【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#400 [◆vzApYZDoz6]
>>394>>396なんかレスかぶってしまったorz
しかしなんというユルさ…ある意味すごいw
これぞSSSって感じw
下手にアドバイスなんてできやしねぇw
>>398うえ?
……あっ、なんと…林檎さんの前に書いてますな
しかしボクは今からやることがいっぱいなんで家帰ってきてからで…w
:08/05/31 15:02 :P903i :mlOVWIRI
#401 [殺し屋1/2 林檎]
俺は誰もが恐れる殺し屋だ。
今日も依頼がきて、いまから奴を殺しにいく。
今日の相手は少々手こずりそうなので数人仲間を連れてきた。
仲間に運転してもらい、現場に向かう。
ガタガタ揺れる車の中で一人考える。
さて、今日はどんな殺し方にしようか。
毒殺か…それとも窒息死させるか…
思考を巡らしていると無意識に笑みがこぼれる。
こんな事を楽しんでいる俺は狂っているのだろうか。
そして細い山道を抜け、一軒の古びた民家に到着した。
車から出た途端、仲間が大きなあくびをしたので
「馬鹿やろう。気を抜くんじゃねえ。油断してたらこっちが殺られるんだぞ…」
と注意してやった。
:08/05/31 20:45 :D705i :k4UYfhuU
#402 [殺し屋2/2 林檎]
『すいません!』
仲間は謝り、自分で自分の頬に平手打ちしていた。
俺は横目でその行動を見て、気にせず車のトランクから奴を殺すための道具を取り出した。
ゴミ袋にノコギリ…色々取り出して、民家に向かった。
一足遅れて仲間もついてくる。
家の前にはすでに家主らしき人が立っていた。
軽く会釈して
「どうも…殺ってほしいのは家の裏にいます…」
と言って案内してくれた。
狭い隙間を通り抜けて家の裏についた。
すると奴はいた。
なかなか手ごわそうだ…
仲間は怯えていたが俺は迷わず奴にゴミ袋を被せた。
ゴミ袋の隙間からスチーム状の白い煙を注ぎ込む。
奴は驚いて仲間に襲いかかろうとしたが俺が握りつぶしてやった。
他にも奴の仲間がたくさんいて、袋から出ようとしていたが無理矢理袋に詰め込んでやった。
遂に奴らの家を切断するときがきた。
仲間に協力してもらい、ノコギリで切断することができた。
あとは家を奪っておいて申し訳ないが蜂蜜をとって、家主に渡すだけだ。
蜂蜜を無事に渡して、車に乗り込む。
そして仲間に優しく言う。
「どうだ。初めての蜂の駆除は。これからも頑張れよ。」
最近スズメバチの異常発生で殺し屋は今日も忙しい。
:08/05/31 21:21 :D705i :k4UYfhuU
#403 [保守ネタ1/2]
…まずい。
このままでは遅刻してしまいそうだ。
私はギラギラと照り付く炎天下の路上を、全力で駆けていた。
くしゃくしゃ着崩れたスーツを直す暇も、額から流れる汗にへばり付く髪の毛を直す余裕もなく、ただただ走っていた。
「……くそっ!」
足が縺れ息が切れる。
参ったな。後5分で会議だってのに…。
私はようやく辿り着いた会社の自動ドアを滑り込むようにしてくぐり抜ける。
ひんやりとした冷気が体を包み込みとても心地が良い。
だが、歩く余裕などはない。
…急がねば。
辺りを一瞥すると受付を通過しエレベーターへ走る。
角を曲がればエレベーターが見えてくるはずだ。
私の心臓は角を曲がると同時に、ひどく跳ね上がった。
「…まずい」
エレベーターはすでに到着しており、搭乗員を待っている状態だった。
会議室は46階だ。とても階段で上れるような高さじゃない。エレベーターも一度上がったら今度はいつ下りてくるかわかったものじゃない。このエレベーターを逃せば遅刻は免れないだろう。
思わず立ち止まっていた私は、瞬時に悟ると直ぐさま走り出した。
:08/05/31 23:28 :SH905i :☆☆☆
#404 [保守ネタ2/2]
ふと、目の前に同じく急ぎ足の男性がいた。
彼は私より遥かに早くエレベーターに乗り込んだ。
私は距離的に厳しいことを感じながらも諦めなかった。
彼の背中を追うように足を早める。
しかし無慈悲にもエレベーターの扉が閉まりだしてしまった。
同時に中で息を整えている彼と目が合う。
私はついに諦め速度を減速する。
閉まりゆく扉の向こうで彼が動いたのが見えた。
すると突然、完全に閉まりかけていた扉が再び開きだす。
「どうぞ」
彼の笑顔が、緩い歩調で歩く私を見据えていた。
「どうも…」
一礼すると息を乱した己の姿に気まずそうに入る。
入り口に向き直すと、また一人、こちらに走ってくる者がいた。
私はエレベーターのボタンを確認する。
私が“開”と掛かれたボタンに手を伸ばすよりも早く、彼の手がそれを押さえた。
続いて聞こえた彼の小さな声。
「…保守」
ボタンに伸びてかけいた手を下ろすこともせず、私は横目に彼を見遣る。
同時に彼と目が合った。
彼は依然としてこちらを見据えながら、口元に柔らかい笑みを浮かべた。
つられるようにして私も微笑む。
「…保守」
私は照れ臭そうに返す。
新たな搭乗者がエレベーターに入って来た。
:08/05/31 23:28 :SH905i :☆☆☆
#405 [我輩は匿名である]
保守ってのは過疎ってるときにやるもんだぜ?
:08/05/31 23:37 :SH903i :☆☆☆
#406 [朝海「月」(1/3)]
アタシ美花(ミカ)太陽が出てる朝が大っ嫌い
だから夜しかアタシは外に出ない―-
美花「はぁ―-今日も月…アンタはきれいでいいね」
アタシは自分の部屋から遠くでしっとりと輝いている月に喋りかけた
美花「10時か…散歩しよ」
アタシはパーカーを羽織り手ぶらで外にでた
がちゃ―
アタシは近くのベンチに座り目を閉じた
そして―-
ゆっくり目を―-
パチ
美花「わぁ(慌;ッ―-え!」
アタシは目の前にいた見知らぬ男にびっくりして立ち上がった
「一人でこんな夜にあぶねぇよ;しかも何してんの?」
美花「あ…アタナ誰?」
「―-んぁ?俺?タケルだけど何?」
美花「へッ―-!?あ…そうですか」
帰ろう;
アタナは家に引き換えした
タケル「ちょ―-ちょっとまて;」
タケルはアタシを引き止めた
美花「はい;なんでしょうか;」
:08/06/01 00:00 :V803T :BKbjJvmQ
#407 [朝海「月」(2/3)]
タケル「いいからここ座れ」
タケルは美花の手を引っ張り再びベンチに座らせた
美花「…;あの―-」
どうしよう…
タケル「お前名前は?」
タケルは美花の隣りに座り美花をみた
美花「み―-美花;」
タケル「そっか―-つかお前肌白過ぎだろ;太陽浴びたことある?」
美花「ない…です」
タケル「なんで?しかも髪もボサボサだし前髪で顔も見えねぇし;」
タケルは美花の前髪を手で分けようとした
美花「やめ―-」
アタシは手で髪を押さえた
タケル「そうやられると益々見たくなんだけど…」
タケルは無理やり美花の髪をかき上げた
タケル「!!―-どうしたんだよ…これ」
タケルは美花の顔を見て驚いた
美花「驚いたでしょ…」
タケル「誰がやったんだよ―-そんなひでぇ事…」
:08/06/01 00:12 :V803T :BKbjJvmQ
#408 [朝海「月」(3/3)]
美花「ヤられたんじゃない…アタシ太陽に当たれないの―-」
タケル「そっか―-悪ぃ;ムリヤリ…ってか太陽が照ってる昼間なんかより夜の方が楽しいからな―-よしこれから遊びいくぞ」
するとタケルはアタシを引っ張りどこかに連れて行った
タケルのお陰でアタシは変わる事ができたよ…
タケルのお陰でまた笑えるようになっよ…
タケルのお陰でまた生きる希望ができたよ…
ありがとうね―-タケル
アタシは月を見た
美花「タケル―-聞いてる?」
タケル「んぁ?」
美花「なんでもない―-
ずっと一緒に居ようね」
タケル「ずっとそばに居てやるよ(笑」
タケルは月のようにアタシのそばにいてくれる
完
:08/06/01 00:24 :V803T :BKbjJvmQ
#409 [[嗚呼、思春期。1/3]キノコ。]
[女子のみなさん、体育館に集まって下さい。]この台詞はどうにもくすぐったい。
だってわかる男子にはわかってしまうから。
品川由美。当時小学校4年生。この時はまだ女子だけ体育館に集まる理由なんてわからなかった。
[女子は赤ちゃんを産むために月経と言って毎月…うんたらかんたら。]先生の話を聞き終わると、言葉に表せない気持ちで胸が締め付けられた。男子にはない特別なもので、でも毎月一回くるんだ〜。
どんなものなんだろう。
「ゆみんこ。嫌だねー。こんな話今更しなくてもわかるつーの。」
中野沙紀。由美とは幼なじみ。少しませた小学生。
由美「えっ…。あっ、うん。そーだね。」
先生の話を聞いて特別な感情を抱いていた由美はそれが急に恥ずかしくなりわかってもいなかった生理をわかった風に答えた。
沙紀「だいたいさぁ、生理なんかこなくていいつーの。毎月毎月あんなに血が出てさぁ、無駄じゃね?意味がわからないつーの。」
由美「そんなに血出るの?」
恐る恐る由美は聞いてみた。
沙紀「ゆみんこあんま出ない系?あたしは毎月ドバァッーだよ。ドバァッー。体の血が全部出たんじゃないかつーの。ぐらい。」
由美「…だよねー。私も同じドバァッーだよ。さきちんと一緒。まったく一緒。うん。一緒なんだよね…。」
言っちゃった。
まだ出発していない未知の世界なのに知ったかで言ってしまった。
おそらくスタートラインにも立っていないかも知れないのに。
それと同時に(さきちんは生理になってるんだ…。)
置いてかれてるような気分になった。
:08/06/01 01:37 :D905i :UqmAtBfE
#410 [キノコ。]
すんません、今貼りした話以外に長すぎてBレスで収まりそうもなかったのでやめます…
Bでいけると思ったんですけどね
笑。
中途半端ですいません
:08/06/01 01:47 :D905i :UqmAtBfE
#411 [[マルコ。1/3]キノコ。]
月曜の午後の昼下がり。俺は会社近くの公園のベンチで昼飯をとっていた。
いつもは社員食堂で食べていたがたまに外で食べるのも気持ちがいい。
今日は雲一つない晴天だ。
妻が作った弁当を三分の1ほど食べた頃俺の隣に女性が座った。
(おいおい、ベンチたくさん空いてるのになんでここなんだよ。)
と思い、少し訴えかけるような目で女性の方を向いた。
「スーチン!!!」
目があった瞬間いきなり女性は勢いよく俺の腕をつかみ
「スーチン!!!スーチン!!!」
と唾を飛ばしながら俺に向かって叫んできた。
「何?あなた。唾が弁当に入っちゃうでしょ?止めなさい。その手を離しなさい。」
子供を叱るように冷静に言い女性の手を振り払った。
女性は俺の冷静な対応に落ち着いたのか姿勢をなおし聞いてもないのに話し始めた。
:08/06/01 03:40 :D905i :UqmAtBfE
#412 [[マルコ。2/3]キノコ。]
「アイ、私マルコネ。働キ盛リノ41歳ネ。アナタ、スーチンデショ?白状シナタイ。」
(あっ、この人痛い人だ。)
と思い、俺は立ち上がり他のベンチに移ろうとした。
すると女性はまた俺の腕を引っ張りベンチに座らせた。
俺はバランスを崩し持っていた弁当を落としてしまった。
「アイ、ゴメンクサイ。私拾ウネ。セッセト拾ウネ。」
女性は散らばった弁当の中身を拾い始めた。
「もう、いいですよ。どうせ食べれないし。」
俺は一刻も早くこの場から立ち去りたかった。
「アイ、大丈夫ネ。3秒ルールネ。日本人頭イイネ。」
そう言うと落ちた卵焼きを拾い自分の口に入れた。
「アイ、グッジョブ。」
親指を立てて俺の顔の前に突き出した。
訳の分からない言葉を連発し、俺の弁当を落とし、おまけに落ちたおかずまで食べてしまうこのマルコという女性。
迷いはなかった。ダッシュで逃げよう。
そう思った瞬間今度は女性は泣き出し、そてまた聞いてもないのに話し始めた。
:08/06/01 03:42 :D905i :UqmAtBfE
#413 [[マルコ。3/3]キノコ。]
「アイ、私ノ息子スーチンネ。アナタニソックリネ。スーチン韓国デ海苔作ッテル。会イタイケド会エナイ。」
女性は韓国人で女性の話からすると息子と離ればなれで暮らしており、その息子が俺に似てるらしい。
逃げる体勢にはいっていた俺はベンチに再び腰をかけた。
「そんなに俺に似てるの?」
「アイ、似テマス。スーチンニソックリネ。私サビシイネ。」
俺にも息子がいる。同じ親として少し同情もあり、俺は昼休みが終わるまで女性の話し相手になってあげた。
故郷の事や、女性が働いているスナックの事、そして息子スーチンの事。
最初は痛い人だと思っていたが話していくうちにだいぶ心も開き女性との会話を楽しんだ。
話は盛り上がっていたが昼休みが終わりに近づき「マルコさん、俺毎日このベンチで昼飯食べるから寂しくなったら話し相手ぐらいにはなるよ。」
「アイ、アリガトデス。私毎日ココニキマス。待ッテマス。」
女性は笑顔で答えた。
自宅と会社の往復だけの窮屈な生活に少しだけ楽しみができ、俺は笑顔で会社に戻った。
火曜日の午後の昼下がり。
いつものベンチで女性を待つ俺。昨日から始まった異文化コミュニケーションに胸を躍らせていた。
空を見上げると今日も雲一つない晴天だ。
ふと隣のベンチを見ると女性が60歳近くの男性の腕をつかみ
「スーチン!!!」
と叫んでいた。
俺は社員食堂で昼飯を食べた。
たぶんあそこのベンチに行く事はないだろう。
おわり。
:08/06/01 03:47 :D905i :UqmAtBfE
#414 [◆vzApYZDoz6]
あげますぜ
:08/06/07 13:27 :P903i :5dF7gc0M
#415 [紫陽花]
あげ〜(・∀・)
:08/06/08 17:09 :F905i :☆☆☆
#416 [GAM]
ああ、そうしてまたあなたは私を白いカルシウムで砕くんですね。
聞こえますか、この悲痛が。分裂した私を更に粉砕して、身にまとった色素は残らず剥ぎ取っられてしまう。私の後ろにいる紅色の蛇に。
形を崩して原型を留めていない体。もう二度と元には戻れない。
でもあなたは私を無にはしなのでしょう。
下で待ち構える浴室へ送還される事なく、私は生命の全てを奪われて終わるんです。
他の方はシャワーを浴びていらっしゃるのかしら、あなたが裁きをくだすうちは決して干からびる事のない浴槽、そこにつかっているのかしら。
悶える様な声が私の耳に届きます。
蛇の動きが鈍くなりました、もうすぐ別れの時間なのですね。
分かっています。
でも私は、あなたに弄ばれて幸せでした。
この裁きと共に与えられる清水が、地下から湧き出るそれに及ばなくても。
醜い姿になってもあなたに衣装を脱がされる事こそが、私の務めだと分かって下さいね。
あの銀の上絹を剥ぎ取ってくれてありがとう。
さようなら。
:08/06/12 23:05 :D905i :PZfyFEBo
#417 [GAM]
剥ぎ取っられて→剥ぎ取られて
無にはしなので→しないで
:08/06/12 23:08 :D905i :PZfyFEBo
#418 [[居場所(1/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
「どうしてこういうことになるの!?」
重い空気を引き裂くように、階下の部屋からヒステリックな叫び声が聞こえてきた。
「こんなことありえないでしょ! 意味がわからないわ! 一体何だっていうのよ!?」
僕は笑い声をあげそうになるのを堪えて、いつものように自室で一人押し黙っている。その間にも下からは金切り声とそれをなだめる声が響いていた。
「どうしてあの子の亡きがらが無いのよ!? なんでカナコがそこにいないのよ!」
さっきから狂ったように声を張り上げているのは俺の義理の母親。
母さんが死んですぐに家に来たそいつには連れ子がいた。
それがカナコだ。俺の妹。
血の繋がりはなくとも、俺にとってはかわいいかわいい妹だった。
そのカナコが昨日死んだ。まだ十三歳だったのに。
ドア越しに父さんからカナコの死を伝えられた時、俺は気が狂うんじゃないかと思うほどに混乱した。
だって俺はカナコが好きだったから。
妹としてか女としてかなんてことはわからない。だけど俺は世界で一番カナコが好きだった。
:08/06/16 23:37 :SH903i :J7xrqn4I
#419 [[居場所(2/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
カナコの死因を俺は知らない。
なぜなら俺はオタクでニートで引きこもりだから。自分の部屋から一歩も出ない俺にわざわざカナコの死因を知らせにくるヤツはいなかった。
で、どうして今義理の母親がこんなにも騒いでいるのかというと、今から葬式だというのにカナコの遺体が棺桶から消えているからだ。
昨日の夜滞りなく通夜を終え、今日の朝――つまりついさっきだが――母親がカナコの亡きがらを確認したところ、棺桶の中は空っぽだったということらしい。
棺桶のある部屋にはろうそくの番にカナコの親戚らしい年配の男がいたが、なんとそいつは夜中の二時には酔っ払っていびきをかいていたんだ。
あの女はそれを知らないが俺は知っている。
なぜか。
カナコの遺体を隠したのは俺だからだ。
カナコは今俺の隣で静かに眠っている。
その眠りが覚めることは永遠に無いが、それでも俺はカナコを自分の手元に置いておきたかった。
:08/06/16 23:38 :SH903i :J7xrqn4I
#420 [[居場所(3/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
五年前に母さんが死ぬ前から、俺と親父は顔を合わせなくなっていた。
その頃はまだ引きこもりではなかったが、しかし俺は仕事に就いていなかった。
そんな俺を見たくなかったのだろう。
いつからかお互いに避けるようになり声を聞くこともなくなった。
そして母さんが死んだ。俺と親父をつなぐ唯一の人がいなくなった。
それはつまり、俺の居場所が無くなるのと同じこと。
そしてあの女が家に来て、俺は引きこもりになった。
でも俺には新しい居場所が出来た。
まだ幼かったカナコは俺に冷たくしなかった。
あまり言葉は交わさなかったけれど、俺達は通じ合っていたはずだ。目を見ればわかる。
母さんを失って俺は学んだ。
失いたくなければ自分の手で捕まえておかなければならない。
でなければ俺はまた居場所を失ってしまう。
かわいい妹を俺から奪うことなど誰にも出来ないのだ。
そうして俺はカナコを捕まえた。
もう二度と離さない。俺のかわいい妹……カナコ……。
:08/06/16 23:39 :SH903i :J7xrqn4I
#421 [◆vzApYZDoz6]
あげますよー
:08/06/23 03:05 :P903i :qKg5R2Vw
#422 [我輩は匿名である]
ageるよ
:08/06/24 09:22 :PC :MWJsF0yA
#423 [[時に残酷な。(1/3)]あに]
わたしが見る景色は、いつも同じ。 空の色が蒼から赤、黒へと変わりまた蒼に戻る。それの繰り返し。
退屈な日常を変えてくれたのは貴方だった。
行き交う人々が見向きもしなかったわたしを、貴方は見付けてくれたわ。
「綺麗だね」
「可愛いね」
貴方は毎日わたしのそばに来て、そう話しかけてくれる。
それだけで、わたしはまた美しくなれる。
貴方の無邪気な笑顔が見れるだけで幸せなの。
――たとえ、僅かな寿命だとしても。
:08/06/24 23:33 :SH903i :ER.bvmo2
#424 [[時に残酷な。(2/3)]あに]
太陽が高く昇っている。そろそろ、彼が来る頃ね。
ほら、やっぱり。
小走りで近づいてくる彼は笑顔で、とても素敵だわ。
「よかったあ。まだ、いたんだ」
少し息を弾ませながら安堵した表情を見せる彼。
わたし、貴方をいつでも待っているのよ?何を今更。
貴方といれるなら、この命、儚くても構わないわ。
今日もわたしに綺麗だと言って。
言葉を待っていると、彼の手が伸びてきた。そして、わたしの首を掴んだ。
:08/06/24 23:34 :SH903i :ER.bvmo2
#425 [[時に残酷な。(3/3)]あに]
次の瞬間、勢いよく胴体と切り離されてしまった。
何を!何をするの!?
嘘よ、どうしてこんなことを!
困惑するわたしに構わず、彼はわたしのカラダの一部を順にちぎり取っていく。
残酷な言葉を囁きながら。
「……リカちゃんはぼくのことを……すき、きらい……すき、……」
嗚呼、貴方の為になるならばこの命、差し上げ給う。
(彼等は時に残酷で。)
:08/06/24 23:36 :SH903i :ER.bvmo2
#426 [[時に残酷な。(3/3)]あに]
2回目の投稿です!
(^ω^;)
文章力がなくて申し訳ない。
また暇な時に投下させていただきます。
:08/06/24 23:38 :SH903i :ER.bvmo2
#427 [◇vzApYZDoz6]
し、白い俺もイケてる!
( ゚∀゚)o彡゚age!
:08/06/25 02:33 :D905i :OoNDRyOU
#428 [帰路(1/3)◆vzApYZDoz6]
がたんがたんがたん。
電車が私達2人の前を、音をたてながら通過する。
かんかんかん。
耳障りな警告音は鳴り止まない。
黒と黄色のスプライトポールの前で、次に通過するであろう電車を2人並んで待っている。
隣に立つ彼女が、なんて事ないように話し始める。
透き通ったその声は夜空に吸い上げられていく。
その先では、真冬の星空が燃えんばかりに瞬いていた。
まるで、これが最後の煌めきだと言わんばかりに。
冷たい夜風が吹き抜ける。
散った木葉が夜空に舞う。
かんかんかん。警告音が鳴り響く。
そして彼女は語り出す。
「もう、何年前の話になんのかなァ」
水色のジャンパーを羽織った彼女。
夏はショートだった髪も、今ではセミロング。
さりげなく存在感を放つフチ無しの眼鏡が、燃え上がる星空の光を淡く反射する。
奥の瞳が、踏み切りのランプの赤い光を吸収する。
黒と黄色のスプライトポールの前で、2人並んで立っている。
かんかんかん。電車はまだ通過しないのか。
ふと彼女を見てみる。
桃色のマフラーに、黒い手袋。彼女が寒がりだということは最近知った。
彼女は語る。透き通った声に混じる白い吐息が、乾燥した冬の空気に消えていく。
かんかんかん。乾燥した冬の空気に響き渡る警告音。
そんなものどうでもいいから早く電車を走らせろよJR。
「隣町に女の子が居てさァ。女の子。14歳。ちょうど今のあたしらと同い年」
:08/06/26 16:11 :P903i :yCWejlVo
#429 [帰路(2/3)◆vzApYZDoz6]
吐息は白く、私の頬は赤くなっていた。
彼女の横顔は、どこか黄昏て見えた。
かんかんかん。鳴り響く警告音。赤いランプ。
塾の帰り道。黒と黄色のスプライトポールの前で、2人並んで立っている。
寒空の下、脳内では先程解いた二次関数のグラフが蘇る。
A=√4。対になるB=−√4。
頭上では星空が輝くのをやめない。
それが例え死の直前だったとしても。
彼女の声はあの星空に届いているのだろうか。
揺れるセミロングの髪。
その向こうで、走ってくる電車のヘッドライトが揺れている。
「何でかは分からないけどさ」
寒さで手がかじかむ。彼女は大丈夫なのだろうか。
かんかんかん。鳴り響く警告音。赤いランプ。
吹き抜ける風がまるでノイズのように聞こえる。
それに身を任せて舞い散る木葉。
最後の1枚。終わりはすぐそこ。
そして彼女は語り出す。
「電車につっこんでさ」
かんかんかん。鳴り響く警告音。赤いランプ。
黒と黄色のスプライトポールの前で、2人並んで立っている。
:08/06/26 16:12 :P903i :yCWejlVo
#430 [帰路(2/3)◆vzApYZDoz6]
がたんがたんがたん。電車は音をたてながら、もうすぐそこまで迫っている。
聞き取りが難しくなる彼女の声。
横顔が、どこか遠くを眺めている。
かんかんかん。鳴り響く警告音。赤いランプ。
黒と黄色のスプライトポールの前で、2人並んで立っている。
がたんがたんがたんがたん。電車がもうすぐ目の前にやってくる。
そして彼女は語り出す。
「自殺したんだよね」
がたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたんがたん。
電車が私達2人の前を、凄まじい勢いで通過する。
まるで光のように。
黒と黄色のスプライトポールが上がっていく。赤いランプが消灯する。
彼女が掛けているフチ無し眼鏡が、燃え上がる真冬の星空の光を反射する。
なんて事ないように彼女は進みだす。
私もそれに続く。冷たい風もついてくる。
白い吐息を押しのけて、ノイズのように絡みつく。
頭の中で耳障りなあの音が蘇る。
かんかんかん。それは、終わりへいざなう警告音。
私は彼女の後ろ姿を眺めながら、顔も名前も何も知らないその女の子に、何かを想っていた。
:08/06/26 16:13 :P903i :yCWejlVo
#431 [◆vzApYZDoz6]
:08/06/26 16:15 :P903i :yCWejlVo
#432 [紫陽花]
ナナシさんのSSSはレベルが高すぎる!!Σ(゚Д゚)Ww
:08/06/28 08:32 :F905i :☆☆☆
#433 [[求めるもの(1/1)]紫陽花]
教室という小さな箱の中、規則正しく並べられた机と椅子。そして毎日飽きもせず、人形のようにそこへ行く自分。
吐き気がする
何のために、誰のために
何がしたくて、何を求めて
俺はここに立っている?
もう、うんざりだ!!
誰もいない教室
夕暮れの教室
規則正しい机と椅子
これを見ていると
全てを壊したくなる
世界を壊したくなる
誰のために
自分のために
何がしたくて
生きていたくて
何を求めて
縛られない羽を求めて
何がしたくて
自由になりたくて
誰もいない教室
夕暮れの教室
乱雑に置かれた机と椅子
まるで俺の心をあらわすように
---end---
:08/06/29 00:22 :F905i :☆☆☆
#434 [◆vzApYZDoz6]
保守!
:08/07/03 21:53 :P903i :Wub61Ubo
#435 [[愛しいあなた(1/1)桃色]]
タキシードに身を包み、バージンロードに立ってるあなた。緊張してるのが背中から伝わる。
少しくせのある襟足から、肩にかけての曲線が好き。小さくて引き締まったヒップラインも好き。たくましい腕でどんな困難も乗り越えて行けそう。だけど何より「真理」って呼ぶ優しい声が好き‥あなたの全部が大好きよ。
賛美歌をうたって誓いのキス。
初めて見る、キスをするあなたの姿‥
「奈緒子、シャッターチャンス!」友人に促されカメラを構えるあたし。
永遠の愛を誓います‥
レンズ越しの愛しいあなたへ‥‥‥
:08/07/04 16:40 :SH703i :Rip0ffE6
#436 [[名も無き花(1/1)桃色]]
先日、旦那と娘を連れて実家にご飯を食べに行った。
いつもは寄り付かない庭に、何となく出てみる。
誰も手入れをしていないので荒れ放題だ。
片言の日本語を話せるようになった娘が嬉しそうに
「おはな」
と言っている。
見ると伸びきった雑草の間に名も知らぬ白くて可愛いらしい花がいくつか咲いていた。
母にいつ植えたのか尋ねると、首を横に軽く振る。
だがその後語られた一言に私は心を揺さぶられた。
「あそこね、偶然かもしれないけど‥キューちゃんを埋めたところなのよ」
キューちゃんとは、昔幼かった弟が一生懸命に可愛がっていたハムスターの名だ。
なんだかいてもたってもいられずもう一度庭へ行き、娘と一緒に花壇の前で手を合わせた。
:08/07/05 01:51 :SH703i :/fZibtYw
#437 [桃色]
:08/07/05 01:53 :SH703i :/fZibtYw
#438 [咲笑]
桃色サンめちゃめちゃ文章上手ですね
もっと書いてほしいですP
:08/07/06 23:48 :W53S :u2w2uFNs
#439 [[闇夜の雨、月(1/1)]蜜月◆oycAM.aIfI]
真っ暗な空。それをどんよりと覆い隠す雲。そしてその雲が悲しみを誘うように落とす雨粒。
そんな雨の降る深夜に、一人の少女が空を眺めていた。
町も静まり返る時刻に、彼女は自室の窓枠に肘をかけ憂いを含んだ表情でぼんやりと一点を見つめている。晴れていれば月が存在するはずの一点を。
随分長い間そうして雲を眺めていた彼女は、おもむろに側にあった携帯電話を手に取る。折り畳まれたそのボディを器用に片手で開くと、小気味のよい音がした。
しかし液晶画面を見た彼女の顔は暗い。雲に覆われた空よりも。
(連絡……来ないなぁ)
口には出さずに心の中だけでそう呟くと、
「はぁ」
と小さなため息を一つ。恐らくは想い人からの連絡を待っているのだろう。
彼女は下唇を噛むと、親指を素早く移動させながらボタンを押し、何やら新しい画面を開く。
しかし指の動きは止まってしまった。
真剣な目で闇に浮かぶ白い画面を見つめる彼女。
しばらくしてようやく指を動かした。
ゆっくりとボタンに親指を乗せ、カチッ、と鳴らすと――画面は真っ黒になってしまった。
「ふぅ……」
携帯電話を折り畳みベッドに放り投げると、彼女は再び窓の向こうに目をやった。さっきと同じ姿勢で、肘を窓にかける。
しかし――その目には、固い決意の光が宿っていた。
:08/07/07 02:18 :SH903i :iEqgZovM
#440 [桃色]
>>438咲笑サン
ありがとうゴザイマス!
マタ話しが浮かんだら書かせていただきマスねp(^^)q
:08/07/07 11:28 :SH703i :uiLDk8VY
#441 [[記憶のカケラ(1/2)桃色]]
毎日毎日オレの世話を焼く女。飯の世話から何から何まで。
俺が何か言うたびに一喜一憂する女。
正直頭が上がらない。
それに、オレだけに見せる最高の笑顔‥
たまらない。こいつのためなら何でもできる。
だけど最近おかしいんだ。
今まで「アー」だの「ウー」だのしか言えなかったオレの口から、段々言葉が話せるようになってきた。
もちろんそれを聞くたびに、あいつはオレを抱きしめて喜ぶ。
それと同時にオレがオレじゃなくなってくんだ‥
:08/07/07 21:33 :SH703i :uiLDk8VY
#442 [[記憶のカケラ(2/2)桃色]]
‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥
‥‥‥
『お誕生日おめでとう圭』
「圭が生まれてもう一年か」
「ねぇあなた、この間雑誌で読んだんだけど、赤ちゃんって前世の記憶があるらしいの。だけどそれを覚えているうちに話してしまわないように、おしゃべりができるまでに時間がかかるんですって」
「へぇ、じゃあ圭もその記憶ってのがまだあるのかな?」
「どうなのかしら?ねぇ、圭ちゃん‥」
:08/07/07 21:35 :SH703i :uiLDk8VY
#443 [[夏の教室(1/3)]紫陽花]
むせかえるような生ぬるい風。半袖のシャツから伸びる腕に容赦なく熱を浴びせる太陽。
そんな灼熱の外の世界とは裏腹に窓一枚隔てたこの部屋は心地良い一定の寒を保っていた。
まさに科学の進歩。この世界にとってクーラーはなくてはならない生活の必需品だろう。
「あの……さ」
そんな外とは別世界のこの部屋には一人の男と一人の女2、3個の机を隔ててが立っていた。さながら、その数メートルが彼らの心の距離と言ったところだろうか。
女の左手には教科書、右手には鞄のファスナーを開けようとしたのか小さな金具が握られている。
「……なに?」
女は男の顔も見ず淡々と帰り支度を進める。この男の話に、さほど関心がないようだ。
「葛城、これから帰る…よね?」
彼女の名前は葛城と言うらしい。男は下を向き、まるで親の様子をうかがう小さな子供のように怯えた表情で声を震わせながら彼女に問う。
:08/07/09 00:40 :F905i :☆☆☆
#444 [[夏の教室(2/3)]紫陽花]
「……えぇ、帰るわよ。授業、終わったもの」
彼女は手元の教科書から目を離さず数メートル先に立ち尽くす男に素っ気なく答える。
生徒もおらず、窓も閉め切ってある放課後のこの部屋には彼女の声だけが静かにそして微かに響く。
その言葉を聞いた瞬間、男は意を決したように両手の拳を握りしめ勢いよく頭を上げた。先ほどとは違い、彼の表情に怯えはない。
この男の決意が空気を伝い彼女にも届いたのだろうか、帰り支度をやめ彼女も顔を上げた。
そして二人の視線がぶつかる。
「あのさ、葛城。……俺一緒に帰っていい?」
彼女の瞳が一瞬動く。窓から差し込んでいる光は机と机、向かい合っている二人の間を静かに照らす。男の視線は真っ直ぐに彼女をとらえ、彼女も彼の視線に答えるように瞳を合わせる。
:08/07/09 00:41 :F905i :☆☆☆
#445 [[夏の教室(3/3)]紫陽花]
少しの沈黙。校庭で力の限り声を張り上げる野球部の声が聞こえるほど静寂は続いた。
「……別に、いいけど」
静寂を破ったのは彼女の方だった。
「本当に!?」
男の瞳は驚きと歓喜の輝きを放ち、きつく握られていた拳はいつの間にか解かれていた。
「私、教室の鍵を返してくるから先に昇降口で待ってて」
彼女はまたも視線を鞄に戻し帰り支度を始めた。
「分かった!!待ってるから」
そう言って男は顔を赤らめながら鞄を背負い、照れくさそうに彼女を見つめながら教室を後にした。
男がいなくなった直後、彼女は帰り支度をする手を止めた。そして、その手はゆっくりと上に伸び彼女の顔を覆った。
「……緊張した」
顔を覆った細く今にも折れてしまいそうな指の間から見える彼女の顔は照りつける太陽よりも熱を帯び、紅く紅く火照っていた。
彼女一人残された教室には既に電源の切られたクーラーからの残された冷気が漂っていたが、それほどの少量の冷気では彼女の火照った心を鎮めることは出来なかった。
---end---
:08/07/09 00:41 :F905i :☆☆☆
#446 [紫陽花]
あげ(・⌒・)
:08/07/11 23:55 :F905i :☆☆☆
#447 [[夏恋(1/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
夏休みに入ってもうすぐ一ヶ月。暑さはちっともましにならない。
ユウスケは今日も朝から遊びに出掛けて行った。学校の宿題なんてそっちのけだ。
多分、八月後半になってから家族を巻き込んで焦るんだろう。毎年のことだ。
十歳の夏休みを、ユウスケは心の底から楽しんでいる。
幼なじみのコウタやタモツと集まるのももちろん楽しいが、今年はいつもの夏と少し違っていた。
転校生の女子、ナツメさんも一緒なのだ。ナツメさんにはいつも世話係のようにおてんば娘のレイコがくっついているけど、お盆の間レイコは田舎に帰省している。ユウスケは邪魔者がいないのが嬉しかった。
「ナツメさん、今日はどこ行く?」
「オレ駄菓子屋でジュース!」
「タモツには聞いてないよ!」
「わたし、駄菓子屋さん行ってみたいな」
「えっナツメさん行ったことないの!?」
「うん、前に住んでたとこには無かったの」
:08/07/12 00:47 :SH903i :ImRIP7KU
#448 [[夏恋(2/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
四人は近所の古ぼけた駄菓子屋にやってきた。何歳なのか想像出来ないくらいしわしわのおばあちゃんが店番の駄菓子屋だ。
「おいコウタ、これ買ってくれよ! オレお金足りないや」
「やだよ〜自分で買ってよ〜」
タモツとコウタはチョコレート菓子を手にして言い合いをしている。
ユウスケはナツメさんに駄菓子屋のルールを教えてあげていた。
「これはあんまりおいしくないし高いからやめた方がいいよ、あ、コレ! このジュースはね、ここを歯でちぎって飲むんだ、それからこれは……」
ナツメさんは頷きながら興味津々といった様子で聞き入っていたが、急に見ていた駄菓子を手に取った。
「ユウスケくん、わたしこれにする」
「え、これ……?」
「うん。一緒に食べよう?」
ナツメさんが選んだのは、きれいな色の四角いグミがたくさん入った駄菓子だった。ユウスケの顔がみるみる笑顔になっていく。
「うん!」
:08/07/12 00:48 :SH903i :ImRIP7KU
#449 [[夏恋(3/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
駄菓子屋の外のベンチに座って、買ったばかりの駄菓子を開ける四人。タモツとコウタはすぐに食べ始めた。
「きれいね、このお菓子」
ナツメさんは爪楊枝に刺したグミを見つめるばかりでなかなか口に入れない。ユウスケもつられてグミを見つめた。
「ナツメさん、駄菓子屋楽しかった?」
「うん! あんなにお菓子があるなんてビックリしちゃった。スーパーより多いのね」
ユウスケの目に映るナツメさんの横顔は、夏の太陽に照らされてキラキラ輝いていた。
「ねぇ、食べよう! これ、まあまあおいしいからさ!」
ユウスケがそう言うと、ナツメさんは素直に頷いてグミを口に含む。
ゆっくりと味わって小さな一粒を飲み込むと、ユウスケに笑顔を見せた。
「ふふ、おいしい」
「でしょ!」
「ユウスケくんも食べて、ほら!」
たくさんのグミを、二人は笑顔で分け合った。残ったグミは、あと二つ。
「わたし……これ持って帰ろうかな」
「食べないの?」
「だって……食べたらなくなっちゃうもん」
ナツメさんは淋しそうに呟く。それを見て、ユウスケも少し淋しい気持ちになった。
「じゃあ僕も一個持って帰る! いい?」
これで二人とも淋しくない、ユウスケはそう思ったのだ。ナツメさんはびっくりしたように目を丸くした後で、「うん!」と満面の笑みを見せた。
暑い暑い夏の日、小さな恋の始まりです。
:08/07/12 00:49 :SH903i :ImRIP7KU
#450 [◆vzApYZDoz6]
保守
:08/07/27 19:38 :P903i :Dsn9imQ6
#451 [◆vzApYZDoz6]
:08/07/27 23:44 :P903i :Dsn9imQ6
#452 [◆vzApYZDoz6]
:08/07/27 23:45 :P903i :Dsn9imQ6
#453 [◆vzApYZDoz6]
:08/07/27 23:46 :P903i :Dsn9imQ6
#454 [◆vzApYZDoz6]
まとめ&作品数集計&現在のお題一覧
>>451-454現在の作品数集計
1レス短編:39
2レス短編:41
3レス短編:48
レス数オーバー短編:1
総作品数:128
現在のお題
@雨
Aあの頃の思い出
B電話
C卒業
D電車
Eささやかな幸せ
F手紙
G都会
H未来
Iアルバイト
J忘れられない
K空
L窓
M指輪
N怒り
O葬式
:08/07/27 23:47 :P903i :Dsn9imQ6
#455 [◆vzApYZDoz6]
意外とみんな参加してたんだw
つーわけでこれからも参加者募集だぜ
1回投下しただけで満足すんなよ!
きたれリピーター!
あとちょっとで折り返し地点…
次の企画スレを立てるにはどれぐらいかかることやら
:08/07/27 23:50 :P903i :Dsn9imQ6
#456 [紫陽花]
まとめ乙です(・∀・)
私もそろそろSSS書きたいなぁ
:08/07/28 00:13 :F905i :☆☆☆
#457 [あげ!(1/2)多分二人称]
やぁ、おはよう。
やっとお目覚めかな。ずいぶんと長いこと眠っていたようだけど、気分はどうだい?
……そうだね、あぁ失礼した。なんてことだろう! 僕は礼儀を忘れるところだった。
本当にもうしわけないな。
でも、いや、僕は謝ることが多いみたいだ。もうしわけないけど、君に僕の名前を教えることはできないんだ。
あぁそんな怒った顔をしないでくれないか、そのかわり僕も君の名前を聞いたりしないから。
そう、君が自分のことを知っていればそれでいいから、もしかして記憶がな……ごめんごめん冗談だよ。
それじゃあ、立ってくれないか? 一緒にこの状況を確認しよう。
安心して、そんな危険な場所にいるわけじゃない。
ただ、ちょっと君の勇気がいるだけぐらいだ。
:08/07/29 00:57 :N904i :vh9FAEqw
#458 [あげ!(2/2)多分二人称]
手を伸ばしてくれるかな? そう、ありがとう。そのままちょっと壁に手を付けてくれるとさらにありがたいんだけど。
おや、そんなに驚くとは。ははっごめんよ。
今度はそのでてきたハシゴで上を目指してくれるだけでいい。
そのまま、絶対下をむいてはいけない。
むいてしまったら、……君ならわかるだろう?
さぁ、上って。そうだ! 最後に君へお礼を言わなくちゃ。
ないだい? そんな不思議そうな顔をして。
いいじゃないか。僕が君にお礼をいいたいんだ。
だって君は僕の言葉をちゃんと聞いてくれたから。
ふふ、あたりまえかい? だけどここじゃみんな僕のことを見向きもしなかったんだもの。
限られた人だけが僕の声を聞いて上へ戻っていったんだよ。
危険なことなんて何一つなかったろう? ただ上へ上ったらいつもがあるだけさ。そう、少しの勇気がいるよ。
ここはとてもいいけれど、ここにいたら君の思いを聞いてくれる人なんていないんだ。
え? 僕も一緒に? いや、いいよ。まだまだここには僕の声を聞きたがる人がいるからね。そう、君と違って。
気分を害したかい? ごめんね。けれど事実なのだからしょうがないことさ。
さぁ、こんな話はよそう。
君はこれから言うんだ。ここで唯一みんなが聞いてくれる言葉。
準備はいいかい? 大きな声で言うんだよ。それから上へのハシゴを踏みしめるんだ。何、一瞬だよ。
さぁいくよ!
「あげ!」
****
二人称はむずかしいですね
:08/07/29 00:57 :N904i :vh9FAEqw
#459 [◆vzApYZDoz6]
>>457-458乙!
ちなみに完全に一人称だぜ、それw
二人称ってのは、人称(平たく言えば主語)が『相手』の文のこと
使われる場面は手紙だったり回想シーンだったり、会話だったり
あなたが私にくれたものを覚えていますか?
あなたは笑いながらそれを差し出しましたね。
みたいな
基本的に問い掛ける形式になる、というかそれ以外では使えない
つまり、難しいとか以前に二人称だけじゃ小説は書けないという罠
もしかしたら語り手と人称の意味をごっちゃにしてるのかな
二人称はそれによって読み手を引き込む力があるからうまく使ってみましょー
:08/07/29 05:39 :P903i :D7JrmyN2
#460 [桃色]
まとめオツです!
何か‥‥歴史を感じるw
たくさんの方がたくさんの作品を残せるSSS!
改めて良スレですよね(^-^)
久々何か思い浮かばないかなァ(人μωμ)
:08/07/29 12:49 :SH703i :5fgmi4/E
#461 [紫陽花]
あげ(・⌒・)
:08/08/07 00:57 :F905i :☆☆☆
#462 [◆vzApYZDoz6]
過疎すぎる!
こうなったら燃料投下するしかねー!
つーわけでお題、一気にいくぜ
@テレビ
A俺(私)とお前のヒストリー
B街角
C交差点
Dネット掲示板
Eいつかまた
F飛行機雲
G奇
H応援
I保守
過去のお題一覧
@雨
Aあの頃の思い出
B電話
C卒業
D電車
Eささやかな幸せ
F手紙
G都会
H未来
Iアルバイト
J忘れられない
K空
L窓
M指輪
N怒り
O葬式
さぁいけ! 誰かいけ!
俺は暇が無いから無理だw
:08/08/11 00:36 :P903i :eSuLyhPg
#463 [未来1/2 林檎]
目が覚めると一面、白い部屋にいた。
目の前には小さな透明のガラス張りの部屋がある。
その部屋は4畳半ぐらいの大きさで天井は少し低めだ。
よく見るとその小さな部屋の中には可愛い白人の赤ちゃんが4人いる。
皆、人差し指をくわえてお腹を空かしているようだ。
しばらく見ていると3人の赤ちゃんが1人をこしょばがらせ始めた。
始めはそれを笑いながら見ていた私だが、どうやら様子がおかしい。
1人の赤ちゃんが泣き始めたのだ。
近づいて見てみると、なんと3人全員が生えたばかりの爪で1人をひっかき回していた。
慌てて止めようとしたがその部屋には入り口がどこにもない。
どうすることもできなくて、ただ呆然と見ていた。
そして遂に赤ちゃんの皮膚が破け、真っ赤な肉が見えた。
しめたと言わんばかりに3人は顔を合わせる。
:08/08/11 16:19 :D705i :Wohegi.s
#464 [未来2/2 林檎]
次の瞬間1人が肉に食いついた。
それに続けて2人も食らいつく。
泣き叫ぶ赤ちゃん。
どんなに大声で叫んでも誰も助けてくれない。
私は3人の赤ちゃんが3匹の悪魔にしか見えなかった。
いきなり吐き気が私を襲う。
とてもじゃないけど見ていられないので、あてもなく歩き出した。
…どれくらい歩いたのだろう。
歩いても歩いても白い部屋から抜け出せない。
この部屋に終わりはあるのか?
そんな事を考えていると前から白衣を着た男がやってきた。
あの赤ちゃん達は何なんだ、皆狂っていたぞ と言うと
狂っているのはお前だよ と言われ首に噛みつかれた。
この瞬間すべてを思い出した。
これは…地球から食糧が無くなったら人類は生きられるのか。
という実験だ。
食べ物を一番捨てている国が実験台になった。
それが私たちの国だ。
その中でランダムで選ばれた100人が犠牲になった。
私は選ばれたと通知がきた瞬間、自殺しようとしたが何者かにより邪魔され、ここへ連れて来られたんだ。
しかし、このままいくと100人の命が無駄になる。
現実になるかもしれない。
あなたも食べ物は残さず食べてください。
そうしないと次はあなたの国かもしれないですから…
:08/08/11 17:00 :D705i :Wohegi.s
#465 [紫陽花]
あげ(´・ω・`)
:08/08/17 22:26 :F905i :☆☆☆
#466 [8月のおしまい(3/3)◆vzApYZDoz6]
季節は夏、うだるような暑さの8月の午後。
自転車の前かごには、俺と彼女の黒い鞄が2つ。
途中で漕ぐ気力も無くなった自転車を押しながら、蝉の鳴き声が響く帰り道を歩いていた。
不意に、彼女の足が止まる。
「あ、飛行機雲」
「ん?」
汗を拭いながら、彼女が指差す空を見上げる。
高く、遠くまで突き抜けていく青空に、おもわず片目を瞑ってしまう程に強く輝く太陽。
彼女の指の先には、その太陽の光を受けて白さを増した一筋の雲があった。
「あぁ、俺目ぇ悪いから」
「見えねーのかよ」
まぁそれは嘘で、本当は飛行機雲とそれを吐き出し視界の端まで突き進む銀色の飛行機まで、ばっちりと見えていた。
「ああー…クソ暑い」
彼女は舌打ちをして悪態をつきながら、熱せられた道を再び歩き出す。
しかしこの言葉遣いはどうにかならないものだろうか。
「帰ったら麦茶でも飲むか…」
:08/08/27 10:00 :P903i :EWTxTBzE
#467 [8月のおしまい(2/3)◆vzApYZDoz6]
言ってしまえばド田舎のこの町は道のほとんどが装されておらず、また水をたっぷり湛えた田んぼのど真中を突っ切っているので、舗装された道路よりは暑くない。
ただ、それでも直射日光が、Yシャツに学ランのズボンという格好の俺に容赦なく襲いかかる。
「うへぇ…ズボンの中ぐしょぐしょだ」
「キモいこと言うなよ」
彼女はセーラー服。歩くたびに股下を風が通る。
「男子は冬が暖かいじゃん」なんて言う女子が多いが、夏の長ズボンよりかは冬のスカートの方が絶対にマシだと俺は思う。
なぜこのクソ暑い日にクソ暑い格好をしなければいけないのか。
登校日なんて、なくなればいいのに。
遠くから蝉の鳴き声が響く。
お馴染みのミンミンゼミに、シャーシャーと鳴くアブラゼミ。
それに混じって時折、つくつくぼーし、と別の鳴き声が聞こえてくる。
「夏もそろそろ終わりかぁ」
田んぼを抜けて、小さな交差点で進行方向を変える。
:08/08/27 10:01 :P903i :EWTxTBzE
#468 [8月のおしまい(3/3)◆vzApYZDoz6]
土造りの用水路から、ポチャン、とかわいい音がした。
「切ないなぁ、夏の終わりって」
用水路から目だけを覗かせるトノサマガエルを一瞥して、彼女はそう応えた。
「部活も引退したしな…これから高校受験かぁ……」
俺は今にもこちらに倒れてきそうな入道雲を眺めながら、ぽつりと呟く。
前を歩く彼女が立ち止まり、振り返った。
「…ねぇ」
「なに?」
「高校行ってもさぁ、またこんな夏に会えるかな」
「……えー……?」
柄にもなくセンチな事を言い出したので驚いたが、彼女の目は真剣だった。
ので、至極簡単に答えてみせた。
「…俺らなら大丈夫だろ」
「そっか…そうだよな!!」
彼女は嬉しそうに、きれいな顔で笑ってみせた。
ああ畜生。
そんな顔するからますます夏の終わりが恋しくなるんじゃねぇか。
:08/08/27 10:02 :P903i :EWTxTBzE
#469 [ぁき]
↑
この話めっちゃすきですーっ
てかここが大好き★
最初っからずっと見てます
:08/08/29 02:19 :SH905i :kyWwOBe.
#470 [◆vzApYZDoz6]
:08/08/29 03:55 :P903i :saOknxQ2
#471 [応援(1/3)に]
ー暇だなあ。
普段の忙しさからは考えられないゆっくりとした時間の流れの中でそれを感じずには居られない。
夏とは思えない肌寒さと激しい雷雨の所為か、一番混雑している筈の夕方、院内には殆ど患者の姿が見られない。暖かい膝掛けと、微かに流れている院内の音楽を掻き消して外壁を打つ雨の音が心地良く耳に響いて、私の眠気を誘った。本当に寝てしまいそう。
「ねえねえ、これ見て」
一瞬飛んだ意識を起こして声のする方へ首を捻ると、同僚が嬉々とした様子で茶封筒を差し出していた。
「…なにこれ」
ぼんやりした頭で差出人を読むが、全く記憶が呼び起こされない。既に封が破ってあり、中身を出すと一枚の手紙と写真が入っていた。
「ほら、あの時の患者さんだよ!」
「…ああ」
写真の中でどこかの牧場を背景に女性と幸せそうに微笑んでいる中年男性、この顔には見覚えがある。
「こんな、元気になったんだね」
:08/08/31 09:18 :N904i :rzQdvrtA
#472 [応援(2/3)に]
最初ここに来た時は人生が終わったような顔で来てたっけ。絶対大丈夫、一緒に治そうってその度に励まして。患者のあの泣きそうな笑顔が印象に残ってる。
手紙の内容は、あの時の貴方達の励ましが無ければ今の自分は居なかった、本当に感謝していると言うものだった。
「幸せそうで良かった」
同僚もそれに頷く。こうゆうのは素直に嬉しい。
「写真の裏側、見て」
言われるがままに裏に返すと、丁寧な字で『これからも頑張って下さい』とだけ書かれていた。
「…私、この仕事してて良かったな」
「私も」
嫌な事や悲しい事も沢山あるけど、患者さんと触れ合える、喜びを分かち合えるこの仕事で良かった。辛いことがあったら応援してくれる人の事を思い出して頑張れる気がする。
仕事頑張るぞ。
雨も上がり見覚えの無い顔が入ってきた。何か凄い悩みを抱えてそうな雰囲気を醸し出している。
:08/08/31 09:19 :N904i :rzQdvrtA
#473 [応援(3/3)に]
20代後半と言った所だろうか。男性だ。
「こんにちは。今日はどうされましたか?」
笑顔で話し掛ける。なるべく、緊張を解いてあげられるように。
「えっと…」
目をキョロキョロさせて口をつぐんでしまい中々言いだせない様子。初めてここへ来た人の大半がそうだ。皆それぞれが抱えた深い闇だ、言って認めてしまうことも怖いのだろう。
「大丈夫ですよ」
とびっきりの笑顔で言ってみせた。
「円形脱毛症、絶対治りますから」
張り詰めていた男性の顔が少し弛んだ。
「一緒に頑張りましょうね!」
ここはリーブィーワンダホー。悩み無用だ。
:08/08/31 09:32 :N904i :rzQdvrtA
#474 [我輩は匿名である]
このひとwの意味わかって使ってんのかな
:08/08/31 09:56 :W42S :4cRE.XJk
#475 [◆vzApYZDoz6]
上げます
:08/09/05 13:00 :P903i :eNsEU7Zo
#476 [トイレ]
粉々になってしまえばいい。
泥々になってしまえばいい。
その潤んだ目、か弱き細い腰、唾液が伝う口元、快感で小刻みに震える身体。
ああ、勿論愛しいと思うよ。けれど、鬱陶しさが勝ってしまう。
───全て、壊してしまえたならば、どんな悦楽が僕に降りかかるだろうか。
愛するが故、混沌に駆られる僕の脳はきっとイカれてる。
その血管が透けて見える君の喉を締め付けた。死を拒むその表情は幾度見ても、魅力的だ。
────さぁ落ちよう。
ナラクノソコニ
:08/09/05 21:24 :W51SA :XkGO105s
#477 [愛情表現]
「好きだよ」
…違うな
「愛してる」
ん〜…何か違う
そんな言葉じゃない
そうじゃないんだよ
「何やってんの?」
「ん〜…言葉がね、見付からないの」
「は?バカじゃね?」
「うるさいな〜…」
「そういう時こそこうすんだろ?」
抱きしめてくれる腕に驚いて
抱きしめてくれる体温に安心して
あぁ、そっか…
言葉が見付からないなら
態度で表せれるんだ
そんな方法もあるんだね
ありがとう
END
:08/09/05 22:50 :W52S :8uyV8KuM
#478 [ベリー(1/1)あお☆まる]
恋は中々上手くいかない
今回が最後の恋!!!
…なんて思ってみても、
突然終わりがくる
今回の恋もきっと最後の恋だと思っていたが
冬が終わるそんな時期に私の恋も終わった
そんな寂しい私は別れ話を終えて自宅に帰る帰り道に花屋に寄った
【今話題!恋が実るワイルドベリー】
:08/09/06 05:33 :812SH :JTxLYlWE
#479 [ベリー(1/1)あお☆まる]
あぁ…昔テレビでよく見たっけ。
そう思い出し、その力を信じる訳ではないが、なんとなく買って帰った。
数日後、昔から仲のイイ男友達の春彦に、いつもの様に失恋の経緯を話していた
失恋したら、いつも春彦に電話で愚痴る。昔からの失恋の儀式みたいなもの。
春彦はそれを嫌がる事なく毎回優しく聞いてくれる
「それでね−……」
:08/09/06 05:39 :812SH :JTxLYlWE
#480 [ベリー(1/3)あお☆まる]
ふと鉢植えに目をやると、小さい白い花が、かわいらしく咲いていた
「あっ!!咲いてる!」
「何が?」
「ワイルドストロベリー!!やったぁ。花が咲くとね運命の人に出会えるんだって!誰かなぁ?」
「あぁ…。それ、きっと俺だよ」
春が近づくそんな日に、私は凝りもせず新しい恋の予感を感じていた。
END
:08/09/06 05:45 :812SH :JTxLYlWE
#481 [あお☆まる]
ナナシさん!!
短編祭が延期になったみたいなので、有り余る力をここにブツケてみました!( ´艸`)笑
実は実話だったり??( ●≧艸≦)
ちなみに【先生のいうとおり】書いてます☆
↑ちゃっかり宣伝!爆
:08/09/06 05:51 :812SH :JTxLYlWE
#482 [◆vzApYZDoz6]
ていうか知らぬ間に3作品もw
今から読みまーす
>>481構わん、むしろもっと投下しやがれ!
ここはそういうスレだw
:08/09/06 06:32 :P903i :0iRFWzpQ
#483 [我輩は匿名である]
あげあげ
:08/09/10 09:18 :PC :☆☆☆
#484 [こころ*グラフ(1/1)あんみつ]
「人間の感情って、よく分かんないよね」
「うん?」
「好きとか嫌いとか、さ」
「例えば?」
「例えば・・・すっごい嫌いな人がいたとするでしょ」
「うん」
「嫌いなはずなのに、たまに優しくされたり話して楽しかったり・・・そんなことがあると、むしろ好き?って思っちゃう」
「へー」
「そいつのことばっか考えちゃうし・・・けどね、そいつすっごい意地悪なの」
「は?」
「人が真剣に話してるっていうのに・・・うんとかへーしか言わないし、にやにやこっち見てくるし」
「・・・」
「嫌いって思うのに・・・考えるのは、そいつのことばっかで・・・」
「・・・つまりさ、結局の所どうなの?」
「・・・すっごい好き」
「俺も」
.
:08/09/15 11:49 :D904i :LqzOrwVE
#485 [東脂ヤ]
>>484このお話とっても好きです(´∀`)
私もそろそろ投下したいなぁ☆
毎度駄作ですがorz
アゲます\(^_^)/
:08/09/15 13:29 :W52P :Fyuk0N.k
#486 [◆vzApYZDoz6]
あーげ
:08/09/18 00:01 :P903i :TTf2D1yg
#487 [イツワリ(1/3)◇東脂ヤ転
「"人の為"と書いて"偽り"と成る」
「は?」
「いや…ニュアンスは違ったかな…でも確かこんな感じの言葉だ」
「いやだから、急に何?
教科書の見過ぎで頭変になった?」
彼女の言葉にカチンときたのか、彼はムッとした表現を浮かべると徐に顔を上げた。
「今朝見た日めくりカレンダーに書いてあったんだよ。あれなかなか良いこと言ってるよな」
そう言って一人軽く頷くと、彼はまた教科書に視線を落とした。
「なーんだ、ただの漢字の創りの話じゃん。」
そんな彼の言葉を小馬鹿にするように彼女は笑った。そしてその彼女の態度を彼は見逃していなかった。
:08/09/18 11:39 :W52P :☆☆☆
#488 [イツワリ(2/3)◇東脂ヤ転
「本当にお前は馬鹿だな。何で俺が今このタイミングでその言葉を発したのか分かってないだろ?」
「…分かりたくもないけど」
「例を一つ上げよう」
彼は彼女の言葉を無視して話を続ける。
「さっきから何でお前はここに居るんだ?
図書室は勉強する奴が居る所で、お前みたいな勉強嫌いが居る場所じゃないぞ?」
一見、物凄く冷たく聞こえる彼の言葉に、慣れているのか彼女は真顔で返答する。
「そんなの決まってるじゃん。アンタがあたしと一緒に居たいと思って付き合ってあげてんの」
「俺の為に?」
「そ!アンタの為に」
:08/09/18 11:43 :W52P :☆☆☆
#489 [イツワリ(3/3)◇東脂ヤ転
「それが"偽り"だって言ってんだよ。誰がいつそんなこと頼んだ?」
「…あ………」
ここで初めて彼女の言葉が途切れた。
一方彼は「勝った」とでも言いたげな笑みを浮かべる。
しかし、
「ナルホド…分かった」
「?」
その時彼女が閃いたように身を乗り出した。
「あたしがココに居るのはアンタの為じゃなくて、あたしの為だ」
「…は?」
思いがけない答えに彼は困惑する。
しかしそれとは逆に彼女は自信たっぷりに言う。
「だってあたしがアンタの側に居たいから、その為に居るんだよ。
これなら"偽り"じゃないでしょ?」
満足げに笑う彼女を見ながら、彼は呟く。
「本当、お前にはかなわねぇよ」
偽りの無い笑顔がそこにあった。
:08/09/18 11:46 :W52P :☆☆☆
#490 [◆vzApYZDoz6]
勢いが衰えてきたな…
思いついたらなんか書こう
:08/09/22 03:04 :P903i :7iMRmRKM
#491 [梓◇星空(1/3)]
――ねぇ、武志。あたしはあの空の星になるよ。
――…‥
彩奈はいなくなった。
人は死んでも、星になんかならない。
いなくなってしまえば、あの笑顔を見る事も、手を繋ぐ事も、髪を撫でる事も、キスする事も、抱き合う事も、できない。
すねた彼女の機嫌をとるためにラムレーズンのアイスを買ってあげる事も誕生日にサプライズで喜ばせる事もつまらない話を聞いてあげる事も俺の腕の中の寝顔を見る事も寝ている彼女に好きだと囁く事もできないもう俺は彩奈を見れない触れられない聞こえない彩奈はもういないいないいないいない――――
.
:08/09/22 13:03 :SO703i :☆☆☆
#492 [梓◇星空(2/3)]
俺は彼女に生きていて欲しかった。それは彼女がまだ若くて将来があったからではなく、彼女の夢を応援していたからではなく、彼女の周りのみんなを悲しませるからではなく、俺が寂しいからだ。それだけの理由だ。
自分勝手だ。
治療が辛いと泣く彼女の気持ちより、俺は残される俺の事ばかり考えていた。でも、みんなそうだろう?
倒れた彼女を腕に抱いて「助けてください」だなんて叫んだ奴も、彼女を助けて欲しかったんじゃなくて押し潰されそうになる自分を助けて欲しかったんだ。
でも、俺はそんな事できなかった。葬式で彼女にすがりついて泣く事もできなかった。無駄だとわかっていたから。
祈りなんてものは、自分の心の捌け口でしかない。神がいるかどうかは知らないが、それは大抵、何もしてくれない。
:08/09/22 13:25 :SO703i :☆☆☆
#493 [梓◇星空(3/3)]
それでも、もしかしたら、俺はそうするべきだったのかもしれない。すがりついて、泣き叫んで、死んじゃ嫌だ、と。それもまた、祈りなのだろう。
祈るという行為は、その祈りが誰かに向けたものだったとしても、結局は自分のための行為に他ならない。
彼女が残してくれた優しい嘘は、残される人にとって幾らかの救いとなった。
俺は今日も星空を見上げ、彩奈が幸せであるようにと、祈る。
:08/09/22 13:35 :SO703i :☆☆☆
#494 [瞼の憂い(1/3)夕凪]
それは、まだ私が十代だった頃。親戚の居る0県へ電車で行った帰り道に出会った出来事だ。
私は、乗り継ぐ駅を間違え、見も知らぬ土地の小さな駅で、夕日を恨めしく睨んだ。駅の地図によると、故郷の隣のF県の、小さな村のようだった。故郷へは、県境の山を越えるか、大きく迂回するしかない。どちらにしても、その日の内の帰宅は無理だった。乗り継ぎを間違えた自分と、折り返しの電車の無い小さな山村をうらんだ。
仕方なく駅を出ると、古びた木製のベンチに、美しい和装の女性が座っていた。女性は当時の私と同じ位の年頃にみえた。少し虚ろな目で、小さく鼻歌を歌っている。彼女に宿はないかと尋ねた。彼女は、ゆっくりした喋りで、宿はないが、自分の家に空き部屋が有るので家に来ないか、と提案した。十代の私には願ってもない事で、鼻息あらく頷いた。美女の家へ向かう道のりで、彼女が二十歳で伊織と言う名である事、街へ戻る電車は三日後にしか出ないという事を知った。
肩を落とし着いた場所は、大きな洋館で伊織さんは、そこのお嬢様のようだった。大きな扉の前で、姉やさんに訳と私の名前(木村衛)を名乗り中に入った。
:08/09/22 14:35 :SH902iS :☆☆☆
#495 [もう戻らない(1/3)電源]
今日は4月1日。
僕の前に大きなケーキが置かれた。
いつもより豪華な料理が食卓に並ぶ。
お母さんはマッチを握って準備万端だ。お父さんはぶつぶつ言いながらカメラをいじっている。
毎年変わらない風景。
「そろそろ始めようか。お父さん、カメラの準備はいい?」
ろうそくに火が灯った。
いちごにくまにウサギ。その間には僕の名前が書かれたチョコレートものっている。
「待って待って……よし、いいよ。」
:08/09/25 22:20 :N903i :aBurfd3Y
#496 [もう戻らない(2/3)電源]
部屋の電気が消える。
ろうそくの炎がそれぞれの顔を淡く照らし出した。
「ユウちゃん、フーってしていいよ。」
お母さんは心なしか涙声だ。
今年こそは一息で全部消したい。
今、僕を包むのは幸せな少しの緊張感。
僕はふるふると震えた。
口を大きくあけて周りの空気を全部吸い込む。
これくらいの意気込みがなければ一息で消すのは難しい。ろうそくは年々増えるから尚更だ。
身を一度ひいて今度は乗り出す。
僕の身体は風船のようにふくらみ、一瞬でしぼむ。
身体中の空気を口から吐き出す。
フーーーーッ
:08/09/25 22:21 :N903i :aBurfd3Y
#497 [もう戻らない(3/3)電源]
揺らめく炎。
シャッターが鳴った。
炎は消えない。
少し揺らいだだけで変化はなかった。
炎はお父さんとお母さんを照らしている。
―今年も消せなかった。
お母さんが僕の方を見て小さく微笑んだ。
「お母さんね、今でもあれはユウちゃんの嘘だって願ってる。どんな嘘でも怒らないから帰っておいで。」
お父さんは震える肩を抱き寄せた。僕の方を見る。
「ユウタ、18歳おめでとう。」
ろうそくは2人を暖かく照らす。
炎は消えない。
僕は静かに微笑んだ。
―ありがとう。
:08/09/25 22:23 :N903i :aBurfd3Y
#498 [ラブレター(1/3)あんみつ]
大好きな人に手紙を書いた。
私の気持ち、全部込めて手紙を書いた。
届きますように。
この気持ち、あなたに届きますように。
願いながらその手紙、あなたのかかと履き潰した上履きの上に置いた。
.
:08/09/26 14:51 :D904i :7xTSTCD.
#499 [ラブレター(2/3)あんみつ]
あなたが来た。
あなたは何も言わない。
私はあなたを見れない。
きっと、届かなかった私の気持ち。
それでも、伝えたかった私の気持ち。
誰もいなくなった教室で、一人涙をこらえてた。
.
:08/09/26 14:52 :D904i :7xTSTCD.
#500 [ラブレター(3/3)あんみつ]
その時、あなたが来た。
私のところにあなたが来た。
驚いて目を見開く私にあなたは言った。
「・・・一緒に帰ろっか」
照れた時、目線を少し左にそらす。
あなたのその癖、ずっと見てたから知ってるよ。
・・・気持ち、届いた?
.
:08/09/26 14:54 :D904i :7xTSTCD.
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