クソガキジジイと少年」
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#951 [我輩は匿名である]
保守!
:11/05/21 12:14 :SH06B :riN5cwK2
#952 [我輩は匿名である]
ほしゅ
:11/10/09 23:08 :SH06B :L9p/erG.
#953 [我輩は匿名である]
age
:15/04/10 04:13 :PC :LLa.P8vg
#954 [我輩は匿名である]
(  ̄▽ ̄)
:20/06/20 00:42 :Android :0OusyMi.
#955 [&◆JJNmA2e1As]
[完]👷👨👩🦱👨🦱👂🦻🧠👱♀️👨🦰😻
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#956 [&◆JJNmA2e1As]
(´∀`∩)↑a
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#957 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#958 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)
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#959 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#960 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#961 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#962 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#963 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#964 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#965 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#966 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#967 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#968 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#969 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#970 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑a
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#971 [○○&◆.x/9qDRof2]
隠謀
目を覚まして最初に飛び込んできたのは、縦横(じゅうおう)に溝が走るタイル張りの白い天井と、ほのかに黄ばんだ蛍光灯。耳に入るのは雑多な電子音と、機械が稼働するファンの音。からだを起こそうと上半身に少し力を込めようとして、そこで初めて自分がベッドに寝ている事に気付いた。
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#972 [○○&◆.x/9qDRof2]
「お目覚めかね?」
ベッドの脇から、落ち着き払った男の声。見ると、白衣を着た男性が、不敵な笑みで立っている。
「.......ふん」
:22/10/07 19:03 :Android :GR1soPvw
#973 [○○&◆.x/9qDRof2]
口角を片方吊り上げ、目を半月状に細めてこちらを見る男から視線を外し、上半身を起こして辺りを見回す。どこかの研究施設にでもあるようなコンピューターとコンソールの類の機械が、そう広くない室内の壁際にずらりと配置されている。
:22/10/07 19:03 :Android :GR1soPvw
#974 [○○&◆.x/9qDRof2]
「第二の人生を手に入れた気分はどうかね?」
白衣の男が問い掛ける。わたしは部屋を眺めながら男には目を合わせず、自嘲(じちょう)するように鼻で笑った。
「最悪だな。いますぐ貴様をぶち殺してやりたいくらいには」
「女性があまり汚い言葉を使うべきではないねー。ま、どちらにしろそんな事は不可能だけど.......」
:22/10/07 19:03 :Android :GR1soPvw
#975 [○○&◆.x/9qDRof2]
そう言って白衣の男はくぐもったように笑い、側にあったテーブルのマグカップを手に取った。薄く湯気が立ち上る中身を一口啜り、再び口を開く。
「死人に口なしと言うだろう?」
「.......」
:22/10/07 19:03 :Android :GR1soPvw
#976 [○○&◆.x/9qDRof2]
自分の手のひらに視線を落とす。既に血の通わないそれは青白く澱んでおり、軽く握ると冷ややかな感触が返ってきた。手のひらを自身の胸に当てる。柔らく弾力があり、それなりの大きさもある.......が、しかし、心臓の鼓動は微塵も感じてはくれなかった。
「.......ふん」
「ま、働きには期待しているよ。その為にきみたちを直したのだから」
:22/10/07 19:04 :Android :GR1soPvw
#977 [○○&◆.x/9qDRof2]
そう言いながら、白衣の男が顎先で部屋の中央を指す。そこにはベッドが二つ。即(すなわ)ち自分がいまいるベッドと、その隣。自分が着ている物と同じような、簡素(かんそ)な白い患者衣を着た男が、先刻までの自分と同じように眠っている。その横顔を眺めながら、わたしは無意識のうちに冷たい手を伸ばした。男の頬に指先が触れる.......と、同時に男の眉間に皺(しわ)が寄り、頬に僅かな力が入る。驚いて反射的に手を引いたわたしと、その様子を無表情に眺めていた白衣の男の見守る中、もうひとりの屍(しかばね)が目を覚まそうとしていた。
:22/10/07 19:04 :Android :GR1soPvw
#978 [○○&◆.x/9qDRof2]
愛しのイザベラ。
白骨死体になっても美しいきみに魅入られたぼくは二度とここから出られないだろう。
永遠にわたしの傍にいて。
青年の耳に美しいイザベラの声が響いた。
:22/10/07 19:07 :Android :GR1soPvw
#979 [○○&◆.x/9qDRof2]
『雨、恋、盆栽』
細く単調な雨音が、薄い窓一枚を通して伝わって来る。雨は昨晩からずっと降り続いていた。
夏の盛りも僅かに陰りを見せ始めた折、まるでそれまで夏の王者として居座っていた太陽の休息を狙うかの如く、雨雲はごく自然に日本全土へと入り込んで、憂鬱な雨を降らしている。
だが、盆帰省に際して大多数の人間から疎ましがられるであろうそんな天気も、佐々木麻衣には愛おしい時間の一つであった。
:22/10/07 19:07 :Android :GR1soPvw
#980 [○○&◆.x/9qDRof2]
麻衣は雨が嫌いではない。むしろ、雨が降るとどうにも心が踊るのだ。そして、そういう時は馴染みのカフェでひたすら読書に耽るというのが麻衣の密やかな楽しみだった。
高級品ではないにしろ、旧き良き時代を感じさせる上品な木製のテーブルセットと煉瓦造りを基調とした落ち着いた雰囲気の店内には、静謐とした空気が流れ、そこにいると時が歩みを緩めたように、ゆっくりと感じられる。
:22/10/07 19:08 :Android :GR1soPvw
#981 [○○&◆.x/9qDRof2]
客は、麻衣一人きりだった。適度にボリュームの押さえられた音楽は、古い洋楽だろうか。
懐かしいような気分にさせてくれるが、そのどれもが麻衣は知らない曲ばかりで、辛うじて分かったのは、今掛かっているプラターズの「煙が目にしみる」くらい。しっとりと情感に富んだそのメロディは妙に店の雰囲気と合っている。
:22/10/07 19:08 :Android :GR1soPvw
#982 [○○&◆.x/9qDRof2]
ふと、麻衣は人の気配を感じた。と、同時にコトッと小さな音が耳に届き、目の前の木製のテーブルに覚えのないグラスが置かれた。
「――集中するのはいいけどね」
そんな言葉とともにテーブルの上に現れたもう一つのグラスと文庫本。誘われるように、麻衣は顔を上げていた。
「温くなってしまって、もったいないよ、佐々木」
:22/10/07 19:08 :Android :GR1soPvw
#983 [○○&◆.x/9qDRof2]
ここのアイスコーヒーは美味しいんだから――耳に心地好く響く低音に乗せて、彼は微かに笑った。
「……英輔」
麻衣の呟きに返事を返して、彼――木戸英輔は麻衣の対面に腰を下ろした。
「コーヒー、ありがとう」
「ああ」
:22/10/07 19:09 :Android :GR1soPvw
#984 [○○&◆.x/9qDRof2]
早速ストローの封を切って、新しく渡されたグラスに差し込む。
黒色の中に仄かな褐色を残した液体は、掻き混ぜるごとに小さく渦を巻いていた。口に含めば、先程までの水に薄まったそれとは比べものにならない刺激が、冷たく舌を刺す。
新鮮なブラック特有の苦味と酸味に、麻衣は満足した溜息を零していた。
そんな麻衣を一通り見遣ってから、英輔もグラスを傾ける。麻衣のようにストローは使わなかった。
:22/10/07 19:09 :Android :GR1soPvw
#985 [○○&◆.x/9qDRof2]
「……さっきから何度も呼んでたんだけど」
「そうなの? ……ごめん。気が付かなかった」
「だろうね。どうせ、それを読んで別の世界にでも行ってたんだろう」
英輔が麻衣の手元を指差す。閉じられた本の背表紙が見えた。
:22/10/07 19:09 :Android :GR1soPvw
#986 [○○&◆.x/9qDRof2]
「それ、面白いの?」
「それ」と英輔に称されたのは、麻衣も初めて知ったような無名の作家が書いた「365日盆栽白書」。
「盆栽のことが書かれた小説ねぇ……」
声に小さな笑いが混じっていたことに、麻衣はむっとした。
「……別にいいじゃない」
「まぁね。けど、相変わらず、オッサンだね」
:22/10/07 19:09 :Android :GR1soPvw
#987 [○○&◆.x/9qDRof2]
オッサンとは、二十代をまだ半ばしか過ぎていない女性に対して、失礼である。
が、自分に対する評価としては言い得て妙だと麻衣は思った。自身の趣向が一般からは少し外れたものだということは、麻衣自身、常々認識していたからだ。
:22/10/07 19:10 :Android :GR1soPvw
#988 [○○&◆.x/9qDRof2]
麻衣は盆栽が好きなのだ。昨今女性にも人気のあるミニ盆栽などという可愛いものではない。もちろん、大品盆栽――樹の高さが五十センチメートル以上になる種類――だ。それも「松臣」や「桜御膳」など、鉢一つ一つに名前を付ける程の凝りよう。
:22/10/07 19:10 :Android :GR1soPvw
#989 [○○&◆.x/9qDRof2]
「普通、盆栽が題材の小説なんか買わないよ。しかもタイトルだけで衝動買いって」
「煩い」
「黙ってたら美人なのに」
「煩いってば」
暗に麻衣の恋愛経験値の低さを言われたようで、英輔の言葉に麻衣は羞恥に頬を染めた。
英輔の言うように、麻衣は美人だった。
:22/10/07 19:10 :Android :GR1soPvw
#990 [○○&◆.x/9qDRof2]
無駄がなく涼しげな顎の湾曲に合わせたかのように、きゅっと持ち上がった勝ち気そうな唇とその上に乗った切れ長の瞳。
身長もあり全体的に細く、長く艶やかな黒髪が一層華奢に見せている。だが、その身体つきに似合わず、胴体のラインは緩やかな曲線を描き意外にもボリューム豊かなことが一目でわかる。
正に容姿端麗を地でいくような恵まれた容姿。
:22/10/07 19:10 :Android :GR1soPvw
#991 [○○&◆.x/9qDRof2]
それなのに、口を開けば出てくる言葉は盆栽関連のものばかり。晴れた休日は盆栽の剪定に精を出し、日がな一日盆栽を愛でて恍惚の眼差しを向ける。一言で言えば変わっていた。
過去に付き合った男で一月と保った者はなく、またその人数も片手だけでも余るくらいだ。
:22/10/07 19:11 :Android :GR1soPvw
#992 [○○&◆.x/9qDRof2]
その容姿に惹かれて、ふらふらと寄ってきた男は皆、麻衣の偏愛の激しさに閉口してすぐに離れていく。
もっとも、麻衣にしても彼等に心惹かれる何かを見出だすことはできなかったのだが。
幼馴染みの英輔は、その全てを一番近くで見ていた。
:22/10/07 19:11 :Android :GR1soPvw
#993 [○○&◆.x/9qDRof2]
「英輔だってモテた試しはないでしょう。顔はいいのに」
麻衣は当て擦りのように語尾も荒く言い返す。
「ああ……、何でだろうな」
「動物オタクだからでしょう」
間髪を入れずに答えると苦笑が返ってきた。
:22/10/07 19:11 :Android :GR1soPvw
#994 [○○&◆.x/9qDRof2]
掘りの深い目元はいつも優しげに細められていて、高く整った鼻梁が甘いマスクを演出している。物腰穏やかな声音はアリアの歌い手のように、柔らかなテノール。
髪が寝起きのままのように所々跳ねていることだけが残念だったが、それでも、英輔も麻衣に劣らず、外国の映画俳優顔負けの好青年だった。
:22/10/07 19:11 :Android :GR1soPvw
#995 [○○&◆.x/9qDRof2]
しかし、こちらも麻衣同様、極度の動物好きなのだ。動物好きと言えば聞こえはいいが、最早愛好者という段階ではない。
麻衣はその人のことを詳しくは知らないが、唯一の彼女であった大学時代のクラスメイトが吹聴していた話では、「彼は人に興味がない」らしい。
「何?」
「……別に。何でもない」
:22/10/07 19:11 :Android :GR1soPvw
#996 [○○&◆.x/9qDRof2]
素っ気なく答えてみるが、頭の中ではそのクラスメイトの顔を思い出していた。甘いお菓子や花なんかがよく似合う、小動物のような可愛らしい顔立ち――思い出して、僅かに眉間に皺が寄ったのが自分でも分かった。
「ふーん」
何か察したのだろう。言ったきり、英輔は追及してこなかった。
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#997 [○○&◆.x/9qDRof2]
彼女が告白を押し通したような形だったのだが、それなりに長く付き合いは続いていたらしい。
だが、英輔は優しくてよく気が付くわりに、男女の関係となると途端に鈍くなるという。“そういうこと”に対する意識は始終上の空で、結局、キスをすることさえなく別れたのだそうだ。
:22/10/07 19:12 :Android :GR1soPvw
#998 [○○&◆.x/9qDRof2]
確かに学生時代から英輔の話すことと言えば――これまた麻衣に通じるものがあるが――、種の遺伝子レベルから始まる話ばかりで退屈そのものだった。恋愛に関して奥手だろうということも、麻衣には何とはなしにわかっていた。
:22/10/07 19:12 :Android :GR1soPvw
#999 [○○&◆.x/9qDRof2]
それでも、麻衣の知る限り、英輔が彼女を見る瞳には優しい光や愛おしさに溢れていた。そこに、英輔が心惹かれていた動物への愛情をまるで越えた、別の、大きな愛情が存在していたことは一目でわかった。
それなのに。
『セックスもキスもできないなんて、顔だけの無能な男』
:22/10/07 19:12 :Android :GR1soPvw
#1000 [○○&◆.x/9qDRof2]
そう、彼女は言い捨てたのだそうだ。
彼女の言いたいこともわからないでもない。女だって――いや、女だからこそ好意を感じる為に行為を求めるのだ。
それができなかった英輔にも問題はあるのだろう。彼女ばかりに非がある訳ではない。
ただ、それを、他人に面白おかしく吹聴することが麻衣には許せなかった。英輔は真剣だったのだから。
:22/10/07 19:13 :Android :GR1soPvw
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