浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#701 [笹]
【本編アンカー/21〜】
>>631-652
>>654-674
>>676-697

だいぶ章がずれてましたw
気にしないでください
(´;ω;`)

⏰:10/02/18 00:32 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#702 [笹]
【番外編アンカー】
>>297-316
>>366-393
>>450-470
>>537-557

最後のタイトル
笹の感想部は
流れを重視したいため
省きました(´・ω・`)ノ

⏰:10/02/18 00:34 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#703 []


目の前で繋がった手と手

真っ赤な着物が背を向けて
貴方に詰め寄る

見たくもない光景
だけど目が離せない

今すぐ追い払いたい
だけど今のあたしは無能

もどかしさと悔しさに
涙を浮かべても
貴方は気付いてくれなくて‥

⏰:10/02/18 20:11 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#704 []
 
「彼女は、首筋に
黒子がありました‥」

「‥やめとくれよ
もうあの子は居ないじゃないの」


頬を這った赤い爪
それに手を添えて微笑した

⏰:10/02/18 20:12 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#705 []
 
壱助さん‥やだよ
あたしが子供だから?
あたしじゃ満たされないから?


あたしは‥貴方がいいのに

⏰:10/02/18 20:12 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#706 []
 
「まぁ、まぁ」

そう言うと壱助さんは
赤い爪を優しく払いのけ
睫を伏せた


「‥壱助さん、抱いとくれよ」

甘ったるい声が響く


暴れすぎて食い込む縄
じりじりと痛みが熱さに変わる

⏰:10/02/18 20:13 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#707 []
 
悔しくて悔しくてたまらない

思いきり噛み締めると
布に滲んだ鉄分が
舌に流れ込んだ


「あの子と同じだろう?
あの子と何一つ変わらない‥
それとも何だい‥
あんな小娘を慕ってるとでも?」

挑発的に腕を首に絡ませて
紅に染まった唇を
壱助さんの首筋に寄せた

⏰:10/02/18 20:14 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#708 []
 
あの子って誰だろう‥
壱助さんの恋仲だった人?

あたしとは
恋仲でも何でもないのに
どうしてこんなに
気になっちゃうんだろう‥


壱助さんには
あたしなんか釣り合わない
わかってるのに

⏰:10/02/18 20:14 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#709 []
 
「香夜さんを‥ご存知で?」

微動だにせず唇だけ動かした

「まだまだ子供じゃないか‥
あんなのよりも‥ねぇ?」


そうだ‥
誰から見ても
あたしはまだ子供

壱助さんも
あたしのことなんて
相手にしてないかもしれない

⏰:10/02/18 20:14 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#710 []
 
蛇のように絡みつき
舌を頬に這わせた


「そうです、ね
確かに‥子供だ」


ほらやっぱり
期待して盛り上がってるのは
あたしだけなんだ

⏰:10/02/18 20:15 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#711 []
 
納得しようと
自らに語りかけても
溢れ出す涙は止まらない


今にも重なりそうな唇
思わず息をひそめた

「しかし‥」


―‥目の前で重なった

⏰:10/02/18 20:15 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#712 []
 
欲望をかき回すように
お互いを弄り
漏れる女の吐息と
冷静な顔つきの貴方

色がましいほどの接吻
耳にへばり付く音


その目にあたしは映らない
‥このまま消えてしまいたい

事が一気に重なりすぎて
自分を見失ってしまいそう

⏰:10/02/18 20:16 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#713 []



「ぎゃあぁああぁ!!!」


それは突然だった

いつの間にか二人は離れ
悲鳴を上げて悶える女の姿

ぺろりと舐めた壱助さんの唇には
真っ赤な血液

⏰:10/02/18 20:17 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#714 []
 
転がる女の口からも
同じ色の液体が滴る


「私は、好き者なもんで‥ね」


横目でその姿を見つめ
すぐさま腰を上げた

⏰:10/02/18 20:17 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#715 []
 
「げほっ‥んぐ
お前‥ふざけるな‥っ!!」

「連れを悪く言われては‥
流石に私も‥黙っちゃいない」
冷酷な視線が女を突き刺す


悲鳴に反応して
集まった男たちが刀を抜いた

「よくも‥貴様!!」

⏰:10/02/18 20:18 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#716 []
 
壱助さん‥殺されちゃう
逃げて壱助さん!!


しかしそれには目もくれず
すたすたと此方に向かってきた



もしかして‥最初から

⏰:10/02/18 20:18 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#717 []
 
「ふざけるのもいい加減に‥!!」

そう言った一人の男が
刀を壱助さんの背中に振り上げた


「どいつもこいつも‥
騒がしいです、ね」

⏰:10/02/18 20:19 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#718 []
 
―‥ドカッ!

そう言い終わる前に
すぐさま振り返り
余裕の回し蹴り‥

壱助さん‥貴方強すぎです


怖じ気づいた他の衆に
睨みをきかせると

「何時まで其処に‥居る気で?」

⏰:10/02/18 20:20 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#719 []
 
場に似合わないような
美しい手が襖を開けた

「おや、おや
随分と悪趣味な‥」

悪趣味って‥
好きで縛られてるんじゃない!!

ぼろぼろ涙を零すあたしの
口を塞いでた布を
簡単に解いて
ひょいと抱き抱えられた

⏰:10/02/18 20:20 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#720 []
 
「壱助さぁあんっ!」

「‥全く、だらしない」


呆れ顔に呆れ口調

結局はどんな対応でも
壱助さんなら許せちゃう

⏰:10/02/18 20:21 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#721 []
 
「‥どうしてだい?!」

急に背中から聞こえた
女の叫び声


「あの子が居なくなったら‥!
あの子が死んだら、
振り向いてもらえると
‥思っていたのに!!」

⏰:10/02/18 20:22 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#722 []
 
後ろを覗き込めば
狂気に犯された女が
あの真っ赤な爪で頭を掻きむしり
急に老いぼれたようで


‥まるで化け物


「あの子さえ居なくなれば‥
あんたはあたしの物だった
あの子が邪魔をしたんだ!!」

⏰:10/02/18 20:22 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#723 []
 
立ち止まり
真っ直ぐ前を見据えた壱助さんは
黙ってそれを聞いていた


「‥今度はその娘かい?!
どうしてあたしじゃ‥」

俯き滴る雫
こぼれた血液と混ざり合い
怪しく濁る

⏰:10/02/18 20:23 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#724 []
 
‥この人は
壱助さんを愛してたんだ

あの涙は
さっきあたしが流したものと
きっと同じ

憎しみや嫉妬
嫌らしい欲情に埋もれた
透き通ってたはずの心

なんだか
わかる気がした‥

⏰:10/02/18 20:23 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#725 []
 


「‥ちょいと、貴女は
履き違えてしまった」


ぽつりそう言い残して
振り向きもせずに、


―‥そして悲しい顔をした。

_

⏰:10/02/18 20:24 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#726 []
第二四?章 【血の涙、滲んで/後】
>>703-725
*。*。*。*。*。*
初めて修羅場に挑戦(´・ω・`)
暗い‥女って怖いw

あの子=番外編に出てきた
壱助さんが過去に愛した遊女
血が出ちゃったのは‥
壱助さんが舌噛んだからw←

ちょっと背伸びした作品
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/02/18 20:29 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#727 [笹]
【本編アンカー/1〜20】
>>699-700
【21〜】
>>631-652
>>654-674
>>676-697
>>703-725

【番外編アンカー】
>>702

⏰:10/02/18 20:31 📱:D905i 🆔:4LI2ZH.E


#728 []
 
誰かに対する愛情は
大きければ大きいほど

失った時の悲しみが
憎しみに変わる


人格をも変えてしまう
愛は何よりも暖かく
そして恐ろしくもある

⏰:10/02/21 18:50 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#729 []



あたしの母親と
あの遊女さんは
同じ顔をしてた気がする

酷く狂気におかされて
憎しみが溢れ出して‥
だけどその目の奥は
不釣り合いなほどに
孤独の悲しみに濡れ
未来に瞳を曇らせていた

⏰:10/02/21 18:50 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#730 []
 
愛されたいと思うのも
愛したいと思うのも
‥人間の本質で

愛する人がいて初めて
心の支えができる


母親を許すわけじゃない
妹を殺す事も許されない

だけど‥

⏰:10/02/21 18:51 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#731 []
 
「‥壱助さん」

「気になります、か」

あの表情が頭から離れない
ずしりとした感覚が
頭の先から流れ出す

「あの遊女さん‥、」

「妹を‥殺しました」

「‥双子の?」

「えぇ、」

⏰:10/02/21 18:51 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#732 []
 
「壱助さんは‥恐ろしいですね」

そう言うと
驚きもせずに
むしろ納得してるみたいに
ほくそ笑んで目を細めた


「それだけ‥
魅了してしまうんだもの」

「私が‥
殺めたような物です、よ」

⏰:10/02/21 18:52 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#733 []
 
壱助さんが悪いのかな
誰が悪い‥?

「誰も‥悪くないと思います」

「ほぉう‥」

壱助さんは
興味深そうにこちらを見つめ
楽に足を崩した


「愛されたいじゃないですか‥
誰だって」

⏰:10/02/21 18:52 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#734 []
 
だって‥
あたしは愛を知らないから
愛されたいって思います

愛しても見捨てられて
それでも無理矢理に追いかけて

あたしに向けられたのは
痛いほどの言葉たちと
たくさんの醜い傷

お父さんに対する母の愛情に
あたしは負けてしまったの

⏰:10/02/21 18:53 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#735 []
 
これが愛だと言うなら
もう誰も‥愛したくない


「香夜さん、」

それはとても優しくて
だけど厳しくて


「見返りを求めてしまえば
‥それは、ただの欲望だ」

「欲‥望?」

⏰:10/02/21 18:53 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#736 []
 
「愛されると言うことは
誰にとっても本望です、よ
しかし‥
此方が得するような愛などない」

得なんかしなくていい
ただ同じ重さのものが欲しくて

「初対面の人を愛せと言われて
愛せる人などいないでしょう
‥自然とそんなものは
生まれるもので、香夜さん」

⏰:10/02/21 18:54 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#737 []
 
だから何だと言うの?


「相手もまた‥然り
愛してと言ったって
‥無理なものは無理です、ぜ
偽りとなれば
また話は別ですが‥」

「運命ってことですか?」


運命‥そんな不確かなものを
壱助さんは信じないでしょう

⏰:10/02/21 18:54 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#738 []
 
「自らが与え続ければいい
‥それだけの事、ですよ」


壱助さんは色男だから
そんな事が言えるんじゃないのか

与え続けて成果がなければ
疲れてしまうじゃない

⏰:10/02/21 18:55 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#739 []
 
「お律さんが‥
私を慕ってくれていた
それは自然と起こった感情で
自らの自由な思いです。

しかしそれを私にも求めて‥
都合のいい話じゃあないですか

関係のない彼女の自由をも犯し
‥それが愛だとでも?」

貴方は何処までも大人で

⏰:10/02/21 18:56 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#740 []
 
「与えれば、必ず与えられる
そんな保証が此の世に有るなら
‥ソレは偽りと化す

彼女はちょいとばかり
‥求めすぎた」


いつもいつも
何かを教えてくれる

⏰:10/02/21 18:57 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#741 []
 
「分からないからこその
本物だと思うのですが、ね」

「ソレが本物なら‥
どれだけ辛くても‥そっか」


辛くても耐えられる
耐えられなくなった時
ソレは偽りに変わる

⏰:10/02/21 18:57 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#742 []
 

「時に泣き、時に憎しみ
‥それが浮き世と言うもんで
誰かの幸福が
誰かの不幸になる‥」


じゃあ、あたしが
辛い思いをした時に
誰かが幸せになってたのかな

⏰:10/02/21 18:58 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#743 []
 
他人の幸せを
願える人になれたなら

自分の幸せを
そっちのけにできたなら


‥それが一番の幸せ
偽りのない本物が手に入る

⏰:10/02/21 18:58 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#744 []
 
『あの子さえ居なくなれば‥!!』

本物の愛を見つけて

"貴方が幸せなら其れでいい"

‥そのことに気付けたなら


「不幸は幸せに‥
変わるもんです、よ」

_

⏰:10/02/21 18:59 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#745 []
第二五章 【与え続けて】
>>728-744
*。*。*。*。*。*
趣旨がよくわかりません
またスランプ←

とりあえず
笹の恋愛観を詰め込んでみました
人にはきれい事だって
よく言われますが(´・ω・`)

相手を変えたかったら
自分が変われというやつです
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/02/21 19:03 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#746 []
 



「それより‥!!」

「まだ、何か」

貴女は素直な娘だと
思うのですが‥

ちょいと怒った様子で
此方に詰め寄ってきた

ふわり、香る貴女

⏰:10/02/21 19:04 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#747 []
 
「何ですかあれ!!」

大人の色気とは程遠い
首筋のあどけなさ
自然に染まった唇の色が
何とも‥柔らかく


「あれ、とは?」

じっと睨みをきかせても
今回ばかりは
怖じ気付かずに‥強気、と来た

⏰:10/02/21 19:05 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#748 []
 
「さっき遊女さんに‥」

「はい、はい
近頃、あのような行為からは
疎遠だったもので‥
ついつい‥力んでしまい」


くすっと鼻であしらえば
不満そうに顔をしかめる

⏰:10/02/21 19:05 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#749 []
 
確かにアレは
意図的なもので
思いの外、血が出てしまい

しかし
一体‥何だって言うんで?


「そうじゃなくて!!」

随分と今日は
はっきりと物を言う

⏰:10/02/21 19:06 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#750 []
 
私に睨みをきかせるとは‥
何様のおつもりなのか、ねぇ


「誘惑に負けたんですか?!」

「‥誘、惑」


あぁ‥なるほど、ねぇ

⏰:10/02/21 19:06 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#751 []
 

「妬いていらっしゃるんで?」


貴女は本当に
‥可愛らしい人だ


しかし、何時もは此処で
違うと頬を染めて声を張る

⏰:10/02/21 19:07 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#752 []
 
「そりゃ‥妬きますよ」

「ほぉう」


どうしたもんか‥ねぇ
珍しい話だ

一向に目を逸らそうとせず
潤んだ瞳の色に魅了され

‥自分に呆れるもんで

⏰:10/02/21 19:07 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#753 []
 
「よし、よし」

誤魔化そうと頭を撫でても
機嫌は直らず

‥しぶとい、ですね


「子供扱いしないでくださいぃ!」

そんなつもりは
さらさら無いのですが‥

⏰:10/02/21 19:07 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#754 []
 
子供を相手にするほど
暇じゃあない


「では、何ですか
あのように‥されたいとでも?」


言い寄られては立場がない

やれやれと睫を伏せれば

⏰:10/02/21 19:08 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#755 []
 


――――‥


やられだもんだ


_

⏰:10/02/21 19:08 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#756 []
 
押し当てられた唇
随分と‥強引な方だ

盛りの猫ですか、貴女は


堅く閉じられた瞼が
時折ぴくりと動く

数秒押し当て満足したのか
急に離して頬を染めた

⏰:10/02/21 19:09 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#757 []
 
「‥消毒ですかい?」

羞恥に溢れた熱を
瞳に目一杯溜めて
不満そうな唇


「‥下手くそ」

「へ?」

そう吐き捨てて含み笑い

⏰:10/02/21 19:09 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#758 []
 
香夜さん‥
あんたは本当に
子供じみた事をするもんだ


「ちょいと‥
大人になったらどうです、か」


‥あんたが悪い

⏰:10/02/21 19:10 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#759 []
 
その不満そうな唇に
思い知らせてやりましょう、か


「ふぁっ」



漂う桃色に、本日は‥身を任せ。

_

⏰:10/02/21 19:10 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#760 []
番外編 【口付けて、桃色】
>>746-759
*。*。*。*。*
思い話が続いてたのでw
一応前話の続きなので
本編にしようか迷ったんですが
やっぱり2人には
いつまでも
もどかしくあってほしいから←

どんな状況でも
壱助さま冷静wそしてS ^p^
香夜ちゃんの素直な感じを
書いてみましたw
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/02/21 19:15 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#761 []
【本編アンカー/1〜20】
>>699-700

【21〜】
>>631-352
>>654-674
>>676-697
>>703-725
>>728-744

⏰:10/02/21 19:19 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#762 [笹]
【番外編アンカー】
>>297-316
>>366-393
>>450-470
>>537-557
>>746-759

⏰:10/02/21 19:20 📱:D905i 🆔:lVW6ewV2


#763 []
 



春になって
辺りの木々が鮮やかになる
新芽が生えて鶯が鳴く

暖かな空気と
鼻をくすぐる梅の香り


「‥香夜さん」

いろいろあったけど
壱助さんとは
一応仲良くやってる‥つもり

⏰:10/02/26 16:21 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#764 []
 
相変わらず
意地悪してくるけど‥

「何ですか?」


突拍子もないことを言う
何を考えてるのかは
未だによくわからない

「行きます、よ」

とりあえず
肝心なところを言わないのが
壱助さん流なんだと思う

⏰:10/02/26 16:22 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#765 []
 
「行くって‥何処へ?」

そんなあたしの質問には
耳も傾けず

流れるような細い指が
腕に絡まる


どきっとしてしまう
恐ろしいほどの貴方の色気

⏰:10/02/26 16:23 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#766 []



怒ってるわけじゃないみたい
‥売られることはなさそう


いつもよりゆっくりと
下駄の音を緩くして
艶容な口元が柔らかい

だからと言って
笑ってるわけでもなく
いつもの仏頂面

⏰:10/02/26 16:24 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#767 []
 
「もう春ですねぇー」

小鳥のさえずりに耳を傾ける


「えぇ‥そのようです、ね」


春が嫌いなのか何なのか
ちっとも嬉しくなさそう

⏰:10/02/26 16:24 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#768 []
 
「壱助さんは
四季で一番いつが好きですか?」

そう問えば
横目でちらり此方を覗く


「‥貴女は?」

繋ぎ目から伝わる温かさ
春はさすがに
冷え性も治るのかな?

⏰:10/02/26 16:25 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#769 []
 
「あたしは春が好きです!!」

だから今こうして
外を歩いているのが楽しい


「‥ほぉう
それはまた‥何、故?」

珍しく壱助さんが
あたしに興味をしめしてる

⏰:10/02/26 16:25 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#770 []
 
春だから?暖かいから?
そんなことが理由なら
壱助さんはとても単純な事になる

「ぽかぽかして暖かいし、
ほら!小鳥のさえずりって
聞くと何だか幸せになるし!!
‥あとは、お花が綺麗っ」


「‥へぇ」

⏰:10/02/26 16:26 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#771 []
 
‥自分から聞いておいて
そりゃぁないよ‥壱助さん

いつもと同じ無関心な声が
たった一言そう告げる


「で、壱助さんは?」

少し歩幅を大きくして
顔を覗き込む

⏰:10/02/26 16:26 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#772 []
 
「ご存知ですかい?」

「‥何を?」

「春の陽気にさそわれて
動物たちが活動を、始める」

「だからいいんですよ春!!
賑やかじゃないですかぁっ」



「ついでに‥変質者も、ね」

⏰:10/02/26 16:26 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#773 []
 
つり上がった口元と
冷たい視線が訴えた

「あたしの何処がっ‥
変質者なんですかぁっ?!」

「おや、おや
わからないとは‥可哀想な方、だ」


吐き捨てた言葉がぐさり

意地悪!意地悪ーっ!

⏰:10/02/26 16:27 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#774 []



もうだいぶ歩いて街から外れた

人がめっきりいなくなり
真っ青な空が一面に広がる


「んぅー‥」

ぷうっと頬を膨らませる

正直歩き疲れたし
何処へ向かってるかもわかんない

⏰:10/02/26 16:28 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#775 []
 
ただただ手を引かれる
少しだけ心細い


「‥」

「んわっ!!」

急に壱助さんの足が止まり
背中に顔が埋まった

鼻‥痛い

⏰:10/02/26 16:28 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#776 []
 
「急に止まんないでくださ‥」



―‥ガンッ!!!



目の前の鮮やかな緑が歪み
一気に真っ暗になった

⏰:10/02/26 16:28 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#777 []



ふわり鼻をくすぐる
体の中が色づくような
華やかな梅の香り


「痛たた‥ったぁ‥あぁ?!」


頭を抑えながら体を起こせば
一面に広がる梅の花

⏰:10/02/26 16:29 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#778 []
 
柔らかな赤い花
さわやかな白い花
愛らしい桃色の花


‥天国?


そう疑ってしまうほど
こんな景色‥見たことない

⏰:10/02/26 16:29 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#779 []
 
「‥石頭」

「へ?」


隣から聞こえたその声は
不機嫌そうな壱助さん

「ちょいと踵が‥
痺れてしまいやした、よ」

胡座をかいて
右の踵を軽くさすりながら
呆れたようなため息を漏らす

⏰:10/02/26 16:30 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#780 []
 
ってか‥踵って
踵落とししたんかいっ!!!

どうりで頭が
割れそうに痛むわけだ


「壱助さん‥此処‥」

いつもならそこで
"酷ーい!!"なんてわめくのに

不思議とそんな思いが
この景色の中に吸い込まれていく

⏰:10/02/26 16:30 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#781 []
 
「冬が‥好きでしたが、ね」


長い睫を伏せて
膝に落ちた花びらを愛でる


なんだか一つの作品みたいに
壱助さんは
こんな素敵な空間に
あっという間に溶け込んでしまう

⏰:10/02/26 16:31 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#782 []
 
「今は、春‥ですかね」

「春‥春やっぱりいいですよね!!」


初めて意見が合った気がする

春の力は素晴らしい

⏰:10/02/26 16:31 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#783 []
 
「しかし、そのうち‥」

純白の指で摘んだ
真っ赤な花びらをじっと眺めて


「夏が好きに‥なります、よ」


ふっと息を吹きかけると
踊るように舞った


‥―梅の香りに誘われて

⏰:10/02/26 16:31 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#784 [笹]
第二六章 【春、訪れて】
>>763-783
*。*。*。*。*。*
最近暖かいので春ネタ ^^*
2人のお出かけが見たいと
リクを貰ったんで参考に!
これはお出かけなのかww?

2人らしい話っす
最後の壱助さんの台詞の意味は
‥想像してください←
ヒント:隣の香夜ちゃん w
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/02/26 16:38 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#785 [笹]
【本編アンカー/1〜20】
>>699-700

【21〜】
>>631-352
>>654-674
>>676-697
>>703-725
>>728-744
>>763-783

⏰:10/02/26 16:39 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#786 [笹]
【番外編アンカー】
>>762

⏰:10/02/26 16:40 📱:D905i 🆔:ABxgeLMY


#787 []



壱助さんは早起きだ
とんでもなく早起きだ


目が覚めたらいつも
着物をきっちり着付けて
正座をしてお茶を啜ってる

もちろん激痛を伴う
顔面平手打ちの目覚ましを
あたしに喰らわせてから‥

⏰:10/03/08 17:28 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#788 []
 
だけど今日は‥
すっと目が覚めた

痛みはない。

春の柔らかな風が頬をくすぐった


「おはよ‥ございます」

⏰:10/03/08 17:30 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#789 []
 
呂律の回りきらない
寝ぼけ眼でそう言った

珍しく着くずした着物
胡座をかいてぼうっとしてる


まさか‥寝起き?

「随分と‥早いもんだ」

⏰:10/03/08 17:31 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#790 []
 
よく見ればまだ日は昇りかけ
太陽の光がこちらに差し込む


「あぁ‥うんと
何か目が覚めちゃって」

胸元を整え髪を結い直せば
どことなく‥
穏やかな表情の壱助さん

⏰:10/03/08 17:31 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#791 []
 
「おや、おや」

眠そうなその目は
とろんと睫で覆われ
無防備なまでの唇に
あたしの胸が鳴いた


どうしてこうも‥
いちいち色気を振りまくのか

いつだってあたしの鼓動は
忙しなく遊ばれる

⏰:10/03/08 17:32 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#792 []
 
 
「夢でも‥見ました、か」

「‥夢、あぁ‥うぅん」


誤魔化すのは無駄だと
言わんばかりに
こちらに向けられた鋭い視線

「い‥壱助さんこそ!!」

⏰:10/03/08 17:32 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#793 []
 
壱助さんこそ何だと言うのかしら
あたしの口は‥もう

とろけそうなあたしの頭の中は
まだまだ目覚めない様子


「何、か」

にこっとつり上がった口元に
応じるように瞳が笑う

⏰:10/03/08 17:33 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#794 []
 
壱助さんが‥わ、笑ってる


相変わらず美しい手で
膝の上に頬杖をついて
うっすら浮かべた笑みを
惜しげもなく向けられた


何を企んでるのかしら‥?

「え‥ええっと」

⏰:10/03/08 17:33 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#795 []
 
残念ながら寝起きの頭は働かず

‥もとから
働かす頭もないけれど


「‥ゆ、夢!
見たんじゃないですか?!」

訳の分からぬ発言を
壱助さんは軽く
クスッと鼻であしらった

⏰:10/03/08 17:34 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#796 []
 
"壱助さんこそ
夢見たんじゃないですか?!"

うん‥意味がわからない


「ゆ、め‥
そうですねぇ‥見ました、ね」

珍しくあたしの問いかけに
まともに答えた‥!!

おかしい‥怪しいわよ

⏰:10/03/08 17:35 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#797 []
 
ゆっくり昇る光が
壱助さんの頬を照らした

透き通るような肌
もう、恐ろしいくらい‥


「どんな夢?」

前のめりになり
興味津々に目を輝かせてみた

だって壱助さんが
自分の内を語るなんて
あり得ないことだから

⏰:10/03/08 17:35 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#798 []
 
「ほぉう‥気になります、か」

勢いで突き出した顔は
案外大胆で‥


春風に揺られて
壱助さんの香りも運ばれてきた

⏰:10/03/08 17:36 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#799 []
 
意地悪そうに
視線で体を撫でられて

急に帯びてきた熱を
誤魔化そうとまばたきを多めに

"はい"と頷けば
満足げに笑った

⏰:10/03/08 17:36 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#800 []



それから少々の沈黙
なかなか開かない口


え‥まさか
このまま言わないつもり?

らしいと言えばらしいけど‥

⏰:10/03/08 17:37 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


#801 []
 
「そうです、ねぇ」

「早く教えてくださいよぉ!!」

「香夜さんは‥どんな?」


正座をして急かすあたしに
余裕たっぷりにそう言った

話をそらすのが本当に上手い

⏰:10/03/08 17:37 📱:D905i 🆔:6zJg1U3A


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