闇の中の光
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#1 [ゆーちん]
マイペース更新ですが、どうぞ最後までお付き合い下さいm(__)m
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:08/12/28 20:44 :SH901iC :dum.zBc6
#2 [ゆーちん]
:08/12/28 20:44 :SH901iC :dum.zBc6
#3 [ゆーちん]
:08/12/28 20:44 :SH901iC :dum.zBc6
#4 [ゆーちん]
▲▽▲▽▲▽▲
自殺
▲▽▲▽▲▽▲
:08/12/28 20:49 :SH901iC :dum.zBc6
#5 [ゆーちん]
首を吊るか、それとも薬を大量に飲もうか。
手首を切って水の中に入れたままにしようか、どこかの屋上から飛び降りようか。
車や電車にひかれてしまおうか。
今までずっと我慢してきたんだ。
死に方ぐらい自分で決めたい。
:08/12/28 20:50 :SH901iC :dum.zBc6
#6 [ゆーちん]
痛くない死に方がいいな。
静かに、楽に、安らかに。
だとしたら今考えた死に方は全てダメ。
拳銃で頭をぶち抜けば一瞬なんだろうな…。
でも、ここは日本。
拳銃なんか簡単に手に入る訳ない。
:08/12/28 20:50 :SH901iC :dum.zBc6
#7 [ゆーちん]
「はぁ。」
自然にため息が出た。
「ため息ついてると幸せ逃げるよ、萌子!」
「あぁ、うん。そうだね。エヘヘッ。」
何が幸せだよ。
幸せって何?
人の気も知らないで、幸せ逃げるよ、とか簡単に言ってんじゃないよ。
:08/12/28 20:51 :SH901iC :dum.zBc6
#8 [ゆーちん]
ムカつく。
何の悩みもなさそうに笑っている友達がムカつく。
その友達に合わせて、無理矢理笑顔を作った自分にもムカつく。
「今日買い物行かない?」
「あっ、いいね!」
「私も行く!」
「萌子は?」
聞かなくても、答えはわかるでしょ?
:08/12/28 20:52 :SH901iC :dum.zBc6
#9 [ゆーちん]
「もちろん行くよ!」
得意の笑顔を咲かせた。
「じゃあ決まり!」
断れるわけない。
断ると、友達なくすから。
そもそも、こいつらを友達だなんて呼ぶのもおかしい話だ。
こんな…上辺だけの付き合いをしている女たちを。
:08/12/28 20:52 :SH901iC :dum.zBc6
#10 [ゆーちん]
「彼氏がプレゼントしてくれてぇ。」
「いいなぁ。うちの彼氏なんて全然だもん。」
「でもイケメンじゃん!」
「まぁ顔はいいんだけどね。」
上辺だけの、その【友達】たちは恋愛話を楽しそうに繰り広げる。
:08/12/28 20:53 :SH901iC :dum.zBc6
#11 [ゆーちん]
「萌子は?彼氏とどうなの?」
「順調だよー。」
「そっかぁ。よかったね!」
「うん。」
ちっともよくない。
彼氏なんか必要なの?
本当は彼氏いらない。
みんなが彼氏を作ったから、私も作った。
ただそれだけ。
:08/12/28 20:54 :SH901iC :dum.zBc6
#12 [ゆーちん]
みんながいらないって言うなら、私も彼氏を作らない。
みんなが、みんなと、みんなで…。
誰かに合わせてないと生きていけない、そんな集団なの、私がいるグループは。
みんなが派手だから派手にする。
みんなが泣くから泣く。
みんなが笑うから笑う。
:08/12/28 20:54 :SH901iC :dum.zBc6
#13 [ゆーちん]
正直、疲れた。
上辺だけの友達といるのも。
上辺だけの彼氏といるのも。
上辺だけの…家族といるのも。
もう、疲れた。
「ただいま。」
みんなと買い物に行って、晩ご飯を食べに行くという流れになったが、私はそれを断って家に帰って来た。
:08/12/28 20:55 :SH901iC :dum.zBc6
#14 [ゆーちん]
「遅い。何してたんだ!」
父親が怒鳴った。
上辺だけの父親が。
「学校で居残りして、課題に必要な資料調べてた。」
「嘘つくな!」
「本当だよ。」
「ったく…さっさと夕飯の仕度しろ!」
「うん。ごめん。」
:08/12/28 20:58 :SH901iC :dum.zBc6
#15 [ゆーちん]
部屋に荷物を置き、着替えを済ませてキッチンに向かった。
今日も母はいない。
また男のとこか…。
「焼きそばでいい?」
「何でもいいから早く作れ!」
「…うん。」
私の両親は、本当の両親ではない。
本当の両親は、知らない。
:08/12/28 20:59 :SH901iC :dum.zBc6
#16 [ゆーちん]
私を生んですぐに施設に預けた本当の両親は、生きているのか死んだのか…そんなの全く知らない。
養子として今の両親である金河夫妻に引き取られたのは7才の時。
最初は仲のいい、本当の親子みたいだった。
:08/12/28 20:59 :SH901iC :dum.zBc6
#17 [ゆーちん]
子供に恵まれる事はないといわれた母の体が理由で、私を養子として迎え入れてくれた。
本当の子供のように可愛がってくれてたのはいいが、数年前に父が浮気をした。
それがきっかけで仲のいい家族ごっこが終わった。
:08/12/28 21:00 :SH901iC :dum.zBc6
#18 [ゆーちん]
母は怒り狂い、そのストレス発散方法として私を選んだ。
殴る、蹴る、引っ張る…何でもありかよって感じ。
毎日毎日、痛くて痛くて…この頃から私の心は暗闇に包まれた。
父は母に何度も謝った。
だけど母は父を許さなかった。
:08/12/28 21:01 :SH901iC :dum.zBc6
#19 [ゆーちん]
母のストレス発散方法が変わったのは2年前。
私が高校生になった時だった。
父にされた事を、母もし始めた。
他所に男を作り、家事放棄。
そんな母に父は何も言わなかった。
なぜ何も言わないの。
:08/12/28 21:02 :SH901iC :dum.zBc6
#20 [ゆーちん]
自分も浮気をしていたから?
自分に非があったから?
私のことを本当の子供として愛してるなら、また昔のように戻れるように努力してよ。
そう願ってはいたものの、願い損だと気付いたのは1年前だった。
父のストレス発散方法として、私が選ばれてしまった。
:08/12/28 21:02 :SH901iC :dum.zBc6
#21 [ゆーちん]
母の暴力より痛かった。
殴る、蹴るは当たり前。
お腹に膝を入れられた時は気絶をしたぐらい。
首を締められた時は、死ぬ事を覚悟したぐらい。
痛いなんてもんじゃない。
「できたよ。」
「…おう。」
:08/12/28 21:03 :SH901iC :dum.zBc6
#22 [ゆーちん]
暴力を振るう父だけど、普通に接してくれる事もある。
だから我慢する。
「仕事見つかった?」
「まだ。」
「そっか。」
:08/12/28 21:03 :SH901iC :dum.zBc6
#23 [ゆーちん]
働かない父のせいで家計は苦しかった。
だから私はたくさん我慢をする。
お金がなくちゃ、何にもできない。
だから私は自分で稼いだ。
:08/12/28 21:04 :SH901iC :dum.zBc6
#24 [ゆーちん]
高校生になった時、周りが派手だったから私も派手になった。
毛染め液、化粧品やアクセサリー。
全部、万引きした。
派手になった途端、父は私に言った。
体を売れ、と。
私は実の娘ではない。
だから父は簡単にそんな事を口にしたんだと思う。
:08/12/28 21:05 :SH901iC :dum.zBc6
#25 [ゆーちん]
援助交際を親から勧められるなんて、思ってもみなかった。
体を売るって意味ぐらい、わかってた。
だけど私は処女だった。
処女は高く売れると噂では聞いていたけど、なぜか処女だけは売り物にしたくなかった。
:08/12/28 21:05 :SH901iC :dum.zBc6
#26 [ゆーちん]
だから私は中学の時に付き合っていた元カレの宗太郎に頼んだ。
SEXしよう、って。
清く正しい付き合いだったから、キスしかした事のない関係だった。
別れた理由は、私がフッたから。
家族がぐちゃぐちゃになりだして、恋愛とか友情とか、そんなのに疲れたから。
:08/12/28 21:06 :SH901iC :dum.zBc6
#27 [ゆーちん]
別れたはずなのに、宗太郎に頼ってしまうのは、未練とかそんなのじゃない。
ただ、宗太郎の気持ちを利用しただけ。
別れてからも私を好きだと言ってくれる宗太郎の気持ちを、利用しただけなんだ。
:08/12/28 21:07 :SH901iC :dum.zBc6
#28 [ゆーちん]
初めてのSEXは痛かった。
血が出た。
だけど虐待されていた痛みに比べると、蚊に刺されるようなもの。
比べものにならない。
処女を捨てた私は、すぐに援助交際を始めた。
たった1回、目を閉じている間に行為は終わり、簡単に3万〜5万円は稼げた。
:08/12/28 21:08 :SH901iC :dum.zBc6
#29 [ゆーちん]
金周りのいい客なら、おこずかいもくれた。
1日に何人もの男の欲を満たし、金を稼いだ。
家に帰り、稼いだ7割を父に渡し、残りの3割は父に内緒で自分のおこずかいにした。
おこずかいがないと上辺だけの友達や彼氏と遊べないから。
:08/12/28 21:08 :SH901iC :dum.zBc6
#30 [ゆーちん]
そんな生活を続けているうちに、もう何もかも疲れてしまったんだ。
育てたくないなら生まなきゃよかったのに、と見た事のない本当の両親を恨んだ。
育てたくないなら引き取らなきゃよかったのに、と金河夫妻を恨んだ。
:08/12/28 21:09 :SH901iC :dum.zBc6
#31 [ゆーちん]
嫌なら嫌だと言えばいいのに、と自分の根性のなさを恨んだ。
周りの奴が嫌い。
自分も嫌い。
生きるのも嫌い。
だったらいっその事、死んでやろうと思う。
だから最近はどうやって死のうか考えるのが私の日課だった。
:08/12/28 21:10 :SH901iC :dum.zBc6
#32 [ゆーちん]
いつ死んでも後悔はない。
援助交際の客に殺されてもいい。
父の暴力で死んだっていい。
不慮の事故でもいい。
だけど、こんな時に限って何も起きない。
:08/12/28 21:10 :SH901iC :dum.zBc6
#33 [ゆーちん]
だったら最期ぐらい自分で決めようかな、っていう願望が生まれる。
どうやって死のうかな。
それを考えるのが、私の今の生き甲斐だった。
:08/12/28 21:11 :SH901iC :dum.zBc6
#34 [ゆーちん]
▽▲▽▲▽▲▽
今日はここまで
>>2▽▲▽▲▽▲▽
:08/12/28 21:11 :SH901iC :dum.zBc6
#35 [ゆーちん]
▲▽▲▽▲▽▲
ナイフ
▲▽▲▽▲▽▲
:08/12/29 15:43 :SH901iC :HNTi4Nys
#36 [ゆーちん]
ある日の夜、何がきっかけだったのかわからないが父が暴れ出した。
母は今日もいない。
もう3〜4日は顔を見ていない気がする。
「ふざけるな!」
別にふざけてない。
ふざけてんのはあんただよ。
:08/12/29 15:43 :SH901iC :HNTi4Nys
#37 [ゆーちん]
背中を殴る父。
体を丸めて小さくなる私。
自分を守る為に丸まったんじゃない。
丸まっていないと、挑発してしまい、父の行為がエスカレートして、殺されてしまうかもしれないから。
最期は自分で、と決めたんだから、今死ぬわけにはいないの。
痛くない死に方をするんだから。
:08/12/29 15:44 :SH901iC :HNTi4Nys
#38 [ゆーちん]
髪を引っ張られ、無理矢理立たされた。
お腹を蹴り上げ発狂する。
「お前さえ、萌子さえいなきゃ!俺らは幸せだったんだ!」
だから…幸せって何。
私がいらないなら施設に戻せばいいじゃない。
「何なんだその顔は!」
:08/12/29 15:45 :SH901iC :HNTi4Nys
#39 [ゆーちん]
何なんだって言われても。
私を生み逃げした両親が作った顔だよ。
憎いでしょ?
あんたの人生を変えちゃったんだからね。
私なんかいなければ、幸せだったかもしれないもんね。
「この野郎…殺す!」
とうとう父の手が私の首を締めた。
:08/12/29 15:45 :SH901iC :HNTi4Nys
#40 [ゆーちん]
やばい。
こいつに殺される訳にはいかないの!
「やめ…て…」
苦しい。
息が出来ない。
「うるさい!黙れ!」
父の手に力が入る。
あぁー…もうダメだ。
私このままこいつに殺されるんだ。
:08/12/29 15:46 :SH901iC :HNTi4Nys
#41 [ゆーちん]
「おと…さ…」
「殺すーっ!」
はぁ…。
どうぞ。
もういいや。
殺して。
さっさと殺してよ。
それで私を開放して。
:08/12/29 15:47 :SH901iC :HNTi4Nys
#42 [ゆーちん]
天国かな、地獄かな。
きっと地獄だろうな。
万引きとか援交とかしてたし。
ゆっくりと意識が薄れてきた。
バイバイ、上辺だけのみなさん。
:08/12/29 15:47 :SH901iC :HNTi4Nys
#43 [ゆーちん]
だけど次の瞬間には、なぜか私の咳の声が聞こえた。
「ゲホッ、ゲホッ…」
あれ、なんで私むせ返してんの。
まさか…まだ生きてる?
「出て行け!」
これはこれでラッキーなのかな。
自分で死に方選べるんだし。
:08/12/29 15:48 :SH901iC :HNTi4Nys
#44 [ゆーちん]
でもどうせなら殺してくれたほうがよかったな。
もう苦しかったり、痛い思いはいやだよ。
ガチャ…
私は家から飛び出した。
フラフラの足取り。
…っていうか真っ直ぐ歩けてないし。
宛もなく、とにかく前に進んでみた。
だって…
:08/12/29 15:48 :SH901iC :HNTi4Nys
#45 [ゆーちん]
だってどこかに死ぬ方法が転がってるかもしんないでしょ?
体中痛くて、どこが痛いのかわかんない。
とりあえず、倉庫がたくさん立ち並ぶ場所に到着した。
ドサッ…
力尽きたかも。
地面に倒れてしまった。
:08/12/29 15:50 :SH901iC :HNTi4Nys
#46 [ゆーちん]
ふと夜空を見上げる。
…うざっ。
こんな日に限って、むちゃくちゃ星が綺麗だった。
自然に流れていた涙。
何泣いてんの私。
その時、思った。
:08/12/29 15:51 :SH901iC :HNTi4Nys
#47 [ゆーちん]
もうさ、痛いのも苦しいのもやだ。
今日、死のう。
方法なんて、もう何でもいい。
痛くてもいいから、もう…死にたい。
:08/12/29 15:51 :SH901iC :HNTi4Nys
#48 [ゆーちん]
もう一度だけ力を振り絞り、私は立ち上がった。
何か、何か死ねるもの。
その時、目の前に見えたのがナイフだった。
神様がいるのなら、感謝する。
この時、目の前にナイフを置いてくれたんだね。
ありがとう。
:08/12/29 15:55 :SH901iC :HNTi4Nys
#49 [ゆーちん]
フラフラとナイフまでたどり着き、手に取った。
案外綺麗なナイフ。
サビてないし、汚れてもいない。
ピカピカなナイフ。
痛いだろうけど、まぁいいや。
綺麗なナイフだし。
この星が見えなくなって、太陽が空にのぼった時には綺麗に死ねてるかな?
:08/12/29 15:56 :SH901iC :HNTi4Nys
#50 [ゆーちん]
そんなことを考えながら、私はナイフを高く振りかざした。
心臓の辺りをひとつきすれば、いいよね?
迷いはなかった。
今度こそ、上辺だけのみなさんバイバイ。
…。
:08/12/29 15:57 :SH901iC :HNTi4Nys
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