【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#51 [雨のち晴れ(1/2)◆vzApYZDoz6]
私の体を、夏のぬるい雨が打つ。
心の中も同じく晴れていない。闇が、私の心に突き刺さる。
まぁこれは比喩なんだけど。
どうせならもっと明るいものに刺されたい。
上を向く気力が出ない。
向いてもどうせ雨雲だけ。
傘が無くても雨宿りしようとは思わなかった。
でも光化学スモッグに侵されたこの街の雨は、体にチクチクと突き刺ささってすごく痛い。
まぁ比喩なんだけど。
どうせならもっと優しい雨に刺されたい。
そう思って、とりあえず街から離れるためにバスに乗り込む。
以外と乗車してる人は多い。って今雨降ってたんだっけ。
バスの中でもずぶ濡れの私に視線が痛く突き刺さる。
まぁ比喩なんだけど。
どうせならもっと柔らかい視線に刺されたい。
バスの中はうつ向いてやりすごした。
着いた先は駅。視線を避けるようにうつ向いたまま、さっさと特急電車に乗り込んだ。
尖った視線はもう慣れた。
街から離れる程に人は減る。でもその分、馴れ馴れしい人が増える。
あまり話し掛けてほしくなかったから、ここでもうつ向いて歩いていった。
:08/03/03 23:03 :P903i :zBYy/l0.
#52 [雨のち晴れ(2/2)◆vzApYZDoz6]
着いた場所は田舎町の、ある1軒の家。
久しぶりに来た気がする。そこで初めて顔を上げて、家を見上げる。
いつの間にか雨はあがっていた。
あれ?上を向いただけなのに視界が明るくなった気がする。突き刺さるものは柔らかい。
これも比喩?
ううん、違う。明るくて、優しくて、柔らかいものを感じる。
後ろを振り返ると、眩しさに目が眩んだ。
田舎の山々の上に広がる入道雲。その更に上で輝く太陽。
太陽の光を受けた蒸気が、虹となって山々に掛かっていた。
あー、そっか。暗かったのも、怖かったのも、尖ってたのも、私が下を向いていたせいなんだ。
だって、そうでしょう?
いつでもそこにある空が、こんなにも――
後ろの家の戸が開き、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あらあんた…帰ってくるなら電話の1本ぐらい入れたらいいのに。なんかあったのかい?」
「別に。何となくだよ」
本当はふられちゃったからなんだけど。ホームシックになって何が悪い。
でも、思ったより早くに私の心の雨はあがった。
もう大丈夫。
だって、そうでしょう?
そこにいつでもある空が、こんなにも――
――こんなにも、おっきいんだから。
:08/03/03 23:03 :P903i :zBYy/l0.
#53 [アダ名で呼んでほしいシュール(1/2)]
「なぁ山中さん、こないだ貸しt」
「ちょっと待ったぁ!!」
「え?なに、どうした?」
「なんであなたは私をアダ名で呼んでくれないの?」
「はっ?いやそんな事よりこないだ貸しt」
「そんな事よりってなによ!!」
「えっ、いや…そんな怒んなよ…」
「それならアダ名で呼んでよ!」
「分かったよ…じゃあ、シューr」
「それは皆呼んでるから面白くない」
「いや皆が呼ぶのがアダ名じゃねぇのかよ?」
「そうねー、私は素直だってよく言われるし『ナオスー』とかいいかも」
「おっと華麗なスルーパス出ました」
「なんか言った!?」
「いや…何も」
:08/03/03 23:58 :P903i :zBYy/l0.
#54 [アダ名で呼んでほしいシュール(2/2)]
「じゃあアダ名」
「いや…はっ?」
「ア・ダ・名!!」
「えっと…何だっk」
「ナ・オ・ス・ー!!!」
「怒鳴るなよ…じゃあ、ナオスーさん、こないだ貸s」
「何でさん付け!?アダ名でしょ!?」
「………ナオスー、こないd」
「いやナオスーじゃイマイチ響きが…オナスーとか?…おなす…お茄子、そうだ茄子よ!これからは『なすb」
「だるあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
完…?
:08/03/03 23:59 :P903i :zBYy/l0.
#55 [[空]ふむ(1/2)◆s8/1o/v/Vc]
―ねぇねぇ。
―なぁに?
地下深くの冷たいコンクリートで出来た小部屋に、二人の少年がいた。
空って知ってる?
そら?
うん。
何それ?
外に出るとね、上に青い世界が広がってるんだって!
本当?
本当だよ、話で聞いたもん。
じゃあ…さ。
ん?
見てみようよ、空。
えっ…でも、ここからは出ちゃいけないって…。
うん、そうだね。
…それでも行くの?
僕は行くよ。見てみたいんだ。空を。
でも…。
うん…殺されるかも知れない。でもね…空を知らない人生ってつまらないと思うんだ。
………。
行く?
僕は……。
行かない?
………。
そう…じゃあここでバイバイだよ。
…うん。
じゃあね。今まで、ありがとう。
さよなら…元気でね。
片方の少年は立ち上がると扉に手を掛ける。
もう一人の少年は心配そうな表情に寂しげな目で少年の背中を見つめている。
がちゃり、と重い金属音がして、扉が開かれる。
少年は後ろからの視線に振り返ることなく、扉の向こうに姿を消していった。
:08/03/04 00:02 :SH905i :☆☆☆
#56 [[空]ふむ(2/2)◆s8/1o/v/Vc]
少年は駆け出した。
裸足のまま冷たい廊下をひたすら走った。
突き当たりに立入禁止の文字が書かれた扉がある。
鍵は朽ちていて近くのパイプ椅子で何度か叩けば簡単に壊れた。
老人の言葉を思い出す。
この扉から先へは行ってはいけないよ…。
大人も近づかないこの場所。
この先には何があるのか。
全く知らない未知の世界。
立ち止まっている時間はない。
ばれて捕まったら殺されてしまうだろう。
少年は扉を思い切り開けると勢い良く中へ飛び込んだ。
真っ暗な廊下。
水の滴る音。
唯一の光である切れかけの電球。
じめじめとした湿気を含むコンクリートを強く蹴る。
早く、早く…。
永遠に続きそうな錯覚さえする長い廊下を全力で駆けた。
待っていたのは上へと続く長い階段。
暗くなっていて先が見えない。
少年は荒れた呼吸を少し整えると一歩を踏み出した。
暗く静かな世界にひたひたと少年の足音のみが響く。
前方に何かが見えてきた。
扉だった。
見るからに重そうな扉は錆だらけで隙間から光が漏れていた。
外だ!
少年は駆け出した。
扉に手を掛けると錆が付着しているためかうまく開かない。
扉に何度も体当たりをした。
何回目かの体当たりで扉自体が外れ向こう側の世界が現れる。
視界が光に満ちた。
少年は眩しそうに目を細める。
わぁ…
喜々とした声を上げて頭上を見上げる。
これが空かぁ!
空を描いた映像が広い広い部屋の天井いっぱいに映し出されていた。
そのソラには太陽を模った巨大な電球。
少年は初めて見るソラに感激した。
:08/03/04 00:23 :SH905i :☆☆☆
#57 [<旅立ち>向日葵(1/1)]
これが最後じゃない。
なのに涙が止まらない。
いつでも帰ってきたらいいと不器用に言ってくれた父。
体に気をつけてと優しい母。
寂しいと泣きじゃくる妹。
電車に乗って、夕焼けに染まって行く街並みが、段々と後ろへ遠ざかっていけば、寂しさが胸を押し潰しそうだった。
1人立ち。
大人の気分に浸っていた私。こんなに家族との別れを悲しいと旅立ちを決めた時そんな事を少しでも考えていただろうか。
ありがとう。
今まで支えてくれて。
ワガママを聞いてくれて。
誰よりも、皆の幸せを願います。
:08/03/04 00:46 :SO903i :MhC0f226
#58 [<春への想い>向日葵(1/1)]
雪が降っていた。
しんしんと積もる雪の音に、耳を傾ける。
白に近い灰色の空を見上げながら思うは貴方のこと。
冷たさも感じないくらい、この白い絨毯の上に寝転んでいる。
それほど貴方のことを考えてる。
重いかな?
重いよね。
私の想いはまるで雪のよう。
軽そうに見えて、その想いは積もれば積もるほど重くなっていく。
だから貴方は私の前からいなくなってしまったの?
:08/03/04 00:51 :SO903i :MhC0f226
#59 [<春への想い>向日葵(2/2)]
一筋涙が流れて耳へとつたっていく。
空気のせいか、まだ体温がある顔に触れる涙はひどく冷たく感じた。
まるで貴方の気持ちを表したみたい。
私のことなんて、もう忘れるくらい冷めてしまったのでしょう。
しんしんと降る音の中で、サクサクと軽快に雪を踏む音が聞こえてきた。
この広く白い草原に足を踏み入れたのは誰?
するとやがて、音が無くなって、またしんしんという音だけが聞こえた。
1つの影が私にかぶさる。
:08/03/04 00:55 :SO903i :MhC0f226
#60 [<春への想い>向日葵(2/2)]
間近で見えるは、あの人。
待ちわびた人。
愛しい人。
「冷たいね。」
そう言いながら、凍りついた私の頬に、太陽のように温かい貴方の手が触れる。
そして愛おしそうに私を見つめながら微笑む。
私の心が、寒い冬から草花溢れる春へと変わる。
温かい日差しの中、私は貴方と手を繋ぎ笑いあう。
薬指に、結ばれた証をつけて……。
:08/03/04 00:59 :SO903i :MhC0f226
#61 [<春への想い>向日葵(2/2)]
すいません(3/3)でした
:08/03/04 01:00 :SO903i :MhC0f226
#62 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 01:02 :SH905i :☆☆☆
#63 [今から(1/1)◆vzApYZDoz6]
時刻は0:49。
パジャマに着替えてベッドで携帯をいじっていたら、急に着信がきた。
掛けてきたのは友達だ。
「今から行くわw」
いきなりかい。
とりあえず家はみんな寝てるから駄目だが。
「じゃあコンビニの前おってw」
一方的に電話を切られた。
まったく、車の免許を取ってからずっとこれだ。
春休みに入って回数は減ったが、たまにこうして夜中に電話がかかってくる。
まぁ、いいか。
明後日になれば卒業だ、思い出は多い方がいいだろう。
俺は着替えて、家を出た。
今、コンビニの前にいます(実話)
:08/03/04 01:03 :P903i :KmOF1cpQ
#64 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 01:29 :SH905i :☆☆☆
#65 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 01:30 :SH905i :☆☆☆
#66 [家族ドライブ(1/2)に]
一台の車が走る。
「久しぶりのドライブだね、おかあさん!」
そうね。三人なんて本当に久しぶり。
「あのね、おかあさん。おとうさんがへんなの。はなしかけても、おへんじをしてくれないの。ふりむいてくれないの。ねえおかあさん。おとうさんはびょうきなの?くるしいの?」
いいえ。病気でも、苦しくもないのよ。
暗い夜道を、一台の車が走る。
「おかあさんおかあさん。おとうさんはぼくのことがきらいなの?きらいだから、おこってるから、おとうさんはへんなの?」
いいえ、あなたのことをとても愛しているわ。
何かに追われるように、必死で走る。
「おとうさん…」
運転中だから、集中してるのよ。
「おかあさんおかあさん、きょうはどこへいくの?」
多分。
「たぶん?」
:08/03/04 03:10 :PC :gM1Jl6UY
#67 [家族ドライブ(2/2)に]
橋の上で車が止まった。エンジンを切る音がし、息の荒い男が運転席から出てくる。
後部座席のドアを開け大きな黒い袋を引っ張り出し、その重さによろけながらも力任せに、下流に向けて投げた。
重力に逆らうことなく黒い袋はあっと言う間に暗闇に溶け込んで。
激流に呑まれたのか、落ちた音は確認出来なかった。
車に戻った男は声を荒げ後部座席に向かって怒鳴る。
「お前も五月蠅いとなあ、こうしてやるからな!!」
「あのね」
「おかあさんが、ずっと一緒に居たいって。」
穏やかに笑う少年の手にはバタフライナイフ。
その刃先は男の眼球目掛けて迷うことなく振り下ろされた。
そうして。
:08/03/04 03:11 :PC :gM1Jl6UY
#68 [「大好きな赤」向日葵(1/2)]
赤が好き。
私の夢は世界中を赤で染める事。
家の中も全て赤。
赤一色。他の色なんていらない。
赤だけでいい。
だからキョロキョロも、赤で飾ってあげるの……。
「アハハハハハ!!」
楽しいなー。
みーんな真っ赤になってゆくんだもの。
この子も真っ赤になってさぞ喜んでいるのでしょうね……。
とーっても綺麗よ。
:08/03/04 03:30 :SO903i :MhC0f226
#69 [向日葵]
間違えました……キョロキョロじゃなく今日です。
予測変換ミスしました……。(泣)
:08/03/04 03:31 :SO903i :MhC0f226
#70 [「大好きな赤」向日葵(2/2)]
ホラ見て?
頭も、胸も、口も……全部赤じゃない。
赤にしたてるための道具のナイフも赤。
この子から出てきた液体も赤。
そして……それに触れた私の手も……赤。
でもね、周りのほとんどが、赤になっちゃったの。
他に赤くするのが無いわ……。
その時、ふと鏡を見た。
やだ……私赤くないじゃない……。
赤く……赤く……真っ赤にしなくちゃ……。
赤く染まったナイフを、胸の中で脈を打つ場所めがけて突き立てる。
これで私も……
……――――アカ
:08/03/04 03:36 :SO903i :MhC0f226
#71 [夢見て、常日頃(1/2)◆vzApYZDoz6]
静かに寝息をたてる男。
その顔が、徐々に歪んでいく。
「……うわああっ!」
叫びに近い唸りと共に、男がベッドから跳ね起きた。
額に滲む汗を拭いながら、今の状況を確認する。
床に乱雑に置かれた雑誌や漫画。テーブルに置かれた、ぬるくなったお茶が淹れられたコップ。主電源を切り忘れているテレビ。
そこは、男の部屋だった。
「…何かアレな夢だったな」
上半身を起こしたまま目をこすり、もそもそとベッドから出る。
よく分からない夢だったが、なぜか頭に焼き付いている。
ボーッと夢の事を考えながら、とりあえずテレビの主電源を切る。
壁に掛けられた時計を見ると同時に、階下から母親の声が聞こえてきた。
「あんた、早く起きなさい!遅刻するよ!」
時刻は8:05。
別に間に合わない訳でもないが、朝飯は食えないだろう。
いつもの朝と同じ風景。
まだ夢が頭から離れず、考えながら割かし急いで制服に着替える。
その途中で、母親とは違う声が外から聞こえてきた。
「ちょっと早くしてよ!私も遅刻するじゃない!」
2階の窓に向かって叫ぶ幼馴染み。
俺はいつも彼女と一緒に学校へ行っている。
いつもの朝と同じ風景。
今日はあの夢の話を幼馴染みにしようかな。
そう考えながら階段を下りていく。
:08/03/04 04:19 :P903i :KmOF1cpQ
#72 [夢見て、常日頃(2/2)◆vzApYZDoz6]
1階の食卓の上には、おそらく俺のために作られたであろう朝飯が並んでいる。
味噌汁にご飯、納豆、サンマの塩焼き。なんとも伝統的な日本食だ。
いつの間にか家に上がっていた幼馴染みが、その朝飯に手を出していた。
途中で俺に気付き、慌てて味噌汁を啜る。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
食べかけの朝飯を名残惜しげに見つめる幼馴染みの腕を引っ張り、玄関を出る。
いつもの朝と同じ風景。
通学路で、早速今朝見た夢の話をしてみる事にした。
「あのさ、今日変な夢を見たんだけど」
「あんたの夢なんか知らないわよ」
あっさりと切り捨てられた。
まぁ彼女はこういう性格だ。無駄にツンデレだから仕方がない。
「できれば聞いてほしいなー、なんて」
「………話しなさい」
幼馴染みの顔が少し優しくなる。
じゃあ、と切り出して夢の話をし始めた。
もちろん夢の話なんて最初だけで、5分も経てば話題は変わるんだが。要するに夢の話は、会話を始めるきっかけだ。
いつもの朝と同じ風景。
でも、いつもより幼馴染みの肩が近かった。
:08/03/04 04:20 :P903i :KmOF1cpQ
#73 [始まりは白紙から(1/1)◆vzApYZDoz6]
「食らえ、断罪の左手!」
「漆黒の渦潮よ、飲み込め」
男が斧と化した左手がふりかぶるのを、女は微動だにせず佇んでいる。
だが左手が振るわれる前に、2人の眼前に闇が現れた。
闇は、2人を包み込んで――
「懐かしいな、小学生の自由帳か」
ページを捲る音。
闇となったページの次は、真っ白だった。
部屋を片付けていたら出てきた、あの頃の思い出。
ページの片隅にいる『彼ら』の冒険は、あの頃から時間が止まったまま。
そして今、真っ白なページに十数年振りに冒険が書き込まれる。
『彼ら』の旅が、再び始まろうとしていた。
:08/03/04 20:48 :P903i :KmOF1cpQ
#74 [◆vzApYZDoz6]
ところで皆さんお題の存在は知ってるんですかね?
>>2にお題があります
まぁお題を使う必要は別にないんですが…
しかし参加者が少ない…
:08/03/04 20:52 :P903i :KmOF1cpQ
#75 [リナ「死にたがりスティング」1/2]
スティングスティング
彼はスティング
スティングスティング
死にたがり
僕が知ってるだけでも10回は馬に蹴られ、それ以上に滝にのまれてる。
何でそんなに死にたいの?聞いたんだ。
なんて言ったと思う?
死ぬのが生きがいなんだって。
ふふっ笑っちゃうよね。
今はこの町で一番高い灯台の天辺にいるよ。
今日はあそこから海に飛び落ちるんだって。
でもスティングは死なない。
なにをしても死なないよ?
スティング以外みんな知ってる。
スティングの秘密。
でもスティングには絶対教えてあげないんだっ。
:08/03/04 21:37 :N905i :☆☆☆
#76 [リナ「死にたがりスティング」2/2]
スティングスティング
彼はスティング
スティングスティング
僕の友達
僕のひいお爺ちゃんより長くこの村にいるスティング。
こっそり教えてあげよーかな?
人は二度死ねないんだよって。
END
:08/03/04 21:38 :N905i :☆☆☆
#77 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/04 22:04 :P903i :KmOF1cpQ
#78 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 22:13 :SH905i :☆☆☆
#79 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしとアイはいつも一緒。
ご飯のときも、寝るときも、お風呂も歯磨きもぜーんぶ一緒。
あたしとアイはすごく高いところにあるお部屋に住んでる。
お父さんはビルって言ってた。
ベランダっていう窓からお外が見えるけど、危ないから出ちゃダメなんだって。
一緒に住んでるお父さんは、二人目のお父さん。
一人目のお父さんは優しくていつも一緒に遊んでくれて大好きだったけど、いなくなっちゃった。
それから今のお父さんのお家にお引っ越ししたの。
でも今のお父さんは一緒に遊んでくれないしお仕事であまりお家にいないから、あたしは前のお父さんの方が好きなんだ。
お父さんには秘密だよ。
あたしは公園が大好き。
ブランコとかお砂場とかジャングルジムとか、楽しいのがいっぱいあるから。
でも、公園には行っちゃいけないの。
今はぶっそうなよのなかだからってお父さんが言ってたけど、あたしもアイもよくわからない。
一度お父さんがお仕事に行ってるときに、アイと二人でこっそり公園に行こうとした。
でもお部屋のドアが開かなくて、出られなかった。
:08/03/05 00:39 :SH903i :sHcifOgU
#80 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
今のお父さんのお家に来てから、あたしはお外で遊んでないの。
アイと二人で、お父さんがつくったごはんを食べたり、テレビを見たりしてる。
でも、アイはお外に出てるの。
あたしが寝てる時にお父さんに連れて行ってもらってるんだって。
アイがお外に行った次の日は、あたしにお外の話をしてくれて楽しい。
でも、どうして?
アイとあたしはいつも一緒なのに。
どうしてアイだけお外に出られるの?
アイに聞いてみたけど、テレビを見ててお返事してくれなかった。
今日のお天気は雨で、いつも窓から見てるお外がよく見えない。
アイがあたしを呼んでる。
なあに?
――お外に出たい?
出たいよ。公園でブランコにのりたいな。
――じゃあ次にお父さんとお出かけするときは代わってあげる。
ほんと?
――うん。
夜、お父さんがアイを呼んだ。
あたしはアイのふりして、お父さんと一緒にお部屋を出た。
ひさしぶりにお外に出てうれしかった。
:08/03/05 00:45 :SH903i :sHcifOgU
#81 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
でもお父さんがあたしに言ってくることがよくわからない。
“ほてる”とか“ごほうし”とかむずかしい言葉で話しかけてくる。
お父さんが運転する車にのっていたら、ピカピカ光ってきれいなお城に車のまま入っちゃった。
お父さんと一緒に車をおりて、お城の中のお部屋に入った。
お父さんがお風呂に入りなさいって言ったけど、あたしはアイと一緒じゃないと入れないの。
だから、今日はお風呂いらないって言ったら、お父さんが服を脱がせてくれた。
お父さんが一緒にお風呂に入ってくれるのかと思ったけど、違った。
お部屋の真ん中にあるおっきなベッドに寝かされて、お父さんの手があたしの体のいろんなところを触ったりなでたりしてる。
お父さん、なにしてるんだろう?
――まだあなたにはわからないね。
アイ?
お父さんは、なにをしてるの?
アイとお父さんはいつもこんなことしてるの?
――逃げないで。ちゃんと向き合って。本当は知ってたんでしょ?
アイ、なにいってるの?
――あの人と、したことを。知ってたんでしょ?
やだ……。
――あなたが消したい記憶を、全部あたしが背負ったの。
やめてよ……聞きたくない!
――聞いて! あたしは……
その瞬間、全部思い出した。
アイは、あたし――。
:08/03/05 00:51 :SH903i :sHcifOgU
#82 [蜜月◆oycAM.aIfI]
ごめんなさい!
名前のとこにレス数書くの忘れちゃいました…(´Д⊂
:08/03/05 00:58 :SH903i :sHcifOgU
#83 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/05 01:04 :SH905i :☆☆☆
#84 [蜜月◆oycAM.aIfI]
>>83 ふむさん
はい、3レスで一本です!
失礼しましたっ(´・ω・`)
:08/03/05 01:16 :SH903i :sHcifOgU
#85 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 01:46 :P903i :/Un8CKCQ
#86 [ありがとう。さようなら(1/3)]
始まりは、1本の電話からだった。
『みかんは好きですか?』
好きです、と答えると、相手が楽しそうに声を弾ませる。
『みかんと言えばこたつ、こたつと言えばみかん。この無限ループって素敵じゃないですか?私は日本人が忘れてしまったこたつ文化を思い出してもらうためにこうして電話したんです。こたつでぬくぬくとしながら、甘いみかんを頬張る。テレビを見るのもオツですね。是非ともこたつを出してみてはどうですか?』
そうまくし立てて電話がぷっつりと切れた。
「こたつか、懐かしいな。じいちゃんが死んでから出してないな、そういや」
俺はばあちゃんを呼びつけて、こたつをどこにしまったのか確認する。
聞いた俺は居間に向かい、こたつを押し入れから引っ張りだした。
アナログな24インチの角形テレビの前に来るようにセッティング。
篭にみかんをなるだけ放り込み、こたつの上のど真ん中に置いた。
こたつのコンセントを差し込んでセット完了。
雪でも降ってりゃ完璧なんだけどな。
そう考えていると、ばあちゃんがやって来た。
「あら、こたつをしまったのはどこだ、って聞いたと思ったら」
「懐かしいだろ?」
「そうだねぇ。入っていいかねぇ?」
「もちろんだよ。このこたつには、俺には平成の、ばあちゃんには昭和の思い出が詰まってる。謂わばタイムマシンさ」
「あらあら、面白そうだね。そいじゃタイムトラベルといこうかい」
:08/03/05 01:47 :P903i :/Un8CKCQ
#87 [ありがとう。さようなら(2/3)]
俺とばあちゃんはこたつに入って、テレビを見ながら話を始めた。
思出話に花を咲かせる。
こたつでぬくもった体を、冷たいみかんを頬張ることで弛緩させる。
いい意味で腑抜けた状態で、それでも話のネタが尽きる事はない。
じいちゃんとばあちゃんの思い出、母ちゃんの子供の頃の事、父ちゃんが挨拶に来た時の事、姉ちゃんの笑い話、母ちゃんがまだ赤ん坊の俺を連れてきた時の事。
話題に上がったみんなは、俺とばあちゃんを残してもういない。
ばあちゃんがとても穏やかな顔で話を続ける。俺も記憶をたどり、いなくなったみんなを思い出していく。
「…なぁばあちゃん」
「なんだい?」
「寂しく、ないの?」
ばあちゃんは少しきょとんとした顔をして、やっぱり穏やかに笑った。
「私はね、いなくなったみんなを覚えているよ。おじいさんも、あんたの父ちゃんも母ちゃんも姉ちゃんも。今こうしてこたつでみかんを食べてると、みんなを思い出すんだよ。だから、少し悲しくなるねぇ。でも、寂しくはないんだよ」
あんたが、いるからねぇ。
そう付け加えて、ばあちゃんは天気予報に目をやった。
俺は天気予報を見て、居間を出てすぐにある庭に面した廊下の、大きな窓へ向かった。
外は、雪がちらついていた。
:08/03/05 01:48 :P903i :/Un8CKCQ
#88 [ありがとう。さようなら(3/3)]
「…ばあちゃん」
外を見たまま、言う。
「なんだい?」
「俺さ、今までみんなの事で泣けなかったんだ。泣かなかったんじゃなくて、泣けなかった。みんな唐突だったから、頭が理解してなかったんだと思う」
「知ってたさ」
「俺はそれでいいと思ってた。泣かない方がいいんだ、って」
少し外を眺めて振り返る。
「でも、さ。みんな…優しいよな」
優しい雪を後ろに、居間を見る。
こたつを囲んで。
ばあちゃんの対面にじいちゃんが。
2人の間に、父ちゃんと母ちゃんが。
俺が座ってた隣に姉ちゃんが。
みんな、穏やかに。優しく笑っていた。
「…あの電話に感謝しなきゃな。言い忘れてた事を言える事に」
俺も笑い返した。
みんなを忘れないように。
でも、ちゃんと言えるように。
「ありがとう。さようなら」
やっと泣けるな。
俺は、そう小さく呟いた。
ばあちゃんは、ずっと穏やかに笑っていた。
:08/03/05 01:49 :P903i :/Un8CKCQ
#89 [ボン太]
ヤッホーい
飛び入り参加と聞いてこのボンタ様がやってきたぜー
「ふもっふもふも!」
ハハハなーに遠慮することはないぞ皆の諸君!!
ハーハッハッハッ
ハーハッハッハッ
ハーハッハッハッ
……………ふぅ
:08/03/05 02:01 :N902iX :MVHHZNIk
#90 [◆vzApYZDoz6]
>>89いいぞ参加者が増えてきた!www
ガンガン参加してくれ!
:08/03/05 02:25 :P903i :/Un8CKCQ
#91 [Bloody Valentine(1/1)◆vzApYZDoz6]
「何ですかこれは何なんだ。今の状況を説明しろ簡潔に20字以内で説明しろ」
教室の真ん中で佇む女子生徒に、自分でもキモいと思うぐらい早口で問う。
まったく混乱していた。
朝教室に向かうと、そこは血の海。
ありきたりな比喩表現なんかじゃなく、本当に。
床は一面、どす黒く変色した赤。
壁には引き摺られたような、吹き掛けられたような、ぶちまけたような凄惨な血の跡。
真ん中でスパッと両断されてる机や椅子が、血の海に転がっている。
その中央に、クラスメイトであるその女子が立っていた。
ぶっちゃけると片想いしてる女子なんだけど。
今はそいつに説明責任を突き付けている真っ最中。
「…説明がいるのか?」
「普通に考えて当然だろ」
いや、別に説明しなくても彼女の手に握られた赤い刀身の日本刀を見れば、だいたい分かるけど。
そういや彼女は剣道部だったな、等とあまりにズレた考えが頭を過った。
まぁ1つ救いがあるとすれば、他のクラスメイトの死体が無いって事か。
全然救いにならねぇと思うだろうが、仲が良い奴の惨殺死体があるよかマシだ。
「…教室が、血の海だ」
「あー分かった俺が悪かった質問変えるわ。何で血の海だ?」
黒髪を靡かせて仁王立ちする彼女はやっぱり綺麗だ。
むしろ返り血を浴びて普段より綺麗だ。
いやいや、こんな状況で見とれてどうするんだよ。
「…私がやったんだ」
そう言うと彼女は俺との距離を一気に詰めた。
「お前も私のために紅になってくれ」
私のため、ってのは嬉しいが何の道理だそりゃ。
何でだよ、とまた説明を求めた俺の声は、首に刺さった刀身に邪魔されて喉を通らなかった。
:08/03/05 02:28 :P903i :/Un8CKCQ
#92 [トイレ借りたいシュール(1/2)◆vzApYZDoz6]
ピンポーン
「………………」
ピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポ
ガチャ
「インターホンを連打するんじゃねぇ!」
「いいじゃんお前んちだし」
「ほう。俺んちなら何をしても許されると」
「火を着けても許されると思ってます」
「帰r」
「お邪魔しまーす!」
「うむ。言い得て妙なり。…で何しに来た?」
「ウ○コしに来た」
「なるほど、トイレを貸してもらえるのはお前の中で決定事項か。あ、その一番奥ね」
「サンキュー!」
:08/03/05 02:43 :P903i :/Un8CKCQ
#93 [トイレ借りたいシュール(2/2)◆vzApYZDoz6]
ガチャ
「…えっ?」
「おっと、可愛らしい子がパンツを下ろしt」
「キャー!!」
「ところで何してるの?」
「…えっ?いや、えっと…」
「大便だろどう見ても」
「ああ、どうりで」
「小です!!ていうかどうりでって何!?」
「これはいい」
「つうか鍵閉めとけよ」
「その前に早くドア閉めてよ!!」
「…………」
バタン
「と言うわけですまんがもうちょい我慢してくれ」
「あっ、満足したからもういいや」
完…?
:08/03/05 02:44 :P903i :/Un8CKCQ
#94 [選ばれた男(1/2)に]
ああなんだ、気付かなかったよ。私はなんて愚か者だったんだ。
いつも見上げていた空はこんなにも青く清々しく広がっていて。
春の匂いを漂わせた風が私の鼻をすり抜けていて。
あたたかい。
あたたかい。
ああなんでこんな素晴らしいことに気付かなかったのだろう。
私は真の愚か者か。
でもどうだい、つまらない人生を送っていた私でも
毎日は素晴らしいと気付けた!
私は覚醒した!
なんてことだろう。
これに気付けただけで周りの風景はこんなにも変わるものなのだろうか。
どうして今まで気付けなかったのだろう。
私はてっきり、自分が普通のつまらない人間だと勘違いして、普通に生きてきてしまったのだ。
それが、だ。
自分にこんな力があったなんて。
春の朝、仕事の準備をしていた僕の目の前に、突然君が舞い降りて
貴男は
選ばれた戦士だ
なんて言うものだから、戸惑うのが当たり前じゃないか。
だが今なら信じれる。
だから思えるんだ。
これほど生きていて良かったと思う日は、無い。ってね。
:08/03/05 17:16 :N904i :CoKvvlsU
#95 [選ばれた男(2/2)に]
私はもう年を取りすぎたからと、断ろうとしたのに
今からでも遅くはないと君は言ってくれたから。
ああなんて素晴らしいのだろう。この沸き上がる喜びはなんだろう。
そう、これはチャンスだ。レールの上に敷かれた人生から、飛び出すチャンスだ!
私は素晴らしい世界を知らない。虹色に輝く毎日を知らない。味わったことがない。煌めいた景色を。素晴らしい人達を。まだ見ぬ敵を。
見てみたい。
見てみたい。
見たいんだ。
旅立ちは、今だ。
少しの金と食料があれば充分だ。仲間は、旅先で増えていくさ。
親には、伝説になった時にまた顔を見せに行けばいい。家庭を持っていない私には持ってこいの条件ではないか。
―準備は、できた。
心臓が高鳴っている。体中を暴れる様に強く血液が波打っている。重い腰を上げた私の膝が、震えている。
でも私はもう逃げない。振り返らない。
強くなりたいなら前へ進めと君が教えてくれたから。
額に流れる汗を吹く。もう大丈夫、大丈夫だ。怖くないと言えば嘘になるが、それ以上の希望が私にはあるんだ。
私を待っているのは、輝く未来だ!!!!!!
そうして私は、君に教えて貰った通り
ビルの屋上から飛び降りた。
:08/03/05 17:23 :N904i :CoKvvlsU
#96 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:38 :P903i :/Un8CKCQ
#97 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:39 :P903i :/Un8CKCQ
#98 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:40 :P903i :/Un8CKCQ
#99 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:40 :P903i :/Un8CKCQ
#100 [◆vzApYZDoz6]
さて、まとめもえらい量になってますがw
100レス突破しました!
と言うわけで新たにお題を追加したいと思います
お題
@電車
Aささやかな幸せ
B手紙
C都会
>>2のお題も引き続き使っておkです!
もちろんお題を使わなくてもおk!
引き続きC―Boxの皆様の参加&投下待ってます!
:08/03/05 21:47 :P903i :/Un8CKCQ
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