「好き」と言いたい。
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#551 [あんみつ]
俺が再び後ろのドアのところを見ると、ねこちゃんと目があった。
と思ったら、さっとドアの陰に隠れてしまった。
一瞬見えた顔は、泣きそうだった。
(・・・あ)
俺は立ち上がった。
けど、そこから足が動かない。
.
:07/12/23 21:53
:D904i
:6H/vLUkE
#552 [あんみつ]
追いかけて、俺は何を言うつもりなんだ??
どうするつもりなんだ??
・・・分からない。
けど・・・
(・・・ほっとけない)
俺は教室を飛び出した。
:07/12/23 22:00
:D904i
:6H/vLUkE
#553 [あんみつ]
ねこちゃんは、もう廊下にいない。
俺は廊下を走って、1段飛ばしで階段を駆け下りる。
1階まで下りて、ようやく下駄箱のところに後ろ姿を見つけた。
(・・・あ)
「・・・ねこちゃん!!」
呼んだ。
ねこちゃんが振り向く。
:07/12/23 22:03
:D904i
:6H/vLUkE
#554 [あんみつ]
「・・・洋平君」
声にいつもの元気がない。
(えっと・・・)
「あいつ・・・健二、呼ばなくて良かったの??」
何か言わなきゃと思って出た言葉は、こんなものだった。
「あー・・・うん、たいした用じゃないから」
ねこちゃんが答える。
.
:07/12/23 22:05
:D904i
:6H/vLUkE
#555 [あんみつ]
嘘つくなよ。
いっつも用なくても、一緒に帰ってるじゃん。
「・・・そ??」
けど、これ以上は言えない。
「うん、大丈夫」
どこがだよ。
無理して笑ってんのばればれなんだよ。
.
:07/12/23 22:13
:D904i
:6H/vLUkE
#556 [あんみつ]
「じゃ、ばいばい!!わざわざありがとね」
ねこちゃんが、後ろを向いて帰ろうとする。
「ねこちゃん!!」
俺は無意識のうちに、また呼び止めていた。
ねこちゃんが、ゆっくりと振り返る。
「・・・え??何??」
・・・泣きそうな顔をしていた。
.
:07/12/23 22:14
:D904i
:6H/vLUkE
#557 [あんみつ]
俺は、彼女に何を言おうとしたのだろう。
佐古さん、まだ諦めてないみたいだよ。
・・・言ったらねこちゃんは、健二を諦める??
俺のことを好きになる??
・・・いや、そんなことを言っても、傷つけるだけだ。
悩ませるだけだ。
:07/12/23 22:17
:D904i
:6H/vLUkE
#558 [あんみつ]
健二より、自分のことを好きになってほしい。
けど、ねこちゃんを傷つけたいわけじゃない。
悩ませたいわけじゃない。
それに・・・泣きそうな彼女に、言えるわけがない。
.
:07/12/23 22:18
:D904i
:6H/vLUkE
#559 [あんみつ]
「あ、えっと・・・やっぱ何でもない。・・・てか、健二にはねこちゃんが来てた事、言わない方がいい??」
何でこんなこと言ったのか、自分でも分からない。
ただ、何となくその方がいい気がした。
「あっ・・・うん」
「分かった。じゃ、またな!!」
笑顔で言えた。
:07/12/23 22:20
:D904i
:6H/vLUkE
#560 [あんみつ]
俺はねこちゃんに背を向けて、再び階段を上がっていく。
下駄箱から見えない所まで上がって、俺は立ち止まった。
頭に浮かぶのは、ねこちゃんの泣きそうな顔ばかり。
.
:07/12/23 22:22
:D904i
:6H/vLUkE
#561 [あんみつ]
高2、7月の初め。
確信する。
好きな人の好きな人は、俺の親友。
幼なじみとしてじゃない。
ねこちゃんは・・・健二が好きだ。
.
:07/12/23 22:23
:D904i
:6H/vLUkE
#562 [南雲]
:07/12/24 00:42
:SH905i
:LPbMPAms
#563 [(´;ω;`)]
:07/12/26 00:23
:SH905i
:kh3mttDE
#564 [健二]
自分の名前が出てきてビックリした(笑)
:07/12/30 01:55
:PC
:tJ6JJp3U
#565 [あんみつ]
:07/12/30 20:48
:D904i
:IvjMyUfk
#566 [あんみつ]
――――――――
「・・・はぁー」
「幸せ逃げるぞ」
ねこちゃんが健二のことを好きだと、確信してから1週間。
無意識のうちに出た俺のため息に対して、健二が言った。
(この・・・鈍感)
ガンッ!!
俺は、健二が座っている俺の前の席のイスを、下から蹴った。
:07/12/31 08:51
:D904i
:iTVZMdxU
#567 [あんみつ]
「・・・おい、どした??」
怒るかと思った。
けど健二は、怒るどころか心配そうに言うから、自分のしたことがひどく後ろめたくなった。
「・・・悪い、何でもない」
今のは、ただのやつあたりだ。
健二は悪くない。
・・・分かってる。
けど、心の奥では健二に嫉妬してる自分がいる。
.
:07/12/31 08:53
:D904i
:iTVZMdxU
#568 [あんみつ]
「・・・ふーん??」
それだけ言うと、健二は読んでいた漫画に目を戻した。
健二の機嫌が悪かったのは結局あの日だけで、次の日からはいたって普通の健二だった。
ねこちゃんとも、いつも通り一緒に来て、一緒に帰ったりしている。
.
:07/12/31 08:55
:D904i
:iTVZMdxU
#569 [あんみつ]
「・・・なぁ」
「んー??」
健二は、漫画を読みながら答える。
「佐古さんのこと、どうなった??」
俺は、気になっていたことを聞いた。
.
:07/12/31 08:57
:D904i
:iTVZMdxU
#570 [あんみつ]
あの日、ねこちゃんを追いかけていった後教室に戻ったら、すでに佐古さんはいなかった。
まだ教室にいた健二に聞いたところ、どうやら「諦めません」と言われたらしい。
が、それ以降、佐古さんについての話は何も聞いていない。
俺の問いに、健二の目線がぴたりと止まった。
ゆっくりと漫画を閉じて、俺と向かい合う。
:07/12/31 08:59
:D904i
:iTVZMdxU
#571 [あんみつ]
「・・・それがさ」
いきなり小声で話し出す健二。
「メールやら電話やら来るんだよ」
言いながら健二は、いかにもうんざりという顔をした。
「は??健二、教えたん??」
「教えてねーよ。・・・多分、あいつだろ」
そう言って健二は、黒板の前の辺にいる岡崎に目線をやる。
:07/12/31 09:01
:D904i
:iTVZMdxU
#572 [あんみつ]
(・・・あぁ)
俺は静かに頷く。
健二の様子からして、もう岡崎に問いただすのも面倒らしい。
「初めの内は返事してた・・・つっても、すぐ切ってたんだけど。もうめんどくせー・・・」
健二は、片手で頭を押さえた。
.
:07/12/31 09:03
:D904i
:iTVZMdxU
#573 [あんみつ]
健二が佐古さんになびく様子は、全くない。
少なくとも、今のところは。
健二にとってねこちゃんは幼なじみ。
今までも、今も、多分これからもずっと。
.
:07/12/31 09:05
:D904i
:iTVZMdxU
#574 [あんみつ]
健二とねこちゃんを初めて見た時、他の奴と同じように俺も聞いた。
『ただの幼なじみ??好きとかは全くねーの??』
ねこちゃんのことが気になったから。
それもある。
けど、ただ単に不思議に思う気持ちもあった。
ずっと一緒にいて、すごく仲良くて、女として見たことはないのか。
:07/12/31 09:06
:D904i
:iTVZMdxU
#575 [あんみつ]
『好きだよ。大事な幼なじみとしてな』
そう言って健二は、照れくさそうに笑った。
あの健二の笑顔に、嘘はない。
けど、それは、ねこちゃんの想いは叶わないってことで。
多分、ねこちゃんもそれを分かってるから。
だから、健二に気持ちを伝えれないんだろう。
「好き」と言ったら、関係が壊れてしまう気がして。
:07/12/31 09:08
:D904i
:iTVZMdxU
#576 [あんみつ]
・・・じゃあ、俺は??
俺は、ねこちゃんが好きだ。
ねこちゃんは、健二が好きだ。
俺の想いは叶わない。
・・・だけど、本当にそれだけなのか??
.
:07/12/31 13:34
:D904i
:iTVZMdxU
#577 [あんみつ]
「・・・でさ、さっき、今日の放課後、話があるから残っててってメール来たんだけど」
健二の言葉で、俺は一気に現実に引き戻された。
「・・・は??て、佐古さんから??」
間の抜けた声が出た。
「あぁ。・・・まぁ俺も、このままなわけにもいかねーし」
健二は、声のことには触れずに言う。
:07/12/31 13:37
:D904i
:iTVZMdxU
#578 [あんみつ]
(・・・まぁな。・・・てか)
「・・・それ、ねこちゃんには??」
「・・・あぁ、先帰っといてって言わねーとな」
健二の答えは、俺が聞いた内容とは多少ずれている。
が、分かった。
ねこちゃんにはまだ言ってないらしい。
俺は心の中で、胸をなで下ろした。
:07/12/31 13:39
:D904i
:iTVZMdxU
#579 [あんみつ]
(それなら・・・)
「俺が言っといてやるよ」
「は??何で洋平が・・・」
「いーから!!言っといてやるって」
半ば無理矢理、健二をうなずかせた。
・・・何、必死になってんだ俺。
.
:07/12/31 13:40
:D904i
:iTVZMdxU
#580 [あんみつ]
――――――――
放課後。
俺は急いで、ねこちゃんのクラスに向かう。
ねこちゃんが健二の所に行かないうちに、早く。
健二ははっきり言うつもりらしい。
けど、話の内容どーこーより、健二と佐古さんが一緒にいるのを見せたくなかった。
傷つく顔を見たくなかった。
.
:07/12/31 14:42
:D904i
:iTVZMdxU
#581 [あんみつ]
ドンッ!!
「きゃ!!」
「わっ、ごめん!!大丈夫??」
廊下の曲がり角の所で誰かにぶつかって、俺はとっさに言った。
「あー、やっぱり洋平君」
聞くだけで鼓動が速くなる、この声。
下を向くと、思った通り、そしてタイミング良くねこちゃんがいた。
隣にねこちゃんの友達もいる。
:07/12/31 14:45
:D904i
:iTVZMdxU
#582 [あんみつ]
「あれ??ねこちゃん。ごめん、大丈夫??」
平静を装って聞く俺。
「うん、全然平気。どしたの??急いで」
「あー、ちょっとねこちゃんに用があって」
「私??」
「健二が・・・何か用できたから先帰っててって」
俺は、何度も頭の中で練習した言葉を言う。
「そうなんだ・・・分かった。ありがと」
ねこちゃんは一瞬残念そうな顔をしたが、すぐ笑顔で言った。
.
:07/12/31 15:01
:D904i
:iTVZMdxU
#583 [あんみつ]
・・・嘘は言ってない。
が、隠し事はしてる。
何だか罪悪感がある。
「うん。・・・ねこちゃん、もう、すぐ帰る??」
「うん、帰るけど??何??」
「いや、別に。お気を付けて!!」
俺は、隠し事がばれないうちに立ち去った。
:07/12/31 15:03
:D904i
:iTVZMdxU
#584 [あんみつ]
これで、とりあえずは安心だ。
そう思いながら、俺は少し遠回りして下駄箱に向かう。
下駄箱に着いた時、ちょうどそこから出て行こうとする、見覚えのある後ろ姿があった。
(あれ・・・)
「・・・ねぇ!!」
声をかけて、その子が振り向く。
「あれ??えっと、洋平君??」
.
:07/12/31 15:08
:D904i
:iTVZMdxU
#585 [あんみつ]
やっぱり。
さっき、ねこちゃんの隣にいた友達だ。
以前、少しだけ話をしたことがある。
どうして・・・
「1人??ねこちゃんは??」
隣にねこちゃんは、いない。
「あー、何か忘れ物したから先に帰ってって」
(・・・まじかよ)
「ありがと!!」
俺はそう言って、急いで戻ろうとした。
:07/12/31 16:04
:D904i
:iTVZMdxU
#586 [あんみつ]
(・・・あ)
「えっと、木原さんばいばい!!」
思い出した名前を言って、俺は走り出した。
嫌な予感がする。
早く、早く。
どうか、間に合いますように。
.
:07/12/31 16:10
:D904i
:iTVZMdxU
#587 [あんみつ]
階段を駆け上がって、廊下の曲がり角を曲がる。
「・・・はぁ」
俺の願いも虚しく、見えたのは、避けたかった光景。
2組のドアの所に立つ、ねこちゃんの後ろ姿だった。
(・・・くそっ)
小さく舌打ちをして、俺は素早く、けど静かにねこちゃんに近づく。
:07/12/31 16:41
:D904i
:iTVZMdxU
#588 [あんみつ]
ねこちゃんは少しも動かない。
近くまできて、俺はねこちゃんの手首を掴んで引っ張った。
その時かすかに聞こえたのは、佐古さんの声。
俺は、ねこちゃんの手を引いて走った。
.
:07/12/31 16:43
:D904i
:iTVZMdxU
#589 [あんみつ]
――――――――
走って、階段を上がって屋上に出た。
「・・・はぁ・・・はぁ」
俺に合わせて無理に走らせたから、ねこちゃんは息が上がっている。
俺は掴んでいた手首を放して、初めてねこちゃんの方を見た。
が、顔を見る前にねこちゃんはしゃがみこんでしまった。
:07/12/31 21:45
:D904i
:iTVZMdxU
#590 [あんみつ]
「・・・すぐ帰るって言ってたのに。・・・何で戻って来ちゃったんだよ」
そう言って俺も、隣に腰を下ろす。
そして、自分の腕に顔をうずめているねこちゃんの頭を撫でた。
「・・・うっ・・・ひっく・・・」
ねこちゃんの体が震える。
.
:07/12/31 21:47
:D904i
:iTVZMdxU
#591 [あんみつ]
悲しんでる顔を見たくなかった。
もちろん、泣いている顔も。
けど、君は泣いてる。
俺じゃない。
健二のために。
俺は、ずっとねこちゃんの頭を撫でていた。
「・・・家まで送るよ」
日が沈みかけた頃、俺は落ち着いたねこちゃんに言った。
.
:07/12/31 21:49
:D904i
:iTVZMdxU
#592 [あんみつ]
アスファルトに並んで伸びる、2つの影。
ねこちゃんと並んで歩くことに、すごくドキドキしてる。
けど、ねこちゃんの腫れた目を見る度に、胸が締め付けられた。
.
:07/12/31 21:50
:D904i
:iTVZMdxU
#593 [あんみつ]
・・・何でだよ。
「幼なじみ」だから??
だから、「好き」と言えない??
「好き」と言ったら、壊れてしまうから??
ずっと、気持ちを心の中に隠したまま??
・・・そんなのやめちゃえよ。
そんなつらい恋、やめちゃえよ。
.
:07/12/31 21:52
:D904i
:iTVZMdxU
#594 [あんみつ]
・・・じゃあ、俺は??
好きな人には、好きな人がいるから??
だから、「好き」と言わない??
このまま・・・やめれるのか??
.
:07/12/31 21:54
:D904i
:iTVZMdxU
#595 [あんみつ]
「・・・あのっ、もうこの辺でいいよ」
沈黙を破って、ねこちゃんが言った。
「・・・そう??」
「うん。・・・今日は、本当にありがとう」
そう言って、力なく笑う。
「うん・・・」
俺はしぶしぶ、自転車カゴからねこちゃんのかばんを取る。
.
:07/12/31 21:55
:D904i
:iTVZMdxU
#596 [あんみつ]
・・・やめれるわけがない。
そんな簡単な気持ちじゃない。
好きなんだ。
大好きなんだ。
笑っていてほしい。
笑わせてあげたい。
.
:07/12/31 21:57
:D904i
:iTVZMdxU
#597 [あんみつ]
「・・・洋平君??」
なかなかかばんを離さない俺に、ねこちゃんが不思議そうな顔で言った。
俺は、地面を見た。
「好き」と言ったら、それで終わりかもしれない。
けど、俺は・・・
.
:07/12/31 21:59
:D904i
:iTVZMdxU
#598 [あんみつ]
「・・・もう、健二のために泣くなよ」
「・・・え??」
俺は顔を上げて、ねこちゃんを見た。
「ねこちゃんに泣いてほしくないんだ」
.
:07/12/31 22:01
:D904i
:iTVZMdxU
#599 [あんみつ]
「好き」と言ったら、終わってしまうかもしれない。
けど・・・「好き」と言わないまま、終われない。
もう、放っておけない。
だったら・・・
「・・・好きなんだ」
.
:07/12/31 22:02
:D904i
:iTVZMdxU
#600 [あんみつ]
言わないままじゃ、終われない。
だったら、賭けてみようと思ったんだ。
「俺は、ねこちゃんの事が好きだ」
・・・「好き」と言ったら、その先に「終わり」じゃない何かがあるって、信じたかった。
.
:07/12/31 22:04
:D904i
:iTVZMdxU
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