WHITE★CANDY
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#590 [ぎぶそん]
『皆さん、まずは1つめのアイテムを手に入れたようですね。
おめでとうございます。』
車内の中で、再びアイリーンの声がした。
『さて…最初にお話した"代償"のことですが…。
まず、私たちは皆さん方の性格・記憶・嗜好・癖など、脳内にインプットされた情報を全て牛耳っています。』
:09/08/30 17:29
:SH705i
:ebOPHEFo
#591 [ぎぶそん]
『従って、誰一人としてゲームがクリア出来なかった場合は、
脳内でプログラミングされてる中で"一番大切なもの"を奪わせてもらいます。』
「一番大切なもの?」
私は彼女の言葉を復唱した。
『そうですね…、優れた身体能力の一部とか、忘れたくない思い出とか、好きな趣味とか、そんな所です。』
私の疑問に冷静に説明する彼女。
:09/08/30 17:39
:SH705i
:ebOPHEFo
#592 [ぎぶそん]
「じゃあ、例えば俺や優平とかだったら、サッカー出来る能力を失っちゃう訳?」
元基が身震いする。
『しかし、このままでは皆さん方にとってはあまりに不条理…。
わたくしたちもそこまで鬼ではありません。
見事ゲームクリア出来た方には、逆に脳にまつわる事なら何でも仰せのままに致しましょう。』
「どういう意味!?」
私は再び聞き返した。
:09/08/30 17:46
:SH705i
:ebOPHEFo
#593 [ぎぶそん]
『身体能力をもっと上げたいとか、嫌な癖を直したいとか…、プロレベルの芸術的才能を見につけることだって可能です。
そう、例えばミス・マキ…、あなたの場合は記憶の底にある、生前の母上との思い出を呼び起こすことも可能ですよ。』
「…お母さんの!?」
その一言で、私の心が揺らいだ。
『ふふふ。この条件、悪くないとは思いませんか?
では、わたくしからの説明は以上です。
既に脱落したミス・エリのためにも、しっかり頑張って下さいね…。』
アイリーンの声は消えていった。
:09/08/30 17:55
:SH705i
:ebOPHEFo
#594 [我輩は匿名である]
:09/09/01 04:34
:N904i
:AnS9cKHk
#595 [ぎぶそん]
「畜生ー!
なめくさった真似しやがってー!
見てろよ!俺はこのゲームをクリアして、天才サッカー少年になってやるからな!」
後ろからする元基の金切り声が、耳をキンキンさせる。
「やったなぁ、真希。
お母さんのことを思い出せるチャンスだな。」
「うん…。」
私は気が落ち着かなくて、俯き加減で手の平を触ったりしていた。
:09/09/03 14:53
:SH705i
:XaOOTU7E
#596 [ぎぶそん]
「地図によると、ここのようだ。」
優平がトラックを止める。
クレア博士の自宅らしき場所に到着した。
研究者として稼いでいるのか、いかにも物語に出て来そうな、お屋敷みたいな家だった。
3人で塀をよじ登って、家の門をくぐる。
アンデッドと化した使用人みたいな人たちが、のろのろと私たちの方に向かってくる。
:09/09/03 15:01
:SH705i
:XaOOTU7E
#597 [ぎぶそん]
銃声と同時に、無数に転がる死体。
洋風の綺麗な庭に、アンデッドの血がどんどんと染められていく。
この世界にも慣れてきたのか、元基や優平も躊躇いなく奴らを撃っていた。
命中率もぐんと上がり、リロードにかかる時間もムダがなくなっていた。
家の中に入る。
目の前には螺旋階段が上の方に続いていた。
:09/09/03 15:12
:SH705i
:XaOOTU7E
#598 [ぎぶそん]
「こんなに広い家だと、どこから手をつけていいのか迷うわね。」
「アルバム、ってくらいだから書斎か何かの棚にあるのだと思う。
…よし、最上階の部屋の奥だ。」
「場所が分かるの?」
はっきりと断言する優平に尋ねた。
「多分、この家は実際の俺ん家を参考にして造られた建物だと思う。
庭とか外壁とかがそっくりだったから。」
そういえば、ここに来た時から既視感がするなとは感じていた。
「ヒェー!軽く自慢かよ!」
:09/09/03 15:23
:SH705i
:XaOOTU7E
#599 [ぎぶそん]
螺旋階段を駆け上がり、確かに優平が言うように、5階の左奥に書斎らしき部屋があった。
一面に本棚が置かれていて、その中にはびっしりと本が詰まっていた。
クリア博士が研究者として、常に努力を怠らなかったのが伺える。
「…あったぞ!」
元基が机の下に置かれていた段ボールの中から、アルバムを見つけた。
1つめのアイテムよりすんなりと手に入れることが出来た。
:09/09/03 15:38
:SH705i
:XaOOTU7E
#600 [ぎぶそん]
「よし、アイテムも残すところ後1つだ。
次の場所はストロベリーマンション。ここから約300メートル先にある。
アイテムは『記憶と感情を失った少年クリス』か。
アイテムって言うより子供みたいだ。」
優平が地図を見ながらぼやく。
「なあ、俺全部の銃が弾切れだ。」
元基がトリガーを引き、カチッ、カチッと頼りない音をさせる。
「私も。もう予備の弾も残り少ないわ。」
へばるように、その場に座り込む私。
逆に2種類の銃だけでここまで来れたことに感心する。
:09/09/03 15:48
:SH705i
:XaOOTU7E
#601 [ぎぶそん]
「…武器がないのは流石に不安だ。
一旦この『マシュー銃器店』で補充しよう。
次のマンションからはかなり遠ざかることになるけどな。」
優平が地図上で指す銃器店は地図の北、フージーマウンテンのふもとにあった。
ここから約5キロは離れている。
優平の意見に、私と元基は迷うことなく賛同した。
ここに来て、初めての賭けかも知れない。
吉と出るか凶と出るかは分からないが…―
:09/09/03 15:56
:SH705i
:XaOOTU7E
#602 [ぎぶそん]
「なあ、ゲーム開始に比べて、明らかに奴らうようよいねーか?」
再び乗り込んだトラックの中で、元基が思ったことを口にする。
彼のいうように、窓に目を向ければ嫌でも彼らが視界に入って来る。
「きっと紫外線に弱くて、夜になるほど活動的になるのよ。」
「ヒュー。
何かコレ、まさしく真希の為に作られたゲームって感じだな。」
:09/09/03 16:10
:SH705i
:XaOOTU7E
#603 [ぎぶそん]
「いや、あながちその考えは間違っちゃいないぜ。」
私たちの会話に、優平が割り込む。
「どういうことだ!?」
「親父がゲーム会社と協定を組むって聞いた時、
真希がアクションゲーム好きなの知ってたから、それの最新型とか出来たら喜ぶだろうなって…。
そしたら俺の意見がそのまま通った訳。
まさかここまでリアリティなものになるとは思わなかったけど。
代償とか報酬とかさ、コレ作った奴頭イカれてるよな、ははは。」
:09/09/03 16:21
:SH705i
:XaOOTU7E
#604 [ぎぶそん]
「おかげさまで、私は充分この世界を楽しんでるよ。」
優平がハンドルを持つ手に自分の手をやる。
素直に嬉しかった。
今いる世界は実に残酷なものだけれど、優平の私に対する思いを感じられる。
それだけに何としてもこのゲームを制覇したい。
結末がどのようなものか知りたい。
このゲームを通して、一つの成長を遂げたらいいなと思う。
:09/09/03 17:21
:SH705i
:XaOOTU7E
#605 [ぎぶそん]
トラックを発車させて数十分、山のふもとまで来ることが出来た。
トラックから降りると、こじんまりとした店が一軒佇んでいる。
看板には「マシュー ガンズ ショップ」と書かれていた。
街の外れからか、アンデッドのいる気配はなかった。
「こりゃひでぇ…。」
店の付近には、女性と少女の全身血まみれの死体が無残にも転がっていた。
ここに来て深く、空想の世界とは、他人事とは思えない悲しさを感じた。
:09/09/03 18:10
:SH705i
:XaOOTU7E
#606 [ぎぶそん]
「スゲー!ここは武器の宝庫だなぁ!
よーし、皆ありったけ持って行こうぜー!」
銃器店の中には銃だけでなく、ボーガンやナイフ、弓矢もあった。
弾や拳銃、必要なものは持てるだけ持って行く。
「…驚いた。この世界でまさかこの銃と出会えるなんて。」
私はその中から見つけたとある拳銃を、ズボンの後ろに挟んだ。
:09/09/03 18:20
:SH705i
:XaOOTU7E
#607 [ぎぶそん]
私たちが武器をかき集めていると、店の隅にある部屋の方から、ガタガタッと木片か何かの落ちる音がした。
アンデッドかも知れないと、素早く銃を構える私たち。
「お前たち、ここで何をしている…。」
そこから出て来たのは生身の人間だった。
あまり食事にありつけていないのか、ひどく痩せている。
どうやら彼はこの家の主、マシュー氏のようだ。
:09/09/03 18:26
:SH705i
:XaOOTU7E
#608 [ぎぶそん]
「あ…俺たち、政府に雇われ、アンデッドと戦うことを命じられた者です。
途中で武器が必要になったので、ここならあるだろうと思いやって来ました。
誰もいないと想像していたので…。
しかしながら勝手にここを荒らしたこと、無礼をお詫びします。」
優平が両手を上げる。
私と元基も銃を構えた手を下ろす。
「…そうか。
いや、構わないよ。
ここにあるものは好きなだけ持って行くといい。」
私たちの言い分を聞くと、マシューさんはレジがある机に寄り掛かる。
「可能性はなくはないとは思ってたけど、この街に生存者っていたんだな。」
元基が喋る。
:09/09/03 18:36
:SH705i
:XaOOTU7E
#609 [ぎぶそん]
「噂によると生きてる者は束になって、安息の地を求めて東へ向かったらしい。」
「あなたは一緒に行かなかったんですか?」
私はマシューに質問した。
「店の前に死体があっただろう?
あれは私の妻とその娘だ。
2人はここへ帰る途中であいつらに噛まれたらしく、感染していることが分かった。
そして、私はこの手で自ら愛する者を葬り去った。
それからは2人を埋葬する余裕がないくらい、ここで閉じ込もっていた。
私には、この街を去った所で、この戦争が終わった所で、生きる希望なんて全くない。ないんだよ…。」
:09/09/03 18:50
:SH705i
:XaOOTU7E
#610 [ぎぶそん]
私はマシューの元へと足を踏んだ。
「いいえマシューさん。
それでもあなたは生き続けなきゃいけない。
私みたいな小娘に言われるのは腹立たしいと思いますが…。
二人は最期にあなたの生きてる姿を見たかったから、ここまで歩いて来た。
そしてあなたは生きたかったから二人を殺した。そうじゃありませんか?」
「…君、名前は?」
長い沈黙の後、マシューが口を開いた。
「真希って言います。」
「マキか…。その名前、死ぬまで覚えておくよ。
マキ…君はこの街で見た中で、一番綺麗な瞳をしている。」
:09/09/08 01:27
:SH705i
:0WCPcnl.
#611 [ぎぶそん]
「さあ、マシューさん、あなたも早くここから出ましょう!
奴らがここを責めてくる前に…!」
元基と優平が、両脇を支えるようにしてマシューの身体を担ぐ。
そして私が先導するように、ドアの前に立つ。
しかし扉を開けると、目の前にさっきまでいなかったアンデッドが立っていた…。
驚きと恐怖で、その場から動けない。
「マキ、危ないっ!」
:09/09/08 13:19
:SH705i
:0WCPcnl.
#612 [ぎぶそん]
「あああああっ!」
私を庇うようにして間に入ったマシューが、アンデッドに右肩を噛まれる。
「…クソッ!」
元基が怒り狂うように、その怪物に弾丸を三発撃ち込む。
最後に当てた弾で、奴の頭部が腐ったトマトのように潰れた。
「ああっ…。マシューさん…。ごめんなさい、私のせいで…。」
私は彼の身体を抱く。
「いや、いいんだ。
最期に君を助けることが出来たんだから。
もう私は動けない…。
さあ君たち、私を追いて早く行くんだ。」
:09/09/08 13:38
:SH705i
:0WCPcnl.
#613 [ぎぶそん]
マシューを残し外に少し出てみると、大量のアンデッドがわらわらと銃器店の方に迫って来ていた。
「クソッ!もうこんなにいやがる…。撃っても撃ってもキリがない数だぜこりゃ。」
「私たちの臭いを嗅ぎ付けて来たんだわ…!」
「いくら何でも早過ぎだろ!」
「どうする?このままじゃ皆ゲームオーバーよ。」
「…俺が囮になる。」
そう口にしたのは、元基だった。
:09/09/08 13:45
:SH705i
:0WCPcnl.
#614 [ぎぶそん]
「このゲームのルールは、たった一人でもクリアすればいいんだろ?
だったらここで俺一人が犠牲になっても構わんってことだ。
それに、いつまでもエリを一人にしてられねーしな。
お前ら、二人っきりになったからって、イチャついたりするんじゃねーぞ!」
元基らしく、危機感もなくへらへらと笑う。
「何か策はあるの?」
「ああ。といっても、映画の受け売りだけどな。」
それだけ言うと、元基はもう一度銃器店に入った。
:09/09/08 13:51
:SH705i
:0WCPcnl.
#615 [ぎぶそん]
数秒して、再び元基が重たそうに段ボールを抱えてやって来た。
「…さっきこれを見つけたんだ。」
見ると、箱一杯に手榴弾が中に入っていた。
「すまん。ちょいとこのトラックは借りるぜ。
新しい車は、きっとあの車庫の中にあるだろ。」
手榴弾入りの段ボール箱と共に、元基が一人でトラックに乗り込む。
「元基、あなたまさか…!?」
「おっ、真希。気づいたか。お察しの通りだぜ。
これから死のドライブの始まりだ。」
:09/09/08 14:00
:SH705i
:0WCPcnl.
#616 [幸]
:09/09/10 21:00
:W53T
:6DYa4H6I
#617 [ぎぶそん]
そして、元基はそのままアンデッドの束に向かって進み出した。
元基の作戦はこうだ。
トラックごと突っ込んで奴らを十分引き付けた後、手榴弾を使ってそのままトラックごと爆発を起こす。
大量の手榴弾とガソリンという組み合わせなら、彼の思惑通り上手くいくかも知れない。
数分後、遠くの林の方で大規模の炎上が起こった。
『2時間6分39秒。
ミスター・モトキ・ハネダ。
爆死によりゲームオーバーです。』
そしてそれから間もなく、元基の成功を知らせるアナウンスが聞こえる。
:09/09/10 22:55
:SH705i
:5CU6JsAA
#618 [ぎぶそん]
私と優平は元基の死(ゲームオーバー)を嘆くことなく、すぐさま車庫の中から見つけた大型バイクに乗り込んだ。
優平が運転し、私が後ろ向きになって座り、奴らが近寄ればショットガンで狙撃する。
元基が道連れしてくれたお陰で、二・三人しかいなかった。
林の中は、まだ火の粉がそこらじゅうにぽつぽつと残っていた。
20分後、目的地のストロベリーマンションに到着した。
20階立てで縦に長く、薄桃色の外壁をしている。
:09/09/10 23:12
:SH705i
:5CU6JsAA
#619 [ぎぶそん]
私たちは上から下にかけて虱潰しに一つ一つの部屋を調べていく。
途方に暮れそうな作業の中、14階の1405号室のクローゼットの中にいたクリスを見つけた。
少し伸びた金髪のサラサラヘアに、綺麗な青い瞳をしている。
3人でエレベーターで下まで降りていく。
初対面の私に抱き抱えられても、彼は顔色一つ変えない。
記憶と感情を失った少年か…。
こんな幼い子供がこのゲームとどう関係していくんだろう。
:09/09/25 19:09
:SH705i
:t8prEB2s
#620 [ぎぶそん]
『さあ。これで全てのアイテムが手に揃いましたね。
さあ、そのまま急いでクレア博士の所に行って下さい。
あまり時間を掛けていると、大変なことになりますよ。ふふふ…。』
マンションから出ると、不吉な声色でアイリーンが意味深な言葉を発した。
私と優平は、クレア博士のいるというオレンジハウスに向かってオートバイを走らせる。
地図によると現在地から東に5キロ、駅の近くにある大学の付近にある。
いつの間に時間が経っていたのか、外はすっかり暗くなっていた。
アンデッドの量も明らかに増している。
:09/09/25 19:22
:SH705i
:t8prEB2s
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