†horror†
最新 最初 🆕
#701 [輪廻]
 
 
体育館内は暗闇に包まれている。


蓮『電源ってどこだっけ? 何も見えね』


響歌『確かあっち側だったような…』

入り口近くの壁から手探りしながら左方向へと進む。


響歌『あ、これかも』

4つほど並んだ小さなレバー型のスイッチを見つけ、それを全て上に引き上げた。


館内に少しずつ明かりが点いてくる。


蓮『早く体育倉庫に行こうぜ』


響歌『ナナ…!』

2人は奥にある体育倉庫へと走った。
 
 

⏰:11/12/06 12:41 📱:Android 🆔:RnKB4e/I


#702 [輪廻]
 
 
蓮『あれ、鍵かかってる!』

戸には鍵がしっかりとかけられていた。


響歌『鍵ならきっと職員室だよ!』


蓮『俺ちょっと行ってくる!』

そう言って蓮が振り返ろうとした瞬間…


  『その必要はないよ、桐谷くん』

入り口の方から女の声がした。


2人はゆっくりと、その声がした方を見る。
 
 

⏰:11/12/06 12:43 📱:Android 🆔:jS0TFdR2


#703 [輪廻]
 
 
そこに立っている人物を見て最初に声を出したのは響歌だった。


響歌『やっぱり…』


蓮『え…あれ誰?』

女を指をさしながら首を傾げる蓮。


響歌が答えようとした瞬間、向こうに立つ女が先に口を出した。


  『それはひどいよ桐谷くん。当時のあなた達の副担任の顔も忘れちゃうなんて』

女は苦笑いしながら言うと、蓮は唖然として言葉を失った。
 
 

⏰:11/12/06 12:58 📱:Android 🆔:FUsX3ALs


#704 [輪廻]
 
 
望月『名前覚えててくれてたなんて嬉しいわ。桐谷くんも彼女を見習いなさい』


蓮『な、なんで先生が…?』

そうとう衝撃的だったのか、蓮はものすごく動揺していた。


望月『なんでって? 井本七瀬…彼女が真島貴之を殺したからよ。
そして村井響歌…あなたもね!』


響歌『私…? 私は何もしてない…!』


望月『そういう記憶力は悪いみたいね。
知ってるんだよ、あなたがデスカメラを買った事くらい!』


響歌『…あ、あれは…』


望月『あなたが井本七瀬にあのカメラを渡したせい…それで貴之は…!』

そこまで言うと、望月は上着のポケットから小型のナイフを取り出した。
 
 

⏰:11/12/06 13:57 📱:Android 🆔:e5OIsdc6


#705 [輪廻]
 
 
蓮『村井!』

望月と蓮はほぼ同時に響歌の元に駆け寄ろうとする。


響歌『…蓮、来ないで! 早く逃げて!』


蓮『…!!』

望月は響歌の少し前まで来ると、途端に方向を変え、蓮の方に向かっていった。


後退りしながら小走りで逃げる蓮を、両手でナイフを構えながら、まるで獲物を見つけた猛獣のような目で追う望月。


響歌はそんな彼女を止めようと、その後ろ姿を追う。


望月『タカユキヲカエセェェー!!』

所々で、発狂したように女性とは思えない奇声をあげる望月。


それはもう響歌達の知っている副担任だった頃の望月ではなく、復讐にとり憑かれた悪魔のようだった。
 
 

⏰:11/12/06 17:37 📱:Android 🆔:XZ0Z6YP2


#706 [輪廻]
 
 
誰もいない一階の廊下には体育館で走る3人の足音だけが響く。


まるで競技をしているかのようにー



蓮『村井! お前は早くここから出て警察に電話しろ!』


響歌『…だめ! ナナが見つかるまでは…』


蓮『んな事言ってる場合じゃ…うわ!』

曲がる際に足首を捻った蓮は、体勢を崩してその場に膝をつく。


チャンスと思ったのか、走り疲れ果てていたはずの望月は急に足を早め、ナイフを振り上げたまま蓮の元へ。



望月『村井さん! あなたにも大切な人を失う最後の苦しみを味わわせてあげる!』

振り向きざまに響歌の顔を見て言うと、再び視線を前に戻し、ナイフを蓮の背中目掛けて振り下ろしたー
 
 

⏰:11/12/06 19:11 📱:Android 🆔:bjpvMl26


#707 [輪廻]
 
 
響歌『蓮ーーーーーーッ!!』

体育館内と廊下全体に響歌の叫び声が響くー


同時に、腰が抜けたようにその場に崩れ落ちる。


そしてゆっくりと2人の方を見ると、望月のナイフを握っている方の手首を蓮が掴んでいた。


響歌『れ、蓮…?』

蓮の体全体を目をこらして見る。

どこも怪我をしておらず血も見当たらない。


蓮『…俺は大丈夫。
それより村井、早く職員室行って体育倉庫の鍵持ってこい』


響歌『う…うん!』

震えた足をなんとか立たせると、急いで職員室のある2階へと向かった。
 
 

⏰:11/12/06 19:36 📱:Android 🆔:p3RB9XWc


#708 [輪廻]
 
 
蓮『先生…アンタも俺の運動と反射神経の事忘れてたっしょ?』


望月『……ッ!』

望月は掴まれた手を必死に振り払おうと抵抗するも、蓮はがっしりと掴んで離す事はなかった。


しばらくして響歌が息を切らしながら戻ってきた。


響歌『蓮! 鍵…職員室に鍵がなかった…』


蓮『ちゃんと見たのか?』


響歌『…うん』


蓮『先生、鍵どこだよ?』

望月の顔を睨みながら聞く蓮。
 
 

⏰:11/12/06 20:07 📱:Android 🆔:7gA3Ldl2


#709 [輪廻]
 
 
望月『さあ…どこかしら』


蓮『村井! 先生の体調べてみろ。
どっかに鍵が…』


言われた通り、響歌が望月の方に近づこうとした時…


 『鍵ならここだよ』

突然、入り口の方から男の声がした。


その声に響歌は振り返り、蓮は反射的にそちら側を見る。


そこに立っていたのは…


警察官の格好で、帽子を深く被り、口元をニヤリとさせたあの男だった―


男は、鍵と一緒についている“体育倉庫”と書かれたプレート部分を持って見せつけるようにぶらぶらとさせている。
 
 

⏰:11/12/07 15:54 📱:Android 🆔:LkyjtuLw


#710 [輪廻]
 
 
5年前、交番で黒川奈穂の携帯電話を見せたのと同じように―


  『ねえ、そこのイケメンくん。
この鍵渡すから、その女の手離してくれない?』

男はこちらにゆっくり近づきながら蓮に向かって言う。


蓮『ばーか。んな事できる訳ねーだろ。
鍵をホントに渡してくれるかどうかもわからねーのに』


  『信用ないなー。警察を信用できないっての?』

表情一つ変える事なく言い切る男。
 
 

⏰:11/12/07 16:06 📱:Android 🆔:eIW9akpg


#711 [輪廻]
 
 
蓮『おいオッサン、それは矛盾してるだろ。警察ならまず、この先生の持ってるナイフを捨てろとか言うっしょ』


  『ふーん、見た目とは違ってマトモな事言うじゃない』


蓮『アンタがマトモじゃねーんだよ』

2人のお互い一歩も退かない緊迫した言い合いはしばらく続いた。


  『…うまい事言うね。とにかく、その女を放してくれたら命だけは助けるよ。
親友の井本七瀬を早く助けたいでしょ?』


蓮『バカにすんじゃねーよ。
だったらまず、井本がそこの体育倉庫にいるかどうか証拠見せろよ』

ここで男が一瞬だけ、小さく舌打ちするのを響歌は見ていた。
 
 

⏰:11/12/07 16:23 📱:Android 🆔:IjLWb1I2


#712 [輪廻]
 
   
そして、男はついに本性を現すー


  『口の減らねぇガキだな。
そんな奴を黙らせるにはこれしかねえかぁ!』

男は帽子をその場に投げ捨て、腰の裏側に手を回し、そこから素早く拳銃を取り出して蓮の方に銃口をつきつけた。


響歌『……!!』


蓮『……ッ!!』


望月『村井さん、桐谷くん…残念だけどここでゲームオーバー。
桐谷くんにはデスネットからの通達はしてないけど、村井さんと一緒に死ねるなら本望よね?』

余裕の表情の望月が言う。
 
 

⏰:11/12/07 16:42 📱:Android 🆔:/aMYYSR6


#713 [輪廻]
 
 
蓮『ちっ…銃とか卑怯だろ…』

まだ強気な事を言う蓮だが、その表情はとても動揺していた。


  『ほら、死にたくねえならさっさとその女の手離せよ』


響歌『(ど…どうしたらいいの…? 誰か…助けて…お願い…!)』

目をぎゅっとつむり、心の中で祈る響歌。


男は拳銃の引き金をゆっくりと人差し指で押していく。


その時―


突然体育館の明かりがパッと消え、辺り一面真っ暗闇に包まれた。
 
  

⏰:11/12/07 17:04 📱:Android 🆔:kCCTFzeY


#714 [輪廻]
 
 
  『なんだ…?』


響歌『…えっ?』


蓮『…!?』


望月『…!?』

4人はこの状況に戸惑いを隠せず、ただ呆然とする。


外も暗いせいで誰の姿も見えない。


そんな中、暗闇で誰かが走り出した。


それが蓮なのか、望月なのか、あの男なのか…響歌には微塵もわからない。


確かな事は、足音は二つするという事だった。


一つは入り口の方に向かい、もう一つは響歌達の方に駆け寄ってくる。
 
 

⏰:11/12/07 17:25 📱:Android 🆔:x.xFNjwk


#715 [輪廻]
 
 
何が起きているのか理解できずその場で固まっていると、いきなり誰かの手が響歌の腕を掴み、耳元でこう囁く女の声がした。


  『こっち!』

手をひかれながら暗闇を走り、扉が開かれ、廊下へと出た。


響歌『誰…?』

廊下を走っている最中、もしかしたら望月なのかもしれないと思い、掴まれている手を払いのける。


すると向こうは立ち止まり、一言こう返した…


  『久しぶり…響歌』

やがて慣れてきた目で、その人物を見ると…


響歌『……ナナ? ナナなの?』

立っていたのはまぎれもなく、親友の井本七瀬だった。
 
 

⏰:11/12/07 17:51 📱:Android 🆔:5HxzjzY6


#716 [輪廻]
 
 
響歌『ナナ…なんでここにいるの?』


七瀬『ごめん、詳しい事は後で話す。
とにかく今は早く逃げよう!』

2人は、入ってきた裏口へと急ぐ。


そして外へ出た瞬間、一発の銃声が響いたー


響歌『…!!』

その銃声を聞いてすぐ思い浮かんだのは蓮の姿だった。


響歌『蓮! 蓮が!』


七瀬『…だめ!』

血相を変え再び校内に入ろうとする響歌を七瀬が止める。
 
 

⏰:11/12/08 13:14 📱:Android 🆔:Cun1p.Yo


#717 [輪廻]
 
 
響歌『だって! 蓮が…!』


七瀬『キリなら大丈夫だよ!
とにかく落ち着いて響歌!』


響歌『…………』


銃声がしてから数分が経過した所で、校門の方からパトカーのサイレンが聞こえ、同時に裏口から蓮が走って出てきた。


響歌『…蓮!』


蓮『なんだよ村井…その顔…』

涙でボロボロになった響歌の顔を見て、蓮は苦笑いする。
 
 

⏰:11/12/08 13:16 📱:Android 🆔:Cun1p.Yo


#718 [輪廻]
 
 
響歌『さっきの音は…?』


蓮『わかんねえ。
さっき体育館で電気が消えた時、チャンスだと思ってあのオッサンを取り押さえようと思ったんだけど…』


響歌『じゃあ…入り口の方に走っていったのは蓮だったの?』


蓮『まあな。でも、さすがにあんな暗くちゃ無理だった』


七瀬『ちなみに電気を消したのは、あたしなの』

思いがけない七瀬の言葉に、2人は同時に七瀬の方を見る。
 
 

⏰:11/12/08 13:18 📱:Android 🆔:Cun1p.Yo


#719 [輪廻]
 
 
蓮『井本、お前だったの?
でもどうやって消した? 電源の所には誰もいなかったよな?』


響歌『う、うん…』

今度は2人顔を見合わせる。


そんな2人を見て、七瀬はクスリと小さく笑った。


七瀬『やっぱり2人共変わってない…』


蓮『…は? どーゆー意味だよ?』


七瀬『なんでもない。
体育館の電気は、ブレーカーを落としたんだよ』


響歌『あっ! ブレーカー…』

なるほど、と納得した顔をする。
 
 

⏰:11/12/08 13:20 📱:Android 🆔:Cun1p.Yo


#720 [輪廻]
 
 
蓮『なんだ、ブレーカーか…。
ところで井本、お前はどこで監禁されてたの?』


七瀬『体育館のステージを上がった横にあるブレーカーとかある小さな部屋だよ。
そこで気失ってたみたいで…起きたら、外からキリの声が聞こえてきたの』


蓮『…5年も会ってなかったのに、よく俺の声だってわかったな』


七瀬『覚えてるに決まってるじゃん。だって…』

その先を言おうとした所で、パトカーから数人の警察官が降りてきて、こちらに駆け寄ってきた。
 
 

⏰:11/12/08 13:21 📱:Android 🆔:Cun1p.Yo


#721 [輪廻]
 
  
響歌『あれ、警察は誰が呼んだんだろう?』


蓮『俺じゃないよ。
…もしかして警察も井本が?』


七瀬『いや、あたしじゃないよ。
携帯があればしてたけど…』

3人は揃って首を傾げる。


  『君達! 怪我はない?』

中年の警官が心配そうな顔をしながら尋ねると、3人はコクリと頷いた。


  『あとで君達にも事情を聞かないとならないから、とりあえずここで待っていてくれる?』

そう言うと、中年の警官は他の警官数名を引き連れて校内へと入っていった。
 
 

⏰:11/12/08 14:01 📱:Android 🆔:Ajh610uY


#722 [輪廻]
 
   
七瀬『でもさ…あたしも悪かったんだよね。
響歌の住所とか使ってあんなカメラ買っちゃうし、それで真島先生達を撮っちゃうしで』


響歌『少なくともナナは殺人者なんかじゃないよ。
体育館で私を助けてくれたんだから。
それに、ナナが撮った写真には望月先生も写ってたんでしょ?
望月先生の身には何も起きてないみたいだし』


蓮『まあ、逆に復讐者にはなっちゃったけどな。
…先生言ってたじゃん?
“大切な人を失う苦しみを味わわせる”って。
だから井本とよくいた俺らにとっても大切な人を次々と殺していったのかもな』


響歌『それが…黒川さん、中野くん、吉田さん、雪乃…そして蓮のお兄さんと麗奈さん…なの?』

だが、響歌には納得できない事があった。


響歌『じゃあ…なんで私の住んでるアパートの管理人さんと、私の隣の部屋に住んでた奥村さんまで殺す必要があったの…?』


蓮『奥村って人の事は知らないけど、管理人の事はニュースでやってたじゃん。
管理人の部屋からアパートの合鍵が無くなってたって』


響歌『だとしても、別に殺す必要なんてなかったと思うけど…』


蓮『理由は先生が出てきたら聞いてみるしかないな』

3人は裏口付近で警官達が出てくるのを待ったー
 
 

⏰:11/12/08 15:00 📱:Android 🆔:gUGxqOgo


#723 [輪廻]
 
 
アンカー
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500
>>501-550
>>551-600
>>601-650
>>651-700
>>701-750

⏰:11/12/08 21:23 📱:Android 🆔:ZesXDm46


#724 [輪廻]
 
 
その後体育館で、血まみれで死んでいる望月を警察が発見。


手には、あの男が持っていた銃が握られており、至近距離から右のコメカミ部分を撃たれている事から、望月は自殺だと言われた。


望月の遺体を乗せた車を、響歌達はただ呆然と見つめていたー


  『じゃあ君達にも来てもらおうか』

先ほどの中年警官が言い、3人を乗せたパトカーは警察署へと向かう。


校門の近くには大勢の野次馬が集まっていた。
 
 

⏰:11/12/09 09:50 📱:Android 🆔:6pVx3tws


#725 [輪廻]
 
 
警察署に到着後3人は、1人ずつ取り調べを受け、デスネットによって自分の身近な人物の命が奪われた事など全てを話した。


体育館から忽然と姿を消した警察官の男の事も話すと、取り調べの刑事は顔色を変えてこう言った。


『そんな人物は警察には存在しない』

と…。


それを聞いた響歌は背筋がぞっとする思いをした。



午後9時20分ー


取り調べは3人合わせて1時間ほどで終わると、ようやく解放された。
 
 

⏰:11/12/09 09:52 📱:Android 🆔:6pVx3tws


#726 [輪廻]
 
 
最後に取り調べを受けた響歌が署から出ると、階段の所で蓮と七瀬が待っていた。


蓮『やっと終わったか』


七瀬『お疲れ、響歌』

2人はだいぶ疲れた顔をしている。


七瀬『なんか意外と早かったね。
あたし、解放されるの明日の朝とかかも…って思っちゃった』


響歌『私も…。多分、正直な事ちゃんと話したからかもね』


蓮『くそ! それにしてもあのオッサン…どこ消えたんだ? 警察にはそんな奴いないって言ってたけど…』

階段を下りながら声を荒げる蓮。
 
 

⏰:11/12/09 09:55 📱:Android 🆔:6pVx3tws


#727 [輪廻]
 
 
七瀬『あたしは見てないんだけど、どんな人だったの?』


蓮『ん? ああ…警察官の服着てたんだよ。
銃も持ってたし、普通に警察だと思ってたんだけど違ったらしいな』


七瀬『マジで? それってただのコスプレマニアだったりして!』


蓮『……なわけねーだろ』

響歌は、そんな2人のやりとりに少しだけ心が和んだ。


蓮『にしても、俺らを殺そうとしてた先生が自殺なんてな』


響歌『銃に望月先生の指紋がついてたらしいから間違いないみたいだね…』

てっきりあの男が撃ったのだと思っていたが、刑事から聞いた現場の状況や、銃に付着した指紋などから、望月はほぼ自殺で間違いないとの事だった。
 
 
 
 

⏰:11/12/09 10:01 📱:Android 🆔:6pVx3tws


#728 [輪廻]
 
 
蓮『でもさ、一つ気になる事あるんだけど』


響歌『どうしたの?』


七瀬『なになに?』

2人の視線は蓮に集中した。


蓮『いや、先生ナイフ持ってたじゃん?
自殺する時、なんでそれ使わなかったのかなって思って』


響歌『あ、確かに…。
拳銃はあの男が持ってたし。
…もしかして奪ったとか?』


蓮『う〜ん。それなんだけど、もうひとつ気になる事あんだよな』


響歌『なに?』
 
 

⏰:11/12/09 11:10 📱:Android 🆔:z2CwA7uE


#729 [輪廻]
 
 
蓮『銃に先生の指紋ついてたって言ってたけど、あのオッサンの指紋は見つかってないんだよな?』


響歌『う、うん…聞いてないけど。
それがどうかした……あっ!』


蓮『わかった? 俺の見た限り、オッサン手袋してなかったんだよ。
だったらなんで銃にオッサンの指紋がねえの?』


七瀬『え、そんなの簡単じゃん』

突然、2人の会話に七瀬が割って入った。
 
 

⏰:11/12/09 11:12 📱:Android 🆔:z2CwA7uE


#730 [輪廻]
 
 
蓮『なんだよ?』


七瀬『普通にハンカチとかで拭き取ったんじゃないの?』


蓮『……いや、あんな暗闇じゃ何も見えないし、そんな余裕はないだろ』


響歌『私とナナが外に出て、銃声が聞こえるまでの間に体育館で何があったんだろう…』


蓮『まっそれは警察が調べてくれるっしょ。
とにかく今日は疲れたし帰ろうぜ。
村井も井本も俺の家来いよ』

その夜は電車で3人、蓮の家へと帰った。
 
 

⏰:11/12/09 11:35 📱:Android 🆔:Uts6xNC2


#731 [輪廻]
 
 
数日後ー


望月の事件はしばらくの間町内を騒がせ、テレビのニュースではついに“デスネット”の名前があがった。


主犯である望月の自宅から見つかったパソコンの中には“標的一覧”と題し、数々の殺人の被害者と思われる名前と個人情報が並ぶファイルを発見。


名前は公表されなかったものの、その中に何の罪もなく命を奪われた自分の大切な人の名前が入っていると思う度に、響歌は歯痒い気持ちで一杯になる。


響歌『結局…わからなかったな』

夜、蓮の家のリビングのソファでテレビ画面を見ながら呟く。


蓮『ん? なにが?』


響歌『うん、ちょっと…。
あ、私明日には実家帰る事にしたから』
 
 

⏰:11/12/09 12:25 📱:Android 🆔:aFeV6h9U


#732 [輪廻]
 
 
蓮『マジで? アパートはどうすんの?』


響歌『管理人さんも、隣の部屋に住んでた人も死んじゃったから…あのアパートにいるのが怖くなっちゃって。
それに、ナナもちゃんと家に帰って両親に謝ったみたいだし、私も実家が恋しくなっちゃって』


蓮『そうだな。
あ、結局その管理人殺したのって…先生だったのかな。
あとお前が今言った、隣に住んでたって人も』


響歌『ううん…2人は大切な人って訳でもなかったから…わからない』


蓮『先生が生きてれば理由を聞けたんだけどな。
なんていうか…モヤモヤが残るんだけど』


響歌『そういえばあの男、望月先生の味方みたいだったけど、どこに行ったんだろうね。
私は、あの人が捕まるまで一生モヤモヤが消えないと思う』

そう言って響歌は小さく拳を握りしめる。

それを見た蓮は、その上にそっと優しく手を乗せた。
 
 

⏰:11/12/09 12:44 📱:Android 🆔:mKA2fdo2


#733 [みゆ]
もう終わりが近そうで寂しいです(>_<)

でも楽しみでもあるので頑張ってください(^O^)

⏰:11/12/09 12:58 📱:841SH 🆔:Mhx5GMaU


#734 [輪廻]
>>733さん
いつもコメントありがとうございます(^^)


はい。もう少しなのでどうか最後までお付き合いください(^^)

⏰:11/12/09 14:02 📱:Android 🆔:qdq6jceQ


#735 [輪廻]
 
 
蓮『それなら俺も同じ。
次見つけたら今度こそ取っ捕まえてやる。
お前も、奴を見かけたり何かされそうになったらすぐ連絡しろよ』


響歌『あ…ありがと…』


蓮『って…あ…悪ィ!』

赤面しながら手を放す蓮に、自然と笑みがこぼれる響歌。


当然その夜はよく眠れ、例の夢も見る事はなかった。


翌日ー
 
 

⏰:11/12/09 23:29 📱:Android 🆔:FeU18146


#736 [輪廻]
 
 
午前7時30分、清々しい秋晴れの空。


帰る準備をし、リビングに行くと、蓮の父がいつものようにキッチン側のテーブルでコーヒーカップを片手に新聞を読んでいた。


  『あ、村井さん…おはよう』

響歌の姿に気づくと、これまた明るい顔で軽く頭を下げて言う。


響歌『おはようございます。
あの、蓮はまだ…?』


  『ああ、まだ一度も起きて来てないよ。
あいつも、剛史や麗奈の事があってからここ数週間、ろくに眠れてなかったらしい。
でも数日前の事が解決してからか、色々吹っ切れたんだろう…よく眠ってたよ』


響歌『そうですか…。
じゃあ、蓮が起きたら伝えてもらえませんか?
…“ありがとう”って』
 
 

⏰:11/12/09 23:51 📱:Android 🆔:y4fwpmAg


#737 [輪廻]
 
 
  『…もう行っちゃうのかい? 何か食べていってからでも…』


響歌『あ、いえ…大丈夫です。
あの、あと…』

口ごもる響歌に、首を傾げる蓮の父。


響歌『あと…“お父さんと仲良くするように”とも伝えてください』


  『…む、村井さん…』


響歌『本当にお世話になりました。
あと、映画のチケットもありがとうございました』

そう言い、頭を深々と下げ、とても長く居たように感じた蓮の家を後にした―
 
 

⏰:11/12/10 00:07 📱:Android 🆔:jBqEDOEA


#738 [輪廻]
 
 
実家に帰る前に響歌は一度、実家から徒歩20分ほどの距離にある、今まで住んでいたアパートに寄った。


部屋の鍵は開いており、久しぶりの部屋に入る。


響歌『(ここ出てからあんまり経ってないのに、何年かぶりに来たように感じるな…)』

少し室内を見渡したあと、クローゼットを開け、隅の方に置かれた大きめのリュックを取り出し、その中に入るだけの服を詰め込む。


響歌『(まだあるけど、また取りに戻ればいっか)』

最後に、忘れずにアパートの契約書をまるめてポケットに入れ、その部屋を出た。
 
 

⏰:11/12/10 00:34 📱:Android 🆔:fF4w8sxA


#739 [輪廻]
リュックを背負い階段を下りた所で、ふと何かの気配を感じ、ハッと後ろを振り返る。


すると管理人の部屋の前に、黒いフード付きの服を着た男の姿があった。


その男はフードで鼻から上を隠していたが

唯一、露出しているニヤリとさせたその口元を見て、すぐにあの男だとわかった。


響歌『な…なんで…?』

驚いた顔をし、その場から後ずさりする。
 
 

⏰:11/12/10 00:48 📱:Android 🆔:5h.uFjjc


#740 [輪廻]
 
 
男は、そんな響歌に襲いかかって来る訳でもなく、その場で響歌に笑みを浮かべながら、ただじっと立っている。


その顔に吸い込まれるように視線を外す事ができず、やがて身体や手足も震えだす。


立ったまま金縛りにあったような感覚になり、それはしばらく治まる気配はなかった。


すると突然、男がゆっくりと響歌の元に歩み寄ってきた。


響歌『だ…誰か…』

大声で助けを呼ぼうとしたが、よく見ると、朝の9時前だというのに周りに人の姿はない。


まるで、この世に自分とこの男しかいないのかと思わせるようにー
 
 

⏰:11/12/10 01:16 📱:Android 🆔:5LxjkoDI


#741 [輪廻]
 
 
そして、ついに男は響歌のすぐ目の前に立った。


これは夢であって欲しいと、目をぎゅっとつむりながら心の中で祈る。


すると男は、響歌の耳元でぼそっと呟いた。


  『ゲームはまだ終わらないよ…』

その言葉を聞いて、ぱっと目を開けて周りを見回すと、そこに男の姿はもうなかった―
 
 

⏰:11/12/10 17:32 📱:Android 🆔:spUdrKjc


#742 [輪廻]
 
 
響歌『(終わらない……?)』

男が言った言葉が何度も脳内にこだまする。


急に全身に寒気が走り、すぐその場から立ち去ろうとした時、後ろから誰かが響歌の肩をポンと叩いた。


響歌『…きゃっ!!』

いきなりの事に反射的に驚きの声をあげ
、その手を、肩を激しく動かして払いのける。


武田『わっ!』

後ろから聞き覚えのある声がして振り返ると、そこに立っていたのは驚いて目をシロクロさせているアパートの隣人の武田だった。
 
 

⏰:11/12/10 17:35 📱:Android 🆔:K/HY0xQ.


#743 [輪廻]
 
 
響歌『あっ、た、武田さん…』


武田『久しぶりぃ…。一体どうしたの?
私も驚いちゃったよ』

武田のすぐ下の地面には、驚いた拍子に落としてしまったと思われる、ほうきがあった。


響歌『すっ、すみません!』


武田『大丈夫よ。それよりそのリュック…またどこか泊まりにでも行くの?』


響歌『いえ…このアパートを引き払って実家に帰ろうと思ってるんです』

武田は当然理由を尋ねてきたので、響歌はこのアパートで死んだ者の事についての話をした。
 
 

⏰:11/12/10 17:37 📱:Android 🆔:Us.cY7T2


#744 [輪廻]
 
 
武田『あらそう…私もびっくりしたのよ。
奥村さんの時もそうだったけど、管理人さんまでもが殺されたって聞いた時はねぇ』

さすが噂話や世間話が好きなおばちゃんと言った感じか、武田は少し嬉しそうに喋る。


響歌『武田さんは…怖くないんですか?』


愚問だとは思ったが、彼女も女性なので、念のためにと聞いてみた。


武田『私? あはは!
そりゃ怖いに決まってるじゃないの!』

笑いながら即答する武田を見て響歌は“この人なら大丈夫だ”…直感的にそう思った。
 
 

⏰:11/12/10 17:39 📱:Android 🆔:Us.cY7T2


#745 [輪廻]
 
 
武田『でも村井さんがいなくなっちゃうとなんだか寂しいわ。
実家はどの辺りにあるの?』


響歌『あ、ここから20分くらいの所です』


武田『あらそう…じゃあおばさんに会いたくなったらいつでも来てちょうだいね』


響歌『…ありがとうございます』

気さくで明るい武田と話していると、今までの出来事などが最初からなかったように感じた。


そんな意味も込めた“ありがとう”を武田に言い、響歌は実家へと向かうー
 
 

⏰:11/12/10 17:41 📱:Android 🆔:Us.cY7T2


#746 [輪廻]
 
   
途中あの河原を歩いていると、上から一枚の紙が風に流されるように響歌の方に向かってきて、やがて足元にフワリと落ちた。


その白いA4サイズのくしゃくしゃになった紙には…

“高収入! 誰にでもできるアルバイト急募! 詳しくはコチラへ”と書かれ、担当者の名前などはなく電話番号だけが記されている。


響歌『……やめとこ』

“高収入”という響きに一瞬だけ心が揺らいだが、担当者の名前がないのはどう考えても不自然だと思い、その紙を拾い上げると、まるめて後ろにポイっと投げ捨てた。
 
 

⏰:11/12/10 17:43 📱:Android 🆔:PW2isk5o


#747 [輪廻]
 
 
数十分後―

高校を卒業してから出ていった実家の前に到着し、ドアの前で足を止めて深呼吸してからインターホンを押す。


  『はあい!』

ドアの向こうからした、久しぶりに聞く母の声に安心を覚える響歌。

そしてドアが開き、中から母が顔を覗かせた。


響歌『お母さん…久しぶり』


  『響歌じゃない! 久しぶり!』

お互いの顔を数秒間眺めた後、次に母の目に入ったのは、響歌が背中に背負った大きいリュック。
 
 

⏰:11/12/10 17:46 📱:Android 🆔:PrFZziwo


#748 [輪廻]
 
 
  『あれ、どこか旅行にでも行ってたの?』


響歌『ううん、違うよ。あのさ…』

前もって連絡しなかったせいで“アパート暮らしをやめてここに帰ってきた”とはなかなか言い出せない響歌だった。


すると母は、響歌がこれから言おうとした事を悟ったかのように、優しい目をして言った。


  『わかってるよ、響歌。
何も言わなくても…お母さんには』

そんな母の言葉で、響歌の目は涙で一杯になり、そんな響歌を母は優しく抱きしめた―
 
 

⏰:11/12/10 17:48 📱:Android 🆔:7tj.6SrI


#749 [輪廻]
 
 
中に入り、しばらくして落ちついた所で、母は一枚の紙を差し出した。


響歌『なに? これ』

そう言いながら、紙に目をやる。


響歌『……同窓会……?』

印刷された紙の上部分には大きめな文字で“桜丘中学3年A組・同窓会のお知らせ”と書かれていた。


  『昨日ファックスで送られてきたんだよ』


響歌『同窓会か…どうしようかな』

最近続いた出来事もあり、あまり乗り気じゃなさそうに言う。
 
 

⏰:11/12/10 17:50 📱:Android 🆔:7tj.6SrI


#750 [輪廻]
 
   
  『そうそう、ニュース見た?
アンタが通ってた中学校の先生が自殺したって』

母は突然、思い出したように言う。


響歌『う、うん…そうみたい』

その件に自分も関わっていたとは言えなかった。


  『名前は…望月って言ったっけ?
響歌、どんな人だったか覚えてる?』

今の響歌にとって、これほど戸惑う質問はなく…


響歌『……よく覚えてない』

と、そう一言だけ答えた。
 
 

⏰:11/12/10 21:46 📱:Android 🆔:ltKS0pug


#751 [輪廻]
 
  
  『もう前の事だもんね。
お母さんも全然覚えてないの。もう年なんだね』


響歌『なら、私も年だよ』

そんな他愛のない話をしばらくの間続けた。


アパートの部屋にあったほとんどの荷物を運び、そのアパートを引き払い、再び実家に住み始めて数ヵ月が経ち、翌年新年を迎える―


この数ヵ月間、あの男が響歌の前に姿を現す事は一度もなかったが、時々外を歩いているとふと背後に誰かの視線や気配を感じたりする事は度々あった。
 
 

⏰:11/12/12 13:14 📱:Android 🆔:iKeZKfsg


#752 [輪廻]
 
 
響歌『じゃ、行ってくるね』

1月上旬の、ある日曜日の夕方。

以前から通達されていた同窓会に、響歌は行く事になった。


本来は去年の12月末の予定だったが、同級生より幹事宛に、その日は仕事だとか、彼氏彼女と過ごしたいなどという都合がつかない連絡が続出。


結果、翌年1月上旬の最初の日曜日の日に延期になり、新年会も兼ねた同窓会として行われる事が決定された。


集合場所は、響歌らが通っていた桜丘中学校の校門の前。


そこから同級生の持っている車に乗って新年会、及び同窓会の会場へ直行という流れである。
 
 

⏰:11/12/12 13:16 📱:Android 🆔:NdJ1rlm2


#753 [輪廻]
 
 
河原を過ぎて、中学校が見えてきた時―


響歌『(…また…?)』

去年実家に帰って以来、外出する度に感じる背後から誰かにつけられているような気配。


姿は現さないものの、その人物は響歌の動向を探っているかのようで、気味が悪かった。


もう少しで中学校だと、少し小走りで向かう。


校門の前に人だかりができているのが見えた時には、途端に恐怖もふっ飛び、安心した。
 
 

⏰:11/12/12 13:20 📱:Android 🆔:mxJ3opO.


#754 [輪廻]
 
 
懐かしの面々の中に駆け寄ると、人だかりの中心にいた幹事と思われる同級生の男の一人が声をかけてきた。


  『あれ、もしかして…村井ちゃん?』

身長は180cm前後と長身。
黒いスーツに身を包み、髪は短髪、色は金一色で染められていて、顔にはサングラス。

ちなみにうっすらとはえている顎髭も金色だった。


そんな彼は、いかにも危ない人のオーラが漂っていて、とても同い年で同級生とは思えない。


響歌『えーと…誰だっけ?』

同級生の男はカッコつけるようにサングラスを取り、顔を見せつけたが…


響歌『ごめん…誰?』

とキッパリ言い放った。
 
 

⏰:11/12/12 13:23 📱:Android 🆔:mxJ3opO.


#755 [輪廻]
 
 
気まずい空気の中、しばらくお互い見つめ合っていると…


七瀬『お待たせ!』


蓮『ちぃっす!』

2人が一緒に向こうからやってきた。


幹事はサングラスをかけ直すと、すぐに2人の元に駆け寄っていく。


  『おお桐谷! それに七瀬ちゃんも! 久しぶり!』

幹事が明るくそう言うと、2人は首を傾げて、しばらく彼の顔を凝視した後、蓮が響歌と同じ言葉を発した。


蓮『……誰だっけ?』
 
 

⏰:11/12/12 13:25 📱:Android 🆔:mxJ3opO.


#756 [輪廻]
 
 
その一言に、幹事はとてもショックを受けたように下を向いた。


蓮『七瀬、お前は覚えてる?』


七瀬『う〜ん…こんなヤクザみたいな人いたっけ?』

追い討ちをかけるような七瀬の一言で、彼はついにその場にしゃがみ込むほどに落ち込む。


そんな幹事とは裏腹に響歌の方は、前の蓮の発言に『えっ?』という顔になっていた。


響歌『(ま、まさかね…)』

どうせ聞き間違いだろうと、強引に自分を納得させる。
 
 

⏰:11/12/12 13:28 📱:Android 🆔:mxJ3opO.


#757 [輪廻]
 
 
七瀬『あっ、響歌!』

ふと響歌を見つけた七瀬が声をあげ、蓮と一緒に近づいてくる。


七瀬『あけましておめでとう! 響歌』


響歌『お…おめでとう』

そこで、見たくなかったが、見えてしまった。


蓮と七瀬がしっかりとお互いの手を繋いでいるのを。


蓮『村井、あけおめ』


響歌『うん…あけおめ』

笑顔で言ってきたので、響歌はなるべく2人の手元を見ないように、笑顔で返した。
 
 
 

⏰:11/12/12 13:30 📱:Android 🆔:PQLYT/Kw


#758 [輪廻]
 
 
それから時間は午後5時を過ぎ、人も集まってきた所で、ショックが収まったのか、幹事が再度明るい声で仕切り始める。


  『じゃ、そろそろ会場に行きますか!』

その一声に、一同は大声で喜びの声をあげた。


七瀬『結局誰だっけ…あの幹事の人』

そんな歓声の中、七瀬が小声で響歌と蓮にひっそり呟く。


蓮『覚えてねえや…。ま、いいじゃん。
あとで名前聞けば思い出すかもしれないし』

そうだね、と2人は首を小さく縦に振った。


門の近くに停めてある数台の車に適当に乗り込む事になり、幹事が運転する先頭の車の後に他の車が続き、やがて会場へと走り出すー
 
 
 
 

⏰:11/12/12 13:33 📱:Android 🆔:YcX/EUo.


#759 [輪廻]
 
 
某日・某所ー


一人の若い男性が、くしゃくしゃになった白い紙と携帯電話を手にしている。



  『あの、すみません…高収入アルバイトの紙見て電話したんですけど』



  『お電話ありがとうございます。
電話をして頂いた時点でデスネットへの入会、及び登録が完了致しました。
登録手数料などは一切かかりません。
お仕事の内容が決まり次第、こちらからお電話させて頂きます。
5分後、折り返しくる電話に、お名前とご住所と通帳口座番号をお伝えください。
入会・登録ありがとうございました』


そう言って通話は切れる。


電話の向こうで話す者…

それは人の肉声ではなく、機械を通したものだ。


  『あれ? 面接とかないの?』

一瞬戸惑う男だったが、やがて顔に笑みがこぼれる。
 
 

⏰:11/12/12 13:55 📱:Android 🆔:S8YcYV1s


#760 [輪廻]
 
 
  『デスネット…聞いた事ないな。
どんな仕事するかも知らないけど…
まっ、面接無しで決まっただけでもよしとするか!』

折り返しくる電話を嬉しそうに待つ男性。



5分後…


―プルルルルルルル!!


『…はい! 名前は大槻と言います
。住所は…………』
 
 

⏰:11/12/12 14:01 📱:Android 🆔:S8YcYV1s


#761 [輪廻]
 
 
響歌は蓮、七瀬と共に最後尾のワゴン車に乗っていた。


運転手を含め、他にも数名の同級生が乗車。


最初は『最近どう?』的な話をしていたが、やがて仕事の話になった時、同級生の話を聞いて響歌らは驚愕した。


  『私、コンビニのバイト2つ掛け持ちしてたんだけど辞めちゃったんだ〜』


七瀬『マジで? なんでなんで?』


  『高収入アルバイトっていう求人広告見つけてさぁ…電話したら、その時点で採用みたいで、面接とかなかったの!』


蓮『へえ、すげえじゃん。
なんて会社? そんな簡単に採用されんなら俺にも紹介してよ』


同級生は、蓮の質問に明るく答えた…
 
 

⏰:11/12/12 14:04 📱:Android 🆔:S8YcYV1s


#762 [輪廻]
 
 
  『うんいいよ、他の人にも紹介したから。ええとね……あ、そうそう!
“デスネット”って所だよ』

響歌、蓮、七瀬の3人は一瞬にして凍りついたー



最終話 終幕なる連鎖【完】

⏰:11/12/12 14:13 📱:Android 🆔:.WBJexMk


#763 [輪廻]
エピローグ



  『ねえ、デスネットって知ってる?
簡単な仕事で高い収入得る事ができる会社なんだって!』


  『えー? そんなうまい話あるわけないじゃん』


  『本当らしいよ。でもいくつか条件があるんだけどね。それはね…

1つ。入会登録後は最低でも5人には紹介する事。
2つ。仕事は最後まで行う事
3つ。会員を罪に問わせない事

これをどれか1つでも守らなかったら、デスネットの上層部の人達に殺されちゃうんだって…』




†horroro† 完

⏰:11/12/12 14:36 📱:Android 🆔:2xmZAaR.


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194