【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#40 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>38まさかの紫陽花さん!
書いたのですね。了解です
:08/03/03 14:26 :SH905i :☆☆☆
#41 [紫陽花[生きる理由]]
またこの季節がやってきた。
君の温もりを失ってから何度目だろうか。よくこの公園の桜の木の下のベンチで二人の将来を話したな……。
二人で部屋を借りよう、君は料理ができないから僕が炊事担当、たまの休みに今流行りの映画を見よう。
今でも鮮明に思い出せる君との思い出。
でも君の時間はあの日の夜止まってしまった。僕もすぐに君の元へ行こうとしたんだぜ。だけど君の声が聞こえたんだ。『もっと生きて。私の分も生きて。』ってね。だから僕は今も君のいない世界で生きてる。
君のいないこの世界は黒と白のただのパズルさ。
でも僕は生きる。
なぜって?
君が生きろと言ったから。
そんな単純な理由で僕は生きてる。でも人生ってそんなもんだろ?君なら分かってくれるかな……。
ーーーendーーー
:08/03/03 14:40 :F905i :☆☆☆
#42 [[延長戦]ふむ(1/1)◆s8/1o/v/Vc]
吹き荒れる風の中、二人は完全に対峙した。
鋭い眼光を互いにぶつけ合う。
こうして会うのは何年ぶりだろうか。
ザインが姿を眩まして三年…あの頃は同じくらいの実力で、いつも引き分けに終わっていた。
あいつはあれからどのくらい強くなったのか…。
両者の間に生暖かく強い風が吹き抜ける。
これも、運命か…。
ゆっくりと瞼を閉じて覚悟を決める。
久しぶりにザインの戦い方を思い出す。
いつも先手必勝とばかりに、まずあいつが切り込んで来る。
今もそうなのかは定かではない。
唯一あの頃と変わっている所は、この殺気篭った眼光。
冷静に瞼を開いて相手を見据える。
先に動き出したのはザインであった。
ザインは刀を抜き取ると構えすらせずに強く地面を蹴った。
人間とは思えない速さで風を切り大地を駆って真っ直ぐと相手に向かっていく。
無駄な動きは一切見られなかった。
黒い残像を残しながら月光に照らされて鋭く光る刃が軌道を描く。
あれだけあった距離を、一瞬で詰められた。
ザインの動きにジークは完全に硬直していた。
ザインが瞬時に危機を感じ反射的に身を後ろへ退く。
後退しながら刀に手を伸ばした時には、すでに遅かった。
風切音と共に襲い掛かる刃が眼前に迫る。
なんだよ…強ぇじゃん。
刀の太刀筋を追うように閃光の如く走る軌道を目に焼き付けて、ジークの意識は途絶えた。
力無く崩れ落ちたジークの口許には、僅かに笑みを帯びているように見えた。
:08/03/03 15:09 :SH905i :☆☆☆
#43 [河上彦斎(1/3)◆vzApYZDoz6]
江戸時代末期。
町外れの山道を歩く、1人の男がいた。
西陣の袴を着て、髷を結い、腰に刀を差している。
どこへ行くでもない。ただ強き者を求めて歩き、それと見えて斬り伏せる。
理由もなく人を斬るが、快楽殺人者という訳ではない。
いわゆる『修羅の道』を歩む者。強きに打ち勝つことでしか、己の存在意義を感じない者。
それが、その男。男はいつしか『修羅の者』と呼称されるようになった。
修羅の者は今日も強き者を求め野を渡る。
過去には数えきれない程の使い手を斬り伏せてきた。
京に於いては槍の名手と。大坂に於いては鎖鎌を繰る口引と。
伊勢に於いては柳生一族の末裔と。
薩摩に於いては弓と矢を駆る老傀と。
土佐に於いては節棍を使う女と。
数々の人間と、数々の武具を打ち倒してきた。
修羅の者はそれでも満足せず、ただひたすらに強き者を求めていた。
:08/03/03 15:41 :P903i :zBYy/l0.
#44 [河上彦斎(1/3)◆vzApYZDoz6]
そんな修羅の者の前に、ある1人の男が立ちはだかった。
立ちはだかった男は、手に西洋式の筒を持っていた。その筒には見覚えがあった。
自動拳銃。江戸末期の世では珍しい、近代兵器の第1歩。
「俺と合い見えてもらおうか」
男が自動拳銃を突き付ける。
西洋の龍のエングレーブが入った銃。
その龍を静かに見つめ、修羅の者は薄く笑った。
同時に刀に手を掛ける。
抜刀と同時に凪ぎ払われる刀身。男は突き付けていた銃身を立てて剣撃を受け止める。
刀の速度を殺さずに、銃身を横に倒して受け流
:08/03/03 15:42 :P903i :zBYy/l0.
#45 [河上彦斎(2/3)◆vzApYZDoz6]
>>44また途切れたw
しかも44とか不吉w
そんな修羅の者の前に、ある1人の男が立ちはだかった。
立ちはだかった男は、手に西洋式の筒を持っていた。その筒には見覚えがあった。
自動拳銃。江戸末期の世では珍しい、近代兵器の第1歩。
「俺と合い見えてもらおうか」
男が自動拳銃を突き付ける。
西洋の龍のエングレーブが入った銃。
その龍を静かに見つめ、修羅の者は薄く笑った。
同時に刀に手を掛ける。
抜刀と同時に凪ぎ払われる刀身。男は突き付けていた銃身を立てて剣撃を受け止める。
刀の速度を殺さずに、銃身を横に倒して受け流す。そのまま手首を回して銃口を修羅の者に向け、引き金を引いた。
:08/03/03 15:46 :P903i :zBYy/l0.
#46 [河上彦斎(3/3)◆vzApYZDoz6]
射出された弾丸は、現代のそれとは違い決して速くない。
それでも、銃口を向けられて尚笑みを浮かべる修羅の者を殺すには十分な速度があった。
だが、弾は修羅の者に当たらなかった。
受け流された刀の柄ギリギリに逆の手を添えて、テコの原理で刀身を無理やりに軌道修正。
つばめ返しと呼ばれる連撃技。
柄の真ん中を支点にして切り上げられた刃が、射出された鉛弾と銃身を両断し、一緒に引き金に掛けられた男の指を切断した。
「があっ!!」
思わず斬られた手を抱えて蹲る男の先で、振り上げられた刀身が妖しく光る。
それに気付いた男が顔を上げる前に、男の体は右肩から袈裟懸けに斬り裂かれた。
辺りに飛び散る緋色の鮮血。
修羅の者は、倒れ伏す男ではなく斬り捨てた刀を睨んでいた。
幾度となく血を纏った刀身は、赤黒く変色している。
とうに輝きを失った刀をしばらく眺めて、付いた血を振り払い鞘に納めた。
足下に転がる男の死体には目もくれず、修羅の者は再び歩き出す。
より強き者を、より強き武具を求めて。
ただひたすらに、修羅の道を歩いていった。
:08/03/03 15:47 :P903i :zBYy/l0.
#47 [[人斬り]ふむ(1/1)◆s8/1o/v/Vc]
人斬り。
それが俺の称号だった。
俺が名乗ったものではない。
世が俺に与えた名だ。
別にこの名は好きじゃないが、嫌いでもない。
なぜなら間違っていないから。
俺は人を殺す。
どんな形であれ、それは変わらない。
俺は人殺しだ。
皆が恐れる殺人鬼だ。
血塗られた太刀も、その味を覚えてしまっている。
滴る鮮血に、肉を切り裂く味を。
昨日も人を殺した。
洞窟の中にたむろしていた野党だったか…。
そんな事はどうでもいい。
俺は洞窟の地面や岩壁を血の色で汚し、血臭を充満させた。
十人前後いた人間は、俺の前で、俺の手によってただの肉の塊と化した。
人斬り。
それが大量殺人鬼である俺に付けられた呼称。
ぼんやりと空を眺めていたら、近くに女の叫び声が響いた。
見れば、河原で若い女が下衆な三人の男に襲われている。
俺は太刀に手を掛けた。
ゆっくりと歩を進める。
人を斬るために。
今日も、俺はこの手を血に染めて人殺しとなるだろう。
一人の女性のために。
:08/03/03 19:35 :SH905i :☆☆☆
#48 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/03 19:38 :SH905i :☆☆☆
#49 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/03 19:39 :SH905i :☆☆☆
#50 [紫陽花[私の宝物(1/1)]]
『朝よ〜!!起きなさい!!』
いつものように朝が苦手な息子をたたき起こす。剣道部の息子は昨日の試合の疲れからか今日はいつも以上に起きない。
『まったく…』
でも確かに昨日の試合は素人が見てもスゴい試合だった。我が息子ながらあんなに白熱した闘いを繰り広げられるなんて自分の目を疑ったほどだ。結果は惜しくも負けてしまったが、その時の息子の悔しそうな顔は夫の若い頃そっくりだった。
あぁ……こうやって男の子から男性へと変わるのね、そう思うとなんだか胸が熱くなった。
しかし昨日の白熱した闘いとは裏腹に今は天使のような寝顔で布団にくるまっている。
『だけどまだまだ子供ね』
そういって私は息子の布団を剥ぎ取り起きるよう促した。
今日もまた変わらない
いつもの日々が始まる。
ーーーendーーー
:08/03/03 20:48 :F905i :☆☆☆
#51 [雨のち晴れ(1/2)◆vzApYZDoz6]
私の体を、夏のぬるい雨が打つ。
心の中も同じく晴れていない。闇が、私の心に突き刺さる。
まぁこれは比喩なんだけど。
どうせならもっと明るいものに刺されたい。
上を向く気力が出ない。
向いてもどうせ雨雲だけ。
傘が無くても雨宿りしようとは思わなかった。
でも光化学スモッグに侵されたこの街の雨は、体にチクチクと突き刺ささってすごく痛い。
まぁ比喩なんだけど。
どうせならもっと優しい雨に刺されたい。
そう思って、とりあえず街から離れるためにバスに乗り込む。
以外と乗車してる人は多い。って今雨降ってたんだっけ。
バスの中でもずぶ濡れの私に視線が痛く突き刺さる。
まぁ比喩なんだけど。
どうせならもっと柔らかい視線に刺されたい。
バスの中はうつ向いてやりすごした。
着いた先は駅。視線を避けるようにうつ向いたまま、さっさと特急電車に乗り込んだ。
尖った視線はもう慣れた。
街から離れる程に人は減る。でもその分、馴れ馴れしい人が増える。
あまり話し掛けてほしくなかったから、ここでもうつ向いて歩いていった。
:08/03/03 23:03 :P903i :zBYy/l0.
#52 [雨のち晴れ(2/2)◆vzApYZDoz6]
着いた場所は田舎町の、ある1軒の家。
久しぶりに来た気がする。そこで初めて顔を上げて、家を見上げる。
いつの間にか雨はあがっていた。
あれ?上を向いただけなのに視界が明るくなった気がする。突き刺さるものは柔らかい。
これも比喩?
ううん、違う。明るくて、優しくて、柔らかいものを感じる。
後ろを振り返ると、眩しさに目が眩んだ。
田舎の山々の上に広がる入道雲。その更に上で輝く太陽。
太陽の光を受けた蒸気が、虹となって山々に掛かっていた。
あー、そっか。暗かったのも、怖かったのも、尖ってたのも、私が下を向いていたせいなんだ。
だって、そうでしょう?
いつでもそこにある空が、こんなにも――
後ろの家の戸が開き、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あらあんた…帰ってくるなら電話の1本ぐらい入れたらいいのに。なんかあったのかい?」
「別に。何となくだよ」
本当はふられちゃったからなんだけど。ホームシックになって何が悪い。
でも、思ったより早くに私の心の雨はあがった。
もう大丈夫。
だって、そうでしょう?
そこにいつでもある空が、こんなにも――
――こんなにも、おっきいんだから。
:08/03/03 23:03 :P903i :zBYy/l0.
#53 [アダ名で呼んでほしいシュール(1/2)]
「なぁ山中さん、こないだ貸しt」
「ちょっと待ったぁ!!」
「え?なに、どうした?」
「なんであなたは私をアダ名で呼んでくれないの?」
「はっ?いやそんな事よりこないだ貸しt」
「そんな事よりってなによ!!」
「えっ、いや…そんな怒んなよ…」
「それならアダ名で呼んでよ!」
「分かったよ…じゃあ、シューr」
「それは皆呼んでるから面白くない」
「いや皆が呼ぶのがアダ名じゃねぇのかよ?」
「そうねー、私は素直だってよく言われるし『ナオスー』とかいいかも」
「おっと華麗なスルーパス出ました」
「なんか言った!?」
「いや…何も」
:08/03/03 23:58 :P903i :zBYy/l0.
#54 [アダ名で呼んでほしいシュール(2/2)]
「じゃあアダ名」
「いや…はっ?」
「ア・ダ・名!!」
「えっと…何だっk」
「ナ・オ・ス・ー!!!」
「怒鳴るなよ…じゃあ、ナオスーさん、こないだ貸s」
「何でさん付け!?アダ名でしょ!?」
「………ナオスー、こないd」
「いやナオスーじゃイマイチ響きが…オナスーとか?…おなす…お茄子、そうだ茄子よ!これからは『なすb」
「だるあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
完…?
:08/03/03 23:59 :P903i :zBYy/l0.
#55 [[空]ふむ(1/2)◆s8/1o/v/Vc]
―ねぇねぇ。
―なぁに?
地下深くの冷たいコンクリートで出来た小部屋に、二人の少年がいた。
空って知ってる?
そら?
うん。
何それ?
外に出るとね、上に青い世界が広がってるんだって!
本当?
本当だよ、話で聞いたもん。
じゃあ…さ。
ん?
見てみようよ、空。
えっ…でも、ここからは出ちゃいけないって…。
うん、そうだね。
…それでも行くの?
僕は行くよ。見てみたいんだ。空を。
でも…。
うん…殺されるかも知れない。でもね…空を知らない人生ってつまらないと思うんだ。
………。
行く?
僕は……。
行かない?
………。
そう…じゃあここでバイバイだよ。
…うん。
じゃあね。今まで、ありがとう。
さよなら…元気でね。
片方の少年は立ち上がると扉に手を掛ける。
もう一人の少年は心配そうな表情に寂しげな目で少年の背中を見つめている。
がちゃり、と重い金属音がして、扉が開かれる。
少年は後ろからの視線に振り返ることなく、扉の向こうに姿を消していった。
:08/03/04 00:02 :SH905i :☆☆☆
#56 [[空]ふむ(2/2)◆s8/1o/v/Vc]
少年は駆け出した。
裸足のまま冷たい廊下をひたすら走った。
突き当たりに立入禁止の文字が書かれた扉がある。
鍵は朽ちていて近くのパイプ椅子で何度か叩けば簡単に壊れた。
老人の言葉を思い出す。
この扉から先へは行ってはいけないよ…。
大人も近づかないこの場所。
この先には何があるのか。
全く知らない未知の世界。
立ち止まっている時間はない。
ばれて捕まったら殺されてしまうだろう。
少年は扉を思い切り開けると勢い良く中へ飛び込んだ。
真っ暗な廊下。
水の滴る音。
唯一の光である切れかけの電球。
じめじめとした湿気を含むコンクリートを強く蹴る。
早く、早く…。
永遠に続きそうな錯覚さえする長い廊下を全力で駆けた。
待っていたのは上へと続く長い階段。
暗くなっていて先が見えない。
少年は荒れた呼吸を少し整えると一歩を踏み出した。
暗く静かな世界にひたひたと少年の足音のみが響く。
前方に何かが見えてきた。
扉だった。
見るからに重そうな扉は錆だらけで隙間から光が漏れていた。
外だ!
少年は駆け出した。
扉に手を掛けると錆が付着しているためかうまく開かない。
扉に何度も体当たりをした。
何回目かの体当たりで扉自体が外れ向こう側の世界が現れる。
視界が光に満ちた。
少年は眩しそうに目を細める。
わぁ…
喜々とした声を上げて頭上を見上げる。
これが空かぁ!
空を描いた映像が広い広い部屋の天井いっぱいに映し出されていた。
そのソラには太陽を模った巨大な電球。
少年は初めて見るソラに感激した。
:08/03/04 00:23 :SH905i :☆☆☆
#57 [<旅立ち>向日葵(1/1)]
これが最後じゃない。
なのに涙が止まらない。
いつでも帰ってきたらいいと不器用に言ってくれた父。
体に気をつけてと優しい母。
寂しいと泣きじゃくる妹。
電車に乗って、夕焼けに染まって行く街並みが、段々と後ろへ遠ざかっていけば、寂しさが胸を押し潰しそうだった。
1人立ち。
大人の気分に浸っていた私。こんなに家族との別れを悲しいと旅立ちを決めた時そんな事を少しでも考えていただろうか。
ありがとう。
今まで支えてくれて。
ワガママを聞いてくれて。
誰よりも、皆の幸せを願います。
:08/03/04 00:46 :SO903i :MhC0f226
#58 [<春への想い>向日葵(1/1)]
雪が降っていた。
しんしんと積もる雪の音に、耳を傾ける。
白に近い灰色の空を見上げながら思うは貴方のこと。
冷たさも感じないくらい、この白い絨毯の上に寝転んでいる。
それほど貴方のことを考えてる。
重いかな?
重いよね。
私の想いはまるで雪のよう。
軽そうに見えて、その想いは積もれば積もるほど重くなっていく。
だから貴方は私の前からいなくなってしまったの?
:08/03/04 00:51 :SO903i :MhC0f226
#59 [<春への想い>向日葵(2/2)]
一筋涙が流れて耳へとつたっていく。
空気のせいか、まだ体温がある顔に触れる涙はひどく冷たく感じた。
まるで貴方の気持ちを表したみたい。
私のことなんて、もう忘れるくらい冷めてしまったのでしょう。
しんしんと降る音の中で、サクサクと軽快に雪を踏む音が聞こえてきた。
この広く白い草原に足を踏み入れたのは誰?
するとやがて、音が無くなって、またしんしんという音だけが聞こえた。
1つの影が私にかぶさる。
:08/03/04 00:55 :SO903i :MhC0f226
#60 [<春への想い>向日葵(2/2)]
間近で見えるは、あの人。
待ちわびた人。
愛しい人。
「冷たいね。」
そう言いながら、凍りついた私の頬に、太陽のように温かい貴方の手が触れる。
そして愛おしそうに私を見つめながら微笑む。
私の心が、寒い冬から草花溢れる春へと変わる。
温かい日差しの中、私は貴方と手を繋ぎ笑いあう。
薬指に、結ばれた証をつけて……。
:08/03/04 00:59 :SO903i :MhC0f226
#61 [<春への想い>向日葵(2/2)]
すいません(3/3)でした
:08/03/04 01:00 :SO903i :MhC0f226
#62 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 01:02 :SH905i :☆☆☆
#63 [今から(1/1)◆vzApYZDoz6]
時刻は0:49。
パジャマに着替えてベッドで携帯をいじっていたら、急に着信がきた。
掛けてきたのは友達だ。
「今から行くわw」
いきなりかい。
とりあえず家はみんな寝てるから駄目だが。
「じゃあコンビニの前おってw」
一方的に電話を切られた。
まったく、車の免許を取ってからずっとこれだ。
春休みに入って回数は減ったが、たまにこうして夜中に電話がかかってくる。
まぁ、いいか。
明後日になれば卒業だ、思い出は多い方がいいだろう。
俺は着替えて、家を出た。
今、コンビニの前にいます(実話)
:08/03/04 01:03 :P903i :KmOF1cpQ
#64 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 01:29 :SH905i :☆☆☆
#65 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 01:30 :SH905i :☆☆☆
#66 [家族ドライブ(1/2)に]
一台の車が走る。
「久しぶりのドライブだね、おかあさん!」
そうね。三人なんて本当に久しぶり。
「あのね、おかあさん。おとうさんがへんなの。はなしかけても、おへんじをしてくれないの。ふりむいてくれないの。ねえおかあさん。おとうさんはびょうきなの?くるしいの?」
いいえ。病気でも、苦しくもないのよ。
暗い夜道を、一台の車が走る。
「おかあさんおかあさん。おとうさんはぼくのことがきらいなの?きらいだから、おこってるから、おとうさんはへんなの?」
いいえ、あなたのことをとても愛しているわ。
何かに追われるように、必死で走る。
「おとうさん…」
運転中だから、集中してるのよ。
「おかあさんおかあさん、きょうはどこへいくの?」
多分。
「たぶん?」
:08/03/04 03:10 :PC :gM1Jl6UY
#67 [家族ドライブ(2/2)に]
橋の上で車が止まった。エンジンを切る音がし、息の荒い男が運転席から出てくる。
後部座席のドアを開け大きな黒い袋を引っ張り出し、その重さによろけながらも力任せに、下流に向けて投げた。
重力に逆らうことなく黒い袋はあっと言う間に暗闇に溶け込んで。
激流に呑まれたのか、落ちた音は確認出来なかった。
車に戻った男は声を荒げ後部座席に向かって怒鳴る。
「お前も五月蠅いとなあ、こうしてやるからな!!」
「あのね」
「おかあさんが、ずっと一緒に居たいって。」
穏やかに笑う少年の手にはバタフライナイフ。
その刃先は男の眼球目掛けて迷うことなく振り下ろされた。
そうして。
:08/03/04 03:11 :PC :gM1Jl6UY
#68 [「大好きな赤」向日葵(1/2)]
赤が好き。
私の夢は世界中を赤で染める事。
家の中も全て赤。
赤一色。他の色なんていらない。
赤だけでいい。
だからキョロキョロも、赤で飾ってあげるの……。
「アハハハハハ!!」
楽しいなー。
みーんな真っ赤になってゆくんだもの。
この子も真っ赤になってさぞ喜んでいるのでしょうね……。
とーっても綺麗よ。
:08/03/04 03:30 :SO903i :MhC0f226
#69 [向日葵]
間違えました……キョロキョロじゃなく今日です。
予測変換ミスしました……。(泣)
:08/03/04 03:31 :SO903i :MhC0f226
#70 [「大好きな赤」向日葵(2/2)]
ホラ見て?
頭も、胸も、口も……全部赤じゃない。
赤にしたてるための道具のナイフも赤。
この子から出てきた液体も赤。
そして……それに触れた私の手も……赤。
でもね、周りのほとんどが、赤になっちゃったの。
他に赤くするのが無いわ……。
その時、ふと鏡を見た。
やだ……私赤くないじゃない……。
赤く……赤く……真っ赤にしなくちゃ……。
赤く染まったナイフを、胸の中で脈を打つ場所めがけて突き立てる。
これで私も……
……――――アカ
:08/03/04 03:36 :SO903i :MhC0f226
#71 [夢見て、常日頃(1/2)◆vzApYZDoz6]
静かに寝息をたてる男。
その顔が、徐々に歪んでいく。
「……うわああっ!」
叫びに近い唸りと共に、男がベッドから跳ね起きた。
額に滲む汗を拭いながら、今の状況を確認する。
床に乱雑に置かれた雑誌や漫画。テーブルに置かれた、ぬるくなったお茶が淹れられたコップ。主電源を切り忘れているテレビ。
そこは、男の部屋だった。
「…何かアレな夢だったな」
上半身を起こしたまま目をこすり、もそもそとベッドから出る。
よく分からない夢だったが、なぜか頭に焼き付いている。
ボーッと夢の事を考えながら、とりあえずテレビの主電源を切る。
壁に掛けられた時計を見ると同時に、階下から母親の声が聞こえてきた。
「あんた、早く起きなさい!遅刻するよ!」
時刻は8:05。
別に間に合わない訳でもないが、朝飯は食えないだろう。
いつもの朝と同じ風景。
まだ夢が頭から離れず、考えながら割かし急いで制服に着替える。
その途中で、母親とは違う声が外から聞こえてきた。
「ちょっと早くしてよ!私も遅刻するじゃない!」
2階の窓に向かって叫ぶ幼馴染み。
俺はいつも彼女と一緒に学校へ行っている。
いつもの朝と同じ風景。
今日はあの夢の話を幼馴染みにしようかな。
そう考えながら階段を下りていく。
:08/03/04 04:19 :P903i :KmOF1cpQ
#72 [夢見て、常日頃(2/2)◆vzApYZDoz6]
1階の食卓の上には、おそらく俺のために作られたであろう朝飯が並んでいる。
味噌汁にご飯、納豆、サンマの塩焼き。なんとも伝統的な日本食だ。
いつの間にか家に上がっていた幼馴染みが、その朝飯に手を出していた。
途中で俺に気付き、慌てて味噌汁を啜る。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
食べかけの朝飯を名残惜しげに見つめる幼馴染みの腕を引っ張り、玄関を出る。
いつもの朝と同じ風景。
通学路で、早速今朝見た夢の話をしてみる事にした。
「あのさ、今日変な夢を見たんだけど」
「あんたの夢なんか知らないわよ」
あっさりと切り捨てられた。
まぁ彼女はこういう性格だ。無駄にツンデレだから仕方がない。
「できれば聞いてほしいなー、なんて」
「………話しなさい」
幼馴染みの顔が少し優しくなる。
じゃあ、と切り出して夢の話をし始めた。
もちろん夢の話なんて最初だけで、5分も経てば話題は変わるんだが。要するに夢の話は、会話を始めるきっかけだ。
いつもの朝と同じ風景。
でも、いつもより幼馴染みの肩が近かった。
:08/03/04 04:20 :P903i :KmOF1cpQ
#73 [始まりは白紙から(1/1)◆vzApYZDoz6]
「食らえ、断罪の左手!」
「漆黒の渦潮よ、飲み込め」
男が斧と化した左手がふりかぶるのを、女は微動だにせず佇んでいる。
だが左手が振るわれる前に、2人の眼前に闇が現れた。
闇は、2人を包み込んで――
「懐かしいな、小学生の自由帳か」
ページを捲る音。
闇となったページの次は、真っ白だった。
部屋を片付けていたら出てきた、あの頃の思い出。
ページの片隅にいる『彼ら』の冒険は、あの頃から時間が止まったまま。
そして今、真っ白なページに十数年振りに冒険が書き込まれる。
『彼ら』の旅が、再び始まろうとしていた。
:08/03/04 20:48 :P903i :KmOF1cpQ
#74 [◆vzApYZDoz6]
ところで皆さんお題の存在は知ってるんですかね?
>>2にお題があります
まぁお題を使う必要は別にないんですが…
しかし参加者が少ない…
:08/03/04 20:52 :P903i :KmOF1cpQ
#75 [リナ「死にたがりスティング」1/2]
スティングスティング
彼はスティング
スティングスティング
死にたがり
僕が知ってるだけでも10回は馬に蹴られ、それ以上に滝にのまれてる。
何でそんなに死にたいの?聞いたんだ。
なんて言ったと思う?
死ぬのが生きがいなんだって。
ふふっ笑っちゃうよね。
今はこの町で一番高い灯台の天辺にいるよ。
今日はあそこから海に飛び落ちるんだって。
でもスティングは死なない。
なにをしても死なないよ?
スティング以外みんな知ってる。
スティングの秘密。
でもスティングには絶対教えてあげないんだっ。
:08/03/04 21:37 :N905i :☆☆☆
#76 [リナ「死にたがりスティング」2/2]
スティングスティング
彼はスティング
スティングスティング
僕の友達
僕のひいお爺ちゃんより長くこの村にいるスティング。
こっそり教えてあげよーかな?
人は二度死ねないんだよって。
END
:08/03/04 21:38 :N905i :☆☆☆
#77 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/04 22:04 :P903i :KmOF1cpQ
#78 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 22:13 :SH905i :☆☆☆
#79 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしとアイはいつも一緒。
ご飯のときも、寝るときも、お風呂も歯磨きもぜーんぶ一緒。
あたしとアイはすごく高いところにあるお部屋に住んでる。
お父さんはビルって言ってた。
ベランダっていう窓からお外が見えるけど、危ないから出ちゃダメなんだって。
一緒に住んでるお父さんは、二人目のお父さん。
一人目のお父さんは優しくていつも一緒に遊んでくれて大好きだったけど、いなくなっちゃった。
それから今のお父さんのお家にお引っ越ししたの。
でも今のお父さんは一緒に遊んでくれないしお仕事であまりお家にいないから、あたしは前のお父さんの方が好きなんだ。
お父さんには秘密だよ。
あたしは公園が大好き。
ブランコとかお砂場とかジャングルジムとか、楽しいのがいっぱいあるから。
でも、公園には行っちゃいけないの。
今はぶっそうなよのなかだからってお父さんが言ってたけど、あたしもアイもよくわからない。
一度お父さんがお仕事に行ってるときに、アイと二人でこっそり公園に行こうとした。
でもお部屋のドアが開かなくて、出られなかった。
:08/03/05 00:39 :SH903i :sHcifOgU
#80 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
今のお父さんのお家に来てから、あたしはお外で遊んでないの。
アイと二人で、お父さんがつくったごはんを食べたり、テレビを見たりしてる。
でも、アイはお外に出てるの。
あたしが寝てる時にお父さんに連れて行ってもらってるんだって。
アイがお外に行った次の日は、あたしにお外の話をしてくれて楽しい。
でも、どうして?
アイとあたしはいつも一緒なのに。
どうしてアイだけお外に出られるの?
アイに聞いてみたけど、テレビを見ててお返事してくれなかった。
今日のお天気は雨で、いつも窓から見てるお外がよく見えない。
アイがあたしを呼んでる。
なあに?
――お外に出たい?
出たいよ。公園でブランコにのりたいな。
――じゃあ次にお父さんとお出かけするときは代わってあげる。
ほんと?
――うん。
夜、お父さんがアイを呼んだ。
あたしはアイのふりして、お父さんと一緒にお部屋を出た。
ひさしぶりにお外に出てうれしかった。
:08/03/05 00:45 :SH903i :sHcifOgU
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