クソガキジジイと少年」
最新 最初 全
#460 [ザセツポンジュ]
「小夜子ストロベリーふたつ」
「みーちゃん、先に梅昆布茶をワシにひとつ。」
今日もかわいくて小さくて色の白いみーちゃんは
「了解生コン☆」
笑顔で言ってくれた。
:06/09/10 01:30 :W41S :sOXotDB6
#461 [ザセツポンジュ]
「なぁきーさん、ワシは悩むよ全く。空ちゃんとみーちゃん。…空ちゃん。みーちゃん…。空ちゃ…」
「すーさん。短刀直入に言うが、お前が選ぶ立場ではないと言う事を頭に入れて置くんだな。62にもなってみっともないぞ。」
きーさんは、窓の外をぼんやり見つめながら難しい顔ですーさんに忠告した。
:06/09/10 01:33 :W41S :sOXotDB6
#462 [ザセツポンジュ]
「きーさん。今日は何を考えているんだ。」
すーさんは少し心配気味にきーさんの眉間のシワの数を数えていた。
「…あのな、すーさ…」
「おまたせしました、梅昆布茶…」
「みーちゃん。みーちゃん。かわいいねぇ。今日も。ウフフフフ。」
すーさんは親友のきーさんの悩み事よりも
一瞬登場する小さくてかわいいみーちゃんの方が大事なのだ。
:06/09/10 01:37 :W41S :sOXotDB6
#463 [ザセツポンジュ]
きーさんは、この隣に生息している老人と、なぜ今日と言う今日まで一緒にいてしまう友達なのか、心底自分を疑った。
「気持ちが悪いぞ、すーさん。そろそろリハビリテーションの時間じゃないのかね?行かなくて大丈夫か。」
「このヴォケ!ワシはどっこも悪くないわ!」
そしてどこも悪くないすーさんは梅昆布茶をすする。
「ぅあちちちち。」
すーさんは猫舌なのだ。
:06/09/10 01:43 :W41S :sOXotDB6
#464 [ザセツポンジュ]
オシボリで口をちょちょいとふいたすーさんは梅昆布茶が冷めるまでの間、タバコを手に取り火をつけた。
「なぁ。すーさん。手の甲に小さいアザをつくるにはどうしたらいいのかね。」
すーさんはきーさんの顔を3秒ほど見つめ、自分の手に持っているタバコときーさんの顔を交互に見て
決心したかのように
きーさんの手の甲に
タバコの火を近づけた。
:06/09/10 01:48 :W41S :sOXotDB6
#465 [ザセツポンジュ]
「いやいやいやいやいや。君は間違っているよ。テストなら0点より下だ、すーさん。」
きーさんはさっと手を後ろにしまった。
「きーさん。あんた何がしたいんだね。」
「質問を変えよう。ここに小さなアザがポツポツと出来ている子がいたんだが、何をして出来たのだと思う?」
きーさんは昨日きららちゃんが手の甲に小さいアザを作っていたところを指差した。
:06/09/10 01:53 :W41S :sOXotDB6
#466 [ザセツポンジュ]
すーさんは自分の手の甲を見つめ
真剣な眼差しになり
あまり息をしなくなった。
集中しているすーさんは、あまり呼吸をしない。
きーさんはこのすーさんが大好きだ。
:06/09/10 01:54 :W41S :sOXotDB6
#467 [ザセツポンジュ]
「ウォ━━━━!!!!」
すーさんは立ち上がり
拳をそのままパックリ口の中に入れた。
「すーさん、すーさん。ワシが悪かったよ。質問が難し過ぎた。ごめんよ。パニックになるなすーさん。なんなら死んでくれ」
すーさんはスッポリ口の中に入ってしまった拳を、取り出して
そのままきーさんを殴った。
「どさくさにまぎれて死ねとは何だお前!」
きーさんの頭の上にはもはやヒヨコがピヨピヨ飛んでいる。
:06/09/10 01:58 :W41S :sOXotDB6
#468 [ザセツポンジュ]
「お待たせしました………小夜子ストロベリーで……」
みーちゃんは気まずそうに小夜子を静かに置き去りにしてカウンターへ逃げてしまった。
きーさんを殴って気が済んだすーさんは
もうぬるくなった梅昆布茶で喉を潤した。
「きーさんよ。何をしようとしているんだね次は。」
:06/09/10 02:03 :W41S :sOXotDB6
#469 [ザセツポンジュ]
ヒヨコがどこかへ去るのを見届けたきーさんがようやく戻ってきた。
「すーさん。もういい。アザの正体が分かってから話すよ。」
きーさんはパクリと一口小夜子を食べた。
:06/09/10 02:07 :W41S :sOXotDB6
#470 [ザセツポンジュ]
「甘いなぁ。ワシはこんなにも甘い恋心を一体何度抱いた事があるのだろうか…」
ヒヨコを飛ばしていたきーさんもこのセリフだけは欠かした事がない。
きーさんの考え事は続いた。
:06/09/10 02:11 :W41S :sOXotDB6
#471 [ザセツポンジュ]
━━
困った祖父を持ってしまった14歳の少年達も同じ日の夕方《エリアカフェ #7791》に来ていた。
「なぁかわいぃかわいぃちーちゃんよ。今月のクーポンもう来てる?」
ちーちゃんは手元にあったクーポン雑誌を
トミーに手渡した。
「これ今月の。お待たせしました小夜子ストロベリーです。」
トミーはクーポンと黄色いノートを小夜子ストロベリーのサイドに起き、めまぐるしく目の玉を動かしていた。
:06/09/11 19:41 :W41S :szQEfsT2
#472 [ザセツポンジュ]
「トミー…物色するか探すか食べるかどれかにしなよ。欲張りな男だな。それにしても今日は小夜子ストロベリーを食べるなんて珍しいね。」
そう言ってジョウはいつものお約束、小夜子ストロベリー食べた。
「だってこのクーポンで安くなるんだもん。」
トミーはクーポン雑誌からエリアカフェの欄を見つけ、
小夜子ストロベリー100円引きと書いているところの点線をやぶった。
「……なんで小夜子好きのボクに今までそれを教えてくれなかったの?」
:06/09/11 19:48 :W41S :szQEfsT2
#473 [ザセツポンジュ]
ジョウはクーポン雑誌にあまり興味がなかったためそんな事実がある事ですら把握できていなかった。
一方トミーは、いち早くトレンドのものを脳みその引き出しに入れておきたいがために、毎月必死に要チェックをしている。
安くなるなら一回くらい食べて見てやってもいいだろうと考えたのだろう。
:06/09/11 19:51 :W41S :szQEfsT2
#474 [ザセツポンジュ]
「お前な、自分が好きなものなら自分の力で手に入れろ。人の情報をあてにするんじゃないよ………ん?」
トミーはスプーンをくわえたまんまクーポン雑誌の一部分に眉をひそめ目を落とした。
そんなトミーの様子を見たジョウも
クーポン雑誌をのぞきこんだ。
:06/09/11 19:54 :W41S :szQEfsT2
#475 [ザセツポンジュ]
「エノシタさんじゃない!?」
ジョウはびっくりして少し声のボリュームをあげてしまった。
古着屋ミッシェルの上にある美容室の割引き券にエノシタさんが映っているのである。
トミーはジョウの顔とクーポン雑誌を交互に見た。
「お前やっぱエノシタさんが好きなんじゃん。俺はこっちを見ていたんだよ。」
トミーの指差した欄には美容室のコーナーではなく隣のページの
《新規OPEN★ホテルミラクル。休憩1000円割引き!宿泊半額★先着5名様》
新しく近所にできたラブホテルの欄だった。
:06/09/11 20:04 :W41S :szQEfsT2
#476 [ザセツポンジュ]
「違います。ボクはエノシタさんに気付いただけです。」
ジョウはやたらキョロキョロしながら弁解をした。
「ジョウジロウちゃん。君は、ウソをついたり怒ったりすると丁寧語になるクセがある。」
トミーは意地悪な笑みを浮かべた。
「……怒っている方です。」
ジョウは小夜子をほうばった。
「そうか、そうか。」
トミーも、今日はジョウと同じ甘い甘い小夜子を食べた。
:06/09/11 20:14 :W41S :szQEfsT2
#477 [ザセツポンジュ]
━木田家。
「トミオ。座りなさい。」
トミーは家に帰るなり、真剣な瞳で玄関にたたずむ我が祖父に素直に従った。
「なんだ、今日は。」
トミーは玄関に座った。
「立て。」
「え!?」
真剣な瞳が気色の悪い我が祖父を2度見した。
「じぃちゃんの部屋に来なさい。」
きーさんはそう言い残して自分の部屋へと移動した。
(なぜ一度座らせる必要があるんだ…あのクソジジイ。)
:06/09/11 20:23 :W41S :szQEfsT2
#478 [ザセツポンジュ]
きーさんは部屋で仁王立ちで偉そうにかまえていた。
「じぃちゃん…何がしたいんだ。」
「決闘だ。」
「……どうしてだ。」
「…すーさんが腹立つ行動ばっかりするからだ。」
「おい、すーさんを直接殴ればいいんじゃないのか、それ。」
:06/09/11 20:31 :W41S :szQEfsT2
#479 [ザセツポンジュ]
「いいかトミオ。じぃちゃんのココ。拳の下にちっちゃいアザを作るような攻撃をくわえる事だけを考えろ」
「じいちゃん。俺は110を押した方がいいのか?おかしいぞ。」
「つべこべ言わずファイ!!」
きーさんはトミーに飛びついた。
:06/09/11 20:37 :W41S :szQEfsT2
#480 [ザセツポンジュ]
「気持ちが悪いぞ!コノヤロウ!」
トミーはきーさんを殺さない程度に叩きまくった。
「トミオちゃ〜ん」
きーさんはトミーの顔をベタベタ触りチューを試みた。
「死ねジジイ!」
トミーは、きーさんの手を思いきり噛んだ。
「イッチチチチチチ!」
きーさんは目をつぶり手を押さえた。
:06/09/11 20:42 :W41S :szQEfsT2
#481 [ザセツポンジュ]
その時だった。
きーさんの脳内の小さい引き出しが全て開放されたのだ。
気が狂って、拳をまるまま口に入れたすーさん。
気持ち悪さに抵抗して思いきり噛みついた
我が孫、トミー。
共通点は歯形。
女の子がキレイな自分の手を口の中に入れる━━。
「ハッッッ!!分かったぞトミオ!!」
ゴツン━。
きーさんは嬉しさついでにトミーにゲンコツをくらわした。
「くぅ……ぅぅ。」
きーさんのゲンコツは痛いのだ。
:06/09/11 20:48 :W41S :szQEfsT2
#482 [ザセツポンジュ]
「鈴木ヒト━━━━━━シ!!!!」
トミーは、たまらず隣の家のエロジジイに叫んだ。
「こんのクソガキやっかましぃわ!!!!62歳のジジイだと思ってなめるんじゃないよ!!!今大事なビデオを観賞中なんじゃ!!!!次叫んだら売り飛ばすぞこのボケタレ!!!」
ピシャン━。
すーさんは窓の鍵をしめてカーテンをきっちりとしめ電気を消したた。
「ムフフフ…」
「わぁ〜〜ん。」
トミーの両目から涙がちょちょぎれた。
やっぱりきーさんのゲンコツはとっても痛いのだ。
:06/09/12 00:18 :W41S :x4l6J1Kg
#483 [ザセツポンジュ]
━━季節は冬になった。
寒い寒い
冬になった。
ジョウはまだストラップを渡せずにいた。
生徒会役員が集まる生徒会室にエノシタさんはいつもいた。
用事以外何にも話せないジョウがいた。
それとは逆にかわいくなったエノシタさんとも、他の女子ともわけへだてなく楽しそうに話しているトミーがいた。
:06/09/12 00:30 :W41S :x4l6J1Kg
#484 [ザセツポンジュ]
ジョウは、いつもいつもエノシタさんだけを見ていたのだ。
だけれども、やっと気付いた。
自分の大好きな人の大好きな人は
イヤでも分かってしまうものなのだ。
(エノシタさん…いつもいつもトミーを見てる。ボクはエノシタさんをいつもいつも見てるから、よく分かってしまうよ。)
:06/09/12 00:34 :W41S :x4l6J1Kg
#485 [ザセツポンジュ]
「おーぃ。ジョウジロウちゃん。何考えてんだ帰るぞ。」
ボケーっと夕焼けを見つめ、心を切なくさせていたジョウジロウちゃん。
心をしめつけられるような、泣きたくなるような、もどかしい気持ちが全身をかけめぐっていた。
「ん?うん…そうだね。」
トミーは、遠い目をしたジョウを少し見ていた。
「…どの辺を見てるんだ。」
「ボクの心の中を見ているんだよ。トミー。」
:06/09/12 05:01 :W41S :x4l6J1Kg
#486 [ザセツポンジュ]
ジョウは白く淡いため息をついた。
そして少しくしゃくしゃになってしまって、渡せないまんまのストラップはポケットの中で冬眠している。
「……ジョウ。」
トミーは眉をひそめてジョウの顔を覗き込んだ。
「ん?」
「気持ち悪いぞ。詩人にでもなりたいのか。」
「……。それもいいね」
:06/09/12 05:09 :W41S :x4l6J1Kg
#487 [ザセツポンジュ]
ジョウは特に言い返す力もなく、カバンを背負った。
「トミー。おうちへ帰ろうか。ボクは早く帰りたいよ。」
「お前変だぞ。変態だ。早く帰りたいのにも関わらず、1時間も夕日を眺めたお前は異常だ。ワガママだな。俺は待ってたんだぞ。」
「ごめんごめん。」
:06/09/12 05:13 :W41S :x4l6J1Kg
#488 [ザセツポンジュ]
トミーは前を歩いた。
日が暮れて、薄暗い道を二人は1列になって歩いていた。
「なぁ。」
「うん。」
最初に口を開いたのはトミーだった。
「具合悪いのか?ジョウジロウちゃん」
体操服を蹴りながら、ぶっきらぼうに前を歩くトミー。
ジョウは少し小走りしてトミーの横に並んだ。
「健康だよボクは。」
「そっか。ならいいんだよ。」
:06/09/12 05:22 :W41S :x4l6J1Kg
#489 [ザセツポンジュ]
トミーはもう何にも言わず、体操服を蹴りながら、ぎこちない鼻歌を歌って歩いた。
ジョウは複雑な気持ちを重たいカバンの中に詰め込んで歩いた。
「ジョウ。また明日な。」
「うん。バイバイ、トミー。」
:06/09/12 05:28 :W41S :x4l6J1Kg
#490 [ザセツポンジュ]
コトッッ━━。
コトッッ━━。
コトッッ━━。
翌朝、ジョウはいつもより早く目が覚めた。
(じぃちゃん、こんな朝からどこ行くんだろう…。ぅぅ…寒い…。)
ジョウは布団にくるまった。
今日はいつもより冷えているらしい。
ジョウの部屋のテレビがそう言っている。
:06/09/12 05:35 :W41S :x4l6J1Kg
#491 [ザセツポンジュ]
ジョウはバサっと起き上がり支度を始めた。
こんな早くから支度をしたって、トミーが迎えに来るにはまだまだ時間がある。
ジョウは顔を洗い、制服を来てマフラーを巻き、重たいカバンを背負い、支度をすまして家を出た。
(トミー。今日は先に行くよ。)
ジョウは、隣のトミーの家を少し見つめて歩き出した。
白い息。
冷たい風。
赤い鼻先。
ジョウだけが知っている気持ち。
今日は一段と冷えているからだろうか。
歯をくいしばって
涙が込み上がってこないように
ジョウは歩いた。
:06/09/12 05:47 :W41S :x4l6J1Kg
#492 [ザセツポンジュ]
「あんた。おばちゃんに会いたいからってこんな早い時間に来て、一体何をしでかすつもりなのよ。スケベね。」
用務員のおばちゃんが教師用の玄関を掃き掃除しながら、一番のりしたジョウをお出迎えしてくれた。
「おはようおばちゃん。朝から言ってくれるじゃない。疲れるよボク。」
ジョウはおばちゃんに愛想笑いをして
生徒用の玄関の扉を引いた。
「ん!?」
:06/09/12 05:59 :W41S :x4l6J1Kg
#493 [ザセツポンジュ]
くしゃくしゃに丸まった紙くずが
3年のクツバコから
何個も転がっている。
ジョウはしゃがんで
至近距離で紙くずを見つめた。
(……あれ?これクーポン雑誌?)
トミーが毎月エリアカフェで見ているクーポン雑誌が散らばっている…。
首をかしげながらジョウはくしゃくしゃに丸まった紙を広げた。
「え……。」
そしてまだ転がっている丸まったクーポンをひとつひとつ広げていった。
(…なんだ。…なんでだ……。)
:06/09/12 06:10 :W41S :x4l6J1Kg
#494 [ザセツポンジュ]
その紙くず達をたどって行く━。
顔をあげたジョウは
愕然とし、地べたに座りこんだ。
━━━榎下━━
くしゃくしゃにまるまった紙くずが
ぎゅうぎゅうに押し込まれて、こぼれ落ちてしまうほどのこのクツバコは
紛れもなくエノシタさんのクツバコだった。
:06/09/12 06:14 :W41S :x4l6J1Kg
#495 [ザセツポンジュ]
カサッッ━━。
涙のようにひとつぶ
、エノシタさんのクツバコからこぼれ落ちた
紙くずを
ジョウは、拾って
ゆっくりと恐る恐る広げた。
《調子乗んな!ブサイク、死ね!》
エノシタさんが美容院のカットモデルをして、ニッコリ笑った顔と一緒にクーポン券になってから2ヶ月たっている。
今月のクーポン雑誌も、変わらずエノシタさんの笑顔と一緒にクーポン券は発行されているのだ。
鋭い言葉を殴り書きされ、顔には落書き━。
:06/09/12 06:38 :W41S :x4l6J1Kg
#496 [ザセツポンジュ]
ジョウは
心臓にコンパスをぶっ刺したかのような痛みを
押さえて
クーポン券の紙くずを全部ゴミ箱に入れて
焼却炉へと走った。
:06/09/12 06:41 :W41S :x4l6J1Kg
#497 [なちゅき]
:06/09/14 18:59 :N701i :eymO6fNw
#498 [きーさん]
なちゅきちゃん☆
ありがとぉ
(o`∀´o)
ワシゎ嬉しいよ!
:06/09/14 22:45 :W41S :n3DJ4syY
#499 [ザセツポンジュ]
ジョウが胸を痛めていた早朝、きーさんとすーさんは#7791カフェにいた。
「小夜子ストロベリーをふたつ。」
きーさんは、注文したあと、すーさんがみーちゃん話しかける暇もなく大量の資料をバシっと机の上に置いた。
:06/09/14 22:49 :W41S :n3DJ4syY
#500 [ザセツポンジュ]
「…うん。きーさん。文字のおけいこにドリルに学級新聞とはなかなか画期的な事業に取り組むみたいだがワシは遠慮するぞ。」
すーさんはしかめっ面できーさんを睨んだ。
「ワシは62だぞ。そんな宿題やってられるかこのクソジジイ。イカレポンチ。きもエロス。」
きーさんはいつになく真剣だった。
:06/09/14 22:56 :W41S :n3DJ4syY
#501 [ザセツポンジュ]
「きーさん。今回は何をするつもりだ。」
すーさんはため息をつきいやいや質問した。
きーさんは資料の一番上のプリントを取り、すーさんの目の前に差し出した。
「今回ワシらが取り組むのは…」
すーさんはハテナをいっぱい並べプリントを眺めた。
「THE、摂食障害?」
すーさんはそのタイトルを読み終えると席を立った。
:06/09/14 23:00 :W41S :n3DJ4syY
#502 [ザセツポンジュ]
「おい!すーさん!どこへ行く!」
きーさんはケンカして家を出ていく彼女を止めるかのようにすーさんの手をつかんだ。
「やってられないわよ!こんな事!横文字から始まり漢字が4つも並んであたいにできるわけないじゃないの!」
「朝からみっともないコントはやめてくれ。疲れるぞ。」
きーさんはすーさんの手を引き、七夕の席へ再び座らせた。
:06/09/14 23:05 :W41S :n3DJ4syY
#503 [ザセツポンジュ]
「お待たせしました。小夜子ストロベリーと、梅昆布茶…は、こちらのサービスです。」
状況を見ていたみーちゃんはいつになくかたい表情の真剣なきーさんに察して、すーさんの機嫌をとるために気を使ってくれた。
「みーちゃん!あぁ、みーちゃん!…みーちゃんがあと30歳、年をとっていたらワシは間違いなくプロポーズしていたよ…」
すーさんは目に涙を浮かべた。
自分がどれだけえらいのか分かねるが条件をはきちがえているのを今回は目をつぶってあげようではないか。
きーさんは真剣なのだ。
:06/09/14 23:11 :W41S :n3DJ4syY
#504 [ザセツポンジュ]
「お前きららちゃん分かるだろ?」
あんだけ溺愛している空ちゃんの店にいるきららちゃんを覚えないわけがない。
「あー。きららちゃんね。ちょっとポッチャリのね。」
すーさんは得意気だ。女の子の事ならこの鈴木ヒトシ(62)にまかしておけ。
きーさんはきららちゃんを思い浮かべ首をかしげた。
「きららちゃんポッチャリか?ワシはあれくらいが健康的でいいと思うけどもな。」
:06/09/14 23:16 :W41S :n3DJ4syY
#505 [ザセツポンジュ]
「きーさん。最近の子は痩せてないと気が済まないんじゃよ。」
きーさんはすーさんが最近の女の子に詳しい事にホッとした。
そうだ、すーさんは女の子の授業なら得意中の得意だ。
:06/09/14 23:19 :W41S :n3DJ4syY
#506 [ザセツポンジュ]
「じゃあ摂食障害も難しい話ではないよ、すーさん。」
きーさんは資料を手に取った。
「みーちゃん、みーちゃん。フーフーして、これ、フーフー。ウヒヒヒヒ。」
そのまま資料を丸めて思いきりすーさんを何度も殴った。
「すまん!すまんこすまん!悪かった、悪かった!」
きーさんはせきばらいをして説明を開始した。
:06/09/14 23:24 :W41S :n3DJ4syY
#507 [ザセツポンジュ]
「先月すーさんと空ちゃんとこに飲みに行ったが、お前は気持ち悪く酔っ払っていたな。」
「あぁ、そうだな…ズズ…ん〜やっぱ梅昆布茶だな時代は。……おい、気持ち悪いって何だ!」
「それでだ、すーさん。そのきららちゃんの手の甲に吐きダコがあるのを発見したのだ。」
「タコねぇ。」
すーさんは手の甲にタコが並んで宝塚ばりのダンスをする光景を想像していた。
:06/09/14 23:29 :W41S :n3DJ4syY
#508 [ザセツポンジュ]
「…いいか。摂食障害とは食って吐いたり、何にも食べなかったり、食べたものを飲み込まずに噛んだだけで口から出したり、まぁその他いろいろあるが得に女子に多いらしい。意味分かるか?」
「わかっとるわ!要するに、きららちゃんは一回食って吐くんだろ。そんで手にタコができたんだろう?その話題ワイドショーで見たんじゃよ。きーさん、助ける気か?無謀だぞ。同棲しているわけでもないのに見張ってられるか!バカタレ!」
すーさんは以外にも、ごもっともな意見をきーさんにプレゼントした。
:06/09/14 23:35 :W41S :n3DJ4syY
#509 [ザセツポンジュ]
「…ん〜……ん?すーさん、エノシタさんじゃ!」
きーさんはふと目を窓の外に向けてエノシタさんの姿をたまたま発見した。
すーさんも前のめりになってエノシタさんを見た。
「なんか悲しそうに歩いてるなぁ…。あぁ、もとからか。」
「……いや、なんかあったはずだよ。」
エノシタさんが通り過ぎた後、きーさんは本題に戻した。
:06/09/14 23:40 :W41S :n3DJ4syY
#510 [ザセツポンジュ]
「無謀だが…。すーさん。ワシはやってみたいのだよ。コミカルに。」
すーさんは、きーさんもまだ口につけていない小夜子ストロベリーをパクパク口に入れた。
「きーさん。ミュージカルでもないのにコミカルに進むわけないだろうよ。だいたい、お前が思いつくネタは、昔からくだらん事だったろう。ティッシュを丸めてくしゃみ選手権とか見知らぬ人にカンチョーして怒らせよう大作戦とか、チョークで勝手に道路に事故現場をかいてみたりだとか……最近意味のある事をしすぎだ。」
:06/09/14 23:49 :W41S :n3DJ4syY
#511 [ザセツポンジュ]
すーさんは小夜子ストロベリーを完食して
汚く甘いゲップをきーさんにお見舞いした。
「やりたくないならいいけどな。まぁきららちゃんと接触する手と言えば、空ちゃんも誘ってダブル同伴と言う手も…」
「やる!乗ったその話!やろうじゃないか!頑張ろうきーさん!」
きーさんはこの言葉を聞いてやっと小夜子を口に運ぶ事ができた。
「甘い。ワシはこんなにも甘い恋心を何度抱いた事があるのだろうか。」
きーさんとすーさんの作戦は徐々に進んで行く。
:06/09/14 23:53 :W41S :n3DJ4syY
#512 [ザセツポンジュ]
きーさんとすーさんが作戦会議中、ジョウは教室に向かわず生徒会室に一人たたずんでいた。
(ボクは何にもできないまんまなのだろうか…いくじなしだな。)
焼却炉から戻ったジョウはクツバコに戻って3年生のクツバコ全部見回した。
こんな早い時間に学校に来るヤツなんていない。
なのに、
―榎下
―石崎
―山田
この3人のクツだけウワバキと交換されていた。
それを見たジョウは
たまらなくなり階段を登り生徒会室の扉を開けたのだった。
:06/09/15 00:01 :W41S :UyYQsWkM
#513 [ザセツポンジュ]
そして、コの字に並べられた机のジョウがいつも座る席に静かに座って頬づえをついた。
(エノシタさんが載ったクーポンが発行されたのは2ヶ月前。いつからあんな事されていたんだろう…)
ジョウの記憶につめこまれたエノシタさんがゆっくりゆっくりかけめぐる。
:06/09/15 00:06 :W41S :UyYQsWkM
#514 [ザセツポンジュ]
―ボクはいつもここに座っていて
エノシタさんを眺めている。
エノシタさんは、みんなに同じように話しかける。
優しいエノシタさん。
そんなエノシタさんは、トミーをよく見てる。
ボクがエノシタさんを眺めているのと、同じ感じでトミーを見ているんだきっと。
ボクには分かってしまった。
エノシタさんは、最近いきなり大変身して可愛くなった。
でも、自惚れているわけでもなく、いつもと変わらないエノシタさんだった。
そんなエノシタさんがボクは好きなんだ。
そして何にもできないボクなんだ。
こんなちっちゃいストラップですらまだポケットの中で眠ったまんま…。
ウジウジしているボクはきっと今、世界で一番いくじなしなんだ。
:06/09/15 00:15 :W41S :UyYQsWkM
#515 [ザセツポンジュ]
ジョウは、頭を机に落として窓の外を見た。
(寒いなぁ、今日は。)
生徒会室で吐く息も白く冷たかった。
まだエノシタさんを好きになる前に、エリアカフェで見かけたエノシタさんのプリクラ―。
それは
《榎下コンビ》
と書かれていて
たいして仲良くもないのに、かわいいエノモトさんの横で、ちっちゃく申し訳なさそうにピースをしていたエノシタさん。
二人は皮肉にも
《榎下》
という読み方の違う二つの漢字に縛られる運命にあった。
:06/09/15 00:21 :W41S :UyYQsWkM
#516 [ザセツポンジュ]
――ガラガラ
ジョウはびっくりして顔を上げた。
「…おはようジョウくん。……どうしたの?」
悲しそうな顔を無理矢理くしゃくしゃにして笑う女の子。
ジョウはベタに目をこすった。
「…おはよう。エノシタさんこそどうしたの?」
エノシタさんはいつも座る席に座った。
「…忘れものしちゃって。」
机の中をウソっぽく探すエノシタさん。
ジョウはエノシタさんに近付いた。
:06/09/15 00:26 :W41S :UyYQsWkM
#517 [ザセツポンジュ]
そしてエノシタさんの隣に座った。
エノシタさんは手を止めた。
「あのねエノシタさんは榎下さんじゃなくてもエノシタさんなんだよ。」
「……ジョウくん。朝だからかもしれないけど全く意味が分からないわ。」
サムく寒い空気だけが二人を包んだ。
:06/09/15 00:29 :W41S :UyYQsWkM
#518 [ザセツポンジュ]
「……エノシタさんが卒業するくらいには意味が分かるよきっと。…ハハ。」
ジョウは苦笑いを浮かべた。
そしてこう続けた。
「エノシタさんは、悲しい時は泣くの?」
「…泣かないかな。我慢しちゃうかも。」
(きーさん。きーさんが昔言っていた言葉を借りるよ。)
「…あのね、泣かないのが強いんじゃないんだよ。泣けない弱さがきっとエノシタさんの中で酒でも飲んだくれて暴れているんだ。」
:06/09/15 00:38 :W41S :UyYQsWkM
#519 [ザセツポンジュ]
「ボクは、そんなことで泣いちゃいけないよなんて言わないよ。我慢して悲しい顔を無理矢理笑った顔に変えるくらいなら汚い顔で子供みたいに泣いてくれた方がいい。」
ジョウは、ポケットに手を突っ込んでストラップを握りしめた。
「ジョウくん優しいね。何を知ってるの?」
エノシタさんは泣かない。
「ボクさ、こないだ福岡に旅行に行ったんだけど、お土産!」
ジョウは眠っていたストラップを叩き起こした。
「わぁ!かわいい!ありがとうジョウくん」
満面の笑みでエノシタさんは笑ってくれた。
:06/09/15 00:43 :W41S :UyYQsWkM
#520 [ザセツポンジュ]
キーンコーンカーンコーン
「ジョウジロウちゃんめ!ちゃんと来てんじゃんかよ!」
トミーは一人ジョウのクツバコに突っ込んだ。
:06/09/15 00:45 :W41S :UyYQsWkM
#521 [ザセツポンジュ]
チャイムが鳴り、ジョウもエノシタさんも教室へ戻った。
「ジョ―ウジロ―ウ!!」
ジョウを見つけ廊下を走るトミー。
そのまんま飛び蹴りをかました。
「イタタタ…」
そして胸ぐらをつかんだ。
「お前何で一言もなしに先に行くんだよ!」
「…早く目が覚めたんだよ、ごめんトミー。」
ジョウは背中を押さえて申し訳なさそうにトミーに謝った。
「何にも言わずに俺を置いて行かないでくれよ。心配するだろ」
:06/09/15 00:53 :W41S :UyYQsWkM
#522 [ザセツポンジュ]
そしてトミーは教室へ入って行った。
ナニモイワズニ
オレヲオイテイカナイデ…
ジョウは我れに返り
トミーを追い掛けた。
「トミー!今日エリアカフェの梅昆布茶一緒に飲もうよ!」
「ん?あぁ。」
トミーはニッコリ笑った。
:06/09/15 00:56 :W41S :UyYQsWkM
#523 [ザセツポンジュ]
(ρ_―)o
……(-_-)zzz。
:06/09/15 01:05 :W41S :UyYQsWkM
#524 [なちゅき]
さっそく更新ぅれしすぎっ(>v<)
主サマ大好きです
:06/09/15 06:17 :N701i :/ejAqkes
#525 [ザセツポンジュ]
ブハッ(◎o◎)←鼻血
なちゅきちゃん嬉しすぎ!!!!!
:06/09/15 11:29 :W41S :UyYQsWkM
#526 [なちゅき]
鼻血て!ワラ
主さん男の人ですか??
って小説と関係なぃこと聞いてごめんなさぃm(__)m
でもほんとに小説もこんな小説がかける主さんも大好きです☆☆☆
:06/09/15 18:08 :N701i :/ejAqkes
#527 [我輩は匿名である]
いつも楽しく読ませていただいてます。
更新待ってるのでがんばってください。
:06/09/18 21:07 :P902iS :VMM1CblQ
#528 [なちゅき]
ぁげとくっ
<<1-200
<<201-400
<<401-600
<<601-800
<<801-1000
<<601-700
できたかなっ
:06/09/20 18:06 :N701i :o.ro.mLc
#529 [あんちあ]
更新待ってます
:06/09/22 04:22 :D902iS :z5uYLHjI
#530 [主]
:06/09/24 20:31 :F902iS :UnadDWuk
#531 [我輩は匿名である]
↑ハンネみすりました主じゃないです
ごめんなさい
面白いので、毎日更新楽しみにしています
頑張ってください
:06/09/24 20:33 :F902iS :UnadDWuk
#532 [ザセツポンジュ]
うぅ…
ううぅ……
嬉し過ぎるコメントみなさまありがとうございました
(;□;)!!
わたくし自身
今世紀最大にびっくりしている限りです。
これからボチボチですが更新していきますのでなにとぞどうかチラ見してやってください。
んぢゃ更新します★
:06/09/24 22:44 :W41S :kzwoA6xY
#533 [ザセツポンジュ]
「ちーちゃん。明日から俺と付き合ってよ。」
トミーはかわいいチワワのような目でちーちゃんに交際を申し込んだ。
「ご注文は。」
そして19歳のちーちゃんは満面の笑みで
シカトをかましてくれた。
「ちーちゃんとの男女交際。」
この男、めげない負けないくじけない。
行け行けトミオなのである。
「ボク今日は梅昆布茶。あ、二つね。」
ジョウは、エノシタさんと今朝3分ほど話せた興奮がまだ胸にごげついている。
「了解生コン。」
:06/09/24 22:50 :W41S :kzwoA6xY
#534 [ザセツポンジュ]
トミーとジョウは
顔を見合わせた。
「え?きーさんやっぱり流行語大賞とったの?」
「あるわけないだろう。お前バカか。」
「アベシ!!」
ジョウは自分で自分の顔を殴った。
きーさんのたわ言、了解生コンが流行するわけないのだ。
:06/09/24 22:53 :W41S :kzwoA6xY
#535 [ザセツポンジュ]
「ちーちゃん。その了解生コンどこで耳にしたの?」
自分で殴った頬をさすりながらジョウは聞いた。
「ん?うちのおねぇちゃんが家でよく言うの。」
「えぇ!ちーちゃんねぇちゃんがいるのか?かわいいのか!どこで何してるんだ?」
トミーは前のめりになって問いただした。
「トミー。刑事ドラマみたいだよ。落ち着かないか。」
ジョウはトミーのただならぬ興奮を止めてあげた。
「朝、ここで働いてるの。昼の2時からあたしと交代。」
:06/09/24 23:01 :W41S :kzwoA6xY
#536 [ザセツポンジュ]
ちーちゃんはそう言って梅昆布茶を二つ置き
カウンターへ戻った。
「ねぇトミー。前からうちのじぃちゃん朝の7時前にトコトコどっか行ってるんだよ。」
「トコトコ行ってるのか。」
「…うん。でさ、それ週に3回くらいあるんだけど」
「トコトコ出かけるのがか?」
「……そうだよ。トコトコ出かけてるんだよ。朝。」
「アハハハ、トコトコ62にもなったジジイが、どこ行くんだよ、トコトコと!」
トミーはどうやらツボに入っていたらしい。腹を抱えてしばし笑っていた。
「……なんだよ。」
「いやトコトコって言ったお前がかわいかったんだよ。ってゆうかウチのじぃちゃんも朝どっか行ってるよ。」
:06/09/24 23:13 :W41S :kzwoA6xY
#537 [ザセツポンジュ]
ジョウは、ちょっとぬるくなった梅昆布茶をすすった。
「どこ行ってるんだろうね。じぃちゃんと、きーさん。」
「トコトコとどこでかけてるんだろうね。じぃちゃんとすーさん。」
トミーも一口、大好きな梅昆布茶を飲んだ。
変なじぃさんをもった二人の少年は
わざとらしく
上を向いて考えた。
そして顔を見合わせて
笑った。
:06/09/26 04:39 :W41S :dPV7sVoQ
#538 [RiN]
LIつも楽しく見てます
この小説大ファンですう
続き楽しみに待ってます〜(*
∪3u)
+゚
:06/09/28 06:01 :N701i :ODyASExs
#539 [゚∀゚]
:06/09/28 15:17 :D902i :8dxhcM6Q
#540 [ザセツポンジュ]
―
「何やってんだ、すーさん。」
トミーは、部屋でくつろぐ隣の家の老人に
素朴な質問をした。
「トミオちゃん、香水かしてくれ。今ランキング1位のはどれだ。」
優しいトミーはしぶしぶ、去年のランキング1位の香水を手に取り、すーさんの手を持った。
「お前、ホモか!!気軽に手なんか触るんじゃないよ!変態!さっさと貸せ!!」
すーさんは
トミーから去年のランキング1位の香水を
取り上げ体中にしつこくふりまくった。
:06/09/29 08:07 :W41S :hfmCCq3I
#541 [ザセツポンジュ]
「あ〜もぉ〜やると思ったよ!そんなにふりまいたら臭いだろ!」
自分が毎朝、しつこいほどに体中にふりまいている行動は棚にあげて、トミーは鼻をつまんで、手ではらった。
「お?ワシもこれで19くらいになったろう。」
くんくんと全身の匂いをかぎまくり
すーさんは何やら満足そうだ。
:06/09/29 08:11 :W41S :hfmCCq3I
#542 [ザセツポンジュ]
「勘違いもはなはだしいぞ。すーさんそんな香水ふりまいて、どこへ行くつもりなんだい?それとうちのじーちゃんをどこへ隠したの??」
外はものすごく寒いが
この隣のじぃさんの
不釣り合いな香水の匂いと
そして同じ部屋にいる空気を吸わなければいけないくらいならと
歯を食いしばって
窓を開けたトミオちゃん。
:06/09/29 08:15 :W41S :hfmCCq3I
#543 [ザセツポンジュ]
「今日は、空ちゃんとデートなの〜」
トミーは、この、目をパチクリさせている62にもなった
隣のじぃさんに
吐き気をもよおした。
「すーさん…ぉぇ………すーさん。まず、会ってすぐ嫌われるんじゃないのか。」
「な〜ぜだ。お前、あまりバカ気たことを言うんじゃないぞ。死なされるぞ。」
――ガチャ。
「あ〜いい湯だったよ、待たせたねすーさ………ぅぅうっぷ……おぇ……」
ゴツン。
今世紀最大の
思いを込めてきーさんはすーさんに
おもいくそ ゲンコツをくらわした。
:06/09/29 08:22 :W41S :hfmCCq3I
#544 [ザセツポンジュ]
「おい!!お前、なんだその匂いは!!ドリアンか!!!ドリアンか!!!!」
すーさんは、泡をふいて倒れた。
きーさんのゲンコツは
痛いのだ。
:06/09/29 08:25 :W41S :hfmCCq3I
#545 [ザセツポンジュ]
「じぃちゃん、運ぼうよすーさん。」
「そうだな。トミオ。お前は足を持て。」
トミーときーさんの共同作業ですーさんを
ベランダへ放置した。
「今日は寒いな、トミオ。きっちり鍵も閉めとけ。……お〜っと忘れものをしいた。」
きーさんはティッシュを2枚ほど手に取り
再びベランダへ出た。
そして、顔に一枚と
寒さしのぎのために
体に一枚
ティッシュをかぶせた。
:06/09/29 08:30 :W41S :hfmCCq3I
#546 [ザセツポンジュ]
すーさんは
立派に
死人のようになったところを
ニンマリ笑ってきーさんは眺めている
実に満足そうだ。
:06/09/29 08:32 :W41S :hfmCCq3I
#547 [ザセツポンジュ]
「で、じぃちゃんどこ行くの。」
トミーは暖房をつけてコタツにくるまった。
「あ〜。キャバクラだよ。またこれがすーさんが好きでねぇ。どぉにもならんな。」
きーさんは髪の毛を
タオルでわしゃわしゃ拭きながら、口笛を吹いていた。きーさんも心の中ではきららちゃんとご飯を食べに行くのが楽しみなのだ。
「こんなはやい時間から?同伴でもするのか?」
「トミオ。お前14歳のわりには世の中の仕組みを把握しているんだなぁ。正解だ。刺身を食いに行ってくる。」
「え!!あの臭さで女と飯を食うのか!?じぃちゃん、友達だろ、あんなので大丈夫か!?」
:06/09/29 08:41 :W41S :hfmCCq3I
#548 [我輩は匿名である]
:06/09/29 10:54 :P902iS :K9VImiro
#549 [なちゅき]
ぉひさです☆
毎日更新されてるかチェックしてます(o^o^o)
主さんファイトっ
(/≧∀)/
:06/10/04 06:27 :N701i :TB85Eqeo
#550 [ザセツポンジュ]
なちゅきちゃん
ありがとう(^-^)
めっちゃ嬉しいです!
:06/10/05 14:52 :W41S :r9QP06m6
#551 [ザセツポンジュ]
きーさんは
少し、ベランダをすかして
匂いをかいだ。
「……うむ。」
厳重にカギをかけ、
再びカーテンをしめた。
:06/10/05 14:53 :W41S :r9QP06m6
#552 [ザセツポンジュ]
「やっぱりな、飯を食うとなれば、花くさい匂いをプンプンプンプン漂わせていてはダメだよなぁ。」
「じぃちゃん…すーさん着替えさせた方がいいよ。」
トミーはカーテンを1ミリ程度ずらし、このくそ寒い中、ベランダで泡をふいて倒れたすーさんを心配した。
「いや、いいんだよ。このまま放っておけ。ワシの準備が済む頃には匂いも消えているだろう。」
こうして、きーさんの身支度は
着々と進むのであった。
:06/10/05 14:58 :W41S :r9QP06m6
#553 [ザセツポンジュ]
「う〜…きききききき〜さ……ワワワワワ…ワシを…」
ゴツン。
「やかましいわ。身体中の氷が溶けてからしゃべりなさい。」
きーさんとすーさんは
タクシーに乗って
空ちゃんときららちゃんの待つ場所へと向かった。
:06/10/05 15:00 :W41S :r9QP06m6
#554 [ザセツポンジュ]
すーさんの
花臭いドリアン級の香水の匂いは
きーさんの長い身支度の間に
なにぶんやわらいではいたが
きーさんは
鼻にパチンコの玉を
詰めて
すーさんと同じ空気を
吸わないように
つとめた。
:06/10/05 15:03 :W41S :r9QP06m6
#555 [ザセツポンジュ]
すーさんは
鼻水すら凍ってしまった中、ガタガタ震えたままタクシーに
乗り込んだのであった。
空ちゃんの笑顔を
思い出し
心の暖房を
フル活動させて
凍った身体を溶かそうと頑張ってはいるが
なかなか都合のいいようにはいかなかった。
:06/10/05 15:05 :W41S :r9QP06m6
#556 [ザセツポンジュ]
「着いたぞ、降りろ。」
すーさんは
空ちゃんとのいかがわしいイメトレもむなしく
凍ったまんま待ち合わせ場所に
到着してしまった。
「す〜さぁん。……どうしたの!?」
空ちゃんが心配そうに
すーさんを見つめる……
:06/10/05 15:07 :W41S :r9QP06m6
#557 [ザセツポンジュ]
ピキ━━━━━ン!!
パリパリパリ…
「空ちゃあ〜ん!いやぁ今日も可愛いね〜」
鈴木ひとし62歳。
空ちゃんの目から出てきたビームが
自分の瞳に貫通した事により
復活。
すーさんは復活祝いにきーさんに飛びかかった。
:06/10/05 15:10 :W41S :r9QP06m6
#558 [ザセツポンジュ]
「おい!!木田しげる!!お前、つい先ほどまで殺人未遂をしていたのを分かって刺身を食うんだろうな!!えぇ!?」
すーさんはきーさんの胸ぐらをつかみ
つばを飛ばしながら熱弁を続けた。
:06/10/05 15:16 :W41S :r9QP06m6
#559 [ザセツポンジュ]
きららちゃんは
困ったような顔で
すーさんを止めようとあわあわしていたが
空ちゃんは
腹をかかえてあわてていた。
どちらが正しい態度なのかはのかは……決めがたい。
:06/10/05 15:21 :W41S :r9QP06m6
#560 [ザセツポンジュ]
「プェッッウェ…汚いなぁも〜。お前がドリアンのままで刺身を食ったら空ちゃんなんてすぐ死ぬぞ。そうだな。タクシーをおりた時点で死ぬだろう。お前空ちゃんに刺身も食わせんまんま死なせるつもりか?ヒッドイ男だなぁ。おい!空ちゃん。コイツはなぁ、空ちゃ……」
「あわゎゎゎわわ!!んちゅ〜」
すーさんは口封じのために
いきおい余って
きーさんにキスをしてしまった。
ゴツン!
ゴツン
ゴツン!!
:06/10/05 15:24 :W41S :r9QP06m6
#561 [我輩は匿名である]
:06/10/05 21:33 :F902i :eg64K8I.
#562 [ザセツポンジュ]
「くぅ…。」
きーさんゎ泡をふくすーさんを抱きかかえて
空ちゃんときららちゃんを連れて
向かう先
懐石料理屋
《廣六》ひろむ
:06/10/08 16:22 :W41S :dNVPaOkI
#563 [なちゅき]
続きめっちゃ気になりますっ(>_<)
主さんがんばっ
ヾ(ο´▽`ο)ノ
:06/10/11 21:10 :N701i :xupfkEqk
#564 [まみぃ]
主サン
いつもコッソリ見てました
オモシロすぎですッ
待ってるんで、頑張って書いて下さぃねン
:06/10/14 21:07 :P902iS :mWvxHQG.
#565 [我輩は匿名である]
がんばれ
:06/10/20 05:21 :F901iS :mRWsBhI6
#566 [なちゅき]
ブックマークにぃれて毎日チェックしてますょ
頑張って(
≧∀≦
)
:06/10/23 18:15 :N701i :kpMJW.hE
#567 [りな]
書かないの〜??
:06/11/15 22:25 :D902i :7dph4yec
#568 [我輩は匿名である]
:06/11/29 21:40 :F902i :qgs51AKE
#569 [我輩は匿名である]
主って福島出身
:06/11/29 23:48 :F902i :qgs51AKE
#570 [我輩は匿名である]
コノ小説大好きなんだけど…主サンもぉ書かないのかな?
:06/12/28 18:34 :D901iS :dteWK0RA
#571 [すのーまん]
あげとこ
:06/12/29 02:00 :F902iS :XKeNsSsU
#572 [我輩は匿名である]
書いて
:07/02/09 01:22 :F901iS :TRr3q7bw
#573 [我輩は匿名である]
もう終わりですか?
:07/03/18 22:22 :auCA37 :UFktLyvg
#574 [みみ]
:07/03/19 07:36 :P700i :7TMyie7c
#575 [我輩は匿名である]
面白いからあげ
:07/03/26 14:57 :PC :YshYjuXc
#576 [ザセツポンジュ]
携帯変えました。ザセツポンジュです。
いざ復活します…
デュハ!
:07/03/26 22:06 :V703N :PU39XUfg
#577 [ザセツポンジュ]
『やぁ、六さんひさかたぶりだな。こっそりできる席に案内してくれ』
口から流れ出てやまない泡をふくこともせず
すーさんは六さんに挨拶をした。
六さんは、すーさん達のヒーローである。
お墓のお供えものの盗みかた、“遊ぶな危険”の旗がヒラヒラと忠告をする、スリル満点の河で遊ぶ方法…
全て六さんの影響なのだ。
六さんは変わった人で、その河にひそかに住んでいた魚達をこよなく愛し、
懐石料理を営むほどになった。
食の全てを極めた男なのだ。
:07/03/26 22:15 :V703N :PU39XUfg
#578 [ザセツポンジュ]
『床を汚さないでくれ、すーさん。どうしたんだ、その泡は。風呂上がりか?』
そんな心配をしながら
六さんは、きーさん達と美女二人、援助交際にしても不釣り合い過ぎる
以外なメンバーを席へ案内したのだ。
:07/03/26 22:18 :V703N :PU39XUfg
#579 [ザセツポンジュ]
きーさんは席へつくなりメニューを開いた。
『何か決まっているのかい?きーさん。』
六さんは、やさしくきーさんに尋ねた。
『んー。ピザが食べたい。』
『…出てってくれないか。』
六さんの顔はとても優しい。
『まぁ、まずは、魚だな。』
『むしろ魚しかいないがな、うちは。』
そう言って優しい顔でメニューを取り上げた六さんは、
厨房へと消えた。
:07/03/26 22:25 :V703N :PU39XUfg
#580 [みみ]
:07/03/27 00:19 :P700i :r8uKsQZU
#581 [あお]
久々に更新されてて嬉しいです
頑張ってください
:07/03/27 11:54 :P902iS :wS9JTGDU
#582 [ザセツポンジュ]
『うわ〜こんなとこ来たことなぁい!!嬉しい〜!!』
そらちゃんは、ホントに飢えた子供のような演技をかまし、喜んだ。
『ね〜そらちゃん、ね〜いっぱい食べてもいいからね〜。かわいいね〜そらちゃん。』
そんな演技に騙され続けるすーさんは、まだ泡をふいている。
実に不潔だ。
それを見たきーさんは、そらちゃんをかわいそうとも思わず
きららちゃんを連れて
別席へ移動した。
:07/03/27 12:23 :V703N :ZwiEpRVM
#583 [ザセツポンジュ]
『さぁ、きららちゃん。六さんが出す料理はうまいからな。たくさん食べなさい。』
きーさんは、きららちゃんの手の甲に出きた吐きダコをチラリと見た。
『私ホントにこんなちゃんとした懐石料理屋に来た事ないの。すごいんだねきーさん達は。』
きららちゃんは、以外と高そうなつくりの店内を見渡した。
:07/03/28 17:34 :V703N :iX8OBsJU
#584 [ザセツポンジュ]
『まぁ、ただ、とてつもなく暇そうだがな。』
きーさんは小さく呟き、そしてきららちゃんはクスリと笑い
料理ができるまでの時間、しゃべり続けた。
:07/03/28 17:37 :V703N :iX8OBsJU
#585 [ザセツポンジュ]
『ところできららちゃんは、兄弟はいるのかい?』
『妹がいます。』
『ほ〜。年はいくつだね?』
『今、14かな。』
『仲はいいのかい?』
『うん、今は私は一人暮らしで、離れてるけど妹は大好き。すごく可愛いし。』
:07/03/28 17:39 :V703N :iX8OBsJU
#586 [ザセツポンジュ]
妹の話をするきららちゃんの目は少し悲しそうだった。
でもきららちゃんはかわいく笑って話した。
きーさんの尋問は続く。
『妹さんは、きららちゃんと似ているのかい?かわいいだろうね、妹も。』
きららちゃんは困ったように笑う。
『私は、化粧して化粧してこれだもの。妹は生まれた時から目もパッチリして可愛いいのよ。まわりからは、似てない姉妹ねと言われたわ。』
:07/03/28 17:44 :V703N :iX8OBsJU
#587 [ザセツポンジュ]
(さては…きららちゃんのコンプレックスは家族とまわりの評価かな。)
きーさんは、62歳にしては脳細胞を使い、慎重に推理をしていると
新鮮な魚料理を持って六さんが現われた。
:07/03/28 17:47 :V703N :iX8OBsJU
#588 [観客A]
書いてくれ…
:07/04/18 16:42 :F902i :3iAMEUrU
#589 [のん]
まぢファンですっ
続き書いて〜
:07/06/03 07:21 :SH902iS :sOo1Gc4Q
#590 [すのーまん]
懐かしいのが上がってる
:07/06/03 14:47 :F902iS :7OrISBjQ
#591 [もんた]
あげ
:07/06/03 16:50 :SH903i :765.RM.Q
#592 [ザセツポンジュ]
携帯変えました。
何回もすいませんそして気まぐれでソーリー
デュハ!
:07/06/14 17:35 :W51CA :Kkj9ganA
#593 [ザセツポンジュ]
六さんの料理は
色鮮やかで
きーさんやすーさんには似合わず
とても上品で
そして体を壊しようのないバランスの整った料理が並べられた。
:07/06/14 17:36 :W51CA :Kkj9ganA
#594 [ザセツポンジュ]
きーさんは食べる前に
きららちゃんの顔をしっかりと見て口を開いた。
『今日から毎日、ここに来てご飯を食べなさい。』
きららちゃんは
あ然した。
:07/06/14 17:38 :W51CA :Kkj9ganA
#595 [ザセツポンジュ]
そして六さんもあ然とした。
(あぁ…いつもきーさんはムチャクチャ言うな。)
きーさんは六さんにウインクを投げかけた。
六さんはうなずいた。
が、しかし、何の合図かは全く分かっていない。
:07/06/14 17:40 :W51CA :Kkj9ganA
#596 [ザセツポンジュ]
『…きーさん。いきなりどうしたの?毎日食べに来て…どうして?どうなるの?』
きららちゃんは
変態オヤジに犯されるか犯されないか一歩手前かのような
不安そうな表情を見せた。
:07/06/14 17:42 :W51CA :Kkj9ganA
#597 [ザセツポンジュ]
きーさんは
ハシを持った。
そして、六さんの料理を一口食べた。
『うまい。んーうまいんだよ。この人の料理は。そして、いいところでおなかがいっぱいになる魔法もかけられている。要するに、きららちゃんは食べ物に関して何も心配することはないのだよ。たくさん食べ過ぎて泣くコトもなくなるだろう。』
:07/06/14 17:45 :W51CA :Kkj9ganA
#598 [ザセツポンジュ]
きららちゃんは
同じ行為を何度も繰り返して、傷つけてしまった手を下に隠した。
そして涙をためた。
『きららちゃん。六さんは信用してもいい人なんだよ。ワシが随分前から知っている。安心してたくさん食べなさい。お金のコトは何も心配しなくていい。だが、条件がある。ちゃんと毎日ココへ通ってくれるかい?』
言うコトは優しいがバクバクと口へほうばるきーさん。
きららちゃんは戸惑った。
(私がこんなことしてもらっていいのかしら…)
:07/06/14 17:50 :W51CA :Kkj9ganA
#599 [ザセツポンジュ]
きーさんは喉につまらせながら
お茶をすすり、一息ついて落ち着いた。
『ワシは心配なんじゃよ。なーんかな、死ぬコトもあるらしいぞ。摂食障害とかなんとかな。そんでな、家族や周りの徹底した協力が必要なんだよ。』
:07/06/14 17:53 :W51CA :Kkj9ganA
#600 [ザセツポンジュ]
きららちゃんの
いっぱいたまった涙はとうとうこぼれ落ちてしまった。
『世の中に何人おるかは知らん。しかし、見つけてしまってはほっておくわけにはいかん。きららちゃんは家を出たのに今さら家族に頼れるかい?それもちょっと気が引けるだろう。そこはどんと、六さんに頼りなさいよ。とりあえず、1ヶ月だけでも。』
:07/06/14 17:57 :W51CA :Kkj9ganA
#601 [ザセツポンジュ]
きららちゃんはうなずいて、我慢していた思いを吐き出すかのように
涙たくさん流した。そして、話し出したのだ。
:07/06/14 17:58 :W51CA :Kkj9ganA
#602 [あお]
前から読んでますッ!!こんなにもハマった小説は初めてですッ!!
お願いだから更新してくださいッ(;´*д*)
:07/07/31 23:02 :P902iS :mYnqxnBk
#603 [ザセツポンジュ]
『毎日毎日怖いの。誰かが私を見て批判してくるんじゃないかと思って。でもそんな顔をして仕事はできないわ。だからあとでどっと疲れるんだけど、食べてしまうの。いっぱい食べていっぱい吐くの。誰にも言えなかった。』
:07/09/14 01:51 :W51CA :jAXbnQdU
#604 [ザセツポンジュ]
きららちゃんは
悔しそうに泣いた。
きーさんはバクついていた料理をひとまず放置して
きららちゃんの話を聞いた。
:07/09/14 01:53 :W51CA :jAXbnQdU
#605 [ザセツポンジュ]
『夜の仕事はきららちゃんにとって楽しいコトかい?』
きーさんは訪ねた。毎日怯えて仕事をするきららちゃんへ。
『楽しい日もあるわ。だけど私は…今はとにかく怖い。』
:07/09/14 01:55 :W51CA :jAXbnQdU
#606 [ザセツポンジュ]
きららちゃんは
正直に真っ直ぐに
気持ちを伝えた。
『ワシは正直きららちゃんのコトを太っているとは思わんよ。けどなぁ。きららちゃん自身は気になるんだなぁ。チヤホヤされる日の方がたくさんあっても、1日批判されたら嫌になるんじゃろ。店にはいろんな人が来るからなぁ。』
:07/09/14 02:10 :W51CA :jAXbnQdU
#607 [なち]
更新がんばってください
(^∀^)
楽しみに待ってます☆
:07/09/15 09:45 :SH902iS :LNLpISP6
#608 [すのーまん]
凄い久しぶり
冨樫の影響か?
:07/09/15 14:09 :F902iS :5yW.b/io
#609 [か]
:07/09/15 16:17 :SH903i :KNYmVfvw
#610 [か]
:07/09/15 16:19 :SH903i :KNYmVfvw
#611 [ザセツポンジュ]
きららちゃんは
深く深くうなずいた。
そして毎日
六さんの料理を
食べる事を約束したのだった。
:07/10/12 13:12 :W51CA :QpirAHW.
#612 [ザセツポンジュ]
『いざこ-んや〜お前〜だけ-に〜ラ-ブパッションバリ ツナァ〜イ バラの花束抱えた俺が〜出会ったマイエンジェ〜ル♪空ちゃん大好き〜♪』
すーさんは酔っ払って空ちゃんへのラブソングを歌っていた。
『すーさん。お前、ここは上品な料理屋と言うことをわきまえて今を生きろ。なんだそのヘンテコリンな歌は。嫌われるのを覚悟したやつがやることだぞ。』
:07/10/12 13:18 :W51CA :QpirAHW.
#613 [ザセツポンジュ]
『ヘンテコリンだと!!?きさま時代に乗り遅れるな!!!きーさん。マキシマムザホルモンのだいすけはんが歌ったロコフランクのな…』
『すーさん。何県何市にお住まいのどちらさんが何会場で唄った歌か知らんが、さっさと出る支度をしろ!!』
すーさんのラブソングにどん引きして顔面神経痛になりかけの空ちゃんと
希望を手に入れた
きららちゃん。
ひとつ橋をつくってあげたきーさんと
逮捕寸前のすーさんは
六さんの店をあとにした。
:07/10/12 13:24 :W51CA :QpirAHW.
#614 [我輩は匿名である]
ageます
:08/01/22 20:07 :F902iS :Wr2OJt8o
#615 [我輩は匿名である]
あげ
:08/02/04 04:53 :SH904i :vtcksB6g
#616 [マーサル]
この小説書いてる主は男だとしたら
かなりモテル!!ww
:08/02/04 09:34 :PC :SHC.Q3kY
#617 [我輩は匿名である]
あげー
:08/02/04 16:25 :M-SKIN :xngdRWGA
#618 [スかなス]
あげますx
:08/02/22 21:21 :W51CA :tzFtNMRs
#619 [しょう]
:08/02/22 22:21 :P905i :9ar7dyg2
#620 [スかなス]
あげホホ
:08/03/13 00:15 :W51CA :kVt7tXy.
#621 [.]
:08/03/13 19:54 :SH903i :re1Uqg1c
#622 [.]
:08/03/13 20:20 :SH903i :re1Uqg1c
#623 [.]
:08/03/14 03:09 :SH903i :1C.z0jJE
#624 [ありとー]
アンカーとか無駄に多すぎて読みにくい(>A<)
:08/03/17 20:57 :PC :..4ycGp.
#625 [ザセツポンジュ]
一方
生徒会長となり
少なからず
調子に乗りながら
青春を送っている
木田トミオ14歳と
もどかし過ぎる
恋に悩む
鈴木ジョウジロウ14歳。
対象的な
2人は
いつものカフェで
向かい合わせに
座っていた。
:08/03/24 23:51 :W51CA :9b7EHO9g
#626 [ザセツポンジュ]
『ジョウジロウよ。オレさ、生徒会長と言う立場を大いに利用して、クリスマスからエノモトさんと付き合おうと思うんだけど。』
お決まりの梅昆布茶を
すする。
:08/03/24 23:54 :W51CA :9b7EHO9g
#627 [ザセツポンジュ]
『まったくもって嫌なヤツだなトミーは。好きなら付き合えばいいじゃない。』
恋に悩む少年は
甘い甘〜い
小夜子ストロベリーを
少しずつ口に入れる。
:08/03/24 23:57 :W51CA :9b7EHO9g
#628 [ザセツポンジュ]
『なにせエノモトさんは顔がいいからな。』
『へぇ……』
心ここにあらずと言う
返事を返したジョウは
何を隠そう
エノシタさんの事を
考えていた。
:08/03/24 23:59 :W51CA :9b7EHO9g
#629 [ザセツポンジュ]
(可愛く変身し、美容室を代表してクーポン雑誌に乗ったことでエノシタさんは、嫉妬に狂ったメス達からいじめを受けている…だけどボクはなんにもしていない。鈴木さんちのジョウジロウちゃんよ。このままでいいのか。)
:08/03/25 00:01 :W51CA :WlQRdQf6
#630 [ザセツポンジュ]
『おい。おーい。ジョウジロウ。帰ってこい。どこ見てんだ、死ぬのか?』
トミーは
ジョウジロウと
至近距離まで
近づいて
確かに
目を合わせているのに
ジョウジロウの視界に
入っていない
自分に
気づかされざるを得なかった。
:08/03/25 00:03 :W51CA :WlQRdQf6
#631 [ザセツポンジュ]
『どうしたんだ。童貞だからと言って悩むなよ。快感はすぐそこだ、元気だせファイト鈴木。』
『あぁ…うん。』
2度までも
同じような対応のジョウジロウに
腹の立てたトミーは
周りを見渡し
大きく息を吸い込んだ。
:08/03/25 00:06 :W51CA :WlQRdQf6
#632 [ザセツポンジュ]
『すいませーん。どちらさんかこの鈴木ジョウジロウ(14歳)の筆おろしを手伝ってく…』
『やめろ。やーめろ。うるさいよ、お前バカか。ただのカフェだぞここは。』
目の前にいる
幼なじみのとった
最終手段で
我に返った
ジョウジロウちゃん。
だけど決して
内に秘めた悩み事は
打ち明けなかった。
:08/03/25 00:09 :W51CA :WlQRdQf6
#633 [ザセツポンジュ]
--------------
翌朝
早く目が覚めてしまったジョウは
寒い中ベランダに
立ちすくんでいた。
ガラガラガラーー。
『おや。いつもの風景が違って見える。今日はかわいい少年が見える。おはよう、ジョウジロウちゃん。』
『おはよう、きーさん。』
:08/03/25 00:12 :W51CA :WlQRdQf6
#634 [ザセツポンジュ]
きーさんも
62年も生きていれば
分かる。
隣のおぼっちゃんが
悩ましげな
顔をしていることくらい。
『はっはーん。さては、カルピスだな。』
:08/03/25 00:13 :W51CA :WlQRdQf6
#635 [ザセツポンジュ]
『さすがするどいな、きーさん。そうだよ、カルピスさ。だけどベランダ越しには話せないよ。』
きーさんは何か
ひらめき
ちょっと待てと
合図をし、
最強アイテムを
取り出して来た。
『糸でんわ。使うか?』
得意気に
紙コップと糸でできた
ひらめきの結晶を
さも自分が
考え出した発明品のように
隣にお住まいの
鈴木さんちの
ジョウジロウちゃんに投げ渡した。
《で、だれに恋をしているんだ??》
:08/03/25 00:18 :W51CA :WlQRdQf6
#636 [ザセツポンジュ]
ジョウは紙コップに
口をあてて
返答しようとしたが
きーさんも
紙コップに口をあてたまま
目をぱちくり開けて
嬉しそうにこっちを
見ている。
:08/03/25 00:20 :W51CA :WlQRdQf6
#637 [ザセツポンジュ]
ジョウは
“耳にあてろ”と言う
ジェスチャーをして
伝えようと試みたが
きーさんは
耳かきで耳くそを
ほじっただけであった。
:08/03/25 00:21 :W51CA :WlQRdQf6
#638 [ザセツポンジュ]
ジョウは
あきらめた。
やっと
誰かに打ち明けられそうな
朝だったのに
目の前にいた
老人が
きーさんだった
自分は少し運が
悪かった。
『きーさん。また今度ゆっくり話そう。』
ジョウは軽く笑って
そっと糸でんわを
投げ返した。
:08/03/25 00:24 :W51CA :WlQRdQf6
#639 [ザセツポンジュ]
『ちょっと待てジョウジロウちゃん。お前の恋心はお前だけのものだ。でもお前の恋はお前だけのものじゃない。いいか?落ち着いてよく考え、素直に、真っ直ぐ立ち向かうんだぞ。』
その言葉を
飲み込むように
ジョウジロウは
うなずいた。
:08/03/25 00:27 :W51CA :WlQRdQf6
#640 [ザセツポンジュ]
学校と言う建物の中では
何が起こっても
何事も
なかったかのように
チャイムの音だけで
毎時間毎時間
区切られてしまう。
トミー達の通う
中学校は
冬休みが
始まる前に
新生徒会役員の
力だめしと称して
全校集会が開かれる。
:08/03/25 02:36 :W51CA :WlQRdQf6
#641 [ザセツポンジュ]
3学期から
気持ちを新たに
学校生活を送るために
みんなで話し合いの場を
もうける集会だ。
生徒会室では
その集会にむけた会議でもっぱら忙しそうだ。
サポート役の
前生徒会役員の3年生と
トミーを筆頭にした
新生徒会役員2年生達が
衝突を重ねる。
:08/03/25 02:41 :W51CA :WlQRdQf6
#642 [ザセツポンジュ]
生徒会長に
満を持して選ばれた
木田トミオ氏14歳ー。
なんとも不服そうな顔で
鈴木ジョウジロウを
見つめていた。
:08/03/25 02:42 :W51CA :WlQRdQf6
#643 [ザセツポンジュ]
『なんだよトミー。』
『ジョウジロウちゃん。耐えられるか?この会議。カブトムシを捕まえるために、全身をミツバチの蜜で塗りたくっていた方がまだマシだ。』
『カブトムシってミツバチの蜜で捕まえるの?へぇ〜。パンクだね。トミーは物知りだね。』
:08/03/25 02:46 :W51CA :WlQRdQf6
#644 [ザセツポンジュ]
『おい。お前、人を小馬鹿にするのは良くないぞ。すーさんによく似たモンだよ。まぁそんなエロジジイの事はどうでもいい。俺はこんなクソ会議は望んでないから、意見をすれば3年生がケツ毛みたいなしょうもない意見を返してきやがる。俺の発言はペシャンコだよ。くだらない。』
:08/03/25 02:50 :W51CA :WlQRdQf6
#645 [ザセツポンジュ]
もっぱら
くだらない会議だと
ハナから分かっていた
ジョウは、耳を
傾けてすらいなかったが
トミーの悲痛な叫びを
耳に入れ
黒板に目をやった。
●見出しなみのチェック
●ゴミを拾う習慣
●各部活動の強化
:08/03/25 02:52 :W51CA :WlQRdQf6
#646 [ザセツポンジュ]
ワイワイガヤガヤと
話し声だけは
いっちょ前に
聞こえるが
低レベルな議題だけに
さぞ会話も
薄っぺらいことだろう。
:08/03/25 02:55 :W51CA :WlQRdQf6
#647 [ザセツポンジュ]
ジョウは
大好きなエノシタさんが
この生徒会室に
いることだけが
せめてもの救いだが
こんな
しょうもない会話を
エノシタさんも
しているのかと思うと
嫌気が
さしてしまいそうで
あえて
聞き入らないように
していた。
:08/03/25 02:56 :W51CA :WlQRdQf6
#648 [ザセツポンジュ]
『トミーは何について取り上げたいの?』
待ってましたかのように
トミーは机の両端を持ち
いきおいよく
立ち上がった
『ズバリ。女の嫉妬についてだ。』
会議室はシーンと
静まり返った。
:08/03/25 17:49 :W51CA :WlQRdQf6
#649 [ザセツポンジュ]
『…どっかのバラエティー番組みたいな内容だけどボクは賛成しようと思う。みんなはやりたくなさそうだけど。』
意外にも
ジョウジロウは
トミーの意見に
心から賛成していた。
:08/03/25 17:50 :W51CA :WlQRdQf6
#650 [ザセツポンジュ]
『こんなの取り上げてどうするんだ。木田。お前生徒会長になったんだろ。しょうもない女子の人気だけで。もっと学校の事を考えろ。』
前生徒会長3年
西田トキムネ氏は
調子づく
生徒会長木田トミオに
キツいお灸をすえた。
:08/03/25 17:53 :W51CA :WlQRdQf6
#651 [ザセツポンジュ]
だがこの木田家の長男。
めげない負けない
くじけない
行け行けトミオくんで
あることを
忘れてはいけない。
今だに
ファミコンのワンコンを
奪うために
必死そうな顔をしている
西田トキムネ氏の
そばに歩み寄り
トミーは言った。
:08/03/25 17:57 :W51CA :WlQRdQf6
#652 [ザセツポンジュ]
『お前は生徒会長と言う名前が欲しかっただけの生徒会長だ。ここを卒業しても、「ボクは中学生の頃生徒会長と言う名前で学校へ通ってました」と威張っていたいだけだろう。考えてみろ。お前に慕ってくれている奴がどこにいるんだ。』
西田トキムネ氏は
トミーを睨みつけた。
:08/03/25 18:00 :W51CA :WlQRdQf6
#653 [ザセツポンジュ]
『お前が生徒会長になってからの1年間。一体何ができたと思う?先生のご機嫌とりに大きな声での挨拶に例年通りの議題。小学生でも頑張ればできることだろう。自分の事しか考えてないから何も変わらないんだ。お前は歯を磨いてオナニーのちゃんとしたやり方でも勉強してろ。ブ男。』
:08/03/25 18:04 :W51CA :WlQRdQf6
#654 [ザセツポンジュ]
静まり返った
教室に
トミーの必死な
抗議が響いた。
ジョウジロウは
静まり返ったついでに
エノシタさんを
見つめていた。
エノシタさんは
トミーを見て
また心がキュンキュン
鳴っている。
そんな
エノシタさんを見て
ジョウジロウは
胸を痛めた
:08/03/25 18:06 :W51CA :WlQRdQf6
#655 [ザセツポンジュ]
恋心は自分だけのもの
恋は自分のものだけには
ならない。
(そうだよ。きーさん。今まさにその通りだよ。うぅ。)
:08/03/25 18:08 :W51CA :WlQRdQf6
#656 [我輩は匿名である]
あげ
:08/03/26 00:23 :M-SKIN :lZmj49DM
#657 [ザセツポンジュ]
自分の抗議の
不充分なオチに
納得のいかない
トミーは
どんでん返しに
生徒会ノートで
ジョウを思いくそ
叩いた。
バシッッ
『ぃ痛っっ!!!』
エノシタさんを
見つめていた自分と
サヨナラをしたジョウ。
『お前も何か言うんだジョウ。』
:08/03/26 00:27 :W51CA :9iCCEi76
#658 [ザセツポンジュ]
ジョウは
仕方なく立ち上がり
ひとつため息をつき
話はじめた。
『女の嫉妬となれば、学校生活にはピンとこないと思います。この際“女”は外しましょう。男子でも女子でも、友達に嫉妬しますよね。それが延長したら何が起こるか分かりますか?』
:08/03/26 00:31 :W51CA :9iCCEi76
#659 [ザセツポンジュ]
生徒会室の
机、イス、
チョークに
黒板、黒板消しでさえも
ジョウに視線を集めていた。
『それは…いじめです。いじめを取り上げて見てはどうですか?』
不覚にも
こんな時に
エノシタさんと
目が合ってしまった。
:08/03/26 00:36 :W51CA :9iCCEi76
#660 [ザセツポンジュ]
『でもうちの学校にいじめなんてないだろ。』
西田トキムネと言う
童貞は
本当に
ファミコンの
ワンコンを奪うのに
必死そうな顔をしている。
そんな顔で発言する
西田トキムネ氏に
ジョウは腹が立った。
:08/03/26 00:38 :W51CA :9iCCEi76
#661 [ザセツポンジュ]
『自分が可愛過ぎる西田先輩には到底分かりもしないことだと思いますが、その程度の発言しかできいような生徒会長と、中学校生活を過ごしたかと思うととても恥ずかしく思います。』
これだけ的確に
文句を述べても
ジョウの
怒りはおさまらなかった。
:08/03/26 00:41 :W51CA :9iCCEi76
#662 [ザセツポンジュ]
『西田先輩。あなた、ファミコンのワンコンでストファイしたそうな顔をしてますけど、念願叶ってワンコンで対戦して、エドモンドホンダに負けたらどう言い訳するんですか?』
腹をかかえて
笑い出したのは
生徒会長
木田トミオだけであった。
:08/03/26 00:46 :W51CA :9iCCEi76
#663 [ザセツポンジュ]
『ちょ………ちょっと待って!アハハハハ。ジョウジロウちゃん、それは言ったらダメじゃん。だけど、そうだよ西田、お前なんて言い訳するんだ。“ワンコンは使えたけど肝心な右手はオナニーの研究してました”とかか!?ハハハハ。』
:08/03/26 00:50 :W51CA :9iCCEi76
#664 [ザセツポンジュ]
ツボにハマると
空気も読まず
なかなかしつこい男
木田トミオである。
西田トキムネ氏は
顔をこわばらせていた。
『お前らいい加減にしろ。どっちでゲームしたっていいだろう。』
:08/03/26 00:52 :W51CA :9iCCEi76
#665 [我輩は匿名である]
>>1-100>>101-200>>201-300>>301-400>>401-500>>501-600>>601-700
:08/03/26 00:55 :W51SA :saOEh9N6
#666 [ザセツポンジュ]
『ギャーハハハハ。そこじゃねぇよ。お前15歳にもなって空気くらい読めよ。』
トミーの
過度の冷やかしに
ストップをかけたのは
エノシタさんだった。
『き、木田くん。もういいわ。本題に戻らない?』
:08/03/26 00:55 :W51CA :9iCCEi76
#667 [我輩は匿名である]
:08/03/26 00:56 :W51SA :saOEh9N6
#668 [ザセツポンジュ]
『そうだよトミー。笑い過ぎだよ。』
どさくさにまぎれ
ジョウもトミーに
注意をした。
1000歩譲って
正気を取り戻した
トミーは
サポートして頂いている
麗しき3年生に
向かって
最後に捨てゼリフを
吐いてしまった。
:08/03/26 00:58 :W51CA :9iCCEi76
#669 [ザセツポンジュ]
『ワンコンに命をかけている元生徒会長も、最近可愛くなって何を思ったかクーポン雑誌に顔載せしている元副会長も、今後一切口出ししないでくれ。』
『バカヤロウ!!!!』
ジョウは
一心不乱に
トミーを叩きまくった。
:08/03/26 01:20 :W51CA :9iCCEi76
#670 [ザセツポンジュ]
『なんだっ、なんだよジョウ!!やめろ!何考えてるんだ!お前今、うちまただぞ!!』
とにもかくにも
この片田舎の
中学校の未来は
クソガキジジイに
育てられた
2人の少年に
たくされているのである。
:08/03/26 01:24 :W51CA :9iCCEi76
#671 [すのーまん]
:08/03/31 14:11 :F902iS :hLYHrirY
#672 [あぃこ]
あげます~~
:08/04/03 11:30 :W51CA :2znD/fyg
#673 [ケイネス]
貴方のことを神と呼ばせて下さい。
:08/04/03 15:10 :W53H :dxZ4b5/A
#674 [ザセツポンジュ(仕事中のためPC)]
「うん、却下ね。」
校長はいじめをテーマにした
うすっぺらい資料を
バサっとほうり投げた。
「そうハゲか。わかったハゲよ。じゃあハゲ例年通りハゲで行くよ。失礼ハゲしました。」
:08/04/04 11:50 :PC :1Bn.IsqU
#675 [ザセツポンジュ(仕事中のためPC)]
生徒会長木田トミオは
却下された資料をまるめて
すんなりと校長室を出た。
「ジョウジロウちゃん聞け。やっぱり却下だったよ。」
トミーはジョウジロウの肩に手をかけ
耳打ちした。
「あんな資料じゃダメだよ、証拠も出してないのに。ちょっと近いんだけど。耳元で喋るのやめてくれないか。」
:08/04/04 11:54 :PC :1Bn.IsqU
#676 [ザセツポンジュ(仕事中のためPC)]
「校長もそれと同じことを言いたそうに頭をハゲ散らかしてたから何も聞かずに出てきました。」
「そうか。じゃあぶっつけ本番、当日が勝負だね。トミーの腕次第だね。」
:08/04/04 12:02 :PC :1Bn.IsqU
#677 [ザセツポンジュ(仕事中のためPC)]
「それは心配するな。根拠はないがうまく行く。しかしせめて一回くらいはイメージプレイさせてくれ。それくらいいいだろ?俺だって人間だ、心臓は高鳴る。」
ジョウジロウは
なおも耳元で喋りまくる
トミーを振り払った。
「おい。ジョウ。ところでお前なぜ言わないんだ。いじめを目撃したんだろ?お前が証拠を出さないと俺だってやりづらいんだ。そろそろ言わないか!」
:08/04/04 12:10 :PC :1Bn.IsqU
#678 [ザセツポンジュ]
ジョウは立ち止まり
くつばこの横のゴミ箱を指指した。
「あの中に資料が入っている。」
そう言い残し、向かう足は
必然的に屋上を目指していた。
:08/04/04 12:12 :PC :1Bn.IsqU
#679 [ザセツポンジュ]
(トミーは気づくよね。エノシタさんがいじめられていると知れば俄然やる気が沸いて、黄色い声援を浴びる集会を開催する事ができる。そしてトミーがエノシタさんを助けることになる。そしたらエノシタさんはなおさらトミーを好きになって・・・)
:08/04/04 12:16 :PC :1Bn.IsqU
#680 [ザセツポンジュ]
(どんどんみだらな女になっていって、エノモトさん狙いのトミーもそんなエノシタさんに惹かれていって、やがてどっぷりハマる。そしたらボクの入る隙なんてみじんもなくなって、過去を振り返る歴史の勉強に明け暮れて、ヤラずにハタチを迎えるんだ。みんなにヤラハタって呼ばれるようになるんだ。)
:08/04/04 12:19 :PC :1Bn.IsqU
#681 [ザセツポンジュ]
(ボクはハタチで、金を払って風俗で童貞を捨てるんだ。。。でもそれでも素人童貞なんだ・・・)
「はあ、、、。ダメだダメだ。ボクはこともあろうか、なんて事を考えてるんだ、、、ふう。」
:08/04/04 12:22 :PC :1Bn.IsqU
#682 [ザセツポンジュ]
鈴木ジョウジロウ。
落ち着きを取り戻し、
寒空の下、呪文を唱えた。
「縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、鎌倉、室町、安土桃山、えーどーめいじーたしょーしょうわーへいせー!」
「、、、鈴木。」
「っぎゃっっっ!何ですか一体!何考えてるんですか!」
苦笑いの担任を目の前に
ジョウは大声で怒鳴りつけた。
:08/04/04 12:27 :PC :1Bn.IsqU
#683 [ザセツポンジュ]
「何を考えているかは、お前に聞きたい。昼休み、終わってるぞ。とっくにチャイム鳴ったぞ。」
チャイムの音すら聞こえない。
恋わずらいとは重い病気だ。
:08/04/04 12:28 :PC :1Bn.IsqU
#684 [ザセツポンジュ]
「鈴木、さっきの、奈良が抜けてたぞ。」
ジョウジロウはスクっと立ち上がり
階段を下りて、教室に向かった。
(縄文、弥生、エノシタ、古墳、飛鳥、エノシタ、奈良、平安エノシタ、安土エノシタ、江戸エノシタ。。。)
「頭おかしーんじゃねーのか!」
ジョウジロウは自分の頭をポコポコ殴った。
担任はジョウジロウの肩を抱いた。
:08/04/04 12:34 :PC :1Bn.IsqU
#685 [ザセツポンジュ]
そんなジョウとは
打って変わって
片田舎の中学限定
スーパースターの
昼休みはなんとも
さわやかなものだった。
ジョウにゴミ箱を指差され
置いてきぼりを食らったトミー。
悩ましげな幼馴染の
後ろ姿を見て、確認しないわけには
いかない。
:08/04/04 13:56 :PC :1Bn.IsqU
#686 [ザセツポンジュ]
ーガサゴソ、、、。
トミーは手当たり次第、
ゴミをあさった。
「ん?うん、、、。うん。ふ〜ん。、、、了解生コン!」
:08/04/04 13:58 :PC :1Bn.IsqU
#687 [ザセツポンジュ]
「誰と話してるの〜?」
ゴミと話していたトミーに
かけてきた女の声で
顔を上げた。
「エ!エノモトさん!」
トミーは紙くずをグシャっと
ポケットにつめこみ、変態トミオの
スイッチを軽く押した。
:08/04/04 14:01 :PC :1Bn.IsqU
#688 [ザセツポンジュ]
この男、よっぽどついているのか
意中の相手から声がかかるという
強運の持ち主である。
「エノモトさん、冬休みはどうお過ごしで?」
:08/04/04 14:02 :PC :1Bn.IsqU
#689 [ザセツポンジュ]
トミーはエノモトさんの手を
優しくひっぱり、靴箱の隅っこに
しゃがみこんだ。
「う〜ん、、、。特に予定は。」
トミーの目がギラリと光った。
「じゃあ、よく聞いて。クリスマスに俺とチュウするのと、クリスマスに俺とチュウするの、どっちがいい?」
片田舎のスーパースターじゃなかったら
殺されるほどの勘違い発言だが
木田トミオ、ギリギリセーフで通過できた。
「どっちも同じじゃん。」
:08/04/04 14:06 :PC :1Bn.IsqU
#690 [ザセツポンジュ]
そんなエノモトさんも
トミオマジックにかかり
照れて下を向いた。
「わかった。じゃあ頑張って1か2で答えてみよう。」
トミーはうつむくエノモトさんの顔を
覗きこんだ。
:08/04/04 14:09 :PC :1Bn.IsqU
#691 [ザセツポンジュ]
「い、、、いちばん、、?」
チラっとトミーを見る
エノモトさん。
「、、、お前、ヤリマンか?」
「は?」
<キーンコーンカーンコーン。>
予鈴が鳴った。
:08/04/04 14:11 :PC :1Bn.IsqU
#692 [ザセツポンジュ]
「じゃないよな。とりわけ、この俺のメアドにとてつもない速さでメールちょうだいね。」
トミーは事前に用意しておいた
マイアドレスのメモを
エノモトさんに渡し、立ち上がった。
「え、トミーは今彼女いないの?」
しゃがみこんだまま、
メモ紙を手に持ち顔を上げたエノモトさん。
トミービジョンから見下ろした、
そのエノモトさんの上目使いが
トミーのツボと言うツボを付き
もう一度しゃがみこんで、エノモトさんの目を見た。
:08/04/04 14:16 :PC :1Bn.IsqU
#693 [ザセツポンジュ]
「いない。エノモトさんが、俺の彼女になると簡単に思ってたんだけど、まだわかんない。エノモト争奪戦に参加して、なおかつ優勝しないとダメなんだよ、俺。それで冬休み忙しいんだ。」
エノモトさんは携帯を取りだして
トミーにメールを送った。
:08/04/04 14:21 :PC :1Bn.IsqU
#694 [ザセツポンジュ]
<優勝するようにおまじないしてるね☆>
何ともむずがゆい鳥肌の立つような
二人だが、本鈴がなるまでの
わずがな時間、トミーはエノモトさんと
靴箱の隅っこにしゃがみこみ、
甘いひと時を過ごしていた。
:08/04/04 14:25 :PC :1Bn.IsqU
#695 [ザセツポンジュ]
_______________
「あの女、あと二日もすれば落ちるな。ほんっとどいつもこいつもヤリマンだ。日本の女はヤリマンだ。あいつもこいつもヤリマンだ。ヤリマンダーヤリマンダー」
バシッッ。
「木田。もうちょっとマシな独り言にしろ。チャイム過ぎてるぞ。」
担任は持っていた教科書で
トミーの頭を憎しみを込めて
殴った。
「ヤリマンダー。」
バシッッッ
担任はそのまま階段を上がっていった。
(先生こそチャイム鳴ったのにどこ行ってるんだろう。)
:08/04/04 14:29 :PC :1Bn.IsqU
#696 [ザセツポンジュ]
先生のいない教室に戻ったトミーは
席に座り、あたりをグルっと見渡した。
「ヤリマンダーヤリマンダー」
「な、何言ってんの?トミー、ジョウと一緒じゃないの?先生探しに行ったのに。」
隣の席の、割りとブサイクな渡辺さんは、
トミーを二度見しつつも、ジョウの行方を心配していた。
「ヤリマンダー、ヤリマンダー」
:08/04/04 14:33 :PC :1Bn.IsqU
#697 [ザセツポンジュ]
「ふざけないでよ!」
「、、、渡辺さん、怒ったときの顔、超可愛いんだけど。」
「え、、、。」
顔を赤くする割とブサイクな渡辺さん。
「ヤリマンダーヤリマンダー」
:08/04/04 14:36 :PC :1Bn.IsqU
#698 [ザセツポンジュ]
「もう!」
ガラガラー。
渡辺さんをからかった後
担任とジョウは戻ってきた。
「はーい、授業始めるぞ〜。鈴木は屋上で独り言をぶつぶつつぶやいていたので遅れましたー。鈴木ー。みんなにあやまれ。」
「すいませんでした。」
ジョウは深いお辞儀をして、
憂鬱にも席に戻った。
すぐさまトミーがジョウの
耳元で話かける。
「ジョウジロウちゃん。俺、エノモトさんとクリスマスにセックスする約束しちゃったんだけど。ヤリマンダーヤリマンダー」
いつもだったらこの耳元で囁くトミーにイラつきを
覚えるのだが、さっきまでの悩みごとが
バカみたいに思えてきたジョウジロウ。
:08/04/04 14:44 :PC :1Bn.IsqU
#699 [ザセツポンジュ]
「え?クリスマス、エノモトさんと過ごすの?エノモトさん?エノモトさん?」
エノモトさんのモトの部分を
どうしても強調してしまうジョウジロウ。
「エノモトさんと何時から何時何分まで遊ぶの?え、それ確実に遊ぶわけ?エノモトさんと?」
尋問する警官のように
必死なジョウジロウ。
:08/04/04 14:47 :PC :1Bn.IsqU
#700 [ザセツポンジュ]
「、、、え?ジョウジロウちゃん。どうしたの?なんでそんなことまで聞いてくんの?だってもう決めちゃったもん。そうか、、、。俺と遊びたかったんだよな。俺とサンタさんごっこしたかったんだよな。それならそうと早、、」
ジョウはトミーを耳元から
押しのけた。
「さっきから近いし。全然違うし。サンタごっことかしたこともないし。」
:08/04/04 14:51 :PC :1Bn.IsqU
#701 [ザセツポンジュ]
ジョウは、トミーの
極度の勘違いにあきれながらも
希望で満ち溢れていた。
(じゃあ、じゃあ、ボクはエノシタさんと、エノシタさんとクリスマスを過ごせるチャンスかもしれないじゃん!いけいけごーごーすーずーき!)
ジョウは、自分にエールを送り
気持ちを入れ替え
歴史の授業を受けた。
:08/04/04 15:00 :PC :1Bn.IsqU
#702 [ザセツポンジュ]
「ねえ、トミー。エノモトさんと、エノモトサンとうまく行けばいいね!」
「、、、。お前何でさっきからエノモトサンのとこだけカタコトになるんだ?」
おおっと危ない。
恋に集会に冬休みにクリスマス。
これから忙しくなる少年2人だった。
:08/04/04 15:40 :PC :1Bn.IsqU
#703 [スかなス]
あげ
:08/04/06 13:57 :W51CA :atC9RIq6
#704 [我輩は匿名である]
あげ〜
:08/04/12 20:21 :F705i :gVWd4Us.
#705 [べあ-]
定期あげ-
:08/04/28 23:15 :W51CA :8wFrJpcE
#706 [ケイネス]
書籍化しないんですかー?
:08/05/03 17:10 :W53H :JFmXJx66
#707 [ザセツポンジュ]
【談】
ザセツポンジュ。
持続性がないのであります。
もうきーさんだのすーさんだのをちまちま書きはじめて
あしかけ
2年ほどになりました。2008年7月7日に完結させます〜
(と、言わないとやらないので言ったからには個人的にやろうと思います。)
“あげ〜”してくれた方々。
たんまに開くと
嬉しくて鼻血が出そうです。
最後の最後には
しょうもないサプライズとともに
完結させますので
7月7日まで
ダラダラとよろしくです。
ありがとうです。
:08/05/03 17:41 :W51CA :NqM0mZf2
#708 [みずき]
主サン大好きです(ω)ノ
期待してます
:08/05/03 22:17 :W44K :z8giIPI2
#709 [ゆちよん]
全部読みました
頑張ってくださいね~
:08/05/05 21:59 :W51S :gldcouak
#710 [ケイネス]
書籍化してくれる人いないかな
でたら買うよ。主のクオリティとセンス良すぎですって!
:08/05/08 23:44 :W53H :GEKeQMHQ
#711 [ザセツポンジュ]
『ブフォ!格別に熱い!まるでみーちゃんのワシに対する想いがココに表れているみたいでならん!』
早朝の#7791カフェで、猫舌なのにも関わらず熱い梅昆布茶を嬉しそうにすするすーさん。
きーさんは
小夜子ストロベリーをほうばりながら
すーさんを軽蔑した。
:08/05/13 23:13 :W51CA :aYBz2q7U
#712 [ザセツポンジュ]
『すーさん。そこまで熱い梅昆布茶を出してこられたみーちゃんは、心底自分の事が嫌いなのではないかと疑うのが一般論だ。すなわちすーさんの脳内は腐っている。近くの病院に行きなさい。』
『フーァッ。フー、フーァッ。』
否定的な意見は聞き入れない主義。
鈴木ひとし、老人。
:08/05/13 23:16 :W51CA :aYBz2q7U
#713 [ザセツポンジュ]
『きーさん。吐きダコのきららちゃんはどうなったんじゃ。もうずっとキャバクラにも行ってないし、なにより空ちゃんがワシを呼んでおる。』
『営業と言う漢字2文字の意味がお分かりかね。まぁいい。きららちゃんの様子見がてら、まず六さんのところへ行ってみよう。すーさん。また夕方に。』
小夜子と甘い一時を過ごしたきーさんは
伝票をすーさんの顔に貼り付けカフェを出た。
『ワシのオゴリ系かよ〜。うぜぇ系?伝票も貼り付ける系?代金払え系?きーさん。ゴールデンエッグスて知ってるか系?あ、あれ?きーさん!みーちゃん!きーさんは!!?』
:08/05/13 23:25 :W51CA :aYBz2q7U
#714 [ザセツポンジュ]
日が暮れだした
茜色の寒空の下
老人2人は
懐石料理“廣六”へと
向かった。
ガラガラガラー。
『いらっしゃいま…』
出迎えた
着物を来た可愛らしい女性は
びっくりした様子で2人を見たまま口に手をやった。
:08/05/13 23:30 :W51CA :aYBz2q7U
#715 [ザセツポンジュ]
『きららちゃん…アンタまさか六さんと性行為に及んだのでは…きーさん、この女危ないぞ、気を付けろ…』
すーさんは難しい表情を浮かべきーさんの後ろに下がった。
きーさんは
きららちゃんを
上から下までじっくりと眺めこう言った。
『きららちゃん。少し、痩せたな。』
『うん!』
きららちゃんは
とても嬉しそうにニッコリ笑った。
:08/05/13 23:33 :W51CA :aYBz2q7U
#716 [ザセツポンジュ]
六さんの店に通ううちに
バランスの良い食事を
こころよくとらせてもらっていることに
気が引けて
週に2、3回程度
中居として働かせてもらうことになったと言うきららちゃん。
ちなみに
六さんと言う老人と
セックスをしてしまうほどアバズレではない。
うそつき空ちゃんと
働くキャバクラには
出勤を減らし
こちらも週3程度で働いている。
精神的なバランスも
徐々にとれだしていた。
『きーさん。私ホントに感謝してます。ありがとう。』
:08/05/13 23:38 :W51CA :aYBz2q7U
#717 [ザセツポンジュ]
きーさんの手を握った
きららちゃんの手の甲から見える
吐きダコの跡が
少し薄くなっていることに、きーさんは安心した。
『きららちゃん。空ちゃんはワシのこと寂しそうに待っているんじゃろ。ワシも会いたいよ。なのにきーさんときたら、何遍誘っても首を縦に振ってくれないんじゃ。きーさんはインポなんじゃ。』
『すーさん。いい加減、死のうとは思わないのかね。この町内のためにも。ちょっと黙っててくれ。』
くすくすと笑うきららちゃんは何かを少しとっぱらったような可愛い笑顔だった。
:08/05/13 23:43 :W51CA :aYBz2q7U
#718 [ザセツポンジュ]
『もう今日は暇だし、アンタもきーさん達とご飯食べなさい。仕事はもういいから。ね。』
六さんの登場に
すーさんはブーイングした。
『六さん!アンタ、きららちゃんをアンタ呼ばわりして何様のつもりかね!変態!ワシですら空ちゃんとチュウもしたことないのに若い娘をなめまわしやがって!』
ゴツン!
『…っつ…。』
きーさんのゲンコツは痛いのだ。
六さんの料理フルコースを食べあさるうちに
日本酒に酔っ払った
すーさんは
ウトウトしだし、大人しくなった。
:08/05/13 23:50 :W51CA :aYBz2q7U
#719 [ザセツポンジュ]
きーさんはタバコに火を付け
一息ついたところで
ゆっくり話だした。
『きららちゃん。本名は何と言うか知らないがそれはどーでもいい。だが…あの…その…手の…事だけども、…体が痩せてキレイになったからと言って解決する問題と言うワケではないのは分かるかい?』
きららちゃんは
手の甲の自分をいじめた赤色の痕跡にそっと手でおおいかぶせ
話し出した。
:08/05/13 23:55 :W51CA :aYBz2q7U
#720 [ザセツポンジュ]
『はい。私ちょっと、勘違いと言うか、過剰に思いすぎていたところがあった…。何かうまく行かない事があると、太っているせいだとか、容姿端麗ならこんな風にはならなかったはずだとか、胃の中に入れたら太ってしまう…出してしまわないと自分は醜いだとか…』
きーさんは
静かな空気の中
フゥっと煙を吐き出した。
『だけど、それよりももっともっと奥の方に、きららちゃんがそうなってしまった原因があるだろう?』
きーさんの
とても柔らかい口調に
きららちゃんは
ほだされていった。
:08/05/14 00:04 :W51CA :FHLTeiMw
#721 [ザセツポンジュ]
『そうね…。それがどうなれば解決とされるのかは分からないけれど、まずは自分を安定させて、それから少しずつ向き合って行けたらなと思うの。』
せめてきららちゃんは
このまま
今、描いているイメージ通りに
進んでいけることを
きーさんは切に願った。
『ピーピーピー。ピピッピピー。空ちゃ〜ん。ワシの空ちゃ〜ん。』
すーさんは顰蹙係。
酔っ払った時は
いつだってこうだ。
:08/05/14 00:08 :W51CA :FHLTeiMw
#722 [ザセツポンジュ]
口の中の
歯ぐきが
ガクガク踊り出して
次は
のどに
次は
心臓に
次は
胃に
次は
心臓に
次は
のどに。
顔を憎み
腕を憎み
胸を憎み
腹を憎み
足を憎み
怖くなって
怖くなって
眠る。
:08/05/14 00:14 :W51CA :FHLTeiMw
#723 [ザセツポンジュ]
チョコレートもポテチも牛丼も
お母さんもお父さんも近所の人も
サンドイッチもハンバーガーもラーメンも
学校も友達も先生も。
アイスもケーキもワッフルも。
妹も妹も妹も…
私の中から出て行って
いらないわ、何もかも
邪魔だわどれもこれも
ずっと比べていればいいわ。
:08/05/14 00:17 :W51CA :FHLTeiMw
#724 [ザセツポンジュ]
どうだっていいもの。
私にはどうだっていいもの。
無くなればいい。
死ねばいい。
私は醜い。
消えてしまえばいい。
どうだっていい。
どうだっていいもの。
全部
どうだっていいもの。
:08/05/14 00:19 :W51CA :FHLTeiMw
#725 [ザセツポンジュ]
ーーーーーーーーー
『おはようございます。木田です。生徒会長です。皆様、ご機嫌はいかが?』
恒例の、全校集会が幕を開けた。
《キャーーーー!!!!トミーーーーー!!!》
何を土地狂ったのか
片田舎の女子中学生の
黄色い声援と言うものは
トミーをつけあがらせる
最大の覚せい剤だ。
:08/05/14 00:23 :W51CA :FHLTeiMw
#726 [我輩は匿名である]
:08/05/14 07:04 :N902i :BcjqSwbk
#727 [我輩は匿名である]
:08/05/14 07:05 :N902i :BcjqSwbk
#728 [空の色]
こんな小説あったんだ…ほんと読めてよかったbb
温かい気持ちになるよ、これからも楽しみに読ませてもらいやす
:08/05/16 21:36 :W43H :mHnGFj8s
#729 [ザセツポンジュ]
『今から全校集会を始めます。きりつ、気をつけ、れい。』
ステージには
新生徒会役員、トミーやジョウを含めた6名。
裏方に、旧生徒会役員、トキムネ氏、エノシタさんを含めた6名。
体育館2階には
父兄にPTAが勢揃い。
そして、1階の窓際に一列、教師達が並ぶ。
ステージに一番近いところに我が校代表する校長が座った。
:08/05/19 01:22 :W51CA :UWzOEldU
#730 [ザセツポンジュ]
女子達の黄色い悲鳴は止まない。
調子に乗りたい気持ちを抑え
トミーはマイクを持ちステージのそでに立った。
『女子達。キャーキャーピーピーうるさいんですけど。シーよ。シー。俺は、今日来ている君達のママやパパにひとりずつ挨拶してまわらないといけない。そしたらどうなる。全員のパパにボコスコにされてしまうよ。…それで余計かっこよくなれるかもしれないけど。』
腹の立つ勘違い発言だが片田舎のため許された。
いつものことだ。
2階からドっとわかせたところでトミーは口に人差し指を立て、会場をしずめた。
:08/05/19 01:33 :W51CA :UWzOEldU
#731 [ザセツポンジュ]
『皆様今日はお集まり頂き有難うございます。今年も、例年通りの議題で行うように校長から言われました。が、しかし、そんなのなんにもおもしろくないので校長の命令は完全無視する。』
小さな話し声が広がりざわつきはじめた。
校長はキョロキョロしてなにやら教頭に耳打ちした。
『議題を発表します。』
トミーは裏方の前生徒会長、トキムネ氏に指示を出した。
『そこのファイルにある1枚目をスクリーンに映し出せ。』
トミーの鋭い目に圧倒され、言われるがままに従った。
何も聞かされることのなかった旧生徒会役員。
トミー率いる新生徒会役員との確執は深かった。
:08/05/19 01:45 :W51CA :UWzOEldU
#732 [ザセツポンジュ(仕事中のためPC)]
《い じ め》
スクリーンいっぱいに
映し出された、たった3文字の言葉。
みんなが議題を飲み込んだのを
確認したトミーは、進行をジョウと交代した。
『はい。ここに出ている文字を見てハッとした人もいると思いますが、この学校にいじめは存在しました。今日来ているお父さんお母さんは、ショックかもしれませんが、娘さん、息子さんが誰かをいじめているかもしれません。』
:08/05/19 16:55 :PC :inGAe7KI
#733 [ザセツポンジュ]
ザワつきのボリュームは
次第にあがって行き、
校長は教頭をステージの上に送り出した。
教頭は校長に言われた通りの
マニュアル的台本を、ジョウの耳元で告げた。
普段は物静かなジョウジロウちゃんも
好きな子を守る
盛大なパーティーの最中、
忠告を聞き入れるわけにはいかない。
ジョウは、教頭の背中を押し
ステージの真ん中へ立たせた。
『今ボクに言った内容を、目の前にいるみんなにも発表してください。』
:08/05/19 17:01 :PC :inGAe7KI
#734 [ザセツポンジュ]
教頭に、マイクを渡した。
『、、、いや、、、あの。』
マイクを持って
突っ立ったまんまの教頭に
生徒からヤジが飛ぶ。
『何言ったんだよ!言えよ!』
『なにやってんだよ、お前コケシか!』
混乱する体育館内と
それ以上に困り果てた、教頭、校長、、、。
教頭はマイクをジョウに渡し、肩に手を置いた。
『やりたいようにやれ。知らないぞ。』
そう言い残し、あまりの恥ずかしさからか
ステージの裏に逃げてしまった。
:08/05/19 17:06 :PC :inGAe7KI
#735 [ザセツポンジュ]
校長がギラリと睨んだ先、
教頭は見えないステージの裏側で
今までにない屈辱を味わい
身震いせざるを得なくなってしまった。
裏方にかまえていた
旧生徒会役員も
この時ばかりは、かける言葉すら無かった。
『教頭が逃げたところで本題に入ります。スクリーンに映し出す資料をみんなで見て行きましょう。あとでみんなにも意見を発表してもらいます。』
:08/05/19 17:16 :PC :inGAe7KI
#736 [ザセツポンジュ]
ジョウはエノシタさんに
資料を渡し、順番に映しすようにお願いした。
エノシタさんは、普段は見せないような
不安な顔でジョウを見つめていた。
何を話せるわけでもなく
ジョウはステージに戻った。
:08/05/23 12:13 :PC :2EGMUVP.
#737 [ザセツポンジュ]
年間、少年少女の自殺が
600件にも達していること、
それを大人達は隠してしまっていること。
いじめをすることによって、
優越感を得る同年代の子達の心理
ネットでの書き込み、中傷が
増え続けている事。
黙って見ている人の立場。
ジョウが説明していくたびに
忠実に資料を映し出して行ったエノシタさん。
ステージの裏でのエノシタさんの様子が
気になって仕方のなかったジョウ、、、。
『暇なんですけど〜。』
ステージで説明するジョウを押しのけ
暇を持て余していた、生徒会長木田トミオが現れた。
トミーの再びの登場に
いちいちザワつく田舎女子。
ジョウはトミーと進行を交代した。
『鈴木くんの資料を見て、だいたい分かったと思いますが、ここで突撃インタビューを開始します。何か意見のある人は手を挙げましょう、、、。もちろん挙がりませんね。では、適当に出席番号を言うので各学年、呼ばれた出席番号の人は立ちましょう。』
新生徒会役員、トミーとジョウをステージに置き
残りの4人がマイクを持ち、体育館に散らばった。
:08/05/23 12:29 :PC :2EGMUVP.
#738 [ザセツポンジュ]
『それでは、出席番号を発表します。男子5番、20番。女子2番18番。今呼ばれた出席番号の人、さっさと起立。』
トミーは、立たされた顔ぶれを眺めた。
そして、質問を開始した。
『1年生、1組の男子5番の子。名前をどうぞ。』
いたって健康そうで、1年生ならではの
ズボンの丈が少し短い男の子だった。
『片岡洋平です。』
名前もいたって当たりさわりなく普通だ。
:08/05/23 14:33 :PC :2EGMUVP.
#739 [ザセツポンジュ]
『片岡君、さっきの資料で、年間600件の自殺が報告されていると言うことだったけども、600件全部がいじめが理由なワケではないと思う。でも死ぬほど嫌になるくらいのことを、片岡君は経験したことがありますか?』
トミーの唐突な質問に
いたって健康そうな片岡君は戸惑っていた。
『、、、ありません。』
『では、塾でもなんでもいい。しんどいな、苦しいなと思ったことはありますか?』
『、、、それは、あります。』
『そこで、そのしんどさをどうまぎらわす事ができましたか?』
『、、、。』
ズボンの丈が少し短い片岡君は
緊張のせいもあり、ガチガチで上のほうを見て考えた。
『僕は、、、。数学が苦手で、よく怒られていて、、、。それが嫌だったけど、友達に打ち明けたら、数学教えてくれるようになって、、、。まだ苦手だけどちょっとは楽になりました。』
:08/05/23 14:59 :PC :2EGMUVP.
#740 [ザセツポンジュ]
『ありがとうございます。座ってください。』
片岡くんはズボンの丈を気にする事もなく
ホっとした表情で着席した。
『同じく1年1組の男子20番。名前から。』
『福井祐樹です。』
ドラえもんで言うスネオポジションとおぼしき
男の子。
『いじめと言うのは、どこからがいじめと呼ぶのかは難しいかもしれませんが、誰かがいじめをしているのを見た事がありますか?』
『まだありません。』
『では、仲の良い友達に、簡単に言うといじめを誘われたらどうしますか?』
『、、、断ると思います。』
『断ると、思います?』
『、、、断ります。』
『今みんなの前で言ったその言葉を忘れないでください。座ってください。』
:08/05/23 15:13 :PC :2EGMUVP.
#741 [ザセツポンジュ]
ジャイアンポジションに
のび太ポジションをいじめようと誘われたら
きっとジャイアン側についてしまうだろう。
そんな自分の性格をなんとなく把握していた福井は
なかば強制的に宣言した言葉を重く受け止めた。
『では1組の2番女子。』
『安達さきです。』
安達さん、トミー軍団の一味である。
ニヤニヤしながらマイクを自らぶんどっていた。
『さきちゃん。無視したり、はみごにしたりと言う経験はありますか?』
『あ、ありません。でもしている人なら見た事があります。』
堂々とした発言に体育館がどよめいた。
:08/05/23 15:26 :PC :2EGMUVP.
#742 [ザセツポンジュ]
『どういう風な形で始まりますか?』
『目立つか暗いかでターゲットが決まるケースが多いです。』
1年1組女子から安達さんにブーイングが起きている。
『1組女子静かにして。まだ質問が残っている。』
1組女子達はふてくされながら口を閉じた。
『さきちゃんは、それに加わった事はないと言いましたが、ではそのされている人や、している人に、何か注意とかはできましたか?』
1組女子は全員安達さんを睨みつけた。
『注意はしたけど、、、聞いてくれませんでした。』
:08/05/23 15:32 :PC :2EGMUVP.
#743 [ザセツポンジュ]
1組女子はこの発言を聞いた途端
言いたいことをガヤガヤと言い始めた。
『トミー先輩の前だからっていい顔すんなし。』
『注意とか言う前にお前もやってんじゃん。』
『お前がむしろ先陣きってはじめてるし。』
安達さんは自分が掘った墓穴を恥じて
泣き出した。
マイクを持ったまま席に座りこんだ。
生徒会役員はマイクだけはと
奪い返した。
:08/05/23 15:38 :PC :2EGMUVP.
#744 [ザセツポンジュ]
『静かに。静かに!1年1組の女子、貴重な意見をどうもありがとう。でも別に褒めているわけではない。これで、先生達も、体育館2階の皆様も、なんとなく今回この議題にした意味が分かったと思います。ただ、1組女子も他のクラスも他の学年も、考えを改めてください。している人だけが悪いのではなく、黙って見ている人も関係しています。そしてこの俺も、えらそうに言える立場ではありません。』
:08/05/23 15:43 :PC :2EGMUVP.
#745 [ザセツポンジュ]
トミーは空気の変わりつつある
体育館の温度を感じ取り、
各学年、各クラスに質問を投げかけていった。
最後、3年3組ー。
『3組女子、2番。』
『石崎、、、みさです。』
石崎さんは、エノモトさんと人気を二分するくらいの
可愛さの目立つ女の子であるが、
どこかトゲトゲしい雰囲気を持っていた。
『石崎さん。クラス内で悪質ないじめが発覚した場合、石崎さんならどうしますか?』
『どう?って言われても、、、。』
『ほっときたいですか?』
『ほっときたいワケじゃないけど、この先もいじめは続いて行くと思います。』
『いじめている人が死ねば、そこでひとつのいじめは終わりますね。それでもまだ続きますか?』
『続きますね。全国全ての学校でのいじめをいちいち終わらすことは不可能だと思います。』
『全国区の話はしていません。身近なあなたのクラスでの話しをしているんです。』
石崎さんの尖った態度に
トミーも強気に出ていた。
この最終地点までやっとこぎつけたのに
今さらひるむワケにはいかなかったのだ。
:08/05/23 15:58 :PC :2EGMUVP.
#746 [ザセツポンジュ]
『石崎さんのクラスで、いじめがあったとします。でも、3年生はあと1学期過ごせば卒業して学校もバラバラですよね。そしたらそのいじめはなかったことになると思いますか?』
『わからないんじゃないんですか?』
『石崎さんは、いじめに対してとても安易な考えと言うことでよろしいでしょうか?』
『そう思いたいならかまいません。逆に、木田くんはどうにかできるんですか?』
:08/05/23 16:03 :PC :2EGMUVP.
#747 [ザセツポンジュ]
この白熱した言葉の交換に
目をいったりきたりさせる
生徒達の心臓は高鳴っていた。
そして石崎さんの投げかけた質問の答えを
トミーにたくし、ステージを真剣に見つめた。
『俺は、人をいじめると言う趣味はない。それは誓う。それにクラスにも恵まれています。俺のクラスには多分いじめはない。でもそれは多分としか言えません。この学校は田舎で、生徒も割りと少ないほうで、いじめなんかなさそうに見えるが、この学校であるまじき行動を目撃したヤツがいる。俺はそれを聞くまで、いじめには無頓着だったから、俺も悪い。』
:08/05/23 16:15 :PC :2EGMUVP.
#748 [ザセツポンジュ]
『だけど、いじめがあるんだったら、見逃すワケにはいかないだろう。俺は、全国のいじめをなくしたいとか、そんな偽善ぶったことは言えないし、できない。自信はない。でも俺はこないだの演説で約束したんだよ。みんなは覚えてないかもしれないけど、俺は自分が言った言葉に責任を持ちたい。この学校の中だけでも、どうにかしたいと思ったから、今日この集会を開いている。』
:08/05/23 16:23 :PC :2EGMUVP.
#749 [ザセツポンジュ]
『石崎さんは、どうにかできるんですか?と質問してきたけど、もちろん俺だけでどうにかすることはできない。それが答えです。他に言いたいことはありますか?石崎さん。』
いつもなら、ダルいだけの集会で
いつもなら、人の話もロクに聞いてなくて
いつもなら、話している人の顔すら見ない生徒達だったが
全員が、右後方にマイクを向けられて立ったままの
石崎さんの顔を、石崎さんの目を見ていた。
石崎さんは自分の目では入りきれないほどの数の
全校生徒の目を見たまま答えた。
『あ、、、、ありません。』
:08/05/23 16:30 :PC :2EGMUVP.
#750 [ザセツポンジュ]
石崎さんは、自分が今までしてきたことを
全て思い出し、そして全校生徒の目を自分が自分に突き刺さったように感じて、席に座った。
『それでは最後です。3組女子、18番』
『、、、。』
『、、、。名前、どうぞ。』
『、、、。』
トミーもジョウジロウも分かっていたのだ。
あまりの衝撃に言葉も出なくなった
この女子の名前を。
『山田さん。山田さんには、最後の質問に答えてもらいたいんですが、答えられますか?』
山田さんは、ただただ首を横に振って
座ってしまった。
山田さんは、石崎さんと毎日毎日
一緒にいる。
二人は仲良し。
どちらかがどちらかに
支配されている。
二人は仲良し。
どちらかが命令して
どちらかが従っている。
二人は仲良し。
:08/05/23 16:44 :PC :2EGMUVP.
#751 [ザセツポンジュ]
トミーが質問をしている最中、
ジョウは体育館のマイクを持って2階に移動していた。
そして、人を探していた。
ポン、ポン。
『ジョウジロウちゃん。』
『ワッ。、、、。きーさん。何やってんの?服、オシャレだね。この日のために用意した、、、え!にいちゃん!来たの!にいちゃんこんな昼間に外に出て大丈夫なわけ?』
『俺をひきこもりみたいに言うなよ、インドア派なだけだ。』
『そ、そう。って言うかまさかウチのじいちゃんまで来てるの?』
『ジョウジロウちゃん。あそこを見てみろ、ほれ。あの遺伝子がジョウジロウちゃんに影響してないかがワシはただ心配じゃよ。』
きーさんが指をさした先の
我が祖父を視界に入れたジョウは愕然とした。
立ち見の若くてキレイな誰かのお母様のケツの下に
地味に座り込んでいる。
気分が悪そうな小芝居まで地味に披露。
ジョウはきーさんの肩で一瞬涙を見せたが
探していたのは
自分ちのじーさん達ではなかったのだ。
:08/05/23 17:00 :PC :2EGMUVP.
#752 [ザセツポンジュ]
くたびれてくたびれて
だけどそれも隠そうとしていて
隠して隠して
化粧をしている。
そんな派手目なお母様をジョウは見つけた。
顔は美人で、若い時は娘と同じくらい
人気だったのかなとジョウか思った。
とても悲しそうな顔をしているお母様。
:08/05/23 17:06 :PC :2EGMUVP.
#753 [ザセツポンジュ]
もう1人は、気の強そうなお母様。
自分の育て方は決して間違ってはいないと
無理に暗示をかかえているような
難しい表情で呆然としている。
こちらは夫婦で娘の行事に参加している様子。
ジョウはこの二人の母親のいる場所を把握して
トミーからのパスを待ちながら
石崎、山田。両者の姿をしっかりと見ていた。
:08/05/23 17:12 :PC :2EGMUVP.
#754 [ザセツポンジュ]
『では、次のコーナーに参ります。生徒のみなさんは、後ろを向いてください。お父様、お母様方の意見を聞いてみましょう。鈴木くが2階にいると思うんですけど。鈴木くん、どこですか?』
『はいは〜い。トミオちゃ〜ん。人気者のトミオちゃ〜んこちら鈴木で〜、、、』
ゴツン。
ゴツン。
『もうやめてよ、じーちゃん!』
孫と隣の家に住む老人からの
ゲンコツをくらったすーさん。
確かに鈴木くんに間違いはないが、
中学生の鈴木くんは、恥ずかしくて倒れそうだった。
:08/05/23 17:21 :PC :2EGMUVP.
#755 [ザセツポンジュ]
体育館中から笑いが起こり
空気が和らいだ。
これもすーさんのおかげと言えよう。
『みなさん、今のは鈴木君のおじいさんなんですが、別に危険人物と言うわけでもないので、この集会が終わった後、袋叩きとかにはしてあげないでください。もう62歳ですしね。中学2年生のほうの鈴木くん。準備はいいですか?』
ジョウはマイクを取り返し
恥ずかしさを隠せないでいた。
『お見苦しいところをお見せしましたが、僕は将来こうなるつもりは1ミクロもありませんのでご理解頂きたい。準備オーケーです。』
クスクスと言う温かめの
笑い声。
『はい、は〜い。静かにしてくださ〜い。ジョウジロウちゃんのじいちゃんの話はまた3学期に学校通信でお伝えします。1,2年生はご期待くださ〜い。』
『もうトミーいいよ、その話。こっちの身にもなってください。一刻も早く進めてください。』
トミーとジョウの
ステージと2階からのやりとりを見て
仲の良さがみんなに充分に伝わったところで
後半戦を開始した。
:08/05/23 17:39 :PC :2EGMUVP.
#756 [ザセツポンジュ]
:08/05/23 17:50 :PC :2EGMUVP.
#757 [ザセツポンジュ]
『大人の意見も突撃で聞いてみましょう。鈴木くん適当に2階にいるお父様お母様を選んでください。』
ジョウは、まず適当に少し小太りなお母様を選んだ。
『お名前をお願いします。』
マイクを向けられた小太りのお母様は
戸惑ってマイクに口を近づけた。
『小橋です。』
2年3組の方でのザワつきが目立つ。
そしてその中の少し小太りな女子生徒を見て
完全なる親子だなと言う事を、みな把握した。
:08/05/28 13:22 :PC :R.qPL9/.
#758 [ザセツポンジュ]
『それでは質問します。小橋さんが学生の頃に、いじめはあったのでしょうか?』
小太り小橋さんは、
右上を眺め学生時代を思い出していた。
学生時代はもう少しスマートだったのだろうか。
、、、娘を見れば分かることだが。
『はい、私自身フフフこの通り見事な体型は昔から変っていませんので、からかわれたりは、まあ、ありましたね。でもみんな意気揚々としたクラスメイトだったので、陰湿ないじめと言った点での経験はありません。』
2年3組の小橋さんは下を向いてしまった。
:08/05/28 13:40 :PC :R.qPL9/.
#759 [ザセツポンジュ]
トミーは質問を続ける。
『陰湿ないじめが同じクラス内で起こっていたら、小橋さんが今、学生だと想定して、どういう対応をされると思いますか?』
『、、、私事態もう大人ですので、無責任なことはできないと言う意識が当然ながらあります。なので、いじめがあったら全力で止めたいと思うのですが、キレイ事に聞こえるのかもしれませんね。だけど、今日のこの集会で、改めてそうしなければいけないと子供にも教えないと、と考えさせられました。』
小太り小橋さんの発言に2階からステージに向けて拍手が送られた。
2年3組の小橋さんも顔を上げてくれた。
:08/05/28 13:42 :PC :R.qPL9/.
#760 [ザセツポンジュ]
『ありがとうございました。座ってください。ラテンダンスのDVDでもプレゼントしようかと思いましたが、その必要は無いようですね。』
トミーが冗談を言う間、ジョウはキョロキョロと次の相手を探していた。適当が一番困る。
『ジョウジロウ、ワシのところへはくるなよ!行くならきーさんとこにな!』
すーさんは照れたような気持ち悪い顔でジョウをうながした。
『、、、、。』
言われなくともそうするよ。と言う冷めた目つきで
我が祖父を睨んだあと、ターゲットを決めた。
『木田くん、次の質問いいですか?こちらのお父様です。お名前をどうぞ。』
人前では自分の主張を控えてきたと思われる
気の弱そうな風貌のお父様。
:08/05/28 14:16 :PC :R.qPL9/.
#761 [ザセツポンジュ]
『田中です。よろしくお願いします。』
案の定、声の小さい男だった。
田中と言う名字はどの学年、どのクラスにも
だいたい存在するためか、ざわつきは見られない。
それよりも、必死に声を聞き取ろうと
体育館中のみんなが口を閉じ、耳を済ませた。
『田中さんに質問です。もしも自分のお子さんが、いじめられる立場にいて、相談を受けたとします。どんな事を言ってあげますか?』
体育館はシンとして空気の音が聞こえるほどだ。
:08/05/28 14:23 :PC :R.qPL9/.
#762 [さちこ]
:08/05/28 14:23 :D705i :UtbZ04VI
#763 [ザセツポンジュ]
『、、、。内容によりけりえすけど、、、。理不尽な理由でいじめられているんだったら学校に行かなくてもいいと提案してしまうかもしれません。父親が、こんだけ気弱ですから、打ち明けて来た時は精一杯我慢した後のことだと思うんです。ウチの子の場合は。やめてともやめようよとも言えない人間もいると思います。それじゃあダメなんですけどね、、、。そりゃ、、、。活発で、意見もハキハキ言える子に育てたいですけどね。』
内気な生徒達はツバを飲み込んだだろう。
それくらい正直な意見を田中さんは述べた。
:08/05/28 14:29 :PC :R.qPL9/.
#764 [ザセツポンジュ]
ステージにいる
トミーは少し間を置いてから
話始めた。
『俺は、自分でも、内気でも気弱でもないタイプの人間だと思っています。なので、俺みたいな性格側が、気弱な人の気持ちまで察せれるようになれば、いい方向に持っていけるのかなと。田中さん貴重なご意見ありがとうございました。今後考えたいと思います。座ってください。』
:08/05/28 14:33 :PC :R.qPL9/.
#765 [ザセツポンジュ]
トミーはいろんな事を考えながら
大人たちに次々と質問をぶつけていった。
そしてトミーはジョウに事前に決めていた手のサインで合図を送った。
ジョウはまず
顔は美人だけど、
とても悲しそうな顔をしているお母様の元へ向かった。
『よろしくお願いします。お名前をどうぞ。』
ついに来たかと言う
ため息まじりの笑みで席を立った。
『どうも、恐縮です、石崎と申します。』
トミーは石崎さんの母を
ステージからしっかりと見つめていた。
:08/05/28 14:42 :PC :R.qPL9/.
#766 [ザセツポンジュ]
『はい、質問します。石崎さんはいじめを受けている生徒の事をどう思われますか?』
石崎さんは顔を下に向けて息を吸った。
『いじめられる側にも問題があるという意見もあると思いますが、そのいじめられる理由がくだらないことであれば、いじめられる子達って言うのは悪くないんだと思います。ただ運が悪かったんだと。』
『では、いじめをしている側についてはどうお考えですか?』
石崎さんは、前を向いた。
『最低ですね。、、、。人をいじめてまでも優位に立ちたいというまでの気持ちを止められなくした親の教育にも問題があります。、、、。子育ては難しいものです。私にも原因があり、そうすることによって、外で誰かが傷ついているんだと思うととても責任を感じます。』
自分の娘の変化、親なら気づく事だろう。
石崎さんは娘を思い、自分を責めた。
そしてとても悲しい表情で立っていた。
:08/05/28 14:54 :PC :R.qPL9/.
#767 [ザセツポンジュ]
トミーは
何も、あなたの娘さんが
人をいじめているんですよ、とは
言っていないのに、
苦しそうに意見を述べる石崎さんの悲しい顔を見て
心が痛んだ。
そして、かける言葉がなかった。
『、、、ありがとうございました。』
『はい、どうもありがとうございました。』
石崎さんからのありがとうと言う言葉が
なぜかトミーの頭の中をぐるぐると回る。
一方ジョウも
自分の好きな子をいじめている
リーダー格の母親の
困り果てて弱り果てている姿を隣で見て
胸が締め付けられるのだった。
3年3組の石崎さんはこみ上げる涙をぬぐうこともなく
自分の母親を直視することもなく
表情変えず、ただただ、どこかを見つめていた。
:08/05/28 15:05 :PC :R.qPL9/.
#768 [ザセツポンジュ]
トミーは気を取り直し、
ジョウのいる場所を目で追った。
『では最後の質問です。鈴木くん、いいですか?』
『はい、最後はご夫婦二人共の意見を伺いたいと思います。お名前よろしいですか?』
先ほど目をつけておいた夫婦のそばへ行き
お母様のほうにマイクをかたむけた。
夫婦は二人でゆっくり席を立ち
生徒会役員のマイク係が
気をきかせて飛んで来た。
そして夫婦のお父様側に立ってマイクを近づけた。
『あ、山、、、』
「山田で、、」
『山田です。』
「す、、、。」
両側からマイクを向けたのも悪いが
この夫婦、確実に緊張していて、息も合っていない。
お見合いだったのだろうか。
:08/05/28 15:17 :PC :R.qPL9/.
#769 [ザセツポンジュ]
『とても仲良し夫婦のようですね。声もそろって素敵です。それでは最後の質問をします。』
さっきの重い空気を振り払うかのように
生徒達は無理に小さく笑った。
『家で、いじめをテーマにしたような話を子供達とされていますか?』
ジョウはお母様にマイクを。
『そうですね、どことなくはしていますね、フフフ。』
お父様はマイクを向けられるも
苦笑いの奥様が心配の様子。
「いや、普段、勉強の事ばかりを言いすぎていたかと、、、。」
お母様はジョウからマイクを奪い取った。
『いいえ、勉強もそこそこに家族の団欒も欠かしてはおりません。』
「でも塾に通っていて、夜が結構遅いし、、」
『朝ご飯も一緒に食べて話したりしています。』
「朝は僕の方が早く家を出てるから、、、」
『わ、わたくしは。学校の事など、いつも話していますよ、お勉強のことももちろん言いますけどね。』
ありきたりだが、奥様は隣のご主人のおしりをつねって
余計な事言わなくていいから!と小さい声で忠告している。
夫婦での会話が始まり
ご主人のほうにも直接マイクを渡した。
:08/05/28 15:29 :PC :R.qPL9/.
#770 [ザセツポンジュ]
『ちょっと、ちょっといいですか〜。質問します。それではお父様の方に質問します。』
トミーは奥様にさまたげられてしまうお父様の意見に重点を置いた。
『家族のだんらんは、やはり夕ご飯の時間なんですか?』
「いや、それが塾でいないんですよね。勉強ばっかりしていて最近は正直話してませんね、イテテ。」
またおしりをつねられた様子。
『お父様は本当はどうすれば一番いいとお考えですか?』
「時期も時期ですし、年頃なので、あんまり僕の方が近づくと嫌がっちゃって、、、。でも時期を越えれば、また仲良く食卓を囲みたいです。」
お母様は、つねろうとした手をゆっくりおろした。
「いろんな話もしたいけど、時間が合わない日が続くと、話しかけるタイミングまで分からなくなる。同じ家なのに、遠い島で離れて暮らしているみたいな。落ち着けば、また話したりできればなと。黙っていた僕も悪いですね、今回のことは。」
お父様はお母様の顔を見て
申し訳なさそうに笑った。
:08/05/28 15:40 :PC :R.qPL9/.
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194