危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#601 [東脂ヤ転
「・・・・・・じゃねぇよ」
「お前は圭吾が好きなんだよ」
「好きじゃねぇ!!」
店内に俺の声が響いた。俺は今どんな表情(カオ)をしているんだろう。
きっと泣きそうな表情で静の前に立っているに違いない。
「何を根拠にそんな事言えんだよ・・・あんな奴が好きなワケねぇだろ!!
俺は静のことが好きなんだ・・・!」
そう思い込ませてくれよ。俺はもう傷付きたくないんだ。
:08/05/27 08:28
:W52P
:CJURlFNc
#602 [東脂ヤ転
「明・・・・・・」
静は俺を近くへ引き寄せた。
「思い残すことが無いってぐらい圭吾にぶつかってみたか?」
俺は少し顔を上げて静を見つめる。
静の瞳は思った以上に哀色を帯びていた。
「何もする前から"傷付く"だなんて決めつけたら明自身がかわいそうだよ」
静はそう言うと優しく微笑んで俺の頭を軽く叩いた。
:08/05/27 08:57
:W52P
:CJURlFNc
#603 [東脂ヤ転
「それに俺なんかより、圭吾の方がずっと優しいぞ?」
ちょっと皮肉にもとれる台詞をサラッと静は言う。
「・・・・・・知ってるよ」
静の言葉に俺はそう呟いて苦笑した。
嫌って程知ってるよ、圭吾が優しいことぐらい。優しさの欠片も知らない俺は、だから圭吾に惹かれたんだ。
優しさの限度を知らないお節介焼きな圭吾に。
:08/05/27 16:35
:W52P
:CJURlFNc
#604 [東脂ヤ転
「・・・・・・!!」
急に目を覚まし、俺は勢い良く体を起こした。
時計に目をやると昼の11時。通りで部屋が明るいワケだ。
「夢オチかよ・・・」
もう一度うつ伏せに寝転んで自分自身にツッコミを入れる。それにしても、余りにも"あの日"を忠実に再現した夢だった。
目を瞑って周りの音に耳を澄ませると人の居る気配がしない。どうやら圭吾は出掛けたようだ。
俺は小さく溜め息をつき、ベッドからゆっくりと身体を起きあがらせた。
:08/05/28 08:27
:W52P
:82RtP9ps
#605 [東脂ヤ転
静とあの話をしたのはどれくらい前の時だろう。
その頃突然、俺は圭吾のことが好きなんだと気付いてしまった。
それと同時に、俺はその気持ちから目を逸らしたくて堪らなくなった。
その当時から男遊びが激しかった圭吾を好きで居続ける勇気も根気も、俺には持ち合わせていなかったんだ。
それに俺は知っていた。
圭吾が男癖が悪いのは、アイツが手に入れたくて堪らない"静"という穴を埋め合わせする為だという事を。
:08/05/28 11:10
:W52P
:82RtP9ps
#606 [東脂ヤ転
「喉渇いた・・・」
俺は呟くと部屋から出てキッチンへと向かう。
リビングには日光がさんさんと入っていて暑い程だ。
その時テーブルの上にあった紙が目に入る。
『明〜♪朝ご飯作っといたから食べなぁ☆俺はちょっと出掛けてきまぁす♪ 圭吾(^-^)』
そう書いたメモ用紙の側にはラップのかかった皿があった。
中には卵焼きやら焼き魚やらが並べられている。
「・・・・・・・・・ハァ」
俺は深く溜め息をつく。圭吾のこういうところが好きなんだけど、同時にこういうところが嫌いなんだ。
こういう、能天気なところが。
:08/05/29 14:54
:W52P
:e/5pojH6
#607 [東脂ヤ転
「大体なぁ・・・!!昨日の今日でこんなテンション高く朝食を作れる神経が分かんねぇ!!!!」
誰も居ない部屋中に俺の声が響き渡る。
日頃から不満は声に出して言う事にしている俺は、お構いなしに独り言を続ける。
「しかも料理って言ったら毎回毎回和食ばっか作りやがって・・・俺は朝は洋食派だって言っただろうがぁぁ!!!!」
そう言いながらもご飯をよそっている自分に呆れながら、俺は食卓に座って皿のラップをはがした。
悔しくも卵の良い香りが食欲をそそる。
:08/05/29 18:42
:W52P
:e/5pojH6
#608 [東脂ヤ転
「・・・・・・旨い」
一口食べた瞬間から、そんな言葉が自然と口をつく。
圭吾の腕が確かなのは前から知っていた。何せあの静が、店の料理の大半を圭吾に任せたいとまで言っていたのだ。
まぁ肝心の圭吾は接客が好きだから、という理由で静の頼みをことごとく断っていたが。
[普通、静の頼みを断るか!?]
俺はまたそんなことを考えながら、次々とおかずを口に運んでいく。
:08/05/30 09:06
:W52P
:yd0e2mNE
#609 [東脂ヤ転
「・・・・・・ハァ」
ひとしきり朝食を平らげた後、何故か俺は溜め息をついた。
小さくついたつもりの溜め息も、独りしか居ないこの部屋にはやけに大きく聞こえる。
[何か・・・何かダメだ・・・・・・俺]
言いようの無い苛立ちや焦りが、こういう時に限って襲ってくる。
俺はもっと圭吾と向き合いたいのにアイツはいつも、そんな俺の想いを受け流してしまう。
いとも簡単に。
それが俺には凄くもどかしくて、悲しくなる。
ちょうど今日みたいに。
:08/06/01 16:31
:W52P
:TNnSlajw
#610 [東脂ヤ転
[らしくない・・・らしくないぞ・・・俺・・・!!]
俺は必死に自分に言い聞かせながら皿を片付ける。
端から見れば痛々しく映るかもしれない。
こんな俺は。
ふと顔を上げると、カーテンからは溢れる程の日光が射し込んでいる。
「・・・そうだ、出掛けよ」
俺は急にそう思い立つと、急いで着替えに部屋に戻った。
こんな所に一人で居るからダメなんだよ。そうだ外に出よう。
そしたら何か変わるかもしれない・・・。
なーんて、まるでどっかの乙女みたいな考えに俺が苦笑したのは言うまでもない。
:08/06/02 08:39
:W52P
:.GyN4aPs
#611 [東脂ヤ転
「・・・・・・ハァ」
家からそう離れていないカフェで、俺はいつもより少し多めに砂糖が入ったコーヒーを飲んでいた。
只今午前11時。店に入ったのが9時だからかれこれ2時間程度、俺はずっとこうしている。
「あ"ーー頭イタぁーー」
前に垂れてきた長い前髪をかきあげながら、俺はうなだれる。
[明の奴・・・調子狂うこと言いやがって・・・一体何やねん!!]
俺はまた溜め息をつくと冷めたコーヒーを一気に飲み干した。
:08/06/02 08:50
:W52P
:.GyN4aPs
#612 [我輩は匿名である]
:08/06/02 18:07
:W51H
:TbG/Yd8A
#613 [東脂ヤ転
アンカーありがとうございます(ρv-)o。+'*・。,*
***********「イッチー!!もう一杯!!」
俺は近くのカウンター越しにサンドイッチを作っている子に声を掛けた。
「圭ちゃん飲み過ぎちゃいます?」
深めに被った帽子から覗く大きな瞳が、俺のことを心配そうに見つめ返す。
「飲み過ぎって、俺が飲んでるのコーヒーやぁん」
「カフェインも取り過ぎは良くないですって」
都心で関西弁全開な言葉を交わしていることが何か凄く可笑しくて、俺は思わず笑ってしまった。
:08/06/04 14:41
:W52P
:lHjWF9hA
#614 [東脂ヤ転
「俺が関西弁やからて、イッチーまで合わせることないんやで〜
イッチーはもう標準語喋れるんやろ?」
俺が笑いながらそう言うと、イッチーも笑って俺を見た。
「こっちの方が楽ですもん。それに圭ちゃんと標準語で話すとか、考えられへん!!」
イッチーはそう言って笑うとまた手元に目線を落とした。
俺は相変わらず変な敬語交りで喋るイッチーが可愛くて、しばらくその姿を見つめていた。
:08/06/05 08:38
:W52P
:tmWuc2p6
#615 [東脂ヤ転
早乙女 壱(サオトメ イチ)。
静の店の元従業員で、今はこのカフェのオーナーをやっている。
同じ関西出身でよく面倒を見てやっていた事もあり、その付き合いは今も続いている。
サラサラの短髪にいつも決まって野球帽。
長身で爽やかな風貌の、俺より2歳年下の可愛い後輩。
明とは大違いで言うこと無しのイケメンなのに、一度も抱きたいと思ったことは無い。
その理由はきっと、イッチーが静に少し似ているからだと思う。
:08/06/06 09:59
:W52P
:HGVBkB5M
#616 [我輩は匿名である]
面白い

:08/06/09 12:01
:F703i
:BkKUwbvU
#617 [東脂ヤ転
「イッチーってさぁ、ほんまに静に似とるよねぇ」
俺は固くなった身体をほぐすように、大きく伸びをした。
その様子を見つめながらイッチーは微笑して手を止める。
「俺はちっとも静さんみたいな大人ちゃいますよ」
俺は笑ってイッチーの方を向く。
「静が大人ぁ〜!?アイツは今も昔も子供やで!」
そう言って空いたカップをカウンターまで持って行く。
[大体あんなワガママで、独占欲の強い大人見た事ないわ!!]
俺はイッチーが注いでくれるコーヒーを横目に、そんな事を思った。
:08/06/10 16:02
:W52P
:WOiJr.Uc
#618 [東脂ヤ転
「圭ちゃんみたいな人を未だに雇ってるだけで十分"大人"やと思いますわ」
「・・・みたいな人!!??それどういう意味やねん!?」
俺はイッチーからの意外な言葉に反応して、コーヒーをこぼしそうになる。
イッチーは楽しそうに笑うと俺の近くのイスに腰掛けた。
「圭ちゃん未だ男遊び激しいんでしょ?」
突然イッチーの声色が変わったのに驚いて顔を上げると、さっきとは違う真面目な眼をしていた。
:08/06/10 22:41
:W52P
:WOiJr.Uc
#619 [東脂ヤ転
俺はそんな眼を前にして思わず目を逸らした。
「また明さん怒らしたから、ウチの店に来たんでしょ?」
イッチーは相変わらず俺を見つめながら、尚的確な問いをぶつけてくる。その度に静によく似た黒髪が揺れるのを、俺は気にしていた。
「明さんはもどかしいやろなぁ・・・」
しかしイッチーが不意にそんな事を言い出したので、俺は思わず顔を上げた。
:08/06/11 00:51
:W52P
:vTGc.C5A
#620 [東脂ヤ転
「明が何やって?」
俺はよほど怪訝そうな表情をしたのだろう。
イッチーはちょっと呆れたように笑うと、俺のコーヒーカップに手をかけた。
「例えばコーヒー大好きな圭ちゃんが、ほんまに好きなコーヒーには高くて手が出せへんとするやん?」
「・・・は?」
突然の例え話に俺はポカンとしてしまう。
「せやからただ安くて手に入れ易い、そこら辺の缶コーヒーばっか飲んで、その欲を満たしていたとする」
しかしそんな俺をよそに、イッチーは意外にも真面目な顔で例え話を続ける。
:08/06/11 08:51
:W52P
:☆☆☆
#621 [東脂ヤ転
「圭ちゃんは毎日毎日缶コーヒーを美味しそうに飲むけど、それはただの"穴埋め"だって事を気付いている人がいるとして・・・」
そこで突然言葉が切れた。俺は不審に思いイッチーの顔を覗き込むと、さっきよりも表情が曇っていた。
「イッチー?」
「・・・アカン・・・」
「・・・・・・何が?」
イッチーは不安げな眼で俺を見つめながらゆっくり口を開く。
「この話の・・・・・・オチが見つけられへん・・・」
:08/06/11 11:08
:W52P
:☆☆☆
#622 [東脂ヤ転
「プッ・・・アハハハハ!!何やそれ!?
自分で始めた例え話やろ!!オチまで考えてから話しぃや!!アハハハハ!!」
さっきまで真剣な眼差しだっただけに、やけにツボに入って笑いが止まらなくなってしまった。
「話しだしたら言いたい事まとまらんようになってしまったんですもん!あんま責めんといて下さいよぉ!!」
店内には俺とイッチーの笑い声が響く。
:08/06/11 11:29
:W52P
:☆☆☆
#623 [東脂ヤ転
「ハァ・・・せやから、僕が言いたかったのは・・・」
ひとしきり2人で笑った後一呼吸置いて、イッチーがまた口を開いた。
「圭ちゃんが男遊び激しいんは、静さんの"穴埋め"をするためやって、明さんは分かってますよ」
イッチーは何気なくさらっと、しかし結構重要なことを言ってのけた。
俺は思わず口に含んだコーヒーを吹き出しそうになる。
「おま・・・ッ!!いつからそんなこと知って・・・!!」
「圭ちゃんが静さんを好きやって話ですか?
見てたら分かりますわぁ〜そんなん♪」
イッチーの笑顔がいつもに増して輝いて見える。
[・・・読めへん奴や・・・]
:08/06/12 08:49
:W52P
:☆☆☆
#624 [東脂ヤ転
「でもまぁ・・・俺が静を好きやったんは昔の話やで」
俺はイッチーが持ってきてくれたクッキーを頬張りながらそう言った。
「でも今でも、いつかは"手に入れたい"って思ってはりますよね?」
コーヒーの代わりに水を口にしたイッチーは、また何気なく鋭い事を訊いてくる。しかし、
「いや・・・もうそれは無いわ」
俺はその問いに対してハッキリとそう返した。
その声は自分でも驚く程酷く、冷たく聞こえた。
:08/06/12 22:07
:W52P
:☆☆☆
#625 [東脂ヤ転
俺が静を好きになったのは高校の時。
もともと美形で有名だった静は、男子からも女子からも人気があって、孤独には無縁な奴のように見えた。
その事を今の静に言ったら「お前の目は節穴だ」って呆れられたけど。
とにかく一目惚れだった。あの黒髪も細みの身体も、一度聴いたら忘れられない、よく透るあの声も。
全てが羨ましくて愛おしくて、手に入れたくて仕方なかった。
でもそんな僅かな願いさえ、いつだって叶わない。
静の隣にはいつも誰かが居て、俺の入る隙間なんか少しも残っていないんだ。
寂しがり屋な俺には静が必要なのに。
:08/06/13 09:04
:W52P
:☆☆☆
#626 [東脂ヤ転
「それは・・・もう諦めたってことですか?」
俺の応えを促すように、イッチーはゆっくりと尋ねる。
その表情は何とも複雑そうで、嘘のつけないイッチーらしい反応だ。
「諦めたっていうより・・・観念したって感じやなぁ。今の静の恋人にはかなう気せぇへんし、多分静の最後の子になると思うしな。」
俺はイッチーに言いながら、自分自身に確認しているようだった。
「"最後の子"?」
イッチーは不思議そうに俺の言葉を復唱する。
「・・・"最後の恋人"って、意味な」
俺はそう言うと思わず苦笑いした。
自分で言った台詞で傷付いてる自分が、妙に情けなくて。
:08/06/13 09:23
:W52P
:☆☆☆
#627 [東脂ヤ転
[ほんま・・・こればっかはしゃあないやろ・・・]
俺の頭には鳴ちゃんの顔が浮かぶ。
初めて鳴ちゃんに会った時、その口から"静兄"って呼ぶのを聞いてショックだったのと同時に何故か安心した。
「あぁ、紫穂の"穴埋め"になる子が、静にも出来たんやな」
そんな風に思っていた。
でも実際に2人の様子を見てたらすぐ気付いた。鳴ちゃんは紫穂の代わりじゃなかった。
静は鳴ちゃんだから、好きになったんだ。
それに気付いた時俺は思った。
静から卒業する日が来ちゃったなぁ、って。
:08/06/13 16:09
:W52P
:☆☆☆
#628 [東脂ヤ転
「・・・俺もなぁちょっとは抵抗してみたんよ?認めたくなくてなぁ」
コーヒーカップを眺めながら俺は小さく話す。
店内には眩し過ぎる程の日差しが入り込んで来ている。
「静とその子の間に入って、少〜し仲を引っ掻き回してみたワケ」
「え"ー!?圭ちゃん悪趣味やなぁ〜」
あまりにも正直なその言葉に俺はまた吹き出してしまう。
"悪趣味"か・・・。
確かにそうかもな。
静に対する嫌がらせのつもりで鳴ちゃんに近付いたのに、最後はほんまに鳴ちゃんの可愛さに惹かれて抱こうとしてたんやから・・・。
:08/06/15 07:49
:W52P
:☆☆☆
#629 [東脂ヤ転
「で?圭ちゃん、静さんの彼氏・・・ってか恋人に手ぇ出したんですか?」
イッチーはいつになく目を光らせて俺に凄い勢いで尋ねる。
「手ぇ出したっつーか・・・ちょこ〜っとキスして・・・」
「キス!!??」
「あ!あと媚薬もほんまちょこ〜っとだけ・・・」
「媚薬!!??」
まるで漫才のようなやりとりが可笑しくて俺はイッチーを見ると、イッチーの方は結構真剣に不満気な顔をしていた。
2人の間に何となく気まずい空気が流れる。
:08/06/16 08:48
:W52P
:☆☆☆
#630 [東脂ヤ転
「っていうか明さんが怒ってる理由、それやないですか」
イッチーはため息の交じりの声で呆れたように言う。
「"それ"ってどれのこと?」
明が今現在俺に怒ってるってよく分かったなぁ〜なんて思いながら、俺はイッチーにそう訊いた。
「だからぁ、その静さんの恋人に圭ちゃんが手ぇ出したってことですよ!」
もともと明のことも慕っていたから感情移入してしまったのか、イッチーは身を乗り出すようにして喋り出す。
:08/06/18 08:49
:W52P
:☆☆☆
#631 [東脂ヤ転
「・・・静が怒るんやったら分かるけど、何で明が怒る必要が有るん?」
熱くなるイッチーをよそに俺はますます混乱していく。
そうだ、前からそれは疑問だった。
俺が何をしようが誰と寝ようが、正直明には関係の無いことだし、迷惑をかけているつもりも無い。
それなのに明は必要以上に俺に絡んでは、いつも傷付いたような表情(カオ)をしている。
[そんなに腹立つなら関わらんかったらえぇのに・・・俺みたいな奴に]
明が俺を哀しい眼で見る度、俺はそんなことを思っていた。
:08/06/18 11:06
:W52P
:☆☆☆
#632 [東脂ヤ転
「自分のことになるとほんま鈍感ですねぇ・・・圭ちゃんは」
イッチーは空いた皿を引きながら呟く。
「俺が鈍感〜??」
その言葉に俺がイマイチピンと来ていないのに気付いたのか、イッチーは俺の前に座り直して苦笑する。
「だって圭ちゃん気付いてはらへんでしょ?
明さんが圭ちゃんを好きやってコト」
「・・・・・・・・・は?」
一瞬、イッチーが何て言ったのか理解出来なかった。っていうか何語を喋ったのかも理解出来なかった。
それ位俺の頭の中は大混乱していた。
あの明が・・・
俺の事を・・・・・・
「・・・・・・好き!?」
:08/06/19 19:13
:W52P
:☆☆☆
#633 [東脂ヤ転
「いーや・・・いやいやいやいやいや!!!!絶っっ対無いやろ!!有り得へん!!」
「有り得へんって何が?
明さんが圭ちゃんを好きやってことがですか?」
イッチーがサラッと言ってのけたその言葉に俺は何度も大きく頷いた。
混乱中の大混乱に陥っている俺を横目に、イッチーはまた席を立って厨房に戻る。
そんなイッチーを逃がさんばかりと俺はカウンター席に勢い良く座り直す。
:08/06/21 21:47
:W52P
:☆☆☆
#634 [さき]
更新されてる


頑張ってくださぃね?
:08/06/21 21:50
:SH902iS
:0sktQpJ.
#635 [東脂ヤ転
さきサンへ(^^)★
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3324/★*☆*★*☆*★*☆「じゃあ逆に、何で有り得へんって思うんですか?」
使い終わった皿やらコップやらを洗い始めながらイッチーは俺に尋ねる。
「何で・・・って理由はなんぼでもあるやん!
例えばやなぁ明は俺のこと毛嫌いしとるし、俺の前で笑ったことなんかないし・・・」
いくら思い返してみても明が俺のことを好きだなんて、思い当たる節もない。そりゃそうだ。
俺はずっと、明に嫌われてると思ってたから。
:08/06/23 08:53
:W52P
:☆☆☆
#636 [東脂ヤ転
「・・・っていうか!お前は明からいつそんな話を聞いたんや!?」
未だ動揺しながらそう言うと、涼しい顔でイッチーは笑う。
「明さんは何にも言ってませんよ?
まぁ・・・見てたら誰でも気付くと思いますけど」
出たよ、イッチーの"見てたら分かりますよ"発言。
[見てて気付けたら苦労せぇへんわ!!!!]
腹立つほど爽やかな笑顔のイッチーを見ながら、俺は思わずそう叫びたくなった。
それと同時に俺の頭の中はぐるぐると色んな思想が駆け巡る。
次に明と会う時、俺はどんな顔すれば良いんだ・・・!?
:08/06/25 09:16
:W52P
:☆☆☆
#637 [東脂ヤ転
「それより圭ちゃん、これから静さんの家行くって言ってませんでした?」
「あ、ほんまや忘れとった」
昨日はあんな形でクビを言い渡されてしまったから、俺はこれから静の家に謝りに行こうと思っていたのだ。
時計を見ると11時半過ぎ。出発するには丁度良い時間だ。
「ハァーー・・・ほなそろそろ行くわぁ〜・・・コーヒーご馳走さぁん」
俺はそう言うと重い腰を上げてイスを引く。
「ちょ・・・ッ!!めちゃくちゃテンション低いじゃないっすか!
僕のせいちゃいますよね!?」
イッチーは心配しているような口ぶりの割に、思いっきり笑いながら俺の肩を叩く。
:08/06/25 11:24
:W52P
:☆☆☆
#638 [我輩は匿名である]
:08/06/26 23:53
:P703i
:o3hhYymM
#639 [東脂ヤ転
[のん気やなぁ〜誰のせいでテンションだだ下がりやと思ってんねん!]
そんな事を思いながら、俺はまたひとつ溜め息をついてテーブルに目をやると、携帯に着信があったことに気付く。
不信に思い携帯を開くと、着信の欄に何度か同じ名前が表示されていた。
"ナオ"
昨日店でヤろうとしていた子の名前だ。
:08/06/27 10:30
:W52P
:☆☆☆
#640 [東脂ヤ転
「もしかして明さんからメールですか?」
イッチーが嬉しそうに携帯を覗き込むので、それを避けるように俺は素早く携帯を閉じた。
「いや、おかんからやったわ!」
「・・・・・・圭ちゃんのお母さんって今どこにおるんやったっけ?」
「・・・フランス」
墓穴掘ったぁぁぁぁ!!!!
俺のおかんは仕事でフランスと日本を行き来する生活を送っている。
おかんとも仲が良いイッチーも、もちろんそのことは知っていた。
とっさについた嘘は・・・大失敗である。
:08/07/02 08:46
:W52P
:☆☆☆
#641 [東脂ヤ転
「そんな嘘つくってことは・・・圭ちゃんまだ色んな男と付き合ってるんですね?」
「・・・・・・はい」
こういう時のイッチーは本気で怖い。
下手したら多分俺のおかんより怖いんちゃうかって思う。
「もー・・・ほんまに知りませんよ!?」
シュンとしている俺を見かねたのか、イッチーはそれ以上強くは言わず、ドアを開けながらそう言った。
開いたドアからは少しキツめの風が流れ込む。
:08/07/03 17:35
:W52P
:☆☆☆
#642 [東脂ヤ転
「イッチー堪忍(カンニン)な。俺って寂しがり屋やから、誰かが側に居てくれなアカンのよ。」
ドアを押さえながら目をしかめているイッチーに俺は笑いかけて、力なくそう言う。
生ぬるい風邪が、俺の長い髪をからかうように掠めていく。
:08/07/10 08:35
:W52P
:☆☆☆
#643 [東脂ヤ転
「圭ちゃん」
手を振ってその場を立ち去ろうとしたその時、イッチーが小さな声で俺を呼び止めた。
「その"誰か"を・・・圭ちゃん、間違えてはりますよ。」
「・・・・・・え?」
瞬間、今日一番の風邪が吹き、イッチーの帽子を攫っていく。
静とは違う真っ直ぐな黒髪が風に揺れ、静とは違う瞳が俺を刺す。
「またのお越しを、お待ちしてます」
何か言わなきゃいけなかったのに加えて先に、イッチーに笑顔でそう言われてしまった。
俺が何も言えなかったのはきっと、俺が見て見ぬフリをし続けてきた事を・・・完全に見抜かれていたからだ。
:08/07/10 08:59
:W52P
:☆☆☆
#644 [我輩は匿名である]
頑張って
:08/07/10 11:51
:F703i
:CIWBCzZ.
#645 [東脂ヤ転
>>644ありがとうございます!
***********
「何か暑い・・・」
もう梅雨だと言っても、この暑さは例年に無い暑さじゃねーか、と思ったのがつい、いつもの癖で大きな独り言を言ってしまった。
通り過ぎて行く人々は皆、休日らしく楽しそうに笑っている。
そこに一人不似合いな俺。
[っていうかこんな時に笑えるワケねぇよ。]
どんな景色や物を見ていても、圭吾のことばかり思い出してしまう。
"明"って、俺を呼ぶ圭吾のことを。
しかもその度に自分の甘さに嫌気がさして、自己嫌悪に陥って・・・最近その繰り返しばっかだ。
:08/07/10 12:19
:W52P
:☆☆☆
#646 [東脂ヤ転
とりあえず外へ飛び出した俺は昔の知り合い、早乙女 壱(サオトメイチ)の店に向かっていた。
静の店に居た頃から壱は、頭の回転の早い、俺をイラつかせない奴だった。
それ以来、壱が静の店を辞めた後も、圭吾のことで気持ちが不安定な時とかはよく壱の店に行っている。
しかも大概、切羽詰まった時にしか行かないようにしているんだけど・・・
[俺やっぱダメかも・・・]
眩し過ぎる太陽にまでイラついている俺は、一体いつになったらこんな気持ちから解放されるんだろう。
:08/07/10 18:10
:W52P
:☆☆☆
#647 [はな]
:08/07/13 00:13
:SH905i
:AZV/eNqc
#648 [東脂ヤ転
>>647アンカーありがとうございます!
***********「あれ・・・明さんじゃないですか?」
「・・・は?」
突然誰かに声を掛けられ、思わず変な声を上げてしまった。
「やっぱり、明さんだ」
その声に振り返って見た時、改めて変な声を出しそうになる。
「や・・・大和?」
「久しぶりっすね明さん」
:08/07/13 23:17
:W52P
:☆☆☆
#649 [東脂ヤ転
少し長めの茶髪に、長い手足と赤いフレームの眼鏡。
間違いなく高校時代の後輩、三輪大和(ミワヤマト)だ。
高校卒業以来の約2年振りの再会にしては余りに突然で、俺は驚きを隠せずにいた。
「お前・・・全然変わってないな」
あの頃と少しも変わっていない大和に、俺は少し頬がゆるむ。
「先輩こそ相変わらず可愛いっすね」
にっこり笑ってそう言う大和を前にして思い出す。
そう言えば・・・コイツはこうやって調子を狂わす奴だった。
:08/07/14 09:08
:W52P
:☆☆☆
#650 [東脂ヤ転
「それよりこんな所で何やってんの?」
大和のタラシ発言はスルーしといて、俺は無難な質問を投げかける。
ただ話しかけるだけでも、俺は大和を見上げるカタチになってしまう。
「いや、ちょっと買い物があってそのついでにぶらついてたんすよ。
明さんは?」
「俺は知り合いのカフェに(圭吾のことを相談しに)行こうとしてたとこ」
たわいない会話なのに節々で圭吾を想う俺がいる。原因はきっと、大和がちょっと圭吾に似ているから。
:08/07/14 11:07
:W52P
:☆☆☆
#651 [東脂ヤ転
「カフェ!?良い響きー!一緒に行っても良いっすか!?」
「え!?」
カフェという単語のどこにテンションが上がったのか、大和は嬉しそうに目を輝かせる。
「まぁ・・・別に良いけど」
[壱も変に深読みする奴じゃないし・・・大丈夫だよな]
壱の店に"誰か"を連れて行くのは正直気が引けたけど、大和に断る理由も無かったので俺は渋々頷いた。
「じゃあ早く行きましょ!俺喉乾いちゃってて」
ほぼ強引に俺の手を引く大和を見ながら、昔のことを俺は思い出していた。
:08/07/14 11:53
:W52P
:☆☆☆
#652 [東脂ヤ転
大和はもともと同じ部活の後輩だった。
他人に優しくしたりするのが苦手だった俺は、特定の奴としか関わろうとしなかった。
そんな中、
『明さん!一緒に練習行きましょうよ』
懲りもせず、毎回毎回俺に声を掛けて来た唯一の後輩、それが三輪大和だ。
"お調子者の憎めない後輩"
大和に抱いていた感情はただそれだけだった。
それは昔も今も変わらない。
でも、
大和は違っていた。
:08/07/14 12:15
:W52P
:☆☆☆
#653 [東脂ヤ転
「いらっしゃいま・・・あれ珍しい」
ウチからそう遠くない郊外にある洒落たカフェ。その店の若きオーナー、早乙女壱は俺を見た瞬間とびきりの笑顔を見せる。
「久しぶり、壱」
「今日は珍しいお客さんが多いなぁ」
さっきまで読んでいたと思われる料理本を片付けながら、壱は嬉しそうに言う。
:08/07/14 16:07
:W52P
:☆☆☆
#654 [我輩は匿名である]
:08/07/14 16:28
:SH904i
:VeOTkTrI
#655 [東脂ヤ転
「"多い"って、さっき誰か居たのか?」
俺は意味深な壱の言い方が引っかかって少し強めに尋ねた。
「いや別にちょっと懐かし・・・」
そこまで言うと壱は突然顔を上げる。
その目線はしっかりと大和を捉えていた。
「・・・友達、ですか?」
壱は俺と大和を交互に見ながら尋ねる。
いつもとは違う壱の目つきに、俺は何故か変に戸惑う。
:08/07/14 21:36
:W52P
:☆☆☆
#656 [東脂ヤ転
「あ、挨拶遅れました!
俺は明さんの高校の後輩で、三輪大和って言います。」
この微妙な空気を感じ取ったのか、大和はいつもの爽やかな笑顔で壱に軽く頭を下げた。
「あぁいや、俺も明さんの後輩で今はこの店のオーナーやってます、早乙女です。
まぁ俺はバイトの後輩ですけど。」
壱の方もいつもと変わらない爽やかな笑顔で大和に挨拶する。
[何だ・・・俺の勘違いか]
そう思って軽く胸を撫で下ろした瞬間、壱としっかり目が合ってしまった。
その目は、まるで「あとで話がある」と言わんばかりの鋭い目つきだ。
:08/07/14 21:50
:W52P
:☆☆☆
#657 [東脂ヤ転
ーピルルルル・・・ッ
「あ、ちょっとすみません・・・」
壱にカウンター席を案内されたのとほぼ同時に、大和との携帯が鳴り席を立つ。
「大和もコーヒーで良い?」
ドアに向かって歩き出した大和にそう訊くと、大和は笑顔で頷いた。
「良い後輩ですね〜」
大和が外に出たのを見届けてから、茶化すように壱は言った。
「・・・アイスコーヒー2つな」
俺は何となく気まずくて壱の言葉を聞き流す。
壱なら大和のことも気にしないだろうと思っていたんだけど・・・ どうやらそうもいかないらしい。
:08/07/15 11:11
:W52P
:☆☆☆
#658 [東脂ヤ転
「っていうか前に明さんが言ってた、"唯一俺に告白してきた変わり者"って・・・」
その言葉を聞いた瞬間、飲んでいた水を吹き出しそうになる。
俺の反応を見て壱は更に俺に近付く。
「やっぱり〜!あの子なんですね!?」
・・・何でこんなにコイツは鋭いんだろう・・・。
ムカつく程に!!
「あ"ー!!だから困ってんだよ!!」
俺は思わず声を張り上げてしまった。
さすがの壱も驚いて目を丸くしている。
:08/07/15 11:37
:W52P
:☆☆☆
#659 [東脂ヤ転
「・・・高校の時大和に告られて、俺は断ったんだよ。"他に好き奴が居るから"って」
外から大和の声が微かに聞こえる。
あんなに良い奴なのに今も昔も、俺は好きになれずにいた。
「そしたらその時大和がさ言ったんだよ」
『じゃあ・・・次に俺と会う時に紹介して下さいよ、明さんが好きなその人を。』
凄く真っ直ぐな瞳だった。何で俺はコイツを好きになれないんだろう、って自分にイラついた。
でも本当はもう遅かった。
その時既に俺は、圭吾と出逢ってしまっていたんだ。
:08/07/15 11:52
:W52P
:☆☆☆
#660 [東脂ヤ転
「じゃあ紹介すれば良いじゃないですか。圭ちゃんを。」
しゃあしゃあと言ってのける壱に、俺は思わず蹴りを入れたくなった。
「出来るワケねぇだろ!!
そんなことしたら圭吾に俺の気持ちがバレ・・・」
「バレたって良いじゃないですか」
その時突然、壱の声色が変わった。
普段は俺にたてついて来ない壱なだけに、壱の様子がいつもと違うことに気付く。
:08/07/15 11:59
:W52P
:☆☆☆
#661 [東脂ヤ転
「いつまで明さんはそうやって悩み続けるんですか?」
壱の黒い瞳から目が離せない。
「早くしないと圭吾さん捕られちゃいますよ?」
壱は静かにそう言った。俺はその言葉の意味が読み取れず、怪訝な表情をする。
「でもアイツは静が好きなんだよ!
そんな奴に、打ち明けたところで何も変わんねぇよ」
吐き捨てるようにそう言うと、自分の台詞に傷ついている自分が居た。
[俺って・・・マジで勝手だな]
また嫌な感情が湧き上がってくる。
:08/07/15 12:10
:W52P
:☆☆☆
#662 [東脂ヤ転
「圭ちゃんはもう静さんのこと好きちゃいますよ?」
俺が俯いたその時、壱は俺の前にアイスコーヒーを置きながら言った。
「・・・・・・はぁ!?何で!?」
俺は余りに突然のことに驚いて勢い良く顔を上げる。
そんな俺の様子を見て、壱は少し可笑しそうに笑った。
:08/07/15 21:50
:W52P
:☆☆☆
#663 [東脂ヤ転
「確か・・・静さんの今の恋人に全くかなう気がしないから、って言ってはりました」
大和の分のアイスコーヒーを作りながら、壱は微かに笑って言う。
「恋・・・人って・・・」
あの義弟のことか。
確かに、自分のことを"静兄"って呼ばせるくらいだ。
"紫穂"と同じか、それ以上に大事にしてるっていう証拠だよな。
[でもそれって・・・]
『フラれたぁ・・・』
突然、昨日の圭吾を思い出す。
:08/07/16 08:53
:W52P
:☆☆☆
#664 [我輩は匿名である]
:08/07/16 09:02
:F903i
:n4s5HYss
#665 [東脂ヤ転
リビングで大の字になって弱音を吐いていた圭吾。いつもに増して空元気だった圭吾。
アイツ・・・もしかして、
「圭ちゃん傷付いてるんちゃいます?」
その時また、俺の心を見透かすように壱が口を開いた。
そんな壱を俺は驚いたような表情(カオ)で見つめる。
「自分で静さんに対して"諦める"やなんて言葉を言った圭ちゃん、初めて見ましたもん」
壱の入れてくれたコーヒーの良い香りが店中に広がる。
それと同時に、俺の胸には違う感情が芽生える。
何で・・・気付いてやれなかったんだ・・・!
:08/07/16 12:06
:W52P
:☆☆☆
#666 [東脂ヤ転
「俺・・・ちょっと出てくる・・・ッ」
考え出したら止まらなくなって俺は勢い良く席を立った。
「明さん」
2人分のコーヒー代を置いて店を出ようとした時、壱が俺を呼び止めた。
「圭ちゃんは"俺は寂しがり屋やから、誰かが側に居てくれなアカンのや"って言ってました」
カウンター越しに壱の声が俺のところまで響く。
「でも圭ちゃんは今、その"誰か"を見失ってて、間違った温もりを求めてるんです」
俺は黙って壱の言葉を噛み締める。
「明さん・・・圭ちゃんの側に居てあげて下さい」
壱は苦笑して俺に軽く頭を下げた。
本当、お節介焼きなところが圭吾にそっくりだ。
:08/07/16 12:16
:W52P
:☆☆☆
#667 [東脂ヤ転
「・・・また来るな」
俺はそれだけ言うと壱に軽く手を振ってドアを開けた。
中とは違って生暖かい風が俺の頬を掠める。
[言葉にしなきゃわかんねぇよあの馬鹿・・・!!]
思い返せば返す程、圭吾がどれだけ落ち込んでいるのかが痛い程良くわかる。
高校生の時から静だけを見てきて、紫穂が離れていった時も言えば静を支えていたのは圭吾だった。
それなのにいつも静の中には圭吾じゃない"誰か"が居て。
[叶わない想いなんて、持ってるだけ不便だよな]
俺が圭吾を想っても叶わないように、圭吾は静への想いを叶わないのに捨てられないで居る。
何で俺達って、こんなに不器用なんだろう。
:08/07/16 12:29
:W52P
:☆☆☆
#668 [東脂ヤ転
「先輩・・・ッ!?」
「!?」
突然袖を強く引かれ、俺は驚いて振り返る。
そこには息を切らして俺を見つめる大和が居た。
「どこ・・・ハァッ・・・行くんですか!?」
その瞳はあの日と同じ、逸らしたくなる程真っ直ぐな瞳だ。
「どこ・・・って・・・」
俺はそこまで言うと言葉に詰まる。
逃げ出したくなる程の日差しが射している。
「・・・明さんが好きな人の所ですか?」
先に沈黙を破ったのは、大和だった。
俺は何も応えられず大和を見つめる。
:08/07/17 08:32
:W52P
:☆☆☆
#669 [東脂ヤ転
「俺は・・・今でも明さんが好きです」
大和は乱れた息を整えながらきっぱりそう言う。人生二度目に受ける告白はやっぱり慣れなくて、思わず顔が火照る。
でも、
「大和・・・俺は・・・」
「知ってます。明さんは俺を好きじゃないって。」
俺が言おうとした言葉を、遮るように大和は続ける。
無理矢理つくった大和の笑顔は、見ているこっちが悲しくなりそうなものだった。
:08/07/17 17:57
:W52P
:☆☆☆
#670 [東脂ヤ転
「それでも良いんです。
それでも、俺が明さんを好きなことは変わらないんで。」
多くの通行人が通る、大通りの真ん中で受ける告白は、思わず心揺れるものだ。
[何で・・・こんな・・・]
何でこんな俺をそんなに好きだと言ってくれるんだろう。
こんなに優しい大和の側に居れば、もう辛くないだろうか。
圭吾を好きでたまらないこんな気持ちを忘れられるだろうか。
また生暖かい風が俺の頬を掠めた、その時。
「明・・・?」
聞き覚えのある声が後ろから俺を引き止める。
「・・・・・・圭吾・・・」
:08/07/17 18:25
:W52P
:☆☆☆
#671 [東脂ヤ転
「こんなとこで何してんねん・・・ってアレ・・・お連れさん?」
何も知らない圭吾はいつもの脳天気な顔で近付いて来る。
あまりにタイミング良く本人が登場したせいで、俺は動揺を隠せない。
しかも大和はそんな俺をしっかりと見つめていた。
「聞いとる?明・・・」
「俺は明さんの後輩なんです、高校の。」
圭吾が俺の顔を覗き込もうとしたその時、大和が笑顔で間に入った。
:08/07/17 18:54
:W52P
:☆☆☆
#672 [東脂ヤ転
「後輩!?なんやぁ〜俺はてっきり明の彼氏さんか何かかと思ったわぁ!!」
「!?」
ー・・どういう意味だ?
俺の中の何かが曇る。
「いやな、いっつも俺のことばっか構ってくれるんは有り難いけどな、明もそろそろ良い人見つけぇや〜?」
圭吾の様子が少しいつもと違うのに、今の俺にはそれを気にかける余裕がない。
そんな様子を大和はただ黙って見つめている。
:08/07/18 09:33
:W52P
:☆☆☆
#673 [東脂ヤ転
「何が・・・言いたいんだよ?」
込み上がってくる感情を必死で抑えながら、俺は圭吾を睨む。
「だからぁ、明も俺なんかのことはほっといてえぇから、その後輩君みたいな可愛い彼氏さんをつくりぃな!
俺もそうするし」
いつになく饒舌な圭吾は次から次によく喋る。
それも、俺を傷付けるような言葉ばかりを選んでいるように。
「・・・・・・黙・・・れ」
早く彼氏をつくれだと?大和みたいな?
俺が・・・
俺が大和の告白をどんな気持ちで・・・・・・
どんな気持ちで受け止めていたかも知らないで。
:08/07/18 09:55
:W52P
:☆☆☆
#674 [東脂ヤ転
どんなに想っても届かない想いがあるんだって、こんなカタチで知りたくなかった。
言いようのないこの感情は、俺の口から誤った言葉を紡ぐ。
「そうだよ・・・俺達付き合うんだ」
俺は大和の袖を掴んで圭吾に向き直る。
「・・・・・・・・・え?」
さすがの圭吾もこの言葉には驚きを隠せないようだ。
[そんなに俺から離れたいなら・・・お望み通りにしてやるよ、圭吾]
悲しさを通り越して、何故か酷く冷たい気持ちに俺は浸っていく。
:08/07/18 10:59
:W52P
:☆☆☆
#675 [サクラ
]
:08/07/18 14:02
:F704i
:EtTR0d1Q
#676 [東脂ヤ転
「・・・大和」
「ん?」
俺は大和の方を見ずに呼びかけた。
「さっきの告白、了承した。俺達付き合おう。」
いつもの倍以上、自分の声が冷たく響く。
俺の言葉を聞いた圭吾はさっきの倍以上、驚いた顔をする。
「・・・行きましょう、先輩」
その時突然、大和が俺の手を引いて歩きだした。
「・・・ッ!!明・・・ッ」
圭吾が俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
それでも俺は足を止めない。
大和の歩幅に添うように歩き続ける。
[これで・・・終わり・・・か]
そう思ったら突然頬が濡れた。
雨なんか降っていない晴天なのに、何故かどんどん頬は湿っていく。
雨じゃなく、涙のせいで。
:08/07/19 21:45
:W52P
:☆☆☆
#677 [我輩は匿名である]
明のばかあぁぁ

←
:08/07/19 23:12
:D705i
:ud7pQXas
#678 [
]
同感

:08/07/19 23:54
:F704i
:NaboNxzc
#679 [東脂ヤ転
我が輩サン・サクラサンへ(^^)
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3324/***********
何かがおかしい。
俺が望んで、明を手放したハズなのに。
何でこんなにも胸が痛むんだ?
小さくなっていく明達を見つめながら、俺は此処から動けずにいる。
『大事なヤツなら、尚更手放すなよ』
その時ふ、とさっき静に言われた事を思い出す。
:08/07/20 12:19
:W52P
:☆☆☆
#680 [東脂ヤ転
「・・・え?」
丁度たい焼きも食べ終わって、そろそろ静の家から帰ろうとしていた時、静が言った言葉だった。
「いつまでもフラフラしてると、後で後悔するって言ってるんだ」
珍しく俺に真面目に話しかけて来る静が何を言いたいのか、今の俺にはよく分かった。
「・・・明のことやろ?」
俺はため息混じりの声で静に訊く。
「珍しい・・・偉く今日は勘が鋭いな」
静は少し感心した様子で俺を見る。
:08/07/20 12:50
:W52P
:☆☆☆
#681 [我輩は匿名である]
:08/07/20 16:06
:W54T
:aiEF7rf2
#682 [東脂ヤ転
「嫌でも気付くわ!
イッチーにも同じようなこと言われたし・・・」
「イッチー?・・・って壱のことか?」
静は不思議そうに俺に訊き返し、俺はそれに大きく頷いた。
「珍しい奴と会ったんだな。その名前を聞くの久々だよ。」
静はそう言うと懐かしそうに微笑した。
そんな静に俺は一瞬見とれてしまう。
こういう時、不意に見せる静の笑顔は反則級に綺麗なんだ。
「で?壱に何て言われたんだよ?」
「え!?あぁ、そうやったな・・・」
静の声で俺は一気に現実に引き戻される。
:08/07/20 21:50
:W52P
:☆☆☆
#683 [東脂ヤ転
「何か・・・今の俺は間違ってる・・・みたいな・・・っていうか明が・・・俺を好きや・・・みたいな?ハハッ!!そんなんガセやんなぁ!?」
俺はイッチーに言われたことを、飛び飛びではあるけれど何とか静に話した。
その間静は顔をしかめている。
「・・・え?お前は今頃、明の気持ちに気付いたのか?」
「・・・・・・やっぱほんまの話なんやぁぁぁぁ・・・」
静の反応を見て、俺の淡い期待が完全に消え去った。
:08/07/20 23:35
:W52P
:☆☆☆
#684 [東脂ヤ転
「明に好かれるのがそんなに嫌なのか?」
俺のすぐ側に立つ静は不思議そうに尋ねる。
俺は軽く息をつくと、飲みかけのお茶を口に含む。
「いや・・・嫌とかじゃなくて、初耳だったから・・・驚いたというか・・・何と言うか・・・」
思うように言いたいことが整理出来ず、口を開くと途切れ途切れにしか言葉にならない。
そんな俺を見て静は苦笑する。
「明はお前が思っているよりもずっと前から、お前のことが好きだったんだよ」
静の言葉は一つ一つ胸に響く。その言葉の意味はよく分かるけれど、俺はまだ納得出来ずにいる。
[明・・・何で俺なんや?]
:08/07/21 22:09
:W52P
:☆☆☆
#685 [東脂ヤ転
昔から静のことが好きだと口では言いながら、その欲を手頃な他人で晴らしていた。
自分でも時々こんな汚い"俺"が嫌になる。
それなのに俺の一番近くに居て、その汚れた部分も見飽きているハズの明が何で俺を好きになれるんだ?
「俺なんかを好きでいるやなんて・・・」
[お前は絶対、間違ってるわ]
俺は明を想い強くそう思った。
:08/07/22 00:04
:W52P
:☆☆☆
#686 [東脂ヤ転
「・・・俺そろそろ帰るわ!」
残りのお茶を飲み干して俺は勢い良く席を立つ。これ以上明のことを咎められたら身が持たない。
「圭吾・・・」
玄関で靴ひもを結び直していると、静が壁に持たれながら俺に呼びかけた。
「ん?何〜?」
俺は静の方を見ずに返事を返す。
:08/07/22 09:41
:W52P
:☆☆☆
#687 [東脂ヤ転
「昨日お前がさ俺に言った言葉・・・」
『そんなに大事なんやったら、もっとちゃんと捕まえとけや。泣かすなや』
一途に静を想う鳴ちゃんが余りに可愛くて、その想いに応え切れていない静が凄い無責任に見えた時、思わず口にした言葉だった。
長い間静を好きだった俺には、鳴ちゃんの気持ちが痛い程良く分かったから。
「あの言葉で、結構目が覚めた」
静は昨日のことを思い出しているのか、少し苦しそうに呟く。
:08/07/23 08:48
:W52P
:☆☆☆
#688 [東脂ヤ転
「そりゃ良かったなぁ」
俺は初めて静に向かってそう言えた。
静が誰かを愛し、誰かに愛されてさえいれば今の俺には十分なように思えた。
「だからさ、圭吾」
そう言うと静は俺より先にドアを開ける。
生暖かい風と日差しが俺を討つ。
「お前は、お前の大事な奴を泣かすなよ」
静は俺の目を真っ直ぐ捉えて言う。
怒鳴るわけでも、攻めるわけでもない言葉だったけれど同時に、胸に響いて止まない言葉でもあった。
:08/07/23 21:44
:W52P
:☆☆☆
#689 [東脂ヤ転
[それでも・・・・・・]
俺はまだ分からずにいる。
俺にとって"大事な奴"が明なのかどうか。
だから敢えて突き放してしまった。
今みたいに。
それなのに、明達の姿がどんどん小さくなっていくにつれ、俺の胸は締め付けられる。
ずっと見て見ぬ振りをしてきた想いを心は叫ぶ。
俺にとって・・・明はなんだ?
:08/07/24 08:30
:W52P
:☆☆☆
#690 [東脂ヤ転
最初はしっかり者のルームシェアだとしか思ってなかった。
どんなに俺が無茶苦茶なことをしても、何だかんだ言って最後まで付き合ってくれる奴。
そんな明に俺はいつも甘えていた。
どんな時もコイツだけは側に居てくれるハズだって、変な思い込みがあった。
なのに、
明は今俺の側から離れて行こうとしている。
俺はまた、一人になるのか?
俺はまた、
大事な奴を手放そうとしているのか?
そう思ったのとほぼ同時に俺の足は動き始める。徐々に速度を上げ、必死に追いつこうと走り出す。
今どこに居るのか見当もつかない、明のもとへ。
:08/07/25 08:21
:W52P
:☆☆☆
#691 [東脂ヤ転
「ー・・・先輩?」
大和に呼びかけられ、俺は初めて我に返る。
顔を上げると、隣に座る大和がいつもと変わらぬ笑顔で俺を見ていた。
「大丈夫だよ・・・大丈夫」
俺はそう言うとぎこちなく笑ってみせた。
目では大和を見ているのに、頭では圭吾のことをまだ想っている。
[懲りねぇ奴だな、俺も]
あんな言い方をされて、突き放されたのに相変わらず俺は圭吾のことが好きなんだと、嫌でも気付かされる。
:08/07/25 08:29
:W52P
:☆☆☆
#692 [東脂ヤ転
圭吾の側から大和に手を引かれるまま離れ、俺達は今近くの公園に来ていた。
暫く気持ちの整理がつかずにいた俺の側に、黙っていてくれた大和はどれだけ俺に甘いんだ、と少し胸が軋んだ。
「先輩・・・俺は本当に明さんが好きですよ」
大和は静かにそれでもハッキリと俺を見て言う。
「こんな状況でこんなこと言うの、自分でも卑怯だと思います・・・でも!」
大和はそこまで言うと話すのを途中で止めた。
というより俺が大和の頬に触れ、話すのを止めさせた。
大和の気持ちはずっと前から十分知っていた。
俺はそれからいつも逃げていたんだ。
:08/07/25 08:47
:W52P
:☆☆☆
#693 [東脂ヤ転
「俺も・・・お前が好きだよ」
「・・・・・・え!?」
突然の俺の返事に大和は驚いたのか変な声を上げる。
2人の間に生暖かい風が再び吹き始める。
「冗談とかは・・・ナシですよ?」
大和の頬に触れていた俺の手を、大和はそっと握った。
俺はこんな純粋な後輩に嘘を付こうとしている。
「冗談なんかじゃねぇよ。これでも真面目に言って・・・ッ」
そこまで言うと大和は俺を強く抱き締めた。
:08/07/25 20:36
:W52P
:☆☆☆
#694 [東脂ヤ転
「嬉しい・・・ッ明さん・・・」
大和の肩は少し震えていて、その胸の鼓動は俺にまで伝わっていた。
[これで・・・良いんだよな]
大和のこの温かさは本物だ。俺はコイツを選んで良かったんだよ。
何度も何度もそんなことを自分に言いかけながら、俺は目を閉じた。
大和が俺の唇に触れる。
:08/07/25 22:04
:W52P
:☆☆☆
#695 [るか]
:08/07/25 23:47
:SH705i
:tcXiwiqY
#696 [るか]
:08/07/26 09:07
:SH705i
:k4IRwc4I
#697 [東脂ヤ転
「ー・・・ッ・・・明!!」
その時、誰かが俺の名を呼び、凄い力で俺を引き上げた。
突然腕を引かれたせいで、俺は一瞬その場によろめく。
「好きでも無いヤツと・・・ッハァ・・・ッキスなんかすんな!!このどアホ!!」
聞き覚えのある声に怒鳴られて、俺は思わず泣きそうになる。
「圭・・・吾・・・?」
俺の腕を掴んで乱れる息を整えているのは、確かに圭吾だった。
:08/07/26 12:24
:W52P
:☆☆☆
#698 [東脂ヤ転
「ハァッ・・・ほな・・・帰るで」
「・・・は!?」
まだ状況が掴めていない俺を差し置いて、圭吾は俺の手を引き歩き出す。
「ちょ・・・ッ・・・圭吾!!」
俺の言葉に反応する様子も無い圭吾はどんどん速度を上げていく。
横目で大和に目をやると酷く寂し気に、でも何故か呆れたように笑っているのが分かった。
そのうち公園からも離れて行き、黙々と歩き続ける圭吾に俺は引っ張られるカタチで歩いている。
その間俺は気が気じゃなかった。
[何で・・・追いかけて来たんだよ圭吾・・・]
:08/07/26 12:36
:W52P
:☆☆☆
#699 [我輩は匿名である]
圭吾かっこよす

:08/07/26 13:48
:D705i
:jiq/OXbw
#700 [東脂ヤ転
>>583「邪魔するで」
散々歩いてたどり着いた所はマンションではなく壱の店だった。
中に居た何人かの客は驚いて俺達を見る。
それに対して壱は何故か嬉しそうに笑っている。
「はいはい、奥の部屋をお使い下さい」
ワザとらしく改まった言い方をすると、壱は奥の部屋へと俺達を促した。
「イッチー・・・ありがとな」
圭吾が小さくそう壱に呟くと、壱は今までで一番の笑顔を俺達に向けた。
「明、こっち・・・
圭吾に軽く背を押された俺は、重い足を動かし部屋に入る。
:08/07/27 12:29
:W52P
:☆☆☆
#701 [我輩は匿名である]
:08/07/30 02:32
:P905i
:☆☆☆
#702 [東脂ヤ転
「どういうつもりだよ!?」
部屋に入るなりそう言うと俺は乱暴にソファーに腰掛ける。
中途半端な優しさなんか望んじゃいない俺にとって、圭吾の行動は納得いかず俺は最高潮に苛立っていた。
「今更俺に構うな・・・ッん・・・ッ!!」
俺が圭吾を罵る言葉を続けようとしたその時、突然その口を圭吾は塞いだ。
「・・・ちょっと黙っとけ」
圭吾はいつになく鋭い目つきで俺を見つめる。
こんな状況でも俺の胸は高鳴っていた。
:08/07/30 15:53
:W52P
:☆☆☆
#703 [東脂ヤ転
その勢いでソファーに押し倒されるカタチになり、俺は思わず圭吾から顔を背ける。
「好きでも無い奴とキスするなって言ったのはお前だろ・・・」
ガラにもなく泣きそうになっている自分を必死で抑えながら、俺は圭吾を睨む。
「俺はお前のことなんか好きじゃねぇぞ?」
「嘘つけ」
「本当だよ!!」
俺は身体を少し起こして圭吾にそう叫んだ。
何だか酷く腹が立つ。
俺ばっかコイツに調子狂わされて、俺ばっか声張り上げて。
何でいつも俺ばっか・・・こんな・・・。
「何でこんな好きなんやろな」
そう言って先に口を開いたのは俺ではなく、圭吾の方だった。
:08/07/30 21:40
:W52P
:☆☆☆
#704 [東脂ヤ転
「・・・・・・は?」
俺の聞き違いかもしれない。今確かに圭吾が・・・
「せやから、俺はいつからこんなにお前が好きなんやろかって聞いてんの」
圭吾はもう一度俺を見つめながら呟く。
こんな近くで見つめられるのが初めてで、俺の顔が火照ってくるのが分かる。
「じょ・・・冗談言ってんじゃねぇぞ!!いつもいつもからかいやがって・・・」
そう言いながら俺は自分で涙目になっているのに気付いていた。
「冗談ちゃうわ」
圭吾はそんな俺の頬にそっと触れる。
「俺は・・・お前が好きや」
:08/07/30 21:49
:W52P
:☆☆☆
#705 [我輩は匿名である]
:08/08/01 22:02
:D903i
:☆☆☆
#706 [東脂ヤ転
>>704 「嘘・・・だ」
俺は頭の中が混乱しきっていて、何から訊けば良いのかわからずにいる。
「だって・・・お前は静が好きなんだろ・・・?」
目が霞んでいて圭吾を思うように捉えられない。
「静のことはもう関係ないで。俺にとってアイツはいつの間にか、良い友達になっとったんや。」
小さくそう尋ねた俺に圭吾はいつもの笑顔を向けると、優しく俺の髪を撫でた。
それだけでも泣き出しそうなのに、圭吾が俺を好きになる日が来たなんて。
まだ信じれなくて、俺の心はざわつく。
:08/08/02 16:39
:W52P
:☆☆☆
#707 [東脂ヤ転
「っていうかなぁ・・・」
圭吾は溜め息混じりに呟くと、俺の腕を掴み体を引き上げた。
「俺は明が俺を好きやと思ってたから、お前に告ったんやで!?
じゃなきゃ、こんなハズいことやらへんわ!」
相変わらずバカ丸出しなことを大真面目に言う圭吾に、いつもはムカつくところなんだけど、今は全てが愛おしく思える。
[これだから恋愛は嫌なんだ・・・]
そんなことを考えながら俺は、圭吾にいちいち振り回される俺自身が物凄く嫌でもあり、同時に物凄く幸せだとも感じていた。
:08/08/04 01:43
:W52P
:☆☆☆
#708 [東脂ヤ転
「俺のこと好きなんだったら・・・」
まだまともに圭吾の顔が見れない俺は、少し俯き加減で口を開く。
「もっとちゃんと・・・キスしろ」
思い切って言った言葉だった。
とんでもなく恥ずかしいことを自分で言っていることは分かっていた。
ただそれだけ俺は言葉だけじゃ不安なんだ。
[何でも良いからカタチで俺を安心させて・・・]
そう強く思った瞬間、圭吾が俺の顎を軽く持ち上げその唇を塞いだ。
:08/08/04 14:02
:W52P
:☆☆☆
#709 [我輩は匿名である]
見てます
頑張って下さいっ
:08/08/04 16:06
:PC
:☆☆☆
#710 [東脂ヤ転
>>583「んん・・・ッ・・・ふ・・・ぅッ・・・ハァ・・・ッ!!」
さっきより深く互いの唇が重なり合い、慣れない俺は上手く呼吸が出来ないのと、激し過ぎる圭吾のキスに身体が熱くなる。
「ッあ・・・ッ・・・け・・・ご・・・んぁ・・・ッ!!」
そんな中必死で途切れ途切れに圭吾の名前を呼ぶと、ようやく少し唇が離された。
「クスッ・・・お前のリクエストに応えだけやのに、もう真っ赤になってるやん」
肩で息をする俺を愉しそうに見つめながら、圭吾はまた軽くキスをした。
「長いのと軽いキスいっぱいするの、どっちがえぇ?」
イタズラっぽく笑う圭吾のその余裕にムカついて俺は頭を叩いてやった。
:08/08/05 00:33
:W52P
:☆☆☆
#711 [東脂ヤ転
「照れてる明もなかなかやなぁ〜♪」
叩いたその手を掴むと、圭吾は俺の身体を引き寄せそのまま強く抱き締められる。
初めてこんな近くで圭吾の体温を感じ、俺の鼓動は速度を増す。
「明・・・」
その時突然小さく名前を呼ばれ、思わず圭吾を掴む手に力が入る。
「俺まだお前から気持ち聞けてないんやけど・・・お前はほんまに、俺が好きなんか・・・?」
さっきより何故か不安気に聞こえる圭吾の声は、酷く優しくて俺の脳まで刺激する。
:08/08/05 12:41
:W52P
:☆☆☆
#712 [東脂ヤ転
「当たり前だろ・・・」
圭吾の胸の音を聞きながら俺は少し笑って口を開く。
「どれだけお前に片思いしてたと思ってんだ?」
この時初めて俺は顔を上げ、圭吾を真っ直ぐ見つめた。
「圭吾が俺を想うよりずっと、俺の方が圭吾を好きだっていう自信があるんだよ、バーカ」
そこまで言うと俺は何故か嬉しくて、自然と笑顔がこぼれた。
「・・・初めて・・・笑った」
そんな俺を前に圭吾もまた幸せそうに笑う。
:08/08/05 21:40
:W52P
:☆☆☆
#713 [東脂ヤ転
「何か・・・好きな人が俺を好きで居てくれるって、こんなに嬉しいんやな」
圭吾は俺の頬に優しく触れながらそう言う。
俺にとって圭吾がどれだけ大切な存在か、この手の温もりがその答えをくれたような気がした。
「俺を散々振り回しやがって・・・これから覚悟しとけよ?」
俺は気が抜けたように圭吾にもたれかかると、また少し素直じゃない言葉を口にする。
「明はほんま素直ちゃうなぁ」
そんな俺をゆっくり押し倒しながら圭吾が笑う。
:08/08/05 21:50
:W52P
:☆☆☆
#714 [東脂ヤ転
「素直に"一緒におって♪"って言ったらえぇのに」
圭吾はまたからかうように言うと俺に優しく口づけた。
「・・・死んでも言わねぇ」
俺は小さく呟いて圭吾の首元に腕を回す。
飽きぬ程互いの唇を確かめ合いながら、飽きぬ程互いの想いを重ねていく。
そして声に出せない想いを胸で強く思う。
"一生一緒にいて欲しい"
声に出して言える日がいつ来るのかは分からないけれど、いつか必ず君に伝えたい。
こんなにも君を愛していると。
こんなにも君を愛していられる俺は誰よりも、誰よりも幸せだと。
いつか伝えられたら良いのに・・・。
:08/08/05 21:57
:W52P
:☆☆☆
#715 [東脂ヤ転
第D話無事終了致しました!!今回は明×圭吾編☆というコトもあって、混乱させてしまった部分もあったことと思いますッ!
そんな中毎回コメントを残していって下さる皆様には本当に感謝Aです!!(泣)ありがとうございます!!
感想版では引き続き、
こんなキャラを出して!&こんな話を書いて!と言ったリクエストがありましたら随時受け付けておりまッす☆(^O^)/
また本編に作者はコメントはせず小説の更新のみ行いますので、コメントは感想版にお願いします♪
引き続き本編を末永くよろしくお願いします!!!!
:08/08/05 22:06
:W52P
:☆☆☆
#716 [智魅]
あげます∩^ω^∩
:08/08/07 00:55
:W47T
:avKymb/w
#717 [東脂ヤ転
智魅サン★
アゲありがとうございますッ☆(・∀・)ノシ
:08/08/07 08:01
:W52P
:☆☆☆
#718 [東脂ヤ転
大切なモノは
無くしてから気付くことが多いって、よく言うけれど
大切なモノであればある程
無くしてしまう前に
大切だ、と気付きたいんだ
:)危ナイ兄弟愛ノカタチーE
:08/08/07 08:08
:W52P
:☆☆☆
#719 [東脂ヤ転
「いらっしゃいませ!」
ドアのベルが鳴るのと同時に俺は笑顔で声をかける。見るとお客は2人組のようだ。
「予約とかしてないんですけど・・・」
1人の女性が不安げに尋ねてきた。俺は更に笑顔で中へと案内する。
「カウンター席でもよろしければ空いておりますが、よろしいですか?」
その言葉を聞いた途端、2人共嬉しそうに頷いた。
そりゃあそうだ。
カウンター席なら知る人ぞ知る、この店で1番人気の静兄の真ん前に座ることが出来るのだ。
それを承知で案内出来たってことは、何だか妙にこの仕事に慣れてきた証拠でもあった。
:08/08/07 08:21
:W52P
:☆☆☆
#720 [東脂ヤ転
「2名様カウンター席へ」
俺は瞬さんに声を掛けそのまま案内して貰う。
その間に2人分の水と、メニューを取りに行く為だ。
「良いテンポで働いとるなぁ♪」
コップを手に取った時、違うお客の注文を通しに来ていた圭吾さんが、笑顔で話し掛けてくれた。
「全然ダメですよ!
まだまだ出来ないことだらけですし」
俺は勢い良く首を振るとお盆に水の入ったコップを乗せていく。
「いやほんまに!
その笑顔なんか無愛想な明と比べたらめっちゃ可愛・・・イタッ!?」
いつものノリで圭吾さんが笑って言ったその時、何かが凄いスピードで圭吾さんの額に直撃した。
:08/08/09 14:33
:W52P
:☆☆☆
#721 [東脂ヤ転
「誰が無愛想だって?」
見るとさっきまでパスタを作っていたはずの明さんが、凄い形相(ギョウソウ)でこっちを見ている。
どうやら圭吾さんの額を直撃したのは、明さんが使っていた人参の残りらしい。
「おーい、食べ物と圭吾は粗末にしたらアカンって習わんかったんかぁ〜?」
「お前のそのテンションは深夜に不向きなんだよ・・・って!抱きつくな!」
明さんは顔を真っ赤にさせて圭吾さんの腕から逃げようとしている。
俺の気のせいでなければ、最近2人の雰囲気がずいぶん穏やかになった気がする。
何というか・・・まるで恋人同士のようなじゃれあい方をしているのだ。
:08/08/09 16:31
:W52P
:☆☆☆
#722 [匿名さん
]
月花さん
第5話の安価お願いします

:08/08/09 20:14
:D704i
:4UUqsA/g
#723 [東脂ヤ転
:08/08/09 22:28
:W52P
:☆☆☆
#724 [東脂ヤ転
>>721「おい義弟!」
「・・・へ?あぁはいッ!!」
考え事をしていたせいか突然明さんに呼ばれ、変な声をあげてしまった。
「その水とメニュー、早く運んで来いよ。いつまで客を待たせる気だ?」
「・・・スミマセン・・・」
相変わらず俺には厳しい明さんに軽く叱られた俺は、少しヘコミつつゆっくりお盆を持ち上げる。
「遅かったな」
カウンター越しに水とメニューをお客の前に置いていると、静兄が小さく俺に耳打ちした。
「ちょっと明さんに叱られてただけです〜」
俺はすねたような顔をすると嫌みっぽくそう言った。
:08/08/10 12:30
:W52P
:☆☆☆
#725 [東脂ヤ転
「クスッ・・・やっぱりお前疲れてるんだよ。明日のこともあるし、今日は先に帰って良いよ。」
そう言うと、静兄は俺の背中を軽くさする。
静兄に触れられると何故か凄く安心する。
でも・・・。
「・・・・・・明日なんか、来なかったら良いのに」
俺は溜め息混じりに呟く。端(ハタ)から見たら俺の言葉の意味が分からないだろうが、静兄は困ったように笑うと俺の頭を優しく撫でた。
「鳴なら大丈夫だよ」
顔を上げると静兄はいつもの優しい笑顔を俺に向けてくれた。
俺はぎこちなく笑うと、静兄の手を小さく握ってその場を後にした。
:08/08/10 21:57
:W52P
:☆☆☆
#726 [我輩は匿名である]
:08/08/10 23:18
:D903iTV
:☆☆☆
#727 [東脂ヤ転
一週間前。
俺はある事を決意した。
「彩華ちゃんと・・・別れる?」
さすがの静兄も驚いたようにそう聞き返した。
俺は黙って頷く。
「このままズルズル付き合ってても、俺はもう彩華を友達としてしか見れないし・・・」
口に出してみて改めて実感する。俺はもう彩華を前のように見れていないんだ。
この現実はいつかきっと、
「一緒に居ても、彩華を傷付けるだけだから」
俺はそういうと少し俯いた。ずっと考えていたことだったとは言え、何度考え直しても答えは同じだった。
その度自分が酷く鬱陶しくて、何て俺は勝手なんだろうって自分を責めた。
:08/08/11 12:50
:W52P
:☆☆☆
#728 [東脂ヤ転
そんな俺を黙って見つめながら静兄は俺の隣に腰を下ろす。
静兄のベッドは俺のよりもずっと大きくて、2人が腰かけてもまだ広く感じた。
「何でそのことを・・・わざわざ俺に言ったんだ?」
そう言われて突然俺は不安になり、チラッと静兄の表情(カオ)を見た。
静兄はいつもと変わらない微笑みを浮かべている。
:08/08/11 17:09
:W52P
:☆☆☆
#729 [東脂ヤ転
「彩華と別れようとちゃんと考え出したのは、静兄の側にちゃんと居たいって思ったからで・・・だから、その・・・報告っていうか・・・」
言いたいことが上手くまとまらなくて、俺は途切れ途切れに想いを伝えようとする。
その間ずっと間近で静兄に見つめられているせいで、俺の顔はだんだん赤くなっていく。
「クスッ・・・鳴、赤くなり過ぎ」
「・・・ッ!!うるさ・・・んぁ・・・ッ!」
静兄に冗談っぽくそう言われて振り向いた瞬間、唐突に唇を重ねられた。
相変わらず奪うような静兄のキスは、俺の思考回路を惑わす甘さだ。
:08/08/12 21:43
:W52P
:☆☆☆
#730 [智魅]
あげます(・∀・)!!
:08/08/15 15:31
:W47T
:9NqmIH5s
#731 [なみ]
あげテ
:08/08/16 01:18
:W61T
:6Z/nZa9U
#732 [なみ]
またまたあげエ
:08/08/16 09:07
:W61T
:6Z/nZa9U
#733 [東脂ヤ転
>>730-732アゲありがとうございます!
***********>>729
「鳴・・・ごめんな?」
突然のキスを終えゆっくりと唇を離した静兄の口から出た言葉は、俺からしたら意外な言葉だった。
「何で静兄が謝るんだよ?」
俺は不思議そうに静兄の顔を覗き込む。
そんな俺を見て静兄はまた苦笑する。
「普通だったお前をおかしくさせたのは、俺だからだよ」
少し苦し気にそう言うと静兄は俺の手を握った。
:08/08/17 00:44
:W52P
:☆☆☆
#734 [東脂ヤ転
「鳴は俺と違って、彩華ちゃんと普通に付き合ってたのにな」
手から伝わる静兄の体温が妙に切なくて、俺は思わず静兄を抱き締めた。
「俺は・・・静兄を好きになれて嬉しいんだよ・・・!!
それを"オカシイ"なんて言葉で片付けないで・・・」
俺から静兄を抱き締めるなんて、何かいつもと逆で不思議な感じがした。
それでも今はこうしないといけない気がしたんだ。
俺は静兄を好きになったことを後悔なんかしてないって、ちゃんと伝えなきゃだめだって身体が叫んだから。
:08/08/17 10:43
:W52P
:☆☆☆
#735 [東脂ヤ転
「・・・クスッ・・・随分大胆な告白だな?」
静兄は小さく笑うとその腕を俺の腰に絡める。
見ると既にいつもの静兄に戻っていた。
「もしかして・・・またからかった?」
「おかげで、また可愛い鳴が見れたよ」
その台詞を聞くのと同時に俺は静兄に向かって、近くにあった枕を投げつけた。
「今どき枕投げか?」
「・・・〜ッ!!ウルサぁぁあい!!!!」
恥ずかしいやら何やら、グチャグチャの感情でいっぱいになった俺は無意味に枕を投げ続けた。
:08/08/17 11:22
:W52P
:☆☆☆
#736 [まむ]
一話カラ…読まして、
もらぃましたァァ

頑張って、続けて下さい。
あげ


楽しみです。
:08/08/17 19:47
:P904i
:☆☆☆
#737 [東脂ヤ転
>>まむサン(>ω<)ノシ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3324/***********「あれ・・・鳴さんもう上がり?」
突然後ろから声をかけられ俺は驚いて振り向く。見ると私服姿の瞬さんが立っていた。
どうやら俺は、更衣室で着替えながら考えごとにふけっていたらしい。
「うん、今日はもう帰る・・・って瞬さんは今から!?」
「"さん"付けじゃなくて良いって言ってるのに〜鳴さんの方が年上なんだからさぁ」
瞬さんは可笑しそうにそう言うとロッカーの鍵を開ける。
黒を基調とした私服の瞬さんは、男の俺でも見とれてしまう程綺麗だった。
:08/08/17 21:36
:W52P
:☆☆☆
#738 [東脂ヤ転
>>まむサン(>ω<)ノシ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3324/***********
「あれ・・・鳴さんもう上がり?」
突然後ろから声をかけられ俺は驚いて振り向く。見ると私服姿の瞬さんが立っていた。
どうやら俺は、更衣室で着替えながら考えごとにふけっていたらしい。
「うん、今日はもう帰る・・・って瞬さんは今から!?」
「"さん"付けじゃなくて良いって言ってるのに〜鳴さんの方が年上なんだからさぁ」
瞬さんは可笑しそうにそう言うとロッカーの鍵を開ける。
:08/08/17 21:38
:W52P
:☆☆☆
#739 [なみ]
あげテ
:08/08/18 13:41
:W61T
:5qiqjRHE
#740 [
あい
]
:08/08/19 11:23
:SH903iTV
:rL7gXcKc
#741 [東脂ヤ転
>>なみサン&あいサン(>ω<)
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3324/ ***********「じゃあ瞬さんも俺のこと呼び捨てで良いよ!
バイト上では俺の方が後輩だし」
俺は何気なくそう言うとすごい視線を感じて顔を上げる。
見ると瞬さんが何故か嬉しそうに俺を見つめていた。
「なんか呼び捨てで呼び合うのって・・・トモダチみたいで良いね」
瞬さんのその何とも言えない微笑みを見た瞬間、俺は何故か胸が軋んだ。
:08/08/19 12:29
:W52P
:☆☆☆
#742 [東脂ヤ転
「じゃあこれからは"鳴"って呼ぶね」
瞬さんはそう言いながら着ていたシャツを脱ぎとる。俺はそれを何気なく見ていると、瞬さんの身体にいくつかの赤い痕があるのが見えた。
[もしかして・・・キスマーク!?]
そう思ったら急に顔が熱くなってきて思わず顔を逸らした。
瞬さんの白い肌にその赤い痕はとても目立って見えるのに、それをあまり隠そうともしない瞬さんが、俺には不思議に思えた。
:08/08/19 12:56
:W52P
:☆☆☆
#743 [東脂ヤ転
「あ・・・」
「・・・へ!?」
その時突然、瞬さんが俺の方に振り返る。
一方の俺は、ジロジロ見ていたことを何か言われるのではないかと、ソワソワする。
「やっぱ・・・"鳴ちゃん"って呼ぶことにするよ」
瞬さんは俺をジッと見つめると、真剣な表情でそう言った。
「・・・・・・は?」
正直どっちでも良いことを大真面目に言う瞬さんを前に、俺は急に気が抜ける。
:08/08/20 18:35
:W52P
:☆☆☆
#744 [なみ]
更新待ってます
:08/08/21 09:42
:W61T
:GBzFHeGY
#745 [我輩は匿名である]
頑張ってね


:08/08/21 23:56
:P905i
:☆☆☆
#746 [東脂ヤ転
>>743「だって呼び捨てなんかにしたら、多分静さんに怒られるもんね〜」
瞬さんは少し口を尖らしてそう言うとまた無邪気に笑った。
こんなに近くで話してみて気付いたけれど、瞬さんはやっぱりかなりの美人さんだ。
黒毛交じりの金髪も白い肌も黒い瞳も、何故か一度見ると強烈な印象を与える。
[こんな人が近くに居て、よく静兄は欲情しないな…]
しなやかな瞬さんの手足を見ながら、俺はしみじみとそんな事を思った。
:08/08/23 12:24
:W52P
:☆☆☆
#747 [東脂ヤ転
「鳴ちゃんは良いよなぁ
静さんに愛されてて」
その時、唐突過ぎる瞬さんの言葉に俺は不信な表情を浮かべた。
その俺を見つめる瞬さんの瞳は暗く、読み取ることが出来ない。
「俺もさ、誰かにちゃんと愛されてみたいな」
瞬さんはそう言うとロッカーの扉をそっと閉める。
「まぁその為には俺がまず、誰かをちゃんと愛さなきゃダメだよね…ッ!それじゃ、お疲れ様ぁ」
颯爽と部屋を出て行く瞬さんを俺はただ見つめることしか出来なかった。
瞬さんが抱えている"何か"が、俺にはまだ掴みきれていなくて。
:08/08/23 21:38
:W52P
:☆☆☆
#748 [ゆぅ]
下がってたのであげときますッヾ(。・ω・。)ノ

:08/08/26 12:32
:D705i
:89ZRpxko
#749 [東脂ヤ転
>>747「………身体、重…」
眠気を振り払うよう、だるさの残る身体を無理矢理起こした俺は、近くのカーテンをサッと引いた。
天気は曇り。今にも大雨が降ってきそうな空模様だ。
そんな空を見ながらふ、と初めて彩華を家に入れた日を思い出す。
その日も丁度こんな曇り空で、突然の雨に慌ててこの家に入れたんだった。
そしてその日は、俺が静兄を"好きだ"と気付いた日でもあった。
:08/08/27 21:43
:W52P
:☆☆☆
#750 [東脂ヤ転
昨日はあれから瞬さんのことも気になったけれど、静兄に促されるまま俺は家に帰った。
久々に頑張って働いたせいか部屋に入った途端力が抜けて来て、そのまま倒れ込むように寝てしまったらしい。
目が覚めた時には日付が変わっていて、今に至る。
「ハァ…」
俺は窓を開けて小さな溜め息をついた。
生暖かい風が俺の頬を撫でる。
こんな時俺は時間の流れの速さを痛感する。
彩華に本当の気持ちを伝えよう、と決めたのは随分前のことなのにそれから流れた時間は驚く程、残酷な程速かった。
:08/08/28 10:27
:W52P
:☆☆☆
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