【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#101 [紫陽花[手紙(1/1)]]
拝啓 母上様

お母さん元気?
私はもちろん元気だよ!!
仕事も一段落したし先週の金曜日には先輩達に歓迎会を開いてもらったの。先輩達はみんないい人だよ。
そうそう!!焼き鳥のおいしい店を紹介してもらったし、夜景の綺麗な場所も教えてもらったから今度こっちに来たら一緒に食べようね。


最近気付いたんだけど、こっちではあんまり星が見えないみたいなの。漫画みたいに高くそびえ立ったビルが綺麗な星達を隠しちゃってる。やっぱり都会は違うみたい。なんかちょっと悲しくなっちゃった。

あっ!!
私がホームシックになってると思ったでしょ!!もう子供じゃないんだからホームシックなんかならないよ!!
まぁ…
たまにお母さんのご飯が食べたくなるけどね。

では体に気をつけてね。
お母さん、すぐに無理するから娘は心配だよ!!



またメールじゃなくて手紙書くから。楽しみにしてて!!

ちょっと
  ホームシックな娘より

⏰:08/03/05 23:49 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#102 [[電車(1/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
朝一番、切符売り場で路線図とにらめっこしながら悩む。
行き先は自由だ。途中下車も乗り換えも、し放題。
 
 
まず僕は、ローカル線十駅分の切符を買って、いろいろな路線が集まっている主要駅へと向かう。
これで、選択肢は何倍にも広がった。
 
 
だが、良いことばかりではない。
切符売り場を目指すものの、駅校内はかなり混雑していて、目が回りそうだ。
ようやく路線図が見えた。
線や点が交わりあってとてもややこしい。
人の波から逃れたくて、急いで券売機のボタンを押す。
しかし慌てすぎて、目的地とは逆方向の切符を買ってしまった。
仕方なく電車に乗り込む。
 
人が多い。さっきの駅よりも混雑している。
周囲の乗客と自分の間に隙間がない。身動きが取れない。
電車の揺れに合わせて、車両ごとに何十人という人間が一つの塊になって揺れる。
だんだんと息苦しくなってきた。もう無理だ!

⏰:08/03/06 00:30 📱:SH903i 🆔:IsrrLMx6


#103 [[電車(2/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
直後に停まった駅で、人をかきわけ無理矢理降りる。
購入した切符を半分程無駄にしたが、しょうがない。我慢出来なかった。
 
 
高く昇った太陽の光が射すプラットフォームで、ベンチに座って少し休憩すると呼吸も整った。
再び切符売り場に行き、路線図を見上げる。
もう混雑はこりごりだ、人が少ないところにしよう。遠回りになっても良い。
また新しい切符を手に入れる。
 
電車に乗り込むと、その車内にはほとんど乗客がいない。
一番ゆっくり出来そうな場所の座席を選んで、腰を降ろす。
ぎゅうぎゅう詰めの電車では押し潰されないように必死で、周りを気にする余裕など無かった。
だがここでは、斜め前に座っている若い男性の腕に目がいった。
有名な高級腕時計をつけている。こんなに若いのに……。
羨ましく思ったが、乗り過ごしてはいけないので到着するまで切符を見つめていた。

⏰:08/03/06 00:32 📱:SH903i 🆔:IsrrLMx6


#104 [[電車(3/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
電車を降りて、その切符を自動改札機に通す。
と、異常を知らせるチャイムが鳴り、駅員が駆けつけた。
切符に不備は無い。改札機の不調のようだ。たまにはこんなこともある。
気を取り直して切符売り場へ。
今回はかなり悩む。路線図を目で辿り続ける。
長時間悩んだ末に、ボタンを押す。駅の入口から見える遠くの空は、もうオレンジだ。
 
車内に入ると、座席が全て埋まっている。しかし、目的地はもうすぐそこだ。座れなくても構わない。音を立てて閉じたドアに背を預ける。
だが、ふと思い付いて振り返る。
この車両は今、山に囲まれた町の中を走っている。
夕暮れの町並みや山々は、暮れかけの太陽のせいで真っ赤に染められていて、息を飲む程美しい。
この景色は、夕暮れの限られた時間しか見ることができないのに、偶然見られた僕はとてつもなく幸運だ。
 
 
そして、僕を乗せた電車は目的地へと近づく。
 
駅の名前は「天国」。
 
 
……そう、これは僕の人生。
 
本当の人生は敷かれたレールの上を辿るのでは無く、縦横無尽に繋がっているたくさんのレールの中から、一つの道のりを選び取るということだ。

⏰:08/03/06 00:35 📱:SH903i 🆔:IsrrLMx6


#105 [◆vzApYZDoz6]
>>101
乙です!
二人称の短編はやっぱいいですねー

>>102-104
3レス乙です!
最後がなんかすごくいいw

⏰:08/03/06 01:54 📱:P903i 🆔:5soVjE/o


#106 [蜜月◆oycAM.aIfI]
>>105 ◆vzApYZDoz6さん
駄作を呼んでいただいて…ありがとうございます(´∀`)

正直、終わり方わかんなくなっちゃったんで無理矢理しめましたw
褒めていただけてすごく嬉しいです!

⏰:08/03/06 02:15 📱:SH903i 🆔:IsrrLMx6


#107 [◆vzApYZDoz6]
>>106
こういう短編を読みたくてスレを立てましたから(´∀`)
これぞフリーダム!

俺は投下しすぎな気がしますからwガンガン投下してくだされ

⏰:08/03/06 02:58 📱:P903i 🆔:5soVjE/o


#108 [蜜月◆oycAM.aIfI]
>>107 ◆vzApYZDoz6さん

フリーダム万歳!

逆にあたしは、◆vzApYZDoz6さんのSSSすごく勉強になるので、もっと読みたいです(・∀・)
また書いたら投下させていただきますのでよろしくです!

⏰:08/03/06 03:15 📱:SH903i 🆔:IsrrLMx6


#109 [◆vzApYZDoz6]
>>108
勉強になりますかwまぁネタ思い付いたら投下しますw

どうぞー
連続投下もおkですよ

⏰:08/03/06 09:46 📱:P903i 🆔:5soVjE/o


#110 [[手紙]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
朝の眩しい陽射しを浴びて俺は玄関から外に出た。
冷たく清々しい空気を肺いっぱいに吸い込む。
サンダルの隙間から刺さるような冷たささえ、早朝を感じさせる。
俺は門にある郵便受けの前に立った。
白い郵便受けも陽射しを浴びて反射しながら朝を楽しんでいる。
自然と緊張で顔が強張る。
俺は今にも早くなりそうな鼓動を抑えた。
ゆっくり深呼吸をして、冷たい空気が肺に流れ込めば、早くなりつつある脈拍を緩くしていった。
意を決して郵便受けに手を伸ばす。
微かな金属の摩擦音を立てて開かれた蓋の中には、いくつかの郵便物があった。
俺の視線はそれらを一切捉えず、ある一つの郵便物にだけ目を奪われていた。
黒い、無地の便箋。
切手や宛先主の名がない事から、直接郵便受けに入れられた事がわかる。
中身を確認しなくても内容はわかった。
……殺人予告だ。
すでに二週間近く続いているこの脅迫状。
中には恐らく今までと同じように「今日、貴方を外出中に殺します」と書かれているのだろう。
今日も暗い部屋でびくびくと怯える一日が始まると思うと、自然と表情も曇る。

⏰:08/03/06 12:26 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#111 [[手紙]ふむ(2/3)◆s8/1o/v/Vc]
犯人を突き止めようと、徹夜で窓から見張ったこともあった。
しかしどういうことか、脅迫状は何故か朝には郵便受けに収まっているのである。
その後も見張ったが、結局わからず仕舞いで、三日で諦めた。

警察には言えなかった。
理由はない。俺の本能が嫌っているのだ。
同時に、本能は警察に言えば手紙は止まるとも言っている。
しかし止まるといっても、それを確信している本能自身が警察に行くなと言うのだから仕方がない。

俺は郵便物を引っ張り出すと黒い便箋を片手に家に戻った。
カーテンが締め切られた薄暗い部屋に入ると、真っ先に机に向かう。
途中ベッドを横切る時に、他の郵便物を投げ捨てた。
机に辿り着くと引き出しを開ける。
中には手に持っているのと同じ黒い便箋が十何通も入っていた。
無造作に手に持っていたそれも、引き出しに放る。
ぱさり、と軽い音を立てて黒い便箋は中に収まった。
引き出しを戻すと、俺は気分が悪くなってきた。
毎日のように来る脅迫状に、精神的に舞ってきたのだ。
力無くベッドに倒れ込む。
目を閉じればすぐに睡魔はやって来た。
俺は糸が切れたように眠りに着いた。

⏰:08/03/06 12:27 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#112 [[手紙]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
ひやりとした寒さを感じて、俺は目を覚ました。
カーテンに光はなく、すでに夜だということがわかった。
俺は起き上がると、机に付いている照明の電源を入れた。
明日の支度をしなければ…。
白い紙を出して、ボールペンで文字を綴る。
書き終えると机の隅に置いてある封筒から、黒い便箋を取り出した。
紙を中に入れると、俺は黒い便箋を片手にふらふらと部屋に出ていった。
しばらくすると、部屋の扉が開かれる。
帰ってきた俺の手にはすでに手紙はなく、外に行ってたのか身体が更に冷えて小刻みに震えていた。
再びベッドに崩れ落ちる。
黒い便箋は明日も送られて来るだろう。
俺に恐怖を運ぶために…。

⏰:08/03/06 12:29 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#113 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>110は(3/3)ではなく
(1/3)でした

⏰:08/03/06 12:30 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#114 [リナ]
>>96-99作品リスト

>>77vzApYZDoz6サン
>>78ふむサン
初めまして
死にたがりのリナです。
あれホラーでしたか?
めちゃほのぼの書いてたんでホラー部門に驚きました(ノ∀`*)アリガトーゴザイマス
皆さんのように巧く書けませんが、また参加させて貰います

⏰:08/03/06 14:33 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#115 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>114
恐らくオカルトホラーの部類かと…;
間違っていたら申し訳ありません!
私なんて全然ですよ!
もっと上手くなりたいものです

⏰:08/03/06 14:59 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#116 [リナ]
>>115ふむサン
あれは少しマザーグースを意識して書きました。
全然でしたが((´∀`))
 
あたしふむサンの『空』好きです。
最後の花は勝手に信長イメージで読みました(ノ∀`*)

⏰:08/03/06 16:08 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#117 [「偽物家族」(1/2)リナ]
 
窓から冷たい風が吹き込む夕飯時。
大声で私を呼ぶ声で目が覚めた。
気持ち良く寝てたのになんだってのよ?
ベッドから抜け出て部屋のドアを開けた。
 
「なぁに?博人(ヒロト)」
「なんで姉ちゃん寝てんだよ……。
あー!一緒にこの興奮を分け合いたい!」
キモッ。
いいや、もー一眠りしよ。
「ちょっ!
なんでドア閉めんのさ?
き、い、て!!」
仕方ないなぁ
「なぁぁぁぁぁぁに?」
いやいや聞いた。
「俺また見たんだよ!
未確認飛行物体!
すごくね?
これで連続5回は見てる!」
興奮冷め止まぬようで声がでかい。
「…………で?」
博人は一瞬シュンとした表情を浮かべ
「あいつら絶対侵略しにきてんだ!
今はきっと偵察期間だな」
言って一人で納得した。
 
「そんなことよりあんた明日試験でしょ?
勉強しなさいよ」
「俺には勉強の方が『そんなこと』だよ。
どーしよー?
俺の前にこんな頻繁に現われるって事は、俺連れ去られてチップとか埋め込まれんのかな?こえぇー」
顔がこんなだよ(*´∀`*)生き生きしてんじゃん。
 
弟よ、あんた今凄くめんどくさいよ。
 

⏰:08/03/06 16:13 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#118 [「偽物家族」(2/2)リナ]
 
「はいはい。
連れてかれないから大丈夫」
「姉ちゃん夢がねぇなぁ。
目が冷たい、とことん冷たいっつの!
もーいぃよ。
はぁ……勉強しよ……」
 
自分の部屋に迎う弟の背中を見ながら、爬虫類のように長い舌をチロチロ出し思う。
だってもー連れて来られてるもん。
END

⏰:08/03/06 16:14 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#119 [[誘拐事件(1/2)]蜜月◆oycAM.aIfI]
6年前、私は誘拐された。
パパとママと、3人で普通の生活を送っていたのに、ある日突然学校の帰り道で見知らぬ車に連れ込まれた。
それから6年間、私は誘拐犯の隠れ家らしき場所に監禁されている。
 
 
誘拐犯はどうして私を選んだのか。
 
たまたま私が目に付いたから?
 
それとも初めから私を狙っていたの?
 
6年間、あたしはずっと考えている。他にすることがないから。
でも、答えは見つからない。
 
 
パパとママはどうしているんだろう。
 
まだ私を探してくれている?
 
それとも私のことなんか忘れて、楽しく過ごしてる?
 
考える度に涙が溢れてくる。普通の生活がどんなに幸せなことか、終わってから気付くって本当だ。でも、いつか涙が枯れるっていうのは嘘だった。
 
 
監禁が始まってからずっと、逃げる方法を無限に考えているけれど、どれもうまくいかない。
誘拐犯は慎重なやつだ。
私が閉じ込められている部屋には、生活に必要なものはほとんど揃えられている。
なのにその中には、犯人を襲うための武器になるようなものは一つも無い。
 
そして、私が自分の命を絶つための道具になるものも無い。

⏰:08/03/06 17:59 📱:SH903i 🆔:IsrrLMx6


#120 [[誘拐事件(2/2)]蜜月◆oycAM.aIfI]
そうして絶望した私は、現実から目を背け、昼も夜も夢の世界に逃げ込んだ。
けれどいつからか、目を覚ますと違和感を感じるようになっていた。
何がおかしいのか解らない、でも何かがおかしい。
 
 
そしてある日、ユウという少女と出会った。
彼女は私の中に存在していた。
誘拐犯は、私が眠りユウが現れると、ひどい暴行を働いたようだった。
しかしユウは私が作り出したあやふやな存在。私が私の都合の良いように記憶を消してしまうから、次の日には覚えていなかった。
 
犯人からの屈辱を受け、ユウはそれを忘れる。私は辱められたという事実だけを受け止める。
 
いつしかこの方程式によって、私の精神はギリギリで均衡を保っていた。
 
 
そして今日、ユウと私はこの均衡をぶち壊す。
私たち自身の均衡を守るために。
 
ユウが痛みを感じ忘れる。私は事実だけを受け止める。
 
ベランダの窓を突き破り、そのまま空中へ――。
 
“死”という事実だけを。

⏰:08/03/06 18:05 📱:SH903i 🆔:IsrrLMx6


#121 [◆vzApYZDoz6]
俺が二日酔いで潰れてた間に皆様かなり書いてますねw
今から読ませていただきます


>>114
あれほのぼのですかw
言われてみれば、ほのぼのダークな感じかもですねw

ガンガン投下しちゃって下さいね

⏰:08/03/06 22:36 📱:P903i 🆔:5soVjE/o


#122 [我輩は匿名である]
?「ふふふふふふ
あのこ絶対あたしが好きなのよ
うふふふふふふ」

電車の中で鏡を見ながら呟く女
その名は『済須 未来-サイス ミライ-』
成績優秀
顔上の中
なんでもできる優等生。
しかし、済須未来は少し違う。
人と目が合えば呟き
人に話しかけられればにやける
そいつについた
あだなは…
ー妄女ーモウジョ
聞いてたらわかるだろうがこいつは、顔を汚すかのような
妄想女
恋するのは自分じゃなくて相手

そんな妄女の1日の妄想を見てみようではないか

⏰:08/03/06 22:56 📱:W43H 🆔:LHm6bI72


#123 [我輩は匿名である]
(告白ってヤッパリ卒業式の後だよね)

何を考えているかはわからないが不気味な笑みとともに、こいつの1日は始まった

⏰:08/03/06 23:00 📱:W43H 🆔:LHm6bI72


#124 [「夕日」向日葵(1/2)]
疲れた体を、壁に預ける。

電車にゴトゴトと揺れながら、今日も1日終えたと安堵のため息を静かに吐いた。

毎日すぎる当たり前の時間。
自分はこんな時間を過ごしていて本当にいいのだろうか。
自問自答する。

何かしなくちゃならないのではないか?
でもそれが何かは分からない。

分からないから、無駄な時間を使っている気がしてならない。

このままの毎日が過ぎる事の方が、友達と合わせて笑ったり、溜った課題を済ませるよりしんどく感じた。

⏰:08/03/07 22:26 📱:SO903i 🆔:Ii/OqDZE


#125 [「夕日」向日葵(2/2)]
そんな時、外から眩しい光が差し込んだ。

それは今にも海に隠れそうなオレンジ色の夕日だった。

誰もが口々に綺麗だと言う。
私もその1人。

でもまた、明日から頑張れる気がした。
がむしゃらにでも、何かをやりとげれる気がした。

そう思うと、急に切なくなって、胸がいっぱいになった。

そこでようやく心身共に疲れきっていた自分に気づく。

夕日の光が、自分の心にも差し込んできたように感じたのだった……。

⏰:08/03/07 22:29 📱:SO903i 🆔:Ii/OqDZE


#126 [[手紙(1/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
“今日は同室のやつが持ってたトランプで遊んだよ。
トランプなんか二人とも久しぶりで、ババ抜きしか覚えてなくてさ。
二人じゃどっちがババ持ってるかすぐわかってしまうから、すぐ終わったけどね。
また明日手紙送るよ。”
 
俺は毎日手紙を書く。この部屋に来てから、この作業を欠かした日は一日も無い。
 
“今日は仕事がいつもより多くて、すごく疲れた。
でも心配しなくていいから。
毎日くたくたになるまで真面目に働いてるんだからさ。
また明日手紙送るよ。”
 
手紙の最後はいつも同じ。返事がなくても、この一文を書くことで、俺は書き続けていられるような気がする。
 
“今日、同室のやつがここを出たよ。またいつか会おうなんて言ったけど、あいつは忘れてしまうんだろうな。
良いやつだったんだ、すごく。
ちょっと淋しいよ。
また明日手紙送る。”
 
 
俺の母は、とても悲しいひとだった。
毎日毎日、旦那――つまり俺の父親だが――からひどい暴力を振るわれていた。
俺が生まれる前は、優しくて良い夫だったが、出産してから豹変したんだと、母の姉の伯母から聞いた。
母は、父を愛していたからなのか、警察に行く訳でもなく、ただ毎日怯えていた。母の傷やあざを見て、伯母が気付くまで何年間も一人で耐えていた。
俺は、父が母に対してそうなってしまったのは自分のせいだと思っていた。理由は解らないが、俺が産まれたせいで、父にとって何か気に入らないことが生じたのだろう。

⏰:08/03/08 01:18 📱:SH903i 🆔:7AUminCk


#127 [[手紙(2/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
“母さん今日も元気? 体の調子はどう? 俺は今日も元気に働いているよ。
今日、陶芸をしたんだ。俺が作った皿、宅急便で送るから見てくれよ。うまく造れなかったけど。
また明日手紙送るよ。”
 
俺はずっと、母に対して申し訳ないという気持ちで生きてきた。
そして、ここに来た。
母は俺がここに来たと知って、とても悲しんだようだった。精神的に弱ってしまって、今は入院している。
伯母が母の世話をしてくれていて、たまにここにも来てくれる。
伯母にも迷惑をかけてしまった。ここを出たら一生かけて恩返しをするつもりだ。
 
“俺の部屋に新しいやつが来た。
前のやつとは違って、あまり良いやつじゃなさそうだ。問題起こさなきゃいいんだけど。
また明日手紙送るよ。”
 
俺がここに来てもう八年経った。母ももう良い年だが、あと七年は会えない。心配だった。
親孝行出来る内に母のもとに戻りたいと思っていたら、嬉しい知らせが来た。
 
“母さん、俺、模範囚になれたよ。あと二年で出所できるらしいんだ。
母さん、もう少し待っててくれよな。外に出たら、働いて稼いで、おいしいものいっぱい食べに連れていくから。
じゃあ、また明日手紙送るよ。”

⏰:08/03/08 01:20 📱:SH903i 🆔:7AUminCk


#128 [[手紙(3/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
次の日、伯母さんが面会に来た。
昨日の手紙を読んで、入院中の母が初めて反応したというのだ。
母は今ほとんど話すこともなく、一日中寝て過ごすことが多いと聞いていたから、俺は母が俺の出所を喜んでくれたのだと思った。
そして伯母は、母からの返事を代筆したものを持ってきてくれた。
 
 
“どうしてあと二年で出所できるの? 懲役十五年でしょ? それでも足りないのに!
あなたは私の大切な人を奪ったのよ……
なのにトランプやら仕事やら毎日楽しそうに元気に過ごすなんて許せない。
出所しても私のところへは来ないでちょうだい。息子とも思ってませんから”
 
 
――これは……誰だ?
  まさか、そんな。
 
俺は、父が母を苦しめているのを幼い頃から目の当たりにしていた。
母が毎日怯えているのを見て、だんだんと父に憎しみを抱くようになっていた。
そして、殺した。
母を助けたい一心で、母に新しい人生を歩んで欲しくて、殺した。
 
――なのに……なのにどうして!
 
母が悲しんだのは俺が逮捕されたからではなく、父が死んだからだ、とだけ告げ、伯母は帰っていった。
 
 
そして俺は決意した。今度は他人の為ではなく、自分の為に……と。

⏰:08/03/08 01:28 📱:SH903i 🆔:7AUminCk


#129 [ずっと大好き]
あれからもう一カ月がたつよ…
タクは天国へ逝った

アタシとタクはお互い大好きだったのに一緒にはなれなかった
ただ…教師と生徒なだけなのに…
誰一人として祝福してくれる人はいなかった

ただ生きててくれればアタシ頑張る事出来るのに…
アナタがいなきゃだめなのに…
アタシの心は止まったまま無情に時間だけが過ぎてゆく

そして2ヶ月がたった

最近身体がだるい…

微熱も続く…

アタシどうしたんだろ

不安に思いアタシは病院に行った

⏰:08/03/08 12:25 📱:V803T 🆔:OM4BGBho


#130 [ずっと大好き]
医者「妊娠してますね」

「え…妊娠…」

アタシは即座に産むと決めた

アタシは空を見上げた

タク…アタシ妊娠してたょ
頑張って産むからタク見守っててね

その日アタシは夢をみた

タク「アミ俺ずっとお前が好きだし
生まれ変わってもお前をまた見つけてやる自信がある
俺はずっとかわんねぇからな」

アタシは目が覚めた

アタシは大声で泣いた

「タク…ヴッヒック…アタシもずっと好きなの変わらないよ…ヒック…今までもこれからもタクだけだょ…」

⏰:08/03/08 12:26 📱:V803T 🆔:OM4BGBho


#131 [梓【決意】(1/2)]
ベッドの中で彼にしがみつきながら、朦朧とした意識の中で私は考えた。

―今日、言おう。
きっかけを待っていたらいつまで経っても切り出せない。
彼と私は求めるものが違いすぎる。
「ん…あっ…!」

彼を強く感じ、私の思考はそこで途切れた。

⏰:08/03/08 17:29 📱:SO703i 🆔:☆☆☆


#132 [梓【決意】(2/2)]
下着を着けながらどう切り出そうか考えていると、3年間の彼との思い出がぼんやりと浮かんできた。

温かく、そして切なくなった。
でも、これでいい。彼との今までの生活は、決して悲しいものじゃない。愛しているからこそ、大切に思うからこそ、お互いのために離れよう。


「悠介…」

瞬間、後ろから彼に抱きすくめられた。と同時に左手に無機質な冷たさを感じた。




指輪だった。

「お前は俺と一緒にいればいいんだよ。」



私の決意は、柔らかく崩れていった。



*End*

⏰:08/03/08 17:43 📱:SO703i 🆔:☆☆☆


#133 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
◆vzApYZDoz6さんの作品
往年のライバル(1/1)
>>5
奇怪な電話(2/2)
>>6
>>9
あの頃の思い出(2/2)
>>10-11
ギャグカオスなシュール(1/1)
>>12
賭け(3/3)
>>19-21
ゆびきりげんまん(2/2)
>>23-24
雪(2/2)
>>26-27
親御さん(1/1)
>>37
河上彦斎(3/3)
>>43
>>45-46
雨のち晴れ(2/2)
>>51-52
あだ名で呼んでほしいシュール(2/2)
>>53-54
今から(1/1)
>>63
夢見て、常日頃(2/2)
>>71-72
始まりは白紙から(1/1)
>>73
ありがとう。さようなら(3/3)
>>86-88
Bloody Valentine(1/1)
>>91
トイレ借りたいシュール(2/2)
>>92-93

⏰:08/03/08 18:12 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#134 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ふむさんの作品
最期の花(1/1)
>>8
世界の真実(3/3)
>>13
>>16-17
天の邪鬼(3/3)
>>25
>>28-29
延長戦(1/1)
>>42
人斬り(1/1)
>>47
空(2/2)
>>55-56
手紙(3/3)
>>110-112

にさんの作品
家族ドライブ(2/2)
>>66-67
選ばれた男(2/2)
>>94-95

紫陽花さんの作品
werewolf(2/2)
>>30-31
生きる理由(1/1)
>>41
私の宝物(1/1)
>>50
手紙(1/1)
>>101

⏰:08/03/08 18:15 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#135 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
向日葵さんの作品
旅立ち(1/1)
>>57
春への想い(3/3)
>>58-60
大好きな赤(2/2)
>>68-70
夕日(2/2)
>>124-125

リナさんの作品
死にたがりスティング(2/2)
>>75-76
偽物家族(2/2)
>>117-118

蜜月さんの作品
双子の正体(3/3)
>>79-81
電車(3/3)
>>102-104
誘拐事件(2/2)
>>119-120
手紙(3/3)
>>126-128

梓さんの作品
真夜中の着信(2/2)
>>14-15
決意(2/2)
>>131-132

⏰:08/03/08 18:15 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#136 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
【まとめ】
>>133-135

⏰:08/03/08 18:16 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#137 [紫陽花]


まとめ乙です!!!

⏰:08/03/08 19:24 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#138 [紫陽花[卒業(1/2)]]
もうこの学校に先輩はいない。

先輩は少しだけ春の木漏れ日が差し込んだ先週の金曜日私の通う高校を卒業した。


もうこの学校に先輩はいない。

朝わざとぎりぎりに学校に登校しても、昼休みに売店に行っても、移動教室の時友達に無理を言って遠回りしてみても、もう先輩を見つけることはできない。



あと二年早く生まれたかった。

なんどその言葉を口にしただろう。所詮私は後輩……。たまに挨拶をするのが私の精一杯の自己表現。

だけど先輩は、少しだけめんどくさそうな顔をして頭を下げてくれる。それだけで一日中幸せになれた。名前を呼んでくれた日など一生忘れないと思った。もちろん今でも覚えている。

⏰:08/03/08 19:25 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#139 [紫陽花[卒業(2/2)]]
だけどそんな先輩はこの学校を卒業してしまった。


今でも、朝学校に来ればまず先輩の姿を探してしまう。売店へ行くと先輩はいないと頭では分かっているのに目が勝手に先輩を探してしまう。心が勝手に今日もパンを買ってるんじゃないかと期待してしまう。廊下ですれ違うことは二度とないのに先輩を一目見ようと遠回りしてしまう。

先輩とは一年しか同じ学校に通っていないけど、その学校の至る所に先輩の思い出が隠れている。


それでも私はこの恋を終わらせるつもりはない。

確かに想いは届かないだろう。だけど私が先輩に恋した時間は永久に私の心の中に残るから。短い期間だったけど私の心は先輩でいっぱいになったから。



だから私は先輩を忘れない。





卒業おめでとうございます。




ーーーendーーー

⏰:08/03/08 19:26 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#140 [◆vzApYZDoz6]
おお、いつの間にかものすごい量の投下がw

そろそろ俺も投下しよw

⏰:08/03/08 21:29 📱:P903i 🆔:dQoHT8FQ


#141 [朝海『初恋』(1/3)]
アタシは今日も病院のベッドの上
今まで恋なんかした事がないアタシはこれからそんなモノは無縁だど思っていた

アイツに会うまでは…

看護師「秋サン今日天気良いから散歩行きましょうか」

秋「はい…」

アタシは看護師サンに中庭に連れてこられた

看護師「秋サン飲み物買って来ますね」

そう言うと看護師サンは行ってしまった

アタシは空を見上げて溜め息を着いた…

「こんな青空の日に溜め息なんか吐くんじゃねぇょ」

アタシは隣に居た男を見た
秋「アナタ誰?」

「俺?宙(ソラ)お前は?」

宙は無邪気に笑った

宙―‐アンタはアタシの光だったよ

⏰:08/03/08 21:57 📱:V803T 🆔:OM4BGBho


#142 [朝海『初恋』(2/3)]
秋「アタシ秋」

アタシは宙を見た

宙「そんな暗い顔してっと幸せになれねぇぞ」

宙はまた無邪気に笑った
秋「笑い方なんか忘れたよ…」

すると看護師サンが戻ってきた

看護師「秋サンお待たせ」

看護師サンはアタシにココアを渡した

看護師「あら―‐宙君じゃない検査は終わったの?」

宙「終わりましたハハ」

秋「宙どっか悪いの?」

宙「ただの骨折(笑)」


宙とアタシは仲良くなり宙が退院してもアタシのお見舞いに毎日来てくれた

そんな生活が半年経った
今日もアタシは中庭に居る
宙もアタシを見つけるとこっちにきた

⏰:08/03/08 22:10 📱:V803T 🆔:OM4BGBho


#143 [朝海『初恋』(3/3)]
宙「よッ!」
宙はアタシの隣に座った
秋「よッ」
アタシも同じく返した
するといきなり宙は
宙「俺―‐秋が大好き」
宙は空を見上げ照れながら言った
秋「アタシも宙が大好き」
ホントの恋をした少女は白血病と言う難病にたたかう強さも知った
1年後―‐
秋はベッドから起き上がる事ができなくなっていた
宙「秋…俺のそばから居なくならないでな…」
秋「宙…アタシ離れたくないょ…ヒック…」

秋は天国へ逝った

宙は看護師から秋からの手紙をもらった

秋「アタシの初恋の相手が宙でよかった―‐大好き」
宙「秋…俺もお前が大好きだ」

⏰:08/03/08 22:27 📱:V803T 🆔:OM4BGBho


#144 [恋文(1/1)◆vzApYZDoz6]
先程から便箋を汚しては消して、汚しては消しての繰り返しで、なかなか筆が進まない。
恋文なんていうのは、自分の『好き』という心中を伝えれればそれだけで役割が果たされた事になるのだが、それが難しい。

そうしている内に、だんだん嫌になってきてしまった。
悩めば悩むほど小難しい文章になるんだから、どうせなら今思っている事をありのままに書いてやろう。
そう考えると、ペンを握る手に自然と力が入った。

「えーっと、お前はクラスのマドンナとか言われてるけど太ももが太いから俺はそうは思わない。というかお前なんて好きじゃない。ちょっとぐらい容姿がいいからって調子に乗るなよバーカ。結局、一番いいのは幼女なんだよバーカ」

書き上げた便箋を三つ折りにして封筒に入れる。
ペンを置き、座っている椅子の背凭れに盛大に寄りかかって、天井を見つめながら大きく溜め息をついた。

「…ったくあの野郎、俺にラブレターの代筆なんか頼みやがって」

この内容のままであいつの想う人に渡せば、間違いなくあいつは振られる。
だが別に構わない。むしろ、振られた方があいつのためになるだろう。

天井を見つめたまま、再度溜め息をついた。
そして再び机に向かい、新しい便箋を取り出す。
ペンを握り、振られて泣くあいつへの慰めの言葉と、失敗したラブレターの言い訳を、吟味しはじめた。

⏰:08/03/09 00:41 📱:P903i 🆔:IRJGZ9R2


#145 [[邪魔モノ(1/1)]蜜月◆oycAM.aIfI]
私は標的を真っすぐに見つめながら、そろりそろりと近づく。
 
――あなたには悪いけど、こうするしかないのよ。
 
心の中で呟いたつもりだったが、聞こえてしまったのだろうか、標的が私に気付いたような気がした。
どうせ、何度同じことを繰り返すのだ、などと思われているのだろう。
だが、私はこうやって生きてきたのだ。今さらどうしようもない。
 
あの人と結ばれるため、邪魔モノがあらわれる度に私は排除してきた。何度も何度も。
罪悪感が無いわけではない。けれど、あの人のためと思えば少しぐらいの痛みなど無いに等しい。
私の中に残っていく悲しい傷痕。しかし、それさえもあの人への愛情からのものと思えば、愛しい。
 
そして私は、この愚かな行為を今日も繰り返す。
 
自らの右頬を両手で挟み込む。嫌な音がして潰れるニキビ。
 
「あ〜また跡残っちゃうな、コレ」

⏰:08/03/09 02:07 📱:SH903i 🆔:J0vT8dP.


#146 [◆vzApYZDoz6]
>>145
www

そうゆうのすごい好きww

⏰:08/03/09 14:28 📱:P903i 🆔:IRJGZ9R2


#147 [ふむ]
>>145
wwwww
オチ良好ww

⏰:08/03/09 14:33 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#148 [蜜月◆oycAM.aIfI]
>>146 ◆vzApYZDoz6さん
>>147 ふむさん
 
ありがとうございますww

⏰:08/03/09 17:46 📱:SH903i 🆔:J0vT8dP.


#149 [きゆん]
<1>
 
 
「…好きよ」
 
そう言えば君は
どんな顔をするの?
 
このまま友達でも
いい、そう思ってた。
 
けどやっぱり
ずっとずっと
大好きだった
私の気持ちを伝えたい。
 
 

⏰:08/03/09 17:53 📱:W52SA 🆔:8lv7aSTk


#150 [きゆん]
<2>
 
 
「…好きだ」
 
そう言えば君は
どんな顔をする?
 
このままいい奴として
君の隣にいられるなら
それでもいいと思ってた。 
 
けど、すげぇ大好きな
気持ち…やっぱり伝えたい。
 

⏰:08/03/09 17:55 📱:W52SA 🆔:8lv7aSTk


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