クソガキジジイと少年」
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#510 [ザセツポンジュ]
「無謀だが…。すーさん。ワシはやってみたいのだよ。コミカルに。」
すーさんは、きーさんもまだ口につけていない小夜子ストロベリーをパクパク口に入れた。
「きーさん。ミュージカルでもないのにコミカルに進むわけないだろうよ。だいたい、お前が思いつくネタは、昔からくだらん事だったろう。ティッシュを丸めてくしゃみ選手権とか見知らぬ人にカンチョーして怒らせよう大作戦とか、チョークで勝手に道路に事故現場をかいてみたりだとか……最近意味のある事をしすぎだ。」
:06/09/14 23:49 :W41S :n3DJ4syY
#511 [ザセツポンジュ]
すーさんは小夜子ストロベリーを完食して
汚く甘いゲップをきーさんにお見舞いした。
「やりたくないならいいけどな。まぁきららちゃんと接触する手と言えば、空ちゃんも誘ってダブル同伴と言う手も…」
「やる!乗ったその話!やろうじゃないか!頑張ろうきーさん!」
きーさんはこの言葉を聞いてやっと小夜子を口に運ぶ事ができた。
「甘い。ワシはこんなにも甘い恋心を何度抱いた事があるのだろうか。」
きーさんとすーさんの作戦は徐々に進んで行く。
:06/09/14 23:53 :W41S :n3DJ4syY
#512 [ザセツポンジュ]
きーさんとすーさんが作戦会議中、ジョウは教室に向かわず生徒会室に一人たたずんでいた。
(ボクは何にもできないまんまなのだろうか…いくじなしだな。)
焼却炉から戻ったジョウはクツバコに戻って3年生のクツバコ全部見回した。
こんな早い時間に学校に来るヤツなんていない。
なのに、
―榎下
―石崎
―山田
この3人のクツだけウワバキと交換されていた。
それを見たジョウは
たまらなくなり階段を登り生徒会室の扉を開けたのだった。
:06/09/15 00:01 :W41S :UyYQsWkM
#513 [ザセツポンジュ]
そして、コの字に並べられた机のジョウがいつも座る席に静かに座って頬づえをついた。
(エノシタさんが載ったクーポンが発行されたのは2ヶ月前。いつからあんな事されていたんだろう…)
ジョウの記憶につめこまれたエノシタさんがゆっくりゆっくりかけめぐる。
:06/09/15 00:06 :W41S :UyYQsWkM
#514 [ザセツポンジュ]
―ボクはいつもここに座っていて
エノシタさんを眺めている。
エノシタさんは、みんなに同じように話しかける。
優しいエノシタさん。
そんなエノシタさんは、トミーをよく見てる。
ボクがエノシタさんを眺めているのと、同じ感じでトミーを見ているんだきっと。
ボクには分かってしまった。
エノシタさんは、最近いきなり大変身して可愛くなった。
でも、自惚れているわけでもなく、いつもと変わらないエノシタさんだった。
そんなエノシタさんがボクは好きなんだ。
そして何にもできないボクなんだ。
こんなちっちゃいストラップですらまだポケットの中で眠ったまんま…。
ウジウジしているボクはきっと今、世界で一番いくじなしなんだ。
:06/09/15 00:15 :W41S :UyYQsWkM
#515 [ザセツポンジュ]
ジョウは、頭を机に落として窓の外を見た。
(寒いなぁ、今日は。)
生徒会室で吐く息も白く冷たかった。
まだエノシタさんを好きになる前に、エリアカフェで見かけたエノシタさんのプリクラ―。
それは
《榎下コンビ》
と書かれていて
たいして仲良くもないのに、かわいいエノモトさんの横で、ちっちゃく申し訳なさそうにピースをしていたエノシタさん。
二人は皮肉にも
《榎下》
という読み方の違う二つの漢字に縛られる運命にあった。
:06/09/15 00:21 :W41S :UyYQsWkM
#516 [ザセツポンジュ]
――ガラガラ
ジョウはびっくりして顔を上げた。
「…おはようジョウくん。……どうしたの?」
悲しそうな顔を無理矢理くしゃくしゃにして笑う女の子。
ジョウはベタに目をこすった。
「…おはよう。エノシタさんこそどうしたの?」
エノシタさんはいつも座る席に座った。
「…忘れものしちゃって。」
机の中をウソっぽく探すエノシタさん。
ジョウはエノシタさんに近付いた。
:06/09/15 00:26 :W41S :UyYQsWkM
#517 [ザセツポンジュ]
そしてエノシタさんの隣に座った。
エノシタさんは手を止めた。
「あのねエノシタさんは榎下さんじゃなくてもエノシタさんなんだよ。」
「……ジョウくん。朝だからかもしれないけど全く意味が分からないわ。」
サムく寒い空気だけが二人を包んだ。
:06/09/15 00:29 :W41S :UyYQsWkM
#518 [ザセツポンジュ]
「……エノシタさんが卒業するくらいには意味が分かるよきっと。…ハハ。」
ジョウは苦笑いを浮かべた。
そしてこう続けた。
「エノシタさんは、悲しい時は泣くの?」
「…泣かないかな。我慢しちゃうかも。」
(きーさん。きーさんが昔言っていた言葉を借りるよ。)
「…あのね、泣かないのが強いんじゃないんだよ。泣けない弱さがきっとエノシタさんの中で酒でも飲んだくれて暴れているんだ。」
:06/09/15 00:38 :W41S :UyYQsWkM
#519 [ザセツポンジュ]
「ボクは、そんなことで泣いちゃいけないよなんて言わないよ。我慢して悲しい顔を無理矢理笑った顔に変えるくらいなら汚い顔で子供みたいに泣いてくれた方がいい。」
ジョウは、ポケットに手を突っ込んでストラップを握りしめた。
「ジョウくん優しいね。何を知ってるの?」
エノシタさんは泣かない。
「ボクさ、こないだ福岡に旅行に行ったんだけど、お土産!」
ジョウは眠っていたストラップを叩き起こした。
「わぁ!かわいい!ありがとうジョウくん」
満面の笑みでエノシタさんは笑ってくれた。
:06/09/15 00:43 :W41S :UyYQsWkM
#520 [ザセツポンジュ]
キーンコーンカーンコーン
「ジョウジロウちゃんめ!ちゃんと来てんじゃんかよ!」
トミーは一人ジョウのクツバコに突っ込んだ。
:06/09/15 00:45 :W41S :UyYQsWkM
#521 [ザセツポンジュ]
チャイムが鳴り、ジョウもエノシタさんも教室へ戻った。
「ジョ―ウジロ―ウ!!」
ジョウを見つけ廊下を走るトミー。
そのまんま飛び蹴りをかました。
「イタタタ…」
そして胸ぐらをつかんだ。
「お前何で一言もなしに先に行くんだよ!」
「…早く目が覚めたんだよ、ごめんトミー。」
ジョウは背中を押さえて申し訳なさそうにトミーに謝った。
「何にも言わずに俺を置いて行かないでくれよ。心配するだろ」
:06/09/15 00:53 :W41S :UyYQsWkM
#522 [ザセツポンジュ]
そしてトミーは教室へ入って行った。
ナニモイワズニ
オレヲオイテイカナイデ…
ジョウは我れに返り
トミーを追い掛けた。
「トミー!今日エリアカフェの梅昆布茶一緒に飲もうよ!」
「ん?あぁ。」
トミーはニッコリ笑った。
:06/09/15 00:56 :W41S :UyYQsWkM
#523 [ザセツポンジュ]
(ρ_―)o
……(-_-)zzz。
:06/09/15 01:05 :W41S :UyYQsWkM
#524 [なちゅき]
さっそく更新ぅれしすぎっ(>v<)
主サマ大好きです
:06/09/15 06:17 :N701i :/ejAqkes
#525 [ザセツポンジュ]
ブハッ(◎o◎)←鼻血
なちゅきちゃん嬉しすぎ!!!!!
:06/09/15 11:29 :W41S :UyYQsWkM
#526 [なちゅき]
鼻血て!ワラ
主さん男の人ですか??
って小説と関係なぃこと聞いてごめんなさぃm(__)m
でもほんとに小説もこんな小説がかける主さんも大好きです☆☆☆
:06/09/15 18:08 :N701i :/ejAqkes
#527 [我輩は匿名である]
いつも楽しく読ませていただいてます。
更新待ってるのでがんばってください。
:06/09/18 21:07 :P902iS :VMM1CblQ
#528 [なちゅき]
ぁげとくっ
<<1-200
<<201-400
<<401-600
<<601-800
<<801-1000
<<601-700
できたかなっ
:06/09/20 18:06 :N701i :o.ro.mLc
#529 [あんちあ]
更新待ってます
:06/09/22 04:22 :D902iS :z5uYLHjI
#530 [主]
:06/09/24 20:31 :F902iS :UnadDWuk
#531 [我輩は匿名である]
↑ハンネみすりました主じゃないです
ごめんなさい
面白いので、毎日更新楽しみにしています
頑張ってください
:06/09/24 20:33 :F902iS :UnadDWuk
#532 [ザセツポンジュ]
うぅ…
ううぅ……
嬉し過ぎるコメントみなさまありがとうございました
(;□;)!!
わたくし自身
今世紀最大にびっくりしている限りです。
これからボチボチですが更新していきますのでなにとぞどうかチラ見してやってください。
んぢゃ更新します★
:06/09/24 22:44 :W41S :kzwoA6xY
#533 [ザセツポンジュ]
「ちーちゃん。明日から俺と付き合ってよ。」
トミーはかわいいチワワのような目でちーちゃんに交際を申し込んだ。
「ご注文は。」
そして19歳のちーちゃんは満面の笑みで
シカトをかましてくれた。
「ちーちゃんとの男女交際。」
この男、めげない負けないくじけない。
行け行けトミオなのである。
「ボク今日は梅昆布茶。あ、二つね。」
ジョウは、エノシタさんと今朝3分ほど話せた興奮がまだ胸にごげついている。
「了解生コン。」
:06/09/24 22:50 :W41S :kzwoA6xY
#534 [ザセツポンジュ]
トミーとジョウは
顔を見合わせた。
「え?きーさんやっぱり流行語大賞とったの?」
「あるわけないだろう。お前バカか。」
「アベシ!!」
ジョウは自分で自分の顔を殴った。
きーさんのたわ言、了解生コンが流行するわけないのだ。
:06/09/24 22:53 :W41S :kzwoA6xY
#535 [ザセツポンジュ]
「ちーちゃん。その了解生コンどこで耳にしたの?」
自分で殴った頬をさすりながらジョウは聞いた。
「ん?うちのおねぇちゃんが家でよく言うの。」
「えぇ!ちーちゃんねぇちゃんがいるのか?かわいいのか!どこで何してるんだ?」
トミーは前のめりになって問いただした。
「トミー。刑事ドラマみたいだよ。落ち着かないか。」
ジョウはトミーのただならぬ興奮を止めてあげた。
「朝、ここで働いてるの。昼の2時からあたしと交代。」
:06/09/24 23:01 :W41S :kzwoA6xY
#536 [ザセツポンジュ]
ちーちゃんはそう言って梅昆布茶を二つ置き
カウンターへ戻った。
「ねぇトミー。前からうちのじぃちゃん朝の7時前にトコトコどっか行ってるんだよ。」
「トコトコ行ってるのか。」
「…うん。でさ、それ週に3回くらいあるんだけど」
「トコトコ出かけるのがか?」
「……そうだよ。トコトコ出かけてるんだよ。朝。」
「アハハハ、トコトコ62にもなったジジイが、どこ行くんだよ、トコトコと!」
トミーはどうやらツボに入っていたらしい。腹を抱えてしばし笑っていた。
「……なんだよ。」
「いやトコトコって言ったお前がかわいかったんだよ。ってゆうかウチのじぃちゃんも朝どっか行ってるよ。」
:06/09/24 23:13 :W41S :kzwoA6xY
#537 [ザセツポンジュ]
ジョウは、ちょっとぬるくなった梅昆布茶をすすった。
「どこ行ってるんだろうね。じぃちゃんと、きーさん。」
「トコトコとどこでかけてるんだろうね。じぃちゃんとすーさん。」
トミーも一口、大好きな梅昆布茶を飲んだ。
変なじぃさんをもった二人の少年は
わざとらしく
上を向いて考えた。
そして顔を見合わせて
笑った。
:06/09/26 04:39 :W41S :dPV7sVoQ
#538 [RiN]
LIつも楽しく見てます
この小説大ファンですう
続き楽しみに待ってます〜(*
∪3u)
+゚
:06/09/28 06:01 :N701i :ODyASExs
#539 [゚∀゚]
:06/09/28 15:17 :D902i :8dxhcM6Q
#540 [ザセツポンジュ]
―
「何やってんだ、すーさん。」
トミーは、部屋でくつろぐ隣の家の老人に
素朴な質問をした。
「トミオちゃん、香水かしてくれ。今ランキング1位のはどれだ。」
優しいトミーはしぶしぶ、去年のランキング1位の香水を手に取り、すーさんの手を持った。
「お前、ホモか!!気軽に手なんか触るんじゃないよ!変態!さっさと貸せ!!」
すーさんは
トミーから去年のランキング1位の香水を
取り上げ体中にしつこくふりまくった。
:06/09/29 08:07 :W41S :hfmCCq3I
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