【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#95 [選ばれた男(2/2)に]
私はもう年を取りすぎたからと、断ろうとしたのに
今からでも遅くはないと君は言ってくれたから。
ああなんて素晴らしいのだろう。この沸き上がる喜びはなんだろう。
そう、これはチャンスだ。レールの上に敷かれた人生から、飛び出すチャンスだ!
私は素晴らしい世界を知らない。虹色に輝く毎日を知らない。味わったことがない。煌めいた景色を。素晴らしい人達を。まだ見ぬ敵を。
見てみたい。
見てみたい。
見たいんだ。
旅立ちは、今だ。
少しの金と食料があれば充分だ。仲間は、旅先で増えていくさ。
親には、伝説になった時にまた顔を見せに行けばいい。家庭を持っていない私には持ってこいの条件ではないか。
―準備は、できた。
心臓が高鳴っている。体中を暴れる様に強く血液が波打っている。重い腰を上げた私の膝が、震えている。
でも私はもう逃げない。振り返らない。
強くなりたいなら前へ進めと君が教えてくれたから。
額に流れる汗を吹く。もう大丈夫、大丈夫だ。怖くないと言えば嘘になるが、それ以上の希望が私にはあるんだ。
私を待っているのは、輝く未来だ!!!!!!
そうして私は、君に教えて貰った通り
ビルの屋上から飛び降りた。
:08/03/05 17:23 :N904i :CoKvvlsU
#96 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:38 :P903i :/Un8CKCQ
#97 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:39 :P903i :/Un8CKCQ
#98 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:40 :P903i :/Un8CKCQ
#99 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:40 :P903i :/Un8CKCQ
#100 [◆vzApYZDoz6]
さて、まとめもえらい量になってますがw
100レス突破しました!
と言うわけで新たにお題を追加したいと思います
お題
@電車
Aささやかな幸せ
B手紙
C都会
>>2のお題も引き続き使っておkです!
もちろんお題を使わなくてもおk!
引き続きC―Boxの皆様の参加&投下待ってます!
:08/03/05 21:47 :P903i :/Un8CKCQ
#101 [紫陽花[手紙(1/1)]]
拝啓 母上様
お母さん元気?
私はもちろん元気だよ!!
仕事も一段落したし先週の金曜日には先輩達に歓迎会を開いてもらったの。先輩達はみんないい人だよ。
そうそう!!焼き鳥のおいしい店を紹介してもらったし、夜景の綺麗な場所も教えてもらったから今度こっちに来たら一緒に食べようね。
最近気付いたんだけど、こっちではあんまり星が見えないみたいなの。漫画みたいに高くそびえ立ったビルが綺麗な星達を隠しちゃってる。やっぱり都会は違うみたい。なんかちょっと悲しくなっちゃった。
あっ!!
私がホームシックになってると思ったでしょ!!もう子供じゃないんだからホームシックなんかならないよ!!
まぁ…
たまにお母さんのご飯が食べたくなるけどね。
では体に気をつけてね。
お母さん、すぐに無理するから娘は心配だよ!!
またメールじゃなくて手紙書くから。楽しみにしてて!!
ちょっと
ホームシックな娘より
:08/03/05 23:49 :F905i :☆☆☆
#102 [[電車(1/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
朝一番、切符売り場で路線図とにらめっこしながら悩む。
行き先は自由だ。途中下車も乗り換えも、し放題。
まず僕は、ローカル線十駅分の切符を買って、いろいろな路線が集まっている主要駅へと向かう。
これで、選択肢は何倍にも広がった。
だが、良いことばかりではない。
切符売り場を目指すものの、駅校内はかなり混雑していて、目が回りそうだ。
ようやく路線図が見えた。
線や点が交わりあってとてもややこしい。
人の波から逃れたくて、急いで券売機のボタンを押す。
しかし慌てすぎて、目的地とは逆方向の切符を買ってしまった。
仕方なく電車に乗り込む。
人が多い。さっきの駅よりも混雑している。
周囲の乗客と自分の間に隙間がない。身動きが取れない。
電車の揺れに合わせて、車両ごとに何十人という人間が一つの塊になって揺れる。
だんだんと息苦しくなってきた。もう無理だ!
:08/03/06 00:30 :SH903i :IsrrLMx6
#103 [[電車(2/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
直後に停まった駅で、人をかきわけ無理矢理降りる。
購入した切符を半分程無駄にしたが、しょうがない。我慢出来なかった。
高く昇った太陽の光が射すプラットフォームで、ベンチに座って少し休憩すると呼吸も整った。
再び切符売り場に行き、路線図を見上げる。
もう混雑はこりごりだ、人が少ないところにしよう。遠回りになっても良い。
また新しい切符を手に入れる。
電車に乗り込むと、その車内にはほとんど乗客がいない。
一番ゆっくり出来そうな場所の座席を選んで、腰を降ろす。
ぎゅうぎゅう詰めの電車では押し潰されないように必死で、周りを気にする余裕など無かった。
だがここでは、斜め前に座っている若い男性の腕に目がいった。
有名な高級腕時計をつけている。こんなに若いのに……。
羨ましく思ったが、乗り過ごしてはいけないので到着するまで切符を見つめていた。
:08/03/06 00:32 :SH903i :IsrrLMx6
#104 [[電車(3/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
電車を降りて、その切符を自動改札機に通す。
と、異常を知らせるチャイムが鳴り、駅員が駆けつけた。
切符に不備は無い。改札機の不調のようだ。たまにはこんなこともある。
気を取り直して切符売り場へ。
今回はかなり悩む。路線図を目で辿り続ける。
長時間悩んだ末に、ボタンを押す。駅の入口から見える遠くの空は、もうオレンジだ。
車内に入ると、座席が全て埋まっている。しかし、目的地はもうすぐそこだ。座れなくても構わない。音を立てて閉じたドアに背を預ける。
だが、ふと思い付いて振り返る。
この車両は今、山に囲まれた町の中を走っている。
夕暮れの町並みや山々は、暮れかけの太陽のせいで真っ赤に染められていて、息を飲む程美しい。
この景色は、夕暮れの限られた時間しか見ることができないのに、偶然見られた僕はとてつもなく幸運だ。
そして、僕を乗せた電車は目的地へと近づく。
駅の名前は「天国」。
……そう、これは僕の人生。
本当の人生は敷かれたレールの上を辿るのでは無く、縦横無尽に繋がっているたくさんのレールの中から、一つの道のりを選び取るということだ。
:08/03/06 00:35 :SH903i :IsrrLMx6
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