ギンリョウソウ
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#951 [○○&◆.x/9qDRof2]
「……………っ!!」

驚き過ぎて声が出なかったのか、私は口をパクパクしながらご主人様を見上げる。


ご主人様は目を見開く。



まさかこんな所で
ご主人様と鉢合わせになるなんて―――。

⏰:22/10/04 03:56 📱:Android 🆔:☆☆☆


#952 [○○&◆.x/9qDRof2]
「お母さぁぁん!人拾ったぁぁ!!」

「え、ちょ、アンタそんな犬拾ったみたいなテンションで!」

優雅に紅茶をすすっていたお母さんは私の叫びにびっくりした。

私はずぶ濡れの彼を家にいれて、タオルを貸してやった。

「ハイ。拭いて。風邪ひいちゃうから。」

私の言葉なんか聞いてないのか、綺麗な茶色い髪から滴る雫もそのままに、彼はぼんやりしていた。

お母さんが風呂を沸かしてあげると言って、風呂場へ向かった後、私は彼を拭いてあげる。

⏰:22/10/04 03:57 📱:Android 🆔:☆☆☆


#953 [○○&◆.x/9qDRof2]
そこで私はハッとする。

伸びている髪の毛の隙間から覗いた瞳は、グレーだった。

外人……さん……?
もしかして日本語通じないとかかな……。

「わ……ワットユアネーム?」

カタコトな英語で話かければ少し反応したのか、こちらを見た。

「分かるから……日本語。」

ぽつりとだけど、確かにそう言った。

「良かった!あ、私は神田 越(カンダ エツ)。この家の長女。貴方は?」

⏰:22/10/04 03:58 📱:Android 🆔:☆☆☆


#954 [○○&◆.x/9qDRof2]
#5 [向日葵]
さっきまで私に向けていた魅力的な瞳を僅かにそらして、またポツリと呟いた。

「勝手に……呼べばいい……」

何でだろう。

でも何故か分かる事は、彼はとても傷ついてるように見えると言う事。

何故そんな悲しい目をしているんだろう……。

「どうして……うちの前にいたの?」

「……疲れた。どこにも行く場所なくて、さまよって……休んでただけ……。」

⏰:22/10/04 03:58 📱:Android 🆔:☆☆☆


#955 [○○&◆.x/9qDRof2]
#6 [向日葵]
行く場所がない?
つまり家出って事なのかな。

そう思いながら、今日初めてあった人をあれこれ詮索するのはよくないと思い、私は何も聞かなかった。

「じゃあ……とりあえず貴方は柴(シバ)ね。犬みたいにうちの前にいたから!」

特に反応する訳でなく、柴は黙ったまま私に拭かれた。

―――――――……

「行くとこないっていうなら、まぁいてもいいよ。」

お母さんは寛大すぎる程寛大で、お母さんだけど男気溢れる人だ。

⏰:22/10/04 03:58 📱:Android 🆔:☆☆☆


#956 [○○&◆.x/9qDRof2]
柴がお風呂に入ってる間、さっき彼から聞いた事をお母さんに言ったところ、さっきのような返事が帰ってきた。

「今更家族が1人増えようが5人増えようがどうでもいいよ」

「5人て……。そうなったら大家族だよお母さん」

「あぁ!おねーちゃん!」

後ろから声がするので振り向いてみれば、三女で4歳の苺(イチゴ)と、長男で10歳の空(ソラ)がそこにいた。

苺はトテトテと走ってきて私の足に抱きついた。

⏰:22/10/04 03:59 📱:Android 🆔:☆☆☆


#957 [○○&◆.x/9qDRof2]
#8 [向日葵]
「おかえりなさぁい!あのね、いちご今日おうたおぼえたんだよー!」

「そうなんだぁ。またお姉ちゃんに聞かせてね。」

苺は「うん!」と元気よく言って、お母さんの膝によじ上った。

「越姉!俺今日野球でホームラン打ったよ!」

「空はさすがだねー!この調子で頑張りなよ!」

空はニカッと笑う。
それにつられて私も笑うと、玄関の方から叫び声が聞こえた。

「うわぁぁ!!」

⏰:22/10/04 03:59 📱:Android 🆔:☆☆☆


#958 [○○&◆.x/9qDRof2]
「あ、さくらおねえちゃんだ!」

桜とは、次女で14歳。
おそらく部活から帰って来たのだろう。

それはいい。

多分……柴がいたな。

玄関へつけば、風呂上がりで、さっきと変わらず頭びちょびちょの柴と、見知らぬ柴に驚いた桜がいた。

「え!?ちょ、お姉ちゃんこの人誰!?」

「柴。ちょっと柴。ちゃんと頭拭かなきゃダメでしょうが。」

すると柴は頭にタオルを乗っけて、私に頭を差し出してきた。
⏰:08/03/18 01:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆

#10 [向日葵]
拭けと言ってるらしい。

桜の叫びにかけつけた苺と空も、驚いていた。

「わ!誰!?」

「いちごのおにいちゃん?」

いっぺんに説明しなくちゃならないようだった。

⏰:22/10/04 04:00 📱:Android 🆔:☆☆☆


#959 [○○&◆.x/9qDRof2]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小さな苺もいると言う事で、分かりやすく丁寧に話した所、最初こそ驚いたものの、皆次第に納得していった。

「分かったよお姉ちゃん」

「俺も」

「いちごもー!」

⏰:22/10/04 04:00 📱:Android 🆔:☆☆☆


#960 [○○&◆.x/9qDRof2]
色んな人にぶつかりながら

「…ってぇ!オイ、気を付けろ!」



それでも私はただただ、
走り続けた。


突然私を襲った何かから、


過酷な現実から

必死に逃げるように…。

⏰:22/10/04 04:07 📱:Android 🆔:☆☆☆


#961 [○○&◆.x/9qDRof2]
#92 [.]
.

そうやって走り続けているうちに

突然、自分の足が止まった。


……いや、

動かなくなった。



みるみるうちに

ぐにゃぐにゃと曲がっていく視界…


周りの喧騒も遠くなっていき…


やがてひんやりとした静寂に包まれた頃、


真っ暗な闇が、


私を襲った………――――――

⏰:22/10/04 04:07 📱:Android 🆔:☆☆☆


#962 [○○&◆.x/9qDRof2]
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

光があるから闇が生まれ、
闇があるから光が輝く。

人の人生も同じ。

光ばかりでなく、闇が存在する。
人が光のある幸せを、忘れないように。

そして闇ばかりが続いたとしても、
必ずいつか光が射すようになっている。
人が、希望を捨てないように。

2つはいつも表と裏、背中合わせで、
どちらが欠けてもいけない。

きっと神様は
人が幸せを忘れないように、
この世界に闇を作ったんだよ。

⏰:22/10/04 04:08 📱:Android 🆔:☆☆☆


#963 [○○&◆.x/9qDRof2]
.
きっとこの真っ暗な闇にもいつか…

"うそつき"

明るい一筋の光が差して

"うそつき"

あなたを照らしてくれる時が来る。

"うそつき"

だから……祈るのよ。

神は必ず私達を見ている。



―――…嘘つき。

神様ってやつがほんとに居るなら、

この手で殺してやるよ。

⏰:22/10/04 04:08 📱:Android 🆔:☆☆☆


#964 [○○&◆.x/9qDRof2]
―――ザーッ…

手を洗いながら便所の鏡をふと見上げる。

頬が少しこけて、目の下には真っ黒なクマ……

まるで絵に書いたようなやつれた顔がこちらを見つめていた。

⏰:22/10/04 04:09 📱:Android 🆔:☆☆☆


#965 [○○&◆.x/9qDRof2]
最近ろくに寝てないからな…。

毎年"あの日"が近付くと
イヤな夢ばかり見てしまって眠れない日が続く。

まるでオレに忘れる事を許さないかのように。

⏰:22/10/04 04:09 📱:Android 🆔:☆☆☆


#966 [○○&◆.x/9qDRof2]
あれこれ考えてぼーっとしていると



"ゆうき……"




ふと耳元でオレを呼ぶ声がして、胸がドクリと跳び跳ねる。

ばっと振り返るが、…やはりそこには誰も居ない。

そう、居るはずなんてないのに、
今更何を期待しているのか…。

⏰:22/10/04 04:10 📱:Android 🆔:☆☆☆


#967 [○○&◆.x/9qDRof2]
オレはどうやら相当、キているらしい。

⏰:22/10/04 04:10 📱:Android 🆔:☆☆☆


#968 [○○&◆.x/9qDRof2]
1

黒猫の詩


「リア、お前の瞳は本当に綺麗だね」

 ご主人様はいつも笑いながらわたしにそう言う。まるで口癖のように。


“ブルーの瞳が綺麗だ”と。

わたしはご主人様にそう言われるのが嬉しかった。


笑いながら、頭を撫でて貰うのが好きだった。ご主人様の手は、温かくて、大きくて。撫でて貰うと、なんだかとても安心するの。

⏰:22/10/04 04:11 📱:Android 🆔:☆☆☆


#969 [○○&◆.x/9qDRof2]
わたしは。真っ黒な毛、真っ青な瞳が特徴のごく普通の黒猫。ご主人様に助けてもらう前は、その辺の道端で歩いている普通の野良猫だった。


「リア、ご飯だよ」


 そしていま、わたしの目の前に餌の入った皿を置いてくれたのが.......わたしの大好きな、大好きなご主人様。

⏰:22/10/04 04:12 📱:Android 🆔:☆☆☆


#970 [○○&◆.x/9qDRof2]
名前は確か.......セツナ。

あまり覚えてないけど、ご主人様のお友達が「セツナ」と呼んでいた。




そしてご主人様の髪の毛はとても綺麗な蜂蜜色。

ふわふわ柔らかくて。
私はご主人様の髪の毛が大好きなんだ。

⏰:22/10/04 04:12 📱:Android 🆔:☆☆☆


#971 [○○&◆.x/9qDRof2]
――ご主人様と出会ったのは去年の冬。


凄く寒くて、まだ小さかった私は草むらで凍えていた。



そんな所を、ご主人様が見つけてくれた。
…助けてくれたんだ。

⏰:22/10/04 04:12 📱:Android 🆔:☆☆☆


#972 [○○&◆.x/9qDRof2]
何も言わずに私の上に積もった雪を払い、コートに包んで温めてくれた。


優しく微笑みながら、
頭を撫でてくれた。



あの日、ご主人様は私を助けてくれた。

⏰:22/10/04 04:13 📱:Android 🆔:☆☆☆


#973 [○○&◆.x/9qDRof2]
ご主人様は野良猫の私を拾ってくれたんだ。



優しくて、かっこよくて、面白いご主人様。


私はすぐにご主人様が大好きになった。

⏰:22/10/04 04:13 📱:Android 🆔:☆☆☆


#974 [○○&◆.x/9qDRof2]
大好きなご主人様には、いつも笑顔でいて欲しい

ずっと笑ってて欲しい。


ご主人様は
私に幸せをくれた。

だからご主人様も幸せでいてほしい。



猫ながらも、ご主人様の幸せを願っていたんだ。

⏰:22/10/04 04:13 📱:Android 🆔:☆☆☆


#975 [○○&◆.x/9qDRof2]
でも…でも……


私は見てしまったんだ。

⏰:22/10/04 04:14 📱:Android 🆔:☆☆☆


#976 [○○&◆.x/9qDRof2]
ご主人様が、
ベッドに座りながら俯いているのを。


そのご主人様の手には、綺麗な女の人の写真があるのを。




そしてその写真に、水滴がぽたりぽたりと落ちているのを。

⏰:22/10/04 04:14 📱:Android 🆔:☆☆☆


#977 [○○&◆.x/9qDRof2]
それがご主人様の“涙”だってことに気づくのに時間はかからなかった。



ご主人様が泣いている。

いつも笑顔でいてほしい、大好きなご主人様が泣いている。


なんで?なんで?
……………なんで…。

⏰:22/10/04 04:15 📱:Android 🆔:☆☆☆


#978 [○○&◆.x/9qDRof2]
私はただご主人様の膝に乗り、涙を舐め取ることしか出来なかった。


そんなことしか出来ない自分がふがいなくて、やるせない。



でもご主人様は私の頭を撫でて、「くすぐったいよ」と笑ったんだ。

⏰:22/10/04 04:15 📱:Android 🆔:☆☆☆


#979 [○○&◆.x/9qDRof2]
その笑顔はとても無理してるように見えた。
だって…ご主人様の頬には、今でも涙が伝っている。


無理して笑ってくれるのは、私を心配させないため?

⏰:22/10/04 04:15 📱:Android 🆔:☆☆☆


#980 [○○&◆.x/9qDRof2]
ご主人様…、ご主人様はどうしてそんなに優しいんですか?
 
もうご主人様を
泣かせたくない……。




――――私がご主人様を支えたい。

⏰:22/10/04 04:16 📱:Android 🆔:☆☆☆


#981 [○○&◆.x/9qDRof2]
その想いが一気に強くなり、私の小さな心はぎゅっと締め付けられた。



でも…
ご主人様を支えるには、どうしたらいい…? 

⏰:22/10/04 04:16 📱:Android 🆔:☆☆☆


#982 [○○&◆.x/9qDRof2]
あぁ、どうして自分は
猫なんだろう。


私は猫だから、ご主人様と話すことも、慰めることも出来ない。


自分は凄く無力で、何も出来ない。

⏰:22/10/04 04:16 📱:Android 🆔:☆☆☆


#983 [○○&◆.x/9qDRof2]
ご主人様と話したい。
ご主人様を慰めたい。
ご主人様と笑いたい。


…………私も、ご主人様みたいになりたい。

ご主人様と同じ、
“人間”になりたい!!

⏰:22/10/04 04:17 📱:Android 🆔:☆☆☆


#984 [○○&◆.x/9qDRof2]
その時、ブルーの瞳が一層に輝いた。



人間になれば、私でも出来ることがあるかもしれない…!!


1つの閃きで、リアの気持ちは一気に高まった。

⏰:22/10/04 04:17 📱:Android 🆔:☆☆☆


#985 [○○&◆.x/9qDRof2]
ご主人様、もう少し待ってて下さい。
私絶対、絶対に人間になって、ご主人様に会いに行きます。


その想いを込めて、私は1つ「みゃー」と鳴いた

⏰:22/10/04 04:17 📱:Android 🆔:☆☆☆


#986 [○○&◆.x/9qDRof2]
するとご主人様は少し微笑みながら「リアの鳴き声は可愛らしいね。」と私の頭を撫でた。



その笑顔を見て、少し安心しながら私はご主人様の部屋を後にした。

⏰:22/10/04 04:18 📱:Android 🆔:☆☆☆


#987 [○○&◆.x/9qDRof2]
パチパチ、と音を立てながら燃える炎。
そんな炎、暖炉の目の前で私は体を丸めた。


窓に映るお月様におやすみなさい、と告げて。
神様に祈りを捧げるかのように空を見つめて。

⏰:22/10/04 04:18 📱:Android 🆔:☆☆☆


#988 [○○&◆.x/9qDRof2]
――――神様、

どうか、どうか私を
 人間にして下さい――

⏰:22/10/04 04:18 📱:Android 🆔:☆☆☆


#989 [○○&◆.x/9qDRof2]
いつものように聞こえる鳥の鳴き声。
この街の朝が来た。


私は重たい身体を起こし、漆黒の長い髪を手で掻きあげた。



………………え?

⏰:22/10/04 04:19 📱:Android 🆔:☆☆☆


#990 [○○&◆.x/9qDRof2]
長い髪……?
  手で掻きあげた…?

⏰:22/10/04 04:19 📱:Android 🆔:☆☆☆


#991 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>1-30
>>30-60
>>60-90
>>90-120
>>120-150

⏰:22/10/04 04:20 📱:Android 🆔:☆☆☆


#992 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>150-180
>>180-210
>>210-240
>>240-270
>>270-300

⏰:22/10/04 04:21 📱:Android 🆔:☆☆☆


#993 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>300-330
>>330-360
>>360-390
>>390-420
>>420-450

⏰:22/10/04 04:22 📱:Android 🆔:☆☆☆


#994 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>450-480
>>480-510
>>510-540
>>540-570
>>570-600

⏰:22/10/04 04:23 📱:Android 🆔:☆☆☆


#995 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>570-600
>>600-630
>>630-660
>>660-690
>>690-720

⏰:22/10/04 04:24 📱:Android 🆔:☆☆☆


#996 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>720-750
>>750-780
>>1-20
>>20-40
>>40-60

⏰:22/10/04 04:25 📱:Android 🆔:☆☆☆


#997 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>60-80
>>80-100
>>100-120
>>120-140
>>140-160

⏰:22/10/04 04:27 📱:Android 🆔:☆☆☆


#998 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>160-180
>>180-200
>>200-220
>>220-240
>>240-260

⏰:22/10/04 04:27 📱:Android 🆔:☆☆☆


#999 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>260-280
>>280-300
>>300-320
>>320-340
>>340-360

⏰:22/10/04 04:28 📱:Android 🆔:☆☆☆


#1000 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>360-380
>>380-400
>>400-420
>>420-440
>>440-460
>>460-480
>>480-500

⏰:22/10/04 04:30 📱:Android 🆔:☆☆☆


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