・・万華鏡・・
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#901 [○○&◆.x/9qDRof2]
「オイッたら!」
ん?もしかして私に言ってる?聞いてる音楽の間間に人の声が混ざって聞こえた。多分頭上からだろうと顔を少し上に上げた。
「あっ。」
「やっと気付いた……。」
話かけた相手は昨日痴漢から私を助けてくれたあのお兄さんだった。……そうすると何かい?さっきまでこのお兄さんの胸に顔を埋めてたっていう……。顔が暑くなって、少しだけ汗ばんでしまった。
:22/10/18 18:12
:Android
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#902 [○○&◆.x/9qDRof2]
「あ、その節はどうも…。」
「別に。あーゆーの嫌いなだけだから。」
おぉ。正義の見方ですか。凄いなお兄さん。最近の若者にしては珍しい。私はそう思いながら会話は終了したと思い、またうつ向いて音楽に集中し始めた。するとまたもや揺れ。人が垂れているイヤホンのコードを引っ張ってしまったせいで、それでなくても私の耳の穴にしては少し大きいイヤホンなのに簡単に外れてしまった。
:22/10/18 18:12
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:h3l12Mig
#903 [○○&◆.x/9qDRof2]
次の駅まで片耳状態は嫌いなので、なんとかして手を出そうとした。
「ねぇ、何聞いてんの?」
突然お兄さんが話出したので、出そうとしていた手がまた引っ込んでしまった。
「何……って……。色々ですけど……。」
「何を一番聞いてるの?」
「え、EXIL●とか……。Y●Iとか……。」
ってか何でんな事聞く?自分でも顔を少し歪めているのが分かった。何故こんな私にそこまで構うかな。
:22/10/18 18:12
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#904 [○○&◆.x/9qDRof2]
「何かいつも真剣に聞いてるからそんなに好きなのかなと思って。」
「はぁ、そうですか……。……ん?いつも?」
「ウン。俺いつもアンタ見かけてたから知ってるんだよね。アンタは全然ぽいけど。」
だって周りになんて然程(さほど)興味ないんだもん。逆に興味持ってキョロキョロしてる方が怪しいだろうし……。また会話が途切れた時、すぐに駅についた。
:22/10/18 18:12
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#905 [○○&◆.x/9qDRof2]
「じゃあな。」
「あ、ハイ。どうも。」
私はお兄さんを見ながらイヤホンをつけた。なるほど。昨日お兄さんがいなくなったのはこの駅で降りるからだ。着いた駅は昨日降りた駅と同じ。それにしても変わったお兄さんだ。私が近くにいても嫌な顔ひとつしないなんて。大抵は私の様なデブスは遠ざける筈なのに。……まぁ満員電車で動けって方が無理か。
:22/10/18 18:12
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#906 [○○&◆.x/9qDRof2]
お兄さん私なんかが近くでスイマセンでした……。私は心の中でそっとお兄さんに手を合わした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
学校までは坂道だ。
涼しくなったとは言え坂道を登れば多少は汗をかいてしまう。この体が1つは原因だろうがね。タオル片手に私はひーこらひーこら上がり、やっと学校に着いた。教室に行って、即効でさらさらシートと脇シューをする。体が少し清潔になった気がする。
:22/10/18 18:13
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#907 [○○&◆.x/9qDRof2]
念のため帰りの電車乗る前にもしておこう。汗臭い奴が乗ってきたら迷惑だよね。ただでさえデブって邪魔なのに。
「おはよーチロル!」
「あぁ暁子ちゃん。」
暁子ちゃんは私の隣に座ると、何だか意味あり気に私を見つめてきた。私は暁子ちゃんを見つめ返しながら瞬きを何回かする事で「何?」と言う意味を示した。暁子ちゃんはにまぁと笑った。
:22/10/18 18:13
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#908 [○○&◆.x/9qDRof2]
「いやね、昨日の王子様とは会えたのかなってっ。」
私は思わず大笑いしてしまった。
「アハハハハハ!!お、お、王子さ…っまって!んな素敵な言葉ウチの人生にはないねっ。」
「えーっ!そんなことないよ。で、やっぱり昨日っきり?」
「今朝会ったけど?」
:22/10/18 18:13
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#909 [○○&◆.x/9qDRof2]
それを聞くと暁子ちゃんは目を輝かせた。可愛いらしいのう……と私は暁子ちゃんのキラキラした目の光を浴びながら思った。
「名前は?!」
「さぁ。」
「歳は?!」
「さぁ。」
「どこの人?!」
「さぁ。」
「えぇー!」
:22/10/18 18:13
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#910 [○○&◆.x/9qDRof2]
「えー。」
私の答えに暁子ちゃんは心底がっかりした。だって何故に名前やら歳やらを聞かねばならないのだろうか。別に私がその人にズキュン!ときた訳じゃないのに。いやズキュン!ときたとしても、私はそんなに積極的タイプではないし。
:22/10/18 18:13
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#911 [○○&◆.x/9qDRof2]
「暁子ちゃん。知ってるでしょ?私が男の人恐いって。」
「でも彼氏は欲しいでしょ?なんならその人好きになったらいいじゃない!」
どちらかと言えば相手に選ぶ権利があると思うんだが……。第一私なんかに好きになられたら相手は困るだろうに。私は遠い目をしながらそう思った。
「あ、そういえば、どっかの大学から生徒が美術学科の作品見に来るらしいよ。」
:22/10/18 18:14
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#912 [○○&◆.x/9qDRof2]
え、何その迷惑な話。
「何の為に……。」
「知らない。でも来るって。今日。」
「今日―――――っ?!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
授業の油絵で私は頭を悶々とさせながらキャンバスに向かっていた。飾られているのならまだしも、今からここに来てじろじろ見られるだなんて辛抱ならなかった。
:22/10/18 18:14
:Android
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#913 [○○&◆.x/9qDRof2]
あぁ……どこかへ消えてしまいたい……。唯一それを止めてくれるのが聞いてる音楽だった。何かに集中したい時はこうするのが一番なのだ。
「こんにちわー。」
!!!!
来た……。
先生達の挨拶を微かに聞きながら私はキャンバスに集中しようとしていた。しかしチロリと視線を来た人達に向けると私は絶句した。なんと女の子だけじゃなく男の子もいたのだ。あぁー最悪……。
:22/10/18 18:14
:Android
:h3l12Mig
#914 [○○&◆.x/9qDRof2]
一切私はそちらに気にならない様に音楽の音量をさっきより上げた。これでいいだろう。筆をまた動かせた。
:22/10/18 18:14
:Android
:h3l12Mig
#915 [○○&◆.x/9qDRof2]
白い君
「…ぃ」
「おーい」
ん…
うるせぇな
ゆっくりとまだ重たい目を開く
「…うわっ!」
ガタン
「っ…痛ぇ」
「何落ちてんだよ」
:22/10/18 18:16
:Android
:h3l12Mig
#916 [○○&◆.x/9qDRof2]
目の前にはぎゃはぎゃは笑っている健太
「うっせぇな…何で俺ここいんの」
「お前俺の電話中に急に喋んなくなってさーおかしいと思って、まぁ一回切ったんだよ
担任が呼んでこい呼んでこいうっせぇから屋上に避難してたわけ
そしたらお前から着信あってさ」
:22/10/18 18:16
:Android
:h3l12Mig
#917 [○○&◆.x/9qDRof2]
「は?俺かけてねぇぞ」
「まぁ最後まで聞けって」
⏰:09/08/17 21:04 📱:SH001 🆔:cN1dyu0A
#34 [:ゆりか:]
「女が喋って…」
「女?」
:22/10/18 18:16
:Android
:h3l12Mig
#918 [○○&◆.x/9qDRof2]
「「この人道で倒れてるよ」って。俺疑問ばっか浮かんで質問したんだよ」
健太の事だからばーって質問攻めしたんだろうな
「俺の質問にその娘全く答えねぇで「公園に捨てときます」だってさ!」
:22/10/18 18:17
:Android
:h3l12Mig
#919 [○○&◆.x/9qDRof2]
#35 [:ゆりか:]
捨てときますって…
その女って
何かあいつっぽい
本当にあいつだったり?
「しょーがねぇから公園まで行ったんだぜ俺」
「へー…」
「何だよその反応!もっと感謝の気持ちはねぇのか」
:22/10/18 18:17
:Android
:h3l12Mig
#920 [○○&◆.x/9qDRof2]
「あーども」
「はぁ…もうお前しらねぇぞ」
⏰:09/08/17 21:35 📱:SH001 🆔:cN1dyu0A
#36 [:ゆりか:]
「女は」
「あ?」
「その女どんな感じだった」
「それがさ、いなかったんだよ」
「いなかった?」
:22/10/18 18:17
:Android
:h3l12Mig
#921 [○○&◆.x/9qDRof2]
「お前だけだったよ」
⏰:09/08/17 22:29 📱:SH001 🆔:cN1dyu0A
#37 [:ゆりか:]
「何か不思議だよなー」
ガラガラ
「あら起きたの?」
「お、先生じゃーん」
鼻の下をのばす健太
俺この先生嫌いなんだよな
保険室に来たくない訳
こいつがいるから
:22/10/18 18:18
:Android
:h3l12Mig
#922 [○○&◆.x/9qDRof2]
男には美人で有名な先生
でもすげぇ香水でいい女って感じが嫌だ
「長島くん大丈夫?」
「…あぁ」
まだだるい体を起こして布団からでようとする
「ちょっと、まだ熱あるのよ」
「うるせぇよ」
:22/10/18 18:18
:Android
:h3l12Mig
#923 [○○&◆.x/9qDRof2]
俺を触ろうとした手をはらいのけて保健室を出る
「おい祥ー忘れてんぞ」
健太の手には俺の荷物
「あぁ悪いな」
「お前本当に嫌いだよなーあの先生」
「あいつうぜぇ」
「そうかー?俺にはマリリンモンローにしか見えねんだけど笑」
:22/10/18 18:18
:Android
:h3l12Mig
#924 [○○&◆.x/9qDRof2]
「お前見る目ねぇなー全然似てねぇよ」
「いや胸とかそっくりだろ」
胸…知らねぇよ
「おい長島ー」
後ろを振り向くと担任の姿
「げっ森岡じゃん」
健太が顔をしかめる
「何だよ」
:22/10/18 18:19
:Android
:h3l12Mig
#925 [○○&◆.x/9qDRof2]
「何だよじゃないだろー今日は体調悪かったみたいだが、ちゃんと学校に来い」
「あぁ」
健太は森岡が苦手
俺は…別に嫌いじゃねぇけど
「帰るわ」
「はぁー…今日は見逃してやるから明日は来い」
「行くっつの」
森岡に背をむけて歩き出す
「お前どうやって帰んだよ」
:22/10/18 18:19
:Android
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#926 [○○&◆.x/9qDRof2]
あぁそうか
俺今日バイクじゃねぇんだ
「健太のバイ「無理」」
「んなフラフラしてるお前に貸したくねぇ」
何だかんだでこいつも心配してくれてんだな
「そんなけちけちしてっと女できねぇぞ」
「なっ!うるせぇよ。帰りよるとこあるから先行くぜ」
「じゃあな」
「おお」
歩いて帰るか…
ポケットから携帯をとりだそうとする
あれ…ねぇじゃん
はぁ、ついてねぇな
保健室では使ってねぇし
なくなったとしたら…あの公園か
めんどくせぇなー
:22/10/18 18:20
:Android
:h3l12Mig
#927 [○○&◆.x/9qDRof2]
重たい足で公園に向かった
健太は確か…俺ベンチに倒れてたたっつってたな
この公園にベンチはひとつしかねぇし
これのことか
目の前には古ぼけたベンチ
「汚ぇな」
10分ぐらい探したけど携帯の姿は見当たらない
「ねぇじゃん」
:22/10/18 18:20
:Android
:h3l12Mig
#928 [○○&◆.x/9qDRof2]
諦めるか…
煙草を取り出して火をつけた
フー
「君これ探してる?」
後ろを振り向くと
あいつの姿…と手に持った携帯
「何で持ってんだよ」
「助けてあげたのに」
:22/10/18 18:21
:Android
:h3l12Mig
#929 [○○&◆.x/9qDRof2]
やっぱりこいつか
「助けたじゃなくて捨てただろ」
「ははっお友達に聞いたの?」
「あぁ」
「だって君の友達ちょっとうるさかったからさ」
あいつはベンチに座る
服汚れねぇのかよ
「はい」
携帯を突き出す
「あ、そういえば何で持って帰ったんだよ」
さっき答えてねぇよな
:22/10/18 18:21
:Android
:h3l12Mig
#930 [○○&◆.x/9qDRof2]
「間違えたの」
は?どう間違えんだよ
「勝手に見て悪いんだけどあの待受何………?」
待受
何でそんなこと
あれは
誰が見ても絶対意味は分からねぇ
「…別に何もねぇよ」
:22/10/18 18:22
:Android
:h3l12Mig
#931 [○○&◆.x/9qDRof2]
「…そっか」
あいつは少し顔をふせた
何だよ…
「もう帰るね」
ばっと立ち上がる
こんな時間に一人でかよ
「送る」
「いいよ」
:22/10/18 18:22
:Android
:h3l12Mig
#932 [○○&◆.x/9qDRof2]
「俺がよくねぇ」
「じゃあ近くまでね」
振り向くあいつ
俺の少し前を歩く細くて華奢な体
ちゃんと食ってんのか
「お前…何で前歩くんだよ」
「んー?癖なの」
「癖って…変な癖だな」
:22/10/18 18:22
:Android
:h3l12Mig
#933 [○○&◆.x/9qDRof2]
「そうかな」
それからしばらく俺達は喋らなかった
でも不思議とこの空間が
心地よかった
ドンッ
「痛ぇー」
あいつの頭にぶつかった俺の顎
「いきなり止まんなよ」
「ここ」
:22/10/18 18:23
:Android
:h3l12Mig
#934 [○○&◆.x/9qDRof2]
「は?」
「君に送ってもらうのはここまで」
くるっと振り返るあいつ
ここってあの丘の前かよ
「ありがとね」
素直だな
「あぁ」
「見て」
あいつが指差す方向には
綺麗に輝く満月
:22/10/18 18:23
:Android
:h3l12Mig
#935 [○○&◆.x/9qDRof2]
「君が狼男だったら私死んでるね」
いきなり何だよ
「はっそうだな」
「はい」
差し出された手
「何だよ」
「お別れの握手」
:22/10/18 18:23
:Android
:h3l12Mig
#936 [○○&◆.x/9qDRof2]
お別れ?
「お前どっか行くのか?」
「行かないよ」
「じゃあ何で…」
「今日のお別れの握手」
「あぁ」
俺は少し強くその手を握った
:22/10/18 18:24
:Android
:h3l12Mig
#937 [○○&◆.x/9qDRof2]
「君…まだ熱あったんだ」
そういえばそうだったな
「たいしたことない」
「強がんないでさ…ゆっくり休みな」
「あぁ」
ぱっと離れた手
「さぁそろそろ帰るね」
「本当にここまででいいのかよ」
:22/10/18 18:24
:Android
:h3l12Mig
#938 [○○&◆.x/9qDRof2]
「いいの」
「そうか…気ぃつけて帰れよ」
「うん」
「明日…」
「ん?」
「明日も会えるか…?」
:22/10/18 18:24
:Android
:h3l12Mig
#939 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:25
:Android
:h3l12Mig
#940 [○○&◆.x/9qDRof2]
おれの彼女は、とんでもない猫かぶりだった。
容姿はこれといって秀でていたわけではない。ただ、コミュニケーション能力は抜群にあったし、声と笑顔はめちゃくちゃかわいかったもので、おれはすぐさま虜になった。
:22/10/18 18:29
:Android
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#941 [○○&◆.x/9qDRof2]
「ねえね、きみ、頭いいの?」
それがおれと彼女の、初めての接触だった。猫みたいなふうに首を傾げながら、それでもすこし高慢な雰囲気を漂わせながら、彼女はおれに話しかけてきた。
「え、ああ、まあ、うん」
「ふうん、勉強すき?」
「う、うん」
:22/10/18 18:30
:Android
:h3l12Mig
#942 [○○&◆.x/9qDRof2]
「じゃ、今度教えて?」
おれは言葉もなく頷くほかなかった。きらきらした瞳に見つめられると、言葉が恥ずかしがって喉元から出てこなくなってしまうのだ。
しかしそれきり、彼女と会話を交わすことはなかった。おれは至極ふつうな男子生徒だったし、彼女はクラスメイトとのコミュニケーションで、毎日駆け回っていた。
:22/10/18 18:30
:Android
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#943 [○○&◆.x/9qDRof2]
すこし、寂しい。いや、かなり寂しい。
彼女がほかの誰かに笑いかけるたびに、おれのなかの焦燥感が鎌首をもたげた。どうしようもなく愛しいその姿に、ただ一度でも触れてみたいと思った。いけないと知りながらも、情欲の炎は燃え上がるばかり。
:22/10/18 18:30
:Android
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#944 [○○&◆.x/9qDRof2]
そしておれは、見てしまった。
彼女が、泣いている。斜陽を一身に浴びながら、ただただ泣いているのだ。
音はない。しゃくりあげる様子もない。ただ静かに、口元をかたくつぐんでいる。
「……見ないでよ」
:22/10/18 18:30
:Android
:h3l12Mig
#945 [○○&◆.x/9qDRof2]
おれの存在は、いつの間にか彼女にバレていたらしい。彼女はおれをねめつけて言った。
「あんたなんかには、ぜったい分かりっこないんだから」
おれはもうどうすればいいのかわからなかった。いつも愛らしい笑顔を振りまいている彼女が、泣きながら牙を剥いているのだ。
:22/10/18 18:30
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:h3l12Mig
#946 [○○&◆.x/9qDRof2]
おれは彼女にとって気の許せる人間でないから、触れることなんてできない。当然ながら同情さえも、いまの彼女にとっては余計なお世話といったところか。
ほんとうは、その涙を拭ってやりたいと思ったし、冷え切った心身を抱き締めてやりたいと思った。行き場を失った衝動が、彼女のうちを食い破るのなら、それがすべておれに向けばいいのにと思った。
:22/10/18 18:31
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#947 [○○&◆.x/9qDRof2]
それでも、おれは彼女にとって他人であり、さしたる会話を交わしたわけでもない。彼女からすればおれは日常を彩るただの記号で、下手をすれば踏み台にすらならない程度の存在なのだから、今のおれには彼女のためにしてやれることなど、なにひとつないのだ。
:22/10/18 18:31
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#948 [○○&◆.x/9qDRof2]
どうしようもない沈黙がおれと彼女を包み込む。それでも彼女の涙が止むことはないし、おれの緊張が治まることもない。どうすればいいのだろうと思案したところで、おれにはなにも出来ない。
「出てって」
:22/10/18 18:31
:Android
:h3l12Mig
#949 [○○&◆.x/9qDRof2]
そのときのおれには、彼女の言葉に従うのが精一杯だった。動揺が喉元でせせら笑って、声すら出せない状況において、むしろなにが出来たというのだろうか。
おれは彼女を救いたいという衝動に後ろ髪を引かれながら、やむなく背を向けた。
:22/10/18 18:31
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#950 [○○&◆.x/9qDRof2]
彼女の特別になりたい。もう二度と泣くことのないよう、おれの胸で暖めてやれるよう。彼女がおれだけを、見てくれるように。
:22/10/18 18:32
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#951 [○○&◆.x/9qDRof2]
そう一度覚悟を決めてしまえば、もうなにも躊躇うことなどなかった。
まず真っ先におれは彼女の友達になった。いや、友達というのはいささか無理があるかもしれない。
:22/10/18 18:32
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#952 [○○&◆.x/9qDRof2]
彼女のグループの一員となった、というのが正しい。まだ彼女はまっすぐにおれを見ることはなかったけれども、おれは確かに彼女の周囲に溶け込み、また、上辺といえども定期的に彼女と談笑を交わすようになった。
:22/10/18 18:32
:Android
:h3l12Mig
#953 [○○&◆.x/9qDRof2]
そして彼女の周囲にいて改めて気付いたことといえば、やはり彼女の笑みは花も綻ぶほどにかわいいということである。笑うと、ちいさく口角がへこむ。すると年中赤いほっぺがすこし持ち上がって、やけに突っつきたくなる衝動に駆られる。
:22/10/18 18:32
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:h3l12Mig
#954 [○○&◆.x/9qDRof2]
もしかしたらおれは、彼女のことを加護すべき小動物だと認識しているのかもしれないとも思う。背丈は小さいし、よく転ぶ。おまけにちょこまかと、動き回る。正直言ってしまえば、我が家のハムスターにそっくりである。
:22/10/18 18:32
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:h3l12Mig
#955 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:33
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#956 [○○&◆.x/9qDRof2]
笑ってごまかそうにも俺の頭をよぎったのは、さっき呼ばれた「カケルちゃん」の一言。え?まさか?うそ、だって.......。
:22/10/18 18:35
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:h3l12Mig
#957 [○○&◆.x/9qDRof2]
「そう、そのまさかだよ。正真正銘、藤堂 雛太、本人だ」
踏ん反り返る圭太郎に目の前の七川さんもコクリと頷く。は?え?有り得ないだろぉ!?
:22/10/18 18:35
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:h3l12Mig
#958 [○○&◆.x/9qDRof2]
「だって、雛太は男だし!一緒に木ぃ登ったし!だいたい名字が違うじゃん!アイツ藤堂!目の前にいるの七川さん!!」
「親が離婚して.......こっちに帰ってきたの」
申し訳なさそうに上目使いでそう言ったのは七川さん。
:22/10/18 18:35
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:h3l12Mig
#959 [○○&◆.x/9qDRof2]
「あはは、あ、そう‥そうなんだ?」
多分俺いま、涙目。
「改めまして。七川雛多です。ただいま、カケルちゃん」
ひなたは、女で.......七川さん?しかも“雛多”って!なになに?いつから漢字を間違ってたの?遠ざかる意識の中で“雛多”と圭太郎の手が俺を支えてくれるのがわかった。いつかもこんなことあったっけ。
:22/10/18 18:35
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#960 [○○&◆.x/9qDRof2]
嗚呼、そうだ、あの時。
それは俺達がまだ木に登ってじゃれ合っていた日のこと。俺が木の枝にひっついてた何かのサナギを取ろうとして、木から落ちそうになったのを二人が支えきれずに三人一緒に落っこちて、仲良く病院送りになった日までさかのぼる。
:22/10/18 18:36
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#961 [○○&◆.x/9qDRof2]
俺だけ処置が長引き、あとの二人は待合室で俺のことを待っててくれた。その時、まさかこんな会話がされてたなんて、当時の俺が知るはずもなく、
「転校、するんだ.......」
雛多のいきなりの告白にうろたえる圭太郎。
:22/10/18 18:36
:Android
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#962 [○○&◆.x/9qDRof2]
「もう会えないの?」
「わかんない.......だけど、次会う時にはちゃんと女の子らしくなってるから」
大きな目をさらに大きくして驚く圭太郎。
「カケルちゃんには、そのいつかまで言わないで。いまはまだ、このサナギにもなれてないけど。絶対、蝶々みたいに綺麗になって、綺麗に、なって.......カケルちゃんのとこへ戻ってくるから!」
:22/10/18 18:36
:Android
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#963 [○○&◆.x/9qDRof2]
「てな事があったわけよ!」
なんとか意識を保った俺は、引き続き昼休みの音楽準備室で昔話を聞かされた。俺の隣には、雛太改め、雛多がいる。もちろん俺と同じくらい顔を真っ赤にして。
「何て言うかその.......」
:22/10/18 18:36
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#964 [○○&◆.x/9qDRof2]
まごつく俺を見るに見兼ねた圭太郎が「ま、そういう事だから!後は二人でごゆっくり!」と、また意地悪そうにヒヒヒと笑って俺達を残し準備室から去って行った。
「.......ひ、雛多?」
ここにいるのがあの、ひなた?信じられない思いでいっぱいの俺を、雛多が笑顔で包んでくれる。
:22/10/18 18:36
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:h3l12Mig
#965 [○○&◆.x/9qDRof2]
「あの時は、おてんばだったし、みんなわたしのこと男の子だって思ってたから.......でも、騙すつもりはなかったの、ごめんなさい」
そんな事はどうでもいい!
「俺んとこに戻ってくるって.......どういう意味?」
ヤベっ、圭太郎の意地悪がうつっちゃったかな。
:22/10/18 18:37
:Android
:h3l12Mig
#966 [○○&◆.x/9qDRof2]
「えっ」と小さく呟くと、さらに顔を赤くしてうつむく雛多。
「こっこういう意味って思っても、いい?」
そんなきみがめちゃくちゃ可愛い過ぎて、思わず日向を抱き寄せる。コクンとわずかに首が揺れて、きみの甘い香りが俺達を包む。人ってこんなにあったかいんだ。窓から漏れる光に反射して、きみの髪がキラキラ光る。
:22/10/18 18:37
:Android
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#967 [○○&◆.x/9qDRof2]
そういえば、雛太の髪も、柔らかかったっけ.......だけど、こんなにいい匂いはしなかったな。なんて、幼い頃の“雛太”の面影を、俺の傍らで小さくなってる“雛多”の姿に重ねてみる。すると、わずかに白い息を吐きながら、雛多がぽつりと呟いた。
「.......カケルちゃん、知ってる?」
:22/10/18 18:37
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#968 [○○&◆.x/9qDRof2]
その声が少しかすれてて、思わず耳を傾けると同時に、雛多の肩をもう一度強く引き寄せた。
「知ってる?青虫はね、空に恋い焦がれて一生懸命綺麗になるの。少しでも空に近づきたくて、羽まで伸ばして空を翔けるの.......」
:22/10/18 18:37
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#969 [○○&◆.x/9qDRof2]
俺の胸にうずくまりながら、雛多が窓の外を見る。
「ねぇカケルちゃん.......わたし、蝶々になれた?」
「あぁ、俺にはもったいないくらい、綺麗.......に、なったよ」
自分で自分が恥ずかしい。俺ってこんなセリフ言えるんだ。
:22/10/18 18:37
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#970 [○○&◆.x/9qDRof2]
「まっまさか蝶に帰省本能があるとは知らなかったけどな!」
照れ臭いのを隠すように、わざとおどけて話してみる。その勢いできみの頭に俺のこめかみがコツンとぶつかる。そのまま、顔を見合わせるとお互い耳まで真っ赤っか。俺ときみの笑い声が、甘い香りと共に準備室をいっぱいにする。俺が空だと笑う、きみ。
:22/10/18 18:38
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#971 [○○&◆.x/9qDRof2]
どうせ翔けるなら青空がいい。空にたどり着いた蝶には、一体どんなご褒美が待ってるんだろう?
「雛多、」
きっと空だって蝶が可愛くて仕方ないから、優しく見守るだけじゃ済まないだろ。そんなこじつけを考えながら、きみのおでこにキスをする。顔を見合わせると、またも笑顔がこぼれてしまう。
:22/10/18 18:38
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#972 [○○&◆.x/9qDRof2]
「こんな.......俺でいいの?」
おでこをくっつけて、きみにだけ聞こえるくらいの声で話す。まばゆい程の甘い笑顔で頷くきみは可愛過ぎて.......時が止まったんじゃないかと思えるくらい、長い長いキスを交わした。いつも見上げればそこにあるあの空ように、永遠にきみを見守り続ける。
:22/10/18 18:38
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#973 [○○&◆.x/9qDRof2]
甘ったるいこの感覚は、さしずめ、花の蜜ってとこかな?
□■■■■■■■■ END
■■■■■■■■□
:22/10/18 18:38
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#974 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:39
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#975 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:39
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#976 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:40
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#977 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:40
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#978 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:41
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#979 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:42
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#980 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:42
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#981 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:42
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#982 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:43
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#983 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:44
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#984 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/18 18:44
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:h3l12Mig
#985 [○○&◆.x/9qDRof2]
よしっ!と、いちかばちかで、いつもは通らない左に曲がる。二分ぐらいバイクを走らせると、大きな屋敷が見えた。
「は?」
ああ、マジで迷った。何処か全然分かんねぇ。ふと前を見ると白いワンピースを着た女がいた。道…聞くしかねぇな。
:22/10/18 18:48
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#986 [○○&◆.x/9qDRof2]
「すいません、影山高校どうやって行ったら近いっすか?」
女が振り返る
一瞬
時が止まったかと思った
黒い大きな瞳
白い肌
俗に言う美人
:22/10/18 18:48
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#987 [○○&◆.x/9qDRof2]
「あっち」
女は俺の後ろを指差した
「は?」
戻らねぇといけねぇのかよ
「君のすぐ後ろの道を曲がって左行ったらすぐ」
「どーも」
女のいうとおりに行ったら本当に近かった
バイクに鍵をかけてヘルメットをはずす
:22/10/18 18:49
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#988 [○○&◆.x/9qDRof2]
3時20分
「ぎりぎり…」
俺は走って教室にむかう
ドアを開けると皆が一斉にこっちを見た
ガタンと席に着く
「お前またサボりかよ」
唯一仲のいい前の席の健太
:22/10/18 18:49
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#989 [○○&◆.x/9qDRof2]
「うっせぇ」
「今日遅刻したら留年じゃねぇの?」
「ばーか休んでねぇから大丈夫だっつの」
「後5分で終わりだぜ?」
「それでも来てんだからいいだろ」
「かーっ!甘ぇなこの学校も」
「俺が校長だったら即退学させるな〜」
ケラケラと笑う健太
:22/10/18 18:49
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#990 [○○&◆.x/9qDRof2]
「そしたらお前ボコボコにして学校やめてやるよ」
「はっ怖い怖い。笑 そういえば女の子が祥探しに来てたぜ」
永野祥(ながのしょう)
俺の名前
結構モテる
女には困らねぇし
自分から誘ったりしねぇ
そういうのは正直めんどい
:22/10/18 18:49
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#991 [○○&◆.x/9qDRof2]
「誰だっけ?顔は見た事あんだけどなー」
「いいよ思い出さなくて。めんどくせぇし」
「えーでも結構可愛い子だぜ?」
「興味ねぇ。俺帰って寝るわ」
チャイムが鳴り終わってかばんを持つ
「来た意味ねぇな」
「まぁな。」
:22/10/18 18:50
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:h3l12Mig
#992 [○○&◆.x/9qDRof2]
「あっ今度バイク貸せ」
「無理に決まってんだろ」
「何でだよ」
「お前に貸してもいいことねぇから」
健太がバイクを貸してくれって言うときはだいたい…ろくなことがない
「ちょっと走りてぇんだよ」
ほらな
:22/10/18 18:50
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#993 [○○&◆.x/9qDRof2]
健太の走るは暴走すんのと同じぐらいスピードが出る
前に貸してボロボロになって返ってきた
まあ当然一発殴って修理代貰ったけど
「何回も言うけど自分勝手ので走りゃいいだろ」
「俺のじゃ気分がのらねぇの。祥のは渋いかんなー」
「とりあえず却下」
文句を言う健太を置いて教室を出る
帰りも…あの道で帰るか
:22/10/18 18:50
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#994 [○○&◆.x/9qDRof2]
近道だから
なんて本当は言い訳かもしれない
少しだけあの女に会えるかもって期待がある
俺は速めにバイクを走らせた
朝見かけた大きい屋敷
行きは気付かなかったけどこの屋敷の横には丘がある
「でけぇなー」
屋敷を見て改めて思う
丘も負けないぐらい高い
:22/10/18 18:50
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:h3l12Mig
#995 [○○&◆.x/9qDRof2]
何故か丘にすっげー登ってみたくなってバイクを降りた
登ってみると意外と暑くて
すぐ降りた
まぁ景色はいいんだけどな
一人暮らしはたまに嫌になる
かと言って女も呼びたくもないし
健太ぐらいしか来ねぇな
:22/10/18 18:50
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:h3l12Mig
#996 [○○&◆.x/9qDRof2]
時計を見ると9時
そろそろ腹減ったし…コンビニでも行くか
俺は財布と携帯を持って家を出た
「ありがとうごさいました」
ウィーン
コンビニから出ると知らない女に声をかけられた
:22/10/18 18:51
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#997 [○○&◆.x/9qDRof2]
「祥じゃん!」
誰だよこいつ
「あ?誰」
「ひっどーい。ねぇ遊ばない?」
絡まりついてくる腕
「うぜぇよお前」
ぎゃあぎゃあ言う女を振り払う
お、こっからでもあの丘見えるのか
:22/10/18 18:51
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:h3l12Mig
#998 [○○&◆.x/9qDRof2]
「あれ…あいつ」
間違いない
あの女だ
俺はその丘に向かった
あいつは座って空を見ていて
俺は後ろで横に行っていいのか迷った
:22/10/18 18:51
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:h3l12Mig
#999 [○○&◆.x/9qDRof2]
「そんなとこいないでこっち来なよ」
あいつの言葉に少し驚いた
「あぁ、気付いてたんや」
「まぁね」
「何で君こんなとこ来たの」
:22/10/18 18:51
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:h3l12Mig
#1000 [○○&◆.x/9qDRof2]
あいつは俺に視線をうつすことなく言う
「たまたまに決まってんだろ」
「何それ」
「お前は?」
「ん?」
「お前は何してんの?」
「見てんの」
「何を」
「見て分かるでしょ。空だよ」
:22/10/18 18:51
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