【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
最新 最初 全
#10 [あの頃の思い出(1/2)]
なあ、憶えているか?心地よく吹くこの風の匂いを。
なあ、憶えているか?秋茜が飛ぶこのススキの原を。
なあ、憶えているか?あの日俺とお前2人で見た、赤く染まった夕焼けの空を。
『ここの風景は、きっと何よりも綺麗よね』
俺は、憶えている。お前が夕焼け空を仰ぎながらそう言ったのを。
俺は、憶えている。そう言ったお前の横顔が、一番綺麗だと思ったのを。
俺は、憶えている。あの日、お前と交わした小さな約束。
:08/03/03 02:33 :P903i :zBYy/l0.
#11 [あの頃の思い出(2/2)]
『次もまた見たいな。もちろん、私とあなた2人で、ね』
お前と交わした指切りげんまん。
俺はその指切りの約束を果たすために、ずっとここで待っている。
お前がどこへ行こうとも。
お前が帰ってくるのを、ずっと、ずっと。
「…………だから、帰ってこいよ。いつでも…待ってるからさ」
お前と2人で夕焼けを見た、このススキの原で。
:08/03/03 02:34 :P903i :zBYy/l0.
#12 [ギャグカオスなシュール(1/1)]
「オババババババババババババハ!!!wwwwwwwwwww」
「ワヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwwwwwwwwww」
「ギヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒwwwwwwwwww」
「アーッハッハッハッハッハッハッハッ!!!wwwwwwwwwww」
「………」
「………」
「………」
「次の授業なんだっけ?」
「国語だよ」
「あー宿題やってねーw誰か貸してw」
「やだよバーロw」
完…?
:08/03/03 02:44 :P903i :zBYy/l0.
#13 [[世界の真実]ふむ(1/2)◆s8/1o/v/Vc]
目が覚めた。
僅かに身震いするような肌寒さに瞼を開ければ、覚醒しきっていない頭で考える。
どうやら俺は寝てしまったらしい。
今は何時だろうか…。
カーテンが閉められていない窓から見える外は、既に日が没しており真っ暗な闇の世界を作り出していた。
室内も電気が就いておらず薄暗かった。
枕元の電子時計が緑色の字を発色させて12:37の文字を象っている。
「夜中か…」
寝過ぎたと後悔しつつも、のろのろと起き上がれば室内を明るくしようと電灯の電源に手を伸ばす。
カチリ…、と短い音を立ててスイッチが入れ代わった。
しかし、電灯は光らない。
部屋は不気味な薄暗さを保っていた。
「んだよ…電球切れてんのか?」
愚痴を零せば少しだけ苛々が込み上げてくる。
テレビに近付くとおもむろに手を伸ばし電源を入れる。
テレビは依然として真っ黒を画面に映し出している。
「何だよ…停電かよ…」
小さく舌打ちすれば一人納得し、暗いままの室内のベッドに腰を下ろした。
携帯を取り出すと無造作に開く。
僅かな携帯の眩しさに目を細めれば、待受画面には12:39の文字。
そして電話が一件来ていた。
それを確認しようと中身を開いた瞬間であった。
一瞬砂嵐になったかと思った矢先、画面は真っ黒になって電源が落ちた。
:08/03/03 02:48 :SH905i :☆☆☆
#14 [梓 [真夜中の着信](1/2)]
〜〜♪
携帯を開くと、登録外の番号からの着信。私は、見なかったことにして携帯をポケットにしまった。
知らない番号…ではなかった。存在を消したくてデータを消した。それでも覚えている番号。忘れられなかった。
自分の鼓動が聞こえる。
好きでたまらなかった。好きで好きで、好きで好きで好きで好きで。
…こんな関係、うまくいく訳がなかった。
別れて半年。新しい彼女ができたと噂に聞いた。
私の中で、何かが壊れる音がした。
.
:08/03/03 03:06 :SO703i :☆☆☆
#15 [梓 [真夜中の着信](2/2)]
電話は、見なかった事にしよう。後で履歴も消しておこう。そうすれば無かった事にできる。今まで通りの生活が送れる。
―本当にそれでいいの?
だって私はまだ思い出にできていない。
―会いたいんじゃないの?
会うべきじゃないの。
―まだ好きなの?
冗談じゃないわよ、あんな奴もう好きじゃないわ。
―じゃあ電話くらいいいじゃない。
…声を聞いたら会いたくなっちゃうじゃない。
私はそっとポケットから携帯を出した。一昔前の曲が静かな部屋に鳴り響く。
彼が好きだと言っていた、あの曲。
私はじっと携帯を見つめていた。
---END---
:08/03/03 03:07 :SO703i :☆☆☆
#16 [[世界の真実]ふむ(2/3)◆s8/1o/v/Vc]
「おいおい冗談じゃねぇぞ!」
俺は慌てて電源を押し戻す。
しかし、いつまで押し続けていても一向に電源は戻らなかった。
電池はしっかりと三本補充されていたのを見たから、電池切れではないだろう。
念のため、充電器に差し込んだが反応はなかった。
そういえば停電だったな…。
思い出せば諦めたように携帯を投げ出して、ベッドに倒れ込む。
静かな時間が流れて、妙な違和感を抱いた。
嫌な予感のような、違和感を。
不意に横を見れば電子時計が発色していた。
「…ん?」
はて、気のせいだろうか。
電子時計の示す文字の光が弱々しくなってきているような…。
ぼんやりとそんな事を考えていたら、突然糸が切れたかのように電子時計の文字が消えた。
「…!?」
それを見ると俺は目を丸くした。
さっきからどうもおかしい。
違和感の原因がわかったのである。
無音なのだ。
静かすぎる、車の音すら聞こえない不気味な程無音の世界。
俺は立ち上がり窓を全開に開けた。
:08/03/03 03:23 :SH905i :☆☆☆
#17 [[世界の真実]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
「何だよ…これ」
声が震えていた。
目の前に広がった光景は、真の闇。
停電の規模ではなく、人を失った不気味に佇む建物たちがひっそりと列を連ねていた。
照らし出すのは淡く朧な月明かりのみであった。
「誰も…いないのか?」
その時、後ろのベッドの片隅から声が聞こえた。
ベッドに寝転ぶ時はいつも掛けているラジオが、作動した様子だった。
俺はゆっくりと振り返る。
不気味なまで薄暗い室内に無機質なラジオの声が響いた。
途切れ途切れに数秒流れた後、ラジオは完全にその機能を失った。
俺は聞き取り難いラジオの内容に言葉を失った。
愕然と立ち尽くす俺に、先程ラジオは言った。
《現在…ょ…には…緊急…避難勧告が…されて…大変…危険…すので…ただちに…》
喋る物を無くした世界は、無音の世界へと続く不気味な静けさに包まれていった…。
:08/03/03 03:26 :SH905i :☆☆☆
#18 [[世界の真実]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/03 03:31 :SH905i :☆☆☆
#19 [賭け(1/3)]
俺はその日、1人でバーで呑んでいた。
特に理由は無い。ただ何となく、1人でいたかっただけだ。
カクテルの入ったグラスを静かに回していると、隣に1人の男が座って話し掛けてきた。
「君、もしよければ僕と賭けをしないか?」
フォーマルなスーツを着た、ごくごく普通の男。
いきなり何を言ってるのだろうか、と普段なら思っていただろう。
聞く気になったのは俺が酔っていたからだろうか。
「どんな賭けだい?」
「なぁに、簡単な賭けさ。君は何があっても顔が上を向いてはいけない。上を向いたら負けだ」
上を向いたら負け?そんなの向く訳無いだろう。
だが、今日初めて会ったばかりのこの男がどう上を向かせるかは、なかなか面白そうだ。
その時は文字通り酔狂だった俺は、賭けに応じる事にした。
「で、何を賭けるんだい?」
「この店で呑んだ代金さ。君が上を向いたら君が僕の代金を奢る。向かなければ逆だ」
なるほど、それなら例え負けてもそんなにダメージにはならないな。
「よし分かった」
「なら、今からスタートだ」
:08/03/03 03:38 :P903i :zBYy/l0.
#20 [賭け(2/3)]
賭けが始まった。
男はスーツの上着を脱いで、早速俺に話し掛けてきた。
内容は別段他愛のない世間話のようなものだが、男の話術に引き込まれてしまう。
だがこれは罠だ。きっと巧みに話しくるめて上を向かせるのだろう。
俺はそう思い、いつ仕掛けてくるか警戒しながら、男の話に耳を傾けていた。
それから、1時間程が経った。
男はまだ仕掛けてこない。
話の内容も、先程と話題は変わってはいるが特におかしな点はない。
そろそろ仕掛けてきてもいいと思うのだが。本当に俺を負かす気があるのか?
もしかしてただの暇潰しだろうか。
いや、そう思わせるのが罠に違いない。きっとそろそろ上を向かしにかかってくるはずだ。
そう考えていた時、男が腕時計を見ながら言った。
「おや…もう時間だ。悪いが賭けはおまいだ」
おしまい?俺はまだ上を向いてはいないが。
……という事は。
「…賭けは、俺の勝ちって事になるのか?」
「悔しいけどそうだね」
あっさりすぎて、なんとも拍子抜けだ。
だが、これで呑み代が浮くしまぁいいか。
「悪いが行かないと駄目でね。これで払っておいてくれるかな?」
男はそう言って財布から1万円札を取り出し、俺の前に置いた。
「今日はどうも。君と話せて楽しかった」
男が俺の前に手を差し出してきた。
「そうだな、俺も楽しかったよ。ありがとな」
またいつか会いたいものだ。
そう思いながら、男とがっちりと握手を交わした。
:08/03/03 03:39 :P903i :zBYy/l0.
#21 [賭け(3/3)]
代金は2人合わせて8000円。1万円でお釣りが出る。
呑み代が浮いたどころか、少し儲かった。自然と顔が綻んでくる。
足取り軽くレジへ向かう。
だが、男から貰った1万円札を出そうとした時に、1万円札がおかしい事に気が付いた。
なんというか、紙質が違う。厚みも少し違う気がする。
「…もしかしてあいつ、偽札を!?」
慌てて1万円札を電灯の光にかざして、透かしを見る。
そこに写っていたのは福沢諭吉ではなく。
『ほら上を向いた ごちそうさま』
こう書かれていただけだった。
:08/03/03 03:39 :P903i :zBYy/l0.
#22 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/03 03:41 :P903i :zBYy/l0.
#23 [ゆびきりげんまん(1/2)]
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。
「私ね、昔約束したんだ」
「約束?へぇー、誰とよ?」
図書館の机。
私の前に座る友達が読んでいた本を閉じた。こんな話にも興味を持ってくれたらしい。
広辞苑を読んでいたのだから、相当暇だっただけなのかも知れないけど。
「誰かは思い出せないんだ。どんな約束かもよく憶えていない」
「何それ。約束した事しか憶えていないの?」
「うん。誰かと指切りげんまんしたんだ」
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。
頭の中で、そのフレーズがずっと反芻される。
あの約束で、初めて交わした指切りげんまん。
:08/03/03 04:20 :P903i :zBYy/l0.
#24 [ゆびきりげんまん(2/2)]
でもいつだったっけ?結構幼い頃だったような気がする。
でも人生4、5年ぐらい生きてりゃあの歌には出会えるし。何とも確証がない。頭の中で壊れたようにあのフレーズがずっと流れる。
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。
ゆびきった。
「…あっ」
「…?どしたの?」
「思い出したのよ」
「誰と約束したかを?」
「ううん、約束した事を」
うそついたら、ね?
約束した相手の声だけが頭の中で再生される。
少し低い女の子の声。顔は忘れたけど、声は思い出せる。
赤いランドセルに黄色い帽子をかぶって、約束したんだ。
あれは多分初めての指切りげんまん。
「一緒に地獄へ堕ちよう、って約束したんだ」
あの子は、憶えてるのかな。
:08/03/03 04:20 :P903i :zBYy/l0.
#25 [[天の邪鬼]ふむ(1/3)◆s8/1o/v/Vc]
鬱蒼と生い茂る森を歩いていた。
真の闇に包まれた、夜の森であった。
月明かりすら、ない。
冷たい夜風が駆け抜ければ、木々たちが不気味な音を立てて森自体が一つの生き物のように怪しく蠢いた。
そんな中を歩く一人の男がいた。
凛とした表情に灯る鋭い眼光はしっかりと正面を見据えていた。
手には明かりらしきものはなかった。
真の闇だというのに、明かりなしで進んでいるのである。
悠然と進むその歩調には、まるで昼間に見晴らしの良い道を歩いているかのようにさえ感じさせる。
男の口元には、絶える事なく微笑が含まれていた。
男は今日の昼間、興味深い話を聞いた。
どうやら、この森には妖怪らしからぬモノがいるらしい。
それを初めて見たのは、この近くに住む老人だという。
老人は山菜採りが趣味で、よく山に登っていた。
農民であるために、なかなか早くは仕事が終わらず、大体山に登るのは日が没してからの方が多かった。
その日もいつものように松明と鎌を片手に籠を背負い、熊などに備えて知り合いから譲り受けた太刀を腰に携えた。
出掛けるに当たって、今日はどの山に行こうかと考える。
同じ山ばかりではその山の山菜を取り付くしてしまうし、何より楽しみが薄れる。
そこで老人は考えついた。
ちと遠いが、あの山なら良い山菜がよく採れるじゃろうて…
多少山を登らなければならないが、以前に山菜が山ほどなっている場所を見つけたのであった。
そうと決まれば早速そこに向かった。
:08/03/03 12:31 :SH905i :☆☆☆
#26 [雪(1/2)◆vzApYZDoz6]
昨日からずっと雪が降っている。そのおかげで外はなかなかの積雪量だ。
別に冬に雪が降るのは当たり前だが、基本的に雪が殆んど降らないこの地方で、雪が積もるのは珍しい。
住んでいるマンションから眼下を見下ろせば、近所の子供達がその珍しい積雪の上で大いにはしゃぎまわっている。
その子供達に混じって、俺の姉も遊んでいた。
「おい姉貴、遊んでないで手伝えよ!」
窓から身を乗り出して、子供達と雪合戦をしている姉に叫ぶ。
なんとも平和な光景だ。
「いつでもできる部屋の大掃除と、希にみる豪雪の元で思い切り遊ぶ事、どっちが大事!?」
姉が叫び返してきた。
ハタチを超えているというのに、そんなに雪遊びに夢中になれるものなのか。
なんとも平和な光景だ。
:08/03/03 12:46 :P903i :zBYy/l0.
#27 [雪(2/2)◆vzApYZDoz6]
「うるせぇ!いいから戻ってこい!」
「今日のお前は冷たい!そう、雪のように!」
こりゃ駄目だ、完全に雪に洗脳されてる。雪のように冷たいってなんだよそれ。
窓から身を引っ込めて、室内に視線を戻した。
乱雑に置かれた雑巾に掃除機、紐で縛られた雑誌類。
俺のすぐ横には漫画がいくつか置いてある。
そう言えば、タンスの奥から見付けて読んでたんだっけ。俺もサボってんじゃん。
外からは子供達のはしゃぐ声が聞こえてくる。
俺は漫画を纏めて、立ち上がった。
外はまだ雪が降っていた。
積雪に沢山つけられた足跡。出来るだけ足跡のない綺麗な場所を選んで歩き、足跡を残していく。
姉はまだはしゃいでいた。
こっそり後ろから近付いて、雪玉を当てる。
姉は驚いて振り返り、続いてあどけなく笑って手招きする。
その誘いに乗って、俺も本格的に雪合戦に参加した。
なんとも平和な光景だ。
:08/03/03 12:47 :P903i :zBYy/l0.
#28 [[天の邪鬼]ふむ(2/3)◆s8/1o/v/Vc]
草木を掻き分けて森を進む。
今年齢六十七を迎える老人には厳しいものがあった。
しかし、それが山菜のためとなると、それすら楽しみに変わる。
手の松明の明かりを頼りに歩を進めていった。
山の中腹辺りまで来ただろうか。
もうそろそろ目的地が見えてくると心躍らされた時、頭上から声が下りてきた。
「ここを通りたいか…」
低い男のような声であった。
はて、誰ぞおるのか。
老人は小さく呟くと頭上を見上げた。
しかし暗い木々が不気味に風に靡いてるだけで、人の姿は見当たらない。
空耳かえ…。
老人は正面に顔を戻すと、溜め息を一つ吐いて再び歩を進める。
するとどうしたことか、また同じ声がする。
これはもはや空耳ではない。
老人は急に恐ろしくなった。
夜に森なんぞに入ったもんじゃから鬼に出くわしたのやも知れん…。もしくは夜道で良く見えなんだから、道を反れて鬼の巣窟に迷い込んでしまったか…。
老人は山に入ったことを後悔した。
これでは山菜採りどころではない。
引き返そうとすると、また声が問う。
ここを通りたいか…。
進もうとすれば、またまた声が問う。
これは答えねば帰して貰えぬやも知れぬ。
そう考えた老人は震える声で答えた。
通りたい。
声はすぐに返ってきた。
通らせない。
老人は絶望に打ちひしがれて尚も問う。
俺を帰らしてはくれぬのか。
帰らして欲しいのか。
帰りたいとも。
帰らしてやらぬ。
老人はそこで不思議に思った。
ある考えを思い付いた老人は声の主に再び問いた。
:08/03/03 12:54 :SH905i :☆☆☆
#29 [[天の邪鬼]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
この先には何があるのか。
何があると思う。
山菜じゃ。
何もない。
老人は確信した。
ここぞとばかりに最後の質問をする。
やはり帰してくれぬのかのぅ。
帰して欲しいか。
声の主が答えるとしばらくの沈黙の後、老人が返す。
いや、帰りとうない。
ならば帰れ。
あっさり承諾を得た老人は足早に山を下りていった。
そういう話であった。
さて…、
男はどのくらい歩いたのであろうか。
山の中腹に差し掛かった辺りであった。
不意に頭上から声が降り注がれた。
「ここを通りたいか…」
男は落ち着いた口調で答えた。
通りたくない。
声の主の答えが返ってくる。
ならば通れ。
声の主が言い終えるとすぐに男は問い掛ける。
俺を喰らうか。
喰らって欲しいのか。
喰らって欲しいさ。
喰らわぬ。
男は会話を楽しんでいるようにさえ伺えた。
口元に微笑を浮かべつつ、男はゆっくりと最後の質問のために口を開く。
俺の…使い魔にならぬか。
男は依然として微笑を含めたまま、静かに次の言葉を待った…。
:08/03/03 13:10 :SH905i :☆☆☆
#30 [[werewolf]1/2]
あぁ……
僕は何をしているのだろう。君にはずっと隠していたのに、君が満月が綺麗なんて言うから。君がこんな姿になったのは僕のせいじゃない。否、誰のせいでもないんだ。仕方なかったんだ。だって僕は【狼男】なんだから。満月を見た瞬間から僕の意志に関係なく、手足には体を切り裂き肉をえぐるための爪が生え、体には人間の体毛とは程遠い動物の毛が生えだす。口元は大きく裂け獲物をしとめる為の牙が生える。それから、のどの渇きを潤すために鮮血をを求め、空腹を満たすために肉を求め、欲望のままに女のゾクゾクするような悲鳴を求めてしまう。
:08/03/03 13:30 :F905i :☆☆☆
#31 [[werewolf]2/2]
そんな僕を見て君は『化け物!!』と叫んだね。そんな事は分かっていたんだ。自分は人間ではないことぐらい百も承知していたよ。それでも人間の姿の時だけは君と同じ時間を過ごし些細なことで幸せを感じられた。幸せだったんだ。こんな淡い時間がずっと続くと思ってた。でも狼になった僕は僕の意志では止められない。ふと我に返ったとき僕が噛みついたであろう君の首筋から溢れ出す朱色の血、命が切れる前の微かな呼吸、赤みをなくした小さな唇、全てが美しいと思ってしまった。
あぁ……
本当に僕は狼なんだな。
もうこれで人を殺したのは4人目だろうか。だがそんな事はもうどうでもいい。僕の愛した人はこの世にいない。否、僕の牙が君をこの世から去らせた。
あぁ……
僕は狼。
人間でもない
狼でもない化け物さ。
ーーーendーーー
:08/03/03 13:31 :F905i :☆☆☆
#32 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/03 13:58 :SH905i :☆☆☆
#33 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>32←まとめ
ナナシさん多いですね…
書き溜めってやつですか
:08/03/03 13:59 :SH905i :☆☆☆
#34 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/03 14:01 :P903i :zBYy/l0.
#35 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
うわぁ〜…
早速ミスですね;
お恥ずかしい!
:08/03/03 14:08 :SH905i :☆☆☆
#36 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/03 14:10 :SH905i :☆☆☆
#37 [親御さん(1/1)◆vzApYZDoz6]
独り暮らしを始めて半年程経ったある日、実家から荷物が届いた。
荷物の中身は色とりどりの野菜と、1通の手紙。
とりあえず手紙を読んでみた。
愛する息子へ
お元気ですか?
風邪などひいたりしていませんか?
ちゃんと食べていますか?
出無精なあなたの事だから、きっとカップラーメンなどばかり食べているのでしょうね。
実家で採れた野菜を送ります。それで栄養の偏りを改善してちょうだいね。
母より
まったく、心配性な母ちゃんだ。
「…だからって電話してきたら手紙入れた意味ないじゃん!」
『いやね、ちゃんと届いたかどうか気になっちゃってぇ』
親って、そういうもんです。
:08/03/03 14:10 :P903i :zBYy/l0.
#38 [紫陽花]
F905iで[werewolf]を
書いたのは私です
名前入れてなくて
すみません!!
:08/03/03 14:13 :F905i :☆☆☆
#39 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/03 14:18 :P903i :zBYy/l0.
#40 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>38まさかの紫陽花さん!
書いたのですね。了解です
:08/03/03 14:26 :SH905i :☆☆☆
#41 [紫陽花[生きる理由]]
またこの季節がやってきた。
君の温もりを失ってから何度目だろうか。よくこの公園の桜の木の下のベンチで二人の将来を話したな……。
二人で部屋を借りよう、君は料理ができないから僕が炊事担当、たまの休みに今流行りの映画を見よう。
今でも鮮明に思い出せる君との思い出。
でも君の時間はあの日の夜止まってしまった。僕もすぐに君の元へ行こうとしたんだぜ。だけど君の声が聞こえたんだ。『もっと生きて。私の分も生きて。』ってね。だから僕は今も君のいない世界で生きてる。
君のいないこの世界は黒と白のただのパズルさ。
でも僕は生きる。
なぜって?
君が生きろと言ったから。
そんな単純な理由で僕は生きてる。でも人生ってそんなもんだろ?君なら分かってくれるかな……。
ーーーendーーー
:08/03/03 14:40 :F905i :☆☆☆
#42 [[延長戦]ふむ(1/1)◆s8/1o/v/Vc]
吹き荒れる風の中、二人は完全に対峙した。
鋭い眼光を互いにぶつけ合う。
こうして会うのは何年ぶりだろうか。
ザインが姿を眩まして三年…あの頃は同じくらいの実力で、いつも引き分けに終わっていた。
あいつはあれからどのくらい強くなったのか…。
両者の間に生暖かく強い風が吹き抜ける。
これも、運命か…。
ゆっくりと瞼を閉じて覚悟を決める。
久しぶりにザインの戦い方を思い出す。
いつも先手必勝とばかりに、まずあいつが切り込んで来る。
今もそうなのかは定かではない。
唯一あの頃と変わっている所は、この殺気篭った眼光。
冷静に瞼を開いて相手を見据える。
先に動き出したのはザインであった。
ザインは刀を抜き取ると構えすらせずに強く地面を蹴った。
人間とは思えない速さで風を切り大地を駆って真っ直ぐと相手に向かっていく。
無駄な動きは一切見られなかった。
黒い残像を残しながら月光に照らされて鋭く光る刃が軌道を描く。
あれだけあった距離を、一瞬で詰められた。
ザインの動きにジークは完全に硬直していた。
ザインが瞬時に危機を感じ反射的に身を後ろへ退く。
後退しながら刀に手を伸ばした時には、すでに遅かった。
風切音と共に襲い掛かる刃が眼前に迫る。
なんだよ…強ぇじゃん。
刀の太刀筋を追うように閃光の如く走る軌道を目に焼き付けて、ジークの意識は途絶えた。
力無く崩れ落ちたジークの口許には、僅かに笑みを帯びているように見えた。
:08/03/03 15:09 :SH905i :☆☆☆
#43 [河上彦斎(1/3)◆vzApYZDoz6]
江戸時代末期。
町外れの山道を歩く、1人の男がいた。
西陣の袴を着て、髷を結い、腰に刀を差している。
どこへ行くでもない。ただ強き者を求めて歩き、それと見えて斬り伏せる。
理由もなく人を斬るが、快楽殺人者という訳ではない。
いわゆる『修羅の道』を歩む者。強きに打ち勝つことでしか、己の存在意義を感じない者。
それが、その男。男はいつしか『修羅の者』と呼称されるようになった。
修羅の者は今日も強き者を求め野を渡る。
過去には数えきれない程の使い手を斬り伏せてきた。
京に於いては槍の名手と。大坂に於いては鎖鎌を繰る口引と。
伊勢に於いては柳生一族の末裔と。
薩摩に於いては弓と矢を駆る老傀と。
土佐に於いては節棍を使う女と。
数々の人間と、数々の武具を打ち倒してきた。
修羅の者はそれでも満足せず、ただひたすらに強き者を求めていた。
:08/03/03 15:41 :P903i :zBYy/l0.
#44 [河上彦斎(1/3)◆vzApYZDoz6]
そんな修羅の者の前に、ある1人の男が立ちはだかった。
立ちはだかった男は、手に西洋式の筒を持っていた。その筒には見覚えがあった。
自動拳銃。江戸末期の世では珍しい、近代兵器の第1歩。
「俺と合い見えてもらおうか」
男が自動拳銃を突き付ける。
西洋の龍のエングレーブが入った銃。
その龍を静かに見つめ、修羅の者は薄く笑った。
同時に刀に手を掛ける。
抜刀と同時に凪ぎ払われる刀身。男は突き付けていた銃身を立てて剣撃を受け止める。
刀の速度を殺さずに、銃身を横に倒して受け流
:08/03/03 15:42 :P903i :zBYy/l0.
#45 [河上彦斎(2/3)◆vzApYZDoz6]
>>44また途切れたw
しかも44とか不吉w
そんな修羅の者の前に、ある1人の男が立ちはだかった。
立ちはだかった男は、手に西洋式の筒を持っていた。その筒には見覚えがあった。
自動拳銃。江戸末期の世では珍しい、近代兵器の第1歩。
「俺と合い見えてもらおうか」
男が自動拳銃を突き付ける。
西洋の龍のエングレーブが入った銃。
その龍を静かに見つめ、修羅の者は薄く笑った。
同時に刀に手を掛ける。
抜刀と同時に凪ぎ払われる刀身。男は突き付けていた銃身を立てて剣撃を受け止める。
刀の速度を殺さずに、銃身を横に倒して受け流す。そのまま手首を回して銃口を修羅の者に向け、引き金を引いた。
:08/03/03 15:46 :P903i :zBYy/l0.
#46 [河上彦斎(3/3)◆vzApYZDoz6]
射出された弾丸は、現代のそれとは違い決して速くない。
それでも、銃口を向けられて尚笑みを浮かべる修羅の者を殺すには十分な速度があった。
だが、弾は修羅の者に当たらなかった。
受け流された刀の柄ギリギリに逆の手を添えて、テコの原理で刀身を無理やりに軌道修正。
つばめ返しと呼ばれる連撃技。
柄の真ん中を支点にして切り上げられた刃が、射出された鉛弾と銃身を両断し、一緒に引き金に掛けられた男の指を切断した。
「があっ!!」
思わず斬られた手を抱えて蹲る男の先で、振り上げられた刀身が妖しく光る。
それに気付いた男が顔を上げる前に、男の体は右肩から袈裟懸けに斬り裂かれた。
辺りに飛び散る緋色の鮮血。
修羅の者は、倒れ伏す男ではなく斬り捨てた刀を睨んでいた。
幾度となく血を纏った刀身は、赤黒く変色している。
とうに輝きを失った刀をしばらく眺めて、付いた血を振り払い鞘に納めた。
足下に転がる男の死体には目もくれず、修羅の者は再び歩き出す。
より強き者を、より強き武具を求めて。
ただひたすらに、修羅の道を歩いていった。
:08/03/03 15:47 :P903i :zBYy/l0.
#47 [[人斬り]ふむ(1/1)◆s8/1o/v/Vc]
人斬り。
それが俺の称号だった。
俺が名乗ったものではない。
世が俺に与えた名だ。
別にこの名は好きじゃないが、嫌いでもない。
なぜなら間違っていないから。
俺は人を殺す。
どんな形であれ、それは変わらない。
俺は人殺しだ。
皆が恐れる殺人鬼だ。
血塗られた太刀も、その味を覚えてしまっている。
滴る鮮血に、肉を切り裂く味を。
昨日も人を殺した。
洞窟の中にたむろしていた野党だったか…。
そんな事はどうでもいい。
俺は洞窟の地面や岩壁を血の色で汚し、血臭を充満させた。
十人前後いた人間は、俺の前で、俺の手によってただの肉の塊と化した。
人斬り。
それが大量殺人鬼である俺に付けられた呼称。
ぼんやりと空を眺めていたら、近くに女の叫び声が響いた。
見れば、河原で若い女が下衆な三人の男に襲われている。
俺は太刀に手を掛けた。
ゆっくりと歩を進める。
人を斬るために。
今日も、俺はこの手を血に染めて人殺しとなるだろう。
一人の女性のために。
:08/03/03 19:35 :SH905i :☆☆☆
#48 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/03 19:38 :SH905i :☆☆☆
#49 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/03 19:39 :SH905i :☆☆☆
#50 [紫陽花[私の宝物(1/1)]]
『朝よ〜!!起きなさい!!』
いつものように朝が苦手な息子をたたき起こす。剣道部の息子は昨日の試合の疲れからか今日はいつも以上に起きない。
『まったく…』
でも確かに昨日の試合は素人が見てもスゴい試合だった。我が息子ながらあんなに白熱した闘いを繰り広げられるなんて自分の目を疑ったほどだ。結果は惜しくも負けてしまったが、その時の息子の悔しそうな顔は夫の若い頃そっくりだった。
あぁ……こうやって男の子から男性へと変わるのね、そう思うとなんだか胸が熱くなった。
しかし昨日の白熱した闘いとは裏腹に今は天使のような寝顔で布団にくるまっている。
『だけどまだまだ子供ね』
そういって私は息子の布団を剥ぎ取り起きるよう促した。
今日もまた変わらない
いつもの日々が始まる。
ーーーendーーー
:08/03/03 20:48 :F905i :☆☆☆
#51 [雨のち晴れ(1/2)◆vzApYZDoz6]
私の体を、夏のぬるい雨が打つ。
心の中も同じく晴れていない。闇が、私の心に突き刺さる。
まぁこれは比喩なんだけど。
どうせならもっと明るいものに刺されたい。
上を向く気力が出ない。
向いてもどうせ雨雲だけ。
傘が無くても雨宿りしようとは思わなかった。
でも光化学スモッグに侵されたこの街の雨は、体にチクチクと突き刺ささってすごく痛い。
まぁ比喩なんだけど。
どうせならもっと優しい雨に刺されたい。
そう思って、とりあえず街から離れるためにバスに乗り込む。
以外と乗車してる人は多い。って今雨降ってたんだっけ。
バスの中でもずぶ濡れの私に視線が痛く突き刺さる。
まぁ比喩なんだけど。
どうせならもっと柔らかい視線に刺されたい。
バスの中はうつ向いてやりすごした。
着いた先は駅。視線を避けるようにうつ向いたまま、さっさと特急電車に乗り込んだ。
尖った視線はもう慣れた。
街から離れる程に人は減る。でもその分、馴れ馴れしい人が増える。
あまり話し掛けてほしくなかったから、ここでもうつ向いて歩いていった。
:08/03/03 23:03 :P903i :zBYy/l0.
#52 [雨のち晴れ(2/2)◆vzApYZDoz6]
着いた場所は田舎町の、ある1軒の家。
久しぶりに来た気がする。そこで初めて顔を上げて、家を見上げる。
いつの間にか雨はあがっていた。
あれ?上を向いただけなのに視界が明るくなった気がする。突き刺さるものは柔らかい。
これも比喩?
ううん、違う。明るくて、優しくて、柔らかいものを感じる。
後ろを振り返ると、眩しさに目が眩んだ。
田舎の山々の上に広がる入道雲。その更に上で輝く太陽。
太陽の光を受けた蒸気が、虹となって山々に掛かっていた。
あー、そっか。暗かったのも、怖かったのも、尖ってたのも、私が下を向いていたせいなんだ。
だって、そうでしょう?
いつでもそこにある空が、こんなにも――
後ろの家の戸が開き、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あらあんた…帰ってくるなら電話の1本ぐらい入れたらいいのに。なんかあったのかい?」
「別に。何となくだよ」
本当はふられちゃったからなんだけど。ホームシックになって何が悪い。
でも、思ったより早くに私の心の雨はあがった。
もう大丈夫。
だって、そうでしょう?
そこにいつでもある空が、こんなにも――
――こんなにも、おっきいんだから。
:08/03/03 23:03 :P903i :zBYy/l0.
#53 [アダ名で呼んでほしいシュール(1/2)]
「なぁ山中さん、こないだ貸しt」
「ちょっと待ったぁ!!」
「え?なに、どうした?」
「なんであなたは私をアダ名で呼んでくれないの?」
「はっ?いやそんな事よりこないだ貸しt」
「そんな事よりってなによ!!」
「えっ、いや…そんな怒んなよ…」
「それならアダ名で呼んでよ!」
「分かったよ…じゃあ、シューr」
「それは皆呼んでるから面白くない」
「いや皆が呼ぶのがアダ名じゃねぇのかよ?」
「そうねー、私は素直だってよく言われるし『ナオスー』とかいいかも」
「おっと華麗なスルーパス出ました」
「なんか言った!?」
「いや…何も」
:08/03/03 23:58 :P903i :zBYy/l0.
#54 [アダ名で呼んでほしいシュール(2/2)]
「じゃあアダ名」
「いや…はっ?」
「ア・ダ・名!!」
「えっと…何だっk」
「ナ・オ・ス・ー!!!」
「怒鳴るなよ…じゃあ、ナオスーさん、こないだ貸s」
「何でさん付け!?アダ名でしょ!?」
「………ナオスー、こないd」
「いやナオスーじゃイマイチ響きが…オナスーとか?…おなす…お茄子、そうだ茄子よ!これからは『なすb」
「だるあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
完…?
:08/03/03 23:59 :P903i :zBYy/l0.
#55 [[空]ふむ(1/2)◆s8/1o/v/Vc]
―ねぇねぇ。
―なぁに?
地下深くの冷たいコンクリートで出来た小部屋に、二人の少年がいた。
空って知ってる?
そら?
うん。
何それ?
外に出るとね、上に青い世界が広がってるんだって!
本当?
本当だよ、話で聞いたもん。
じゃあ…さ。
ん?
見てみようよ、空。
えっ…でも、ここからは出ちゃいけないって…。
うん、そうだね。
…それでも行くの?
僕は行くよ。見てみたいんだ。空を。
でも…。
うん…殺されるかも知れない。でもね…空を知らない人生ってつまらないと思うんだ。
………。
行く?
僕は……。
行かない?
………。
そう…じゃあここでバイバイだよ。
…うん。
じゃあね。今まで、ありがとう。
さよなら…元気でね。
片方の少年は立ち上がると扉に手を掛ける。
もう一人の少年は心配そうな表情に寂しげな目で少年の背中を見つめている。
がちゃり、と重い金属音がして、扉が開かれる。
少年は後ろからの視線に振り返ることなく、扉の向こうに姿を消していった。
:08/03/04 00:02 :SH905i :☆☆☆
#56 [[空]ふむ(2/2)◆s8/1o/v/Vc]
少年は駆け出した。
裸足のまま冷たい廊下をひたすら走った。
突き当たりに立入禁止の文字が書かれた扉がある。
鍵は朽ちていて近くのパイプ椅子で何度か叩けば簡単に壊れた。
老人の言葉を思い出す。
この扉から先へは行ってはいけないよ…。
大人も近づかないこの場所。
この先には何があるのか。
全く知らない未知の世界。
立ち止まっている時間はない。
ばれて捕まったら殺されてしまうだろう。
少年は扉を思い切り開けると勢い良く中へ飛び込んだ。
真っ暗な廊下。
水の滴る音。
唯一の光である切れかけの電球。
じめじめとした湿気を含むコンクリートを強く蹴る。
早く、早く…。
永遠に続きそうな錯覚さえする長い廊下を全力で駆けた。
待っていたのは上へと続く長い階段。
暗くなっていて先が見えない。
少年は荒れた呼吸を少し整えると一歩を踏み出した。
暗く静かな世界にひたひたと少年の足音のみが響く。
前方に何かが見えてきた。
扉だった。
見るからに重そうな扉は錆だらけで隙間から光が漏れていた。
外だ!
少年は駆け出した。
扉に手を掛けると錆が付着しているためかうまく開かない。
扉に何度も体当たりをした。
何回目かの体当たりで扉自体が外れ向こう側の世界が現れる。
視界が光に満ちた。
少年は眩しそうに目を細める。
わぁ…
喜々とした声を上げて頭上を見上げる。
これが空かぁ!
空を描いた映像が広い広い部屋の天井いっぱいに映し出されていた。
そのソラには太陽を模った巨大な電球。
少年は初めて見るソラに感激した。
:08/03/04 00:23 :SH905i :☆☆☆
#57 [<旅立ち>向日葵(1/1)]
これが最後じゃない。
なのに涙が止まらない。
いつでも帰ってきたらいいと不器用に言ってくれた父。
体に気をつけてと優しい母。
寂しいと泣きじゃくる妹。
電車に乗って、夕焼けに染まって行く街並みが、段々と後ろへ遠ざかっていけば、寂しさが胸を押し潰しそうだった。
1人立ち。
大人の気分に浸っていた私。こんなに家族との別れを悲しいと旅立ちを決めた時そんな事を少しでも考えていただろうか。
ありがとう。
今まで支えてくれて。
ワガママを聞いてくれて。
誰よりも、皆の幸せを願います。
:08/03/04 00:46 :SO903i :MhC0f226
#58 [<春への想い>向日葵(1/1)]
雪が降っていた。
しんしんと積もる雪の音に、耳を傾ける。
白に近い灰色の空を見上げながら思うは貴方のこと。
冷たさも感じないくらい、この白い絨毯の上に寝転んでいる。
それほど貴方のことを考えてる。
重いかな?
重いよね。
私の想いはまるで雪のよう。
軽そうに見えて、その想いは積もれば積もるほど重くなっていく。
だから貴方は私の前からいなくなってしまったの?
:08/03/04 00:51 :SO903i :MhC0f226
#59 [<春への想い>向日葵(2/2)]
一筋涙が流れて耳へとつたっていく。
空気のせいか、まだ体温がある顔に触れる涙はひどく冷たく感じた。
まるで貴方の気持ちを表したみたい。
私のことなんて、もう忘れるくらい冷めてしまったのでしょう。
しんしんと降る音の中で、サクサクと軽快に雪を踏む音が聞こえてきた。
この広く白い草原に足を踏み入れたのは誰?
するとやがて、音が無くなって、またしんしんという音だけが聞こえた。
1つの影が私にかぶさる。
:08/03/04 00:55 :SO903i :MhC0f226
#60 [<春への想い>向日葵(2/2)]
間近で見えるは、あの人。
待ちわびた人。
愛しい人。
「冷たいね。」
そう言いながら、凍りついた私の頬に、太陽のように温かい貴方の手が触れる。
そして愛おしそうに私を見つめながら微笑む。
私の心が、寒い冬から草花溢れる春へと変わる。
温かい日差しの中、私は貴方と手を繋ぎ笑いあう。
薬指に、結ばれた証をつけて……。
:08/03/04 00:59 :SO903i :MhC0f226
#61 [<春への想い>向日葵(2/2)]
すいません(3/3)でした
:08/03/04 01:00 :SO903i :MhC0f226
#62 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 01:02 :SH905i :☆☆☆
#63 [今から(1/1)◆vzApYZDoz6]
時刻は0:49。
パジャマに着替えてベッドで携帯をいじっていたら、急に着信がきた。
掛けてきたのは友達だ。
「今から行くわw」
いきなりかい。
とりあえず家はみんな寝てるから駄目だが。
「じゃあコンビニの前おってw」
一方的に電話を切られた。
まったく、車の免許を取ってからずっとこれだ。
春休みに入って回数は減ったが、たまにこうして夜中に電話がかかってくる。
まぁ、いいか。
明後日になれば卒業だ、思い出は多い方がいいだろう。
俺は着替えて、家を出た。
今、コンビニの前にいます(実話)
:08/03/04 01:03 :P903i :KmOF1cpQ
#64 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 01:29 :SH905i :☆☆☆
#65 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 01:30 :SH905i :☆☆☆
#66 [家族ドライブ(1/2)に]
一台の車が走る。
「久しぶりのドライブだね、おかあさん!」
そうね。三人なんて本当に久しぶり。
「あのね、おかあさん。おとうさんがへんなの。はなしかけても、おへんじをしてくれないの。ふりむいてくれないの。ねえおかあさん。おとうさんはびょうきなの?くるしいの?」
いいえ。病気でも、苦しくもないのよ。
暗い夜道を、一台の車が走る。
「おかあさんおかあさん。おとうさんはぼくのことがきらいなの?きらいだから、おこってるから、おとうさんはへんなの?」
いいえ、あなたのことをとても愛しているわ。
何かに追われるように、必死で走る。
「おとうさん…」
運転中だから、集中してるのよ。
「おかあさんおかあさん、きょうはどこへいくの?」
多分。
「たぶん?」
:08/03/04 03:10 :PC :gM1Jl6UY
#67 [家族ドライブ(2/2)に]
橋の上で車が止まった。エンジンを切る音がし、息の荒い男が運転席から出てくる。
後部座席のドアを開け大きな黒い袋を引っ張り出し、その重さによろけながらも力任せに、下流に向けて投げた。
重力に逆らうことなく黒い袋はあっと言う間に暗闇に溶け込んで。
激流に呑まれたのか、落ちた音は確認出来なかった。
車に戻った男は声を荒げ後部座席に向かって怒鳴る。
「お前も五月蠅いとなあ、こうしてやるからな!!」
「あのね」
「おかあさんが、ずっと一緒に居たいって。」
穏やかに笑う少年の手にはバタフライナイフ。
その刃先は男の眼球目掛けて迷うことなく振り下ろされた。
そうして。
:08/03/04 03:11 :PC :gM1Jl6UY
#68 [「大好きな赤」向日葵(1/2)]
赤が好き。
私の夢は世界中を赤で染める事。
家の中も全て赤。
赤一色。他の色なんていらない。
赤だけでいい。
だからキョロキョロも、赤で飾ってあげるの……。
「アハハハハハ!!」
楽しいなー。
みーんな真っ赤になってゆくんだもの。
この子も真っ赤になってさぞ喜んでいるのでしょうね……。
とーっても綺麗よ。
:08/03/04 03:30 :SO903i :MhC0f226
#69 [向日葵]
間違えました……キョロキョロじゃなく今日です。
予測変換ミスしました……。(泣)
:08/03/04 03:31 :SO903i :MhC0f226
#70 [「大好きな赤」向日葵(2/2)]
ホラ見て?
頭も、胸も、口も……全部赤じゃない。
赤にしたてるための道具のナイフも赤。
この子から出てきた液体も赤。
そして……それに触れた私の手も……赤。
でもね、周りのほとんどが、赤になっちゃったの。
他に赤くするのが無いわ……。
その時、ふと鏡を見た。
やだ……私赤くないじゃない……。
赤く……赤く……真っ赤にしなくちゃ……。
赤く染まったナイフを、胸の中で脈を打つ場所めがけて突き立てる。
これで私も……
……――――アカ
:08/03/04 03:36 :SO903i :MhC0f226
#71 [夢見て、常日頃(1/2)◆vzApYZDoz6]
静かに寝息をたてる男。
その顔が、徐々に歪んでいく。
「……うわああっ!」
叫びに近い唸りと共に、男がベッドから跳ね起きた。
額に滲む汗を拭いながら、今の状況を確認する。
床に乱雑に置かれた雑誌や漫画。テーブルに置かれた、ぬるくなったお茶が淹れられたコップ。主電源を切り忘れているテレビ。
そこは、男の部屋だった。
「…何かアレな夢だったな」
上半身を起こしたまま目をこすり、もそもそとベッドから出る。
よく分からない夢だったが、なぜか頭に焼き付いている。
ボーッと夢の事を考えながら、とりあえずテレビの主電源を切る。
壁に掛けられた時計を見ると同時に、階下から母親の声が聞こえてきた。
「あんた、早く起きなさい!遅刻するよ!」
時刻は8:05。
別に間に合わない訳でもないが、朝飯は食えないだろう。
いつもの朝と同じ風景。
まだ夢が頭から離れず、考えながら割かし急いで制服に着替える。
その途中で、母親とは違う声が外から聞こえてきた。
「ちょっと早くしてよ!私も遅刻するじゃない!」
2階の窓に向かって叫ぶ幼馴染み。
俺はいつも彼女と一緒に学校へ行っている。
いつもの朝と同じ風景。
今日はあの夢の話を幼馴染みにしようかな。
そう考えながら階段を下りていく。
:08/03/04 04:19 :P903i :KmOF1cpQ
#72 [夢見て、常日頃(2/2)◆vzApYZDoz6]
1階の食卓の上には、おそらく俺のために作られたであろう朝飯が並んでいる。
味噌汁にご飯、納豆、サンマの塩焼き。なんとも伝統的な日本食だ。
いつの間にか家に上がっていた幼馴染みが、その朝飯に手を出していた。
途中で俺に気付き、慌てて味噌汁を啜る。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
食べかけの朝飯を名残惜しげに見つめる幼馴染みの腕を引っ張り、玄関を出る。
いつもの朝と同じ風景。
通学路で、早速今朝見た夢の話をしてみる事にした。
「あのさ、今日変な夢を見たんだけど」
「あんたの夢なんか知らないわよ」
あっさりと切り捨てられた。
まぁ彼女はこういう性格だ。無駄にツンデレだから仕方がない。
「できれば聞いてほしいなー、なんて」
「………話しなさい」
幼馴染みの顔が少し優しくなる。
じゃあ、と切り出して夢の話をし始めた。
もちろん夢の話なんて最初だけで、5分も経てば話題は変わるんだが。要するに夢の話は、会話を始めるきっかけだ。
いつもの朝と同じ風景。
でも、いつもより幼馴染みの肩が近かった。
:08/03/04 04:20 :P903i :KmOF1cpQ
#73 [始まりは白紙から(1/1)◆vzApYZDoz6]
「食らえ、断罪の左手!」
「漆黒の渦潮よ、飲み込め」
男が斧と化した左手がふりかぶるのを、女は微動だにせず佇んでいる。
だが左手が振るわれる前に、2人の眼前に闇が現れた。
闇は、2人を包み込んで――
「懐かしいな、小学生の自由帳か」
ページを捲る音。
闇となったページの次は、真っ白だった。
部屋を片付けていたら出てきた、あの頃の思い出。
ページの片隅にいる『彼ら』の冒険は、あの頃から時間が止まったまま。
そして今、真っ白なページに十数年振りに冒険が書き込まれる。
『彼ら』の旅が、再び始まろうとしていた。
:08/03/04 20:48 :P903i :KmOF1cpQ
#74 [◆vzApYZDoz6]
ところで皆さんお題の存在は知ってるんですかね?
>>2にお題があります
まぁお題を使う必要は別にないんですが…
しかし参加者が少ない…
:08/03/04 20:52 :P903i :KmOF1cpQ
#75 [リナ「死にたがりスティング」1/2]
スティングスティング
彼はスティング
スティングスティング
死にたがり
僕が知ってるだけでも10回は馬に蹴られ、それ以上に滝にのまれてる。
何でそんなに死にたいの?聞いたんだ。
なんて言ったと思う?
死ぬのが生きがいなんだって。
ふふっ笑っちゃうよね。
今はこの町で一番高い灯台の天辺にいるよ。
今日はあそこから海に飛び落ちるんだって。
でもスティングは死なない。
なにをしても死なないよ?
スティング以外みんな知ってる。
スティングの秘密。
でもスティングには絶対教えてあげないんだっ。
:08/03/04 21:37 :N905i :☆☆☆
#76 [リナ「死にたがりスティング」2/2]
スティングスティング
彼はスティング
スティングスティング
僕の友達
僕のひいお爺ちゃんより長くこの村にいるスティング。
こっそり教えてあげよーかな?
人は二度死ねないんだよって。
END
:08/03/04 21:38 :N905i :☆☆☆
#77 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/04 22:04 :P903i :KmOF1cpQ
#78 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/04 22:13 :SH905i :☆☆☆
#79 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしとアイはいつも一緒。
ご飯のときも、寝るときも、お風呂も歯磨きもぜーんぶ一緒。
あたしとアイはすごく高いところにあるお部屋に住んでる。
お父さんはビルって言ってた。
ベランダっていう窓からお外が見えるけど、危ないから出ちゃダメなんだって。
一緒に住んでるお父さんは、二人目のお父さん。
一人目のお父さんは優しくていつも一緒に遊んでくれて大好きだったけど、いなくなっちゃった。
それから今のお父さんのお家にお引っ越ししたの。
でも今のお父さんは一緒に遊んでくれないしお仕事であまりお家にいないから、あたしは前のお父さんの方が好きなんだ。
お父さんには秘密だよ。
あたしは公園が大好き。
ブランコとかお砂場とかジャングルジムとか、楽しいのがいっぱいあるから。
でも、公園には行っちゃいけないの。
今はぶっそうなよのなかだからってお父さんが言ってたけど、あたしもアイもよくわからない。
一度お父さんがお仕事に行ってるときに、アイと二人でこっそり公園に行こうとした。
でもお部屋のドアが開かなくて、出られなかった。
:08/03/05 00:39 :SH903i :sHcifOgU
#80 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
今のお父さんのお家に来てから、あたしはお外で遊んでないの。
アイと二人で、お父さんがつくったごはんを食べたり、テレビを見たりしてる。
でも、アイはお外に出てるの。
あたしが寝てる時にお父さんに連れて行ってもらってるんだって。
アイがお外に行った次の日は、あたしにお外の話をしてくれて楽しい。
でも、どうして?
アイとあたしはいつも一緒なのに。
どうしてアイだけお外に出られるの?
アイに聞いてみたけど、テレビを見ててお返事してくれなかった。
今日のお天気は雨で、いつも窓から見てるお外がよく見えない。
アイがあたしを呼んでる。
なあに?
――お外に出たい?
出たいよ。公園でブランコにのりたいな。
――じゃあ次にお父さんとお出かけするときは代わってあげる。
ほんと?
――うん。
夜、お父さんがアイを呼んだ。
あたしはアイのふりして、お父さんと一緒にお部屋を出た。
ひさしぶりにお外に出てうれしかった。
:08/03/05 00:45 :SH903i :sHcifOgU
#81 [[双子の正体]蜜月◆oycAM.aIfI]
でもお父さんがあたしに言ってくることがよくわからない。
“ほてる”とか“ごほうし”とかむずかしい言葉で話しかけてくる。
お父さんが運転する車にのっていたら、ピカピカ光ってきれいなお城に車のまま入っちゃった。
お父さんと一緒に車をおりて、お城の中のお部屋に入った。
お父さんがお風呂に入りなさいって言ったけど、あたしはアイと一緒じゃないと入れないの。
だから、今日はお風呂いらないって言ったら、お父さんが服を脱がせてくれた。
お父さんが一緒にお風呂に入ってくれるのかと思ったけど、違った。
お部屋の真ん中にあるおっきなベッドに寝かされて、お父さんの手があたしの体のいろんなところを触ったりなでたりしてる。
お父さん、なにしてるんだろう?
――まだあなたにはわからないね。
アイ?
お父さんは、なにをしてるの?
アイとお父さんはいつもこんなことしてるの?
――逃げないで。ちゃんと向き合って。本当は知ってたんでしょ?
アイ、なにいってるの?
――あの人と、したことを。知ってたんでしょ?
やだ……。
――あなたが消したい記憶を、全部あたしが背負ったの。
やめてよ……聞きたくない!
――聞いて! あたしは……
その瞬間、全部思い出した。
アイは、あたし――。
:08/03/05 00:51 :SH903i :sHcifOgU
#82 [蜜月◆oycAM.aIfI]
ごめんなさい!
名前のとこにレス数書くの忘れちゃいました…(´Д⊂
:08/03/05 00:58 :SH903i :sHcifOgU
#83 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/05 01:04 :SH905i :☆☆☆
#84 [蜜月◆oycAM.aIfI]
>>83 ふむさん
はい、3レスで一本です!
失礼しましたっ(´・ω・`)
:08/03/05 01:16 :SH903i :sHcifOgU
#85 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 01:46 :P903i :/Un8CKCQ
#86 [ありがとう。さようなら(1/3)]
始まりは、1本の電話からだった。
『みかんは好きですか?』
好きです、と答えると、相手が楽しそうに声を弾ませる。
『みかんと言えばこたつ、こたつと言えばみかん。この無限ループって素敵じゃないですか?私は日本人が忘れてしまったこたつ文化を思い出してもらうためにこうして電話したんです。こたつでぬくぬくとしながら、甘いみかんを頬張る。テレビを見るのもオツですね。是非ともこたつを出してみてはどうですか?』
そうまくし立てて電話がぷっつりと切れた。
「こたつか、懐かしいな。じいちゃんが死んでから出してないな、そういや」
俺はばあちゃんを呼びつけて、こたつをどこにしまったのか確認する。
聞いた俺は居間に向かい、こたつを押し入れから引っ張りだした。
アナログな24インチの角形テレビの前に来るようにセッティング。
篭にみかんをなるだけ放り込み、こたつの上のど真ん中に置いた。
こたつのコンセントを差し込んでセット完了。
雪でも降ってりゃ完璧なんだけどな。
そう考えていると、ばあちゃんがやって来た。
「あら、こたつをしまったのはどこだ、って聞いたと思ったら」
「懐かしいだろ?」
「そうだねぇ。入っていいかねぇ?」
「もちろんだよ。このこたつには、俺には平成の、ばあちゃんには昭和の思い出が詰まってる。謂わばタイムマシンさ」
「あらあら、面白そうだね。そいじゃタイムトラベルといこうかい」
:08/03/05 01:47 :P903i :/Un8CKCQ
#87 [ありがとう。さようなら(2/3)]
俺とばあちゃんはこたつに入って、テレビを見ながら話を始めた。
思出話に花を咲かせる。
こたつでぬくもった体を、冷たいみかんを頬張ることで弛緩させる。
いい意味で腑抜けた状態で、それでも話のネタが尽きる事はない。
じいちゃんとばあちゃんの思い出、母ちゃんの子供の頃の事、父ちゃんが挨拶に来た時の事、姉ちゃんの笑い話、母ちゃんがまだ赤ん坊の俺を連れてきた時の事。
話題に上がったみんなは、俺とばあちゃんを残してもういない。
ばあちゃんがとても穏やかな顔で話を続ける。俺も記憶をたどり、いなくなったみんなを思い出していく。
「…なぁばあちゃん」
「なんだい?」
「寂しく、ないの?」
ばあちゃんは少しきょとんとした顔をして、やっぱり穏やかに笑った。
「私はね、いなくなったみんなを覚えているよ。おじいさんも、あんたの父ちゃんも母ちゃんも姉ちゃんも。今こうしてこたつでみかんを食べてると、みんなを思い出すんだよ。だから、少し悲しくなるねぇ。でも、寂しくはないんだよ」
あんたが、いるからねぇ。
そう付け加えて、ばあちゃんは天気予報に目をやった。
俺は天気予報を見て、居間を出てすぐにある庭に面した廊下の、大きな窓へ向かった。
外は、雪がちらついていた。
:08/03/05 01:48 :P903i :/Un8CKCQ
#88 [ありがとう。さようなら(3/3)]
「…ばあちゃん」
外を見たまま、言う。
「なんだい?」
「俺さ、今までみんなの事で泣けなかったんだ。泣かなかったんじゃなくて、泣けなかった。みんな唐突だったから、頭が理解してなかったんだと思う」
「知ってたさ」
「俺はそれでいいと思ってた。泣かない方がいいんだ、って」
少し外を眺めて振り返る。
「でも、さ。みんな…優しいよな」
優しい雪を後ろに、居間を見る。
こたつを囲んで。
ばあちゃんの対面にじいちゃんが。
2人の間に、父ちゃんと母ちゃんが。
俺が座ってた隣に姉ちゃんが。
みんな、穏やかに。優しく笑っていた。
「…あの電話に感謝しなきゃな。言い忘れてた事を言える事に」
俺も笑い返した。
みんなを忘れないように。
でも、ちゃんと言えるように。
「ありがとう。さようなら」
やっと泣けるな。
俺は、そう小さく呟いた。
ばあちゃんは、ずっと穏やかに笑っていた。
:08/03/05 01:49 :P903i :/Un8CKCQ
#89 [ボン太]
ヤッホーい
飛び入り参加と聞いてこのボンタ様がやってきたぜー
「ふもっふもふも!」
ハハハなーに遠慮することはないぞ皆の諸君!!
ハーハッハッハッ
ハーハッハッハッ
ハーハッハッハッ
……………ふぅ
:08/03/05 02:01 :N902iX :MVHHZNIk
#90 [◆vzApYZDoz6]
>>89いいぞ参加者が増えてきた!www
ガンガン参加してくれ!
:08/03/05 02:25 :P903i :/Un8CKCQ
#91 [Bloody Valentine(1/1)◆vzApYZDoz6]
「何ですかこれは何なんだ。今の状況を説明しろ簡潔に20字以内で説明しろ」
教室の真ん中で佇む女子生徒に、自分でもキモいと思うぐらい早口で問う。
まったく混乱していた。
朝教室に向かうと、そこは血の海。
ありきたりな比喩表現なんかじゃなく、本当に。
床は一面、どす黒く変色した赤。
壁には引き摺られたような、吹き掛けられたような、ぶちまけたような凄惨な血の跡。
真ん中でスパッと両断されてる机や椅子が、血の海に転がっている。
その中央に、クラスメイトであるその女子が立っていた。
ぶっちゃけると片想いしてる女子なんだけど。
今はそいつに説明責任を突き付けている真っ最中。
「…説明がいるのか?」
「普通に考えて当然だろ」
いや、別に説明しなくても彼女の手に握られた赤い刀身の日本刀を見れば、だいたい分かるけど。
そういや彼女は剣道部だったな、等とあまりにズレた考えが頭を過った。
まぁ1つ救いがあるとすれば、他のクラスメイトの死体が無いって事か。
全然救いにならねぇと思うだろうが、仲が良い奴の惨殺死体があるよかマシだ。
「…教室が、血の海だ」
「あー分かった俺が悪かった質問変えるわ。何で血の海だ?」
黒髪を靡かせて仁王立ちする彼女はやっぱり綺麗だ。
むしろ返り血を浴びて普段より綺麗だ。
いやいや、こんな状況で見とれてどうするんだよ。
「…私がやったんだ」
そう言うと彼女は俺との距離を一気に詰めた。
「お前も私のために紅になってくれ」
私のため、ってのは嬉しいが何の道理だそりゃ。
何でだよ、とまた説明を求めた俺の声は、首に刺さった刀身に邪魔されて喉を通らなかった。
:08/03/05 02:28 :P903i :/Un8CKCQ
#92 [トイレ借りたいシュール(1/2)◆vzApYZDoz6]
ピンポーン
「………………」
ピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポ
ガチャ
「インターホンを連打するんじゃねぇ!」
「いいじゃんお前んちだし」
「ほう。俺んちなら何をしても許されると」
「火を着けても許されると思ってます」
「帰r」
「お邪魔しまーす!」
「うむ。言い得て妙なり。…で何しに来た?」
「ウ○コしに来た」
「なるほど、トイレを貸してもらえるのはお前の中で決定事項か。あ、その一番奥ね」
「サンキュー!」
:08/03/05 02:43 :P903i :/Un8CKCQ
#93 [トイレ借りたいシュール(2/2)◆vzApYZDoz6]
ガチャ
「…えっ?」
「おっと、可愛らしい子がパンツを下ろしt」
「キャー!!」
「ところで何してるの?」
「…えっ?いや、えっと…」
「大便だろどう見ても」
「ああ、どうりで」
「小です!!ていうかどうりでって何!?」
「これはいい」
「つうか鍵閉めとけよ」
「その前に早くドア閉めてよ!!」
「…………」
バタン
「と言うわけですまんがもうちょい我慢してくれ」
「あっ、満足したからもういいや」
完…?
:08/03/05 02:44 :P903i :/Un8CKCQ
#94 [選ばれた男(1/2)に]
ああなんだ、気付かなかったよ。私はなんて愚か者だったんだ。
いつも見上げていた空はこんなにも青く清々しく広がっていて。
春の匂いを漂わせた風が私の鼻をすり抜けていて。
あたたかい。
あたたかい。
ああなんでこんな素晴らしいことに気付かなかったのだろう。
私は真の愚か者か。
でもどうだい、つまらない人生を送っていた私でも
毎日は素晴らしいと気付けた!
私は覚醒した!
なんてことだろう。
これに気付けただけで周りの風景はこんなにも変わるものなのだろうか。
どうして今まで気付けなかったのだろう。
私はてっきり、自分が普通のつまらない人間だと勘違いして、普通に生きてきてしまったのだ。
それが、だ。
自分にこんな力があったなんて。
春の朝、仕事の準備をしていた僕の目の前に、突然君が舞い降りて
貴男は
選ばれた戦士だ
なんて言うものだから、戸惑うのが当たり前じゃないか。
だが今なら信じれる。
だから思えるんだ。
これほど生きていて良かったと思う日は、無い。ってね。
:08/03/05 17:16 :N904i :CoKvvlsU
#95 [選ばれた男(2/2)に]
私はもう年を取りすぎたからと、断ろうとしたのに
今からでも遅くはないと君は言ってくれたから。
ああなんて素晴らしいのだろう。この沸き上がる喜びはなんだろう。
そう、これはチャンスだ。レールの上に敷かれた人生から、飛び出すチャンスだ!
私は素晴らしい世界を知らない。虹色に輝く毎日を知らない。味わったことがない。煌めいた景色を。素晴らしい人達を。まだ見ぬ敵を。
見てみたい。
見てみたい。
見たいんだ。
旅立ちは、今だ。
少しの金と食料があれば充分だ。仲間は、旅先で増えていくさ。
親には、伝説になった時にまた顔を見せに行けばいい。家庭を持っていない私には持ってこいの条件ではないか。
―準備は、できた。
心臓が高鳴っている。体中を暴れる様に強く血液が波打っている。重い腰を上げた私の膝が、震えている。
でも私はもう逃げない。振り返らない。
強くなりたいなら前へ進めと君が教えてくれたから。
額に流れる汗を吹く。もう大丈夫、大丈夫だ。怖くないと言えば嘘になるが、それ以上の希望が私にはあるんだ。
私を待っているのは、輝く未来だ!!!!!!
そうして私は、君に教えて貰った通り
ビルの屋上から飛び降りた。
:08/03/05 17:23 :N904i :CoKvvlsU
#96 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:38 :P903i :/Un8CKCQ
#97 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:39 :P903i :/Un8CKCQ
#98 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:40 :P903i :/Un8CKCQ
#99 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/05 21:40 :P903i :/Un8CKCQ
#100 [◆vzApYZDoz6]
さて、まとめもえらい量になってますがw
100レス突破しました!
と言うわけで新たにお題を追加したいと思います
お題
@電車
Aささやかな幸せ
B手紙
C都会
>>2のお題も引き続き使っておkです!
もちろんお題を使わなくてもおk!
引き続きC―Boxの皆様の参加&投下待ってます!
:08/03/05 21:47 :P903i :/Un8CKCQ
#101 [紫陽花[手紙(1/1)]]
拝啓 母上様
お母さん元気?
私はもちろん元気だよ!!
仕事も一段落したし先週の金曜日には先輩達に歓迎会を開いてもらったの。先輩達はみんないい人だよ。
そうそう!!焼き鳥のおいしい店を紹介してもらったし、夜景の綺麗な場所も教えてもらったから今度こっちに来たら一緒に食べようね。
最近気付いたんだけど、こっちではあんまり星が見えないみたいなの。漫画みたいに高くそびえ立ったビルが綺麗な星達を隠しちゃってる。やっぱり都会は違うみたい。なんかちょっと悲しくなっちゃった。
あっ!!
私がホームシックになってると思ったでしょ!!もう子供じゃないんだからホームシックなんかならないよ!!
まぁ…
たまにお母さんのご飯が食べたくなるけどね。
では体に気をつけてね。
お母さん、すぐに無理するから娘は心配だよ!!
またメールじゃなくて手紙書くから。楽しみにしてて!!
ちょっと
ホームシックな娘より
:08/03/05 23:49 :F905i :☆☆☆
#102 [[電車(1/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
朝一番、切符売り場で路線図とにらめっこしながら悩む。
行き先は自由だ。途中下車も乗り換えも、し放題。
まず僕は、ローカル線十駅分の切符を買って、いろいろな路線が集まっている主要駅へと向かう。
これで、選択肢は何倍にも広がった。
だが、良いことばかりではない。
切符売り場を目指すものの、駅校内はかなり混雑していて、目が回りそうだ。
ようやく路線図が見えた。
線や点が交わりあってとてもややこしい。
人の波から逃れたくて、急いで券売機のボタンを押す。
しかし慌てすぎて、目的地とは逆方向の切符を買ってしまった。
仕方なく電車に乗り込む。
人が多い。さっきの駅よりも混雑している。
周囲の乗客と自分の間に隙間がない。身動きが取れない。
電車の揺れに合わせて、車両ごとに何十人という人間が一つの塊になって揺れる。
だんだんと息苦しくなってきた。もう無理だ!
:08/03/06 00:30 :SH903i :IsrrLMx6
#103 [[電車(2/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
直後に停まった駅で、人をかきわけ無理矢理降りる。
購入した切符を半分程無駄にしたが、しょうがない。我慢出来なかった。
高く昇った太陽の光が射すプラットフォームで、ベンチに座って少し休憩すると呼吸も整った。
再び切符売り場に行き、路線図を見上げる。
もう混雑はこりごりだ、人が少ないところにしよう。遠回りになっても良い。
また新しい切符を手に入れる。
電車に乗り込むと、その車内にはほとんど乗客がいない。
一番ゆっくり出来そうな場所の座席を選んで、腰を降ろす。
ぎゅうぎゅう詰めの電車では押し潰されないように必死で、周りを気にする余裕など無かった。
だがここでは、斜め前に座っている若い男性の腕に目がいった。
有名な高級腕時計をつけている。こんなに若いのに……。
羨ましく思ったが、乗り過ごしてはいけないので到着するまで切符を見つめていた。
:08/03/06 00:32 :SH903i :IsrrLMx6
#104 [[電車(3/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
電車を降りて、その切符を自動改札機に通す。
と、異常を知らせるチャイムが鳴り、駅員が駆けつけた。
切符に不備は無い。改札機の不調のようだ。たまにはこんなこともある。
気を取り直して切符売り場へ。
今回はかなり悩む。路線図を目で辿り続ける。
長時間悩んだ末に、ボタンを押す。駅の入口から見える遠くの空は、もうオレンジだ。
車内に入ると、座席が全て埋まっている。しかし、目的地はもうすぐそこだ。座れなくても構わない。音を立てて閉じたドアに背を預ける。
だが、ふと思い付いて振り返る。
この車両は今、山に囲まれた町の中を走っている。
夕暮れの町並みや山々は、暮れかけの太陽のせいで真っ赤に染められていて、息を飲む程美しい。
この景色は、夕暮れの限られた時間しか見ることができないのに、偶然見られた僕はとてつもなく幸運だ。
そして、僕を乗せた電車は目的地へと近づく。
駅の名前は「天国」。
……そう、これは僕の人生。
本当の人生は敷かれたレールの上を辿るのでは無く、縦横無尽に繋がっているたくさんのレールの中から、一つの道のりを選び取るということだ。
:08/03/06 00:35 :SH903i :IsrrLMx6
#105 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/06 01:54 :P903i :5soVjE/o
#106 [蜜月◆oycAM.aIfI]
>>105 ◆vzApYZDoz6さん
駄作を呼んでいただいて…ありがとうございます(´∀`)
正直、終わり方わかんなくなっちゃったんで無理矢理しめましたw
褒めていただけてすごく嬉しいです!
:08/03/06 02:15 :SH903i :IsrrLMx6
#107 [◆vzApYZDoz6]
>>106こういう短編を読みたくてスレを立てましたから(´∀`)
これぞフリーダム!
俺は投下しすぎな気がしますからwガンガン投下してくだされ
:08/03/06 02:58 :P903i :5soVjE/o
#108 [蜜月◆oycAM.aIfI]
>>107 ◆vzApYZDoz6さん
フリーダム万歳!
逆にあたしは、◆vzApYZDoz6さんのSSSすごく勉強になるので、もっと読みたいです(・∀・)
また書いたら投下させていただきますのでよろしくです!
:08/03/06 03:15 :SH903i :IsrrLMx6
#109 [◆vzApYZDoz6]
>>108勉強になりますかwまぁネタ思い付いたら投下しますw
どうぞー
連続投下もおkですよ
:08/03/06 09:46 :P903i :5soVjE/o
#110 [[手紙]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
朝の眩しい陽射しを浴びて俺は玄関から外に出た。
冷たく清々しい空気を肺いっぱいに吸い込む。
サンダルの隙間から刺さるような冷たささえ、早朝を感じさせる。
俺は門にある郵便受けの前に立った。
白い郵便受けも陽射しを浴びて反射しながら朝を楽しんでいる。
自然と緊張で顔が強張る。
俺は今にも早くなりそうな鼓動を抑えた。
ゆっくり深呼吸をして、冷たい空気が肺に流れ込めば、早くなりつつある脈拍を緩くしていった。
意を決して郵便受けに手を伸ばす。
微かな金属の摩擦音を立てて開かれた蓋の中には、いくつかの郵便物があった。
俺の視線はそれらを一切捉えず、ある一つの郵便物にだけ目を奪われていた。
黒い、無地の便箋。
切手や宛先主の名がない事から、直接郵便受けに入れられた事がわかる。
中身を確認しなくても内容はわかった。
……殺人予告だ。
すでに二週間近く続いているこの脅迫状。
中には恐らく今までと同じように「今日、貴方を外出中に殺します」と書かれているのだろう。
今日も暗い部屋でびくびくと怯える一日が始まると思うと、自然と表情も曇る。
:08/03/06 12:26 :SH905i :☆☆☆
#111 [[手紙]ふむ(2/3)◆s8/1o/v/Vc]
犯人を突き止めようと、徹夜で窓から見張ったこともあった。
しかしどういうことか、脅迫状は何故か朝には郵便受けに収まっているのである。
その後も見張ったが、結局わからず仕舞いで、三日で諦めた。
警察には言えなかった。
理由はない。俺の本能が嫌っているのだ。
同時に、本能は警察に言えば手紙は止まるとも言っている。
しかし止まるといっても、それを確信している本能自身が警察に行くなと言うのだから仕方がない。
俺は郵便物を引っ張り出すと黒い便箋を片手に家に戻った。
カーテンが締め切られた薄暗い部屋に入ると、真っ先に机に向かう。
途中ベッドを横切る時に、他の郵便物を投げ捨てた。
机に辿り着くと引き出しを開ける。
中には手に持っているのと同じ黒い便箋が十何通も入っていた。
無造作に手に持っていたそれも、引き出しに放る。
ぱさり、と軽い音を立てて黒い便箋は中に収まった。
引き出しを戻すと、俺は気分が悪くなってきた。
毎日のように来る脅迫状に、精神的に舞ってきたのだ。
力無くベッドに倒れ込む。
目を閉じればすぐに睡魔はやって来た。
俺は糸が切れたように眠りに着いた。
:08/03/06 12:27 :SH905i :☆☆☆
#112 [[手紙]ふむ(3/3)◆s8/1o/v/Vc]
ひやりとした寒さを感じて、俺は目を覚ました。
カーテンに光はなく、すでに夜だということがわかった。
俺は起き上がると、机に付いている照明の電源を入れた。
明日の支度をしなければ…。
白い紙を出して、ボールペンで文字を綴る。
書き終えると机の隅に置いてある封筒から、黒い便箋を取り出した。
紙を中に入れると、俺は黒い便箋を片手にふらふらと部屋に出ていった。
しばらくすると、部屋の扉が開かれる。
帰ってきた俺の手にはすでに手紙はなく、外に行ってたのか身体が更に冷えて小刻みに震えていた。
再びベッドに崩れ落ちる。
黒い便箋は明日も送られて来るだろう。
俺に恐怖を運ぶために…。
:08/03/06 12:29 :SH905i :☆☆☆
#113 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/06 12:30 :SH905i :☆☆☆
#114 [リナ]
>>96-99作品リスト
>>77vzApYZDoz6サン
>>78ふむサン
初めまして
死にたがりのリナです。
あれホラーでしたか?
めちゃほのぼの書いてたんでホラー部門に驚きました(ノ∀`*)アリガトーゴザイマス
皆さんのように巧く書けませんが、また参加させて貰います
:08/03/06 14:33 :N905i :☆☆☆
#115 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>114恐らくオカルトホラーの部類かと…;
間違っていたら申し訳ありません!
私なんて全然ですよ!
もっと上手くなりたいものです
:08/03/06 14:59 :SH905i :☆☆☆
#116 [リナ]
>>115ふむサン
あれは少しマザーグースを意識して書きました。
全然でしたが((´∀`))
あたしふむサンの『空』好きです。
最後の花は勝手に信長イメージで読みました(ノ∀`*)
:08/03/06 16:08 :N905i :☆☆☆
#117 [「偽物家族」(1/2)リナ]
窓から冷たい風が吹き込む夕飯時。
大声で私を呼ぶ声で目が覚めた。
気持ち良く寝てたのになんだってのよ?
ベッドから抜け出て部屋のドアを開けた。
「なぁに?博人(ヒロト)」
「なんで姉ちゃん寝てんだよ……。
あー!一緒にこの興奮を分け合いたい!」
キモッ。
いいや、もー一眠りしよ。
「ちょっ!
なんでドア閉めんのさ?
き、い、て!!」
仕方ないなぁ
「なぁぁぁぁぁぁに?」
いやいや聞いた。
「俺また見たんだよ!
未確認飛行物体!
すごくね?
これで連続5回は見てる!」
興奮冷め止まぬようで声がでかい。
「…………で?」
博人は一瞬シュンとした表情を浮かべ
「あいつら絶対侵略しにきてんだ!
今はきっと偵察期間だな」
言って一人で納得した。
「そんなことよりあんた明日試験でしょ?
勉強しなさいよ」
「俺には勉強の方が『そんなこと』だよ。
どーしよー?
俺の前にこんな頻繁に現われるって事は、俺連れ去られてチップとか埋め込まれんのかな?こえぇー」
顔がこんなだよ(*´∀`*)生き生きしてんじゃん。
弟よ、あんた今凄くめんどくさいよ。
:08/03/06 16:13 :N905i :☆☆☆
#118 [「偽物家族」(2/2)リナ]
「はいはい。
連れてかれないから大丈夫」
「姉ちゃん夢がねぇなぁ。
目が冷たい、とことん冷たいっつの!
もーいぃよ。
はぁ……勉強しよ……」
自分の部屋に迎う弟の背中を見ながら、爬虫類のように長い舌をチロチロ出し思う。
だってもー連れて来られてるもん。
END
:08/03/06 16:14 :N905i :☆☆☆
#119 [[誘拐事件(1/2)]蜜月◆oycAM.aIfI]
6年前、私は誘拐された。
パパとママと、3人で普通の生活を送っていたのに、ある日突然学校の帰り道で見知らぬ車に連れ込まれた。
それから6年間、私は誘拐犯の隠れ家らしき場所に監禁されている。
誘拐犯はどうして私を選んだのか。
たまたま私が目に付いたから?
それとも初めから私を狙っていたの?
6年間、あたしはずっと考えている。他にすることがないから。
でも、答えは見つからない。
パパとママはどうしているんだろう。
まだ私を探してくれている?
それとも私のことなんか忘れて、楽しく過ごしてる?
考える度に涙が溢れてくる。普通の生活がどんなに幸せなことか、終わってから気付くって本当だ。でも、いつか涙が枯れるっていうのは嘘だった。
監禁が始まってからずっと、逃げる方法を無限に考えているけれど、どれもうまくいかない。
誘拐犯は慎重なやつだ。
私が閉じ込められている部屋には、生活に必要なものはほとんど揃えられている。
なのにその中には、犯人を襲うための武器になるようなものは一つも無い。
そして、私が自分の命を絶つための道具になるものも無い。
:08/03/06 17:59 :SH903i :IsrrLMx6
#120 [[誘拐事件(2/2)]蜜月◆oycAM.aIfI]
そうして絶望した私は、現実から目を背け、昼も夜も夢の世界に逃げ込んだ。
けれどいつからか、目を覚ますと違和感を感じるようになっていた。
何がおかしいのか解らない、でも何かがおかしい。
そしてある日、ユウという少女と出会った。
彼女は私の中に存在していた。
誘拐犯は、私が眠りユウが現れると、ひどい暴行を働いたようだった。
しかしユウは私が作り出したあやふやな存在。私が私の都合の良いように記憶を消してしまうから、次の日には覚えていなかった。
犯人からの屈辱を受け、ユウはそれを忘れる。私は辱められたという事実だけを受け止める。
いつしかこの方程式によって、私の精神はギリギリで均衡を保っていた。
そして今日、ユウと私はこの均衡をぶち壊す。
私たち自身の均衡を守るために。
ユウが痛みを感じ忘れる。私は事実だけを受け止める。
ベランダの窓を突き破り、そのまま空中へ――。
“死”という事実だけを。
:08/03/06 18:05 :SH903i :IsrrLMx6
#121 [◆vzApYZDoz6]
俺が二日酔いで潰れてた間に皆様かなり書いてますねw
今から読ませていただきます
>>114あれほのぼのですかw
言われてみれば、ほのぼのダークな感じかもですねw
ガンガン投下しちゃって下さいね
:08/03/06 22:36 :P903i :5soVjE/o
#122 [我輩は匿名である]
?「ふふふふふふ
あのこ絶対あたしが好きなのよ
うふふふふふふ」
電車の中で鏡を見ながら呟く女
その名は『済須 未来-サイス ミライ-』
成績優秀
顔上の中
なんでもできる優等生。
しかし、済須未来は少し違う。
人と目が合えば呟き
人に話しかけられればにやける
そいつについた
あだなは…
ー妄女ーモウジョ
聞いてたらわかるだろうがこいつは、顔を汚すかのような
妄想女
恋するのは自分じゃなくて相手
そんな妄女の1日の妄想を見てみようではないか
:08/03/06 22:56 :W43H :LHm6bI72
#123 [我輩は匿名である]
(告白ってヤッパリ卒業式の後だよね)
何を考えているかはわからないが不気味な笑みとともに、こいつの1日は始まった
:08/03/06 23:00 :W43H :LHm6bI72
#124 [「夕日」向日葵(1/2)]
疲れた体を、壁に預ける。
電車にゴトゴトと揺れながら、今日も1日終えたと安堵のため息を静かに吐いた。
毎日すぎる当たり前の時間。
自分はこんな時間を過ごしていて本当にいいのだろうか。
自問自答する。
何かしなくちゃならないのではないか?
でもそれが何かは分からない。
分からないから、無駄な時間を使っている気がしてならない。
このままの毎日が過ぎる事の方が、友達と合わせて笑ったり、溜った課題を済ませるよりしんどく感じた。
:08/03/07 22:26 :SO903i :Ii/OqDZE
#125 [「夕日」向日葵(2/2)]
そんな時、外から眩しい光が差し込んだ。
それは今にも海に隠れそうなオレンジ色の夕日だった。
誰もが口々に綺麗だと言う。
私もその1人。
でもまた、明日から頑張れる気がした。
がむしゃらにでも、何かをやりとげれる気がした。
そう思うと、急に切なくなって、胸がいっぱいになった。
そこでようやく心身共に疲れきっていた自分に気づく。
夕日の光が、自分の心にも差し込んできたように感じたのだった……。
:08/03/07 22:29 :SO903i :Ii/OqDZE
#126 [[手紙(1/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
“今日は同室のやつが持ってたトランプで遊んだよ。
トランプなんか二人とも久しぶりで、ババ抜きしか覚えてなくてさ。
二人じゃどっちがババ持ってるかすぐわかってしまうから、すぐ終わったけどね。
また明日手紙送るよ。”
俺は毎日手紙を書く。この部屋に来てから、この作業を欠かした日は一日も無い。
“今日は仕事がいつもより多くて、すごく疲れた。
でも心配しなくていいから。
毎日くたくたになるまで真面目に働いてるんだからさ。
また明日手紙送るよ。”
手紙の最後はいつも同じ。返事がなくても、この一文を書くことで、俺は書き続けていられるような気がする。
“今日、同室のやつがここを出たよ。またいつか会おうなんて言ったけど、あいつは忘れてしまうんだろうな。
良いやつだったんだ、すごく。
ちょっと淋しいよ。
また明日手紙送る。”
俺の母は、とても悲しいひとだった。
毎日毎日、旦那――つまり俺の父親だが――からひどい暴力を振るわれていた。
俺が生まれる前は、優しくて良い夫だったが、出産してから豹変したんだと、母の姉の伯母から聞いた。
母は、父を愛していたからなのか、警察に行く訳でもなく、ただ毎日怯えていた。母の傷やあざを見て、伯母が気付くまで何年間も一人で耐えていた。
俺は、父が母に対してそうなってしまったのは自分のせいだと思っていた。理由は解らないが、俺が産まれたせいで、父にとって何か気に入らないことが生じたのだろう。
:08/03/08 01:18 :SH903i :7AUminCk
#127 [[手紙(2/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
“母さん今日も元気? 体の調子はどう? 俺は今日も元気に働いているよ。
今日、陶芸をしたんだ。俺が作った皿、宅急便で送るから見てくれよ。うまく造れなかったけど。
また明日手紙送るよ。”
俺はずっと、母に対して申し訳ないという気持ちで生きてきた。
そして、ここに来た。
母は俺がここに来たと知って、とても悲しんだようだった。精神的に弱ってしまって、今は入院している。
伯母が母の世話をしてくれていて、たまにここにも来てくれる。
伯母にも迷惑をかけてしまった。ここを出たら一生かけて恩返しをするつもりだ。
“俺の部屋に新しいやつが来た。
前のやつとは違って、あまり良いやつじゃなさそうだ。問題起こさなきゃいいんだけど。
また明日手紙送るよ。”
俺がここに来てもう八年経った。母ももう良い年だが、あと七年は会えない。心配だった。
親孝行出来る内に母のもとに戻りたいと思っていたら、嬉しい知らせが来た。
“母さん、俺、模範囚になれたよ。あと二年で出所できるらしいんだ。
母さん、もう少し待っててくれよな。外に出たら、働いて稼いで、おいしいものいっぱい食べに連れていくから。
じゃあ、また明日手紙送るよ。”
:08/03/08 01:20 :SH903i :7AUminCk
#128 [[手紙(3/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
次の日、伯母さんが面会に来た。
昨日の手紙を読んで、入院中の母が初めて反応したというのだ。
母は今ほとんど話すこともなく、一日中寝て過ごすことが多いと聞いていたから、俺は母が俺の出所を喜んでくれたのだと思った。
そして伯母は、母からの返事を代筆したものを持ってきてくれた。
“どうしてあと二年で出所できるの? 懲役十五年でしょ? それでも足りないのに!
あなたは私の大切な人を奪ったのよ……
なのにトランプやら仕事やら毎日楽しそうに元気に過ごすなんて許せない。
出所しても私のところへは来ないでちょうだい。息子とも思ってませんから”
――これは……誰だ?
まさか、そんな。
俺は、父が母を苦しめているのを幼い頃から目の当たりにしていた。
母が毎日怯えているのを見て、だんだんと父に憎しみを抱くようになっていた。
そして、殺した。
母を助けたい一心で、母に新しい人生を歩んで欲しくて、殺した。
――なのに……なのにどうして!
母が悲しんだのは俺が逮捕されたからではなく、父が死んだからだ、とだけ告げ、伯母は帰っていった。
そして俺は決意した。今度は他人の為ではなく、自分の為に……と。
:08/03/08 01:28 :SH903i :7AUminCk
#129 [ずっと大好き]
あれからもう一カ月がたつよ…
タクは天国へ逝った
アタシとタクはお互い大好きだったのに一緒にはなれなかった
ただ…教師と生徒なだけなのに…
誰一人として祝福してくれる人はいなかった
ただ生きててくれればアタシ頑張る事出来るのに…
アナタがいなきゃだめなのに…
アタシの心は止まったまま無情に時間だけが過ぎてゆく
そして2ヶ月がたった
最近身体がだるい…
微熱も続く…
アタシどうしたんだろ
不安に思いアタシは病院に行った
:08/03/08 12:25 :V803T :OM4BGBho
#130 [ずっと大好き]
医者「妊娠してますね」
「え…妊娠…」
アタシは即座に産むと決めた
アタシは空を見上げた
タク…アタシ妊娠してたょ
頑張って産むからタク見守っててね
その日アタシは夢をみた
タク「アミ俺ずっとお前が好きだし
生まれ変わってもお前をまた見つけてやる自信がある
俺はずっとかわんねぇからな」
アタシは目が覚めた
アタシは大声で泣いた
「タク…ヴッヒック…アタシもずっと好きなの変わらないよ…ヒック…今までもこれからもタクだけだょ…」
完
:08/03/08 12:26 :V803T :OM4BGBho
#131 [梓【決意】(1/2)]
ベッドの中で彼にしがみつきながら、朦朧とした意識の中で私は考えた。
―今日、言おう。
きっかけを待っていたらいつまで経っても切り出せない。
彼と私は求めるものが違いすぎる。
「ん…あっ…!」
彼を強く感じ、私の思考はそこで途切れた。
:08/03/08 17:29 :SO703i :☆☆☆
#132 [梓【決意】(2/2)]
下着を着けながらどう切り出そうか考えていると、3年間の彼との思い出がぼんやりと浮かんできた。
温かく、そして切なくなった。
でも、これでいい。彼との今までの生活は、決して悲しいものじゃない。愛しているからこそ、大切に思うからこそ、お互いのために離れよう。
「悠介…」
瞬間、後ろから彼に抱きすくめられた。と同時に左手に無機質な冷たさを感じた。
指輪だった。
「お前は俺と一緒にいればいいんだよ。」
私の決意は、柔らかく崩れていった。
*End*
:08/03/08 17:43 :SO703i :☆☆☆
#133 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/08 18:12 :SH905i :☆☆☆
#134 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/08 18:15 :SH905i :☆☆☆
#135 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/08 18:15 :SH905i :☆☆☆
#136 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/03/08 18:16 :SH905i :☆☆☆
#137 [紫陽花]
:08/03/08 19:24 :F905i :☆☆☆
#138 [紫陽花[卒業(1/2)]]
もうこの学校に先輩はいない。
先輩は少しだけ春の木漏れ日が差し込んだ先週の金曜日私の通う高校を卒業した。
もうこの学校に先輩はいない。
朝わざとぎりぎりに学校に登校しても、昼休みに売店に行っても、移動教室の時友達に無理を言って遠回りしてみても、もう先輩を見つけることはできない。
あと二年早く生まれたかった。
なんどその言葉を口にしただろう。所詮私は後輩……。たまに挨拶をするのが私の精一杯の自己表現。
だけど先輩は、少しだけめんどくさそうな顔をして頭を下げてくれる。それだけで一日中幸せになれた。名前を呼んでくれた日など一生忘れないと思った。もちろん今でも覚えている。
:08/03/08 19:25 :F905i :☆☆☆
#139 [紫陽花[卒業(2/2)]]
だけどそんな先輩はこの学校を卒業してしまった。
今でも、朝学校に来ればまず先輩の姿を探してしまう。売店へ行くと先輩はいないと頭では分かっているのに目が勝手に先輩を探してしまう。心が勝手に今日もパンを買ってるんじゃないかと期待してしまう。廊下ですれ違うことは二度とないのに先輩を一目見ようと遠回りしてしまう。
先輩とは一年しか同じ学校に通っていないけど、その学校の至る所に先輩の思い出が隠れている。
それでも私はこの恋を終わらせるつもりはない。
確かに想いは届かないだろう。だけど私が先輩に恋した時間は永久に私の心の中に残るから。短い期間だったけど私の心は先輩でいっぱいになったから。
だから私は先輩を忘れない。
卒業おめでとうございます。
ーーーendーーー
:08/03/08 19:26 :F905i :☆☆☆
#140 [◆vzApYZDoz6]
おお、いつの間にかものすごい量の投下がw
そろそろ俺も投下しよw
:08/03/08 21:29 :P903i :dQoHT8FQ
#141 [朝海『初恋』(1/3)]
アタシは今日も病院のベッドの上
今まで恋なんかした事がないアタシはこれからそんなモノは無縁だど思っていた
アイツに会うまでは…
看護師「秋サン今日天気良いから散歩行きましょうか」
秋「はい…」
アタシは看護師サンに中庭に連れてこられた
看護師「秋サン飲み物買って来ますね」
そう言うと看護師サンは行ってしまった
アタシは空を見上げて溜め息を着いた…
「こんな青空の日に溜め息なんか吐くんじゃねぇょ」
アタシは隣に居た男を見た
秋「アナタ誰?」
「俺?宙(ソラ)お前は?」
宙は無邪気に笑った
宙―‐アンタはアタシの光だったよ
:08/03/08 21:57 :V803T :OM4BGBho
#142 [朝海『初恋』(2/3)]
秋「アタシ秋」
アタシは宙を見た
宙「そんな暗い顔してっと幸せになれねぇぞ」
宙はまた無邪気に笑った
秋「笑い方なんか忘れたよ…」
すると看護師サンが戻ってきた
看護師「秋サンお待たせ」
看護師サンはアタシにココアを渡した
看護師「あら―‐宙君じゃない検査は終わったの?」
宙「終わりましたハハ」
秋「宙どっか悪いの?」
宙「ただの骨折(笑)」
宙とアタシは仲良くなり宙が退院してもアタシのお見舞いに毎日来てくれた
そんな生活が半年経った
今日もアタシは中庭に居る
宙もアタシを見つけるとこっちにきた
:08/03/08 22:10 :V803T :OM4BGBho
#143 [朝海『初恋』(3/3)]
宙「よッ!」
宙はアタシの隣に座った
秋「よッ」
アタシも同じく返した
するといきなり宙は
宙「俺―‐秋が大好き」
宙は空を見上げ照れながら言った
秋「アタシも宙が大好き」
ホントの恋をした少女は白血病と言う難病にたたかう強さも知った
1年後―‐
秋はベッドから起き上がる事ができなくなっていた
宙「秋…俺のそばから居なくならないでな…」
秋「宙…アタシ離れたくないょ…ヒック…」
秋は天国へ逝った
宙は看護師から秋からの手紙をもらった
秋「アタシの初恋の相手が宙でよかった―‐大好き」
宙「秋…俺もお前が大好きだ」
:08/03/08 22:27 :V803T :OM4BGBho
#144 [恋文(1/1)◆vzApYZDoz6]
先程から便箋を汚しては消して、汚しては消しての繰り返しで、なかなか筆が進まない。
恋文なんていうのは、自分の『好き』という心中を伝えれればそれだけで役割が果たされた事になるのだが、それが難しい。
そうしている内に、だんだん嫌になってきてしまった。
悩めば悩むほど小難しい文章になるんだから、どうせなら今思っている事をありのままに書いてやろう。
そう考えると、ペンを握る手に自然と力が入った。
「えーっと、お前はクラスのマドンナとか言われてるけど太ももが太いから俺はそうは思わない。というかお前なんて好きじゃない。ちょっとぐらい容姿がいいからって調子に乗るなよバーカ。結局、一番いいのは幼女なんだよバーカ」
書き上げた便箋を三つ折りにして封筒に入れる。
ペンを置き、座っている椅子の背凭れに盛大に寄りかかって、天井を見つめながら大きく溜め息をついた。
「…ったくあの野郎、俺にラブレターの代筆なんか頼みやがって」
この内容のままであいつの想う人に渡せば、間違いなくあいつは振られる。
だが別に構わない。むしろ、振られた方があいつのためになるだろう。
天井を見つめたまま、再度溜め息をついた。
そして再び机に向かい、新しい便箋を取り出す。
ペンを握り、振られて泣くあいつへの慰めの言葉と、失敗したラブレターの言い訳を、吟味しはじめた。
:08/03/09 00:41 :P903i :IRJGZ9R2
#145 [[邪魔モノ(1/1)]蜜月◆oycAM.aIfI]
私は標的を真っすぐに見つめながら、そろりそろりと近づく。
――あなたには悪いけど、こうするしかないのよ。
心の中で呟いたつもりだったが、聞こえてしまったのだろうか、標的が私に気付いたような気がした。
どうせ、何度同じことを繰り返すのだ、などと思われているのだろう。
だが、私はこうやって生きてきたのだ。今さらどうしようもない。
あの人と結ばれるため、邪魔モノがあらわれる度に私は排除してきた。何度も何度も。
罪悪感が無いわけではない。けれど、あの人のためと思えば少しぐらいの痛みなど無いに等しい。
私の中に残っていく悲しい傷痕。しかし、それさえもあの人への愛情からのものと思えば、愛しい。
そして私は、この愚かな行為を今日も繰り返す。
自らの右頬を両手で挟み込む。嫌な音がして潰れるニキビ。
「あ〜また跡残っちゃうな、コレ」
:08/03/09 02:07 :SH903i :J0vT8dP.
#146 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/09 14:28 :P903i :IRJGZ9R2
#147 [ふむ]
:08/03/09 14:33 :SH905i :☆☆☆
#148 [蜜月◆oycAM.aIfI]
:08/03/09 17:46 :SH903i :J0vT8dP.
#149 [きゆん]
<1>
「…好きよ」
そう言えば君は
どんな顔をするの?
このまま友達でも
いい、そう思ってた。
けどやっぱり
ずっとずっと
大好きだった
私の気持ちを伝えたい。
:08/03/09 17:53 :W52SA :8lv7aSTk
#150 [きゆん]
<2>
「…好きだ」
そう言えば君は
どんな顔をする?
このままいい奴として
君の隣にいられるなら
それでもいいと思ってた。
けど、すげぇ大好きな
気持ち…やっぱり伝えたい。
:08/03/09 17:55 :W52SA :8lv7aSTk
#151 [きゆん]
<3>
こっちを見て。
こっちを見ろ。
私に微笑んで。
俺に微笑えめ。
愛してるって言って。
愛してるって言ってくれ。
今君に
全てを告げる。
-END-
:08/03/09 17:58 :W52SA :8lv7aSTk
#152 [きゆん]
「告白」>>1-3
:08/03/09 17:59 :W52SA :8lv7aSTk
#153 [「君と魔法」向日葵(1/2)]
上を向けば涙は流れない。
そう言った筈なのに涙が流れていく。
そう言った君は、ここにはもういない。
夜中の突然の知らせ。
君の事だった。
必死に病魔と言う敵と戦ってた君は、最後の最後まで力一杯抵抗したけど……負けてしまったんだね。
空を見上げれば、君が見えると思ったけど、煙しか見えない。
あんなに温かかった君は、もう今じゃ白い塊。
:08/03/09 23:03 :SO903i :HufwFHOk
#154 [「君と魔法」向日葵(2/2)]
病室は狭かったけど、今の部屋の方がよっぽと狭いよね。
あちらへ行けば、一面お花畑なのかな?
どうしよう。
君の魔法、効かないよ。
ずっとずっと効いてたのに、効かないよ。
急に降ってきた雨みたいに、山奥にある滝のように、滴が頬に流れていく。
喉の奥が苦しい。息が出来ない。
君と笑い合った日々が、何故か次々に溢れてくるんだ。
いつか、そんな事あったなって、君の魔法が効く日がやってくるのかな。
それはそれで、寂しいな……。
:08/03/09 23:08 :SO903i :HufwFHOk
#155 [夕闇と少年(1/3)天音]
「ぼくはこの世界に絶望したよ。もう本当に、何もかもが疎ましくて無意味に思えてくる。今すぐに空を自由に飛び回る鳥を撃ち落としてやりたいよドチクショウ」
気づくと、ぼくは河川敷で夕日に向かいそう叫んでいた。叫ぶ前に何をしていたかは覚えていない。
ジョギングをしていた中年男性は驚いて振り返り、痛々しいものを見る目でぼくを見たあと足早に去っていった。
:08/03/10 00:38 :L704i :2fderNsg
#156 [夕闇と少年(2/3)天音]
ぼくは無意識のうちにごめんなさいごめんなさいと泣きながら謝っていた。
何故なら中年男性のぼくを見る目はぼくに折檻をする父にそっくりだったからである。
他人にみた父の面影に怯えるなんて。ぼくはぼくがますます嫌いになった。
:08/03/10 00:45 :L704i :2fderNsg
#157 [夕闇と少年(2/3)天音]
絶望しているうちに、ぼくはじわじわと夕闇に飲み込まれていった。怖くはなかった。闇にすっぽりと包まれると、安堵にも似た感覚に侵された。そのいいしれぬ安堵感に、ぼくはまだ見ぬ母の姿と永遠の眠りを垣間見た気がした。
そんな、夢をみた。
:08/03/10 00:55 :L704i :2fderNsg
#158 [我輩は匿名である]
ついてない。
あたしの今日一日は、その一言で表される。
朝から寝坊はするし、電車は混んでるし、上司には叱られるし、一人で残業させられるし……
そして極めつけが、これだ。
あたしは、会社の窓から雨が降りしきる町を見て溜め息をついた。
:08/03/10 01:19 :P702iD :jviBZqKc
#159 [我輩は匿名である]
……カサ、持ってきてたっけ?
持ってきてる訳がない。朝から忙しかったんだから。
何度目かの馬鹿らしい自問自答。繰り返すほど憂鬱になっていく。
……もう嫌だ。
残業なんてどうでもいい。上司にどう思われようと知ったことじゃない。
:08/03/10 01:20 :P702iD :jviBZqKc
#160 [我輩は匿名である]
帰ろう。
そう思い立って席を立とうとした時、
「三井?残業?」
って後ろから若い男の声が聞こえた。
……ああ、この声はよく知ってる。
同期で入社した男、大野の声だ。
3レスじゃこれが限界ですたww
:08/03/10 01:21 :P702iD :jviBZqKc
#161 [◆vzApYZDoz6]
>>158-160おkw
参加者&投下が増えてくれて主としては嬉しいが、読む暇がないorz
今から読みます
:08/03/10 03:52 :P903i :tHds.fh2
#162 [お題を全部使って(1/3)◆vzApYZDoz6]
都心部の駅から降りてすぐのところにある、スクランブル交差点。
人でごった返す横断歩道を渡った先に、私の勤めるオフィスがある。
今日も私は電車に揺られた後、その横断歩道を渡って仕事へ行く。
でも、あまり仕事に乗り気がしないのは、私が疲れてるからだろうか。
降り頻る雨。信号待ちの人混みの中で佇む私の体は連日の残業が祟ってひたすら重く、気分はあまり弾まない。
傘を差しながら憂鬱に青信号を待つ私の視線は、自然と地面を向く。
その時に初めて、足下に1匹の猫が居たことに気が付いた。
茶色と黒の駁模様が、コンクリートで固められた地面によく映える。
都会のど真ん中にも野良猫がいるのか、等と薄く考えていると、猫の首輪に目が止まった。
白い首輪。それが首輪ではなく首輪に結ばれた手紙である事に気付くのに、たいした時間は要らなかった。
ちょうど神社の木にくくりつけられてるおみくじのように、両端が結ばれている。
私の視線に気付いたのか、猫は私を一瞥して横断歩道へ踏み出した。
「あっ、まだ赤…」
私の不明瞭な呟きを掻き消すように、周りの人も歩き出す。
どうやら、たった今信号が青に変わったらしい。
人混みを掻き分けて歩く私は、気が付くと視線が数メートル先の猫を向いて、足は歩く猫を追っていた。
:08/03/10 15:36 :P903i :tHds.fh2
#163 [お題を全部使って(2/3)◆vzApYZDoz6]
どれくらい歩いただろうか。
同僚に会社を休む旨を伝えて、ずっと猫の後を追い続けている。
そこまでして私の体を動かすものは、好奇心に他ならない。
あの猫は一体どこへ行くのか。あの手紙を一体誰へ届けるのか。
そんな事を考えながら、時には狭い路地裏を通り抜け、時には電車にただ乗りしようとする猫を追って切符を買い、いつの間にか見知らぬ町に来ていた。
雨は、いつの間にかあがっていた。
周りを田圃や畑に囲まれた、舗装されてないために雨でぬかるんだ田舎道を、猫の後を追い続けて歩いていく。
やがて猫は道なき道へ。雑木林に入り、私の腰あたりまでの高さがある草むらを掻き分け、尚も進んでいく。
疲れは不思議と感じないが、そろそろ陽が傾きかけている。
早くしてくれないと終電に間に合わない、と現実的な事を考えている最中に、とうとう終着点に辿り着いた。
高い草むらを抜け出た先に広がるのは、綺麗な砂浜。丸まって座る駁猫が、地平線まで続く海を眺めている。
時刻はちょうど夕暮れ時。夕日が半分顔を出して、小さく揺れる水面にオレンジの光の道を作っていた。
「ここって…」
その静観な光景は過去に幾度か見たことがある。
遠距離恋愛中だった彼氏とは、お互いの家の中間に位置するこの海岸で会っていた。
肩を並べて静かに夕日を見ているだけで、堪らなく幸せだった。
彼氏は外国に留学して、今では殆んど連絡も取れていない。
たまに電話したりするけれど、どちらかが夜中になったりして手早く会話が途絶えてしまったり。
:08/03/10 15:36 :P903i :tHds.fh2
#164 [お題を全部使って(3/3)◆vzApYZDoz6]
あの頃の懐かしい思い出に浸っていると、いつの間にか隣にいた猫が喉を鳴らした。
そう言えば、首輪にくくりつけられた手紙は一体誰へ宛てたものなのか。
そう思い、私が手紙を読もうと首輪に手を伸ばしてみても猫が嫌がらないあたり、私宛の手紙らしい。
それをこの海岸に連れてきて読ませる人なんて、数少ない。
高揚する気分を抑えて、手紙を首輪から外した。
『元気にしてますか?俺はこっちで元気にやってます。
最近こっちで、その海岸とそっくりな場所を見つけたんだ。たまに足を運んで君を思い出すのが、ささやかな幸せだった。でもそうしてると会いたくなってきちゃったから、1か月後の卒業式の後に、君が今居るであろうその海岸へ行きます。待っててね』
細い綺麗な字で書かれた文。
数年前に外国へ行った彼が、もうすぐ帰ってくる。私は自然と顔を綻ばせていた。
「…追伸?」
『P.S.その駁猫はこっちの海岸に住んでいた野良猫なんだ。すごく頭が良いから、きっと行って帰ってこれるはず。』
「へー、この猫が…ってあれ?」
隣には既に猫はいない。辺りを見回してみても、やっぱりいなかった。
役目を果たし、彼の居る海岸へ帰っていったのだろうか。
もしかして飛行機にもただ乗りしてたのかな、と考えながら、手紙をしまう。
いつの間にか陽は完全に暮れていたので、私は終電を気にして帰った。
それからはあの猫は見ていない。
でも、毎日カレンダーの日付に×印をつけるのが、私のささやかな幸せになっていた。
:08/03/10 15:38 :P903i :tHds.fh2
#165 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/10 16:28 :P903i :tHds.fh2
#166 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/10 16:29 :P903i :tHds.fh2
#167 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/10 16:30 :P903i :tHds.fh2
#168 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/10 16:30 :P903i :tHds.fh2
#169 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/10 16:32 :P903i :tHds.fh2
#170 [◆vzApYZDoz6]
作品数集計
1レス短編:17
2レス短編:22
3レス短編:15
総作品数:54
現在のお題
@雨
Aあの頃の思い出
B電話
C卒業
D電車
Eささやかな幸せ
F手紙
G都会
まとめ&作品数集計&お題
>>165-170:08/03/10 16:34 :P903i :tHds.fh2
#171 [◆vzApYZDoz6]
あとふむさんか、もしくは他のまとめ人さん
次からまとめるときは
今までの作品
>>165-169新たな作品
〜さんの作品
○○○(1/1)
……
って感じにしてくれw
でないとレス数がえらい事にw
:08/03/10 16:42 :P903i :tHds.fh2
#172 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/10 17:03 :P903i :tHds.fh2
#173 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
は毎日変わるので匿名さんは匿名さんで一つに総合しちゃった方が良いかも知れませんね
:08/03/10 17:29 :SH905i :☆☆☆
#174 [◆vzApYZDoz6]
>>173うーん
まぁそのへんは適当にしちゃってくだされw
:08/03/10 17:55 :P903i :tHds.fh2
#175 [朝海]
:08/03/10 21:12 :V803T :iiQvJMNA
#176 [朝海「笑顔」(3/3)]
アタシ…この生活いつまで続くんだろ…
今日もまたアタシはイジメにあっている
「マジきも〜アハハ(笑)」
「ねぇシカト?聞いてる〜」
そういいながらアタシはトイレに連れてかれホースで水をバシャバシャかけられた
アカリ「やめ…ゲホッ」
水が鼻に入った
「なんか言った?(笑)」
「男にチヤホヤされてっからってマジウザィから〜アカリチャン(笑)」
アカリ「やめてよ」
アタシは女タチをみた
バシッ―‐
「みんじゃねぇよ」
「アハハ〜じゃあねアカリチャン」
アカリ「今日は帰ろ…はぁ」
もぅ死にたい…
アタシはトイレを出た
:08/03/11 02:24 :V803T :2cMrU/Rg
#177 [朝海「笑顔」(2/3)]
屋上でも行くか…
アタシは服を乾かすため屋上に行くことにした
ガチャ―-
アカリ「はぁ…」
アタシはフェンスに寄り掛かり座った
アカリ「ヒック…クッ…ヴゥ…ッ」
アタシは空を見上げた
その時
「オイ」
隣から呼び掛けられた
アカリ「レイ君…」
いつから居たの…
レイ「お前ビショビショだけどどうしたんだよ」
アタシは言いたくなかった
アカリ「…暑いから水浴び(苦笑);ハハ」
レイ「そっか(笑)暑ちぃからいいかもな」
:08/03/11 02:36 :V803T :2cMrU/Rg
#178 [朝海「笑顔」(3/3)]
するとレイは近くにある蛇口に指をつけて水をだしアタシにも自分にもかけた
アカリ「プァッ―-レイ君ちょっ〜ハハ」
レイ「きもちぃ〜」
レイは頭を振って水滴を落とした
アカリ「レイ君ビショビショ(笑)アハハ」
レイ「お前の笑ったトコ初めてみた(笑)その方が可愛いじゃん」
レイ君はアタシの頭をなでた
アカリ「ありがと」
アタシは小さい声でレイに言った
レイ「なんか言った?」
アカリ「ううん」
アタシ―-頑張れるょ
レイ―-ありがとう
アタシはレイの言葉で救われた
レイ「アカリ笑顔が一番だぞ(笑)」
―完―
初めの3/3間違いでした
1/3でした
:08/03/11 02:49 :V803T :2cMrU/Rg
#179 [服屋クエストなシュール(1/2)◆vzApYZDoz6]
脱ヲタが出現した!
脱ヲタはキョロキョロと辺りを見回している!
店員の攻撃!
「いらっしゃいませ!何かお探しですか〜?」
脱ヲタは戸惑いあたふたしている!
店員は殺し文句を唱えた!
「こちらの商品がお客様にすごくお似合いですよ〜!」
脱ヲタは満更でもなさそうにしている!
:08/03/12 03:39 :P903i :6TMeeUAU
#180 [服屋クエストなシュール(2/2)◆vzApYZDoz6]
店員の攻撃!会心の一撃!
「こちら凄く人気で、なんとこれが最後の1品なんですよ〜!」
「じゃあ買います!」
「ありがとうございま〜す♪」
「ではお会計¥398,000になりま〜す!」
「……!!」
効果は抜群だ!
脱ヲタは倒れた!
店員は398,000G手に入れた!
なんと、脱ヲタが起き上がり返品したそうにこちらを見ている!
返品させますか?
はい
ニア
脱ヲタは悲しそうに店を去っていった!
完…?
:08/03/12 03:40 :P903i :6TMeeUAU
#181 [紫陽花]
:08/03/13 20:23 :F905i :☆☆☆
#182 [紫陽花[高嶺の花1/1]]
またあの子だ――…。
毎朝7時きっかりの電車に乗って通学してる子。満員電車の中1人だけ背筋を真っ直ぐに伸ばし、分厚い単語帳と毎朝にらめっこしている。その姿はまるで一輪の百合のようで僕はいつも見とれてしまうんだ。
「なんだなんだ。もしかして一目惚れしちゃったの〜?」
一緒に通学している友達は毎日そうやって僕のことを冷やかすけど、僕は決まってこう答える。
「そんなんじゃない!!ただ…」
ただ…あまりにも綺麗だから、とても儚く見えるから、ずっと見てたいって思っちゃうだけなんだ……。
「でもそれが恋ってもんだろ?」
…――分かってる。
心の中ではこれが恋なんだって叫んでる自分がいることぐらい分かってるんだ。
「しゃべりかけろよ」
「好きだって認めちゃえよ」
「もっと近づけよ」
分かってる。
でも……怖いんだ。
毎日見てたなんて知られたらきっとどん引きされる。いきなり話しかけられたらきっと拒絶される。
怖いんだ。
今のこの心地よい距離を保ちたい。今のこの見つめるだけの存在でいいんだ。
そうやって僕は毎日
百合のような君を
見つめてるだけ――…。
ーーーendーーー
:08/03/13 20:24 :F905i :☆☆☆
#183 [「僕らの未来」向日葵(1/1)]
ビルがひしめく。
最早空が隠れてしまうぐらい。
ビルの森が、僕を囲む。
車の大群が、周りを駆け抜ける。
何もかもが、失われていく時代に僕達は生まれた。
そして育っていく。
無機質な創造物達と共に。
このままでいいのかと、無表情で通り過ぎる人混みに問う。
返事はいつも「どうでもいい。」しか返ってこなかった。
僕達は未来に何を望む?
何を伝える?
何を残す?
何を作る?
希望ある未来は、本当に待っているのだろうか。
ねぇ、君は今、何を思う?
:08/03/13 20:53 :SO903i :BAj4akaA
#184 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/13 21:39 :P903i :O1YrPz6M
#185 [変わらぬ気持ち(1/3)◆vzApYZDoz6]
昭和の時代を生きてきた俺にとって、文明の進化には驚かされる。
まさかテレビがあんなに薄くなるとは思っていなかったし、インターネットで世界中の人々と交流できるようになるなんて想像もしていなかった。
今だってそうだ。
「なぁ、これはメールはどうやるんだ?」
「またー?本当にアナログな人間なんだから」
「へいへい。悪かったな、昭和時代の人間で」
「そんな事言って。いい?メールはね……」
最近娘にプレゼントされた、嫁とペアルックの携帯電話に悪戦苦闘している。
老眼には小さな文字は耐えられないし、記憶力の衰えも著しいせいでどのボタンを押せばいいのかもすぐには覚えられない。
(電話も随分変わったな…)
俺が学生時代の頃は、まだ黒電話が主流だった。
数字に合わせてダイヤルをジコジコ回し、掛かってきたらリンリンうるさく鳴る、真っ黒な電話。今では見掛けることは無くなったが。
あの頃は待ち合わせして遅刻しそうになっても、相手にそれを伝える手段がまったく無かった。
今では携帯電話1つあれば問題ない。
文明が進化する、ということは、人間にとっとよい事なのだろうか。
:08/03/13 21:50 :P903i :O1YrPz6M
#186 [変わらぬ気持ち(2/3)◆vzApYZDoz6]
「あっ、ちょっと友達に電話しないと。じゃあお父さん、あとは1人で頑張ってね」
「分かったよ」
娘は白い手に小さな携帯電話を握りしめて、足早に自室へ向かった。
なーにが、『友達』だ。あんなに頬を赤く染めやがって、嘘がバレバレだ。
(まぁでも…俺も若い頃は、好きな人に電話を掛けるのは緊張したなぁ)
学生服に学生帽、坊主頭が主流の時代に、1人文学少年を気取って髪を伸ばしていた。
いつも1人で図書館に篭って、本を読む日々を送っていた。彼女に初めて出会ったのはその頃だ。
いつしか互いに惹かれあい、恋仲になっていった。
相手の父親がなかなかの頑固者で、デートなど大っぴらにできなかった。
(電話を掛けるのにも苦労したなぁ)
いつも父親がいない時間を見計らって電話をしていた。
間違って父親がいる時間にでも掛けようものなら、怒鳴られて切られる事間違いなし。
『あの…山下ですけど』
初めて電話を掛けたとき、唇を震わせながらそう言ったのを、今でもはっきりと憶えている。
黒電話のダイヤルに手を掛けるときは、いつも心臓が強く脈をうってどきどきしていた。
父親が恐いからではなく、好きな人と話せて嬉しくて恥ずかしかったんだろう。
:08/03/13 21:50 :P903i :O1YrPz6M
#187 [変わらぬ気持ち(3/3)◆vzApYZDoz6]
(あ…そうか)
文明の進歩や利便性。そんなものは、多分関係ない。
携帯電話だろうが黒電話だろうが、好きな人に電話を掛けるときは、心臓が大きく跳ねて気分が高揚するもの。
かつて、俺が好きな人に電話する時にそうだったように。
そして今は、俺の娘が同じように頬を染めて電話をしている。
文明がどんなに進化しようと、時代がどんなに移り変わろうと、人の心がそれに左右されることはきっとないんだろう。
「よし。使い方もなんとなく分かったし、初電話でもしてみるか」
あの頃のようなダイヤルではなく、大きくなプッシュホン。
俺は1つずつ、ゆっくりと番号を押していく。電話相手は、俺が学生時代に何度も電話したあの彼女。
受話口の向こうで着信音が鳴り始める。やがて、相手が電話に出た。
「あの…山下ですけど」
「掛けてくるのが遅いわよ。ずっと待ってたんだから」
電話に出たのは、俺の嫁だ。
俺達は歳月や年齢など気にせず、互いに見つめあって頬を染めながら話した。
あの頃の会話を、あの頃の気持ちを、ゆっくりと思い出しながら。
:08/03/13 21:52 :P903i :O1YrPz6M
#188 [[すれ違い(1/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
昨日、嫌なことがあった。
いや、嫌なことなんて毎日ある。
なぜなら、僕はいじめられているから。
良いことなんて、ここ数年あったことがない。
でも、昨日は特別に嫌なことがあった。
帰り道にいつも通り、僕の好きなひとみちゃんの後をつけていたら、彼女は他校の男子と待ち合わせしていた。
僕は、ひとみちゃんと付き合えるなんて勘違いするほど馬鹿じゃないから、彼女が他の男と待ち合わせしてデートするのは仕方ない。
僕にはどうしようもないことだ。
しばらくひとみちゃんと男の後をつけて、日が暮れだした頃、二人は公園に入っていった。
ベンチに座って楽しそうに話す二人を、僕は隠れて見ていた。
男がうらやましかった。あれが僕だったら……
そう思っていたら、男がひとみちゃんにキスをした。
僕の大好きなひとみちゃんに!
ひとみちゃんにキスの経験が無いのを知っていた僕は、彼女が嫌がる、助けなきゃ、とその場に飛び出そうとした。
が、僕の考えとは逆に、彼女は自分から舌を入れたり、男の背中を撫で回したり……。
なんて淫乱なんだ!
騙された……あんな女だったなんて!
僕は彼女に幻滅した。
そして今日、ここに来た。
僕はいつも、嫌なことがあると近くの山に登る。
山と言っても、頂上まで30分もかからない小さな山だ。
僕は、頂上に続く獣道を慣れた足取りで歩いていた。
10分ほど歩くと、茂みの中に見覚えのあるものを発見した。
:08/03/15 01:47 :SH903i :8XG7PsGk
#189 [[すれ違い(2/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
あの淫乱女、ひとみがいつも首に巻いているマフラーだ。
なぜこんなところに? 誰か他の人の……?
いや、毎日後をつけている僕が見間違うはずはない。
僕は地面に落ちていたマフラーを拾って匂いを嗅いでみた。
間違いない、何日か前に嗅いだ体操服と同じ匂いだ。
ひとみが近くにいるんだと思い、僕は茂みの奥へと入り込んでいった。
5分ほど茂みの中を突き進んだ僕は、再びひとみの落とし物を見つけた。彼女が肌身離さず持っている白い携帯電話だ。
僕は素早く拾いあげると、携帯電話のボタンを操作する。
この作業は、僕が夢にまで見ていたものだった。今まで一度もチャンスが無かったのだが、僕の気持ちが変化してからこんなことがあるなんて、皮肉なものだ。
次々と画面に表れるのは、ひとみと友達のツーショット写真や、男と交わしたメール……だが、あるメール画面が表示された時、僕の手は止まった。
『××山のコテージで待ってる』
送信メールの中で見つけたものだが、宛先の名前には見覚えがない。どうせあの他校生か誰かだろう。
この山の頂上の少し手前には、なぜか一つだけポツリと建てられた小さなコテージがある。そこで彼女が誰かを待っているようだ。
僕は迷わずその場所に向かった。
茂みを掻き分けてどのくらい進んだだろうか、コテージが見えてきた。だが、周囲に人影らしきものはない。
あの中で、あいつはまた淫らなことをしているんじゃないだろうか。見たくない。はずなのに、僕の体は意識を無視して行動していた。
:08/03/15 02:02 :SH903i :8XG7PsGk
#190 [[すれ違い(3/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
僕は建物の裏側から、周囲の様子を伺いながら慎重に近づいた。そしてコテージの壁にはりついて、窓からこっそりと内部を覗く。
緊張しながらも、僕はひとみの姿を探した。
だが、ひとみどころか中には誰の姿も無かった。
ほっとしたのと同時に、期待を裏切られたような気分だった。もう帰った後だったのだろうか。
僕は、表に回ってコテージのドアを開けた。やはり中には誰もいない。
だが、テーブルの上に置かれた赤い布が僕の目に映った。あれは……制服のスカーフだ。
近づこうとしてコテージの中に一歩足を踏み入れた瞬間、頭に衝撃が走って僕は崩れ落ちた。
痛みに顔を歪めている僕の耳に、男の声が聞こえた。
「こいつ、やっちゃっていいの?」
「うん。いいよ」
それに答えたのは……間違いない、ひとみだ!
どういうことだ? なぜひとみが僕を?
「ずっと付きまとわれててさ。キモいんだよね」
僕はもうお前に付きまとうつもりは無い!
だが、男の足が倒れている僕のみぞおちを強打したため、声にはならなかった。
痛みをこらえて目を開けると、視線の先には嫌悪感に満ちたひとみの顔があった。
視界の端を棒のようなものが通りすぎると、すぐに頭に痛みを感じた。
何かが弾けるような感覚の後、僕は意識を失った。
現実を遮断する直前に聞いたのは、ひとみの声だった。
「ストーカーだったなんて、幻滅した……
好きだったのに」
:08/03/15 02:06 :SH903i :8XG7PsGk
#191 [あなーる]
:08/03/15 03:44 :D903i :fT7xAXGE
#192 [◆vzApYZDoz6]
:08/03/15 09:46 :P903i :bj6p3a.g
#193 [ピスタチオのお誘い(1/2)◆vzApYZDoz6]
普段なら週末にしか足を運ばないショットバーに、平日に顔を出した。
特に何かある訳じゃない、ただのお盆休みの振替休日だ。営業マンにお盆休みなんて存在しない。
氷の入ったグラスを回していると、1人の女が店に入ってきた。
24、5歳ぐらいだろうか。薄化粧だが端麗な顔立ちをしている。
女は殆んど迷うことなく俺の横にやってきた。
「隣、座ってもいいかしら?」
「構わないよ。…席は他にも空いてるみたいだけどね」
「いつもの席に先客がいるみたいで」
「そう。あ、ミックスナッツ良かったらどうぞ」
「ありがとう、戴くわ」
女はジンバックを注文し、ミックスナッツの中からピスタチオを探して手に取った。
「ピスタチオが好きなのか?」
「ええ、とても。2番目にアーモンドかしらね」
「知ってるかい?イタリア人はピスタチオを殻ごと食べるんだよ」
「知ってるわ。私の父も殻ごと食べるし、もちろん私もそう」
そう言うと、女はピスタチオを殻ごとボリボリと食べ始めた。
「そう言うあなたは?」
「…殻ごと食べる日本人が他にもいたとは驚いたよ。どうやらこの店には2人のイタリアンがいるようだ」
俺は無くなったマティーニのおかわりを頼んで、ピスタチオを殻ごと食べた。
当たり前だがとても硬い。だが無理矢理飲み込んだ。
:08/03/15 14:15 :P903i :bj6p3a.g
#194 [ピスタチオのお誘い(2/2)◆vzApYZDoz6]
「…ふふっ」
その様子を見ていた女が小さく笑い、口から殻だけを丁寧に吐き出した。
「チンパンジーだってバナナの皮を剥くわよ」
「なぜ嘘だと分かったんだ?」
「だってあなた、灰皿に殻が残ってるじゃない」
「騙されたな。いや、騙そうとしたのは俺が先か」
「指定席を取られちゃったからね、悪く思わないで」
「まぁそれはそうと、よく口の中で殻を開けられるな?」
「得意なのよ、そういうの。試してみる?」
「…ふっ、いいだろう。次はちゃんと殻を剥くことにするよ」
「あら、上手に言うわね。でも私の殻は硬くてよ」
俺と女は、チェックを済まして店を後にした。
今夜は退屈しなさそうだ。
:08/03/15 14:16 :P903i :bj6p3a.g
#195 [おかしな本屋さん(1/1)◆vzApYZDoz6]
街角の薄暗い道を歩いていると、雑居ビルの1階に見るからに怪しい小汚い店を発見した。
こんな所に店なんかあったっけ、と考えながら、俺はいつの間にか好奇心に駆られて扉に手を掛けていた。
色褪せた木でできた両開きの古い扉を、蝶番が軋む耳障りな音と共に開く。
むせかえりそうになる埃に口と鼻を抑えながら、店内を見渡した。
視界に入るのは、棚にぎゅうぎゅうに詰め込まれた大量の本。それでも棚に入りきらず、傍の床に積み重ねられた本の山。
すし詰め状態にされた圧倒的な量の本に、口をだらしなく開けたまま固まってしまった。
「何か、お探しかな?」
急に後ろから声を掛けられ驚いて振り向くと、男が扉の前に立っていた。
見た感じでは初老の、店主と思しき男。穏やかに目を細めてこちらを見ていた。
「普通の本をお探しなら、残念だけどここには存在しない」
「ここにある本は、奇妙・奇怪・超常・摩訶・怪奇…不思議な本しかございません」
言いながら俺の横を通り過ぎ、狭い棚の間にある梯子を昇って、1冊の本を手に取った。
「この本を、あなたに」
渡されたその本を咄嗟に受け取る。
かなり古い本らしく、受け取った瞬間に埃が舞った。
「では、またのご来店を」
気が付くと、本屋は無くなっていた。
ビルはある。だが、中の本屋がごっそり消えていた。
元から存在しなかったのか、という考えが脳裏をよぎる。
だがそれでは服に付いた大量の埃と、右手に持っている1冊の本の説明がつかない。
とりあえず、自分の名前がタイトルになっているこの本をどうするべきか。
:08/03/15 14:54 :P903i :bj6p3a.g
#196 [◆vzApYZDoz6]
上げときまーす
>>165-169に>>164までの作品まとめ
>>170に作品数集計とお題まとめ
お題は使わなくてもおkよん
俺はそろそろネタが思い付かないんで、みんなもっとガッツリ参加しとくれw
名無しさんや、新たな書き手さんの参戦もまだまだ大歓迎!
読み手さんも参戦おk!w
つうか誰だって参戦おkですwww
ふむさん、テスト終わったんでしょ?待ってますよw
:08/03/15 18:56 :P903i :bj6p3a.g
#197 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
何ですかそれはw
何で私だけ強制参加じみた…
私には拒否権というものが存在しないのでしょうか?w
わかりましたよ、SSS考えておきますw
:08/03/15 19:04 :SH905i :☆☆☆
#198 [朝海『ageha』(1/3)]
アタシは超が着く程の地味っ子;
化粧もしない、髪も真っ黒、スカート膝下―-と、まぁ昭和の香りプンプンの高校2年生の心歌(ミカ)です
学校に着くと
「心歌〜おはぁ」
心歌「おはょ真姫(マキ)」
真姫はアタシとは真逆;派手ですごく今風
何故一緒に居るかはアタシが真姫を助けたから、いろんな意味で―-
真姫「心歌〜彼氏にフラレタァ;」
心歌「またぁ;なんで?」
これで何度目だろぅ;
真姫がフられてるのは〜
真姫「二股バレた」
なんじゃそりぁ;
心歌「二股はダメだょ;」
真姫「だって男は必要でしょ?」
シラっと真姫は言ってのけた
真姫「心歌も彼氏つくりなぁ」
心歌「アタシには無理だょブスだし」
真姫「それはこの格好と美意識が足りないからでしょ?女は磨けば磨く程輝くもんなの!」
:08/03/16 14:08 :V803T :pvMNgyPI
#199 [朝海『ageha』(2/3)]
真姫はビシッと言った
心歌「は…はぃ;」
真姫「今どきスッピンは居ないよ」
アタシタチは教室に着いた
心歌「じゃあどうすれば…」
真姫「ここ座って」
真姫は自分の席に心歌を座らせた
真姫「この前髪は有り得ない;眼鏡も外すょ」
アタシの前髪は目が隠れている;プラス眼鏡
すると真姫はハサミを取り出した
心歌「ちょッ!ま…」
すると
「おぃ真姫何やってんだょ;」
男の人が来たけどアタシはぼやけて見えなぃ
真姫「ユージじゃんはょ」
ユージ「おぅ-ってか心歌…だっけたしか;」
地味過ぎてアタシ存在ないのね;同じクラスなのに…
真姫「そッ!心歌切るよ」
真姫はチョキ2切っていった
真姫「わぁアンタホント心歌?」
真姫は驚いていた
ユージ「…マジ」
心歌「変…でしょブスでしょ」
アタシは顔を隠した
:08/03/16 14:21 :V803T :pvMNgyPI
#200 [朝海『ageha』(3/3)]
真姫「むしろ可愛ぃ…化粧もするょ」
真姫は前髪をピンで止めて化粧をし始めた
真姫「…」
ユージ「惚れた;」
心歌「えッ!」
アタシはユージ君をマジマジ見た
ユージ「あんま見んな///」
心歌「ごめん;」
真姫「なんで今まで気付かなかったの〜!こんな可愛かったのに心歌のバカ」
心歌「ブスだょ;アタシ」
アタシは今だに自分の顔を見ていない;
真姫「はぃ見て」
真姫は鏡を見せた
えッ!これ…アタシ;
えぇ〜;
アタシは発見した
女は磨けば磨く程美しくなる
ブスは輝くんだ
それからアタシは真姫に化粧を教えてもらいコンタクトにして格好も変えた
一番嬉しかったのは彼氏が出来た事///
ユージです
アタシはすごく幸せです
真姫ありがとう
ユージ「心歌〜帰んぞ」
心歌「まってぇ」
〜完〜
:08/03/16 14:33 :V803T :pvMNgyPI
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194