*柴日記*
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#750 [向日葵]
「あれ?違うの?」

「……。いいや、当たり」

「で、なんなの?翠ちゃんや圭ちゃんが心配してるわよ」

祐子は膝を抱え、目の前にある植木をじっと見つめた。

語ろうとして、口を開くもやっぱり閉じる。
それを何回か繰り返しながら、頭の中で色々と整理をしていく。

「あたしは、そいつの事を何も知らなかった。そいつにとって、あたしは多分一番大切な人なのに、そいつは何も言ってくれないし、教えてくれない……」

今、彼が何を思ってるかなんて分からない。

⏰:08/12/02 00:37 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#751 [向日葵]
「じゃあ教えてってねだればいいじゃん」

「え……」

当たり前のような顔をしてさやかは言った。
あまりに早く返事を返されたので、祐子はびっくりして言葉が出てこない。

「人はどうして他の動物と違って言葉を発するようになったか。行動だけじゃ足りなかったからでしょ?なら言葉を有効に使いなさいよ」

カラカラ笑いながらさやかは言う。
さやかには悩みと言う言葉ほど似合わないものはなさそうだ。
清々しささえ感じるさやかに、祐子は思わず笑う。

⏰:08/12/14 00:57 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#752 [向日葵]
言葉……。
確かに言いたい事はふせていたかもしれない。
どこかで、一朗なら分かってくれてるとか甘えた考えと同時に、聞きたくない言葉も返ってきそうで怖かった、と祐子は思う。

相手ばかり責めて、いけなかったのは自分もではないか。

「で?圭ちゃんにはもう言ったの?」

「言う訳ないでしょ。圭ちゃんそれでなくても体のわりにはノミの心臓なんだから。それに親バカだし。言ったら卒倒しちゃうよ」

「でもアンタを夢中にする奴なんて、あたしも見てみたいよ」

「いつか……ね」

一朗と、しっかり向き合う覚悟が出来て、一朗がまだ自分を好きならば……。

⏰:08/12/14 01:03 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#753 [向日葵]
山の向こうへ飛んで行くカラスを眺めながら、祐子は思う。

「祐子ちゃーん、さやかちゃーん。スイカ切れたわよー」

―――――――――…………

新学期が始まり、祐子はいつもどおり学校へ行く。

「祐子さぁんっ!」

クラス中の女子が、久しぶりに姿を見せた祐子の元に集まり抱きつく。
いっぺんに体にしがみつかれた祐子は重力に逆らえず床へ尻餅をつく。

「もう大丈夫なの!?」

「すっごく心配したんだからねーっ」

「入院先くらい教えてくれればいいのにぃー」

⏰:08/12/14 01:07 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#754 [向日葵]
口々に、しまいには泣いてしまいそうな女子たちに、祐子は困りながらも薄く微笑む。
1年前の自分には想像出来ない光景だ。

「ありがとうね……。みんな」

みんなを引き剥がし、祐子は鞄を机に置くと、すぐに教室を出て行った。

向かう先はもちろん、一朗のクラス。

逢いたい……。
自分を変えてくれた、大切な人のもとへ……。

教室を廊下から見てみるが、一朗の姿はなかった。
まだ来ていないのかと肩を落とす。

⏰:08/12/14 01:11 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#755 [向日葵]
踵をかえそうとした瞬間、祐子の体が包まれた。
耳元に、荒い息遣いが聞こえる。

祐子が目を見開き、驚けば驚く程包まれている力が強くなった。

「逢いたかった……」

かすれて聞こえる、一朗の声。
自分を包むのは、紛れもなく一朗の腕だ。
人目も気にせず、鞄を床にほうって、強く強く祐子を感じるように抱き締める。

「逢いたかった……っ」

苦しそうに、愛おしいそうに言うから、祐子の胸が締めつけられる。
硬直させていた腕を、ゆるゆると動かし、一朗の背中へ控えめにまわす。

⏰:08/12/14 01:17 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#756 [向日葵]
いや、まわしかけた。

その手をギュッと握って、力一杯一朗を押す。
一朗がよろけた隙に、祐子は駆け出した。

「祐子さんっ!」

そう……追いかけて来て……。
あなたの目に、あたししか映らないように。
あなたの頭が、あたしでいっぱいになるように。

あなたの全てが、あたしで埋め尽くされるように……。

ずっと走って、祐子は屋上へと来た。
フェンスまで走っていくと、閉じ込めるようにして一朗が網に手をかける。

⏰:08/12/31 01:35 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#757 [向日葵]
むせるくらい、息があがっている。

「もう、逃げないで……」

疲れてるのか、本当に色々と限界なのか、一朗の目つきが鋭い。
走ったせいではなく、心臓がドキドキする。

髪の奥にまで一朗の細長い指が入り込み、祐子の頭を包む。
せして熱く、唇を重ねる。

息もたえだえに、けれどやっと触れられる喜びでいっぱいになる。

ようやく離れて、一朗はゆっくりと話し出す。

「この二ヶ月ほど、僕は気が狂いそうだった。君には拒絶される、その後には風の噂で入院したと聞いた。」

⏰:08/12/31 01:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#758 [向日葵]
苦しそうに、眉を寄せる。
一朗は祐子の手を痛いと感じるほど強く握る。
祐子は一朗の言葉に心揺れながら、必死に聞いている。

「逢いに行きたかった。でもまた拒絶されれば?そう思えば怖くて、怖くて……。祐子さんを傷つけた事を死ぬほど後悔したよ……」

いつの間にか、祐子は涙を流していた。
どの感情からきている涙かは分からない。
けれど後からとめどなく流れ続けてくる。

「お願いだからそばにいて……。僕には、君が必要なんだ……。君がいてくれなきゃ、嫌なんだ……」

⏰:08/12/31 01:46 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#759 [向日葵]
祐子は更に涙を流す。

ずっと、誰かに必要とされたかった。
誰かの支えになりたかった。
誰かのそばにいたかった。

その全てを、一朗は叶えてくれる。

「あたしだって……そばにいたい……」

どんなに離れても、心は正直で、求めてしまう。
それを運命と呼ぶのならば、本当に一朗とは見えない糸で小指と小指が繋がっているのだと祐子は信じれた。
いや、信じたいと思った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから卒業し、一朗は大学へ、祐子は就職をし、5年後、結婚した。

⏰:08/12/31 01:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#760 [向日葵]
子供には恵まれなかったが、今は越達がいるから寂しくない。

一朗と出会えて、心から嬉しい……。

―――――――――
――――――――――――

「―――さん。……祐子さん」
祐子はパチリと目を覚ました。
どうやら寝てしまっていたらしい。
枕がわりにしていた自分の腕が痛い。

「風邪ひくよ。どうして布団で寝ないの」

「あ、神田……」

「何言ってるのさ、君も神田だよ」

⏰:08/12/31 01:53 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#761 [向日葵]
ハッとした。

ああ現実か。

一朗はあの頃とあまり変わらないから、夢と現実がごちゃごちゃになっていた。

そしてよくよく考えれば、一朗は結婚記念日を忘れていたと言ったのだと思い出す。
祐子はぷいとそっぽを向く。

「言われなくても寝てやるよ。晩ごはんは一朗さんが嫌いな野菜の天ぷらだからねっ」

「え?別に嫌いじゃないよ」

立ち上がった祐子は勢いよく振り返る。

「高校時代に、そういうので喧嘩したじゃないか!それすら忘れた!?」

⏰:08/12/31 01:58 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#762 [向日葵]
一朗はポケッとしていたかと思うとふにゃっと相貌を崩してくすくす笑い出した。

「祐子さんは意外にヤキモチ焼きなんだね。いつの話さ」

馬鹿にされたような気がするから、祐子は一朗のそばを通りすぎて部屋から出ていこうとした。
が、一朗がそれを阻止する。
祐子は後ろ向きに一朗の腕の中におさまる。

「確かにね、得意ではなかったよ」

「ほらみろ!」

「でもね、好きな人が作ったものは、なんでも美味しく感じるんだよ。……不思議だね」

最後だけ耳元で囁くから、祐子は胸を高鳴らせる。
耳から赤くなってしまう。

⏰:08/12/31 02:03 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#763 [向日葵]
「そ、そんな事しても、機嫌治さないからなっ!」

「忘れてないよ、今日は結婚記念日でしょ?」

「えっ?」と蛙が踏まれたような声で祐子は聞き返す。
一朗の方を見れば、にっこりと笑っている。

「どうやら祐子さんは、記憶を捏造して子供たちに教えてるみたいだから、ちょっと意地悪してみたんだ」

「捏造って……あたしゃ何も……っ」

「へー。じゃあ僕は君におとされて夫婦になったって話は聞き間違い?」

意地悪そうに笑いながら訊ねるから、祐子は返す言葉がなく口を鯉か何かのようにパクパクさせて固まる。

⏰:08/12/31 02:08 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#764 [向日葵]
「僕が、君をおとした筈なんだけど?」

「……でも好きになったのはお前からなんだから、変わらないだろ……」

バツが悪そうに口を尖らす。

確かにおとされたと言ったらカッコ悪い気がして嘘はついたけれど……。

「だからね、おあいこ。ハイ、これあげる」

細長い箱だった。
開けて見れば、小さなダイヤが輝きを放って存在を主張している銀のネックレスだった。

「これからも仲良くしようね。大好きだよ、祐子さん」

⏰:08/12/31 02:13 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#765 [向日葵]
不覚にも、祐子は一粒涙を流してしまう。
見られたくなくて、顔を背ける前に、またギュッと抱き締められた。

幸せすぎて、やっぱり泣けてくる。

いつだってそうだ。
溢れんばかりの気持ちをくれる一朗に、祐子はいつも負けてしまう。許してしまう。

そしてドンドン、好きになってしまうのだ。

本当、ズルイ人だ……。
こんなの一生勝てっこない……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

陰でこっそり二人の様子を見守っていた越と柴はホッと胸を撫で下ろした。

⏰:08/12/31 02:17 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#766 [向日葵]
「良かった、仲なおりして」

にっこり笑う越に、柴も微笑み返す。

「じゃあ寝ようか」

と階段を上がりかけた越の腕を、柴が引っ張る。

「ん?何?」

「俺たちもさ、あんな風に素敵な夫婦になろうね」

越はしばらく考えてから顔を真っ赤にさせる。
そんな越に、柴は笑みを深くする。

「そ……だね……」

そんな未来が、待ち遠しい。

誰かと一緒に歩む事を約束している未来は、一番の幸せなのかもしれない……。

⏰:08/12/31 02:21 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#767 [向日葵]
夫婦日記

fin

⏰:08/12/31 02:22 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#768 [向日葵]
*あとがき*

夫婦日記を書き終え、これにて柴日記の全てを終わりにしたいと思います

読んで頂いた皆様、応援してくださいました皆様、アドバイスをくださいました皆様、ありがとうございました
そしてノロノロ更新申し訳ありませんでした

まだ、ギンリョウソウという話を更新中ですので、良ければ読んで下さい

本当にありがとうございました

向日葵

⏰:08/12/31 02:25 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#769 [向日葵]
*感想板*
よければ下さい

>>682

*アンカー*
よければ使って下さい

>>2-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800

⏰:08/12/31 02:29 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#770 [我輩は匿名である]
すげーおもしろそうなのであんかーしつれいします
>>2-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800

⏰:10/01/04 18:51 📱:PC 🆔:☆☆☆


#771 [ひな]
あげ(^^)

⏰:10/01/10 11:54 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#772 [なな]
 
失礼します◎

>>2-50
>>50-100
>>100-150
>>150-200
>>200-250
>>250-300
>>300-350
>>350-400
>>400-450
>>450-500
>>500-550
>>550-600
>>600-650
>>650-700
>>700-750
>>750-800
>>800-850

⏰:11/08/09 20:06 📱:SH011 🆔:☆☆☆


#773 [&◆JJNmA2e1As]
完〜👩‍✈️👨‍🚒👩‍🚒👨‍🎨👩‍💼

⏰:22/09/30 18:46 📱:Android 🆔:☆☆☆


#774 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>1-30
>>30-60
>>60-90
>>90-120
>>120-150

⏰:22/10/04 04:31 📱:Android 🆔:☆☆☆


#775 [○○&◆.x/9qDRof2]
 希望ある未来は、本当に待っているのだろうか。

 ねぇ、きみはいま、何を思う?

⏰:22/10/04 08:18 📱:Android 🆔:☆☆☆


#776 [○○&◆.x/9qDRof2]
🌹 ゚🥀 ゜゚ 🌹£+:。.。:+£🌹 ゚🥀 ゜゚ £+:。.。
🌹 ゚🥀 ゜゚ 🌹£+:。.。:+£🌹 ゚🥀 ゜゚ £+:。.。

⏰:22/10/04 08:18 📱:Android 🆔:☆☆☆


#777 [○○&◆.x/9qDRof2]
👑🌙🌟🍯🥂🧁🍋👑🌙🌟🍯🥂🧁🍋
👑🌙🌟🍯🥂🧁🍋👑🌙🌟🍯🥂🧁🍋

⏰:22/10/04 08:18 📱:Android 🆔:☆☆☆


#778 [○○&◆.x/9qDRof2]
・ 。
 💖∴。 
  ☆  ・゚💕。
  ✨❤ ☆  
  ・ ゚💗。・゚💝。
 ☆。·*・。
    💛゚・。 🌸・。
 💖 ✨☆。💗✨
  ・゚💕✨°
     💖 ゚・。 ♡ 。
       ゚✨ 💝 。

⏰:22/10/04 08:19 📱:Android 🆔:☆☆☆


#779 [○○&◆.x/9qDRof2]
。 ☆  ゚。
* 。* + * ・ 。☆͙
☆ * * 。
 ゚・ 。゚・ ☆゚
. ∩∩
(。・-・) Good nighty ☆
━OuuO━┓

⏰:22/10/04 08:19 📱:Android 🆔:☆☆☆


#780 [○○&◆.x/9qDRof2]
 __________
 | ( ^o^)ノ  おやすみー
 |\⌒⌒⌒ \
  \|⌒⌒⌒⌒|

⏰:22/10/04 08:19 📱:Android 🆔:☆☆☆


#781 [○○&◆.x/9qDRof2]
 雨のち晴れ。わたしのからだを、夏のぬるい雨が打つ。こころの中も同じく晴れていない。闇が、わたしのこころに突き刺さる。

.......まぁ、これは比喩なんだけど。

⏰:22/10/04 09:23 📱:Android 🆔:☆☆☆


#782 [○○&◆.x/9qDRof2]
どうせならもっと明るいものに刺されたい。上を向く気力が出ない。向いてもどうせ雨雲だけ。傘が無くても雨宿りしようとは思わなかった。でも光化学スモッグに侵されたこの街の雨は、体にチクチクと突き刺ささってすごく痛い。

.......まぁ比喩なんだけど。

⏰:22/10/04 09:23 📱:Android 🆔:☆☆☆


#783 [○○&◆.x/9qDRof2]
どうせならもっと優しい雨に刺されたい。そう思って、とりあえず街から離れるためにバスに乗り込む。以外と乗車してる人は多い.......って、いま、雨降ってたんだっけ。バスの中でもずぶ濡れのわたしに視線が痛く突き刺さる。まぁ比喩なんだけど。どうせならもっと柔らかい視線に刺されたい。

⏰:22/10/04 09:24 📱:Android 🆔:☆☆☆


#784 [○○&◆.x/9qDRof2]
バスの中はうつ向いてやりすごした。着いた先は駅。視線を避けるようにうつ向いたまま、さっさと特急電車に乗り込んだ。尖った視線はもう慣れた。街から離れる程に人は減る。でもその分、馴れ馴れしい人が増える。あまり話し掛けてほしくなかったから、ここでもうつ向いて歩いていった。

⏰:22/10/04 09:24 📱:Android 🆔:☆☆☆


#785 [○○&◆.x/9qDRof2]
着いた場所は田舎町の、ある1軒の家。久しぶりに来た気がする。そこで初めて顔を上げて、家を見上げる。


 いつの間にか雨はあがっていた。あれ?上を向いただけなのに視界が明るくなった気がする。突き刺さるものは柔らかい。

⏰:22/10/04 09:24 📱:Android 🆔:☆☆☆


#786 [○○&◆.x/9qDRof2]
これも比喩?

ううん、違う。明るくて、優しくて、柔らかいものを感じる。後ろを振り返ると、眩しさに目が眩んだ。田舎の山々の上に広がる入道雲。その更に上で輝く太陽。太陽の光を受けた蒸気が、虹となって山々に掛かっていた。

⏰:22/10/04 09:24 📱:Android 🆔:☆☆☆


#787 [○○&◆.x/9qDRof2]
.......あぁ、そっか。暗かったのも、怖かったのも、尖ってたのも、わたしが下を向いていたせいなんだ。


だって、そうでしょう?

いつでもそこにある空が、こんなにも。

⏰:22/10/04 09:25 📱:Android 🆔:☆☆☆


#788 [○○&◆.x/9qDRof2]
後ろの家の戸が開き、聞き慣れた声が聞こえてきた。

「あら、あんた.......帰ってくるなら電話の1本ぐらい入れたらいいのに。なんかあったのかい?」
「別に。何となくだよ」

本当はふられちゃったからなんだけど。

⏰:22/10/04 09:25 📱:Android 🆔:☆☆☆


#789 [○○&◆.x/9qDRof2]
ホームシックになって何が悪い。でも、思ったより早くにわたしのこころの雨はあがった。もう大丈夫。だって、そうでしょう?そこにいつでもある空が、こんなにも。

⏰:22/10/04 09:25 📱:Android 🆔:☆☆☆


#790 [○○&◆.x/9qDRof2]
こんなにも、おっきいんだから。

⏰:22/10/04 09:25 📱:Android 🆔:☆☆☆


#791 [○○&◆.x/9qDRof2]
 雨のち晴れ。わたしのからだを、夏のぬるい雨が打つ。こころの中も同じく晴れていない。闇が、わたしのこころに突き刺さる。

⏰:22/10/04 09:26 📱:Android 🆔:☆☆☆


#792 [○○&◆.x/9qDRof2]
.......まぁ、これは比喩なんだけど。

どうせならもっと明るいものに刺されたい。上を向く気力が出ない。向いてもどうせ雨雲だけ。傘が無くても雨宿りしようとは思わなかった。でも光化学スモッグに侵されたこの街の雨は、体にチクチクと突き刺ささってすごく痛い。

⏰:22/10/04 09:27 📱:Android 🆔:☆☆☆


#793 [○○&◆.x/9qDRof2]
.......まぁ比喩なんだけど。

どうせならもっと優しい雨に刺されたい。そう思って、とりあえず街から離れるためにバスに乗り込む。以外と乗車してる人は多い.......って、いま、雨降ってたんだっけ。バスの中でもずぶ濡れのわたしに視線が痛く突き刺さる。まぁ比喩なんだけど。どうせならもっと柔らかい視線に刺されたい。

⏰:22/10/04 09:27 📱:Android 🆔:☆☆☆


#794 [○○&◆.x/9qDRof2]
バスの中はうつ向いてやりすごした。着いた先は駅。視線を避けるようにうつ向いたまま、さっさと特急電車に乗り込んだ。尖った視線はもう慣れた。街から離れる程に人は減る。でもその分、馴れ馴れしい人が増える。あまり話し掛けてほしくなかったから、ここでもうつ向いて歩いていった。

⏰:22/10/04 09:27 📱:Android 🆔:☆☆☆


#795 [○○&◆.x/9qDRof2]
着いた場所は田舎町の、ある1軒の家。久しぶりに来た気がする。そこで初めて顔を上げて、家を見上げる。


 いつの間にか雨はあがっていた。あれ?上を向いただけなのに視界が明るくなった気がする。突き刺さるものは柔らかい。

⏰:22/10/04 09:27 📱:Android 🆔:☆☆☆


#796 [○○&◆.x/9qDRof2]
これも比喩?

ううん、違う。明るくて、優しくて、柔らかいものを感じる。後ろを振り返ると、眩しさに目が眩んだ。田舎の山々の上に広がる入道雲。その更に上で輝く太陽。太陽の光を受けた蒸気が、虹となって山々に掛かっていた。

⏰:22/10/04 09:28 📱:Android 🆔:☆☆☆


#797 [○○&◆.x/9qDRof2]
.......あぁ、そっか。暗かったのも、怖かったのも、尖ってたのも、わたしが下を向いていたせいなんだ。


だって、そうでしょう?

いつでもそこにある空が、こんなにも。

⏰:22/10/04 09:28 📱:Android 🆔:☆☆☆


#798 [○○&◆.x/9qDRof2]
後ろの家の戸が開き、聞き慣れた声が聞こえてきた。

「あら、あんた.......帰ってくるなら電話の1本ぐらい入れたらいいのに。なんかあったのかい?」
「別に。何となくだよ」

⏰:22/10/04 09:28 📱:Android 🆔:☆☆☆


#799 [○○&◆.x/9qDRof2]
本当はふられちゃったからなんだけど。ホームシックになって何が悪い。でも、思ったより早くにわたしのこころの雨はあがった。もう大丈夫。だって、そうでしょう?そこにいつでもある空が、こんなにも。

⏰:22/10/04 09:28 📱:Android 🆔:☆☆☆


#800 [○○&◆.x/9qDRof2]
こんなにも、おっきいんだから

>>700-750

⏰:22/10/04 09:29 📱:Android 🆔:☆☆☆


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