○ビー玉ラバーズ○
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#601 [向日葵]
いらない物をくれそうなので私は嫌そうな顔をした。
そんな事構わないのか、静流はにこにこしたまま私の手を引っ張って行った。

店に入って、静流が手にした物は

「え?リボン?」

静流はにこにこしながら頷いた。

まさか……私は静流へのプレゼントなんか考えてないからもし私が「考えてない」と答えた場合……。

「紅葉が俺へのプレゼント!」

とかクサイ事やるんじゃないでしょうね……。

⏰:07/12/17 15:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#602 [向日葵]
「紅葉何色が好き?」

「んぇ?オレンジ。」

「りょーかいっ!」

50センチ程に切ってもらったオレンジと緑のリボン。
私が赤を選んだなら、ちょっとしたクリスマスカラーだ。

店を出ると、駅前からずっと離れた所へ歩いていく。

「ちょっと静流?どこ行くの?」

「見てからのお楽しみっ。」

⏰:07/12/17 15:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#603 [向日葵]
「なんだか楽しそうね。」

「紅葉は楽しくない?」

そんな事……言わせないで。

「なかったら……今いないわよ。」

静流はニカッと笑って進む足を早めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「とーぅちゃぁくっ!!」

「えー……。」

着いた場所には、電飾が全く付いてない大きなツリーと、ツリーを照らす照明があった。

⏰:07/12/17 15:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#604 [向日葵]
ツリーをよく見てみると、色とりどりのリボンが結んであった。

そこでようやく静流がリボンを買った意味が分かった。

「ツリーに飾りつけ?」

「んーまぁ近いかな。」

そう言うと、さっき買ったリボンを出し、重ねてツリーに結んだ。

「毎年この街恒例のものなんだ。“好きな色のリボンを結ぶと願いが叶う”って。」

「なんか七夕みたい。」

そんな恒例のものを静流がしようだなんて、ますます静流は私より女の子っぽい。

「そうだな。」

⏰:07/12/17 15:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#605 [向日葵]
静流は私の両手を握ると、私の目の高さに合わせて私を見つめた。

「紅葉の願い事は?」

「願い事って口に出したら叶わないんじゃ……。」

「いいからさ。」

あちこちに視線を向けて、私は「うー……」と唸った。

私の願いは……

「食べ物がもうちょっと食べれるようになりたい。」

「ブハッ!そんなんでいいの?!他は?」

⏰:07/12/17 15:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#606 [向日葵]
他?!

私は必死に頭をねじって他の願い事を考えた。

静流はその間も私をじっと見つめる。
なんだか急かされてる気分……。
当然本人にはそんな気ないのだろうけど……。

「少し丈夫な体になりますように……とか?」

「お前の願い事は健康な事についてばっかりか。」

「だったら静流言ってみなさいよー!」

すると静流はおでこをコツンと当てて目を閉じた。

⏰:07/12/20 00:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#607 [向日葵]
「紅葉がずーっと俺といてくれますように……。」

「……っ。」

静流はゆっくり目を開けて、優しい目をして間近で私を見つめる。

「わ……私が出て行くとでも思ってる訳?」

「実際出て行った事あんじゃん。俺の気も知らずひっでぇーよなぁっ。」

非難の言葉とはうらはらに、静流は茶目っ気たっぷりの目でからかう様に言った。

「さて!手本は見せた。……紅葉の願いは?」

⏰:07/12/20 00:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#608 [向日葵]
そんなの言われたら、私が言う事は1つって分かってるくせに……。
つくづく静流はズルイ。

「……静流が私に飽きませんように。」

私の素直じゃない願い事に、静流は声を上げて笑った。
握られている手が、2人の体温であったかくなっていく。

手だけじゃなく、私の心に、いつまでも……いつまでも温かさをくれるのは……

きっと…静流だけだから……。



―温―*END

⏰:07/12/20 00:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#609 [向日葵]
アンカーです
よかったら使ってください

>>2-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-610

感想板
>>283

⏰:07/12/20 00:24 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#610 [向日葵]
ビー玉ラバーズ*スペシャルストーリー
*弟の君〜気持ちを箱に〜*











Q.好きな人はいますか?

A.はい。

Q.どんな人ですか?

A.それは……

⏰:07/12/22 17:53 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#611 [向日葵]
「加寿姉。」

ドキッ……。

日曜日。
私の家に遊びに来ていたご近所の3つ離れた誠。

声をかけられた私の心臓は不規則な動きをする。

「な…、何?」

リビングでゲームをしながら誠は私に話しかける。

「腹減ったんだけど……。何かない?」

「あ……じゃ、何か作るよ。もうすぐお昼だし……。」

私が何故こんなにぎこちないか。
それは最近、こちらにいる女の子の様に可愛い容姿の誠(せい)に告白されたからです。

⏰:07/12/22 18:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#612 [向日葵]
そして私、加寿(かず)は返事出来ないまま今までズルズルズルズル引きずっています。
でも、誠は返事を急かす事なく至って普通の態度。

私は誠が好きと気づきました。
でもいざ誠に言おうとすると上手く言葉が出てきません……。

このままじゃいけない!そう思った私に天の助けかありがたいイベントが迫ってきています。

それは女の子も男の子もソワソワしてしまうバレンタインデーなのです。

そのバレンタインデーも明後日に迫っている為、私の心臓は2倍速。

⏰:07/12/22 18:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#613 [向日葵]
「加寿姉?」

私の肩に顎を乗せて、私の料理行程を見に来た誠に私はびっくりすると共に顔が赤くなる。

「な!ななな何?!ご飯まだだよ!」

「何作んのかなぁーってさ。」

と言いながら誠は私の腰に腕を回してきた。

えぇぇぇぇっ!!

最早料理どころじゃなくなる。
包丁持ってる私の手は危なっかしく動く。

「あ、チャーハン?いぃねいぃね。ネギ入れてなー。」

⏰:07/12/22 18:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#614 [向日葵]
そんな事より離れてーっ!

体温が上昇してる気がする。こんなの服ごしに誠にバレちゃう……っ。

すると誠はするりと腕を離した。

「早く作ってよー?俺腹ペコなんだからさー。」

そう言ってまた再びゲームをやり始めた。

誠に聞こえないように大きく深くため息をつく。

心臓……どうにかなっちゃいそうだった……。
危ない危ない……。

……どうして……誠はあんなに普通にしてるんだろう……。

⏰:07/12/25 00:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#615 [向日葵]
もしかして……返事を急かさないのも、私の事、好きじゃなくなっちゃったのかな……。

――――――――……

「だぁっと思うなら!尚更バレンタインデーなんて待ってないでさっさと言いな!」

学校。
私は誠との事を杏ちゃんに相談した。
杏ちゃんは机に乗り出して至近距離で私を見つめる。

「だ……だだ、だって……。言えないんだもんっ。恐い……し……。」

「今のままじゃ弟君は生殺し状態よ?!そんな加寿の勇気の問題で待たせたままじゃあまりにも可哀想じゃないっ!」

⏰:07/12/25 00:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#616 [向日葵]
私はウッと唸った。

確かに、私は誠が何も言わない事に甘えてる。
もちろん、勇気が出せないのも嘘じゃない。
誠がこのままの状態をどれだけ我慢強く待ってくれているのかも知ってるけど……。

「もしも……誠が好きな人別にいたりしたらさ……初告白なのにいきなり玉砕だよ?しかもバレンタインデー前っ!ショックすぎるよーぅぅ……。」

「まったく……。」と言って杏ちゃんは呆れかえってしまった。
こんな自分、自分でも呆れちゃうよ……。

⏰:07/12/25 00:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#617 [向日葵]
「弟君がもし加寿の事好きじゃないなら、いつも通り一緒に登校しないと思うよ?弟君って多分彼女が傷ついたりする事出来るだけしなさそうなタイプだし。」

だって誠は優しいもの。
優しくて優しくて……年上の私がどんどんのめり込んでしまうぐらい存在が大きい人……。

「とにかく!バレンタインデーはちゃぁぁんっと心込めなさいよ?!」

「……うん。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昼休み。
いつもの時間に誠が来ない。

⏰:07/12/25 00:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#618 [向日葵]
授業が長引いてるのかな?

迎えに行きたいけど行き違いにはなりたくないし……。
なら、誠がいつも通る階段のトコで待っててみよっ!
そしたら絶対会うだろうし。

私はその階段へと向かった。

「――――。」

「ん?」

階段を下りきろうとした時、どこかから話声が聞こえた。
昼休みだから人はそこここにいる。
でもその声は、人気の無い場所から聞こえた。

⏰:07/12/25 00:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#619 [向日葵]
階段の下の……用具室……?

そう思った時。

ガタガタガタ!

「?!」

もしかして……ケンカ?!

気づかれないように私は用具室に忍び寄り、そーっと半開きになっていたドアから中を覗いた。

「え……。」

小さく呟いたその声はきっとその2人には聞こえなかっただろう。

中には、中等部の男女。
1人はセミロングの黒髪が綺麗な女の子。

もう1人は……。

「せ……い……?」

⏰:07/12/25 00:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#620 [向日葵]
2人は抱き合っていた。

私は目を見開いて1歩、また1歩と後退りした。

そして走る。

また教室へと戻って来た。

他の友達とお弁当を食べていた杏ちゃんは走って来た私に驚いていた。

「加寿?どうかした?」

どうして……?
何で……。
ウウン違う。
何か理由があったに違いない。
じゃなきゃ誠が……あんな安々と女の子を抱き締める訳……。

⏰:07/12/25 00:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#621 [向日葵]
あぁ……分かんない……。

結局その昼休み、誠が私の教室に現れる事はなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はぁ……。」

私は1人教室に残っていた。誰もいない教室は意外にも寒い。少し身震いした。

早く……帰らないと……。

ガラガラガラ

「あれ?橋田(加寿の名字)?」

「あ、丹波君。」

⏰:07/12/25 00:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#622 [向日葵]
同じクラスでバレー部のキャプテンの丹波君は、バレーをやってるだけあって背が高く、入口を頭を低くしなければ通れないほどだった。

「どうかしたの?」

「丹波君こそ。部活は?」

「今日はミーティングだけ。んで自主練しようと思ってシューズ取りに来た。」
丹波君はかけてる深緑のフチのメガネをくいっとあげて、自分の席まで移動した。

私はそれをただ観察して、彼がドアを閉める瞬間を見送ろうとしていた。

⏰:07/12/25 00:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#623 [向日葵]
シューズを取った丹波君は私を見た。

「何か悩み事?」

「へ?どして?」

座ってるせいか、こちらへ向かってくる時の丹波君の背は迫力満天だった。
そして今は、長い足を組んで小さく見える椅子に座っている。場所は2、3個離れて私の前だ。

「なんかこーやっているのって、悩み事ある人が多いんじゃないかなぁーって思っただけ。」

「そんな漫画じゃないんだから。」

「でも実際悩んでる時って1人で黄昏たくない?」

⏰:07/12/25 00:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#624 [向日葵]
メガネ越しに、意外に柔らかな目線で私を見つめている丹波君。
背が高いせいか目つきはもっとキツク感じた。

「うん……分かるそれ。」

「で?何かあったとか?」

「……んーん。いいやっ。」

なんだか自分の気持ちを分かってくれてる人がいた事に、少しだけ心が軽くなった。

「そかっ。じゃ、帰ろうかねーぃ。」

「自主練は?」

「今日はもういいや。」

⏰:07/12/25 00:53 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#625 [向日葵]
私達は下駄箱まで一緒に行った。

「加寿姉!」

私の下駄箱の前に、誠が待っていた。
誠は立ち上がって、私の横にいた人物に目をやる。

「……。」

「あ、遅くなってゴメンね。こちらクラスメートの丹波君。ちょっと会話が弾んでてね。」

「橋田弟いたんだ。」

「あ、誠は」

「弟じゃねえよタコ。」

誠は私の手を掴むと引っ張って外へ出て行った。

⏰:07/12/25 00:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#626 [向日葵]
「ちょ、誠、靴靴靴!!」

私の訴えも無視して誠はズンズン進んで行った。

早歩きで少し息が上がった頃、ようやく誠は止まって私に向き直った。

その表情は、悔しさと怒りが混じった感じだった。

「何で早く来てくんなかったのさ。」

「だから喋ってたの。いいじゃない少しくらい。」

「アイツが好きなの?」

「ちっがーうっ。何言ってんの誠はぁ!」

どうして丹波君を好きにならなきゃいけないの。
しかもまともに喋ったの今日が初めてだし。

⏰:07/12/25 01:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#627 [向日葵]
――――――――――――

今日はここまでにします

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/12/25 01:03 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#628 [向日葵]
私の困った顔を見つめて、誠はうつ向いた。

「……よ……。」

「え?」

誠が何か呟いた。
けどその声は私の耳には届かず、聞き直した。

うつ向いてた誠はキッと私を睨んで「なんでもないっ!」と言葉を吐き捨ててまた早歩きで行ってしまった。

「もー…なんなのー……?」

―――――――……

「加寿ー。」

「何?ママ。」

⏰:07/12/26 23:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#629 [向日葵]
ママは何か入ったタッパを私に渡した。

「これ、誠君んちに届けきて。この前ケーキ貰ったお礼にって。」

誠んちかぁ……。
仲直りする為に行った方がいいかもなぁ。

「ウン分かった。」

そう言って家から1分もかからない誠宅へと足を運んだ。

インターホンを鳴らして、誰か出てくるのを待つ。

『はぁい。』

「あ、おばさん?加寿です。」

⏰:07/12/26 23:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#630 [向日葵]
『あーハイハイ。ちょっと待っててね。』

ガチャリと切られて、私はおばさんが来るまで待った。
周りを意味なく見渡したり……端から見たら挙動不審に見えちゃうかも……。

するとドアが開いた。

「あ……。」

中から出てきた誠は小さな声でそう呟いた。
私もてっきりおばさんが出て来ると思ってたから、誠にびっくりした。

「や、やほ……。あ、これ、ママから。」

「ん。サンキュ……。」

⏰:07/12/26 23:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#631 [向日葵]
会話が止まってシーンと言う音が聞こえた。

内心顔に汗がダッラダラ出ている私は、仲直りのつもりで来たくせに沈黙に耐えれず今にも足が回れ右をしそうだった。

「……ゴメン。」

「え?」

また呟くように誠が言った。でも今回はなんとか私の耳に届く音量だった。

「いきなり怒鳴り散らして……。嫌な思いさせた。」

あまりに素直な誠に静かに微笑んで、私は頭を撫でた。

⏰:07/12/26 23:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#632 [向日葵]
「気にしてないからいいよ。私も、誠が待ってくれてるのに遅くなってゴメンね。」

「……それで怒ってたんしゃない。」

頭を撫でていた手を誠は掴んだ。
改めて感じる誠の掌の大きさに私は一瞬ビクッとしてしまった。

「分かってんでしょ?俺の気持ち。俺は……他のヤツと仲良くして欲しくなかっただけ。……嫉妬してたんだよ……。」

真っ直ぐな誠の目……。
私の思考を真っ白にしてしまいそうだった。
でもそれと共に安心した。
誠はまだ私を想ってくれてた。

⏰:07/12/26 23:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#633 [向日葵]
「あ……ありがとう……。」

そう言うのが精一杯だった。
この雰囲気で告白するべきかを一瞬悩んだけど、やっぱり止めた。

『誠!お話するなら加寿ちゃんに上がってもらいなさい!加寿ちゃんが冷えちゃうでしょっ。』

インターホンでそう告げるおばさんのおかげで、2人の間のちょっとした空気が元に戻った。

「あ、じゃあまた明日っ!おやすみ。」

「うんおやすみ。」

⏰:07/12/28 23:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#634 [向日葵]
家に入る前、もう1度誠を見ると、誠はまだ数メートル先から私を見つめたままだった。
そんな誠に手を振ると、誠はちゃんと振り返してくれた。
それに静かに微笑みながら私は家に入っていった。

「おかえりー。ご飯食べるー?」

「ウン。」

私はそのままリビングへと向かった。

今日は私が好きなグラタンだった。
ママのグラタンはルーから作るからとても美味しくて好き。

⏰:07/12/28 23:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#635 [向日葵]
「そーいえば……。」

お茶をいれながらママが台所から少し声をあげて私に話かける。

「誠君にチョコあげるの?」

「はいっ?!」

すっとんきょんな声を出してしまった。
普通、ママは相手が誰であろうとそんな事は聞かない人なのに。
よりによってなんで今回は……っ。

「だぁって。最近の加寿って誠君にぎこちないから。」

「だからって何で聞くの!」

「誠君がお婿さんになってくれたらママ嬉しいなぁぁって!」

⏰:07/12/28 23:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#636 [向日葵]
まったくママったら……。

ママは昔から誠大好き人間で、ずっとこんな事を言う。対する誠のママ(つまりおばさん)も私に「誠の嫁に来てね。」とよく言う。

昔はアハハと笑いとばして冗談半分に聞いていたけど、今はそんな笑いとばせる力はどこにも残っていなかった。

「もちろん渡すわよ。でもねママ。いくら身内で、しかもご近所付き合いの人にそれをあげるからって、娘のプライベートの中のプライベートまで根掘り葉掘り聞かないでちょうだいっ。」

⏰:07/12/28 23:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#637 [向日葵]
そんな無邪気で好奇心旺盛なところがママの良いところでもあるけれど……。
あんまり何もかもをベラベラ話して娘の嫁ぎ先が決まったと勘違いして小踊りされてはこちらが恥ずかしくて仕方ない。

「はぁい。分かりましたぁ。」

ママは降参のポーズをして、私の前にグラタンを置いた。
焦げめがついたチーズの匂いが食欲をそそる。
いつも通り、ママと楽しく美味しく食事を済ませた。
さっきの注意の効果か、ママがバレンタインについて聞いてくることはもうなかった。

⏰:07/12/28 23:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#638 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・・

部屋に戻ってから、部屋にある小さなテーブルに乗っている小箱を見つめる。

これが正真正銘、誠へのチョコだ。

明日……明日で……私の気持ちを誠に伝える事が出来る……。

――――――……

「う……わぁぁぁ!」

遂に決戦(?)の日。
平静を保ちながら私はいつも通り誠と登校。

すると中等部から誠の叫び声。

⏰:07/12/28 23:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#639 [向日葵]
「せ、誠?!」

ただならぬ誠の様子にびっくりした私は、誠の元へと行った。

するとそこには、漫画のように、チョコが入っているだろう小包に誠が若干埋もれていた。

予想からして、下駄箱開けるといきなりチョコ。
まるで玄関あけたら2分でご飯。みたいな……。

「な……んだよこれ……。」

「チョ……チョコ……でしょうね。きっと……。」

そこで改めて、誠がモテていると言う現実に気付いた。

⏰:07/12/28 23:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#640 [向日葵]
――――――――――――――

ちょっと休憩します

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/12/28 23:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#641 [向日葵]
「た……大量だね……。捨てるとか、そんな人の気持ちを踏みにじるような事しちゃ駄目だからね。」

それだけ言って、私は誠に背を向けた。

「ちょ、待って加寿姉!」

誠の声を、聞こえなかったフリして、私は教室へと向かった。

「あれ、いいの?」

階段を上ろうとした時、後ろから呼びかける声がした。

「あ……丹下君……。」

「あの子、君が好きなんでしょ?」

⏰:07/12/29 00:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#642 [向日葵]
丹下君の言葉に、赤面する反面、うつ向いて落ち込んだ。

あんなにモテる誠に、自分なんかがふさわしいんだろうか……。

丹下君と話ながら階段を上っている途中、ある物が目についた。

それは、昨日誠と知らない女の子が抱き合っていたあの用具室だった。

誠……昨日私にあぁは言ってくれたけど……本当は同年代の女の子に気持ちが傾いてるんじゃないだろうか……。

「はーしーだっ。朝から暗すぎ。テンション上げてこうぜー。なんてったって今日は魅惑のバレンタインなんだからさっ。」

⏰:07/12/29 00:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#643 [向日葵]
「うん……。」

「返事の割りに全然だな。…そうだ!テンション上げる方法教えてやるよ!」

「え?」

「ひたすらサムイダジャレ連発してみる!」

逆にテンションが下がりそうな丹下君の提案に、思わず吹き出してしまった。

「それ、逆効果だからっ!」

「お、笑ったな。その調子っ。」

丹下君の気遣いに、少しだけ胸のモヤモヤが晴れた気がした。
顔が自然とほころぶ。

⏰:07/12/29 00:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#644 [向日葵]
「ところで丹下君は――――。」

この時、私は知らなかった。

階段の下で、楽しそうに話している姿を、誠に見られてただなんて……。

――――――……

昼休み。

誠にあんな態度を取ってしまったので、正直会う事を避けたかった。
でもチョコを渡すには、それなりの雰囲気作りをしとかなきゃいけないと思っている私は、今回のチャンスを逃す訳にはいかなかった。

⏰:07/12/29 00:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#645 [向日葵]
だから自分から教室を出て、誠が来たらすぐに行ける様に準備していた。

でも、昨日に引き続き、誠が来るのが遅い。

もしかして……告白する人の列に追われてたりするのかな……。

と思ったら

「加寿姉。」

誠が向こうからやって来た。
でもなんだか様子がおかしい。暗くて、悲しいような怒っているようなそんな雰囲気をまとっていた。

「誠……どうかした?」

「……別に。早く行こう。次体育なんだ。」

⏰:07/12/29 00:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#646 [向日葵]
「う、うん……。」

やっぱり、変だ……。

今日は小さな空き教室に入って食べた。
でも、隔絶された部屋に、沈黙が重くのしかかる。

いつもならこんな空間で食べる時、まるで隠れ家を見つけたみたいに嬉しいのに……今回はそうもいかなかった。

黙々と、箸を進める誠。
それを垣間見る私。

何を話せばいいのか、話題がまったく見つからない。

と、そういえば、さっき誠が次体育だという事に気がつく。

⏰:07/12/29 00:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#647 [向日葵]
――――――――――――――

今日はここまでにします

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/12/29 00:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#648 [向日葵]
「次、体育なら早く食べなきゃね。」

「……。」

「今は何してるの?あ、この時期ならバレー?バレーと言えばね、昨日喋ってた丹下君」

ガンッ!!

喋っている最中、机を思いきり殴った誠は、私の話を中断さした。

その音に驚いた私は思わず持っていたお箸を手放し、床に落としてしまった。

虚しいほどに音を立てて、静けさをかき消す……。

「……結局……加寿姉は何も分かってない。」

⏰:08/01/06 00:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#649 [向日葵]
何……も……?

誠は私をギッと睨む。
それは嫉妬のようで、軽蔑のような思いをこめた目だった。

「俺の気持ち、分かったフリして振り回して、遊んでるんだろ?……だからあのアイツと楽しそうにしたり話題だしたりしてるんだろ?!」

――パンッ………

私はいつの間にか平手を誠にお見舞いしていた。
手が軽くジンジンする……。

「分かってないのはどっち……?誠だって、私を好きって言ったくせに女の子と抱き合ってたじゃないっ!!」

「?!……まさか、あれ見て……っ?」

「遊んでるのは誠じゃない!!せっかく私は……。」

⏰:08/01/06 00:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#650 [向日葵]
涙が出そうになって、急いでお弁当を片付けた私はそこを逃げ出した。

後ろで切羽詰まった誠の声が聞こえた気がしたけど、私は振り向く余裕すらなく、廊下を走って行った……。

―――――――……

昨日同様、また1人教室で座っていた私は、誠に渡す予定のチョコを眺めていた。

告白のつもりだったバレンタインデーはパー。
逆に喧嘩してしまった。

どうしてこうなっちゃうの……?

ガラガラガラ

⏰:08/01/06 00:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#651 [向日葵]
ドアを開ける音に、滲んできた涙を慌てて拭いた。

「なぁんだ。また橋田か。」

「丹下君……。」

丹下君は今日は私の隣に座って私をじっと見る。

「チョコなんて眺めて……何、お目当ての男に失恋でもしたか?」

「……かもね。」

誠は呆れてしまったかもしれない。
こんな恋愛ベタな私に。
年上のクセに、すごく情けない……。

「あの中坊だろ?有名だよなあの子。」

「……うん。」

⏰:08/01/06 00:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#652 [向日葵]
誠の顔を思い出すと、ふいに引っ込めた筈の涙が1粒流れ落ちた。

私何やってんだろ。
不安にさせたのは、原因は私なのに、誠にヒドイ事言っちゃった……。
誠は私の為に、常に自然体で接してくれた。

なのに私は、ギクシャクするわまともな返事出来ないわ……挙句の果てには文句まがいの事まで……。

こんな事なら、もっと早くに言っておくんだった。

気持ちが離れるその前に……。

「橋田。泣くなって。」

⏰:08/01/06 00:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#653 [向日葵]
そう言いながら私の頭を撫でようとしたらしい丹下君は、手を私の方へ伸ばしてきた。

その時だった。

ガラガラガラ

誰かがドアを開けた。

私は涙を拭いて、ぼやける視界をクリアにする。

そこに立っていたのは

誠だった。

「お前……よくも加寿姉泣かしやがったな……っ!!」

へ?

⏰:08/01/06 00:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#654 [向日葵]
誠は私の鞄を持つと、グイッと私を引っ張って教室から連れ去った。

「何されたの?」

昇降口まで来て、私に向き直った誠は心配そうに私を見上げた。

私は涙で濡れたまつ毛をパシャパシャ瞬きしながら誠を見た。

「何もされてないよ……?丹下君は、慰めようとしてくれただけ。」

「慰め?」

「泣いてたのは……自分が情けなかったから……。」

誠は眉を寄せて困った顔をしながら私を見つめる。

⏰:08/01/06 00:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#655 [向日葵]
「……私、誠が好き。私はこの通り、恋愛なんてこれっぽっちもわからないから、誠にどう接したらとか迷ってたの。告白の返事だって……するのすごく恥ずかしくて今まで言えなかった。」

私は自分の手の中にある物に気づく。

今日の為に、沢山の誠への気持ちを詰め込んだ、小さな、でも中身は一杯詰まった箱……。

それを誠に差し出す。

「誠は人気者だから……自分に自信がなかったの。だからバレンタインデーって言う特別な日から勇気をもらって、今日伝える事に決めてた。……受け取って、くれる?」

⏰:08/01/06 00:46 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#656 [向日葵]
その瞬間……

ポロ……

また1粒涙が落ちた。
でも今度は自分の目からじゃない。

落ちたのは、誠の目から。

「……わ、カッコ悪……っ。男のくせに、嬉し泣きとか……っ。」

誠は乱暴に袖で目を拭くと、箱を包みこんでいる私の手ごと、いつの間にか私より大きくなった手で温かく包んだ。

「ありがとう……加寿姉。」

「私も……好きになってくれて、ありがとう誠……。」

⏰:08/01/06 00:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#657 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・

幸せな気持ちで、だけどどこかお互い初々しい雰囲気を漂わせながら、仲良く手を繋いで帰っていた。

「気にしないでいいからね。俺の抱き合ってた事。あれ、無理矢理抱きつかれただけだから。」

「なら、誠も気にしなくていいからね。丹下君。彼、彼女いるから。」

「そっか……。」と呟いた誠の顔は、ホッとして嬉しそうに微笑んでいた。

そんな彼が、とても愛しくて、頬に唇を一瞬押し付けた。

⏰:08/01/06 00:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#658 [向日葵]
「――――っ!!」

手を繋いだまま、距離をおく誠。

「クスクス……。すごい顔赤い……っ。」

箱に詰め込んだ、大好きって気持ちが、ちゃんと誠に届いたみたい。

今、とても穏やかな気持ち……。

みんな……そうじゃないのかな。

大好きな人といれば、嬉しい事、辛い事、楽しい事、悲しい事……。
沢山、共有出来る。

様々な形。
様々な色。

⏰:08/01/06 00:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#659 [向日葵]
そんな恋愛模様を、人はこんな風に例えるのだった。







まるで、ビー玉みたいだと……。

⏰:08/01/06 00:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#660 [向日葵]
*ビー玉ラバーズ*

*END*

⏰:08/01/06 01:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#661 [向日葵]
*あとがき*

と、言う訳で

ビー玉ラバーズはこれにて終わりでございます
読んで頂いた皆様、又、応援して頂いた皆様、本当にありがとうございました


よろしければ
>>283の方に感想板がありますんで、感想頂けると嬉しいです

⏰:08/01/06 01:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#662 [向日葵]
アンカーよければお使い下さい

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-670

⏰:08/01/06 01:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#663 [我輩は匿名である]
集まり

⏰:10/03/23 14:30 📱:W43H 🆔:☆☆☆


#664 [我輩は匿名である]
>>1-50
>>50-100
>>100-150
>>150-200
>>200-250
>>250-300
>>300-350
>>350-400

⏰:10/04/07 19:40 📱:SH06A3 🆔:☆☆☆


#665 [我輩は匿名である]
>>400-450
>>450-500
>>500-550
>>550-600
>>600-650

⏰:10/04/07 19:41 📱:SH06A3 🆔:☆☆☆


#666 [我輩は匿名である]
666 666 666
666 666 666
666 666 666

⏰:10/04/07 22:23 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#667 [我輩は匿名である]
>>651-680

⏰:10/04/07 23:26 📱:N08A3 🆔:☆☆☆


#668 [我輩は匿名である]
大好き!あげ!

⏰:11/02/12 03:49 📱:SH03A 🆔:☆☆☆


#669 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>1-40

⏰:22/10/04 23:19 📱:Android 🆔:☆☆☆


#670 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>600-630

⏰:22/10/05 00:12 📱:Android 🆔:☆☆☆


#671 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>630-650

⏰:22/10/05 00:13 📱:Android 🆔:☆☆☆


#672 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>30-60

⏰:22/10/05 01:01 📱:Android 🆔:☆☆☆


#673 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>60-90

⏰:22/10/05 01:02 📱:Android 🆔:☆☆☆


#674 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>90-120

⏰:22/10/05 01:03 📱:Android 🆔:☆☆☆


#675 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>110-140

⏰:22/10/05 01:04 📱:Android 🆔:☆☆☆


#676 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>140-170

⏰:22/10/05 01:05 📱:Android 🆔:☆☆☆


#677 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>170-200

⏰:22/10/05 01:07 📱:Android 🆔:☆☆☆


#678 [わをん◇◇]
それに気付いてほしかった

―――――――――……

目を覚ました。
あれからどれくらい経ったのだろう?
ここは天国‥?

「橘様!ナナシが目覚めました…!」

たち‥ばな……橘?
何故…?

「私がお前を手放すと思ったか?」

何故父がいるの。
私は…死んでいないの?

⏰:22/11/03 18:37 📱:Android 🆔:☆☆☆


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