浮 き 世 の 諸 事 情 。
最新 最初 全
#901 [笹]
今あたしを叱ってくれるのは
貴方だけで‥
真剣に向き合ってくれる
その瞳で包んで
「本当に‥世話が焼ける」
「い‥ち助さん」
流れるような細い指で
手首を包み込まれれば
どくどくと生命が鳴いてる
:10/03/18 15:49 :D905i :WpH3kYYs
#902 [笹]
生きてる心地がした
「何処へ行こうが
貴方の勝手ですが、ね‥」
深いため息を此方に向けて
そう自由にされてしまうと
どうしたらいいかわからなくてね
何処へも行きたくなくなるんです
:10/03/18 15:49 :D905i :WpH3kYYs
#903 [笹]
:
:
「壱助さん‥
迷惑じゃないんですか?」
「何、が」
「あたしの世話とか‥」
もじもじと不安げに
そう呟いて見上げた
:10/03/18 15:52 :D905i :WpH3kYYs
#904 [笹]
「そう‥ですねぇ」
ちょいと深刻に考えすぎるのが
貴女の性格
「やっぱり迷惑‥ですよね」
肩をぐったり落として
貴女が落ち込めば
辺りは薄暗くなって渦を巻く
しかし、微笑ましくも思う
:10/03/18 15:55 :D905i :WpH3kYYs
#905 [笹]
「私に迷惑をかけるのは
まぁ‥構いませんが、ねぇ」
茶を入れれば湯気がたつ
まだ部屋は冷えて
桜の蕾が桃色に染まる
「ちょいとばかり‥
面倒な方が、扱い甲斐がある」
鼻で軽くあしらえば
馬鹿にされてる事にも気付かず
真っ直ぐな瞳が此方を向く
:10/03/18 15:59 :D905i :WpH3kYYs
#906 [笹]
「さて、どう‥しますか」
意地悪気に問えば
少し躊躇って唇を浮つかせ
「此処だ、あたしの居場所」
自らに言い聞かせるように
ぽつり呟いて頷いた
:10/03/18 16:03 :D905i :WpH3kYYs
#907 [笹]
それでも離れると言ったなら
‥止めていた、でしょうね
不安に握った拳を
柔らかく解いて立ち上がる
「壱助さん‥何処に?」
「丁重に‥お断りしてきましょう」
本音を言えば‥
私だけの貴女にしたいんですが
:10/03/18 16:06 :D905i :WpH3kYYs
#908 [笹]
「次期に私の‥妻になると、ね」
「え‥?壱助さん今何て‥」
「まぁ、まぁ」
桜が咲いたら‥一番に、貴女と
:10/03/18 16:09 :D905i :WpH3kYYs
#909 [笹]
:10/03/18 16:15 :D905i :WpH3kYYs
#910 [笹]
:10/03/18 16:16 :D905i :WpH3kYYs
#911 [笹]
:
:
あの後
幸太郎さんにはしっかりと
気持ちを伝えてきた
とても残念そうに
眉を下げていたけれど
『お幸せに』って言って
諦めてくれた
お幸せにって‥
何か変な気もするけれど
:10/03/20 21:22 :D905i :Z99/cef.
#912 [笹]
だってあたしと壱助さんは
恋仲じゃあ‥ないんだし
こんな感情に
気付いちゃいけないんだ
辛いだけ、そうでしょ?
貴方はかなりの色男
それに年だって‥離れてる
って言っても
何歳なのか知らないけどね
:10/03/20 21:23 :D905i :Z99/cef.
#913 [笹]
でも友人と言ったら
違う気がするし
お父さんでもないしね
お兄さんでもないかも‥
世話好きな所は
お母さんっぽいけれど、
壱助さんはどうなんだろう
あたしのこと‥
どう思ってるんだろう
:10/03/20 21:23 :D905i :Z99/cef.
#914 [笹]
「"所有物"‥ですよ」
「‥え?」
澄み切った空を仰いで
艶容な唇が弧を描いた
って言うか‥
何で心のなかが読めるのよ
「おや、おや」
相変わらず冷静で
その上どこか呑気で
伏せた長い睫が揺れている
:10/03/20 21:24 :D905i :Z99/cef.
#915 [笹]
「‥見頃、ですね」
ひらり、桃色の花びらが舞う
くすっと笑った壱助さんの手が
此方に伸びてきた
「何‥何ですか?」
食らうつもりなのかと
思わず肩をびくつかせる
:10/03/20 21:25 :D905i :Z99/cef.
#916 [笹]
「なぁに‥食らいやしません、よ」
その美しい手が
あたしの頭を一撫ですると
二本の細い指に摘まれた
桜の花びら
それを日の光にかざし
緩く微笑んだ
「春です、ね」
その姿はとても煌びやかで
見とれてしまったの
:10/03/20 21:26 :D905i :Z99/cef.
#917 [笹]
:
:
鮮やかに桜色に染まった街外れ
これは絶景、間違いないよ
揺れる花に人々の賑わい
酒の甘い香りがほんのり漂う
酔っ払いは好まない
だけど花見の時くらいは
心を許してしまうんだ
「ほぉう‥酒豪、ときたか」
:10/03/20 21:26 :D905i :Z99/cef.
#918 [笹]
酒飲みを見つめたあたしに
壱助さんの低い声がかかる
「え‥ち、違いますよ!!
あたしお酒得意じゃないし!!」
「それは、それは
‥良い事を聞きました」
細めた目で此方を見つめる
何を企んでいるのやら
:10/03/20 21:27 :D905i :Z99/cef.
#919 [笹]
「本日は‥盛大に、いきますぜ」
片手に二本ずつ一升瓶を抱えて
微笑んだ貴方
以外とこの腕は力がある
どこから持ってきたんですかそれ
酒豪は貴方でしょう‥?
:10/03/20 21:27 :D905i :Z99/cef.
#920 [笹]
:
:
「あ‥伊代さん!!」
「香夜ちゃんじゃないかぁ!!
久しぶりだねぇ」
相変わらず元気な伊代さん
ここ最近何かと忙しくて
顔出しができてなかった
「伊代さんもお花見ですか?」
「出張だよぉ!!」
:10/03/20 21:27 :D905i :Z99/cef.
#921 [笹]
この笑顔が好きだ
くしゃっと笑って
ぽんと肩をたたかれる
「花見にゃ団子だろう?
だからこうして、売りに来たのさ」
なるほどと頷き
目の前に置かれた
色とりどりの団子に目を向ける
:10/03/20 21:28 :D905i :Z99/cef.
#922 [笹]
「じゃあ伊代さんっ
お団子くださいなっ」
「はいよぉ!!
そいやぁ‥壱助さんは?」
団子を手際よく皿に乗せ
真っ黒な瞳が此方を見つめる
「"酒のお供が欲しいです、ねぇ"
って‥お使いに来たわけです」
:10/03/20 21:29 :D905i :Z99/cef.
#923 [笹]
あの人は本当に動かない
相当な事がないと動かない
そしてあの言葉の威圧感
‥遠まわしに言わなくても
"あの人らしいね"と呟いて
沢山の団子を手渡された
「香夜ちゃん!!
乗せられちゃだめよぉ?」
別れを告げた背中に
一言そう告げられた
‥何の事だろう
:10/03/20 21:29 :D905i :Z99/cef.
#924 [笹]
:
:
"主人"の元へ戻れば
桜の木に寄りかかり
立て膝をついてすでに飲酒中
はらはらと舞う花びらを
愛おしそうに見つめて
お猪口を口に運ぶ
何て綺麗なんだろう
その色っぽさに何度嫉妬した事か
:10/03/20 21:31 :D905i :Z99/cef.
#925 [笹]
「はい、どーぞ」
山のかかった調達品を
目の前にどさっと差し出せば
一瞬その量に目を見開いた
「‥食いしん坊」
鼻で笑いながら
横目でちらり見つめられ
「な‥別に
あたし一人分じゃないですぅ!!」
:10/03/20 21:31 :D905i :Z99/cef.
#926 [笹]
結局いつも通り
意地になって反論してしまう
乗せられるとは
こういうことかな?
隣に腰を下ろせば
ふわり漂う壱助さんの香り
着物の襟から伸びた
首筋が淡く溶けてしまいそう
何だか緊張する
体がじわりと熱を帯びた
:10/03/20 21:32 :D905i :Z99/cef.
#927 [笹]
「おや‥何処かで酒を
召してきたんですかい?」
「飲んでないですよっ!」
そう答えれば怪しげに笑い
細い指があたしの頬に触れた
「良い色に染まってます故‥
そうなのかな、とね」
:10/03/20 21:32 :D905i :Z99/cef.
#928 [笹]
完璧にからかわれてる‥
そうわかっててもやっぱり駄目で
「んもっ‥馬鹿っ!!」
羞恥に目を潤ませて
その指を払いのければ
一気に顔が熱くなり
:10/03/20 21:33 :D905i :Z99/cef.
#929 [笹]
「‥紅い」
楽しそうに笑みを浮かべ
お猪口を此方に差し出した
乗せられる‥
やっぱりこういうことかぁ
:10/03/20 21:34 :D905i :Z99/cef.
#930 [笹]
:
:
あっという間に日が暮れて
昼とはまた違う
大人な雰囲気の夜桜
賑わいはさらに増して
陽気に踊り出す人々もちらほら
あんなにあった団子も
いつの間にかあと数個
:10/03/20 21:34 :D905i :Z99/cef.
#931 [笹]
「あぁっ
もう‥飲めないれす‥ッヒク」
自分でもわかってた
だんだん酔っていくのを
頭がぼーっとして
何だか楽しくなって
勧められればぐいぐいと
調子に乗らされました
:10/03/20 21:34 :D905i :Z99/cef.
#932 [笹]
「まぁ、まぁ
まだ夜は長い‥ですよ」
お猪口いっぱいに
とくとくと酒を注がれる
透き通ったこの液体が
あたしの中をめぐって
気分よくさせてるのか
見た目なんて
水と変わりやしないのに
:10/03/20 21:36 :D905i :Z99/cef.
#933 [笹]
「おっとっと」
結局溢れそうなそれを
口元に運んで一気に飲み干す
頭じゃわかってる
頭ん中は至って冷静
だけど体は分離してる
もう空の瓶が
いち、に、さん、し‥
あれ?
四本以上あるのはなぜだ
どこから湧いて出てきたんだ
:10/03/20 21:37 :D905i :Z99/cef.
#934 [笹]
それにしても‥
「いちしゅけさんは‥
お酒‥ちゅよいれすねぇ」
今にもふらり倒れそうなあたし
打って変わって
先ほどから全く変化のない貴方
顔色一つ変えやしない
化け物かって思いますよ
:10/03/20 21:37 :D905i :Z99/cef.
#935 [笹]
「まぁ‥ね」
「ふぅん‥
そおいえば、いちしゅけさん」
完璧に呂律が回ってない
もうさすがにやめよう
「想い人っていましゅかあ?」
あたしは何を聞いてるんだ
:10/03/20 21:38 :D905i :Z99/cef.
#936 [笹]
唯一の生き残りの頭さえ
じわじわと蝕まれ
甘ったるいやつに洗脳されていく
「そうですねぇ‥」
ぐいっと言った喉の辺りが
むず痒くなるほど綺麗で
「います、かね」
:10/03/20 21:38 :D905i :Z99/cef.
#937 [笹]
遠くを見つめた壱助さん
その瞳には
一体何が映っているのか
あたしの知り得たことじゃない
だけどこうも知りたくなる
そしてその返事に
胸がぎゅうっと締め付けられた
酔っているからかな
どうも変に愛おしい
:10/03/20 21:39 :D905i :Z99/cef.
#938 [笹]
俯き地面を見つめれば
優しく頭を撫でられた
優しくしないでほしい
今は涙腺が弱ってるんです
「叶うかどうかは‥
厳しいところ、ですがね」
そっと見上げれば
困ったように微笑んで
:10/03/20 21:40 :D905i :Z99/cef.
#939 [笹]
厳しいところって
人妻にでも恋してるのかな
それとも男性だったり?
こんなにも色男だもん
落ちない相手がみてみたい
「だいじょぶれす、きっと
あたしが‥保証しま‥しゅ」
遂に限界を迎え
ふわり体が宙を浮く
:10/03/20 21:41 :D905i :Z99/cef.
#940 [笹]
よりかかった隣の肩は
見た目以上に柔らかく
落ちた花びらが頬をくすぐり
そのまま眠りについた
:10/03/20 21:41 :D905i :Z99/cef.
#941 [笹]
:
:
小さな寝息
口元に手をかざせば
やっと確認できるほど
「保証‥ねぇ」
一人酒はやはり
ちょいと物寂しい
愛らしい寝顔を眺めて飲むのも
また一興‥ですかね
:10/03/20 21:42 :D905i :Z99/cef.
#942 [笹]
もたれた頭を
抱き寄せるように撫でれば
ぴくりと片手が跳ね
此方の着物をつかんだ
「本人に言われちゃぁ‥
参ったもんだ」
呆れ顔で見つめれば
幸せそうに笑みをこぼした想い人
:10/03/20 21:42 :D905i :Z99/cef.
#943 [笹]
「あり‥と」
「‥」
「壱‥けさ‥ありが‥と」
素直な寝言に
抱き締めたくなるほどの
愛おしさを覚える
酒のせいですか、ね
やたらと反応してしまう
:10/03/20 21:43 :D905i :Z99/cef.
#944 [笹]
「ずっと‥と‥いっ‥しょ」
頬を伝った滴
人聞きが悪いかも知れませんが
貴女の涙は、美しい
‥叶おうが叶わまいが
関係ないですぜ
:10/03/20 21:43 :D905i :Z99/cef.
#945 [笹]
貴女がずっと隣にいりゃあ
文句はない、ですから
「‥承知」
涙を片指で拭い
幼い額に唇をそっと寄せた
春の香り、ふわり
:10/03/20 21:44 :D905i :Z99/cef.
#946 [笹]
:10/03/20 21:48 :D905i :Z99/cef.
#947 [笹]
:10/03/20 21:49 :D905i :Z99/cef.
#948 [笹]
:
:
「‥あれ?此処って」
此処はとある旅館
何故旅館かって?
それは‥
「香夜さん‥置いて行きます、よ」
このお方の気まぐれです
:10/03/22 11:49 :D905i :b7M9uhWk
#949 [笹]
:
:
それはつい昨日の事
夜空を眺めながら彼は言った
『明日は晴れ、ですね』って
空が澄み切っていたのか
神様の声が聞こえたのか
ただの勘なのかわからないけど
『では‥出掛けましょう、か』
:10/03/22 11:49 :D905i :b7M9uhWk
#950 [笹]
本当に気まぐれよ
晴れていたって
いつもお茶飲んで動かないのに
しかもただの散歩かと思ったら
旅館を予約したとか何とか‥
いつ予約したのよ‥はぁ
あたしは全然構わないけど
:10/03/22 11:50 :D905i :b7M9uhWk
#951 [笹]
「立派‥ですね」
こんな豪勢な旅館に泊まる
お金は何処から湧いてでてくるの
本当に‥不思議な人
離れ街にあるこの旅館は
場違いなほど立派で
庭園の木々や花はもちろん
丁寧に手が行き届いてて
入り口には大きな門がある
:10/03/22 11:50 :D905i :b7M9uhWk
#952 [笹]
しっかりとした柱や骨董品が
あたしの目を奪う
廊下は埃一つ見当たらない
床に自分が映ってる‥
「ようこそ、いらっしゃいました」
女将さんらしき人が
三つ指をついて頭を下げた
なんだか緊張する‥
:10/03/22 11:51 :D905i :b7M9uhWk
#953 [笹]
ぎこちなく頭を下げて
横目で壱助さんを伺えば
手慣れた様子で笑みを浮かべ
綺麗にお辞儀した
指先まで、爪の先まで
美しいのだから
隣にいるのが苦痛です
「さて、と」
色男が顔を上げて呟けば
色を召した仲居さんたちの頬
:10/03/22 11:51 :D905i :b7M9uhWk
#954 [笹]
壱助さんがいれば
いつだって春が来る
色んな意味で‥ね
「行きます、よ」
春になってもこの手は
ひやり、あたしの手首を冷ます
だけど捕まれるたび
そこからじわり熱を帯びてしまう
いつまで保つかな‥あたしの心臓
:10/03/22 11:52 :D905i :b7M9uhWk
#955 [笹]
:
:
「ひろっ‥!!」
部屋間違えてないですか?
二人部屋にしては
空間を持て余しすぎ‥
目の前に広がる空間は
とても洗練されていて
それでいて上品な‥
置いてあるもの全てが
とても高価に見える
:10/03/22 11:53 :D905i :b7M9uhWk
#956 [笹]
この座布団さえ‥
座るのを躊躇ってしまうほど
「ほぉう‥」
興味深そうに
部屋の隅々を見渡し
壁にもたれて外を眺めた
足袋が擦れる音が心地いい
どことなく楽しそうな壱助さん
:10/03/22 11:53 :D905i :b7M9uhWk
#957 [笹]
と言うかお花見の日以来
‥ご機嫌な気がする
いつか雷が落ちなきゃいいけど
「壱助さん?
何で急にこんな‥」
「失礼致します。
お茶を‥お持ちしました」
男性の声と共に
襖が丁寧に開けられた
:10/03/22 11:54 :D905i :b7M9uhWk
#958 [笹]
そちらに目をやれば
藍の着物を着た男性
此処で働いてる人なのかな‥
「香夜‥香夜だろ?」
あ‥やっぱりそうだ
此処は‥
「倫次‥?」
:10/03/22 11:54 :D905i :b7M9uhWk
#959 [笹]
そう声をかければ
ぱぁっと笑顔になった
「やっぱり香夜だ!!」
何も変わりやしない
無邪気なままの笑顔
過去の闇の中の
ほんの一握りの至福の時を
彼はくれたのだ
:10/03/22 11:55 :D905i :b7M9uhWk
#960 [笹]
「久しぶりだぁあっ
元気にしてたぁ?」
思わずにじり寄り手を握った
そう、倫次は唯一の幼なじみ
真っ黒な髪と瞳
笑った時にできる皺
何だかほっとする
「もちろん!!‥香夜は?」
:10/03/22 11:55 :D905i :b7M9uhWk
#961 [笹]
倫次の視線があたしの後ろへ
‥あの色男へ向いた
そして同様にして
あたしにそのまま聞き返す
どんな顔をしてるのかな壱助さん
相変わらずの仏頂面?
「うん!元気だった
‥えっと、こちらは‥」
:10/03/22 11:56 :D905i :b7M9uhWk
#962 [笹]
恐る恐る体を後ろへ向けた
思いのほか彼の表情は柔らかく
口元を釣り上げ目を細めていた
「香夜さんの‥"主人"、です」
「しゅ‥主人?」
:10/03/22 11:56 :D905i :b7M9uhWk
#963 [笹]
「あぁああっ!!
こちらは壱助さん!!
あたしの‥あたしの‥えっと」
ほら‥戸惑う
結局あたしたちって何なの?
「友人‥じゃないな
えっと、恩人‥そう!恩人!!」
どうして焦る必要があるのか
どうして無理に恋仲を避けるのか
一番自分がよくわかってる
:10/03/22 11:57 :D905i :b7M9uhWk
#964 [笹]
必死の作り笑いを浮かべ
"恩人"に目をやれば
組んだ腕を人差し指で
規則正しく叩いている
この仕草‥いらいらしてます
何故って?
そんなの決まってるでしょう
彼は男が大嫌いだから
:10/03/22 11:57 :D905i :b7M9uhWk
#965 [笹]
漂う冷たい空気
明らかに嫌な空気です
「あ‥壱助さん!
此方は幼なじみの倫次です」
"あはは"なんておどけてみて
一生懸命和ませてみても
‥壱助さんの鋭い視線で
打ち壊される
「ほぉう‥幼、なじみ」
:10/03/22 11:58 :D905i :b7M9uhWk
#966 [笹]
腕を叩いてた指を顎筋にあてて
倫次を下からなめ回すように
見つめていた
倫次に会えたのは嬉しいけど
‥この重苦しい雰囲気
「また夜落ち着いて時間できたら
‥話そうな、じゃあ」
そう言って深く頭を下げて
襖を閉じた
:10/03/22 11:58 :D905i :b7M9uhWk
#967 [笹]
さぁて‥どうなることやら
_
:10/03/22 11:59 :D905i :b7M9uhWk
#968 [笹]
:10/03/22 12:05 :D905i :b7M9uhWk
#969 [笹]
:10/03/22 12:05 :D905i :b7M9uhWk
#970 [笹]
:
:
何にもやましいことはない
だって倫次は幼なじみ
壱助さんはお‥恩人だし
何にも気にすることはない
「‥」
そうよ‥何も
:10/03/26 16:58 :D905i :1zJ6QS4Y
#971 [笹]
「壱助さんって
甘いもの好きでしたっけ?」
「いえ、別に」
倫次が持ってきたお茶を啜らず
用意されていた和菓子を
丁寧に切って口の中へ
ゆっくりそうに見えて
案外食べるの早い
:10/03/26 16:58 :D905i :1zJ6QS4Y
#972 [笹]
あっという間に平らげて
不満げにこちらを見つめてきた
「お茶飲まな‥あぁあああぁっ!」
するり伸びてきた手が
あたしの和菓子をひょいと摘み
あの艶容な唇に触れ
吸い込まれた
:10/03/26 16:59 :D905i :1zJ6QS4Y
#973 [笹]
「それ‥それあたしのぉぉおっ」
食べたかった‥
すごく美味しそうだったのに
"犯人"の憎たらしい流し目
む か つ く !!
まだ熱いお茶を
いっきに口に流し込んだ
その熱さに喉が痛んだが
見栄を張った
:10/03/26 16:59 :D905i :1zJ6QS4Y
#974 [笹]
流れていくのがわかる
どくどくと内側から痛めつけられ
何だか妙に切なくなった
頬杖をついた横顔
貴方の見つめる先に
何があるのかなんて‥
:10/03/26 17:00 :D905i :1zJ6QS4Y
#975 [笹]
:
:
「わぁっすごい!!」
広がる桜並木
舞う花びらが鮮やかな絨毯を作る
その横に流れる川のせせらぎ
澄み切った青空と浮かぶ白い雲
‥春真っ盛りだ
:10/03/26 17:00 :D905i :1zJ6QS4Y
#976 [笹]
「あまりはしゃいでいると
‥怪我、しますよ」
あまりにも重苦しい空気に
耐えきれなくなって
散歩に行こうと誘おうとしたら
壱助さんの方からお誘いが
何だか表情も
柔らかくなったみたい
この風景と壱助さんの組み合わせ
‥絶景だ
:10/03/26 17:01 :D905i :1zJ6QS4Y
#977 [笹]
それを目に焼き付けるように
そっと目を閉じた
「何を‥していらっしゃる」
「いや‥いい景色だなぁって」
ゆっくり目を開ければ絶景
長い睫にすらっと筋の通った鼻
きめの細かい真っ白な肌
荒れを知らない色っぽい唇
:10/03/26 17:01 :D905i :1zJ6QS4Y
#978 [笹]
‥って
「ち‥近いんですけど」
吐息が頬をかすめる
思わず息を潜めてしまうほど
美しすぎて‥
体が熱を帯びていく
「まぁ、まぁ」
まぁまぁって貴方‥
:10/03/26 17:02 :D905i :1zJ6QS4Y
#979 [笹]
「さぁ‥早くしないと
日が暮れてちまいます、よ」
そう余裕たっぷりに囁き
あたしの手を取る
もの凄く近いはず
それなのに貴方の背中は
遠く遠く離れて見える
:10/03/26 17:02 :D905i :1zJ6QS4Y
#980 [笹]
いつまでもいつまでも
追っていくのだろうか
結局は追いつかずに‥
気付いているのです
ほんとはね、気付いてる
この気持ちが何なのか
:10/03/26 17:02 :D905i :1zJ6QS4Y
#981 [笹]
:
:
温泉どっぷり浸かって
いろいろ考えた
‥いろいろ
廊下に浴衣が擦れる音
ぼんやり映る自分の顔
なんて情けないんだ
:10/03/26 17:03 :D905i :1zJ6QS4Y
#982 [笹]
考えたって無駄なんだけど
考えてしまう
あぁ‥もう嫌
襖をゆっくり開ければ
浴衣を着た壱助さんの後ろ姿
首に手拭い巻いてるけど
この人は汗をかくのだろうか
:10/03/26 17:03 :D905i :1zJ6QS4Y
#983 [笹]
「早いですね」
「まぁ‥男、ですから」
胡座をかいた横には
お猪口とお酒の瓶
‥酒豪
男の一人酒‥
邪魔しちゃ悪いかな?
:10/03/26 17:04 :D905i :1zJ6QS4Y
#984 [笹]
じゃあ、そろそろ時間だし‥
「‥香夜さん」
少し甘ったるい声が
立ち去ろうとしたあたしを
呼び止めた
「何処、へ」
「あぁ‥えっと
ちょっと‥外に」
:10/03/26 17:04 :D905i :1zJ6QS4Y
#985 [笹]
何となく言葉を濁らせて
倫次のとこへ行くとは
言えなかった
これがいけないのか
‥やましいわけじゃないの
「幼、なじみ」
いつの間にかその声は
耳元で囁いて
風呂上がりの貴方の体は
少しまだ暖かかった
:10/03/26 17:05 :D905i :1zJ6QS4Y
#986 [笹]
「壱助さん‥?」
腰を抱かれて
そのまま身を委ねてしまった
「‥倫次、待ってます」
「私の‥
知ったこっちゃ、ないのですが」
知ったこっちゃあってほしい‥
:10/03/26 17:05 :D905i :1zJ6QS4Y
#987 [笹]
首にかかる吐息が
少しお酒を漂わせて
酔ってんのかな?
「すぐ、戻りますから」
「それなら‥行かなくても
いいじゃあ、ないですか」
「‥んん」
:10/03/26 17:06 :D905i :1zJ6QS4Y
#988 [笹]
口ごもれば‥
さすがに壱助さんも子供じゃない
「‥体が冷えます故
早く、戻ること」
そう言うと
するり腰から腕が溶けた
軽くなった腰を上げ
足早に部屋を出た。
:10/03/26 17:06 :D905i :1zJ6QS4Y
#989 [笹]
ねぇ、壱助さん
貴方の手が
引き止めたのは
お酒のせいじゃ
‥ないのでしょうか?
何時だって貴方は
あたしを惑わせて‥
:10/03/26 17:08 :D905i :1zJ6QS4Y
#990 [笹]
:10/03/26 17:15 :D905i :1zJ6QS4Y
#991 [笹]
:10/03/26 17:45 :D905i :1zJ6QS4Y
#992 [笹]
:10/03/26 17:48 :D905i :1zJ6QS4Y
#993 [笹]
:10/03/26 18:01 :D905i :1zJ6QS4Y
#994 [笹]
:10/03/26 18:08 :D905i :1zJ6QS4Y
#995 [笹]
:10/03/26 18:15 :D905i :1zJ6QS4Y
#996 [笹]
【零れ話】
ほんとはこの作品
1000で終わらせるつもりでした←
だけど
皆様から沢山のお言葉を頂き
大変励みになりまして
調子に乗って第二段いきますw
これからもよろしくです ^^*
:10/03/26 18:21 :D905i :1zJ6QS4Y
#997 [笹]
最初は
こんな変な小説
読む人なんかいないだろうと
暇つぶしに書いてました←
だけど今では
壱助さんが人気者にwww
まさかです\(^O^)/
笹はとっても幸せです !!
:10/03/26 18:25 :D905i :1zJ6QS4Y
#998 [笹]
こんなぐだぐだな作者ですが
放置は絶対しません !!
これから忙しくなるので
マイペース更新ですが(゚_゚)
皆様今後とも
お付き合い願たい !!
:10/03/26 18:27 :D905i :1zJ6QS4Y
#999 [笹]
:10/03/26 18:28 :D905i :1zJ6QS4Y
#1000 [笹]
:10/03/26 18:29 :D905i :1zJ6QS4Y
#1001 [我輩は匿名である]
このスレッドは 1000 を超えました。
もう書けないので新しいスレッドを建ててください。
:10/03/26 18:29 : :Thread}
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194