【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#301 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:56
:P903i
:LUmIhgZI
#302 [No.035◆vzApYZDoz6]
「イタズラとは違うのよ」
そう彼女は言って、今できあがったばかりのたこ焼きを口に運んだ。
ハフハフと口の中でたこ焼きを転がし、ちょうどいい熱さまで冷ましてから口を動かす。
「その気になればあんただってすぐに消せるわ。こんな見た目じゃ分からないでしょうけど」
それを言うなら俺だってそうだ。いやむしろ俺のが強いに決まってる。
だが、可哀想なので口には出さなかった。
かわりに俺もたこ焼きに爪楊枝を突き刺す。
以外と硬い、見た目より肉厚なようだ。
「狐っていう動物は古今東西様々な場面で出てきた。私は特に日本でね」
彼女は頬張っていたものを早々と燕下し、すぐに次のたこ焼きを口に入れる。
狐は猫舌ではないらしい。
「今回は、その連中が全員一堂に会するの」
全員ってことは多少、いや、多くの取材がいりそうだ。
彼女が3つめのたこ焼きに手をつけたので、つられて俺も2つめに口を運んだ。
残るたこ焼きはあと1つ。
「まぁ、メインは私になるんだけど、それもあなた次第ね。……そろそろ時間だ、じゃあ」
俺次第だと空気になってしまいそうな気がするが。
去っていく彼女を見送りながら、最後のたこ焼きを頬張った。
:08/11/03 20:57
:P903i
:LUmIhgZI
#303 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:59
:P903i
:LUmIhgZI
#304 [No.037(1/2)◆vzApYZDoz6]
子供の頃、何度も同じ夢を見た。
自分と同じくらいの女の子と遊ぶ夢。
知らない公園の砂場で、知らない家の庭で、知らないデパートの屋上で。
夢の中での彼女との遊びは、いつも楽しかった。
しかし、小学校に入って間もない頃を境に、ピタリと見なくなってしまった。
そしていつしかそんな夢を見ていた事も忘れ、何事もなく学生時代を送っていた。
ところが、高2になった最近に、またその夢を毎晩見るようになった。
夢の中の彼女はすっかり成長していた。
おっとりした仕草やセミロングの髪型は変わらないが、背丈も伸びてるし胸も膨らんでいる。
遊びの内容も追いかけっこやままごとなんかから、カラオケだったり買い物に行ったりと大人になっていた。
それを不思議に思いながらも少し楽しんでいたある日、父が転勤する事になった。
「さ、とうとうこの町ともお別れねー。しっかり目に焼き付けておきましょうか…」
「ああ…」
母さんと庭に立って、住み慣れた町並みに別れを告げる。
別に特別何かあるわけでもない、何の変哲もない住宅街だが、やはり自分が生まれ育った町にサヨナラするのは感慨深いものがあった。
:08/11/03 21:00
:P903i
:LUmIhgZI
#305 [No.037(2/2)◆vzApYZDoz6]
こうして俺は片田舎から、都心部郊外の住宅街に引っ越した。
引っ越した住宅街は最近できたらしい。
ニュータウンとでも言うのだろうか、できたばかりの家やマンションが数多く建ち並んでいた。
新しい家は思ったよりデカイ。母さんの話では一人部屋を貰えるらしいので楽しみだ。
とりあえず必要最低限の荷物を運び込んでから、近所の挨拶回りをすることにした。
向かって左隣の家から始めて、最後の家、つまりぐるっと回って右隣の家まできた。
インターホンを押して、挨拶に来た旨を伝えると、俺のお隣さんになる人が出てきた。
「はーい、こんにちh」
「どうも、新しく越しt」
「「!!??」」
なんという事だろうか。
間違いない。
出てきたのは、夢で何度も見た彼女だった。
「マジかよ…」
「うそ…」
驚いて2人同時に呟く。
「ああああの、今日からよろしくおおおお願いします!!」
「こここちらこそ、よよよろしくね!!」
そして2人同時にカミカミのご挨拶。
互いに顔を見合わせて、また2人同時に小さく笑った。
やっべー、現物超カワイイ。
俺の人生始まったわ。
:08/11/03 21:11
:P903i
:LUmIhgZI
#306 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:13
:P903i
:LUmIhgZI
#307 [No.038(1/2)◆vzApYZDoz6]
夕刻の河川敷。
陽は地平線の向こうにどっぷりと浸かり、空は既に青黒くなっている。
つい先程までは橙色を反射し幻想的に光っていた川の水面は、不安感と焦燥感を掻き立てるような夜独特の深く暗い波を漂わせていた。
そんな川を傍目に、1人の少女とその後ろに隠れる少年が、異形の生物と対峙していた。
「我が言の葉を媒し言霊よ、その力を封する言弾となれ…『刺』!」
少女が手にする拳銃の銃口を下唇に当てる。
横笛を吹くかのようにふっと息を吐きかけると、銃口が鈍い光に覆われた。
すかさず銃を構え、引き鉄を引く。
撃ち出された光る銃弾は槍の先端へと姿を変えて、異形の生物の腹あたりに突き刺さった。
「ぎゃああああ!」
「まだ生きているか…言弾となれ、『斬』!」
再び息を吹きかけ、引き鉄を引く。
今度は光る刃となった銃弾が、異形の生物を両断した。
:08/11/03 21:15
:P903i
:LUmIhgZI
#308 [No.038(2/2)◆vzApYZDoz6]
断末魔と共に、異形の生物は跡形もなく消えていく。
少女の脇に隠れていた少年が、少女を心配げに見上げた。
「なっちゃん…」
「大丈夫。怪我はない」
少女が小さく笑って頷き、銃を懐にしまい込む。
「まずは1匹、だな」
「本当に大丈夫なの?」
「怪我はない。見ていただろう?」
「じゃなくて…もう1匹倒しちゃったんだから、これから数えきれないくらいの悪魔を倒していかなくちゃならないんだよ?」
少女は少し目を伏せ、歩き出した。
「そうしないと、君は人間に戻れないんだろう?」
「でも…」
「大丈夫。これは私が決めた事だ。必ず、君を人間に戻す」
「なっちゃん…」
「さぁ、家に帰ろう」
少女は少年の頭を優しく撫でて、帰路を歩いた。
:08/11/03 21:15
:P903i
:LUmIhgZI
#309 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:21
:P903i
:LUmIhgZI
#310 [No.040(1/3)◆vzApYZDoz6]
窓から見える桜の木を見下ろしながら、俺は何本目かも分からない煙草に火を付けた。
煙は吸わない。いや、吸う気にならない。
なら火をつけなければいいだろうと言われそうだが、長年吸ってきたせいで、煙草がないと口が落ち着かない。
「ははっ」
俺は自嘲気味に笑った。
禁煙である病室でも口にする程に依存した煙草が原因で、死を免れぬ病気になってしまうとは。
運命とは皮肉なものだ。
唯一の救いは、今年で5歳になる娘が毎日のように病室に来てくれる事。
いや、母親は事故で死に、父親も自業自得の病に冒され後を追おうとしている。
娘にとっては救いでも何でもないだろう。
本当に馬鹿で間抜けな父親だ。
口に加えた煙草が吸われることなくフィルター近くまで灰になった頃に、病室のドアが開いた。
「パパー!」
開くやいなや、娘が俺のベッドに駆け寄ってくる。
俺は灰を落とさないように注意しながら煙草を灰皿に押し付け、飛び付いてくる娘を抱き止めた。
「パパ、今日も来たよー!」
「ありがとう。お前はいい子だな」
娘をベッドに座らせ、頭を撫でてやる。
娘はへへへ、と無邪気に笑った。
:08/11/03 21:22
:P903i
:LUmIhgZI
#311 [No.040(2/3)◆vzApYZDoz6]
俺は娘を一瞥してから、隣の女性に頭を下げた。
「すみません、お義母さん」
「いいのよ。…少しでもこの子との時間を過ごしてちょうだい」
俺の両親はどちらも早くに亡くなっている。
他に兄弟もいないので、嫁の両親に娘を育ててもらえないかとお願いすると、泣きながらに快諾してくれた。
義母も義父も娘を大切に育ててくれるだろうし、俺の気持ちまで案じて、こうして毎日のように娘を連れて病気に来てくれる。
こんな不良上がりな父親に育てられるよりは、娘もいい子に育つだろう。
結果として、良かったと思う。
お義母さんやお義父さんには申し訳ないけど、俺の身内はほとんど死んでしまっているし、悲しむ奴もそんなにいない。
医者に宣告された余命はあと2か月。
思い残す事なんて、何もない。
そう、何もないんだ。
「パパ…?」
ハッと我に帰ると、娘が俺の膝の上で不思議そうに見上げていた。
「どうしたの?」
「……いや……」
娘の顔を見ていると、急に死が怖くなる。
もう思い残す事などないと思っていても、そう思い聞かせても、俺の脳は頑なにそれを拒絶する。
死にたくない、生きていたいと、悲痛の叫びを上げる。
:08/11/03 21:23
:P903i
:LUmIhgZI
#312 [No.040(3/3)◆vzApYZDoz6]
うるせぇよ、どうせ何やっても助からないんだ。
希望なんて、持つだけ無駄なんだ。
俺は、2か月後にはこの世にいないんだよ。
「パパ? 泣いてるの?」
娘の顔がちらつくが、視界に霞んで良く見えなかった。
続いて頬を滴が伝っていく。
俺は無意識に娘を抱き締めていた。
「パパ…? どうしたの?」
横でお義母さんがすすり泣く声が聞こえる。
そうだよ。俺はまだ死にたくない、生きていたい。
そんなの当たり前だ。
でも、死ぬんだ。
2か月後には、俺の存在はこの世から消えるんだ。
この世に未練なんて残せないんだ。
「……パパ、早く元気になってね。また一緒に遊ぼうね」
娘が小さな腕で、か弱い力で抱き返してきた。
まだ小学生にもならない娘にまで気を遣わせるなんて、最悪な父親だ。
:08/11/03 21:25
:P903i
:LUmIhgZI
#313 [No.040(4/3)◆vzApYZDoz6]
「…ああ…元気になったら、一緒に遊ぼう」
そうして娘の頭を撫でてやりながら、思った。
俺が未練を残そうが残すまいが、死にたがろうが生きたがろうが、2か月後には死ぬ。
俺ができることは、俺自身が死に備えることじゃない。
少しでも他の連中が悲しまないようにすることだ。
俺はもう一度、娘の頭を撫でてやった。
娘が帰った後で、俺は煙草に火をつけた。
今日何本目かも分からない、でも今日初めての煙草は、少しだけ苦かった。
:08/11/03 21:25
:P903i
:LUmIhgZI
#314 [No.040(4/3)◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:31
:P903i
:LUmIhgZI
#315 [No.041、046(1/3)◆vzApYZDoz6]
どこにでもあるような神社の片隅。
(*゚ー゚)「……なんだろう、これ?」
(*゚∀゚)「きっと洞窟じゃない?」
(*゚ー゚)「それは見ればわかるよ…にしてもこんな場所があっあんだねー。この鈴は…なんだろう?」
(*゚∀゚)「行ってみよ!」
(*゚ー゚)「えっ、ダメだよ…まだ稲刈り終わってないし」
(*゚∀゚)「そんなのあとでやればいいじゃん!」
:08/11/03 21:32
:P903i
:LUmIhgZI
#316 [No.041、046(2/3)◆vzApYZDoz6]
(*゚∀゚)「……はい、というわけで洞窟の中!」
(;゚ー゚)「…誰に説明してるの?」
(*゚∀゚)「気にしない気にしない」
( ((( ∵)すす〜っ
(*゚∀゚)「うわっ!」
(;゚ー゚)「だ、誰ですか?」
( ∵)σ「………」
(*゚∀゚)「何、この鈴がどうかしたの?」
(*゚ー゚)「あっ、鈴にこの人の顔が…」
(*゚∀゚)「入口にあった鈴に顔…てことはあなたの家だったり?」
( ∵)「……」
(;゚ー゚)「……みたいだね」
(*゚∀゚)「それはどうも、お邪魔しました〜」
:08/11/03 21:33
:P903i
:LUmIhgZI
#317 [No.041、046(3/3)◆vzApYZDoz6]
(*゚∀゚)「はい、ところ変わって再び神社の片隅!」
(;゚ー゚)「だから誰に説明してるの?」
(*゚∀゚)「気にしない気にしない」
(*゚ー゚)「でも、まさか人の家だったなんて…」
(*゚∀゚)「ていうかここって私たちの敷地じゃなかった?」
(*゚ー゚)「………」
(*゚∀゚)「………」
(;゚ー゚)「……あの人、何者なんだろう……」
(*゚∀゚)「気にしない気にしない。さぁ稲刈り再開!」
完…?
:08/11/03 21:33
:P903i
:LUmIhgZI
#318 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:36
:P903i
:LUmIhgZI
#319 [No.042◆vzApYZDoz6]
「原因を究明しようか」
明け方に近い深夜のファミレス。
店主とみられる男と、バイトか何かであろう少女が、店を閉めた後の静かな2人掛けのテーブルを挟んでいた。
「まずは情報を整理しよう。事が起きたのは何時頃だ?」
「午前1時過ぎだと思います…」
「確か16番テーブルだったな?」
「はい、1時前までは確かにお客様がいました…」
「そして君が少し目を離した、間にお客様が消え失せていた、と」
「はい、すみません……」
「これは誘拐か、それとも殺人か…何れにせよ数分の間にお客様を連れて消えたことになる。だが窓は破られていないし、入り口を通れば気付くはずだ…一体どうやって……」
(ただの食い逃げだと思うけどなぁ……)
:08/11/03 21:37
:P903i
:LUmIhgZI
#320 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:38
:P903i
:LUmIhgZI
#321 [No.043◆vzApYZDoz6]
気が付くと俺は屋根に登っていた。
辺りがやけに明るい。
見上げてみると、きれいな満月があった。
「くっ…」
月は太陽の光を反射して光っているのは有名だが、月が反射した太陽光にはブリーツ波が含まれる。
そして、満月の時だけブリーツ波が170万ゼノという数値を超えるのだ。
宇宙には大小様々な月が数多くあるが、不思議なことにどの月も満月にならないと170万ゼノを超えない。
ブリーツ波は目から吸収でき、170万ゼノ以上を吸収すると体に変化が起きる。
「左手が疼く……」
:08/11/03 21:38
:P903i
:LUmIhgZI
#322 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:39
:P903i
:LUmIhgZI
#323 [No.044◆vzApYZDoz6]
「喉渇いた。ねぇあんた、飲み物買ってきて」
「自分でなんとかしろよ…『へそが茶を沸かす』」
彼が言葉を発した瞬間、彼女のへそからみるみる熱いお茶が溢れでてきた。
「はい、湯飲み」
「ありがと」
「おいお前ら、すげー情報仕入れたぞ! これ聞いたら『目玉が飛び出る』ぞ!」
「ちょっと…」
今来た彼の言葉に反応し、2人の目玉が飛び出る。
「急に変なこと言わないでよ! あーびっくりした…」
「『びっくりする』って意味だからな」
「言ってる場合か!」
:08/11/03 21:40
:P903i
:LUmIhgZI
#324 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:42
:P903i
:LUmIhgZI
#325 [No.045◆vzApYZDoz6]
「さて、そろそろネタも尽きてきた訳だが」
「私が知るわけないでしょ。なんとかしなさいよ」
「なんかミクに似てるからそっち系でなんとかしようかと思ったけど、どーにもなー」
「銃持ってるし無理?」
「ミクはもっと髪長いしな」
「ただの逃亡の言い訳でしょ」
「屁理屈は通れば理屈になるんだよ!」
「あらこんなところに45口径が。試しに死んでみる?」
「ごめんなさい」
:08/11/03 21:42
:P903i
:LUmIhgZI
#326 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:44
:P903i
:LUmIhgZI
#327 [No.047、048◆vzApYZDoz6]
「来たわ」
「あら、結構カッコいい人…じゃ、行くわね」
「頑張って!」
「魔泡使いの腕を見せてあげるんだから。いっけー、モコモコクリーム!」
ボボボボボ…
「よーし、モコモコクリーム設置完了!」
「オッケー。この両刃剃刀の威力は凄いわよ! 食らえ、シェイビングスラッシュ!!」
シュババババッ
「……髭剃り、完了!」
「最後よ、パワーズリキッド!」
バッシャー
「クリーム洗浄、完了!」
「お仕事、終わりっと」
:08/11/03 21:44
:P903i
:LUmIhgZI
#328 [No.047、048◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:46
:P903i
:LUmIhgZI
#329 [No.049◆vzApYZDoz6]
「うーん…」
若い男が、鏡に向かって唸っていた。
顎や頬、鼻、額など、あらゆるところを手で擦っている。
そこへ、若い女がやって来た。
「どうしたの?」
「いや…肌がちょっとざらついてる気がして」
「いいんじゃないかな…男の子なんだし」
「男だって肌荒れには気を使うもんだぜ。…あっ、そうだ」
「なに?」
「顔用パック貸してくれね?」
:08/11/03 21:47
:P903i
:LUmIhgZI
#330 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:48
:P903i
:LUmIhgZI
#331 [No.050◆vzApYZDoz6]
気が付けば辺りはすっかり暗くなっていた。
今もやまない雨が降りだしてからどれくらい経っただろうか。
既にびしょ濡れで、重くなった服のせいで動く気力も湧かない。
だが、それでも彼は待ち続けた。
彼女と交わした約束を、果たすために。
(急病なんだろうな。きっとそうだ)
だが彼は彼女に連絡はしなかった。
:08/11/03 21:48
:P903i
:LUmIhgZI
#332 [No.050◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:49
:P903i
:LUmIhgZI
#333 [No.051(1/2)◆vzApYZDoz6]
D−34:Δ
本日、未確認の惑星が発見された。
惑星の大気、地質、水質等を調査した結果、良好な環境を持つ惑星だったと推察される。
また惑星の7割ほどが水に覆われており、生命が現存する可能性は極めて高い。
惑星をTE01と名付け、慎重に調査を進めていく。
D−41:γ
TE01惑星の調査の結果、これまでに確認された生命体はおよそ300種類。
だが依然として新種の生命体は発見され続けており、この数字はほんの一部に過ぎないとみられている。
高知能生命体はまだ確認されていない。
しかし、多様な文明機器が発見されている事から、高度な知能を有した生命体が存在した可能性は高い。
何らかの原因により絶滅してしまったのかもしれない。
それにしても、文明が発展していたと思われる地域ほど、大気・地質・水質ともに汚染度が高いのが気になる。
:08/11/03 21:51
:P903i
:LUmIhgZI
#334 [No.051(2/2)◆vzApYZDoz6]
L−08:Σ
高い知能を持つ生命個体が発見された。
我々には理解できなかったが、どうやら言葉を話せるようだ。
同行していた宇宙語学者によると、FK38星の言語とほぼ同じとの事。
我々はすぐさま同惑星に調査団の派遣を依頼した。10日後に到着する。
その間に簡単な質問をした。
その結果、やはり高知能生命体は絶滅してしまった事が判明した。
今回発見された個体はその生き残りらしい。
彼女(性別は雌性らしい。以降はこの個体をこう呼ぶ)によると、絶滅を免れた生き残りは他にもいるようだ。
とりあえず、これらの生命体にはTE−xと名付ける。
それにしても、TE−xと我々は外見が非常に酷似しているのが気になる。
もしかすると、我々と似たような進化をたどってきたのかもしれない。
L−18:Δ
調査団が到着した。
早速、生き残り達に質疑応答をしてもらった。
結果、絶滅の要因は、TE−x同士の大規模な争いによるものらしい。
彼女は、こう言ったそうだ。
『私達は、同じ種族で争うことでしか発展できない』と。
その結果絶滅する事になろうとは、皮肉なものである。
ところで、TE−xについて気になる事がある。
私は一度故郷に帰り、太古の文献から調べてみるつもりだ。
その事を明日、隊長に報告する。
(調査手記はここで終わっている)
:08/11/03 21:52
:P903i
:LUmIhgZI
#335 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:54
:P903i
:LUmIhgZI
#336 [No.052◆vzApYZDoz6]
彼女は自分の運命を呪った。
今日は彼との待ち合わせがあるのに、なぜ自分がこんな目に合わなければならないのか。
窓から見える雨の勢いは依然として衰えず、やむ気配すら見せない。
この降り頻る雨の中、彼はまだあの場所で待っているのだ。
彼のためにも、何としてもこの状況を打破する必要があった。
周囲には武器になりそうな物もあるが、壁の向こうにいる者と自分とでは素早さが違いすぎる。
いや、恐怖に手がすくんで武器を握ることすらままならないだろう。
幸いは、向こうは恐らくまだ自分の存在に気付いていない事。
こちら側に出口は無いので、向こうが去っていくまで息を潜めて待つしかなかった。
(あーもう! なんでドアノブにゴキブリがいるのよ!)
殺虫剤を買っておけばよかったと後悔する彼女だった。
:08/11/03 21:55
:P903i
:LUmIhgZI
#337 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:56
:P903i
:LUmIhgZI
#338 [No.053◆vzApYZDoz6]
俺はどれくらいの時間、こうしていただろうか。
いつまで待っても手に抱える彼女が息を吹き返すことはない。それは分かっている。
既に敵も味方もいないこんな場所でじっとしていた所で何もない。それも分かっている。
だが、立ち上がる気力が湧いてこなかった。
立ち上がり、今も戦っている仲間の元へ一刻も早く駆けつけなければならない。
頭ではそれを理解していても、最愛の女の変わり果てた姿を目の当たりにした俺の体は、言うことを聞こうとしなかった。
流れ出る涙は止まらない。
いくら流した所で意味はないというのに。
見上げると、壮大なステンドグラスが目に入った。
天使を模した女性が、色とりどりの光を透過して輝いている。
その向こうからは、地鳴りの音が響いていた。
俺は背中に生える翼に手を掛けた。
竜族の血を半分引く俺には、翼が片方だけ生えている。
両方ともに翼がある他の竜族には劣るが、翔ぶことはできる。
その翼を、渾身の力を込めて引きちぎった。
激痛に思わず声を上げたが、歯を食いしばって耐えた。
彼女を寝かせ、俺の翼を捧げる。
ステンドグラスに映る女性のように、光ある場所へ飛び立つために。
翼を無くした苦痛によがろうとする体を押さえつけて立ち上がる。
戦いの音はまだ響いている。
翼が無くても、俺はまだ戦わなければならない。
最後に彼女を一瞥し、俺は仲間の元へ駆けていった。
:08/11/03 21:57
:P903i
:LUmIhgZI
#339 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:59
:P903i
:LUmIhgZI
#340 [No.054◆vzApYZDoz6]
田園に囲まれた長閑かな田舎町。
陽の傾いた散歩道を、彼は歩いていた。
今までに歩いた距離は計り知れない。
だが彼が歩くのには意味も目的もなく、ただただ土地を渡るのみ。
終着点はない。
時には道端の草を眺めたり、時には野良猫と遊んで引っ掛かれたり、時には街の人と世間話を交わしたり。
流浪の旅人ではあったが、旅をする目的は特にない。
しかし楽しければいいものと、彼はそう思っていた。
今もまた、摘み取った花の蜜に誘われた蝶々を、花に止まらせまいと遊んでいる。
彼は明日も明後日も、歩き続ける。
:08/11/03 21:59
:P903i
:LUmIhgZI
#341 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 22:01
:P903i
:LUmIhgZI
#342 [No.055、057◆vzApYZDoz6]
彼が持つサブバッグは、未知の能力が詰まっている。
物を小さくしたり大きくしたり、違う場所へ瞬間移動したり。
天気を操るのも思いのまま。
彼は青空が好きで、雨が降るといつも青空に変えてしまった。
今日も、ほら。
サブバッグから何かを取り出して、それを空に向ける。
すると、空は爽やかな青空へ姿を変えた。
でも彼の表情は浮かばれない。どうやら悩みがあるらしい。
彼は小さく呟いた。
「どこに行ったのかなぁ、のび太くん…」
:08/11/03 22:01
:P903i
:LUmIhgZI
#343 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 22:02
:P903i
:LUmIhgZI
#344 [No.056◆vzApYZDoz6]
「君、俺はとうとうやったぞ!」
「あら、どうしたんですか博士?」
「見ろ! この光輝く左手を!」
「それは…! とうとう凝を使えるようになったのですね!」
「ああ。よし、早速水見式だ!」
「水見式…ですか? 博士の系統は判明しているのに一体なぜ?」
「『念のため』だよ!」
「……あっ、そう」
「………冗談だ。すまん」
:08/11/03 22:03
:P903i
:LUmIhgZI
#345 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 22:04
:P903i
:LUmIhgZI
#346 [◆vzApYZDoz6]
>>219-345『SSS外伝・コラボ企画だ!怒濤の超短レス編57連発inラノベ祭り』
投下終了です
時間かけすぎてすまんw
ウラル貼ってなかったり失敗したりしてるけど、後程まとめスレにまとめるときに訂正します
つうか絵師の皆様、中途半端すぎてもうごめんなさいとしか…
イラスト提供&企画参加ありがとうです
次の方ドゾー
:08/11/03 22:09
:P903i
:LUmIhgZI
#347 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
空き時間を使って書き上げたので投下します
使うイラストはNo.55
タイトルは『青空』です
:08/11/03 23:54
:SH905i
:☆☆☆
#348 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「今日の空は百点っ!」
私は早朝の冷たい空気で肺を満たしつつ、空を仰いだ。
bbs1.ryne.jp/d.php/illust/1144/130私はこの空が好きだ。
曇り空でも快晴でもない、この空が。
透き通るような青さの中に水でぼかしたように白く霞む朝日の色。
絶妙な青空と雲の比率。
私の中ではなかなか巡り会うことの出来ない、文句なしで百点満点の澄み切った空。
:08/11/03 23:55
:SH905i
:☆☆☆
#349 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「今日は何だか良いことがありそうな気がするなぁ」
鼻歌などを鳴らしながら上機嫌な私は、たぶん周りから見たら「良いことがあったのかな」と思わせるほどの笑顔に違いない。
いや、もしかしたら本当に良いことがあったのかもしれない。
この空に出会ったこと自体が幸福なのではないか?
だとしたら私は幸せ者に違いない。
依然として鼻歌混じりに軽い足取りのまま歩く私の遥か前方に、一人の男性の姿が映る。
:08/11/03 23:56
:SH905i
:☆☆☆
#350 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「あっ!もしかしてあの後ろ姿は…うん、先輩だ!」
愛しい片想いの相手を見つけ、私は駆け出す。
不思議と、やはり足は軽くて、高揚した気分からかスキップになりそうなほどの感覚に包まれる。
空が運んできた幸福だろうか。
先輩の後ろ姿が大きくなっていく。
私は躊躇うことなく先輩の肩を叩いた。
:08/11/03 23:57
:SH905i
:☆☆☆
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