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#560 [[世界が開いた夏(1/3)]渚坂]
チリン―……

風鈴の音が耳に心地よい涼を運ぶ季節、私は一度目の前の縁側に腰掛け、ただ黙々と本を読む男に尋ねたことがあった。お前は私が不気味ではないのか、と。


「不気味?はは、まさか」


カラカラと渇いた笑い声とともに私の疑問は否定された。やつは左手にもっていた小説をパラパラとめくっていたかと思えば、何かを思い出したように頭を上げその漆黒の瞳が強く私を見つめた。
もちろん、彼の瞳に映る私の姿はない。私は鏡にも映らないし、水面にも映らない存在だから。


「いくら君が霊魂だとしても僕はちっとも怖くないよ。むしろ大歓迎だね」


それはお前が小説家だからだろう?ネタが欲しいだけなのだろう?と言い返せば、やつは私から視線を小説へと戻して小さく笑うだけだった。否定は、しない。


「現実は小説よりも奇なりと言ってね、僕は君のような存在が大好きなんだよ」

「……それは告白として受け取っていいのか?」

「それは困るね。幽霊に惚れるほど僕は愚かじゃない」


嗚呼、私がやつの家に来て一年が経つ。つまり都内の一角に隠れるようにして佇むこの家の主人と出会って一年が経つ。最初は私が他の人間に見えないことがすごく怖くて、自分は本当に死んだのだと痛感し涙を流すこともしばしばあった。

だが、それにももう慣れた。


「霊魂という存在にはたいそう興味があるけれど、君自身には全く興味ないから安心してよ」


真っ直ぐに私を見つめて話すやつの言葉は、もう動いていない私の心の臓に爪をかけ、深い傷をつける。

それにはまだ、慣れない。

……私が人間に恋して一年が経つ。

⏰:09/07/11 19:00 📱:F905i 🆔:tSzZ2Nw.


#561 [[世界が開いた夏(2/3)]渚坂]
チリン、チリン―――……


やつは一日を縁側に座って過ごす。左手には読みかけの小説を、足下には蚊取り線香を設置して。
少し伸びた前髪の下には銀縁の眼鏡をかけ、やつが鬱陶しそうにスラリと長い足を投げ出せば、たとえ今の格好が甚平姿だとしても誰もが見とれてしまう。


「四条センセ、こんにちは。もちろん原稿できてますよね?」


そして、たまにやってくる編集局の人間に自作の小説の原稿を渡しては、また縁側に座り読書へと耽る。これが小説家『四条幸彦』の生活パターンだった。


「先生また一人で本読んでるんですか?たまには運動したらどうです」


夏であるにも関わらず、黒いスーツ姿の編集局の人間(名は清水という)は、来る度にやつを気遣う言葉と表情を見せる。
ぱっちりと開いた瞳、ほのかに上気した桃色の頬。この女は世間一般に言う『美人』の分類に属していると私は思う。


「君みたいな目麗しい女性と一緒なら運動してもいいよ」

クスクスと笑いながらやつは立ち上がり、部屋の中へ消えていく。


「ちょっと先生、それって私のこと美人だっておっしゃってるんですかー?」

「ふふ、そうとってもらって構わないよ。はいこれ、原稿」


先生は口が達者だから、とかなんとか言うにも関わらずしっかりと熱気を持った彼女の視線は艶めかしくやつを絡め取る。その光景は女の私から見ても背中がゾクゾクするような色気を感じた。

⏰:09/07/11 19:01 📱:F905i 🆔:tSzZ2Nw.


#562 [[世界が開いた夏(3/3)]渚坂]
たっぷりと見つめ合った後、清水さんはやつから原稿を受け取った。清水さんに私は見えない。だから見せつけているわけではないのだろうけど、それでも私は心を焦がしてしまう。

“私には肉体があるのよ”そう言われてる気がして、血液の通わない私の体が熱くなる。


「んふふ、今日は仕事中なんでもう帰りますね。今度オフの日に食事にでも誘いますわ。もちろん二人っきりで…。じゃあまた、センセ」


月に一回、仕事として清水さんは家にやってくる。そして月に五回彼女は“四条幸彦”の“密接な関係を持つ女”として家にやってきては密接な夜を過ごしている。



チリン、チリン、チリン―――……

もちろん事情を営んでいる間は縁側に出て邪魔にならないようにしているが、それでもやっぱり胸が苦しい。


「人間に惚れるなんて、なんて愚かな幽霊……」

自嘲気味に笑うと少し気が楽になった。




この家に来て一年。
やつに恋い焦がれてもう一年。
この一年の間にやつは恋人を六回変えた。この一年の間に私は六回も劣等感を味わったことになる。



チリン、チリン、チリン、チリン―――……


……嗚呼、風鈴の音が忌々しい。

⏰:09/07/11 19:02 📱:F905i 🆔:tSzZ2Nw.


#563 [我輩は匿名である]
あげるぜゴルァ!

⏰:09/07/29 12:25 📱:P903i 🆔://8hkJbU


#564 [渚坂]
定期あげ!

⏰:09/08/17 00:16 📱:F905i 🆔:SlJXxl/w


#565 [遠距離前(1/3)あんみつ]
 


踏切の音がする。

もうすぐ電車が来るんだ。

もうすぐ行ってしまうんだ。

そう思うと、ずっと我慢してたものがのどの奥からこみ上げてきて、私は唇を噛み締めた。

今、目の前にいる大好きな人は、これから来る電車に乗って私の知らない街へ行く。


.

⏰:09/08/17 14:36 📱:D904i 🆔:irKb7zTg


#566 [遠距離前(2/3)あんみつ]
────────



彼女が涙をこらえているのが、痛いくらい分かった。

俺は、口から出そうになる言ってはいけない言葉を必死に呑み込む。

言ってはいけない。

彼女には彼女の生活がある。

俺は無言で彼女を抱き締めた。



────────

⏰:09/08/17 14:38 📱:D904i 🆔:irKb7zTg


#567 [遠距離前(3/3)あんみつ]
このまま時が止まれば。

彼の腕の中で本気で思った。

そんな思いもむなしく、ホームに電車が停まる。

腕の力が緩むのが分かった。

そっと体を離して彼は言う。

「……じゃあ、行くわ」

嫌だ。

「……行ってらっしゃい」

行かないで。

ドアが閉まり、電車がゆっくりと動き出す。

いとも簡単に私と彼を引き離すこの箱が、今は憎い。

電車が見えなくなって、私は彼の温もりごと自分の体を抱き締めた。

言えなかった言葉がのどにつっかえて、今も、これからもきっと、ずっと苦しい。


.

⏰:09/08/17 14:39 📱:D904i 🆔:irKb7zTg


#568 []
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450

⏰:09/09/04 23:17 📱:SH904i 🆔:nVJyS6uk


#569 []
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:09/09/04 23:19 📱:SH904i 🆔:nVJyS6uk


#570 [別れ/渚坂]
「こんな終わり方しか出来ない俺って最低だよな」

自嘲ぎみにしか笑えない俺には言い訳をする資格も無いのかもしれない。俺のせいでボロボロになった彼女を前にしても、気の利いたセリフなんて一ミリも思いつかないのだから。

「でもお前とはわりと続いた方なんだぜ。前の奴なんか一週間しかもたなかったから」


今更昔話に花を咲かせようって腹じゃあない。でもこう言うことで、彼女を捨てる自分の精神を庇護しているしているのかもしれない。ああ、きっとそうだ。そうに違いない。


こんな俺を前にしても彼女は一言もしゃべらない。きっと彼女はその小さな身体だけでなく心までも乾きだしたのだ。

以前は潤っていた部分が一秒ごとに乾いていく。身体も心も。確実に。俺のせいで。



……これ以上は両者とも限界だ。無理、なのだ。


「じゃあな、コンタクト。俺は今日からお洒落眼鏡をかけるんだ。今まで世話になったよ」


右手に乗っていた使い捨てコンタクトを素早くゴミ箱に入れ、その手で黒縁眼鏡のフレームを掴み、難なく装着。


「よっし、いってきます!」


外は本日も晴天なり。

今日から俺は今流行の眼鏡男子だ。

⏰:09/10/25 13:15 📱:F905i 🆔:RazuJFaA


#571 [我輩は匿名である]
あっがーれ!

⏰:09/11/18 04:36 📱:P08A3 🆔:EPpIYhCk


#572 [渚坂]
定期あげー

⏰:10/01/01 23:53 📱:F905i 🆔:dPq9enoQ


#573 [渚坂]
あげとく

⏰:10/03/28 01:23 📱:F905i 🆔:tOiw0VQo


#574 [避難訓練(1/3)◆vzApYZDoz6]
黒板にチョークを撫で付ける耳障りな音を、さらにでかくて耳障りな非常ベルの音が掻き消す。
しかもこれがまた長い。やかましい事この上ない。

かの有名なアインシュタインは、小さな子供に相対性理論とはどういうものか、と聞かれた時、『好きな子の事を考える時の時間の進みは早く、熱いストーブの前で堪える時の時間の進みは遅くなる』事を証明する理論、と説いたそうだが、実にいい喩えだ。
それが相対性理論とどう関わりがあるかなんて俺には理解のしようもないが、少なくとも言ってる事は的確である。

要は楽しい時は時間が早く、かったるい時は遅く感じるという事だが、果たして今の俺はストーブどころかオーブントースターでも足りないぐらいに時間の経過を緩やかに感じていた。
只でさえ長い非常ベルに続いて教頭のダミ声まで黙って聞かなきゃならない上に、非常ベルが知らせる警報とダミ声が告げる情報その両方が嘘っぱちと確定しており、なおかつその嘘っぱちに素直に従ってこのクソみたいに寒い中上履きのままグラウンドまで走り、最後に冷たい地面に座ってこれまでの無意味な行為の重要性を語る校長の無駄に長い話を聞くという一連の行為を、事もあろうかもうすぐ卒業する俺達3年の連中に強いてるんだから、そりゃ時間経過も遅くなるというものである。

『地震により、家庭科室から火災が発生しました。生徒のみなさんは―――』

前置きが長くなったが、つまり今は避難訓練の真っ最中で、上の鍵括弧が示すように、ちょうど今第一ステップである非常ベルが止まり、第二ステップである教頭のダミ声が響き始めたところだ。

⏰:10/03/28 16:08 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


#575 [避難訓練(1/3)◆vzApYZDoz6]
それにしても避難訓練というものは、学校におけるいらない行事ベスト3に入る、と言ったら、恐らく首を横に振る奴はほとんどいないだろう。

いるとすれば運悪く席替えのくじ引きで前から2列目の真ん中の席あたりに引っ越しが決まり、授業中に居眠りしようものなら教卓に立つ教師に即座に見つかってしまい白墨を投げられるせいで日中に睡眠時間を確保できないがために、せめて授業だけでもサボれまいかと自習やら身体測定といったイレギュラーなイベントを心待ちにしているネガティブかつ不真面目な奴ぐ

⏰:10/03/28 16:12 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


#576 [避難訓練(2/3)◆vzApYZDoz6]
>>575ミス

それにしても避難訓練というものは、学校におけるいらない行事ベスト3に入る、と言ったら、恐らく首を横に振る奴はほとんどいないだろう。
いるとすれば運悪く席替えのくじ引きで前から2列目の真ん中の席あたりに引っ越しが決まり、授業中に居眠りしようものなら教卓に立つ教師に即座に見つかってしまい白墨を投げられるせいで日中に睡眠時間を確保できないがために、せめて授業だけでもサボれまいかと自習やら身体測定といったイレギュラーなイベントを心待ちにしているネガティブかつ不真面目な奴ぐらいなもんだ。

同じく席替えのくじ引きで窓際の後ろから2番目という最高のポジショニングに成功した俺からすれば、避難訓練なんてミディアムレアの豚ロースに真珠を添えるぐらい没意義で意味のないイベントであり、従って第三ステップ、つまりグラウンドへの避難から如何にしてエスケープするかという思考に俺が没頭しているのは至って当然の事である。

するとどうだろうか。もう教頭の避難指示が終わりそうな雰囲気になってやがる。
エスケープの方法を考えるというのは、俺の中で楽しい事に分類されているんだろう。人間の脳みそというのは実に都合のいい構造になっているらしい。

『―――繰り返します。生徒のみなさんは先生の指示に従って速やかに避難してください』

ブチッ、というスピーカーのスイッチがオフになる音を皮切りに、周りの生徒が次々と廊下に出ていく。
俺もその例に漏れず廊下に移動し、他のクラスの連中も混じっての学級大移動の波に乗りながら、先生の視界に入らない立ち位置を確保する。

⏰:10/03/28 16:13 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


#577 [避難訓練(3/3)◆vzApYZDoz6]
俺が考えたエスケープ方法とは、階段を降りる時にこっそりトイレに入ってやり過ごす、というもの。

こういう時はシンプルな方が成功率が高く、実際に俺はあっさりとエスケープに成功し、トイレの個室で足音が去るのを待ってから教室へ向かって踵を返し、我がクラスの扉を開け放して教室内を見渡す頃には、グラウンドで体育座りをしているであろう全校生徒に当たり障りのない話題からトークを展開する校長の声が、拡声器を通じて教室内まで響いていた。

ああ、当然だが教室の扉に鍵はかかっていない。こういう時は避難が最優先であり、これから火が上がるという想定の校舎にわざわざ施錠するような律儀で用心深い奴はうちのクラスにはいやしない。
誰もいない教室を眺めて小さく溜め息をつき、さてこれからどうやって時間を過ごそうかと考えていた時、不意に後ろから声をかけられた。

「ダメじゃない、戻ってきちゃ。これが本番ならあなた今頃死んでるわよ」

声の方へ視線を取って返すと、俺の後ろに女が立っていた。
学校指定のプリーツとカッターシャツの上に、焦茶色のカーディガン。化粧っ気はないが大きめの瞳と小さく整った小鼻と唇に、胸元の赤いリボンがよく映えている。
見たことがある。というか俺のクラスの女で、さらに付け加えると保険委員であり、故にこいつがサボるのは俺としては感心しないところだが。

⏰:10/03/28 16:16 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


#578 [避難訓練(4/3)◆vzApYZDoz6]
「それはお互い様でしょ。急患を保健室へ連れていくのも保険委員の役目だもの」

お互い様はこっちの台詞だ。だいたいこの教室にはどこにも病人や怪我人なんていないぞ。
グラウンドでは校長の話が明後日の方向に向かい始めていた。座らされている生徒はさぞ辛かろうに。
急患をお望みならグラウンドに行くべきだな。この寒空の下で長時間座らされて、体調を崩している奴が一人ぐらいはいるかもしれん。

「大丈夫よ。保険委員はあたし一人じゃないんだし」

女は俺の横をすり抜けて、窓側の一番後ろの席に陣取った。つまり、ちょうど俺の指定席の後ろである。
手にしているコンビニ袋の中身を机の上にぶちまけて、悪戯そうな笑みを満面に浮かべて俺に向かって手招きした。

⏰:10/03/28 16:18 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


#579 [避難訓練(5/3)◆vzApYZDoz6]
「今は火災発生から7分45秒。
 …結局、不測の事態に対応できるのは普段から遊んでる奴だけだと思わない?」

言い得て妙だ。俺は女の言葉に、そんな感想を抱いていた。

女の前に腰かけて、広げてあるポテトチップスをつまみ上げつつ、これらの菓子類は先程の学級大移動中に買ってきたものだという女の話を聞きながら、さてそろそろグラウンドでの校長の話が終わって生徒が帰ってくるがどうするかという俺の次なる課題の攻略法を考えている時に、ふと己の体感時間の短さに気付いた。

つまり普段から遊んでる奴は常にこういう時間感覚の中にいるからこそ、体感時間が極端に短くなる不測の事態に直面しても焦らず落ち着いた行動の取捨選択を可能にするのであり、こんな堕落した避難訓練を百回と繰り返したところでその結果は変わらないだろうし、結局それが避難訓練の学校におけるいらない行事ベスト3の座を不動のものにしてるんじゃないだろうか。

しかしそれに気付いたのは他ならぬ避難訓練のお陰であり、またクラスでもそこそこ可愛い部類に入る女子生徒との接点も得られたので、まだまだ避難訓練も捨てたものではないと認識を新たにしながら、俺は再開される授業を如何にして早く乗り切るかをまた考え始めるのだった。

⏰:10/03/28 16:19 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


#580 [我輩は匿名である]
2レスもオーバーしちまった…
意外と字数足りないもんだな。

⏰:10/03/28 16:19 📱:P08A3 🆔:swSqV4NM


#581 [【反映して(1/3)】我輩は人間である]

「おい、もうへばってんのかよ。もっと飲め」
「もう無理です!無理ですって!」

満開の桜の下で交わされる言葉は周りから見れば微笑ましい光景だった。
本日5本目の缶ビールを会社の先輩である司馬から無理矢理掴まされて、その後輩である久野は苦笑いの表情で断った。

お花見の場所取りは新入社員である仕事の一つだ。
入社してまだ間もない久野は自分と同時期に入った同僚の中で自ら場所取り役を名乗り出た。
一夜の花見宴会のために朝早くここら辺では桜が綺麗に見える有名なスポットに訪れ、ちらほら他の人に場所を取られていたが充分な場所を取った。
そこから同じく場所取り役であり同期入社の岡部と交代で、今上司が気持ち良さげに寝転んで寝ているこの場所をキープし続けたのである。

「文句言うなよ。断れる身分か?あ?」
「司馬さん飲み過ぎですよ……、もう9はいってるんじゃないですか?」

そもそもこんな必死に(少し大袈裟だが)場所取りを買って出たのは本心ではない。今目の前でベロンベロンに酔って酒を押し付けてくる司馬伸彦のためでもある。

⏰:10/04/08 02:24 📱:S001 🆔:☆☆☆


#582 [【反映して(1/3)】我輩は人間である]

優しく人柄も良く顔もまぁそこそこで上司からの視線も良かった。歓迎会の時だって上手く溶け込んでいいワークライフを過ごしている。だけど打ち解けてない人が一人……それが司馬伸彦である。
話したと言えば挨拶の時しかない。

司馬はテキパキとよく働くし仕事が出来てなんでも有名大学を卒業しているようで、世間一般に言うエリート人間だ。
性格も久野と正反対。愛想なく必要な会話しか話さない、クールと言う言葉がピッタリな人だった。
だけどそれが女性からの支持を受けている。ルックスは男から見てもそりゃもうイケメンで、王子様に例えられるような人でそれも人気の一つだ。

久野はそんな自分と正反対の司馬が気になってばっかりだった。
性格はいいと評判の久野だが仕事の方はイマイチでおっちょこちょい、残業だって数えられないくらいした。
高校の頃は185センチの身長と体格を生かして柔道に没頭していたいわゆるスポーツバカで、頭を使ったりパソコンを使う仕事には不向きな方なのだ。
だから仕事を完璧にこなす司馬にもっとを目を引かれた。話してみたいと気持ちは膨らむ一方だった久野にようやくチャンスが訪れた。

⏰:10/04/08 02:53 📱:S001 🆔:☆☆☆


#583 [【反映して(2/3)】我輩は人間である]
>>581優しく人柄も良く顔もまぁそこそこで上司からの視線も良かった。歓迎会の時だって上手く溶け込んでいいワークライフを過ごしている。だけど打ち解けてない人が一人……それが司馬伸彦である。

司馬はテキパキとよく働くし仕事が出来てなんでも有名大学を卒業しているようで、世間一般に言うエリート人間だ。
性格も久野と正反対。愛想なく必要な会話しか話さない、クールと言う言葉がピッタリな人だった。だけどそれが女性からの支持を受けている。ルックスは男から見てもそりゃもうイケメンで、王子様に例えられるような人でそれも人気の一つだ。
久野はそんな自分と正反対の司馬が気になってばっかりだった。性格はいいと評判の久野だが仕事の方はイマイチでおっちょこちょい、残業だって数えられないくらいした。高校の頃は185センチの身長と体格を生かして柔道に没頭していたいわゆるスポーツバカで、頭を使ったりパソコンを使う仕事には不向きな方なのだ。
だから仕事を完璧にこなす司馬にもっとを目を引かれた。話してみたいと気持ちは膨らむ一方だった久野にようやくチャンスが訪れた。

⏰:10/04/08 02:58 📱:S001 🆔:☆☆☆


#584 [【反映して(3/3)】我輩は人間である]
それが、今日の花見宴会だ。お酒も交える今日この日こそが絶好のチャンスなのだ。でもまさか、
「お前仕事出来なさすぎるんだよ!」
「はい…すいません…」
「酒まだあんだろぉ?出せよ」
「ダメですってもう止めましょ?!一回酔い冷ましましょうって…」
こうなるなんて。こんなんじゃお酒混じりに交流どころかお酒しか混じってない。司馬がまた新しい缶ビールに手をつけようとしている所を久野は焦って言い聞かせながら思った。
「うるさいな…まだ、いけ…る…」
「だから酔いが冷めたらに…って司馬さん……?」
手を出されると困るので缶ビールを手の届かない位置に置いて振り返った時には、もう、スースーとゆっくりとした寝息を立てて木の幹に寄りかかったまま眠りに着いていた。片手にはビールの空き缶が緩く握られている。それを見て久野は溜め息を吐いた、と同時に口元が緩んだ。酒が強い体質じゃない自分にとって缶ビール5本は大分体にきていたが司馬の心地良さそうな寝顔を見ていたら自然と笑みが溢れた。みんなの知らない酔っぱらった一面を見れただけでも良しとしよう。心が桜色に染まった気がした久野のだった。

⏰:10/04/08 03:32 📱:S001 🆔:☆☆☆


#585 [我輩は人間である]
【反映して】

>>581
>>583
>>584


もっと改行したかった…。

⏰:10/04/08 03:33 📱:S001 🆔:☆☆☆


#586 [我輩は匿名である]
上げるぜ

⏰:10/12/04 11:35 📱:P08A3 🆔:wwvC.sEQ


#587 [隠謀(1/2)◆vzApYZDoz6]
目を覚まして最初に飛び込んできたのは、縦横に溝が走るタイル張りの白い天井と、ほのかに黄ばんだ蛍光灯。
耳に入るのは雑多な電子音と、機械が稼働するファンの音。
体を起こそうと上半身に少し力を込めようとして、そこで初めて自分がベッドに寝ている事に気付いた。

「お目覚めかね?」

ベッドの脇から、落ち着き払った男の声。
見ると、白衣を着た初老の男性が立っている。

「……ふん」

口角を片方吊り上げ目を半月状に細めてこちらを見る男から視線を外し、上半身を起こして辺りを見回す。
どこかの研究施設にでもあるようなコンピューターとコンソールの類の機械が、そう広くない室内の壁際にずらりと配置されている。

「第二の人生を手に入れた気分はどうかね?」

白衣の男が問い掛ける。
私は部屋を眺めながら男には目を合わせず、自嘲するように鼻で笑った。

「最悪だな。今すぐ貴様をぶち殺してやりたいくらいには」

「女性があまり汚い言葉を使うべきではないねぇ。ま、どちらにしろそんな事は不可能だけど」

⏰:12/02/19 11:05 📱:P08A3 🆔:9vitOHrA


#588 [隠謀(2/2)◆vzApYZDoz6]
そう言って白衣の男はくぐもったように笑い、側にあったテーブルのマグカップを手に取った。
薄く湯気が立ち上る中身を一口啜り、再び口を開く。

「死人に口なしと言うだろう?」

「………」

自分の手のひらに視線を落とす。
既に血の通わないそれは青白く澱んでおり、軽く握ると冷ややかな感触が返ってきた。
手のひらを自身の胸に当てる。
柔らく弾力があり、それなりの大きさもあるが、しかし心臓の鼓動は微塵も感じてはくれなかった。

「……ふん」

「ま、働きには期待しているよ。その為に君達を直したのだから」

そう言いながら、白衣の男が顎先で部屋の中央を指す。
そこにはベッドが二つ。即ち自分が今いるベッドと、その隣。
自分が着ている物と同じような、簡素な白い患者衣を着た男が、先刻までの自分と同じように眠っている。

その横顔を眺めながら、私は無意識のうちに冷たい手を伸ばした。
男の頬に指先が触れる。と同時に男の眉間に皺が寄り、頬に僅かな力が入る。
驚いて反射的に手を引いた私と、その様子を無表情に眺めていた白衣の男の見守る中、もう一人の屍が目を覚まそうとしていた。

⏰:12/02/19 11:08 📱:P08A3 🆔:9vitOHrA


#589 [我輩は匿名である]
上げついでに久々投下。
過疎よ去れーッ!

⏰:12/02/19 11:09 📱:P08A3 🆔:9vitOHrA


#590 [青の中の家(1/3)◆WHAzwTTDUw]
 家が激しく揺れ動くせいで目が覚めた。地震だ。

 部屋は真っ暗だったが、ぼんやりとしていた目がだんだんと冴えてきて、激しく揺れ動く電気のスイッチの紐を見る事ができた。震度五、あるいは六かもしれない。とにかく、強烈な揺れだった。

 揺れが収束する。妻がいなくてよかったと、私は思った。妻はひどく地震に弱い。震度三程度でもこの世の終わりかと思うほど、あたふたとする。何故そんなに地震を恐れるかというと、阪神・淡路大震災を体験しているからだ。あれが妻に強烈なトラウマを与えるきっかけとなった。

 妻は訳あって実家に帰っている。私の家は東京にあるから、もしかすると微弱な地震が届いたかもしれない。しかし、まあ震度五、六の地震を味わうよりかはいいだろう。

 私はベッドを降りて、居間に向かった。テーブルの上に置かれたリモコンを持ち、スイッチを押した。しかし、テレビは点かなかった。沈黙を保ち続けた。

 どうやら停電したらしい。まあ、結構な揺れだったので、停電になってもおかしくないと、私は思った。

 私は寝室に行き、布団にくるまった。眠るのにそう時間はかからなかった。

⏰:12/02/19 19:03 📱:biblio 🆔:.BF1/ONc


#591 [青の中の家(2/3)◆WHAzwTTDUw]
 目覚まし時計が泣き叫ぶ赤ん坊のようにけたたましく鳴り響いた。私はベッドから降りて、部屋の隅に置かれた目覚まし時計を止めた。ベッドの側に置かない理由は、手の届く場所に置いておくと、止めてからまた眠ってしまう事があるからである。

 私は顔を洗おうと洗面所に行った。洗面所の窓からは明るい日差しが差し込んでいた。蛇口を捻った。しかし、水は出てはこなかった。まさか夜中の地震で断水してしまったのだろうか?

 私は薄暗い居間に行き、電気のスイッチを押した。電気は点かなかった。まだ停電しているようだ。

 私は窓を開け、シャッターを開けた。その時、驚きの光景が目に入った。空だ。青空が広がっていた。雲も漂っている。手を伸ばせば届きそうだ。家々や電柱、道路の姿はない。夏だというのに外気は上空にいるせいでひんやりとしていた。

 私は下を覗いた。ミニチュアより遥かに小さい都市が広がっていた。

 まだ夢でも見ているのだろうか。私は一度頭を引っ込め、目を閉じて深呼吸をした。そして、目を開けた。目先には水色の空がどこまでも広がり、綿菓子のような雲が所々浮かんでいた。

⏰:12/02/19 19:03 📱:biblio 🆔:.BF1/ONc


#592 [青の中の家(3/3)◆WHAzwTTDUw]
 一体何が起きたのだろう。何故家が浮いているんだ。理解の範疇(はんちゅう)を超えてる。

 私は居間に置いていた携帯電話を取り、開いた。画面の左上には圏外の文字。無理だとわかってはいたが、妻宛に助けを求めるメールを作成し、送信を試みた。やはり送信に失敗した。

 どうしたらいいのだろう。地上の人間は気付くだろうか? 家は点にしか見えないんじゃないか? 飛行機が通れば気づいてくれるかもしれない。いや、気づかない。旅客機は遥か上を飛んでいる。窓の外は零度近くだろうから、現在の位置は富士山の山頂かちょっと上といった所だろう。それならヘリコプターの飛行範囲内だ。

 誰かが発見してくれるさ。私はポジティブに考えた。

 腹が減ったのでパンを食べ、オレンジジュースを飲んだ。小便はトイレにした。

 家は上昇を続けていた。何故なら外気が明らかに冷たくなっているからだ。私はシャッターを閉め、押し入れから毛布を取り出し、布団にくるまった。あまりの寒さに縮みあがり、ガクガクと震えていた。歯が音を立てる。

 昼頃になると酸素が薄くなり始めた。苦しい。家の上昇は止まらない。私は酸素を激しく欲求した。

 そして、遂に身体は体温を失った。

⏰:12/02/19 19:04 📱:biblio 🆔:.BF1/ONc


#593 [我輩は匿名である]
>>450までのまとめ一覧↓
>>165-170
>>229-231
>>291-293
>>349-352
>>451-454

455から現在までのまとめ↓

>>457-458 あげ!(2/2)
>>463-464 未来(2/2)
>>466-468 8月のおしまい(3/3)
>>471-473 応援(3/3)
>>476 トイレ(1/1)
>>477 愛情表現(1/1)
>>478-480 ベリー(3/3)
>>484 こころ*クラブ(1/1)
>>487-489 イツワリ(3/3)
>>491-493 星空(3/3)
>>494 瞼の憂い(3/3っぽいけど途中で投下止まってます…)
>>495-497 もう戻らない(3/3)
>>498-500 ラブレター(3/3)
>>505-508 タイトル未定(3/3)
>>513-515 甘い夢(3/3)
>>517 命日(1/1)
>>518-520 かすかな記憶微妙な関係(3/3)
>>521 安価行動の妙(1/1)
>>524-526 私の夢。(3/3)
>>529-531 僕の彼女(3/3)
>>533-534 願いを叶えるための遺言
>>535 あめ(1/1)
>>536-538 はつこい(3/3)

⏰:12/02/19 22:56 📱:P08A3 🆔:9vitOHrA


#594 [我輩は匿名である]
続き

>>539-543 ホワイトデー(3/3)
>>544-546 いつか、また(3/3)
>>549-550 あのとき(3/3っぽいけど途中で投下止まってます…)
>>551-552 きく(2/2)
>>553-554 Sense(2/2)
>>555-556 愛し(2/2)
>>558-559 1日(2/2)
>>560-562 世界が開いた夏(3/3)
>>565-567 遠距離前(3/3)
>>570 別れ(1/1)
>>574-579 避難訓練(5/5 ※レス数オーバー)
>>581-583 反映して(3/3)
>>587-588 隠謀(2/2)
>>590-592 青の中の家(3/3)


なお、タイトルのない作品は文中から抜粋orそれっぽいのを勝手につけました。

⏰:12/02/19 22:56 📱:P08A3 🆔:9vitOHrA


#595 [我輩は匿名である]
まとめ&作品数集計&お題一覧
>>593-595

現在の作品数集計
1レス短編:46
2レス短編:47
3レス短編:65
レス数オーバー短編:2
その他(投下停止等):3
総作品数:163

現在のお題
@雨
Aあの頃の思い出
B電話
C卒業
D電車
Eささやかな幸せ
F手紙
G都会
H未来
Iアルバイト
J忘れられない
K空
L窓
M指輪
N怒り
O葬式
Pテレビ
Q俺(私)とお前のヒストリー
R街角
S交差点
21ネット掲示板
22いつかまた
23飛行機雲
24奇
25応援
26保守

⏰:12/02/19 22:56 📱:P08A3 🆔:9vitOHrA


#596 [我輩は匿名である]
行数がえらいことになりそうだったので作者名は割愛。
まとめサボってたらすごい量になってたぜ…

さて、600レスが間近に迫り中盤戦もそろそろ終わりが見えてきたところですが、まだまだ参戦者募集中!
当スレは新参古参素人玄人老若男女その他諸々一切合切問いませぬ。ドカドカ書いていけーッ!

⏰:12/02/19 23:04 📱:P08A3 🆔:9vitOHrA


#597 [我輩は匿名である]
よくまとめられましたねw
お疲れさまです。

⏰:12/02/20 01:59 📱:P01A 🆔:iV.6Lu7Q


#598 [指輪(1/3)悠斗]
お前にあげたい物はまだ手に入らない

ごめんな、ずっと待っていてくれてるのに

「いまはこれで」

おもちゃの指輪をお前の薬指に填めてやる。鈍く光るダイアなんてまだ手に届かない


いつか、本物を手に入れたならもう一度伝えるよ


「俺と結婚してください」

⏰:12/03/08 23:02 📱:T003 🆔:psIccDYc


#599 [指輪(2/3)悠斗]
あなたの口から漏れる言葉は本心なの?

おもちゃの指輪だから結婚できない。それは誰が決めたの?

わたしはあなたの気持ちが籠もっているものがいいな

いつか、本当にプロポーズしてくれたならわたしは迷いなく答えます

「よろこんで」と

⏰:12/03/08 23:05 📱:T003 🆔:psIccDYc


#600 [指輪(3/3)悠斗]
俺の気持ち、この指輪に込めて指に填めるよ

わたしの気持ち、填めてもらった指輪に込めます

「あなたを」

「お前を」

「「愛しています」」





鈍く光るダイア。少し汚れてしまったけれど、思い出すのはあなたと結婚した10年以上も前のことばかり

お互い歳とったけど、お前を思う気持ちは誰にも負けない

愛の証の、指輪に誓って

⏰:12/03/08 23:09 📱:T003 🆔:psIccDYc


#601 [わたしはバブル(1/2)アカシ]
私はバブル、
あなたのことが好き。

大きな川の一滴として生まれた私は、泡になり、パチンと弾けて、また流されて、暗いトンネルを抜けたところで、あなたに出逢いました。

たしかあなたは、たくさん汗をかいていたから夏の季節だったと思います。あなたと共にハシャいだり、笑ったり、大きく息を吸ったり、吐いたりして、生きてるってことをたくさん、たくさん、感じることが出来ました。

⏰:12/03/09 11:19 📱:K006 🆔:MJCNRL52


#602 [わたしはバブル(2/2)アカシ]
あるとき、私はあなたの心臓と血液の音を枕にして寝ているとき、夢を見ました。
顔のわからないあなたと、手を繋ぎ、抱き合っている夢を。

これが愛しいという気持ちなのですね。
わたしは初めて、あなたと共に恋をしたのです。

わたしは胸のドキドキが止まりませんでした、そして、張り裂けそうなくらい感情が高まるのを感じました。そして悲しい気持ちになりました。

わたしは再び泡になり、あなたの涙となって、愛しい瞳からこぼれ落ちました。あなたは、恋を失ったのですね。誰かを、愛していたのですね。

わたしはバブル、
雲になり、雨となり、またあなたの体にめぐる日を待っています。

《終》

⏰:12/03/09 11:29 📱:K006 🆔:MJCNRL52


#603 [我輩は匿名である]
ageる

⏰:16/10/12 15:51 📱:E5823 🆔:Qk/6hoQc


#604 [&◆JJNmA2e1As]
あげ(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/09/30 19:01 📱:Android 🆔:AHulHGHk


#605 [&◆JJNmA2e1As]
(´∀`∩)↑

⏰:22/10/01 19:36 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#606 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/01 21:59 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#607 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age

⏰:22/10/02 02:31 📱:Android 🆔:Ltpo.xA.


#608 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>1-40
>>40-80
>>80-120
>>120-160
>>160-200
>>200-240
>>240-280
>>280-320
>>320-360
>>360-400

⏰:22/10/02 17:37 📱:Android 🆔:Ltpo.xA.


#609 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>400-440
>>440-480
>>480-520
>>520-560
>>560-660

⏰:22/10/02 17:39 📱:Android 🆔:Ltpo.xA.


#610 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>40-70
>>70-100
>>100-130
>>130-160
>>160-190

⏰:22/10/03 14:54 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#611 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>190-210
>>210-240
>>240-270
>>270-300
>>300-330

⏰:22/10/03 14:55 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#612 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>330-360
>>360-390
>>390-420
>>420-450
>>450-480

⏰:22/10/03 14:56 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#613 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>480-520
>>520-550
>>550-580
>>580-600

⏰:22/10/03 14:57 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#614 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>40-60
>>60-80
>>80-100
>>100-120
>>120-140

⏰:22/10/03 14:59 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#615 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>140-160
>>160-180
>>180-200
>>200-220
>>220-240

⏰:22/10/03 15:10 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#616 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>240-260
>>260-280
>>280-300
>>300-320
>>320-340

⏰:22/10/03 15:11 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#617 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>340-360
>>360-380
>>380-400
>>400-420
>>420-440

⏰:22/10/03 15:12 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#618 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>440-460
>>460-480
>>480-500
>>500-520
>>520-540

⏰:22/10/03 15:13 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#619 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>540-560
>>560-580
>>580-600

⏰:22/10/03 15:14 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#620 [○○&◆.x/9qDRof2]
#587 [隠謀(1/2)◆vzApYZDoz6]
目を覚まして最初に飛び込んできたのは、縦横に溝が走るタイル張りの白い天井と、ほのかに黄ばんだ蛍光灯。
耳に入るのは雑多な電子音と、機械が稼働するファンの音。

⏰:22/10/03 16:41 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#621 [○○&◆.x/9qDRof2]
体を起こそうと上半身に少し力を込めようとして、そこで初めて自分がベッドに寝ている事に気付いた。

「お目覚めかね?」

ベッドの脇から、落ち着き払った男の声。
見ると、白衣を着た初老の男性が立っている。

「……ふん」

口角を片方吊り上げ目を半月状に細めてこちらを見る男から視線を外し、上半身を起こして辺りを見回す。
どこかの研究施設にでもあるようなコンピューターとコンソールの類の機械が、そう広くない室内の壁際にずらりと配置されている。

⏰:22/10/03 16:42 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#622 [○○&◆.x/9qDRof2]
「第二の人生を手に入れた気分はどうかね?」

白衣の男が問い掛ける。
私は部屋を眺めながら男には目を合わせず、自嘲するように鼻で笑った。

「最悪だな。今すぐ貴様をぶち殺してやりたいくらいには」

「女性があまり汚い言葉を使うべきではないねぇ。ま、どちらにしろそんな事は不可能だけど」

⏰:22/10/03 16:42 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#623 [○○&◆.x/9qDRof2]
#588 [隠謀(2/2)◆vzApYZDoz6]
そう言って白衣の男はくぐもったように笑い、側にあったテーブルのマグカップを手に取った。
薄く湯気が立ち上る中身を一口啜り、再び口を開く。

「死人に口なしと言うだろう?」

「………」

自分の手のひらに視線を落とす。
既に血の通わないそれは青白く澱んでおり、軽く握ると冷ややかな感触が返ってきた。
手のひらを自身の胸に当てる。
柔らく弾力があり、それなりの大きさもあるが、しかし心臓の鼓動は微塵も感じてはくれなかった。

「……ふん」

「ま、働きには期待しているよ。その為に君達を直したのだから」

そう言いながら、白衣の男が顎先で部屋の中央を指す。
そこにはベッドが二つ。即ち自分が今いるベッドと、その隣。
自分が着ている物と同じような、簡素な白い患者衣を着た男が、先刻までの自分と同じように眠っている。

その横顔を眺めながら、私は無意識のうちに冷たい手を伸ばした。
男の頬に指先が触れる。と同時に男の眉間に皺が寄り、頬に僅かな力が入る。
驚いて反射的に手を引いた私と、その様子を無表情に眺めていた白衣の男の見守る中、もう一人の屍が目を覚まそうとしていた。

⏰:22/10/03 16:42 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#624 [○○&◆.x/9qDRof2]
🌸・ 。
 🌸∴。 *
  ✨・゚*。🌸・
 💖 ・ 🌸 ✨
     °*.* 💖
   ・ ゚*。・゚✿。
  🌸 🌸 ・✨°*.
   。·*・。゚ *.。🌸。 ✿
    * 。・゚*.。
     * 💖 ゚・✨🌸 * 。
      ・゚ 。🌸

⏰:22/10/03 16:43 📱:Android 🆔:LEXcEWww


#625 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:23/01/02 13:12 📱:Android 🆔:jK5SBgKM


#626 [わをん◇◇]
>>200-300

⏰:23/01/02 13:14 📱:Android 🆔:jK5SBgKM


#627 [わをん◇◇]
>>300-400

⏰:23/01/02 13:14 📱:Android 🆔:jK5SBgKM


#628 [わをん◇◇]
>>400-500

⏰:23/01/02 13:15 📱:Android 🆔:jK5SBgKM


#629 [わをん◇◇]
>>500-600

⏰:23/01/02 13:15 📱:Android 🆔:jK5SBgKM


#630 [わをん◇◇]
>>1-200

⏰:23/01/02 13:15 📱:Android 🆔:jK5SBgKM


#631 [わをん◇◇]
>>10-200

⏰:23/01/02 13:16 📱:Android 🆔:jK5SBgKM


#632 [わをん◇◇]
>>700-999

⏰:23/01/02 13:16 📱:Android 🆔:jK5SBgKM


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