「好き」と言いたい。
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#312 [あんみつ]
 
考えてるうちに、それぞれのクラス、走っているのはすでに4人目の走者になっていた。

走るのは5人なので、次がアンカー。

洋平君の番だ。

アンカーの選手たちは、立ってバトンを待っている。

今のところ、2組は2位。

1位は・・・あ、うちのクラスだ。
 

⏰:07/09/24 17:27 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#313 [あんみつ]
 
差がなかなか縮まらない。

変わらないまま、洋平君にバトンが渡った。

「わ・・・はや」

速い。

洋平君はぐんぐんスピードを上げて、うちのクラスのアンカーと並んだ。

競り合いながら、私たちの応援席の前を通過する。
 

⏰:07/09/24 17:28 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#314 [あんみつ]
 
「洋平君、速いじゃん!!」

奈津美が私の肩を叩いてくる。

私はうなずきながら、洋平君を目で追う。

わずかに洋平君がリードして、そのままゴールした。
 

⏰:07/09/24 17:31 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#315 [あんみつ]
 
「すごい!!1位だー!!」

私は、肩に置かれっぱなしだった奈津美の手を取った。

「ねー!!すごい速かった!!」
奈津美も私の手を持って、ぶんぶんと振り回す。

「うん!!めっちゃすご・・・い」
 

⏰:07/09/24 19:38 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#316 [あんみつ]
 
(・・・やば)

私たちに向けられているのは、7組一同の冷たい眼差し。

私の様子を見て、奈津美もそれに気付いたらしい。

私の手を離して、へへっと苦笑いをしながら、そっと立ち上がって応援席から出ようとする。

私もそれに続いて、応援席から抜け出した。

 

⏰:07/09/24 20:53 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#317 [あんみつ]
 

「あー、失敗したー」

応援席から離れて、私は言った。

けど、本当は口で言うほど気にしてない。

みんなの冷たい眼差しより、走る洋平君の姿が目に焼き付いて離れない。

思い出すと、また顔がほてってきた。

「やっちゃったよねー。けど、ほんと速かった!!」

奈津美もたいして気にしてなさそう。
 

⏰:07/09/24 20:55 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#318 [あんみつ]
 
ピンポンパンポーン

{これで午前の部を終了します。12時40分まで休憩なので、各自お昼をとって下さい}

「もう昼なんだ。お弁当取り行こー」

「うん」

 

⏰:07/09/24 20:56 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#319 [あんみつ]
――――――――


昇降口に着いて、朝クラスごとにお弁当を集めた段ボール箱から、自分のを探す。

「あ、あった!!」

他の人のお弁当をひっくり返さないように、私は自分のを取り出した。

「どうする??この辺で食べる??影だし」

「だねー。あ、あそこは??」

そう言って、奈津美は昇降口前に植えてある木の下を指差した。
 

⏰:07/09/24 20:58 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#320 [あんみつ]
 
私たちは木の下に移動して、囲いのわずかな段差に座った。

「いただきまーす」

お茶で喉を潤した後、私はお弁当を広げて、手をあわせた。

「お、旨そうじゃん」

卵焼きを食べようとすると、上から声がした。
 

⏰:07/09/24 20:59 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#321 [あんみつ]
 
上を向くと、案の定、健二が立っていた。

日に焼けたのか、何となく朝会った時より、鼻が赤くなっている気がする。

「健二、自分のあるでしょー」

私は止まっていた箸を動かして、卵焼きを口に入れた。

「うちの、冷凍食品ばっかだし」

健二は言いながら、私の前にしゃがむ。
 

⏰:07/09/24 21:01 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#322 [あんみつ]
 
「うわ、おばさんに言ってやろーっと」

私は笑いながら、唐揚げに箸を伸ばす。

「どーぞ、ご自由に」

私の箸が唐揚げを取る前に、健二の指が唐揚げをさらっていった。

「あー!!ちょっと!!」

「うめー!!じゃあな」

健二は唐揚げを口に入れると、さっさと友達の元に戻っていった。
 

⏰:07/09/24 21:02 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#323 [あんみつ]
 
「あーあ、唐揚げ・・・」

「ははっ!!相変わらずだねー」

横でやりとりを見ていた奈津美が笑う。
 

⏰:07/09/24 21:03 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#324 [あんみつ]
 
「ほんとに!!全然成長しないよね」

「ねこもねー」

奈津美の言葉に、私はうなった。

ふと奈津美のお弁当を見ると、いつのまにかだいぶ食べ進んでいる。

それを見て私は、慌ててご飯を口に運んだ。

 

⏰:07/09/24 21:04 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#325 [あんみつ]
――――――――


私が食べ終わった時には、もう12時半で、午後1番の綱引きにでる私たちは、早足でグラウンドに向かう。

「あ、ねこちゃん!!」

呼ばれて立ち止まると、洋平君が駆け寄ってきた。

「洋平君、1位おめでとー!!すごい速かった!!ね、奈津美!!」
 

⏰:07/09/24 21:28 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#326 [あんみつ]
 
「あ、うん!!」

急に話をふったからか、奈津美は慌てて何度もうなずいた。

「そ??ありがとう」

洋平君は、私と奈津美の顔を交互に見て言った。

「ねこちゃんは??あと綱引きだっけ??」

「うん、そう。洋平君、借り物頑張ってね!!」

「おう、綱引きもな!!」
 

⏰:07/09/24 21:29 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#327 [あんみつ]
 
「うん!!ごめん、行こ、奈津美」

再び早足で入場門に向かう。

「・・・ねぇ、ねこ」

「ん??」

ピンポンパンポーン

{綱引きと障害物競走に出る選手は、入場門に集まって下さい}
 

⏰:07/09/24 21:30 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#328 [あんみつ]
 
「やば、急ご!!あ、ごめん、何??」

「いや・・・何か2人、付き合ってるって感じしてきたなーって!!」

そう言って、奈津美は私の肩をこづく。

「へ??そう??」

改めて言われると、少し照れ臭かった。

 

⏰:07/09/24 21:31 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#329 [あんみつ]
――――――――


「あー、手の皮むけた」

綱引きを終えて、私たちは応援席に戻った。

手の皮がむけるまで頑張った甲斐あって、結果はなんと1位。

これで100mリレーで、うちのクラスを応援しなかったことは、許してほしい。

まぁ、もうみんな忘れてるみたいだけど。
 

⏰:07/09/30 21:16 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#330 [あんみつ]
 
何となく、前に行きにくい私たちは、応援席の後ろの方に座っていた。

「借り物っていつだっけ??」

奈津美に聞かれて、私はポケットからプログラムを取り出す。

「えっと・・・あ、もう次だ」

「えー。前、行けるかなー」
 

⏰:07/09/30 21:17 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#331 [あんみつ]
 
前には、すでに自分の競技に出終わって、動かなさそうな人たち。

「・・・ちゃんと見たいんだけどなー」

(・・・健二も出るし)

・・・

(・・・いや、私が応援するのは洋平君だし)

思った後、すぐに思い直した。

 

⏰:07/09/30 21:19 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#332 [あんみつ]
 

『・・・借り物競走、健二も出るけど・・・ねこちゃんには俺の事、応援してほしい・・・』


そう。

私が付き合ってるのは、洋平君だもん。

健二より、洋平君を応援するのは当たり前だ。

 

⏰:07/09/30 21:20 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#333 [あんみつ]
 

{次は借り物競走です。選手が入場します}

アナウンスがかかって、私はハッとした。

借り物競走は、わが校の体育祭の中で、盛り上がる種目の1つ。

前にいる人たちがすでに立ち上がっているので、よく見えない。

「もー!!見えないー」

奈津美もいつのまにか立ち上がって、私の横で飛び跳ねている。
 

⏰:07/09/30 21:21 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#334 [あんみつ]
 
私も遅れて立ち上がった。

パンッ!!

ピストルが鳴った。

始まったみたいだ。

歓声が一層大きくなる。

私も奈津美同様、飛び跳ねてみるが、やっぱり見えない。

(・・・え??)

こりずに飛び跳ねていると、急に、前に見える人の頭が、私のいる所を境に、だんだん両側に分かれていく。
 

⏰:07/09/30 21:22 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#335 [あんみつ]
 
(何??まさか、私が見えるように??)

バカなことを考えていると、私のすぐ前にいた背の高い男子が、私の方を振り向く。

そして右によけた。

「ねこ!!」

私の前の視界が開けたのと同時に、声がした。

人と人の間をぬって、声の主が私に向かって走ってくる。
 

⏰:07/09/30 21:24 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#336 [あんみつ]
 
「ねこ、来い!!」

声の主、健二は、私の手首をつかんで引っ張った。

「え??ちょっと、何!?」

私の質問には答えずに、健二は私を、リレーのコースに連れ出した。

「走れ、ねこ!!」

健二は、私の手首を引いて走りだす。

それにつられて、私の足も動く。
 

⏰:07/09/30 21:25 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#337 [あんみつ]
 
応援席からは、キャーとかワーとか、歓声がさらに激しさを増す。

(・・・何なの??)

走るスピードが上がった。

私は、健二に引かれるままに全速力で走る。

「・・・はぁ・・・はぁ」

必死で走るが、足が速い方でない私が、健二のスピードについていけるわけがない。
 

⏰:07/09/30 21:26 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#338 [あんみつ]
 
健二の手が、私の手首から離れた。

それに気付いた健二は振り向いて、今度は私の手をしっかりと握る。

「大丈夫か??あとちょっとだから、頑張れ!!」

そう言って健二は、ゆっくりと走りだす。

今度は、駆け足程度のスピードで。

 

⏰:07/09/30 21:27 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#339 [あんみつ]
 

前方に、白いテープが見えた。

ゴールだ。

あと少し・・・。

・・・3m、2m、1m。


パンッ!!

健二と、2人で並んでゴールした。

途端、私は健二の手を放して、その場にしゃがみこんだ。
 

⏰:07/09/30 21:28 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#340 [あんみつ]
 
「・・・はぁ・・・はぁ」

久しぶりに走ったせいか、かなりしんどい。

その時、健二も隣にしゃがんで、私の頭に手を置いた。

「よく頑張りました。ありがとな!!」

そう言って、ぽんぽんと叩く。

だんだんと落ち着いてくる。
 

⏰:07/09/30 21:29 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#341 [あんみつ]
 
私は、大きく深呼吸した。

「はぁ・・・何??私が借り物だったの??」

私が聞くと、健二はニヤーっと笑いながら、手に持っていた紙を見せる。

「そう!!お題は"猫目の女子"」

そう言うと健二は、私の目元を指差した。
 

⏰:07/09/30 21:30 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#342 [あんみつ]
 
「はぁ!?何、猫目って!!」

「ほんとのことじゃん」

そう言って笑う健二の指先を、私は払った。

「1位の人、こっちに並んでくださーい!!」

1位の旗を持った体育委員が、私たちを呼んだ。
 

⏰:07/09/30 21:31 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#343 [あんみつ]
 
「ほら、行くぞ」

健二は立ち上がって、私に手を差し出す。

私はそれを掴んで、勢いをつけて立ち上がった。
 

⏰:07/09/30 21:32 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#344 [あんみつ]
 
「・・・ふ」

「何だよ??」

「健二の手、汗かいてるー」

私は手を放して、ひらひらと振ってみせた。

「は??ねこの汗だろ!!」

健二に頭をこずかれて、私は笑った。

 

⏰:07/09/30 21:33 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#345 [あんみつ]
――――――――


ねぇ、健二。

猫目の女の子なんて、他にもいるでしょ??

なのに、私の所に来たって事は、健二にとって私の存在は、けっこう大きなものなんだって、思ってもいい??

彼女じゃなくても、特別な存在なんだって、うぬぼれてもいい??

 

⏰:07/09/30 21:43 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#346 [あんみつ]
 

健二の手の温もりや、優しさ。

ずっと、ずっと変わらないでね。

 

⏰:07/09/30 21:44 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#347 [あんみつ]
13話目は以上です
長くなっちゃった
よかったら読んでみてください

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/36-40

⏰:07/09/30 21:48 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#348 [あんみつ]
14、想い


私は、まわりが見えていなかった。

健二といると、あまりに楽しかったから。

健二の手が、あまりに温かかったから。


・・・私にとって、健二の存在は絶対だった。

 

⏰:07/10/08 14:19 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#349 [あんみつ]
――――――――


私は、間違っていたのかもしれない。

健二と一緒に、素直に走るべきじゃなかったのかもしれない。

後からゴールしてきた洋平君と、目が合って思った。

 

⏰:07/10/08 14:26 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#350 [あんみつ]
 

風が吹いて、グラウンドの砂を舞い上げる。

私は思わず目を閉じ、風が止むのを待って、また開いた。

(・・・あ)

洋平君は、私からすっと目をそらした。

そして、4位の旗の前に並ぶ。
 

⏰:07/10/08 14:32 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#351 [あんみつ]
 
気付いた健二が、心配そうに私の方を振り向いた。

「・・・ねこ、俺」

「ん??大丈夫だよ」

私は、健二の言葉をさえぎって言った。

 

⏰:07/10/08 14:34 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#352 [あんみつ]
 

健二は、きっと「ごめん」って言おうとしたんだ。

「ごめん」なんて言わないで。

健二は悪くない。

私、嬉しかった。

健二が、私の所に来てくれて。
 

⏰:07/10/08 14:36 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#353 [あんみつ]
 
楽しかった。

健二と笑い合えて。

けど、私は・・・間違っていたのかもしれない。

私を見た洋平君の目は、悲しそうだった。

 

⏰:07/10/08 14:37 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#354 [あんみつ]
――――――――


「えーみんな、おつかれ!!7組、総合3位を祝って!!乾杯!!」

「「かんぱーい!!」」

みんな口々に言って、近くの人と缶をぶつけ合う。

小さめの缶ジュースは、担任から、生徒38人への差し入れ。
 

⏰:07/10/08 14:39 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#355 [あんみつ]
 
「おつかれー!!」

「おつかれ!!」

私も近くの人たちと乾杯し、最後に奈津美と缶をぶつけて1口飲んだ。

オレンジの甘酸っぱさが、口の中に広がる。

 

⏰:07/10/08 14:41 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#356 [あんみつ]
 

借り物が終わって、すぐ応援席に戻った。

何か、洋平君に言うべきかと思ったけど、何を言えば良いのか分からなかった。

「ねこ、すごかったねー!!」

応援席に戻ると、みんな口々に言った。
 

⏰:07/10/08 14:46 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#357 [あんみつ]
 
「ねぇ、やっぱねこと竹本君って付き合ってるの??」

今まで何度もされてきた質問。

私は、洋平君と付き合っていることを、奈津美と健二以外に言っていない。

言わなくても、その内気付かれると思ったし、言う気にもなれなかった。
 

⏰:07/10/08 16:21 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#358 [あんみつ]
 
洋平君と付き合ってても、健二を手放そうとしない自分が、ずるいのは分かってるから。

健二を手放せない自分が、臆病なのも分かってるから。

だから私は、ただいつも通りの言葉を返す。

「ただの幼なじみだよー」

言い慣れたはずの言葉が、何となく重くて、痛かった。

 

⏰:07/10/08 16:23 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#359 [あんみつ]
 

「・・・こ、ねこ!!」

奈津美が私の顔を覗き込んでいた。

「あ、ごめん。何??」

教室は盛り上がって、そこら中でカメラのシャッター音が響いていた。
 

⏰:07/10/08 21:24 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#360 [あんみつ]
 
「いや、別に何でもないけど・・・疲れた??」

奈津美が心配そうに聞く。

「んー・・・ちょっとね」

私は、両手で缶を握り締めた。

 

⏰:07/10/08 21:25 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#361 [あんみつ]
 

私は、間違っていたのかな??

きっと私は、これからも健二を手放せない。

絶対に失いたくない存在。

大切な人。

私は、この気持ちを、誰に伝えればいいんだろう。

誰に・・・。

 

⏰:07/10/08 21:27 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#362 [あんみつ]
 

ガタッ

私は残りのジュースを一気に飲んで、立ち上がった。

「ねこ??」

「ごめん、奈津美・・・私帰るね!!」

荷物を引っ掴んで、私は教室を出た。

 

⏰:07/10/08 21:28 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#363 [真帆]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400

⏰:07/10/08 21:30 📱:F902i 🆔:7aA1iCdQ


#364 [あんみつ]
――――――――


うまく言えるか分からない。

けど、伝えなきゃならない。

じゃないと、また私は、あの人を傷つける。

傷つけたくない。

傷つけてはいけない。

私のことを想ってくれる気持ちを、裏切ることになるから。

だから・・・

 

⏰:07/10/08 21:51 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#365 [あんみつ]
真帆さん
アンカー(?)ありがとうございます

⏰:07/10/08 21:53 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#366 [あんみつ]
 

ドンッ!!

廊下の曲がり角で、誰かにぶつかってよろけた。

「わっごめん!!・・・て、ねこちゃん??」

「・・・洋平君」

「ごめん、大丈夫??」

洋平君は、借り物の前と変わらない、優しい目で私を覗き込む。

その目を見て、私はほっとした。
 

⏰:07/10/08 21:59 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#367 [あんみつ]
 
「あ、うん。大丈夫」

(・・・前もこんなことあったな)

「そっか。どしたの急いで??」

「洋平君のとこ・・・行こうと思って」

私が言うと、洋平君は驚いた顔をした。
 

⏰:07/10/08 22:01 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#368 [あんみつ]
 
「俺も、ねこちゃんのクラス行くところだった」

そう言って、洋平君はふっと笑った。

洋平君が笑うから、私も笑えた。

(・・・よかった)
 

⏰:07/10/08 22:02 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#369 [あんみつ]
 
「じゃぁ・・・」

「一緒に帰ろっか」

私が言う前に、洋平君が言った。

「・・・うん」


この人に、伝える。

 

⏰:07/10/08 22:03 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#370 [あんみつ]
――――――――


グラウンドに、私と、自転車を押す洋平君の影が伸びる。

みんなまだそれぞれの教室で騒いでいるのか、外にいる生徒は少なく、静かだった。

「あーなんか疲れたな」

そう言うと、洋平君は首を回した。
 

⏰:07/10/19 22:13 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#371 [あんみつ]
 
「洋平君、100mすごかったしねー!!」

私の言葉に、洋平君は照れ臭そうに「まーな」と言った。

校門を出ると、洋平君はさり気なく車道側に行く。

いつも通りの優しさが、今の私の心にひしひしと伝わってくる。
 

⏰:07/10/19 22:16 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#372 [あんみつ]
 
(・・・言わなきゃ)

「・・・洋」

チリンチリーン

後ろで自転車のベルが鳴った。

洋平君が私の前に来て、1列になる。

2人乗りをした他校の学生が、私たちの横を通り抜けた。
 

⏰:07/10/19 22:17 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#373 [あんみつ]
 
後ろに乗った小柄な女の子が、前の男子の大きな背中にしがみついている。

自転車が通り過ぎて、洋平君は再び私の横に並んだ。

タイミングを逃した私は、口をつぐむ。

「・・・俺が」

洋平君が口を開いた。
 

⏰:07/10/19 22:18 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#374 [あんみつ]
 
私は、洋平君の方を見た。

「・・・俺が、後ろにねこちゃんを乗せないのは・・・歩いて帰って、少しでも長く、ねこちゃんと話していたいから」

洋平君は前を見据えている。

夕日に照らされて、その横顔はオレンジ色だった。
 

⏰:07/10/19 22:20 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#375 [あんみつ]
 
「・・・健二よりも長く、ねこちゃんと一緒にいたいって思うから」

(・・・あ)

「・・・洋平君、健二は」

「分かってる」

洋平君は、私の言葉をさえぎった。

「・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは」

洋平君は、片手で軽く頭を押さえた。
 

⏰:07/10/19 22:23 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#376 [あんみつ]
 
「けど・・・ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??」

歩くスピードを落とすことなく、洋平君は続ける。

「・・・そんな」

口の中が乾く。

(そんなこと・・・)

言葉がでない。
 

⏰:07/10/19 22:25 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#377 [あんみつ]
 
「・・・ごめん、意地悪言った」

洋平君が、やっと私の方を向いた。

「ごめんな。・・・ただ、健二に嫉妬してるだけだから」

立ち止まって、私の頭を撫でる。

「あとちょっとだけど・・・後ろ乗る??」

そう言って、洋平君は自転車の後ろを手で叩いた。
 

⏰:07/10/19 22:29 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#378 [あんみつ]
 
「・・・うん」

私は頷いた。

洋平君の後ろに乗って、両手で座っている荷台を掴む。

私が乗ったのを確認して、洋平君は自転車を漕ぎ始めた。

ゆっくりと進む。

お互い何も言わない。

 

⏰:07/10/19 22:31 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#379 [あんみつ]
 

あまり、顔を見られたくなかった。

多分、今私は、泣きそうな顔してる。

何も言えなかった。

きっと、また傷つけた。

『ごめん』って。

言うのは私の方だよ。


洋平君の広い背中を見ると、胸が締め付けられる思いがした。

 

⏰:07/10/19 22:32 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#380 [あんみつ]
――――――――


洋平君は、私の家のすぐ前で自転車を止めた。

私は降りて、洋平君からカバンを受け取る。

上手く目を見れない。

けど、このままじゃダメだ。

何か言わなきゃ。

「・・・私」

口を開いたけど、言葉が見つからない。
 

⏰:07/10/19 22:43 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#381 [あんみつ]
 
(なんで・・・)

喉が熱い。

洋平君の顔を見れずに、私はうつむいた。

すると、頭を2度、優しく叩かれた。
 

⏰:07/10/19 22:45 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#382 [あんみつ]
 
「ありがとう・・・じゃ」

洋平君が言い終わると同時に、頭から手が離れた。

私がそっと前を向くと、洋平君はすでにだいぶ進んでいた。

後ろ姿を見ていたら、また泣きそうになった。

 

⏰:07/10/19 22:51 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#383 [あんみつ]
 

あの手に私は、何度救われただろう。

なのに、私は傷つけてばかり。

「ごめん」も「ありがとう」も、みんな私のセリフだよ。

 

⏰:07/10/19 23:04 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#384 [あんみつ]
 

『ねこちゃんの1番って誰??』

あの時、何も言えなかったのは、洋平君の顔を見れなかったのは・・・。


私は門の前に座り込んだ。

「・・・なんで」

 

⏰:07/10/19 23:07 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#385 [あんみつ]
 

あの時、1番に頭に浮かんだのは・・・健二の顔だった。


私には洋平君がいるのに。

私、洋平君のこと好きだよ??

なのに、まだまだ「好き」が足りないの??

 

⏰:07/10/19 23:09 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#386 [あんみつ]
 

考えても考えても、自分の想いの深さは分からなくて。

けど、確かに言えるのは、健二を手放すっていう選択肢は、私の中になかったということ。


ねぇ、健二。

私は・・・ずるい。

 

⏰:07/10/19 23:12 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#387 [あんみつ]
14話目は以上です
感想くれると嬉しいです
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/10/19 23:15 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#388 [我輩は匿名である]
>>312-400

⏰:07/10/20 10:18 📱:P903i 🆔:LFsXw3nI


#389 [あんみつ]
匿名さん
ぁりがとぅござぃます
今から少し更新します

⏰:07/10/28 21:28 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#390 [あんみつ]
15、明後日


体育祭から1週間たった。

洋平君とは一緒に帰ったりもしたけど、当たり障りのない会話しかしていない。

不自然なのは分かってる。

けど私は、どうすればいいのか、自分がどうしたいのか、分からなかった。

 

⏰:07/10/28 21:33 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#391 [あんみつ]
――――――――


「なぁ、ねこ日曜暇??」

「へ??日曜??」

間抜けな声が出て、健二に笑われた。

「はっ!!・・・久しぶりに2人でどっか行こー」

健二は靴を履きかえながら、平然と言った。

(・・・健二と2人で)
 

⏰:07/10/28 21:40 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#392 [あんみつ]
 
「・・・おい、何止まってんの」

靴を持って止まったままの私の手を、健二がはたく。

「あ、えーと・・・」

私は、靴を下駄箱にしまいながら考える。

「何か用事ある??」

(ないけど・・・)
 

⏰:07/10/28 21:42 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#393 [あんみつ]
 
「おっす、健二!!1時間目体育だよな??」

がっちりした感じの男子が、健二の肩を叩いた。

「あ、やべ!!ねこ、ごめん先行くわ。メールしろよ!!」

「あ、うん」

私がうなずいたのを確認して、健二は友達と階段を駆け上がっていった。

 

⏰:07/10/28 21:49 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#394 [あんみつ]
 

何で誘ってくれたんだろう。

ただの気紛れ??

けど、理由はどうであれ・・・嬉しい。

健二と2人で出かけるのなんて、ほんと久しぶり。
 

⏰:07/10/28 21:51 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#395 [あんみつ]
 
けど・・・

今、健二と2人で出かけてる場合じゃない。

分かってる。

分かってるのに。

・・・胸が高鳴る自分がいるのを、私は否定できなかった。

 

⏰:07/10/28 21:54 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#396 [あんみつ]
――――――――


(・・・どうしよ)

みんながだんだんと帰り始める中、私はまだ自分の席に座ったままでいた。


何だかんだで、洋平君は放課後、いつも私を迎えにきてくれる。

だけど、待ってるだけじゃダメな気がする。

私からも動かなきゃ。

 

⏰:07/10/28 21:58 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#397 [あんみつ]
 

(・・・よし!!)

「ねこー!!呼んでるよー」

私が立ち上がった時、ドアの所にいる友達に呼ばれた。

(え、洋平君かな??出遅れちゃった・・・)

かばんを持って、足早にドアの所へ向かう。

「・・・あ」

驚きを、思わず声に出してしまった。
 

⏰:07/10/28 21:59 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#398 [あんみつ]
 
「こんにちは。あの・・・ちょっといいですか??」

目の前にいるのは・・・佐古さん。


健二の・・・彼女。

 

⏰:07/10/28 22:01 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#399 [あんみつ]
――――――――


カチカチッ

――――――――
9/17 16:02
To 田村洋平
Sub 無題

ごめん!!
今日用事できたから、先帰ってて(pω・`)
――――――――
 

⏰:07/10/29 16:14 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#400 [あんみつ]
 
パコンッ

携帯を閉じて、私は前を向いた。

それに気付いて、佐古さんが振り向く。

「ごめんね。・・・で、話って・・・??」

私は、恐る恐る聞いた。

けど、本当は何を言われるか、何となく分かる。
 

⏰:07/10/29 16:16 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#401 [あんみつ]
 
佐古さんは、私と正面から向き合った。

だいぶ前に、洋平君と話した裏庭。

今はあの時より、何となく花も色褪せて見える。

佐古さんは1度下を向いて、顔を上げると口を開いた。

「・・・不安なんです」

活発そうな佐古さんが、消えそうな声で言った。
 

⏰:07/10/29 16:17 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#402 [あんみつ]
 
風が吹いて、お互い前より伸びた髪がなびく。

「・・・根宮先輩のことは聞いてます。大事な幼なじみだって。私も、それで納得しようとしました。けどっ・・・」


・・・あぁ、やっぱり。

ほんとは、こんなことを言われる日が、くるんじゃないかって思ってた。

 

⏰:07/10/29 16:19 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#403 [あんみつ]
 

『・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは』


佐古さんの姿に、洋平君の姿が重なって見える。

 

⏰:07/10/29 16:21 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#404 [あんみつ]
 

「・・・不安なんです。健二先輩にとって、私は・・・根宮先輩以下の存在なんじゃないかって」

佐古さんは、泣きそうな顔をして続ける。

私は、何も言えなかった。

 

⏰:07/10/29 16:22 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#405 [あんみつ]
 

『ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??』


・・・あぁ、一緒だ。

佐古さんも、洋平君と。

私のせいで、傷ついてる。

 

⏰:07/10/29 16:23 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#406 [あんみつ]
 

ぼーっとする頭で、私は佐古さんの次の言葉を待つ。

佐古さんは言いにくそうに、目をつむる。

そして、一息つくと、目を開いて私を真っすぐ見た。

「だから・・・健二先輩と、離れてください」
 

⏰:07/10/29 16:25 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#407 [あんみつ]
 
予想していたといっても、佐古さんの言葉は、私に重くのしかかった。

体の横に握り締めた佐古さんの手は、かすかに震えていた。

「・・・私のわがままだって分かってます。・・・けど、このままじゃ・・・」

言葉をつまらせて、佐古さんはうつむいた。

 

⏰:07/10/29 16:28 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#408 [あんみつ]
 

・・・ねぇ、健二。

佐古さん・・・健二の彼女。

健二のこと、本当に好きなんだね。

こんなこと言うの、きっとすごい勇気がいるよ。

なのに、泣きそうになりながら。

何、つらい思いさせてんの。

・・・私もか。

 

⏰:07/10/29 16:30 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#409 [あんみつ]
 

佐古さんは、うつむいたまま何も言わない。


『ねこ!!』


(・・・健二・・・私は)


もう、傷つけたくないよ。

 

⏰:07/10/29 16:32 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#410 [あんみつ]
 

「・・・分かった」

私は、重い口をゆっくり開いて、言った。

佐古さんが、涙のたまった目で私を見る。

私も、真っすぐ見返す。

そして、もう1度、口を開いた。

「・・・分かったから。・・・その代わり・・・」

 

⏰:07/10/29 16:33 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#411 [あんみつ]
 

・・・ねぇ、健二。

私・・・

間違ってないよね??

 

⏰:07/10/29 16:34 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#412 [あんみつ]
――――――――


――――――――
9/17 22:03
To 竹本健二
Sub 遅くなってごめん

日曜、大丈夫だよ☆
どこ行くの??
――――――――

メールを送ると、私はベットに座って、携帯を握り締めた。

少したって開いて、閉じてはまた開いてを繰り返す。
 

⏰:07/11/03 15:27 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#413 [あんみつ]
 
私はベットに仰向けになって、天井を見た。


『・・・その代わり・・・もう1度、健二と2人で出かけたい。ちゃんと話がしたいの。・・・明後日、それで最後にするから・・・』


私は佐古さんに、確かにそう言った。

佐古さんはゆっくりうなずいて、私に頭を下げた。

 

⏰:07/11/03 15:29 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#414 [あんみつ]
 

このままじゃダメだと思った。

洋平君や佐古さんを傷つけてまで、健二と一緒にいたいと思うのは、私のわがまま。

・・・いい加減、健二から離れなきゃ。

しっかりしなきゃ。

健二なしでも、大丈夫なように。

強くなれるように。

 

⏰:07/11/03 15:30 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#415 [あんみつ]
 

ピーピピーピー♪

私は飛び起きて、携帯を開いた。

――――――――
9/17 22:08
From 竹本健二
Sub 無題

よし!!
じゃぁ、俺午前は用事あるから1時に駅前でいい??
行く場所は・・・まぁぶらぶらしながら考えよう。
――――――――
 

⏰:07/11/03 15:33 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#416 [あんみつ]
 
(・・・健二)

メールを見た途端、胸が苦しくなった。

カチ・・・カチッ

打ちながら、だんだん視界が滲んでくる。
 

⏰:07/11/03 15:34 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#417 [あんみつ]
 
――――――――
9/17 22:13
To 竹本健二
Sub Re:

分かった☆
じゃぁ、明後日ね!!
――――――――

短い文章に、言葉では言い表わせない気持ちをこめて。

私は、ボタンを押した。

 

⏰:07/11/03 15:36 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#418 [あんみつ]
 

ほんとはね、自信ないんだ。

健二なしで、これから笑っていける自信。


握り締めたままの携帯に、涙が落ちた。

(・・・健二)

 

⏰:07/11/03 15:38 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#419 [あんみつ]
 

一緒にいるのが、当たり前だった。

健二は、私の世界の一部だった。

だけど、健二と必要以上に一緒にいることは、他の人を傷つける。

・・・だから、終わりにしよう。

日曜・・・明後日が最後。
 

⏰:07/11/03 15:40 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#420 [あんみつ]
 
大丈夫、会えないわけじゃない。

「幼なじみ」じゃなくなるわけじゃない。

なのに・・・

ねぇ、健二。

なんで、こんなに涙があふれるのかな??


理由のよく分からない涙は、なかなか止まってはくれなかった。

 

⏰:07/11/03 15:41 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#421 [あんみつ]

15話目は以上です
感想くれると嬉しいです

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/11/03 15:45 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#422 [め ぐ]
>>312-500

⏰:07/11/03 17:57 📱:F703i 🆔:38tfxjn2


#423 [れな]
一気に読みました
すごい良いです
切ないです
ハッピーエンドがいいな
更新
頑張って下さい!

⏰:07/11/03 21:11 📱:D903i 🆔:bxL3g9vE


#424 [あんみつ]

めぐさん
アンカーありがとうござぃます

れなさん
応援ぁりがとうございます
今から更新します
よかったら感想板にも来てくださぃ

⏰:07/11/11 20:51 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#425 [あんみつ]
16、1番


ずっと、ずっと健二がいた。

私の隣には健二がいて、健二の隣には私がいた。

それだけのことで、私は安心できたんだ。

 

⏰:07/11/11 20:55 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#426 [あんみつ]
――――――――


――――――――
9/18 20:28
From 竹本健二
Sub 無題

悪いけど、明日やっぱり地元の駅じゃなくて、街の駅前の広場で待っといて!!
――――――――

パコンッ

昨日の夜に健二からきたメールを確認して、私は携帯を閉じた。
 

⏰:07/11/11 20:56 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#427 [あんみつ]
 
広場を見回して、空いているベンチに座る。

広場の中央にある時計を見ると、まだ待ち合わせの15分前だった。

(・・・早かったな)

私はぼんやりと、街ゆく人を眺めた。

(・・・健二、用事って何なんだろ)

もう一度時計を見たけど、さっきからまだ2分ぐらいしかたってない。

 

⏰:07/11/11 20:58 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#428 [あんみつ]
 

一昨日、健二と離れるって決めた日。

その日の夜は、泣いた。

泣きたくないのに涙が出てきて、止まらなかった。

なのに、今、私の心は穏やかだった。

あの日に泣きすぎて、もう私の中に涙は残っていないのか。

理由は分からないけど、今日健二の前では、絶対に泣きたくなかったから助かった。

 

⏰:07/11/11 21:00 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#429 [あんみつ]
 

(・・・あと10分)

今日は、風がない。

9月も半分を過ぎたというのに、まだ日が当たると暑い。

私はなるべく木の日陰に入ろうと、少し体をそらせてベンチにもたれた。

その時、駅の方に歩いていく見知らぬカップルの姿が目に入った。

(・・・あ)

以前見た光景が、頭をよぎる。

 

⏰:07/11/11 21:03 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#430 [あんみつ]
 

確かあの時は、まだ7月だった。

・・・ここで、健二と佐古さんが一緒にいるのを見た。

あの後、健二と喧嘩しちゃったんだ。

健二が私に、本当のことを言ってくれなかったのが悲しくて。
 

⏰:07/11/11 21:05 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#431 [あんみつ]
 
・・・あの頃は、私も余裕なかったけど。

もっと余裕持ててたら、あんな風に喧嘩しなくて済んだのかな。


『お前だって・・・俺に何も言わねーだろ!!』

あの時の、健二の言葉がよみがえる。

(・・・言わないんじゃなくて、言えなかったんだよ)

 

⏰:07/11/11 21:07 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#432 [あんみつ]
 

健二と話さなくなって、本当に辛かった。

けど、奈津美がいて、洋平君がいて、落ち着いて考えて、心に余裕を持ったら、きちんと周りが見えたんだ。

それで、洋平君と付き合おうって決めて、健二とも仲直りできたんだ。
 

⏰:07/11/11 21:09 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#433 [あんみつ]
 
・・・私、あの頃より成長したよね??

大丈夫。

前とは違う。

喧嘩して離れるわけじゃない。

・・・大丈夫。

 

⏰:07/11/11 21:53 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#434 [あんみつ]
 

時計を見ると、丁度針が動いて1時をさした。


『だから・・・健二先輩と、離れてください』

目を閉じるとまぶたの裏に、泣きそうな佐古さんの姿が浮かんだ。

 

⏰:07/11/11 21:57 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#435 [あんみつ]
 

・・・話すのは、最後にしよう。

それまでは、楽しみたい。
久しぶりに健二と2人で、楽しい時間を過ごしたい。

・・・いいよね??


1時を5分過ぎた。

(・・・健二、早く来て)

私は手をぎゅっと握り締めた。

 

⏰:07/11/11 21:59 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#436 [あんみつ]
――――――――


また、時計の長針が動いた。

祈っても、虚しく時間は過ぎていく。

・・・健二が、来ない。

1時半を過ぎた。

メールを送ったけど、返ってこない。
 

⏰:07/11/11 22:00 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#437 [あんみつ]
 
(・・・どうしたの、健二)

妙な胸騒ぎがする。

今まで、こんなことなかった。

遅れることさえ滅多になかったけど、遅れるときはちゃんと連絡くれた。

(・・・怖い)

私は握り締めていた携帯を開いて、健二に電話をかけた。
 

⏰:07/11/11 22:03 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#438 [あんみつ]
 
プルルル・・・プルルル・・・

(・・・健二・・・出て)

携帯を握り締める手に、力が入る。

プルルル・・・プルルル・・・

(・・・お願い、健二)

プルルル・・・・・・

長い呼び出し音が、止まった。
 

⏰:07/11/11 22:04 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#439 [あんみつ]
 
私は、耳に携帯を押しつける。

が、何も聞こえない。

「・・・健二・・・??」

名前を呼んだ。

{・・・ねこ}

健二だ。

電話の向こうから聞こえた声は、紛れもなく健二の声だ。
 

⏰:07/11/11 22:06 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#440 [あんみつ]
 
(・・・良かった)

「健二、どうしたの??今どこ??」

{・・・・・・}

沈黙ばかりで、言葉が返ってこない。

健二が無事だと分かったのに、まだ胸が騒ぐ。

「・・・健二??」

{・・・ねこ、悪い。・・・今日、行けない}

やっと聞こえた健二の声は、何だか暗かった。
 

⏰:07/11/11 22:07 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#441 [あんみつ]
 
「・・・え・・・な、何で??」

{・・・・・・}

胸が苦しい。

ドクドクする。

(・・・健二・・・答えて)

{・・・健二先輩}

(・・・え・・・??)

体の中を、何か冷たいものが通った気がした。
 

⏰:07/11/11 22:09 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#442 [あんみつ]
 
かすかに聞こえた・・・佐古さんの声。

(・・・なん、で・・・)

{・・・ごめん、ねこ}

ピッ・・・プープー・・・

健二の言葉を最後に、電話が切れた。

 

⏰:07/11/11 22:11 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#443 [あんみつ]
 

何で??

ねぇ、健二。

ちゃんと答えてよ。

何で来れないの??

何で佐古さんと一緒なの??

何で答えてくれないの??

たくさんの「何で??」が頭に浮かんだけど、本当のことは何1つ分からない。
 

⏰:07/11/11 22:12 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#444 [あんみつ]
 
ただ分かっているのは、今、私の隣に健二はいない。

健二の隣に私はいない。

今、健二の隣にいるのは・・・佐古さん。

・・・私じゃない。

 

⏰:07/11/11 22:14 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#445 [あんみつ]
 

私は力なく手をおろすと、そこから動けなかった。

開きっぱなしの携帯を見つめる。

視界が、にじむ。

枯れたと思った涙が、また頬をつたった。

 

⏰:07/11/11 22:15 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#446 [あんみつ]
 

ねぇ・・・来てよ、健二。

私の隣に、来てよ。

佐古さんは彼女で、私は幼なじみ。

分かってるのに・・・。
 

⏰:07/11/11 22:21 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#447 [あんみつ]
 
健二は私より佐古さんを選んだ。

そう思ったら、苦しかった。

健二が大事なのは、私より佐古さん。

それを実感させられて、悲しかった。

 

⏰:07/11/11 22:23 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#448 [あんみつ]
 

「・・・ひっ・・・く」

止めようとしても止まらない。

この感じ、一昨日と一緒。

 

⏰:07/11/11 22:24 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#449 [あんみつ]
 

私は、健二が佐古さんと付き合い始めても、変わらず私の隣にいてくれることに、安心してたんだ。

何だかんだ言っても、私が健二を必要なように、健二にも私が必要なんだ、って。

心の底では、健二の1番は私なんだ、って。

自惚れてたんだ。
 

⏰:07/11/11 22:32 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#450 [あんみつ]
 
けど、違う。

違うんだ。

健二の1番は・・・私じゃない。

佐古さんなんだ。

 

⏰:07/11/11 22:33 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#451 [あんみつ]
 

「・・・っ・・・ひっ」

ぬぐってもぬぐっても、涙が落ちる。

周りの視線を感じたけど、それどころじゃなかった。

(・・・だって・・・分かった)

 

⏰:07/11/11 22:40 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#452 [あんみつ]
 

・・・ねぇ、健二。

やっと分かったよ。

私は・・・健二の1番になりたかったんだ。

ずっと、ずっと健二の1番でいたかったんだ。

 

⏰:07/11/11 22:42 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#453 [あんみつ]
 

『ねこちゃんの1番って誰??』


・・・ごめん、洋平君。

私にとっての1番は・・・健二なんだ。

健二の1番になりたいって思うのは、私にとって、健二が1番だから。

この涙の訳は、健二の隣にいられないのが、健二が隣にいないのが、つらいから。

 

⏰:07/11/11 22:44 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#454 [あんみつ]
 

・・・健二。

私、やっぱり・・・

・・・健二が・・・


「・・・好き」

小さく呟いた気持ちは、涙と共に流れて、地面に溶けた。

・・・健二には、届かない。

 

⏰:07/11/11 22:50 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#455 [あんみつ]

16話目は以上です
読んだ方、感想くれると
嬉しいです

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/11/11 22:56 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#456 [あんみつ]
17、言えない気持ち


健二、大好きだよ。

・・・今更、言えないけど。


けど、もしも、時間が戻せたら。

あの七夕の夜に戻れたら。

私は、今度こそ健二に「好き」って言うのかな??

健二にとって私は、「幼なじみ」だと知っていながら・・・。

 

⏰:07/11/24 22:35 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#457 [あんみつ]
――――――――


あれから、どのくらいたったのだろう。

辺りはすっかり薄暗くなっていた。

涙はもう枯れてしまった。

風が涙の跡を、優しく消していく。

私は、かすむ目をこすって立ち上がった。

 

⏰:07/11/24 22:37 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#458 [あんみつ]
 

・・・健二は来なかった。

もう来ないって、分かってた。

けど、あんな電話がきても、それでも今まで待っていたのは、心の奥では期待してたんだ。

信じてたんだ。

健二は来てくれるって。

 

⏰:07/11/24 22:39 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#459 [あんみつ]
――――――――


地元の駅に着いた時には、辺りは真っ暗になっていた。

私は、重い足を何とか前に出して家に向かう。

電灯の少ない道を、月が明るく照らしている。

 

⏰:07/11/24 22:40 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#460 [あんみつ]
 

次の曲がり角を曲がったら、私の家が見える。

少し離れたところに、健二の家も。

あの日は健二、私の家の前で待ってたね。

・・・結局、喧嘩しちゃったけど。

 

⏰:07/11/24 22:41 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#461 [あんみつ]
 

健二はいない。

そう、自分に言い聞かせながら。

けど、どこか期待しながら。

私は、曲がり角を曲がった。

・・・健二は、いない。

 

⏰:07/11/24 22:43 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#462 [あんみつ]
 

『ねこ!!』


私を呼ぶ、笑顔の健二が頭に浮かぶ。

私は、家の門に手を掛けて、ゆっくりと振り向いた。

見慣れた健二の家。

道路に面した、2階の西側の部屋。

健二の部屋には、灯りがついている。
 

⏰:07/11/24 22:44 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#463 [あんみつ]
 
(・・・健二、帰ってるんだ)

私は門を開けて、家に入った。

ガチャッ

「・・・ただいま」

「おかえりー。遅かったねぇ。ご飯は??」

靴を脱いでいると、リビングからお母さんが顔を出した。

「・・・いいや。お腹空いてない」

顔を上げずにそれだけ言って、私は階段を上がった。

 

⏰:07/11/24 22:47 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#464 [あんみつ]
――――――――


『・・・ごめん、ねこ』

健二は、佐古さんと一緒にいた。

『・・・健二先輩と、離れてください』

ねぇ、健二。

あの「ごめん」は、どういう意味??

健二は・・・私を切ったの??

佐古さんのために。

 

⏰:07/11/24 22:52 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#465 [あんみつ]
 

・・・健二から、連絡がない。

考えたくなくても、これは、きっと、そういうことなんだろう。

健二は、私から離れた。

だとしたら、健二は私に話し掛けて来ない。

 

⏰:07/11/24 22:54 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#466 [あんみつ]
 

周りを傷つけないために、健二と離れようと思ってた。

思ってたけど・・・こんなのを望んでいた訳じゃない。
私は・・・ちゃんと健二と話がしたかった。

だけど・・・

『・・・明後日、それで最後にするから・・・』

・・・私からは、動けない。

 

⏰:07/11/24 22:55 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#467 [あんみつ]
 

本当は、離れずにすむなら、そうしたかった。

本当は、健二に話して、反対してほしかった。

けど・・・健二から先に離れられた。

いっぱい悩んでくれたよね??

簡単に離れたわけじゃないよね??

それで決めたなら、私は何も言えないよ。
 

⏰:07/11/24 22:56 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#468 [あんみつ]
 
「離れないで」なんて言えない。

「離れたくない」とも。

・・・「好き」とも。

言ってはいけない、絶対に。

それは、佐古さんの想いを、健二の想いを、踏みにじることになるから。


私は、健二に、「好き」と言えない。

 

⏰:07/11/24 22:58 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#469 [あんみつ]
 

けど・・・私には、この気持ちを、正直に伝えなきゃいけない人もいる。

傷つけてばかりだったけど。

また傷つけてしまうけど。

・・・このままではいけないんだ。

 

⏰:07/11/24 22:59 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#470 [あんみつ]
――――――――


その日の夜は、泣かなかった。

涙がもう、出てこなかった。

馬鹿な私は懲りずに、明日健二がいつも通り、笑って話し掛けてくれることを、期待して眠った。

 

⏰:07/11/24 23:01 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#471 [あんみつ]
 

健二が好き。

健二の1番になりたい。

自覚してしまった気持ちは、どんどん大きくなって、私の心を埋め尽くしていった。

 

⏰:07/11/24 23:02 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#472 [あんみつ]

17話目更新終了しました
話の展開が遅いです
よかったら感想お願いします
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/11/24 23:10 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#473 [め ぐ]
>>312-500

⏰:07/11/26 22:50 📱:F703i 🆔:dVV6Bg2I


#474 [あんみつ]

めぐさん
またまたありがとうございます

⏰:07/11/28 17:35 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#475 [あんみつ]
18、洋平君


この気持ちを、伝えなきゃならない人がいる。

うまく言葉にできるか分からない。

けど、正直に。

それが私にできる、せめてもの償い。

 

⏰:07/11/28 20:37 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#476 [あんみつ]
――――――――


どんなにつらくても、朝はくる。


今日は、いつもより早く家を出よう。

健二に会わないように。

私を見た時の、健二の態度が怖いから。

予想が、確信に変わるのが怖いから。

 

⏰:07/11/28 20:39 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#477 [あんみつ]
 

「・・・いってきまーす」

ドアノブに手を掛けて、ゆっくりと開ける。

私の気持ちとは裏腹に、眩しいくらいのいい天気。

私はドアを片手で押さえたまま、大きく息を吸った。

(・・・行くか)

そう思って、ドアから手を離そうとした時、私は無意識に健二の家の方を見た。
 

⏰:07/11/28 20:41 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#478 [あんみつ]
 
(・・・えっ)

そこには、ちょうど家から出てくる健二の姿。

私は思わず、もう一度家に入り、ドアを閉めた。

(・・・え、何で??何でこんな早く・・・)

私は恐る恐る、覗き穴から外を見た。

まだ健二は通らない。

気付かれないと分かっていても、なぜか息を潜めてしまう。
 

⏰:07/11/28 20:42 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#479 [あんみつ]
 
(・・・あ)

健二が私の家の前を通り過ぎる・・・と思ったら、立ち止まってこっちを見た。

(何・・・)

健二からこっちが見えるはずないのに、私は目が合っているような気がしてならない。
 

⏰:07/11/28 20:45 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#480 [あんみつ]
 
瞬きができない。

正面から見る健二の顔。

いつもの明るい健二じゃない。

何か言いたそうな・・・そんな顔。

少しして、健二はまた前を向いて歩きだし、私の視界から消えた。

 

⏰:07/11/28 20:46 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#481 [あんみつ]
何、健二??

何か言いたいことがあるの??

あるなら私は、言ってほしいよ。

私だって、言いたいことある。

・・・けど、健二は何も言ってくれないんだね。
 

⏰:07/11/28 20:53 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#482 [あんみつ]
 
それに・・・こんな早くに、学校に行く健二。

・・・ねぇ、健二。

健二も、私を避けたんだね。

・・・予想が、確信に変わっていく。

健二は・・・私から離れたんだね。

 

⏰:07/11/28 20:54 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#483 [あんみつ]
――――――――


結局私は、いつも通りの時間に家を出た。

ちゃんと歩いていたつもりなのに、学校に着いたのがぎりぎりでびっくりした。


「ねこ、今日遅かったね。どしたの??」

1時間目が終わり、奈津美が私のところに来る。
 

⏰:07/11/28 20:59 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#484 [あんみつ]
 
「んー、ちょっとね」

それだけ言うと、奈津美は「ふーん」と言って、前の空いている席に座った。

それから奈津美は、何も言わない。

私は、何も言えない。

 

⏰:07/11/28 21:00 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#485 [あんみつ]
 

奈津美に言いたいこと、聞いてほしいことは、たくさんある。

でも今は、言葉がでない。

それに、奈津美より先に、言わなきゃいけない人がいる。

 

⏰:07/11/28 21:02 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#486 [あんみつ]
 

少しの沈黙のあと、奈津美は私の頭を優しく叩いた。

「言えるようになったら、聞くからね??」

そう言って笑う。

「・・・ありがと」

私が言うと、奈津美は自分の席に帰っていった。

 

⏰:07/11/28 21:03 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#487 [あんみつ]
 

ありがとう。

何度言っても足りないよ。

言える時がきたら、奈津美にもちゃんと話すよ。

奈津美にも、聞いてほしいんだ。

どうしようもない、私の気持ち。

 

⏰:07/11/28 21:05 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#488 [あんみつ]
 

奈津美がいなくなって、私は携帯を取り出した。

カチッカチッ

――――――――
9/20 9:22
To 田村洋平
Sub 無題

話したいことがあるの。
今日の放課後、裏庭に来てほしい。
――――――――

 

⏰:07/11/28 21:06 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#489 [む〜み〜]
更新待ってます(´・ω・`)

⏰:07/12/07 13:49 📱:SO903iTV 🆔:Es2Qr2l.


#490 [あんみつ]

む〜み〜さん
ぁりがとうございます

今テスト中で、ただでさえ遅い更新が、ストップしてました
すみません
まだテスト終わってませんが、時間ができたので今から少し更新しますね

⏰:07/12/08 08:41 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#491 [あんみつ]
――――――――


私、洋平君に支えられたこと、いっぱいあったよ。

けど私は、洋平君に何かしてあげれたかな??

 

⏰:07/12/08 08:43 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#492 [あんみつ]
 

裏庭に着いて、辺りを見回す。

洋平君は、まだ来ていない。

私はベンチに腰を下ろして、静かに目を閉じた。

遠くで、生徒達の笑い声が聞こえる。

 

⏰:07/12/08 08:44 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#493 [あんみつ]
 

『洋平君の事・・・ちゃんと考える』

『・・・健二先輩と、離れてください』

・・・いろいろあった。

いろいろあったよ。
 

⏰:07/12/08 08:46 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#494 [あんみつ]
 
洋平君のことちゃんと考えて、付き合うって決めた。

私の選択は、間違ってたのかな。

結局私は、自分のことしか考えてなかったんじゃないかな。

私は・・・洋平君の優しさに逃げたんじゃないかな。

 

⏰:07/12/08 08:47 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#495 [あんみつ]
 

「ごめん、待った??」

目を開けて上を見ると、洋平君が立っていた。

「・・・ううん、全然」

「そっか。なら良かった」

そう言うと洋平君は、私の隣に腰を下ろした。

洋平君は何も言わない。

雰囲気で分かる。

私の言葉を待ってくれている。

 

⏰:07/12/08 08:49 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#496 [あんみつ]
 

温かい人、優しい人。

この人に・・・嘘はつけない。


「・・・洋平君」

私は、振り絞るように言った。

自分の心臓の音が、やけに大きく聞こえる。

洋平君の方を見ると、洋平君も私を見ていた。

真っすぐな瞳で見られると、胸が苦しくなった。

 

⏰:07/12/08 08:50 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#497 [あんみつ]
 

けど、言わなきゃいけない。

このままじゃいけない。


(・・・洋平君)


『ねこ!!』


(・・・健二)

 

⏰:07/12/08 08:52 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#498 [あんみつ]
 

私は、ゆっくり口を開く。

「・・・洋平君」

私はもう一度言って、息を吸った。


大丈夫、言える。




「・・・私、健二が好きなの」
 

⏰:07/12/08 08:54 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#499 [あんみつ]
 
吐き出すように、言った。

これが、どうしようもない私の気持ち。

「・・・洋平君のこと、好きだよ。けど・・・私にとっての1番は・・・やっぱり健二なの」

少しずつ、少しずつ。

言葉をつなげる。
 

⏰:07/12/08 08:56 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#500 [あんみつ]
 
洋平君は、まっすぐ私を見ている。

怒りとも、悲しみともとれない表情で。

少しも目をそらさない。

「・・・ごめんなさい」

私は頭を下げた。

たまらなく、胸が苦しくなった。

洋平君の真っすぐな瞳から逃げた。

私はやっぱり、弱虫だ。

 

⏰:07/12/08 08:58 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#501 [あんみつ]
 

「・・・謝るなよ」

洋平君が言った。

頭に温もりを感じる。

洋平君の手だ。

私は、そっと顔を上げた。
 

⏰:07/12/08 08:59 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#502 [あんみつ]
 
「俺・・・ねこちゃんが、ちゃんと俺と向き合ってくれて、嬉しかったよ」

洋平君は、優しく笑う。

「・・・ねこちゃんといれて、楽しかったし」

言いながら洋平君は、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。

(・・・何でこんなに)
 

⏰:07/12/08 09:00 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#503 [あんみつ]
 
「・・・て、こら泣くなよ」

洋平君に言われて、自分が泣いてることに気付いた。

洋平君は、袖で涙を拭ってくれる。

「・・・洋平君、優しすぎだよー・・・」

温かい。

洋平君の優しさに、また救われた。
 

⏰:07/12/08 09:02 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#504 [あんみつ]
 
「泣くなって・・・また、ほっとけなくなるから」

洋平君の言葉に、私は目を見開いた。

照れ臭そうに笑う洋平君。

「ほら、笑え!!」

後悔も、不安も吹き飛ばす、洋平君の笑顔。


傷つけてないはずない。

けど、それでも笑ってくれる。

優しい人、強い人。

 

⏰:07/12/08 09:05 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#505 [あんみつ]
 

たくさん傷つけてごめん。

1番じゃなくてごめん。

支えてくれて、ありがとう。

この気持ちに気付かせてくれて、ありがとう。

 

⏰:07/12/08 09:07 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#506 [あんみつ]
 

「・・・ありがと」

私は涙を拭うと、笑った。
それを見て洋平君は、私の頭をぽんぽんと叩く。

「・・・どうしてもつらくなったら、言いなよ。聞くからさ」

そう言うと、洋平君は立ち上がった。

「・・・じゃ、またな!!」

私が返事をしないうちに、洋平君は校舎に向かって走って行った。
 

⏰:07/12/08 09:09 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#507 [あんみつ]
 
(・・・ありがとう)


本当に、本当にありがとう。


「・・・ありがとう」

洋平君の背中に向かって、もう一度つぶやいた。

 

⏰:07/12/08 09:10 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#508 [あんみつ]

18話は以上です
やっと500達成しました
感想くれると嬉しいです
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/12/08 09:21 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#509 [あんみつ]
19、どうすることも


洋平君が笑ってくれるから、私も笑えた。

『健二が好き』

言葉にしたら、気持ちがまた大きくなった気がした。

届かない想いが、苦しくて、切なくて、泣きそうになった。

⏰:07/12/16 16:01 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#510 [あんみつ]
 
・・・届かない。

分かってる。

けど、それでも誤魔化せなかった、止められなかった。

自覚して、どんどん大きくなるこの気持ち。

届かない。

なのに、優しい人を傷付けて、私はこれから、どうすればいいんだろう。

どうしたいんだろう。

.

⏰:07/12/16 16:14 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#511 [あんみつ]
――――――――


「私・・・洋平君と別れた」

「・・・え」

放課後の屋上。

私の言葉に、奈津美は目を丸くした。

「・・・いつ??」

「昨日の、放課後」

奈津美の質問に短く返して、私は奈津美の横に座った。

⏰:07/12/16 16:16 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#512 [あんみつ]
 
フェンス越しに見下ろすグラウンドに、帰って行く生徒や部活の準備をする野球部が見える。

奈津美が隣に座った私を見る。

「・・・何か、ね」

奈津美が何か言う前に、私は口を開いた。

⏰:07/12/16 16:19 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#513 [あんみつ]
 
佐古さんに言われたこと、健二と待ち合わせたこと、健二が来なかったこと。

それと、自覚した私の気持ち。

どうしようもない、私の気持ち。

たどたどしい私の話を、奈津美は黙って聞いてくれた。

話し終えると、私は再び立ち上がった。

⏰:07/12/16 16:21 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#514 [あんみつ]
 
野球部のかけ声が聞こえる。

「・・・ねぇ」

奈津美も立ち上がる。

私を見る奈津美は、泣きそうな目をしていた。

「ねこ・・・これからどうするの??」

.

⏰:07/12/16 19:42 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#515 [あんみつ]
 

『どうするの??』

『どうしたいの??』


気持ちを自覚した日から、何度も何度も、自分に聞いた。

けど・・・

.

⏰:07/12/16 19:54 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#516 [あんみつ]
 

「・・・どうしようもない、かな」

泣きそうな奈津美に、私はへらっと笑って見せた。

「佐古さんとも約束したし・・・健二にも離れられちゃったし」

.

⏰:07/12/16 19:56 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#517 [あんみつ]
 

そう。

私は動けない。

健二に「好き」と言えない。

言ってはいけない。

言ったところで・・・健二にとって私は幼なじみ。

.

⏰:07/12/16 20:00 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#518 [あんみつ]
 

「・・・けど、こんな気持ちのまま、洋平君と付き合えないから」


きっとこの先も、健二を1番に思う気持ちは変わらないから。

むくわれなくても。

離れても。

.

⏰:07/12/16 20:05 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#519 [あんみつ]
 

「・・・うん」

奈津美はうつむいた。

光に透けて茶色っぽい奈津美の髪が、横顔をおおう。

「・・・ねこ、バカだよ」

「・・・うん、バカかも」

カキンッ

バットにボールが当たる金属音が響いた。

⏰:07/12/16 20:29 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#520 [あんみつ]
 
「・・・ふっ」

奈津美の体が揺れた。

そして、うつむいていた顔が上がる。

「バカでも好きだよー、ねこ!!」

奈津美の顔は、笑顔だった。

(・・・奈津美)

⏰:07/12/16 20:30 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#521 [あんみつ]
 
「私もバカな奈津美が好きー!!」

私は奈津美の腕をとった。

「じゃぁ付き合っちゃう!?」

「きゃはは!!」


ありがとう、奈津美。

奈津美がいてくれて良かった。

.

⏰:07/12/16 20:32 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#522 [あんみつ]
――――――――


どうしようもない。

どうすることもできない。

佐古さんの幸せを壊す権利、私にはない。

健二の決心を無駄にすること、私にはできない。

⏰:07/12/16 21:45 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#523 [あんみつ]
 
ただ・・・ただ想っているだけ。

それだけ。


・・・健二、大好きだよ。

.

⏰:07/12/16 21:46 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#524 [あんみつ]
19話目は以上です
携帯変えましたがあんみつです
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/12/16 21:51 📱:D904i 🆔:vTqJY5Nc


#525 [かず]
今読んだ



あいかわらず先が気になるし展開がまだまだわからんなぁ

これからも見守り続けます

⏰:07/12/18 22:43 📱:D703i 🆔:GWjWcVmk


#526 [サト]
>>312ー550
失礼しました

⏰:07/12/18 23:48 📱:D903i 🆔:N1auFjoI


#527 [あっちゃん]
がんばてください

⏰:07/12/23 01:32 📱:SO903i 🆔:WsU9zKcQ


#528 [あんみつ]
かずさん
来てくれてぁりがと

見守っててくれる
完結に向けて頑張るね

⏰:07/12/23 16:16 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#529 [あんみつ]
サトさん
アンカー(?)ぁりがとうございます

⏰:07/12/23 16:18 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#530 [あんみつ]
あっちゃんさん
ぁりがとうございます
よかったら感想板にも来てみてくださいね

あとで更新します

⏰:07/12/23 16:20 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#531 [あんみつ]
20、「好き」と言ったら。


「健二!!」

今日もあの子が教室に来た。

けど、あの子が会いに来たのは俺じゃない。

「おー、ねこ。ちょっと待って」

あの子が会いに来たのは、竹本健二。

俺の親友。



……………洋平's side…

.

⏰:07/12/23 16:36 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#532 [あんみつ]
「あー洋平。こいつ幼なじみのねこ」

「よろしくー!!」

「あ、どーも」


初めて会ったのは高1の春。

笑顔がかわいい子だなって思った。

今思えば、この時からすでに惹かれていたのかもしれない。

.

⏰:07/12/23 16:38 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#533 [あんみつ]
 

「洋平君、健二いる??」

今日もねこちゃんが教室に来た。

「あ、健二今職員室行ってる。すぐ帰ってくると思うよ」

初めて名前を呼ばれて内心ドキドキな俺は、平静を装って答えた。

「じゃあ待っとくや。ありがと!!」

そう言って、ねこちゃんは廊下の壁にもたれる。

.

⏰:07/12/23 16:40 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#534 [あんみつ]
・・・見つめてしまった。

俺は、彼女を。

肩より少し長い髪。

長いまつげに、小さな泣きボクロまで。

カバンを持ち直し、前髪を整える仕草一つ一つも。

なぜだか、目が離せなくて。

・・・恋に、落ちた。

.

⏰:07/12/23 16:44 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#535 [あんみつ]
 

「ねぇ健二と洋平君って、どうやって仲良くなったの??」

俺の視線に気づいてかねこちゃんが話しかけてきて、俺ははっとした。

(うわ、やば・・・)

「あーえっと、初めの宿泊研修の時に同じ班だったからかな」

話してる間ねこちゃんがじっと見てくるから、俺は顔が赤くなっていないか心配だった。

⏰:07/12/23 16:47 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#536 [あんみつ]
 
「へー。あ、健二あれで道間違えたらしいね」

「そう!!オリエンテーションで。健二が絶対あっちだって言い張るから行ったら、見事迷った」

「ははっ!!」

笑うねこちゃんを見て俺は、やっぱり笑顔かわいいな、なんて思ったりした。

「ま、楽しかったけどな」

話していると思い出して、おかしくてまた笑えた。

⏰:07/12/23 16:53 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#537 [あんみつ]
 
「洋平君」

ねこちゃんが、俺を手招きする。

俺はドキドキしながら、ねこちゃんの隣で同じように壁にもたれた。

「何??」

「いや、通りたそうにしてたから」

そう言ってねこちゃんは、教室のドアの方を指差す。

見ると、クラスの女子が何人か出てきていた。

ドアの前に立っていた俺は、相当邪魔になっていたらしい。

⏰:07/12/23 16:56 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#538 [あんみつ]
 
(・・・なんだ)

「・・・健二、昔も同じようなことしてたよ」

がっかりする俺の気持ちなんか、知る由もないねこちゃんが続ける。

「へー??」

「小2の時にね。何でか忘れたけど、学校の帰りに突然海に行こうってことになって」

「2人で??」

「うん。で、健二が南に行けば着くって言うから、川沿いに歩いて行ってたの。ひたすら」

ねこちゃんは、懐かしそうに話す。

⏰:07/12/23 17:01 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#539 [あんみつ]
 
そんなねこちゃんを見ながら俺は、ねこちゃんに着いてきてもらえる小2の健二を羨ましく思ったりした。

遠い昔のことに、バカみたいだけど。

「けど、海なんか着かないし夜になっちゃって、結局探しにきた親に連れ戻されたの。しかも後から知ったけど、南じゃなくて北に向かってたらしいし」

⏰:07/12/23 17:04 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#540 [あんみつ]
 
「ははっ!!健二って昔から人のこと振り回してたのか」

「ねー!!・・・けど、憎めないんだよね」

そう言ってねこちゃんは、今までで1番かわいく笑った。

・・・ように見えた。

.

⏰:07/12/23 17:07 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#541 [あんみつ]
 

俺の感は当てにならない。

けど、嫌な予感がする。

もし、もしも俺の感が当たっていたら・・・もしかしたら、ねこちゃんは・・・


「あ、健二!!」

「悪い、ねこ。遅くなった」

健二が帰ってきた。

ねこちゃんは、嬉しそうに健二に歩み寄る。

.

⏰:07/12/23 17:09 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#542 [ァリ]
失礼します

<<1-100
<<101-200
<<201-300
<<301-400
<<401-500
<<501-600
<<601-700
<<701-800
<<801-900
<<901-1000

⏰:07/12/23 17:10 📱:P702iD 🆔:m8g6Q5a6


#543 [あんみつ]
 

・・・つらい恋を予感した、高1の夏。

あれから約1年たった。

何度も気になることはあった。

けど、それでも俺は、違うかもしれない、「幼なじみ」としてかもしれない、と甘い期待を抱いていた。

.

⏰:07/12/23 17:11 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#544 [あんみつ]
ァリさん
ぁりがとうございます

⏰:07/12/23 19:49 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#545 [あんみつ]
――――――――


高2の夏。

健二が後輩に告白された。


「健二、振ったんだって??」

放課後、健二と俺が話しているところに割り込んできたのは、同じクラスの岡崎。

多分、佐古さんのことだろう。

確かに健二は先週、告白されたその日に振った。

⏰:07/12/23 21:06 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#546 [あんみつ]
 
「あぁ。・・・てか、何で知ってんの??」

健二が、不思議そうに聞き返す。

「その子、俺の知り合い」

「あー、そうなん??」

「あぁ。俺の部活の後輩と同じクラスの子」

岡崎は真顔で答える。

(・・・知り合い、か??)

「で、どうしても付き合えない??」

突っ込む暇も与えず、岡崎が言った。

⏰:07/12/23 21:08 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#547 [あんみつ]
 
「あぁ」

そっけない健二の返事に、岡崎は小さくため息をつく。

「やっぱ無理か。・・・けど健二、あの子はただの幼なじみだろ??」

あの子は、ねこちゃんのことだろう。

しつこい岡崎に、だんだんと健二の顔が険しくなってくる。

⏰:07/12/23 21:14 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#548 [あんみつ]
 
「・・・ねこは関係ねーよ??」

健二が答える。

無理に作った笑顔が逆に怖い。

確かに岡崎もうるさいが、何があったのか今日の健二は機嫌が悪い。

このまま続けさせるわけにはいかない。

そう思って止めようとすると、後ろのドアのところからねこちゃんが覗いているのが見えた。

⏰:07/12/23 21:19 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#549 [あんみつ]
 
(あ、いいところに)

「おい、健・・・」

「竹本先輩!!」

俺の言葉は、健二を呼ぶ声に遮られた。

声のした方を見ると、前のドアのところで活発そうな女の子が、健二に向かって手を振っている。

「は??何で・・・」

言いながら、健二は岡崎を睨む。

⏰:07/12/23 21:24 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#550 [あんみつ]
 
「俺じゃねーよ!!」

睨まれた岡崎は、慌てて首を横に振る。

(・・・あの子が佐古さんか)

健二の性格からして、いくら機嫌が悪くても無視はできないだろう。

思った通り、ため息をつきながらも、健二は佐古さんの方に向かった。

ねこちゃんには、気づいていない。

⏰:07/12/23 21:48 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#551 [あんみつ]
 
俺が再び後ろのドアのところを見ると、ねこちゃんと目があった。

と思ったら、さっとドアの陰に隠れてしまった。

一瞬見えた顔は、泣きそうだった。

(・・・あ)

俺は立ち上がった。

けど、そこから足が動かない。

.

⏰:07/12/23 21:53 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#552 [あんみつ]
 

追いかけて、俺は何を言うつもりなんだ??

どうするつもりなんだ??

・・・分からない。

けど・・・


(・・・ほっとけない)

俺は教室を飛び出した。

⏰:07/12/23 22:00 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#553 [あんみつ]
 
ねこちゃんは、もう廊下にいない。

俺は廊下を走って、1段飛ばしで階段を駆け下りる。

1階まで下りて、ようやく下駄箱のところに後ろ姿を見つけた。

(・・・あ)

「・・・ねこちゃん!!」

呼んだ。

ねこちゃんが振り向く。

⏰:07/12/23 22:03 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#554 [あんみつ]
 
「・・・洋平君」

声にいつもの元気がない。

(えっと・・・)

「あいつ・・・健二、呼ばなくて良かったの??」

何か言わなきゃと思って出た言葉は、こんなものだった。

「あー・・・うん、たいした用じゃないから」

ねこちゃんが答える。

.

⏰:07/12/23 22:05 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#555 [あんみつ]
 

嘘つくなよ。

いっつも用なくても、一緒に帰ってるじゃん。


「・・・そ??」

けど、これ以上は言えない。

「うん、大丈夫」


どこがだよ。

無理して笑ってんのばればれなんだよ。

.

⏰:07/12/23 22:13 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#556 [あんみつ]
 

「じゃ、ばいばい!!わざわざありがとね」

ねこちゃんが、後ろを向いて帰ろうとする。

「ねこちゃん!!」

俺は無意識のうちに、また呼び止めていた。

ねこちゃんが、ゆっくりと振り返る。

「・・・え??何??」

・・・泣きそうな顔をしていた。

.

⏰:07/12/23 22:14 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#557 [あんみつ]
 

俺は、彼女に何を言おうとしたのだろう。

佐古さん、まだ諦めてないみたいだよ。

・・・言ったらねこちゃんは、健二を諦める??

俺のことを好きになる??

・・・いや、そんなことを言っても、傷つけるだけだ。

悩ませるだけだ。

⏰:07/12/23 22:17 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#558 [あんみつ]
 
健二より、自分のことを好きになってほしい。

けど、ねこちゃんを傷つけたいわけじゃない。

悩ませたいわけじゃない。

それに・・・泣きそうな彼女に、言えるわけがない。

.

⏰:07/12/23 22:18 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#559 [あんみつ]
 

「あ、えっと・・・やっぱ何でもない。・・・てか、健二にはねこちゃんが来てた事、言わない方がいい??」

何でこんなこと言ったのか、自分でも分からない。

ただ、何となくその方がいい気がした。

「あっ・・・うん」

「分かった。じゃ、またな!!」

笑顔で言えた。

⏰:07/12/23 22:20 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#560 [あんみつ]
 
俺はねこちゃんに背を向けて、再び階段を上がっていく。

下駄箱から見えない所まで上がって、俺は立ち止まった。

頭に浮かぶのは、ねこちゃんの泣きそうな顔ばかり。

.

⏰:07/12/23 22:22 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#561 [あんみつ]
 

高2、7月の初め。

確信する。

好きな人の好きな人は、俺の親友。

幼なじみとしてじゃない。

ねこちゃんは・・・健二が好きだ。

.

⏰:07/12/23 22:23 📱:D904i 🆔:6H/vLUkE


#562 [南雲]
>>313-550

⏰:07/12/24 00:42 📱:SH905i 🆔:LPbMPAms


#563 [(´;ω;`)]

<Font Size="-3">
アンカー
>>1-50
>>50-100
>>100-150
>>150-200
>>200-250
>>250-300
>>300-350
>>350-400
>>400-450
>>450-500
>>500-550
>>550-600
>>600-650
>>650-700
>>700-750
>>750-800
>>800-850
>>850-900
>>900-950
>>950-1000</Font>

⏰:07/12/26 00:23 📱:SH905i 🆔:kh3mttDE


#564 [健二]
自分の名前が出てきてビックリした(笑)

⏰:07/12/30 01:55 📱:PC 🆔:tJ6JJp3U


#565 [あんみつ]
南雲さん
(´;ω;`)さん
ありがとうございます

健二さん
感想板の方にお返事しました

明日更新します

⏰:07/12/30 20:48 📱:D904i 🆔:IvjMyUfk


#566 [あんみつ]
――――――――


「・・・はぁー」

「幸せ逃げるぞ」

ねこちゃんが健二のことを好きだと、確信してから1週間。

無意識のうちに出た俺のため息に対して、健二が言った。

(この・・・鈍感)

ガンッ!!

俺は、健二が座っている俺の前の席のイスを、下から蹴った。

⏰:07/12/31 08:51 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#567 [あんみつ]
 
「・・・おい、どした??」

怒るかと思った。

けど健二は、怒るどころか心配そうに言うから、自分のしたことがひどく後ろめたくなった。

「・・・悪い、何でもない」


今のは、ただのやつあたりだ。

健二は悪くない。

・・・分かってる。

けど、心の奥では健二に嫉妬してる自分がいる。

.

⏰:07/12/31 08:53 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#568 [あんみつ]
 

「・・・ふーん??」

それだけ言うと、健二は読んでいた漫画に目を戻した。


健二の機嫌が悪かったのは結局あの日だけで、次の日からはいたって普通の健二だった。

ねこちゃんとも、いつも通り一緒に来て、一緒に帰ったりしている。

.

⏰:07/12/31 08:55 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#569 [あんみつ]
 

「・・・なぁ」

「んー??」

健二は、漫画を読みながら答える。

「佐古さんのこと、どうなった??」

俺は、気になっていたことを聞いた。

.

⏰:07/12/31 08:57 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#570 [あんみつ]
 

あの日、ねこちゃんを追いかけていった後教室に戻ったら、すでに佐古さんはいなかった。

まだ教室にいた健二に聞いたところ、どうやら「諦めません」と言われたらしい。

が、それ以降、佐古さんについての話は何も聞いていない。


俺の問いに、健二の目線がぴたりと止まった。

ゆっくりと漫画を閉じて、俺と向かい合う。

⏰:07/12/31 08:59 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#571 [あんみつ]
 
「・・・それがさ」

いきなり小声で話し出す健二。

「メールやら電話やら来るんだよ」

言いながら健二は、いかにもうんざりという顔をした。

「は??健二、教えたん??」

「教えてねーよ。・・・多分、あいつだろ」

そう言って健二は、黒板の前の辺にいる岡崎に目線をやる。

⏰:07/12/31 09:01 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#572 [あんみつ]
 
(・・・あぁ)

俺は静かに頷く。

健二の様子からして、もう岡崎に問いただすのも面倒らしい。

「初めの内は返事してた・・・つっても、すぐ切ってたんだけど。もうめんどくせー・・・」

健二は、片手で頭を押さえた。

.

⏰:07/12/31 09:03 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#573 [あんみつ]
 

健二が佐古さんになびく様子は、全くない。

少なくとも、今のところは。

健二にとってねこちゃんは幼なじみ。

今までも、今も、多分これからもずっと。

.

⏰:07/12/31 09:05 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#574 [あんみつ]
 

健二とねこちゃんを初めて見た時、他の奴と同じように俺も聞いた。

『ただの幼なじみ??好きとかは全くねーの??』

ねこちゃんのことが気になったから。

それもある。

けど、ただ単に不思議に思う気持ちもあった。

ずっと一緒にいて、すごく仲良くて、女として見たことはないのか。

⏰:07/12/31 09:06 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#575 [あんみつ]
 
『好きだよ。大事な幼なじみとしてな』

そう言って健二は、照れくさそうに笑った。

あの健二の笑顔に、嘘はない。

けど、それは、ねこちゃんの想いは叶わないってことで。

多分、ねこちゃんもそれを分かってるから。

だから、健二に気持ちを伝えれないんだろう。

「好き」と言ったら、関係が壊れてしまう気がして。

⏰:07/12/31 09:08 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#576 [あんみつ]
 
・・・じゃあ、俺は??

俺は、ねこちゃんが好きだ。

ねこちゃんは、健二が好きだ。

俺の想いは叶わない。

・・・だけど、本当にそれだけなのか??

.

⏰:07/12/31 13:34 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#577 [あんみつ]
 

「・・・でさ、さっき、今日の放課後、話があるから残っててってメール来たんだけど」

健二の言葉で、俺は一気に現実に引き戻された。

「・・・は??て、佐古さんから??」

間の抜けた声が出た。

「あぁ。・・・まぁ俺も、このままなわけにもいかねーし」

健二は、声のことには触れずに言う。

⏰:07/12/31 13:37 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#578 [あんみつ]
 
(・・・まぁな。・・・てか)

「・・・それ、ねこちゃんには??」

「・・・あぁ、先帰っといてって言わねーとな」

健二の答えは、俺が聞いた内容とは多少ずれている。

が、分かった。

ねこちゃんにはまだ言ってないらしい。

俺は心の中で、胸をなで下ろした。

⏰:07/12/31 13:39 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#579 [あんみつ]
 
(それなら・・・)

「俺が言っといてやるよ」

「は??何で洋平が・・・」

「いーから!!言っといてやるって」

半ば無理矢理、健二をうなずかせた。


・・・何、必死になってんだ俺。

.

⏰:07/12/31 13:40 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#580 [あんみつ]
――――――――


放課後。

俺は急いで、ねこちゃんのクラスに向かう。

ねこちゃんが健二の所に行かないうちに、早く。

健二ははっきり言うつもりらしい。

けど、話の内容どーこーより、健二と佐古さんが一緒にいるのを見せたくなかった。

傷つく顔を見たくなかった。

.

⏰:07/12/31 14:42 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#581 [あんみつ]
 

ドンッ!!

「きゃ!!」

「わっ、ごめん!!大丈夫??」

廊下の曲がり角の所で誰かにぶつかって、俺はとっさに言った。

「あー、やっぱり洋平君」

聞くだけで鼓動が速くなる、この声。

下を向くと、思った通り、そしてタイミング良くねこちゃんがいた。

隣にねこちゃんの友達もいる。

⏰:07/12/31 14:45 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#582 [あんみつ]
 
「あれ??ねこちゃん。ごめん、大丈夫??」

平静を装って聞く俺。

「うん、全然平気。どしたの??急いで」

「あー、ちょっとねこちゃんに用があって」

「私??」

「健二が・・・何か用できたから先帰っててって」

俺は、何度も頭の中で練習した言葉を言う。

「そうなんだ・・・分かった。ありがと」

ねこちゃんは一瞬残念そうな顔をしたが、すぐ笑顔で言った。

.

⏰:07/12/31 15:01 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#583 [あんみつ]
 

・・・嘘は言ってない。

が、隠し事はしてる。

何だか罪悪感がある。


「うん。・・・ねこちゃん、もう、すぐ帰る??」

「うん、帰るけど??何??」

「いや、別に。お気を付けて!!」

俺は、隠し事がばれないうちに立ち去った。

⏰:07/12/31 15:03 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#584 [あんみつ]
 
これで、とりあえずは安心だ。

そう思いながら、俺は少し遠回りして下駄箱に向かう。

下駄箱に着いた時、ちょうどそこから出て行こうとする、見覚えのある後ろ姿があった。

(あれ・・・)

「・・・ねぇ!!」

声をかけて、その子が振り向く。

「あれ??えっと、洋平君??」

.

⏰:07/12/31 15:08 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#585 [あんみつ]
 

やっぱり。

さっき、ねこちゃんの隣にいた友達だ。

以前、少しだけ話をしたことがある。

どうして・・・


「1人??ねこちゃんは??」

隣にねこちゃんは、いない。

「あー、何か忘れ物したから先に帰ってって」

(・・・まじかよ)

「ありがと!!」

俺はそう言って、急いで戻ろうとした。

⏰:07/12/31 16:04 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#586 [あんみつ]
 
(・・・あ)

「えっと、木原さんばいばい!!」

思い出した名前を言って、俺は走り出した。


嫌な予感がする。

早く、早く。

どうか、間に合いますように。

.

⏰:07/12/31 16:10 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#587 [あんみつ]
 

階段を駆け上がって、廊下の曲がり角を曲がる。

「・・・はぁ」

俺の願いも虚しく、見えたのは、避けたかった光景。

2組のドアの所に立つ、ねこちゃんの後ろ姿だった。

(・・・くそっ)

小さく舌打ちをして、俺は素早く、けど静かにねこちゃんに近づく。

⏰:07/12/31 16:41 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#588 [あんみつ]
 
ねこちゃんは少しも動かない。

近くまできて、俺はねこちゃんの手首を掴んで引っ張った。

その時かすかに聞こえたのは、佐古さんの声。

俺は、ねこちゃんの手を引いて走った。

.

⏰:07/12/31 16:43 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#589 [あんみつ]
――――――――


走って、階段を上がって屋上に出た。

「・・・はぁ・・・はぁ」

俺に合わせて無理に走らせたから、ねこちゃんは息が上がっている。

俺は掴んでいた手首を放して、初めてねこちゃんの方を見た。

が、顔を見る前にねこちゃんはしゃがみこんでしまった。

⏰:07/12/31 21:45 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#590 [あんみつ]
 
「・・・すぐ帰るって言ってたのに。・・・何で戻って来ちゃったんだよ」

そう言って俺も、隣に腰を下ろす。

そして、自分の腕に顔をうずめているねこちゃんの頭を撫でた。

「・・・うっ・・・ひっく・・・」

ねこちゃんの体が震える。

.

⏰:07/12/31 21:47 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#591 [あんみつ]
 

悲しんでる顔を見たくなかった。

もちろん、泣いている顔も。

けど、君は泣いてる。

俺じゃない。

健二のために。


俺は、ずっとねこちゃんの頭を撫でていた。

「・・・家まで送るよ」

日が沈みかけた頃、俺は落ち着いたねこちゃんに言った。

.

⏰:07/12/31 21:49 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#592 [あんみつ]
 

アスファルトに並んで伸びる、2つの影。

ねこちゃんと並んで歩くことに、すごくドキドキしてる。

けど、ねこちゃんの腫れた目を見る度に、胸が締め付けられた。

.

⏰:07/12/31 21:50 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#593 [あんみつ]
 

・・・何でだよ。

「幼なじみ」だから??

だから、「好き」と言えない??

「好き」と言ったら、壊れてしまうから??

ずっと、気持ちを心の中に隠したまま??

・・・そんなのやめちゃえよ。

そんなつらい恋、やめちゃえよ。

.

⏰:07/12/31 21:52 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#594 [あんみつ]
 

・・・じゃあ、俺は??

好きな人には、好きな人がいるから??

だから、「好き」と言わない??

このまま・・・やめれるのか??

.

⏰:07/12/31 21:54 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#595 [あんみつ]
 

「・・・あのっ、もうこの辺でいいよ」

沈黙を破って、ねこちゃんが言った。

「・・・そう??」

「うん。・・・今日は、本当にありがとう」

そう言って、力なく笑う。

「うん・・・」

俺はしぶしぶ、自転車カゴからねこちゃんのかばんを取る。

.

⏰:07/12/31 21:55 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#596 [あんみつ]
 

・・・やめれるわけがない。

そんな簡単な気持ちじゃない。

好きなんだ。

大好きなんだ。

笑っていてほしい。

笑わせてあげたい。

.

⏰:07/12/31 21:57 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#597 [あんみつ]
 

「・・・洋平君??」

なかなかかばんを離さない俺に、ねこちゃんが不思議そうな顔で言った。

俺は、地面を見た。


「好き」と言ったら、それで終わりかもしれない。

けど、俺は・・・

.

⏰:07/12/31 21:59 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#598 [あんみつ]
 

「・・・もう、健二のために泣くなよ」

「・・・え??」

俺は顔を上げて、ねこちゃんを見た。

「ねこちゃんに泣いてほしくないんだ」

.

⏰:07/12/31 22:01 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#599 [あんみつ]
 

「好き」と言ったら、終わってしまうかもしれない。

けど・・・「好き」と言わないまま、終われない。

もう、放っておけない。

だったら・・・


「・・・好きなんだ」

.

⏰:07/12/31 22:02 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#600 [あんみつ]
 

言わないままじゃ、終われない。

だったら、賭けてみようと思ったんだ。


「俺は、ねこちゃんの事が好きだ」


・・・「好き」と言ったら、その先に「終わり」じゃない何かがあるって、信じたかった。

.

⏰:07/12/31 22:04 📱:D904i 🆔:iTVZMdxU


#601 [かず]
今読んだ


洋平わかなり複雑な気持ちで「好き」って言うたんやろなぁ


応援したりたいケド健二とねこもくっついてほしいしなぁ



これからも楽しみにしてるんでよろしくです

⏰:08/01/01 21:58 📱:D703i 🆔:ktLkzclY


#602 [あんみつ]
かずさん
ありがと
てか、楽しみにしてくれてんのに遅くてごめんね
洋平君編が終わったら奈津美と佐古さんのも書きたいから、ねこ目線に戻るのだいぶ先になりそうだし

今から更新します

⏰:08/01/06 14:14 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#603 [あんみつ]
――――――――


ねこちゃんに、「好き」と言った。

俺はねこちゃんの言葉を遮って、返事を聞くのを先延ばしにした。


終わらせたくなかった。

必死だったんだ。

.

⏰:08/01/06 14:18 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#604 [あんみつ]
 

「好き」と言ったことに、後悔はない。

けど、一方的すぎる俺の告白のせいで、ねこちゃんが余計に悩んでやしないか不安だった。

だから、ねこちゃんが俺のことを真剣に考えるって、好きになりたいって言ってきてくれた時、本当に嬉しかったんだ。

.

⏰:08/01/06 14:20 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#605 [あんみつ]
――――――――


7月31日、夏休み1日目。

俺は部屋で、昨日のことを思い出していた。


『私・・・洋平君のこと、好きになりたいの。だから・・・もっと洋平君のこと、知りたいの』

『それは、前向きに考えてくれる・・・って事??』

俺の言葉に、ねこちゃんはうなずいてくれた。

.

⏰:08/01/06 22:26 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#606 [あんみつ]
 

本当に、本当に嬉しかった。

「好き」と言ったら、終わりじゃなかった。

大丈夫。

まだ、頑張れる。

これからだ。


ピーピピーピー♪

携帯が鳴った。

ベットに寝転んでいた俺は、その体勢のまま机の上の携帯に手を伸ばしたが、取れなかったので仕方なく起き上がる。

⏰:08/01/06 22:28 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#607 [あんみつ]
 
――――――――
7/31 19:08
From 竹本健二
Sub 無題

明日暇??
話あるんだけど。
――――――――

(・・・やっと来たか)

メールを見て、俺は思った。

.

⏰:08/01/06 22:29 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#608 [あんみつ]
 

ここんとこずっと、健二はおかしかった。

話をしてても上の空で、1人で何か考え事をすることが多くなった。

けど、健二が俺に対してそうするように、俺も健二が自分から話すまで、何も言わないことにした。

まぁ原因は、佐古さん。

それか・・・ねこちゃんだろうと思う。

.

⏰:08/01/06 22:31 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#609 [あんみつ]
 

昨日、健二と佐古さんが一緒にいるのを見た。

佐古さんは相変わらず嬉しそうで、健二は前ほど迷惑がってなさそうに見えた。

健二も、まんざらではないんじゃないか。

佐古さんの頑張りは、報われてきてるんじゃないか。

そんな気がする。

・・・けどきっと、健二の話したいことは、それだけじゃない。

ねこちゃんのことも、何かあるはずだ。

.

⏰:08/01/06 22:32 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#610 [あんみつ]
 
俺がねこちゃんに告白した頃から、ねこちゃんはうちのクラスに来なくなった。

初めのうちは、俺を避けてるのかと思って、だいぶへこんだ。

けど、違った。

ねこちゃんは、俺があいさつをすると普通に返してくれる。

ただ1つ、俺と健二が一緒にいる時を除いては。

健二とすれ違う時、ねこちゃんはうつむくようにして歩く。

・・・ねこちゃんが避けてるのは、健二だ。

.

⏰:08/01/06 22:34 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#611 [あんみつ]
 

ねこちゃんが健二と、うまくいってほしいわけじゃない。

けど、お互いに目も合わせない2人を見て、俺は目を覆いたくなった。

矛盾している。

うまくいってほしくない。

けど、仲が悪くなってほしくもない。

俺は、お人好しなのかもしれない。

ねこちゃんと健二の仲が悪くなったら、俺の恋にとっては、その方がいいはずなのに。

⏰:08/01/06 22:36 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#612 [あんみつ]
 
俺は喜ぶどころか、悲しくなってくる。

それはきっと、2人にとってお互いが、大切な存在なのが分かってるから。

1年ちょっと見てきて、「好き」とか以前に2人には固い絆みたいなのがあるって。

だから・・・こんな風に終わってほしくない。

なくならないものがあるって、信じたいんだ。

.

⏰:08/01/06 22:37 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#613 [あんみつ]
 

カチカチッ

――――――――
7/31 19:15
To 竹本健二
Sub Re:

いいよ、暇。
てか俺も話したいことあるし。
うちにでも来る??
――――――――

メールを返した後、今度は枕元に携帯を置いて、俺は再びベッドに寝転んだ。

(・・・話したいことが、ある)

⏰:08/01/06 22:39 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#614 [あんみつ]
 
ピーピピーピー♪

やけに返ってくるの早いな、と思いつつ携帯を開く。

――――――――
7/31 19:16
From 根宮奈子
Sub Re:Re2:Re2:Re2:

うち、ねこ飼ってるよー!!
洋平君の家は??
――――――――

健二からかと思ったメールは、ねこちゃんからだった。

.

⏰:08/01/06 22:41 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#615 [あんみつ]
 

ねこちゃんとは、昨日からたわいもないメールのやり取りが続いている。

それだけでも俺は、ねこちゃんのことを知るのが楽しくて、俺のことを知ってもらえるのが嬉しかった。

距離が縮まっていく気がして、嬉しかった。

.

⏰:08/01/06 22:42 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#616 [あんみつ]
 

ピーピピーピー♪

返事を打とうとした時、また携帯が鳴った。

――――――――
7/31 19:18
From 竹本健二
Sub Re:Re:

そうする。
何時頃行けばいい??
――――――――

今度こそ、健二からだった。

俺は、ねこちゃんにメールを打つのを途中で止めて、健二とねこちゃんから来たメールを見比べた。

⏰:08/01/06 22:43 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#617 [あんみつ]
 
頭に浮かぶのは、楽しそうに話す2人の姿。

俺は、頭を左右に振った。

(・・・何でこうなんだ、俺は)

「・・・はぁー」

俺は、携帯を置いて目を閉じた。


俺も、話したいことがある。

話さなくちゃいけないことがある。

.

⏰:08/01/06 22:44 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#618 [あんみつ]
 
今日は以上にします
よかったら読んでみてください
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:08/01/06 22:47 📱:D904i 🆔:oazS//9U


#619 [あんみつ]
――――――――


俺が健二に、ねこちゃんのことが好きだと言ったら、健二は勇んで協力しようとしただろう。

ねこちゃんの気も知らずに。

そうなったら、気持ちの言えないねこちゃんは、つらいだろう。

だから俺は、言わなかった。

けど、ねこちゃんに「好き」と言った今。

もう、言ってもいいんじゃないか??

.

⏰:08/01/07 13:39 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#620 [あんみつ]
 

ピンポーン

チャイムが鳴って、俺は玄関に向かう。

「おっす」

ドアを開けると、健二がいた。

ついて来た俺の家の犬が、健二の足に飛び付く。

⏰:08/01/07 13:41 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#621 [あんみつ]
 
「お、ユンタ。俺のこと覚えてんのか??」

嬉しそうにしっぽを振るユンタ。

健二はしゃがんで、ふさふさの毛を撫で回す。

「ま、入れよ」

俺の言葉に健二は、ユンタを抱えて立ち上がった。

.

⏰:08/01/07 13:42 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#622 [あんみつ]
 

ジュースの缶を2本持って、階段を上がる。

部屋のドアを開けると、先に上がらせた健二がユンタとじゃれていた。

「お前も犬だな」

言いながら俺は缶を開けて、1口飲む。

「うるせー」

仰向けになっていた健二は、笑いながら自分の上のユンタをどかして起き上がった。

そして、同じようにジュースを飲む。

⏰:08/01/07 13:44 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#623 [あんみつ]
 
懲りずにじゃれつくユンタを、健二は片手で相手をする。

「・・・あのさー」

健二が口を開いた。

俺は、缶を机に置く。

「俺、佐古と付き合うわ」


いきなりだった。

好きかもとか、好きになるかもとか、そんな言葉を予想していた俺は、すぐに言葉が出なかった。

.

⏰:08/01/07 13:46 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#624 [あんみつ]
 

沈黙に耐えられなくなった健二は、ジュースを飲む。

「・・・ゴホッ!!」

飲んだ途端、健二は吹き出した。

ユンタがびっくりして飛び退く。

「うわ、きたねー!!」

俺は、慌ててティッシュを渡す。

健二は、苦しそうに咳き込む。

「ゴホッ・・・ゲホッ・・・てか洋平!!何か言えよ!!」

口と机を拭きながら健二が言う。

⏰:08/01/07 13:47 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#625 [あんみつ]
 
「・・・わりー。・・・佐古さんのこと、好きなの??」

俺は聞いた。


本当は、聞かなくても分かる。

照れを隠すようにジュースなんか飲んで、咳き込む健二。

緊張していたのだろう。

それに何より健二は、何とも思ってない子と付き合うようなやつじゃない。

.

⏰:08/01/07 13:49 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#626 [あんみつ]
 

健二は照れたように頭をかいて、下を向いた。

「・・・話してて、けっこうかわいいとこあるなって思って、もっと話したいって思って・・・好きかな、と」

言ってから健二は、再びユンタを撫で回す。

俺はそんな健二を見ながら、こいつかわいいな、なんて思ったりした。

変な意味じゃなくて、素直に。

⏰:08/01/07 13:52 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#627 [あんみつ]
 

きっと、いっぱい考えたんだろう。

それで出した答えなら、俺は文句言わない。


「・・・佐古さんには??」

「・・・まだ。・・・明日言う」

「・・・そっか」

「・・・おう」

・・・再び沈黙。

⏰:08/01/07 13:53 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#628 [あんみつ]
 
ドカッ

俺は机の下から、健二の足を蹴った。

「何だよ!!」

「ははっ!!・・・よかったな」

健二の友達として言って、俺は笑った。

健二も照れ臭そうに笑う。

「・・・ありがとな」

.

⏰:08/01/07 13:54 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#629 [あんみつ]
 

友達として、本当に嬉しかった。

心から祝ってやりたかった。

けど、ねこちゃんの気持ちを考えたら、少しだけ心が陰った。

屈託なく笑う健二に対してか、ねこちゃんに対してかは分からないが、俺は少しの罪悪感を覚えた。


「・・・で??洋平の話は??」

健二が言う。

⏰:08/01/07 13:57 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#630 [あんみつ]
 
「俺は・・・」

健二がねこちゃんのことを話したら言おうと思っていた俺は、口をつぐんだ。


健二は、ねこちゃんのことは話さないのか??

けど、何もないわけがない。


「・・・健二、ねこちゃんと何かあった??」

思い切って、聞いた。

⏰:08/01/07 13:58 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#631 [あんみつ]
 
ユンタをじゃれつかしていた健二の手が、ぴたりと止まる。

その手で頭を押さえた。

「・・・やっぱそれか」

健二はそう言って、力なく笑う。

「・・・何か、幼なじみって言ってもさ。お互いの全部を知ってるわけじゃないし、言いたくないこともあるし。・・・分かってんだけど・・・」

健二はそこで、一度息を吐いた。

俺は、黙って聞く。

⏰:08/01/07 14:00 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#632 [あんみつ]
 
「・・・最近のねこの態度見てたら、それ実感してさ。なんだかんだ言っても俺、一番ねこのこと分かってんのは自分だと思ってたから・・・何か・・・寂しくて」

健二の顔から、笑いは消えている。

「一番は俺じゃない・・・って。そう思ったら、俺もねこに言いたいこと言えなくなって、それで喧嘩して・・・くだらねーよな」

.

⏰:08/01/07 14:04 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#633 [あんみつ]
 

口ではそう言うけど、それで2人がこんなになるなら、くだらなくないだろ。

・・・きっと、ねこちゃんが言わないのは、健二への気持ちだ。

けど、言えるわけがない。

もちろん、俺も。

だから、俺は聞く。

.

⏰:08/01/07 14:05 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#634 [あんみつ]
 

「・・・これから、どうすんの??」

「・・・戻りてーよ」

健二は、振り絞るように言った。


・・・こんな健二、見たことない。


「・・・なんてな!!まぁとりあえずは、流れに身を任す」

いきなり顔を上げて、健二は言った。

そして、ニッと笑ってみせる。

.

⏰:08/01/07 14:07 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#635 [あんみつ]
 

・・・強がってんだろーが。


「てか、洋平の話そんだけ??」

健二が聞く。


言っていいのか??

今の健二に。

けど・・・いつかは分かるんだ。

それなら・・・

.

⏰:08/01/07 14:09 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#636 [あんみつ]
 

「・・・俺さ」

俺は、ゆっくり口を開く。

「俺、ねこちゃんのことが好きなんだ」

言った。

健二が、驚いた顔で俺を見る。

(・・・やっぱ気付いてなかったか)

「黙ってたけど・・・本当は、1年の時からずっと好きだった」

健二に相手をしてもらえなくなったユンタが、俺の所に来た。

⏰:08/01/07 14:11 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#637 [あんみつ]
 
「・・・で、この間ねこちゃんに告白した」

「は!?」

ここで初めて、健二が声を出した。

俺は、ユンタを自分の膝に乗せてやる。

「・・・ねこは何て??」

驚きを隠せない健二が聞く。

「前向きに・・・考えてくれるって」

それを聞いた健二は、はーとかへーとか、驚きの声をもらす。

⏰:08/01/07 14:12 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#638 [あんみつ]
 
ガンッ

俺の話が終わったと分かると、健二は机の下から俺の足を蹴った。

「何だよ!!」

「洋平、見る目あるな!!」

そう言って笑う健二の顔に、嘘はなかった。

.

⏰:08/01/07 14:14 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#639 [あんみつ]
――――――――


健二が帰った後、俺はねこちゃんにメールを送った。

――――――――
8/1 16:28
To 根宮奈子
Sub 無題

7日の夜って暇??
よかったら祭り行かない??
できれば2人で。
――――――――

メールを待つ間、時間がやけに長く感じた。

⏰:08/01/07 14:15 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#640 [あんみつ]
 
ピーピピーピー♪

メールが来て、俺はドキドキしながら携帯を開く。

――――――――
8/1 16:36
From 根宮奈子
Sub Re:

行けるよ☆
何時に待ち合わす??
2人でもいいよ。
――――――――

⏰:08/01/07 14:17 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#641 [あんみつ]
 
(・・・よ)

「っしゃー!!」

思わず叫んだ。


それだけ、嬉しかったんだ。

それだけ、ねこちゃんとの約束が、俺にとって特別だったんだ。

.

⏰:08/01/07 14:19 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#642 [あんみつ]
――――――――


『私・・・洋平君と付き合う』

祭りの夜。

花火を見ながら、ねこちゃんが言ってくれた言葉。

握った左手の温もり。

今でも忘れない。

.

⏰:08/01/07 17:41 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#643 [あんみつ]
 

『大事にする』

ねこちゃんのこと、ずっと守っていきたい。

ずっと笑わせてあげたい。

そう思ったんだ。

なのに・・・

.

⏰:08/01/07 17:42 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#644 [あんみつ]
 

『・・・ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??』

・・・あんなこと、言うつもりじゃなかった。

ねこちゃんと付き合う前。

『健二の事、・・・まだ想っててもいい。俺はその想いごと、ねこちゃんを大事にしていける』

俺は、そう言った。

⏰:08/01/07 18:13 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#645 [あんみつ]
 
けど・・・健二とねこちゃんが手をつないで走る姿を見て、俺の心は平静を保ってはいられなかった。

健二に嫉妬して、ねこちゃんを困らせた。

傷つけた。

・・・最低だ。

.

⏰:08/01/07 18:15 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#646 [あんみつ]
 

「・・・洋平」

借り物が終わって、健二が話しかけてきた。

「・・・何だよ」

俺の声は、自分でも分かるくらいぶっきらぼうだった。

「っ・・・ねこと付き合ってんのは、お前だろ!!」

健二が怒鳴るように言った。

⏰:08/01/07 20:38 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#647 [あんみつ]
 
この一言で、健二が何を言いたかったのか、だいたい分かる。

けど今の俺は、素直にそれを受け止められない。

「そうだよ!!けどっ・・・」

俺は、言おうとした言葉を何とか呑み込む。

「・・・ごめん」

呑み込んだ言葉に代わって言った。

.

⏰:08/01/07 20:39 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#648 [あんみつ]
 

『1番は俺じゃない・・・』

なぁ健二。

お前はあの時、俺にそう言ったよな。

けど、俺から見たらねこちゃんにとっての1番は、やっぱり健二なんだよ。

これまでも・・・今も。

.

⏰:08/01/07 20:41 📱:D904i 🆔:G8vxcjfk


#649 [さ−]


>>312-700

⏰:08/01/07 23:11 📱:F703i 🆔:rp8LEM/I


#650 [あんみつ]
さ−さん
ありがとうございます

⏰:08/01/11 14:52 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#651 [あんみつ]
――――――――


こんな日が来るんじゃないかって、ずっと思ってた。


「・・・私、健二が好きなの」

ねこちゃんが、吐き出すように言った。

体の中を、冷たいものが通り抜けた気がした。


本当は、話があるって言われた時から、なんとなく分かってた。

けど、認めたくなかった。

.

⏰:08/01/11 14:54 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#652 [あんみつ]
 

「・・・洋平君のこと、好きだよ。けど・・・私にとっての1番は・・・やっぱり健二なの」

ねこちゃんは、続ける。

ゆっくりと、自分の気持ちを言葉にしていく。


・・・健二なんだな。

分かってた。

分かってたけど・・・いいのか??

ねこちゃんは、それで。

.

⏰:08/01/11 14:56 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#653 [あんみつ]
 
また、つらい恋になるよ??

これからもまた、そんな想いを抱えてくのか??

けど・・・そんなこと言えない。

きっと、いっぱい悩んで考えて。

それで、つらい恋を、健二への想いを選んだんだ。

それだけ、ねこちゃんの中で健二は、大きな存在だったのだろう。

俺は、それを越えられなかった。

・・・きっと今、俺が何を言っても変わらない。

.

⏰:08/01/11 14:58 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#654 [あんみつ]
 

「・・・ごめんなさい」

ねこちゃんが、頭を下げる。

(・・・何で)

「・・・謝るなよ」

俺は、ねこちゃんの頭に手を置いた。

「俺・・・ねこちゃんが、ちゃんと俺と向き合ってくれて、嬉しかったよ」

ねこちゃんが、俺を見る。

「・・・ねこちゃんといれて、楽しかったし」

.

⏰:08/01/11 15:00 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#655 [あんみつ]
 

だから、謝るな。

俺は、後悔してない。

ねこちゃんに、「好き」と言ったこと。

ねこちゃんを、好きになったこと。


ねこちゃんの目から涙がこぼれた。

「・・・て、こら泣くなよ」

俺は袖で、それを拭う。

「・・・洋平君、優しすぎだよー・・・」

ねこちゃんが言う。

.

⏰:08/01/11 17:16 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#656 [あんみつ]
 

優しくなんかないよ。

俺は、ねこちゃんをいっぱい傷付けた。

優しくなんか・・・ない。


「泣くなって・・・また、ほっとけなくなるから」

俺は、そう言って笑って見せた。

「ほら、笑え!!」

俺の言葉に、ねこちゃんは自分の手で涙を拭う。

⏰:08/01/11 17:19 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#657 [あんみつ]
 
「・・・ありがと」

ねこちゃんは、笑顔で言った。

俺は、ねこちゃんの頭をぽんぽんと叩く。


頑張れなんて言えない。

頑張っても、君はどうせ泣くだろう??

だから、俺は言う。

.

⏰:08/01/11 17:21 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#658 [あんみつ]
 

「・・・どうしてもつらくなったら、言いなよ。聞くからさ」

俺に言える、精一杯。

ねこちゃんが何か言う前に、俺は立ち上がった。

「・・・じゃ、またな!!」

校舎に向かって、走った。

後ろを振り向かずに。

走りながら、鼻の奥がツンとなった。

.

⏰:08/01/11 17:27 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#659 [あんみつ]
――――――――


ねこちゃんと別れてから、1週間。

傷は、まだまだ癒えない。


「洋平、俺帰るわ」

健二が立ち上がって言った。

「おう、じゃあな」

俺が言うと健二は、ドアの所にいる佐古さんの方へ向かっていく。

.

⏰:08/01/14 09:21 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#660 [あんみつ]
 

俺が健二に冷たく当たっても、健二は普通に俺に話しかけてくれた。

あんないい奴は、いない。

そう思う。

けど、俺は健二に、ねこちゃんと別れたことをまだ言っていない。

⏰:08/01/14 09:25 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#661 [あんみつ]
 
ねこちゃんと健二の様子が、またおかしいことに気付いたから。

それもある。

けど本当は、正直健二に対して悔しい気持ちがあるから。

だから・・・まだ言わない。


(・・・俺も帰るか)

俺は、カバンを持って立ち上がった。

.

⏰:08/01/14 09:26 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#662 [あんみつ]
 

俺は、ねこちゃんに「好き」と言ったことを、後悔してない。

けど実際の所、ねこちゃんはどうなんだ??

傷つけてばかりだった。

俺と付き合ったこと、後悔してないのか??

.

⏰:08/01/14 09:28 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#663 [あんみつ]
 

「・・・あ」

下駄箱で、ねこちゃんの友達に会った。

木原さんだ。

俺は、軽く頭を下げた。

向こうも気付いて、頭を下げる。

俺と別れたことは、ねこちゃんから聞いているのだろう。

木原さんは少し気まずそうだった。

⏰:08/01/14 09:30 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#664 [あんみつ]
 
「・・・じゃ」

俺は靴を履き替えて、木原さんの横を通り過ぎようとする。

「・・・洋平君!!」

呼ばれて俺は立ち止まった。

振り返ると、俺を呼んだ本人木原さんは、少し赤くなった顔で俺を見ていた。

「・・・あのっ・・・ねこは、洋平君に救われたと思う」

一瞬下を向いた後、言った。

⏰:08/01/14 09:31 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#665 [あんみつ]
 
「ねこは、洋平君と付き合ってよかったと思う。・・・だから・・・」

言葉を詰まらせた木原さんの顔が、赤みを増していく。

「・・・ありがとう」

少しうつむいた木原さんに、俺は言った。

木原さんは、パッと顔を上げて俺を見る。

そして、少し照れたように笑った。

.

⏰:08/01/14 09:32 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#666 [あんみつ]
 

木原さんと別れて、俺は駐輪場に向かう。

自転車をこぎ始めると、少し涼しくなった風が顔に当たった。


ただの同情かもしれない。

けど木原さんの言葉は、俺の中にすんなりと入ってきて、ぽかりとあいた心の穴をほんの少しだが埋めてくれた。

・・・少し、救われた気がした。

.

⏰:08/01/14 09:34 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#667 [あんみつ]
 

『ねこは、洋平君に救われたと思う』

そうかな??

『ねこは、洋平君と付き合ってよかったと思う』

・・・そうだと、いいな。


木原さんの言葉は、俺の中に暖かく響く。

.

⏰:08/01/14 09:35 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#668 [あんみつ]
 

『洋平君!!』


ねこちゃんの笑った顔が、頭に浮かんだ。

胸が痛む。

(・・・あー)

「・・・あー!!」

横を流れる川に向かって思い切り叫んだら、自分の中の余計なものを吐き出した気がして、少し気分がすっとした。

.

⏰:08/01/14 09:37 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#669 [あんみつ]
 

・・・よし、大丈夫。

俺は大丈夫だ。

だから、願う。


大好きな君に、幸あれ。

.

⏰:08/01/14 09:38 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#670 [あんみつ]
20話目の洋平君目線は以上です
長かった割に微妙な感じ・・・
キリがいいんで感想板貼っときます
読んだ方、感想くれると嬉しいです
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/
次の21話目は奈津美目線になります

⏰:08/01/14 09:46 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#671 [あんみつ]
21、「好き」と言えない。


できることなら気付きたくなかった。

けど、あなたのこと見てたら気付いちゃった。

あなたの目線の先にいるのが、私の親友だってこと。



…………奈津美's side…

.

⏰:08/01/14 15:53 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#672 [あんみつ]
 

話した回数なんて、数える程しかない。

私の名前を覚えてくれてるのかさえ危うい。


「奈津美ー、今日うち寄る??」

「うん!!」

ねこの誘いに、私は大きくうなずいた。

.

⏰:08/01/14 15:55 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#673 [あんみつ]
 

根宮奈子、縮めて「ねこ」。

高校に入ってすぐに仲良くなった、私の友達。

高1の秋。

今では、大好きな私の親友。

.

⏰:08/01/14 15:56 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#674 [あんみつ]
 

「あ、健二のとこ寄っていい??一緒に帰れないって言わなきゃ」

廊下を歩きながら、ねこが言った。

「うん、いいよー」

私たちは、健二君のクラス、2組に向かう。

.

⏰:08/01/14 15:58 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#675 [あんみつ]
 

健二君は、ねこの幼なじみ。

そして・・・ねこの好きな人。

幼なじみという立場から、健二君に「好き」と言えないねこ。

ねこは、健二君が好き。

けど、健二君にとって、ねこはただの幼なじみらしい。

1番近くにいるねこが言うんだから、きっとそうなんだろう。

.

⏰:08/01/14 15:59 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#676 [あんみつ]
 

転勤族だった私には、幼なじみと呼べる人がいない。

けど、ねこの気持ちはよく分かる。

叶わないと分かってて気持ちを伝えるなんて、できない。

ねこみたいに、相手との関係が壊れるんじゃないかと思うとなおさら。

怖くて、「好き」と言えない。

.

⏰:08/01/14 16:31 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#677 [あんみつ]
 

「あ、健二!!」

2組のドアの所から、ねこが健二君を手招きした。

気付いた健二君が、こっちに来る。

健二君の隣には、友達だろう、背の高い男子が一緒にいた。

「ねこ、ごめん!!今日一緒に帰れんわ。洋平んち寄るから」

来るなり健二君が言った。

⏰:08/01/14 18:06 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#678 [あんみつ]
 
「あー、ならよかった。私も今日奈津美と帰るから」

ねこが、私を見て言う。

「そうなん??じゃ木原さん、こいつのことよろしくねー」

健二君がねこのお母さんみたいな口調でいうから、おかしくて笑えた。

「あははっ!!まかしといてー!!」

⏰:08/01/14 18:08 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#679 [あんみつ]
 
「洋平君も、健二のことよろしくね!!」

ねこは、もーっという顔をした後、健二君の隣の男子に言った。

「ははっ!!了解」

洋平君と呼ばれた男子が、笑って答える。


・・・それだけだった。

優しそうに笑う顔が、ちょっといいなって思った。

ただ、それだけだった。

.

⏰:08/01/14 20:22 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#680 [あんみつ]
――――――――


別に、好きになったわけじゃない。

けど・・・何だか少し、気になる人。


「今日の日直ー、このあとすぐ職員室来てくれ」

帰りのSHRの時、担任が言った。

「うえー、今日私だー」

そう言って、ねこが机にうなだれる。

⏰:08/01/14 20:48 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#681 [あんみつ]
 
SHRが終わって私が近づくと、ねこはむくりと起き上がった。

「ついてないねー」

私はそう言って、ぽんぽんとねこの頭を叩いた。

「ほんとに!!どうせ雑用だよー」

言いながらねこは、座ったまま地団太を踏む。

⏰:08/01/14 20:51 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#682 [あんみつ]
 
「・・・あ!!健二に先帰ってって言わなきゃ!!」

ねこが思い出したように言った。

「根宮ー。早く来いよー」

「えー!!」

担任の呼ぶ声に、ねこが焦る。

「・・・私、言っとこうか??」

.

⏰:08/01/14 20:52 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#683 [まあ]
あげ

⏰:08/01/19 23:37 📱:D904i 🆔:z4VRGs.A


#684 [あんみつ]
まあさん
機種一緒ですね
ありがとうございます

⏰:08/01/20 15:44 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#685 [あんみつ]
――――――――


私は今、2組の前にいる。

ねこの代わりに、健二君に伝言を伝えるため。


(・・・えーと)

後ろのドアから、そっと中を覗く。

すでにあまり人がいない教室に、健二君がいないことはすぐ分かった。

⏰:08/01/20 15:46 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#686 [あんみつ]
 
(えー、どうしよ・・・)

「あれ??」

しつこく教室の中を見ていた私の後ろから、聞き覚えのある声がした。

私は、驚いて後ろを振り向く。

「・・・あ」

(・・・洋平君)

目の前には、洋平君がいた。

⏰:08/01/20 15:48 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#687 [あんみつ]
 
「ねこちゃんの友達だよね??」

不思議そうな顔で、私を見る。

「あ、うん」

私はうなずいた。

(・・・覚えててくれたんだ)

そう思うと、嬉しくなった。

.

⏰:08/01/20 15:49 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#688 [あんみつ]
 

洋平君のこといいなって思ったあの日から、約1ヶ月。

本当は、どこかで見かける度、無意識に目で追ってた。

背の高いその姿を、何度も探した。

今日だって・・・本当は、会いたかった。

もっと、話してみたかったんだ。

.

⏰:08/01/20 15:52 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#689 [あんみつ]
 

「で、どしたの??」

洋平君が聞く。

(わ、えっと・・・)

「あ、ねこが健二君に先帰ってて・・・って言ってたの伝えに来たんだけど」

私は、どぎまぎしながら答えた。

洋平君が私の上から、教室の中を覗く。

⏰:08/01/20 15:54 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#690 [あんみつ]
 
「あれ、健二いねーな。荷物あるから戻ってくるとは思うけど・・・伝えとこうか??」

「あ・・・じゃあ、お願い」

「ん、分かった」

洋平君は、笑顔で言った。

(・・・やっぱいいな)

「あ、てかあれねこちゃんじゃない??」

洋平君が、廊下の窓から外を指さす。

見ると、2階の渡り廊下を、ねこがプリントを抱えて歩いていた。

⏰:08/01/20 15:56 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#691 [あんみつ]
 
「あーほんとだ・・・」

ねこを見てそう言った後、私は隣にいる洋平君を見た。

(・・・あ)

ドクンッ

自分の、心臓の音が聞こえた気がした。

ねこを見つめる・・・洋平君の優しそうな顔。

⏰:08/01/20 15:58 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#692 [あんみつ]
 
「あ、じゃあバイバイ!!伝えとくから」

洋平君は突然言って、教室に戻るのかと思ったら、廊下を早足で行ってしまった。


・・・ここで、止めておけばよかった。

大人しく、帰っていればよかった。

けど私は、じっとねこの姿を見ていたんだ。

.

⏰:08/01/20 16:00 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#693 [あんみつ]
(・・・あ)

ねこに、走って近づく後ろ姿。

・・・洋平君だ。

洋平君はねこを引き止めて、何やら話している。

そして、ねこの持っているプリントを半分持った。

2人は、並んで校舎に消えた。

.

⏰:08/01/20 16:01 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#694 [あんみつ]
 

「木原さん??どしたの??」

呼ばれて、私はハッとした。

隣には、いつの間にか健二君がいた。

「あ・・・ねこが、用事できたから先に帰っててって」

「そうなん??わざわざありがとね」

「ううん。じゃ、バイバイ!!」

私はそう言って、健二君の横をすり抜けた。

.

⏰:08/01/20 16:04 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#695 [あんみつ]
 

大丈夫。

別に、好きなわけじゃないし。

ちょっといいなって、思っただけだし。


階段を下りながら、私は深呼吸した。


・・・大丈夫。

洋平君がねこを好きでも、関係ない。

・・・まだ、恋じゃない。

.

⏰:08/01/20 16:06 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#696 [我輩は匿名である]
>>600-750

⏰:08/01/20 17:29 📱:D902iS 🆔:MKauKImE


#697 [あんみつ]
匿名さん
ありがとうございます

⏰:08/01/27 16:59 📱:D904i 🆔:NhPeZHpY


#698 [あんみつ]
――――――――


洋平君はねこを見てる。

ねこは健二君を見てる。

私は・・・恋なんかしてない。


高2、夏の始まり。

「奈津美はさ・・・好きな人いないの??」

放課後、突然ねこが聞いてきた。

(・・・好きな人、か)

.

⏰:08/01/27 17:02 📱:D904i 🆔:NhPeZHpY


#699 [あんみつ]
 

ねこには、私が洋平君をいいなって思っていたことは、言っていない。

別に、もう関係ないし。


「私??・・・んー私は・・・」

ドンッ!!

「きゃ!!」

いないよ、と言おうとしたら、廊下の曲がり角から突然現れた人にぶつかって、ねこがよろけた。

⏰:08/01/27 17:03 📱:D904i 🆔:NhPeZHpY


#700 [あんみつ]
 
(・・・あ)

「ごめん!!大丈夫??」

洋平君だ。

ねことぶつかったのは、洋平君だった。

久しぶりに見るその姿に、私は思わず固まった。

.

⏰:08/01/27 17:06 📱:D904i 🆔:NhPeZHpY


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