ピンクな気分。U
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#940 [のの子]
「嘘って何?俺嘘ついてないよ。」
ニコッと笑うりゅーじをぼくは無表情のまま見つめる。
「ついてる‥りゅーじの笑顔‥嘘、でしょ‥?」
「‥‥‥なるほど。」
りゅーじは変わらずぼくを笑って見つめたかと思うと、また目線がずれた。
今度はぼくもりゅーじの視線の先を見る。
ほら‥やっぱり‥
.
:10/07/21 17:49 :SH06A3 :ikGbTw0E
#941 [のの子]
「聡美ぃ、焼きそばの麺ここにあったよぉ。」
「あっありがと‥っとじゃ〜まずはねぇ‥」
「先輩大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫っ♪焼きそばぐらい作れるもん。」
ぼくたちが見つめる先にお姉ちゃんが笑っていた。
りゅーじはお姉ちゃんを見つめる時一番嘘をつく。
口も目元も笑っていても、その奥の瞳が悲しさと絶望感を漂わせていた。
.
:10/07/21 23:08 :SH06A3 :ikGbTw0E
#942 [のの子]
それに気づいたぼくは、りゅーじとぼくは似ているって思った。
「‥千夏、嘘をつくのは悪い事とは限らない。俺は今を幸せに思ってる‥だから笑顔の秘密、内緒な?」
ぼくの頭を優しく撫でるりゅーじは、また悲しそうに笑っている。
ぼくは頷く事も、笑う事もできなかった。
りゅーじ、
それならどうしてりゅーじはそんな悲しそうに笑うの?
りゅーじはお姉ちゃんが好きなの?
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:10/07/22 10:33 :SH06A3 :QDHnDQE6
#943 [のの子]
りゅーじは、辛くないの?
聞きたい事はたくさんあったけど、りゅーじが聞かれたくない事も聞かれたら困る事もわかったから何も言わなかった。
りゅーじはそのまま旬達の方へ行ってしまった。
一人になってぼくは椅子に座りながら皆をただ見つめる。
‥暖かい場所だなぁ
そんな事を思う。
.
:10/07/22 10:40 :SH06A3 :QDHnDQE6
#944 [のの子]
『‥み‥ぃ―‥た‥』
ビクッ!!
耳の奥に響く太い声がぼくの体を凍らせる。
ドクッ ドクッ ドクッ
『―‥ぃ‥け‥た‥』
ドクッドクッドクッ
目の前に見える温かな光景とぼくとの間に急に壁ができたみたいだった。
もう皆の笑い声も聞こえない。ぼくに聞こえるのは‥
『‥‥みぃつけた‥っ‥』
ドクンッ!
:10/07/22 15:36 :SH06A3 :QDHnDQE6
#945 [のの子]
――‥ヒヤッ
ゾクッ!
何かがぼくの耳に触れた。冷たくて、もうこの世のモノではない‥指が‥
ドクッドクッドクッドクッ
‥怖いっ‥誰か
「あっ‥‥たす‥っ」
『‥お前‥見えるのか‥』
ビクッ!!
ドクッドクッドクッドクッ
ぼくのすぐ後ろにいるそいつに睨まれている気がして体が動かない。
.
:10/07/22 15:44 :SH06A3 :QDHnDQE6
#946 [のの子]
『‥見える‥んだな?』
真っ白な手がぼくの頭の両脇から伸びて現れた。
怖い怖い怖い怖い怖いっ
「あっ‥‥やめ‥っ‥」
触れてもいないその両手はただぼくの両脇で手首をダランと下げている。
でもぼくは落ち着く事も逃げる事もできない。
もうぼくはそいつの腕の中にいるようなもんなのだ。
そいつが腕を曲げればぼくを捕まえ、暗闇に連れていく。
誰にも見つからない暗闇に‥‥‥
.
:10/07/22 15:51 :SH06A3 :QDHnDQE6
#947 [のの子]
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ
「ハァッハァッ‥ッ‥ゴホッゴホゴホッ!‥ハァッ‥」
口を手で覆う。
ぼくはあいつらが近くにいると恐怖心から咳がでる。時には喘息のように、息が上手くできなくなる。
ハァッ‥苦しっ‥
「こらっ!」
コツンッ
―――っ!
「何一人でボーッとしてんだよ、こっち来て食え食えっ!」
頭を上げると旬がぼくの目の前に立っていた。
太陽の光が逆光して旬の顔が見えない。
.
:10/07/23 11:19 :SH06A3 :rbwdegx.
#948 [のの子]
‥旬っ
「ゴホゴホッ‥ッ‥ハァッ旬‥」
ぼくは旬に手を伸ばすと腕にしがみつく。
「ん?どうした、熱中症か?」
旬がぼくの額に流れる汗に触れる。
いつの間にか真っ白な手も、冷たく低い声もいなくなってた。
でもぼくの体は震えが止まらない。
あいつらは消えない‥
今もどこかからぼくを見ているはず‥
.
:10/07/23 11:33 :SH06A3 :rbwdegx.
#949 [のの子]
聡美Side
――――――――
―‥ザァーーッ
「信じらんないねぇ‥」
「うん‥まさか、ねぇ。」
ゴロゴロ‥‥ドカーッン!
桃と私の肩がピクッと震えた。
「山の天気は変わりやすいって言いますけどここまで変わるとはですね。」
鈴ちゃんも外を見つめる。
「これじゃ星見れないよねぇ。」
ぶすっとする桃を横に私も外を見つめる。
.
:10/07/23 11:39 :SH06A3 :rbwdegx.
#950 [のの子]
「そうだよねぇ‥」
1時間ほど前は青い空だったのが、今は黒い雲に覆われ凄まじい雨と雷になっていた。
楽しみにしていた花火も星もこのまま雨が止まないと見れない。
「流れ星‥見たかったなぁ。」
「何かお願いでもする気だった?」
振り返ると彰君が立っていた。
「秘密〜。それより千夏くんは?」
「ん、今さっき寝たとこ。和彦さん達にも連絡したんだけどこの雨だし、やっぱこのまま泊めてやってくれってさ。」
.
:10/07/23 17:44 :SH06A3 :rbwdegx.
#951 [のの子]
「でもぉ千夏くん自体は帰りたがってるんでしょう?いいのかなぁ‥私達幽霊なんて見えないから助けたくても助けらんないよぉ?」
桃がテーブルに顔をつける。
「千夏くんに見えてぇー、私達には何も見えなぁい。それって逆に可哀相じゃぁん‥」
「‥‥‥‥‥‥。」
1時間前、千夏くんが突然体調を崩したと思ったらこんな天気になって皆少し不安がっている。
幽霊が見える千夏くんが何かに怯えているのはすぐにわかった。
体調を崩してから旬君から離れようとしない。
つまりそれは旬君だけ自分と同じような人間だから、助けを求めているのだ。
.
:10/07/23 17:54 :SH06A3 :rbwdegx.
#952 [のの子]
外国で日本人に出会えて少しほっとするあの感じ‥なのかな。
「でも今離れたらさ、それは千夏にとったら拒否されたように感じるんじゃない?」
「あっお疲れさま、大丈夫だった?」
竜二君と博也君が髪をタオルで拭きながらリビングに入ってくる。
突然降り出した雨でそのままだったバーベキューの道具らを二人で一緒に片付けてくれてたのだ。
「大丈夫だよ。その変わり先にお風呂入らせてもらっちゃったけど。」
.
:10/07/23 21:56 :SH06A3 :rbwdegx.
#953 [のの子]
「そっそんなの全然大丈夫だよっ。風邪ひいちゃったら大変だし‥」
優しく笑う竜二君の髪は濡れていて、首にかかったタオルに雫が落ちる。
‥うぅ‥‥かっこいい
こんな時に私ってば何ドキドキしてるのー!
バシッ
「いったー‥」
「‥お前いちいち顔赤くしてんじゃねぇよ。」
彰君が私の頭を叩くと小さな声で喝を入れてきた。
「うっすみません‥」
頭をさすりながら私は小さくなる。
.
:10/07/24 10:57 :SH06A3 :i9xhtV8Q
#954 [のの子]
「ってか喉渇いたぁ!もう一杯やっていい〜?」
博也君が冷蔵庫から缶ビールを取り出す。
「えっもう飲むのっ?」
「だって働いてお風呂入ったらもう極楽タイムでしょ〜♪えぃっ!♪」
プシュッと缶ビールの開く音がしたかと思うと
「プハァーッ!やっぱ夏の夜はこうでなきゃねぇん♪皆も飲めばぁ?」
飲めばってまだ5時になったばっかりなんですけど‥
「せっかく来たんだし、楽しまなきゃっしょ!」
.
:10/07/24 11:03 :SH06A3 :i9xhtV8Q
#955 [のの子]
「じゃ俺も貰おっかな。」
「えぇっ!」
意外にも竜二君が1番最初に缶ビールに手を出した。
「いや、だって俺らが悩んでても何も解決しないし、それなら千夏が起きた時普通に笑って楽しんでる方が良いかなって。」
まっまぁ確かにそうかもだけど‥
「それもそうかもな。俺も適当に貰うわ。」
彰君まで冷蔵庫を漁りだす。
「彰君が飲むなら私もいただきまぁす。」
鈴ちゃんまでっ!!
.
:10/07/24 11:09 :SH06A3 :i9xhtV8Q
#956 [のの子]
「ってかフクはぁ?どこぉ?」
桃がほっぺを膨らましながら博也君達を睨む。
「そっそうだよ!それに旬君もいないのに先に飲むのも‥」
「旬ならもう千夏の横で一人で飲んでたよ。あいついつの間に酒取ったんだか‥」
「えぇっ!もう何それぇ、千夏くん大丈夫なのかな?」
私の肩が段々重くなる。
みんな、なんて自由なんだ‥
「フク部屋で寝てたよ〜。疲れちゃったのかねぇ。」.
:10/07/24 11:16 :SH06A3 :i9xhtV8Q
#957 [のの子]
「寝てるのっ?もう〜‥桃フクの所行ってくるぅ。」
桃がムスッとしながら歩くと
「あっ一応戻ってくるまで部屋には入らないでねぇ♪ばいばぁい♪」
「はっ?直人に変な事
バタンッ!
鈴ちゃんの事を無視して最後にニコッと笑いながら桃はリビングから出ていった。
「‥ありゃ襲う気だね。」
「いやっやめてください!‥ってかなんで私がこんな目に合わなきゃ‥」
クスクス笑う博也君の横で鈴ちゃんはお酒をぐいぐい飲んだ。
.
:10/07/24 11:21 :SH06A3 :i9xhtV8Q
#958 [のの子]
「お前も飲めば?」
彰君が桃のチューハイを渡してきた。
「えっ‥私は‥」
「もうみんな飲みだしちゃったんだし飲んじゃおうよ。」
竜二君まで缶ビール片手にニコッと笑う。
「それともお前酔ったら人変わっちゃうとか?」
っ!
彰君がクスクス笑うのを前に私は固まる。
「聡美ちゃん?」
.
:10/07/24 11:40 :SH06A3 :i9xhtV8Q
#959 [のの子]
「ぁっ‥あのっ私お風呂入りたいから入ってきます!じゃっ!」
「「えっ!」」
私は二人に手を挙げて素早くリビングから女子の部屋に向かう。
フクと桃がいるのは男子の部屋だろうし会う心配もないと思うと小走りになる。
―――パタンッ
静かな部屋に入ると黙ったままベッドに座る。
「‥‥‥‥どうしよう。」
『それともお前酔ったら人変わっちゃうとか?』
彰君の言葉が頭にこだまする。
:10/07/24 17:03 :SH06A3 :i9xhtV8Q
#960 [のの子]
どうしよう‥でももうみんな飲んじゃってるし〜っ
「私お酒飲むと‥あんまよろしくないって言われてるのに‥」
私はう〜‥っと頭を抱える。
確か前にまこ姉と昇さん達に誘われてお酒飲んだけど、次の日まこ姉に人前であまり飲むなって言われたんだ‥
―――――――
『聡美、あんま仲良くもない人の前でお酒飲まない方がいいよ‥』
『えっなんで?私なんか昨日しちゃった?』
『本当に覚えてないの〜?うっ気持ち悪‥ってかなんでそんな元気なのよ‥』
『全く覚えてないっ!えぇ〜‥昇さん達になんかしちゃった?』
.
:10/07/26 10:10 :SH06A3 :yJjfQO6g
#961 [のの子]
『忘れてんなら忘れたままの方がいいよ‥あぁーっもう無理っ!頭痛いし気持ち悪いっ!聡美みっ水持ってきて!』
『えぇっもう〜、まこ姉結構飲んだの?』
『うぅ〜‥いいから水〜‥』
『ちょっもうどんだけ飲んだのぉ?はいっ水!』
『ん゙ーっ‥アレを覚えてないなんて小悪魔ねぇ‥』
『なにが?』
―――――――
.
:10/07/26 14:41 :SH06A3 :yJjfQO6g
#962 [のの子]
二日酔いのまこ姉はそれ以上教えてくれなかった、っというか話せるような状態じゃなかったし..
「ちゃんと聞いとけば良かった‥」
確か昇さん達にも聞いたらまこ姉と同じように人前であまり飲まない方がいいって言われたんだよね。
それからお酒なんて飲む機会なかったし、
どっどうしよ〜‥!!
「でも飲まなきゃノリ悪いとか思われるかな‥」
きっとフクと桃も飲むよね。
:10/07/26 14:48 :SH06A3 :yJjfQO6g
#963 [のの子]
一か八か飲んじゃうっ?
いやいやっでも皆に迷惑かけたら嫌だしそれにっ‥
それに...
「酔っ払って変なとこ見られたくない‥」
1番に竜二君の顔が浮かんだ。
恥ずかしいもんっ!それに嫌われたくないし‥
‥彰君だったらきっと笑ってネタにしてきそうだなぁ。うん、絶対そうっ!
「‥はぁっとりあえずお風呂入っちゃおうかな。」
.
:10/07/26 14:53 :SH06A3 :yJjfQO6g
#964 [のの子]
私は誰にも見つからないようコソコソとお風呂場に向かう。
お風呂場に向かう途中、リビングから皆の笑い声が聞こえてそれがちょっと胸にチクンッと刺さった。
お風呂は家のお風呂より少し大きくて、一人で入るとのんびり足が延ばせる。
「んー‥っはぁ、お風呂出たらどうしようかなぁ‥」
ってかカレー作ってない‥
「私はカレーでも作ろうかな。」
.
:10/07/26 21:51 :SH06A3 :yJjfQO6g
#965 [のの子]
きっと千夏くんが起きたらお腹空いてるだろうし
「うん、甘口のカレー買っといて良かったぁ♪」
そうだよっ千夏くんもいるんだし私一人飲まなくても大丈夫だよね!♪
千夏くんの存在を思い出してほっとした私は湯舟から上がる。
よしっさっさと出てカレー作らなきゃ!
体を洗ってサッパリしたからか、お風呂に入る前の胸の痛みはなくなっていた。
.
:10/07/26 21:57 :SH06A3 :yJjfQO6g
#966 [のの子]
みなさんへ。
いつも読んでくださってありがとうございます
ピンクな気分。Uはキリがいいのでここで終わりにします
Uの続きはVに書いていきますね
長期の小説になってしまって申し訳ないです
これからも皆さんに楽しんでいただけるよう最後まで書いて行くので宜しくお願いいたします
.
:10/07/27 10:53 :SH06A3 :tHxKU.56
#967 [我輩は匿名である]
:10/08/06 23:15 :SH706i :5ZscoBMA
#968 [我輩は匿名である]
:10/08/06 23:18 :SH706i :5ZscoBMA
#969 [我輩は匿名である]
あげ↑↑
:11/05/18 12:50 :SH001 :KSv4oJN6
#970 [ケ]
:11/07/18 00:16 :S006 :eE5MJ782
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