憶えていないの?」
「うん。誰かと指切りげんまんしたんだ」
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。
頭の中で、そのフレーズがずっと反芻される。
あの約束で、初めて交わした指切りげんまん。

⏰:08/03/03 04:20 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#24 [ゆびきりげんまん(2/2)]
でもいつだったっけ?結構幼い頃だったような気がする。
でも人生4、5年ぐらい生きてりゃあの歌には出会えるし。何とも確証がない。頭の中で壊れたようにあのフレーズがずっと流れる。
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。

「…あっ」
「…?どしたの?」
「思い出したのよ」
「誰と約束したかを?」
「ううん、約束した事を」

うそついたら、ね?
約束した相手の声だけが頭の中で再生される。
少し低い女の子の声。顔は忘れたけど、声は思い出せる。
赤いランドセルに黄色い帽子をかぶって、約束したんだ。
あれは多分初めての指切りげんまん。

「一緒に地獄へ堕ちよう、って約束したんだ」

あの子は、憶えてるのかな。

⏰:08/03/03 04:20 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#25 [[天の邪鬼]ふむ(1/3)◆s8/1o/v/Vc]
鬱蒼と生い茂る森を歩いていた。
真の闇に包まれた、夜の森であった。
月明かりすら、ない。
冷たい夜風が駆け抜ければ、木々たちが不気味な音を立てて森自体が一つの生き物のように怪しく蠢いた。
そんな中を歩く一人の男がいた。
凛とした表情に灯る鋭い眼光はしっかりと正面を見据えていた。
手には明かりらしきものはなかった。
真の闇だというのに、明かりなしで進んでいるのである。
悠然と進むその歩調には、まるで昼間に見晴らしの良い道を歩いているかのようにさえ感じさせる。
男の口元には、絶える事なく微笑が含まれていた。
男は今日の昼間、興味深い話を聞いた。
どうやら、この森には妖怪らしからぬモノがいるらしい。
それを初めて見たのは、この近くに住む老人だという。
老人は山菜採りが趣味で、よく山に登っていた。
農民であるために、なかなか早くは仕事が終わらず、大体山に登るのは日が没してからの方が多かった。
その日もいつものように松明と鎌を片手に籠を背負い、熊などに備えて知り合いから譲り受けた太刀を腰に携えた。
出掛けるに当たって、今日はどの山に行こうかと考える。
同じ山ばかりではその山の山菜を取り付くしてしまうし、何より楽しみが薄れる。
そこで老人は考えついた。
ちと遠いが、あの山なら良い山菜がよく採れるじゃろうて…
多少山を登らなければならないが、以前に山菜が山ほどなっている場所を見つけたのであった。
そうと決まれば早速そこに向かった。

⏰:08/03/03 12:31 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#26 [雪(1/2)◆vzApYZDoz6]
昨日からずっと雪が降っている。そのおかげで外はなかなかの積雪量だ。

別に冬に雪が降るのは当たり前だが、基本的に雪が殆んど降らないこの地方で、雪が積もるのは珍しい。
住んでいるマンションから眼下を見下ろせば、近所の子供達がその珍しい積雪の上で大いにはしゃぎまわっている。
その子供達に混じって、俺の姉も遊んでいた。

「おい姉貴、遊んでないで手伝えよ!」

窓から身を乗り出して、子供達と雪合戦をしている姉に叫ぶ。
なんとも平和な光景だ。

「いつでもできる部屋の大掃除と、希にみる豪雪の元で思い切り遊ぶ事、どっちが大事!?」

姉が叫び返してきた。
ハタチを超えているというのに、そんなに雪遊びに夢中になれるものなのか。

なんとも平和な光景だ。

⏰:08/03/03 12:46 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#27 [雪(2/2)◆vzApYZDoz6]
「うるせぇ!いいから戻ってこい!」
「今日のお前は冷たい!そう、雪のように!」

こりゃ駄目だ、完全に雪に洗脳されてる。雪のように冷たいってなんだよそれ。
窓から身を引っ込めて、室内に視線を戻した。
乱雑に置かれた雑巾に掃除機、紐で縛られた雑誌類。
俺のすぐ横には漫画がいくつか置いてある。
そう言えば、タンスの奥から見付けて読んでたんだっけ。俺もサボってんじゃん。
外からは子供達のはしゃぐ声が聞こえてくる。
俺は漫画を纏めて、立ち上がった。

外はまだ雪が降っていた。
積雪に沢山つけられた足跡。出来るだけ足跡のない綺麗な場所を選んで歩き、足跡を残していく。
姉はまだはしゃいでいた。
こっそり後ろから近付いて、雪玉を当てる。
姉は驚いて振り返り、続いてあどけなく笑って手招きする。
その誘いに乗って、俺も本格的に雪合戦に参加した。


なんとも平和な光景だ。

⏰:08/03/03 12:47 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#28 [[天の邪鬼]ふむ(2/3)◆s8/1o/v/Vc]
草木を掻き分けて森を進む。
今年齢六十七を迎える老人には厳しいものがあった。
しかし、それが山菜のためとなると、それすら楽しみに変わる。
手の松明の明かりを頼りに歩を進めていった。
山の中腹辺りまで来ただろうか。
もうそろそろ目的地が見えてくると心躍らされた時、頭上から声が下りてきた。

「ここを通りたいか…」

低い男のような声であった。
はて、誰ぞおるのか。
老人は小さく呟くと頭上を見上げた。
しかし暗い木々が不気味に風に靡いてるだけで、人の姿は見当たらない。
空耳かえ…。
老人は正面に顔を戻すと、溜め息を一つ吐いて再び歩を進める。
するとどうしたことか、また同じ声がする。
これはもはや空耳ではない。
老人は急に恐ろしくなった。
夜に森なんぞに入ったもんじゃから鬼に出くわしたのやも知れん…。もしくは夜道で良く見えなんだから、道を反れて鬼の巣窟に迷い込んでしまったか…。
老人は山に入ったことを後悔した。
これでは山菜採りどころではない。
引き返そうとすると、また声が問う。
ここを通りたいか…。
進もうとすれば、またまた声が問う。
これは答えねば帰して貰えぬやも知れぬ。
そう考えた老人は震える声で答えた。
通りたい。
声はすぐに返ってきた。
通らせない。
老人は絶望に打ちひしがれて尚も問う。
俺を帰らしてはくれぬのか。
帰らして欲しいのか。
帰りたいとも。
帰らしてやらぬ。
老人はそこで不思議に思った。
ある考えを思い付いた老人は声の主に再び問いた。

⏰:08/03/03 12:54 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#29 [[天の邪鬼]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
この先には何があるのか。
何があると思う。
山菜じゃ。
何もない。
老人は確信した。
ここぞとばかりに最後の質問をする。
やはり帰してくれぬのかのぅ。
帰して欲しいか。
声の主が答えるとしばらくの沈黙の後、老人が返す。
いや、帰りとうない。
ならば帰れ。
あっさり承諾を得た老人は足早に山を下りていった。
そういう話であった。
さて…、
男はどのくらい歩いたのであろうか。
山の中腹に差し掛かった辺りであった。
不意に頭上から声が降り注がれた。

「ここを通りたいか…」

男は落ち着いた口調で答えた。
通りたくない。
声の主の答えが返ってくる。
ならば通れ。
声の主が言い終えるとすぐに男は問い掛ける。
俺を喰らうか。
喰らって欲しいのか。
喰らって欲しいさ。
喰らわぬ。
男は会話を楽しんでいるようにさえ伺えた。
口元に微笑を浮かべつつ、男はゆっくりと最後の質問のために口を開く。

俺の…使い魔にならぬか。

男は依然として微笑を含めたまま、静かに次の言葉を待った…。

⏰:08/03/03 13:10 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#30 [[werewolf]1/2]
あぁ……
僕は何をしているのだろう。君にはずっと隠していたのに、君が満月が綺麗なんて言うから。君がこんな姿になったのは僕のせいじゃない。否、誰のせいでもないんだ。仕方なかったんだ。だって僕は【狼男】なんだから。満月を見た瞬間から僕の意志に関係なく、手足には体を切り裂き肉をえぐるための爪が生え、体には人間の体毛とは程遠い動物の毛が生えだす。口元は大きく裂け獲物をしとめる為の牙が生える。それから、のどの渇きを潤すために鮮血をを求め、空腹を満たすために肉を求め、欲望のままに女のゾクゾクするような悲鳴を求めてしまう。

⏰:08/03/03 13:30 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#31 [[werewolf]2/2]
そんな僕を見て君は『化け物!!』と叫んだね。そんな事は分かっていたんだ。自分は人間ではないことぐらい百も承知していたよ。それでも人間の姿の時だけは君と同じ時間を過ごし些細なことで幸せを感じられた。幸せだったんだ。こんな淡い時間がずっと続くと思ってた。でも狼になった僕は僕の意志では止められない。ふと我に返ったとき僕が噛みついたであろう君の首筋から溢れ出す朱色の血、命が切れる前の微かな呼吸、赤みをなくした小さな唇、全てが美しいと思ってしまった。


あぁ……
本当に僕は狼なんだな。
もうこれで人を殺したのは4人目だろうか。だがそんな事はもうどうでもいい。僕の愛した人はこの世にいない。否、僕の牙が君をこの世から去らせた。

あぁ……
僕は狼。
人間でもない
狼でもない化け物さ。


ーーーendーーー

⏰:08/03/03 13:31 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#32 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
◆vzApYZDoz6さんの作品
往年のライバル(1/1)
>>5
奇怪な電話(2/2)
>>6
>>9
あの頃の思い出(2/2)
>>10-11
ギャグカオスなシュール(1/1)
>>12
賭け(3/3)
>>19-21
ゆびきりげんまん(2/2)
>>23-24
雪(2/2)
>>26-27
werewolf(2/2)
>>30-31

ふむさんの作品
最期の花(1/1)
>>8
世界の真実(3/3)
>>13
>>16-17
天の邪鬼(3/3)
>>25
>>28-29

梓さんの作品
真夜中の着信(2/2)
>>14-15

⏰:08/03/03 13:58 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#33 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>32←まとめ

ナナシさん多いですね…
書き溜めってやつですか

⏰:08/03/03 13:59 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#34 [◆vzApYZDoz6]
>>33
werewlofは俺じゃないですよw

⏰:08/03/03 14:01 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#35 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
うわぁ〜…
早速ミスですね;
お恥ずかしい!

⏰:08/03/03 14:08 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#36 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
まとめ
◆vzApYZDoz6さんの作品
往年のライバル(1/1)
>>5
奇怪な電話(2/2)
>>6
>>9
あの頃の思い出(2/2)
>>10-11
ギャグカオスなシュール(1/1)
>>12
賭け(3/3)
>>19-21
ゆびきりげんまん(2/2)
>>23-24
雪(2/2)
>>26-27

ふむさんの作品
最期の花(1/1)
>>8
世界の真実(3/3)
>>13
>>16-17
天の邪鬼(3/3)
>>25
>>28-29

梓さんの作品
真夜中の着信(2/2)
>>14-15

F905iさんの作品
werewolf(2/2)
>>30-31

⏰:08/03/03 14:10 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#37 [親御さん(1/1)◆vzApYZDoz6]
独り暮らしを始めて半年程経ったある日、実家から荷物が届いた。
荷物の中身は色とりどりの野菜と、1通の手紙。
とりあえず手紙を読んでみた。

愛する息子へ
お元気ですか?
風邪などひいたりしていませんか?
ちゃんと食べていますか?
出無精なあなたの事だから、きっとカップラーメンなどばかり食べているのでしょうね。
実家で採れた野菜を送ります。それで栄養の偏りを改善してちょうだいね。
母より

まったく、心配性な母ちゃんだ。




「…だからって電話してきたら手紙入れた意味ないじゃん!」
『いやね、ちゃんと届いたかどうか気になっちゃってぇ』

親って、そういうもんです。

⏰:08/03/03 14:10 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#38 [紫陽花]

F905iで[werewolf]を
書いたのは私です

名前入れてなくて
すみません!!

⏰:08/03/03 14:13 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#39 [◆vzApYZDoz6]
>>38
了解ですー
名無しでも全然OKですよ!

⏰:08/03/03 14:18 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#40 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>38
まさかの紫陽花さん!
書いたのですね。了解です

⏰:08/03/03 14:26 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#41 [紫陽花[生きる理由]]
またこの季節がやってきた。
君の温もりを失ってから何度目だろうか。よくこの公園の桜の木の下のベンチで二人の将来を話したな……。

二人で部屋を借りよう、君は料理ができないから僕が炊事担当、たまの休みに今流行りの映画を見よう。

今でも鮮明に思い出せる君との思い出。

でも君の時間はあの日の夜止まってしまった。僕もすぐに君の元へ行こうとしたんだぜ。だけど君の声が聞こえたんだ。『もっと生きて。私の分も生きて。』ってね。だから僕は今も君のいない世界で生きてる。

君のいないこの世界は黒と白のただのパズルさ。
でも僕は生きる。
なぜって?

君が生きろと言ったから。
そんな単純な理由で僕は生きてる。でも人生ってそんなもんだろ?君なら分かってくれるかな……。

ーーーendーーー

⏰:08/03/03 14:40 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#42 [[延長戦]ふむ(1/1)◆s8/1o/v/Vc]
吹き荒れる風の中、二人は完全に対峙した。
鋭い眼光を互いにぶつけ合う。
こうして会うのは何年ぶりだろうか。
ザインが姿を眩まして三年…あの頃は同じくらいの実力で、いつも引き分けに終わっていた。
あいつはあれからどのくらい強くなったのか…。
両者の間に生暖かく強い風が吹き抜ける。
これも、運命か…。
ゆっくりと瞼を閉じて覚悟を決める。
久しぶりにザインの戦い方を思い出す。
いつも先手必勝とばかりに、まずあいつが切り込んで来る。
今もそうなのかは定かではない。
唯一あの頃と変わっている所は、この殺気篭った眼光。
冷静に瞼を開いて相手を見据える。
先に動き出したのはザインであった。
ザインは刀を抜き取ると構えすらせずに強く地面を蹴った。
人間とは思えない速さで風を切り大地を駆って真っ直ぐと相手に向かっていく。
無駄な動きは一切見られなかった。
黒い残像を残しながら月光に照らされて鋭く光る刃が軌道を描く。
あれだけあった距離を、一瞬で詰められた。
ザインの動きにジークは完全に硬直していた。
ザインが瞬時に危機を感じ反射的に身を後ろへ退く。
後退しながら刀に手を伸ばした時には、すでに遅かった。
風切音と共に襲い掛かる刃が眼前に迫る。

なんだよ…強ぇじゃん。

刀の太刀筋を追うように閃光の如く走る軌道を目に焼き付けて、ジークの意識は途絶えた。
力無く崩れ落ちたジークの口許には、僅かに笑みを帯びているように見えた。

⏰:08/03/03 15:09 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#43 [河上彦斎(1/3)◆vzApYZDoz6]
江戸時代末期。
町外れの山道を歩く、1人の男がいた。
西陣の袴を着て、髷を結い、腰に刀を差している。
どこへ行くでもない。ただ強き者を求めて歩き、それと見えて斬り伏せる。
理由もなく人を斬るが、快楽殺人者という訳ではない。
いわゆる『修羅の道』を歩む者。強きに打ち勝つことでしか、己の存在意義を感じない者。
それが、その男。男はいつしか『修羅の者』と呼称されるようになった。

修羅の者は今日も強き者を求め野を渡る。
過去には数えきれない程の使い手を斬り伏せてきた。
京に於いては槍の名手と。大坂に於いては鎖鎌を繰る口引と。
伊勢に於いては柳生一族の末裔と。
薩摩に於いては弓と矢を駆る老傀と。
土佐に於いては節棍を使う女と。
数々の人間と、数々の武具を打ち倒してきた。
修羅の者はそれでも満足せず、ただひたすらに強き者を求めていた。

⏰:08/03/03 15:41 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#44 [河上彦斎(1/3)◆vzApYZDoz6]
そんな修羅の者の前に、ある1人の男が立ちはだかった。

立ちはだかった男は、手に西洋式の筒を持っていた。その筒には見覚えがあった。
自動拳銃。江戸末期の世では珍しい、近代兵器の第1歩。

「俺と合い見えてもらおうか」

男が自動拳銃を突き付ける。
西洋の龍のエングレーブが入った銃。
その龍を静かに見つめ、修羅の者は薄く笑った。
同時に刀に手を掛ける。
抜刀と同時に凪ぎ払われる刀身。男は突き付けていた銃身を立てて剣撃を受け止める。
刀の速度を殺さずに、銃身を横に倒して受け流

⏰:08/03/03 15:42 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#45 [河上彦斎(2/3)◆vzApYZDoz6]
>>44また途切れたw
しかも44とか不吉w

そんな修羅の者の前に、ある1人の男が立ちはだかった。

立ちはだかった男は、手に西洋式の筒を持っていた。その筒には見覚えがあった。
自動拳銃。江戸末期の世では珍しい、近代兵器の第1歩。

「俺と合い見えてもらおうか」

男が自動拳銃を突き付ける。
西洋の龍のエングレーブが入った銃。
その龍を静かに見つめ、修羅の者は薄く笑った。
同時に刀に手を掛ける。
抜刀と同時に凪ぎ払われる刀身。男は突き付けていた銃身を立てて剣撃を受け止める。
刀の速度を殺さずに、銃身を横に倒して受け流す。そのまま手首を回して銃口を修羅の者に向け、引き金を引いた。

⏰:08/03/03 15:46 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#46 [河上彦斎(3/3)◆vzApYZDoz6]
射出された弾丸は、現代のそれとは違い決して速くない。
それでも、銃口を向けられて尚笑みを浮かべる修羅の者を殺すには十分な速度があった。

だが、弾は修羅の者に当たらなかった。
受け流された刀の柄ギリギリに逆の手を添えて、テコの原理で刀身を無理やりに軌道修正。
つばめ返しと呼ばれる連撃技。
柄の真ん中を支点にして切り上げられた刃が、射出された鉛弾と銃身を両断し、一緒に引き金に掛けられた男の指を切断した。

「があっ!!」

思わず斬られた手を抱えて蹲る男の先で、振り上げられた刀身が妖しく光る。
それに気付いた男が顔を上げる前に、男の体は右肩から袈裟懸けに斬り裂かれた。

辺りに飛び散る緋色の鮮血。
修羅の者は、倒れ伏す男ではなく斬り捨てた刀を睨んでいた。
幾度となく血を纏った刀身は、赤黒く変色している。
とうに輝きを失った刀をしばらく眺めて、付いた血を振り払い鞘に納めた。
足下に転がる男の死体には目もくれず、修羅の者は再び歩き出す。

より強き者を、より強き武具を求めて。
ただひたすらに、修羅の道を歩いていった。

⏰:08/03/03 15:47 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#47 [[人斬り]ふむ(1/1)◆s8/1o/v/Vc]
人斬り。
それが俺の称号だった。
俺が名乗ったものではない。
世が俺に与えた名だ。
別にこの名は好きじゃないが、嫌いでもない。
なぜなら間違っていないから。
俺は人を殺す。
どんな形であれ、それは変わらない。
俺は人殺しだ。
皆が恐れる殺人鬼だ。
血塗られた太刀も、その味を覚えてしまっている。
滴る鮮血に、肉を切り裂く味を。
昨日も人を殺した。
洞窟の中にたむろしていた野党だったか…。
そんな事はどうでもいい。
俺は洞窟の地面や岩壁を血の色で汚し、血臭を充満させた。
十人前後いた人間は、俺の前で、俺の手によってただの肉の塊と化した。
人斬り。
それが大量殺人鬼である俺に付けられた呼称。
ぼんやりと空を眺めていたら、近くに女の叫び声が響いた。
見れば、河原で若い女が下衆な三人の男に襲われている。
俺は太刀に手を掛けた。
ゆっくりと歩を進める。
人を斬るために。
今日も、俺はこの手を血に染めて人殺しとなるだろう。

一人の女性のために。

⏰:08/03/03 19:35 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#48 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
◆vzApYZDoz6さんの作品
往年のライバル(1/1)
>>5
奇怪な電話(2/2)
>>6
>>9
あの頃の思い出(2/2)
>>10-11
ギャグカオスなシュール(1/1)
>>12
賭け(3/3)
>>19-21
ゆびきりげんまん(2/2)
>>23-24
雪(2/2)
>>26-27
親御さん(1/1)
>>37
河上彦斎(3/3)
>>43
>>45-46

梓さんの作品
真夜中の着信(2/2)
>>14-15

⏰:08/03/03 19:38 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#49 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ふむさんの作品
最期の花(1/1)
>>8
世界の真実(3/3)
>>13
>>16-17
天の邪鬼(3/3)
>>25
>>28-29
延長戦(1/1)
>>42
人斬り(1/1)
>>47

紫陽花さんの作品
werewolf(2/2)
>>30-31
生きる理由(1/1)
>>41

⏰:08/03/03 19:39 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#50 [紫陽花[私の宝物(1/1)]]
『朝よ〜!!起きなさい!!』
いつものように朝が苦手な息子をたたき起こす。剣道部の息子は昨日の試合の疲れからか今日はいつも以上に起きない。

『まったく…』
でも確かに昨日の試合は素人が見てもスゴい試合だった。我が息子ながらあんなに白熱した闘いを繰り広げられるなんて自分の目を疑ったほどだ。結果は惜しくも負けてしまったが、その時の息子の悔しそうな顔は夫の若い頃そっくりだった。
あぁ……こうやって男の子から男性へと変わるのね、そう思うとなんだか胸が熱くなった。
しかし昨日の白熱した闘いとは裏腹に今は天使のような寝顔で布団にくるまっている。

『だけどまだまだ子供ね』
そういって私は息子の布団を剥ぎ取り起きるよう促した。




今日もまた変わらない
いつもの日々が始まる。


ーーーendーーー

⏰:08/03/03 20:48 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#51 [雨のち晴れ(1/2)◆vzApYZDoz6]
私の体を、夏のぬるい雨が打つ。
心の中も同じく晴れていない。闇が、私の心に突き刺さる。

まぁこれは比喩なんだけど。

どうせならもっと明るいものに刺されたい。

上を向く気力が出ない。
向いてもどうせ雨雲だけ。
傘が無くても雨宿りしようとは思わなかった。
でも光化学スモッグに侵されたこの街の雨は、体にチクチクと突き刺ささってすごく痛い。

まぁ比喩なんだけど。

どうせならもっと優しい雨に刺されたい。

そう思って、とりあえず街から離れるためにバスに乗り込む。
以外と乗車してる人は多い。って今雨降ってたんだっけ。
バスの中でもずぶ濡れの私に視線が痛く突き刺さる。
まぁ比喩なんだけど。

どうせならもっと柔らかい視線に刺されたい。

バスの中はうつ向いてやりすごした。
着いた先は駅。視線を避けるようにうつ向いたまま、さっさと特急電車に乗り込んだ。
尖った視線はもう慣れた。
街から離れる程に人は減る。でもその分、馴れ馴れしい人が増える。
あまり話し掛けてほしくなかったから、ここでもうつ向いて歩いていった。

⏰:08/03/03 23:03 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#52 [雨のち晴れ(2/2)◆vzApYZDoz6]
着いた場所は田舎町の、ある1軒の家。
久しぶりに来た気がする。そこで初めて顔を上げて、家を見上げる。
いつの間にか雨はあがっていた。
あれ?上を向いただけなのに視界が明るくなった気がする。突き刺さるものは柔らかい。

これも比喩?

ううん、違う。明るくて、優しくて、柔らかいものを感じる。

後ろを振り返ると、眩しさに目が眩んだ。
田舎の山々の上に広がる入道雲。その更に上で輝く太陽。
太陽の光を受けた蒸気が、虹となって山々に掛かっていた。

あー、そっか。暗かったのも、怖かったのも、尖ってたのも、私が下を向いていたせいなんだ。

だって、そうでしょう?
いつでもそこにある空が、こんなにも――


後ろの家の戸が開き、聞き慣れた声が聞こえてきた。

「あらあんた…帰ってくるなら電話の1本ぐらい入れたらいいのに。なんかあったのかい?」

「別に。何となくだよ」

本当はふられちゃったからなんだけど。ホームシックになって何が悪い。

でも、思ったより早くに私の心の雨はあがった。
もう大丈夫。

だって、そうでしょう?
そこにいつでもある空が、こんなにも――



――こんなにも、おっきいんだから。

⏰:08/03/03 23:03 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#53 [アダ名で呼んでほしいシュール(1/2)]
「なぁ山中さん、こないだ貸しt」

「ちょっと待ったぁ!!」

「え?なに、どうした?」

「なんであなたは私をアダ名で呼んでくれないの?」

「はっ?いやそんな事よりこないだ貸しt」

「そんな事よりってなによ!!」

「えっ、いや…そんな怒んなよ…」

「それならアダ名で呼んでよ!」

「分かったよ…じゃあ、シューr」

「それは皆呼んでるから面白くない」

「いや皆が呼ぶのがアダ名じゃねぇのかよ?」

「そうねー、私は素直だってよく言われるし『ナオスー』とかいいかも」

「おっと華麗なスルーパス出ました」

「なんか言った!?」

「いや…何も」

⏰:08/03/03 23:58 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#54 [アダ名で呼んでほしいシュール(2/2)]
「じゃあアダ名」

「いや…はっ?」

「ア・ダ・名!!」

「えっと…何だっk」

「ナ・オ・ス・ー!!!」

「怒鳴るなよ…じゃあ、ナオスーさん、こないだ貸s」

「何でさん付け!?アダ名でしょ!?」

「………ナオスー、こないd」

「いやナオスーじゃイマイチ響きが…オナスーとか?…おなす…お茄子、そうだ茄子よ!これからは『なすb」

「だるあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

完…?

⏰:08/03/03 23:59 📱:P903i 🆔:zBYy/l0.


#55 [[空]ふむ(1/2)◆s8/1o/v/Vc]
―ねぇねぇ。
―なぁに?
地下深くの冷たいコンクリートで出来た小部屋に、二人の少年がいた。

空って知ってる?
そら?
うん。
何それ?
外に出るとね、上に青い世界が広がってるんだって!
本当?
本当だよ、話で聞いたもん。
じゃあ…さ。
ん?
見てみようよ、空。
えっ…でも、ここからは出ちゃいけないって…。
うん、そうだね。
…それでも行くの?
僕は行くよ。見てみたいんだ。空を。
でも…。
うん…殺されるかも知れない。でもね…空を知らない人生ってつまらないと思うんだ。
………。
行く?
僕は……。
行かない?
………。
そう…じゃあここでバイバイだよ。
…うん。
じゃあね。今まで、ありがとう。
さよなら…元気でね。
片方の少年は立ち上がると扉に手を掛ける。
もう一人の少年は心配そうな表情に寂しげな目で少年の背中を見つめている。
がちゃり、と重い金属音がして、扉が開かれる。
少年は後ろからの視線に振り返ることなく、扉の向こうに姿を消していった。

⏰:08/03/04 00:02 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#56 [[空]ふむ(2/2)◆s8/1o/v/Vc]
少年は駆け出した。
裸足のまま冷たい廊下をひたすら走った。
突き当たりに立入禁止の文字が書かれた扉がある。
鍵は朽ちていて近くのパイプ椅子で何度か叩けば簡単に壊れた。
老人の言葉を思い出す。
この扉から先へは行ってはいけないよ…。
大人も近づかないこの場所。
この先には何があるのか。
全く知らない未知の世界。
立ち止まっている時間はない。
ばれて捕まったら殺されてしまうだろう。
少年は扉を思い切り開けると勢い良く中へ飛び込んだ。
真っ暗な廊下。
水の滴る音。
唯一の光である切れかけの電球。
じめじめとした湿気を含むコンクリートを強く蹴る。
早く、早く…。
永遠に続きそうな錯覚さえする長い廊下を全力で駆けた。
待っていたのは上へと続く長い階段。
暗くなっていて先が見えない。
少年は荒れた呼吸を少し整えると一歩を踏み出した。
暗く静かな世界にひたひたと少年の足音のみが響く。
前方に何かが見えてきた。
扉だった。
見るからに重そうな扉は錆だらけで隙間から光が漏れていた。
外だ!
少年は駆け出した。
扉に手を掛けると錆が付着しているためかうまく開かない。
扉に何度も体当たりをした。
何回目かの体当たりで扉自体が外れ向こう側の世界が現れる。
視界が光に満ちた。
少年は眩しそうに目を細める。
わぁ…
喜々とした声を上げて頭上を見上げる。
これが空かぁ!
空を描いた映像が広い広い部屋の天井いっぱいに映し出されていた。
そのソラには太陽を模った巨大な電球。
少年は初めて見るソラに感激した。

⏰:08/03/04 00:23 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#57 [<旅立ち>向日葵(1/1)]
これが最後じゃない。
なのに涙が止まらない。

いつでも帰ってきたらいいと不器用に言ってくれた父。
体に気をつけてと優しい母。
寂しいと泣きじゃくる妹。
電車に乗って、夕焼けに染まって行く街並みが、段々と後ろへ遠ざかっていけば、寂しさが胸を押し潰しそうだった。

1人立ち。
大人の気分に浸っていた私。こんなに家族との別れを悲しいと旅立ちを決めた時そんな事を少しでも考えていただろうか。

ありがとう。
今まで支えてくれて。
ワガママを聞いてくれて。

誰よりも、皆の幸せを願います。

⏰:08/03/04 00:46 📱:SO903i 🆔:MhC0f226


#58 [<春への想い>向日葵(1/1)]
雪が降っていた。

しんしんと積もる雪の音に、耳を傾ける。

白に近い灰色の空を見上げながら思うは貴方のこと。

冷たさも感じないくらい、この白い絨毯の上に寝転んでいる。

それほど貴方のことを考えてる。

重いかな?
重いよね。

私の想いはまるで雪のよう。
軽そうに見えて、その想いは積もれば積もるほど重くなっていく。

だから貴方は私の前からいなくなってしまったの?

⏰:08/03/04 00:51 📱:SO903i 🆔:MhC0f226


#59 [<春への想い>向日葵(2/2)]
一筋涙が流れて耳へとつたっていく。

空気のせいか、まだ体温がある顔に触れる涙はひどく冷たく感じた。

まるで貴方の気持ちを表したみたい。
私のことなんて、もう忘れるくらい冷めてしまったのでしょう。

しんしんと降る音の中で、サクサクと軽快に雪を踏む音が聞こえてきた。

この広く白い草原に足を踏み入れたのは誰?

するとやがて、音が無くなって、またしんしんという音だけが聞こえた。

1つの影が私にかぶさる。

⏰:08/03/04 00:55 📱:SO903i 🆔:MhC0f226


#60 [<春への想い>向日葵(2/2)]
間近で見えるは、あの人。
待ちわびた人。
愛しい人。

「冷たいね。」

そう言いながら、凍りついた私の頬に、太陽のように温かい貴方の手が触れる。

そして愛おしそうに私を見つめながら微笑む。

私の心が、寒い冬から草花溢れる春へと変わる。

温かい日差しの中、私は貴方と手を繋ぎ笑いあう。

薬指に、結ばれた証をつけて……。

⏰:08/03/04 00:59 📱:SO903i 🆔:MhC0f226


#61 [<春への想い>向日葵(2/2)]
すいません(3/3)でした

⏰:08/03/04 01:00 📱:SO903i 🆔:MhC0f226


#62 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
向日葵さん
>>58(1/3)
>>59(2/3)
>>60(3/3)ですね?

そろそろまとめますか…

⏰:08/03/04 01:02 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#63 [今から(1/1)◆vzApYZDoz6]
時刻は0:49。

パジャマに着替えてベッドで携帯をいじっていたら、急に着信がきた。
掛けてきたのは友達だ。

「今から行くわw」

いきなりかい。
とりあえず家はみんな寝てるから駄目だが。

「じゃあコンビニの前おってw」

一方的に電話を切られた。
まったく、車の免許を取ってからずっとこれだ。
春休みに入って回数は減ったが、たまにこうして夜中に電話がかかってくる。

まぁ、いいか。

明後日になれば卒業だ、思い出は多い方がいいだろう。

俺は着替えて、家を出た。

今、コンビニの前にいます(実話)

⏰:08/03/04 01:03 📱:P903i 🆔:KmOF1cpQ


#64 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
《まとめ》

◆vzApYZDoz6さんの作品
往年のライバル(1/1)
>>5
奇怪な電話(2/2)
>>6
>>9
あの頃の思い出(2/2)
>>10-11
ギャグカオスなシュール(1/1)
>>12
賭け(3/3)
>>19-21
ゆびきりげんまん(2/2)
>>23-24
雪(2/2)
>>26-27
親御さん(1/1)
>>37
河上彦斎(3/3)
>>43
>>45-46
雨のち晴れ(2/2)
>>51-52
あだ名で呼んでほしいシュール(2/2)
>>53-54
今から(1/1)
>>63

梓さんの作品
真夜中の着信(2/2)
>>14-15

⏰:08/03/04 01:29 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#65 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
《まとめ続き》

ふむさんの作品
最期の花(1/1)
>>8
世界の真実(3/3)
>>13
>>16-17
天の邪鬼(3/3)
>>25
>>28-29
延長戦(1/1)
>>42
人斬り(1/1)
>>47
空(2/2)
>>55-56

紫陽花さんの作品
werewolf(2/2)
>>30-31
生きる理由(1/1)
>>41
私の宝物(1/1)
>>50

向日葵さんの作品
旅立ち(1/1)
>>57
春への想い(3/3)
>>58-60

⏰:08/03/04 01:30 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#66 [家族ドライブ(1/2)に]
一台の車が走る。
「久しぶりのドライブだね、おかあさん!」

そうね。三人なんて本当に久しぶり。

「あのね、おかあさん。おとうさんがへんなの。はなしかけても、おへんじをしてくれないの。ふりむいてくれないの。ねえおかあさん。おとうさんはびょうきなの?くるしいの?」

いいえ。病気でも、苦しくもないのよ。

暗い夜道を、一台の車が走る。
「おかあさんおかあさん。おとうさんはぼくのことがきらいなの?きらいだから、おこってるから、おとうさんはへんなの?」

いいえ、あなたのことをとても愛しているわ。

何かに追われるように、必死で走る。
「おとうさん…」

運転中だから、集中してるのよ。

「おかあさんおかあさん、きょうはどこへいくの?」

多分。

「たぶん?」

⏰:08/03/04 03:10 📱:PC 🆔:gM1Jl6UY


#67 [家族ドライブ(2/2)に]
橋の上で車が止まった。エンジンを切る音がし、息の荒い男が運転席から出てくる。
後部座席のドアを開け大きな黒い袋を引っ張り出し、その重さによろけながらも力任せに、下流に向けて投げた。
重力に逆らうことなく黒い袋はあっと言う間に暗闇に溶け込んで。
激流に呑まれたのか、落ちた音は確認出来なかった。

車に戻った男は声を荒げ後部座席に向かって怒鳴る。

「お前も五月蠅いとなあ、こうしてやるからな!!」

「あのね」


「おかあさんが、ずっと一緒に居たいって。」

穏やかに笑う少年の手にはバタフライナイフ。
その刃先は男の眼球目掛けて迷うことなく振り下ろされた。

そうして。

⏰:08/03/04 03:11 📱:PC 🆔:gM1Jl6UY


#68 [「大好きな赤」向日葵(1/2)]
赤が好き。

私の夢は世界中を赤で染める事。

家の中も全て赤。
赤一色。他の色なんていらない。
赤だけでいい。

だからキョロキョロも、赤で飾ってあげるの……。

「アハハハハハ!!」

楽しいなー。
みーんな真っ赤になってゆくんだもの。

この子も真っ赤になってさぞ喜んでいるのでしょうね……。
とーっても綺麗よ。

⏰:08/03/04 03:30 📱:SO903i 🆔:MhC0f226


#69 [向日葵]
間違えました……キョロキョロじゃなく今日です。

予測変換ミスしました……。(泣)

⏰:08/03/04 03:31 📱:SO903i 🆔:MhC0f226


#70 [「大好きな赤」向日葵(2/2)]
ホラ見て?
頭も、胸も、口も……全部赤じゃない。

赤にしたてるための道具のナイフも赤。
この子から出てきた液体も赤。
そして……それに触れた私の手も……赤。

でもね、周りのほとんどが、赤になっちゃったの。
他に赤くするのが無いわ……。

その時、ふと鏡を見た。

やだ……私赤くないじゃない……。

赤く……赤く……真っ赤にしなくちゃ……。

赤く染まったナイフを、胸の中で脈を打つ場所めがけて突き立てる。

これで私も……





……――――アカ

⏰:08/03/04 03:36 📱:SO903i 🆔:MhC0f226


#71 [夢見て、常日頃(1/2)◆vzApYZDoz6]
静かに寝息をたてる男。
その顔が、徐々に歪んでいく。

「……うわああっ!」

叫びに近い唸りと共に、男がベッドから跳ね起きた。
額に滲む汗を拭いながら、今の状況を確認する。
床に乱雑に置かれた雑誌や漫画。テーブルに置かれた、ぬるくなったお茶が淹れられたコップ。主電源を切り忘れているテレビ。
そこは、男の部屋だった。

「…何かアレな夢だったな」

上半身を起こしたまま目をこすり、もそもそとベッドから出る。
よく分からない夢だったが、なぜか頭に焼き付いている。
ボーッと夢の事を考えながら、とりあえずテレビの主電源を切る。
壁に掛けられた時計を見ると同時に、階下から母親の声が聞こえてきた。

「あんた、早く起きなさい!遅刻するよ!」

時刻は8:05。
別に間に合わない訳でもないが、朝飯は食えないだろう。

いつもの朝と同じ風景。

まだ夢が頭から離れず、考えながら割かし急いで制服に着替える。
その途中で、母親とは違う声が外から聞こえてきた。

「ちょっと早くしてよ!私も遅刻するじゃない!」

2階の窓に向かって叫ぶ幼馴染み。
俺はいつも彼女と一緒に学校へ行っている。

いつもの朝と同じ風景。

今日はあの夢の話を幼馴染みにしようかな。
そう考えながら階段を下りていく。

⏰:08/03/04 04:19 📱:P903i 🆔:KmOF1cpQ


#72 [夢見て、常日頃(2/2)◆vzApYZDoz6]
1階の食卓の上には、おそらく俺のために作られたであろう朝飯が並んでいる。
味噌汁にご飯、納豆、サンマの塩焼き。なんとも伝統的な日本食だ。
いつの間にか家に上がっていた幼馴染みが、その朝飯に手を出していた。
途中で俺に気付き、慌てて味噌汁を啜る。

「行ってきます」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」

食べかけの朝飯を名残惜しげに見つめる幼馴染みの腕を引っ張り、玄関を出る。

いつもの朝と同じ風景。

通学路で、早速今朝見た夢の話をしてみる事にした。

「あのさ、今日変な夢を見たんだけど」
「あんたの夢なんか知らないわよ」

あっさりと切り捨てられた。
まぁ彼女はこういう性格だ。無駄にツンデレだから仕方がない。

「できれば聞いてほしいなー、なんて」
「………話しなさい」

幼馴染みの顔が少し優しくなる。
じゃあ、と切り出して夢の話をし始めた。
もちろん夢の話なんて最初だけで、5分も経てば話題は変わるんだが。要するに夢の話は、会話を始めるきっかけだ。

いつもの朝と同じ風景。


でも、いつもより幼馴染みの肩が近かった。

⏰:08/03/04 04:20 📱:P903i 🆔:KmOF1cpQ


#73 [始まりは白紙から(1/1)◆vzApYZDoz6]
「食らえ、断罪の左手!」
「漆黒の渦潮よ、飲み込め」

男が斧と化した左手がふりかぶるのを、女は微動だにせず佇んでいる。
だが左手が振るわれる前に、2人の眼前に闇が現れた。
闇は、2人を包み込んで――

「懐かしいな、小学生の自由帳か」

ページを捲る音。
闇となったページの次は、真っ白だった。
部屋を片付けていたら出てきた、あの頃の思い出。
ページの片隅にいる『彼ら』の冒険は、あの頃から時間が止まったまま。

そして今、真っ白なページに十数年振りに冒険が書き込まれる。

『彼ら』の旅が、再び始まろうとしていた。

⏰:08/03/04 20:48 📱:P903i 🆔:KmOF1cpQ


#74 [◆vzApYZDoz6]
ところで皆さんお題の存在は知ってるんですかね?
>>2にお題があります
まぁお題を使う必要は別にないんですが…

しかし参加者が少ない…

⏰:08/03/04 20:52 📱:P903i 🆔:KmOF1cpQ


#75 [リナ「死にたがりスティング」1/2]
 
スティングスティング
彼はスティング
 
スティングスティング
死にたがり
 
僕が知ってるだけでも10回は馬に蹴られ、それ以上に滝にのまれてる。
 
何でそんなに死にたいの?聞いたんだ。
なんて言ったと思う?
 
死ぬのが生きがいなんだって。
ふふっ笑っちゃうよね。
 
今はこの町で一番高い灯台の天辺にいるよ。
 
今日はあそこから海に飛び落ちるんだって。
 
でもスティングは死なない。
なにをしても死なないよ?
 
スティング以外みんな知ってる。
スティングの秘密。
 
でもスティングには絶対教えてあげないんだっ。
 

⏰:08/03/04 21:37 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#76 [リナ「死にたがりスティング」2/2]
 
スティングスティング
彼はスティング
 
スティングスティング
僕の友達
 
僕のひいお爺ちゃんより長くこの村にいるスティング。
 
こっそり教えてあげよーかな?
 
人は二度死ねないんだよって。
 
END

⏰:08/03/04 21:38 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#77 [◆vzApYZDoz6]
>>75-76
ホラーいいですねぇw

ついでにあげ

⏰:08/03/04 22:04 📱:P903i 🆔:KmOF1cpQ


#78 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>75-76
追加しましたw
ホラー良いですねぇ!

⏰:08/03/04 22:13 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#79 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしとアイはいつも一緒。
ご飯のときも、寝るときも、お風呂も歯磨きもぜーんぶ一緒。
 
あたしとアイはすごく高いところにあるお部屋に住んでる。
お父さんはビルって言ってた。
ベランダっていう窓からお外が見えるけど、危ないから出ちゃダメなんだって。
 
一緒に住んでるお父さんは、二人目のお父さん。
一人目のお父さんは優しくていつも一緒に遊んでくれて大好きだったけど、いなくなっちゃった。
それから今のお父さんのお家にお引っ越ししたの。
でも今のお父さんは一緒に遊んでくれないしお仕事であまりお家にいないから、あたしは前のお父さんの方が好きなんだ。
お父さんには秘密だよ。
 
あたしは公園が大好き。
ブランコとかお砂場とかジャングルジムとか、楽しいのがいっぱいあるから。
でも、公園には行っちゃいけないの。
今はぶっそうなよのなかだからってお父さんが言ってたけど、あたしもアイもよくわからない。
一度お父さんがお仕事に行ってるときに、アイと二人でこっそり公園に行こうとした。
でもお部屋のドアが開かなくて、出られなかった。

⏰:08/03/05 00:39 📱:SH903i 🆔:sHcifOgU


#80 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
今のお父さんのお家に来てから、あたしはお外で遊んでないの。
アイと二人で、お父さんがつくったごはんを食べたり、テレビを見たりしてる。
でも、アイはお外に出てるの。
あたしが寝てる時にお父さんに連れて行ってもらってるんだって。
アイがお外に行った次の日は、あたしにお外の話をしてくれて楽しい。
でも、どうして?
アイとあたしはいつも一緒なのに。
どうしてアイだけお外に出られるの?
アイに聞いてみたけど、テレビを見ててお返事してくれなかった。
 
 
今日のお天気は雨で、いつも窓から見てるお外がよく見えない。
アイがあたしを呼んでる。
なあに?
 
――お外に出たい?
 
出たいよ。公園でブランコにのりたいな。
 
――じゃあ次にお父さんとお出かけするときは代わってあげる。
 
ほんと?
 
――うん。
 
夜、お父さんがアイを呼んだ。
あたしはアイのふりして、お父さんと一緒にお部屋を出た。
ひさしぶりにお外に出てうれしかった。

⏰:08/03/05 00:45 📱:SH903i 🆔:sHcifOgU


#81 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
でもお父さんがあたしに言ってくることがよくわからない。
“ほてる”とか“ごほうし”とかむずかしい言葉で話しかけてくる。
お父さんが運転する車にのっていたら、ピカピカ光ってきれいなお城に車のまま入っちゃった。
 
 
お父さんと一緒に車をおりて、お城の中のお部屋に入った。
お父さんがお風呂に入りなさいって言ったけど、あたしはアイと一緒じゃないと入れないの。
だから、今日はお風呂いらないって言ったら、お父さんが服を脱がせてくれた。
お父さんが一緒にお風呂に入ってくれるのかと思ったけど、違った。
お部屋の真ん中にあるおっきなベッドに寝かされて、お父さんの手があたしの体のいろんなところを触ったりなでたりしてる。
お父さん、なにしてるんだろう?
 
――まだあなたにはわからないね。
 
アイ?
お父さんは、なにをしてるの?
アイとお父さんはいつもこんなことしてるの?
 
――逃げないで。ちゃんと向き合って。本当は知ってたんでしょ?
 
アイ、なにいってるの?
 
――あの人と、したことを。知ってたんでしょ?
 
やだ……。
 
――あなたが消したい記憶を、全部あたしが背負ったの。
 
やめてよ……聞きたくない!
 
――聞いて! あたしは……
 
 
 
その瞬間、全部思い出した。
アイは、あたし――。

⏰:08/03/05 00:51 📱:SH903i 🆔:sHcifOgU


#82 [蜜月◆oycAM.aIfI]
ごめんなさい!
名前のとこにレス数書くの忘れちゃいました…(´Д⊂

⏰:08/03/05 00:58 📱:SH903i 🆔:sHcifOgU


#83 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>82さん
(3/3)ですね?

⏰:08/03/05 01:04 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#84 [蜜月◆oycAM.aIfI]
>>83 ふむさん
はい、3レスで一本です!
失礼しましたっ(´・ω・`)

⏰:08/03/05 01:16 📱:SH903i 🆔:sHcifOgU


#85 [◆vzApYZDoz6]
>>84
乙です!

⏰:08/03/05 01:46 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#86 [ありがとう。さようなら(1/3)]
始まりは、1本の電話からだった。

『みかんは好きですか?』

好きです、と答えると、相手が楽しそうに声を弾ませる。

『みかんと言えばこたつ、こたつと言えばみかん。この無限ループって素敵じゃないですか?私は日本人が忘れてしまったこたつ文化を思い出してもらうためにこうして電話したんです。こたつでぬくぬくとしながら、甘いみかんを頬張る。テレビを見るのもオツですね。是非ともこたつを出してみてはどうですか?』

そうまくし立てて電話がぷっつりと切れた。

「こたつか、懐かしいな。じいちゃんが死んでから出してないな、そういや」

俺はばあちゃんを呼びつけて、こたつをどこにしまったのか確認する。
聞いた俺は居間に向かい、こたつを押し入れから引っ張りだした。
アナログな24インチの角形テレビの前に来るようにセッティング。
篭にみかんをなるだけ放り込み、こたつの上のど真ん中に置いた。
こたつのコンセントを差し込んでセット完了。
雪でも降ってりゃ完璧なんだけどな。
そう考えていると、ばあちゃんがやって来た。

「あら、こたつをしまったのはどこだ、って聞いたと思ったら」
「懐かしいだろ?」
「そうだねぇ。入っていいかねぇ?」
「もちろんだよ。このこたつには、俺には平成の、ばあちゃんには昭和の思い出が詰まってる。謂わばタイムマシンさ」
「あらあら、面白そうだね。そいじゃタイムトラベルといこうかい」

⏰:08/03/05 01:47 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#87 [ありがとう。さようなら(2/3)]
俺とばあちゃんはこたつに入って、テレビを見ながら話を始めた。
思出話に花を咲かせる。
こたつでぬくもった体を、冷たいみかんを頬張ることで弛緩させる。
いい意味で腑抜けた状態で、それでも話のネタが尽きる事はない。
じいちゃんとばあちゃんの思い出、母ちゃんの子供の頃の事、父ちゃんが挨拶に来た時の事、姉ちゃんの笑い話、母ちゃんがまだ赤ん坊の俺を連れてきた時の事。
話題に上がったみんなは、俺とばあちゃんを残してもういない。
ばあちゃんがとても穏やかな顔で話を続ける。俺も記憶をたどり、いなくなったみんなを思い出していく。

「…なぁばあちゃん」
「なんだい?」
「寂しく、ないの?」

ばあちゃんは少しきょとんとした顔をして、やっぱり穏やかに笑った。

「私はね、いなくなったみんなを覚えているよ。おじいさんも、あんたの父ちゃんも母ちゃんも姉ちゃんも。今こうしてこたつでみかんを食べてると、みんなを思い出すんだよ。だから、少し悲しくなるねぇ。でも、寂しくはないんだよ」

あんたが、いるからねぇ。
そう付け加えて、ばあちゃんは天気予報に目をやった。
俺は天気予報を見て、居間を出てすぐにある庭に面した廊下の、大きな窓へ向かった。
外は、雪がちらついていた。

⏰:08/03/05 01:48 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#88 [ありがとう。さようなら(3/3)]
「…ばあちゃん」

外を見たまま、言う。

「なんだい?」
「俺さ、今までみんなの事で泣けなかったんだ。泣かなかったんじゃなくて、泣けなかった。みんな唐突だったから、頭が理解してなかったんだと思う」
「知ってたさ」
「俺はそれでいいと思ってた。泣かない方がいいんだ、って」

少し外を眺めて振り返る。
「でも、さ。みんな…優しいよな」

優しい雪を後ろに、居間を見る。

こたつを囲んで。
ばあちゃんの対面にじいちゃんが。
2人の間に、父ちゃんと母ちゃんが。
俺が座ってた隣に姉ちゃんが。
みんな、穏やかに。優しく笑っていた。

「…あの電話に感謝しなきゃな。言い忘れてた事を言える事に」

俺も笑い返した。
みんなを忘れないように。
でも、ちゃんと言えるように。



「ありがとう。さようなら」



やっと泣けるな。

俺は、そう小さく呟いた。

ばあちゃんは、ずっと穏やかに笑っていた。

⏰:08/03/05 01:49 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#89 [ボン太]
ヤッホーい
飛び入り参加と聞いてこのボンタ様がやってきたぜー

「ふもっふもふも!」

ハハハなーに遠慮することはないぞ皆の諸君!!


ハーハッハッハッ
ハーハッハッハッ
ハーハッハッハッ


……………ふぅ

⏰:08/03/05 02:01 📱:N902iX 🆔:MVHHZNIk


#90 [◆vzApYZDoz6]
>>89
いいぞ参加者が増えてきた!www


ガンガン参加してくれ!

⏰:08/03/05 02:25 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#91 [Bloody Valentine(1/1)◆vzApYZDoz6]
「何ですかこれは何なんだ。今の状況を説明しろ簡潔に20字以内で説明しろ」

教室の真ん中で佇む女子生徒に、自分でもキモいと思うぐらい早口で問う。
まったく混乱していた。
朝教室に向かうと、そこは血の海。
ありきたりな比喩表現なんかじゃなく、本当に。
床は一面、どす黒く変色した赤。
壁には引き摺られたような、吹き掛けられたような、ぶちまけたような凄惨な血の跡。
真ん中でスパッと両断されてる机や椅子が、血の海に転がっている。
その中央に、クラスメイトであるその女子が立っていた。
ぶっちゃけると片想いしてる女子なんだけど。
今はそいつに説明責任を突き付けている真っ最中。

「…説明がいるのか?」
「普通に考えて当然だろ」

いや、別に説明しなくても彼女の手に握られた赤い刀身の日本刀を見れば、だいたい分かるけど。
そういや彼女は剣道部だったな、等とあまりにズレた考えが頭を過った。
まぁ1つ救いがあるとすれば、他のクラスメイトの死体が無いって事か。
全然救いにならねぇと思うだろうが、仲が良い奴の惨殺死体があるよかマシだ。

「…教室が、血の海だ」
「あー分かった俺が悪かった質問変えるわ。何で血の海だ?」

黒髪を靡かせて仁王立ちする彼女はやっぱり綺麗だ。
むしろ返り血を浴びて普段より綺麗だ。
いやいや、こんな状況で見とれてどうするんだよ。

「…私がやったんだ」

そう言うと彼女は俺との距離を一気に詰めた。

「お前も私のために紅になってくれ」

私のため、ってのは嬉しいが何の道理だそりゃ。

何でだよ、とまた説明を求めた俺の声は、首に刺さった刀身に邪魔されて喉を通らなかった。

⏰:08/03/05 02:28 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#92 [トイレ借りたいシュール(1/2)◆vzApYZDoz6]
ピンポーン

「………………」

ピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポ
ガチャ

「インターホンを連打するんじゃねぇ!」

「いいじゃんお前んちだし」

「ほう。俺んちなら何をしても許されると」

「火を着けても許されると思ってます」

「帰r」

「お邪魔しまーす!」

「うむ。言い得て妙なり。…で何しに来た?」

「ウ○コしに来た」

「なるほど、トイレを貸してもらえるのはお前の中で決定事項か。あ、その一番奥ね」

「サンキュー!」

⏰:08/03/05 02:43 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#93 [トイレ借りたいシュール(2/2)◆vzApYZDoz6]
ガチャ

「…えっ?」

「おっと、可愛らしい子がパンツを下ろしt」

「キャー!!」

「ところで何してるの?」

「…えっ?いや、えっと…」

「大便だろどう見ても」

「ああ、どうりで」

「小です!!ていうかどうりでって何!?」

「これはいい」

「つうか鍵閉めとけよ」

「その前に早くドア閉めてよ!!」

「…………」

バタン

「と言うわけですまんがもうちょい我慢してくれ」

「あっ、満足したからもういいや」

完…?

⏰:08/03/05 02:44 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#94 [選ばれた男(1/2)に]
ああなんだ、気付かなかったよ。私はなんて愚か者だったんだ。
いつも見上げていた空はこんなにも青く清々しく広がっていて。
春の匂いを漂わせた風が私の鼻をすり抜けていて。

あたたかい。
あたたかい。

ああなんでこんな素晴らしいことに気付かなかったのだろう。
私は真の愚か者か。


でもどうだい、つまらない人生を送っていた私でも
毎日は素晴らしいと気付けた!

私は覚醒した!

なんてことだろう。
これに気付けただけで周りの風景はこんなにも変わるものなのだろうか。

どうして今まで気付けなかったのだろう。
私はてっきり、自分が普通のつまらない人間だと勘違いして、普通に生きてきてしまったのだ。

それが、だ。
自分にこんな力があったなんて。
春の朝、仕事の準備をしていた僕の目の前に、突然君が舞い降りて
貴男は
選ばれた戦士だ
なんて言うものだから、戸惑うのが当たり前じゃないか。

だが今なら信じれる。
だから思えるんだ。
これほど生きていて良かったと思う日は、無い。ってね。

⏰:08/03/05 17:16 📱:N904i 🆔:CoKvvlsU


#95 [選ばれた男(2/2)に]
私はもう年を取りすぎたからと、断ろうとしたのに
今からでも遅くはないと君は言ってくれたから。

ああなんて素晴らしいのだろう。この沸き上がる喜びはなんだろう。
そう、これはチャンスだ。レールの上に敷かれた人生から、飛び出すチャンスだ!
私は素晴らしい世界を知らない。虹色に輝く毎日を知らない。味わったことがない。煌めいた景色を。素晴らしい人達を。まだ見ぬ敵を。

見てみたい。
見てみたい。

見たいんだ。
旅立ちは、今だ。

少しの金と食料があれば充分だ。仲間は、旅先で増えていくさ。

親には、伝説になった時にまた顔を見せに行けばいい。家庭を持っていない私には持ってこいの条件ではないか。


―準備は、できた。
心臓が高鳴っている。体中を暴れる様に強く血液が波打っている。重い腰を上げた私の膝が、震えている。

でも私はもう逃げない。振り返らない。
強くなりたいなら前へ進めと君が教えてくれたから。

額に流れる汗を吹く。もう大丈夫、大丈夫だ。怖くないと言えば嘘になるが、それ以上の希望が私にはあるんだ。


私を待っているのは、輝く未来だ!!!!!!






そうして私は、君に教えて貰った通り
ビルの屋上から飛び降りた。

⏰:08/03/05 17:23 📱:N904i 🆔:CoKvvlsU


#96 [◆vzApYZDoz6]
《現在のまとめ》

◆vzApYZDoz6さんの作品
往年のライバル(1/1)
>>5
奇怪な電話(2/2)
>>6
>>9
あの頃の思い出(2/2)
>>10-11
ギャグカオスなシュール(1/1)
>>12
賭け(3/3)
>>19-21
ゆびきりげんまん(2/2)
>>23-24
雪(2/2)
>>26-27
親御さん(1/1)
>>37
河上彦斎(3/3)
>>43
>>45-46
雨のち晴れ(2/2)
>>51-52
あだ名で呼んでほしいシュール(2/2)
>>53-54
今から(1/1)
>>63

⏰:08/03/05 21:38 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#97 [◆vzApYZDoz6]
◆vzApYZDoz6さんの作品
夢見て、常日頃
>>71-72
始まりは白紙から
>>73
ありがとう。さようなら
>>86-88
Bloody Valentine
>>91
トイレ借りたいシュール
>>92-93

梓さんの作品
真夜中の着信(2/2)
>>14-15

⏰:08/03/05 21:39 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#98 [◆vzApYZDoz6]
ふむさんの作品
最期の花(1/1)
>>8
世界の真実(3/3)
>>13
>>16-17
天の邪鬼(3/3)
>>25
>>28-29
延長戦(1/1)
>>42
人斬り(1/1)
>>47
空(2/2)
>>55-56

紫陽花さんの作品
werewolf(2/2)
>>30-31
生きる理由(1/1)
>>41
私の宝物(1/1)
>>50

⏰:08/03/05 21:40 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#99 [◆vzApYZDoz6]
向日葵さんの作品
旅立ち(1/1)
>>57
春への想い(3/3)
>>58-60
大好きな赤
>>68-70

にさんの作品
家族ドライブ
>>66-67
選ばれた男
>>94-95
リナさんの作品
死にたがりスティング
>>75-76

蜜月さんの作品
双子の正体
>>79-81

ボン太さんの作品
タイトルなし
>>89

⏰:08/03/05 21:40 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


#100 [◆vzApYZDoz6]
さて、まとめもえらい量になってますがw

100レス突破しました!

と言うわけで新たにお題を追加したいと思います

お題
@電車
Aささやかな幸せ
B手紙
C都会

>>2のお題も引き続き使っておkです!
もちろんお題を使わなくてもおk!

引き続きC―Boxの皆様の参加&投下待ってます!

⏰:08/03/05 21:47 📱:P903i 🆔:/Un8CKCQ


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